見出し

◆第1660号(2006年10月1日付)◆


憲法25条が輝く行政を確立しよう
全厚生第70回定期大会を開催
仲間の雇用を守ってがんばる
「共同の力で平和憲法を守り、憲法25条が輝く行政を確立しよう!」をスローガンに全厚生労働組合は、第70回定期大会を9月15日から3日間、静岡県内で開催し、2006年度運動方針案と財政方針案、規約改正案を採択。新役員を選出しました。大会には、全国から代議員・傍聴者など120人が参加。社会保険庁「改革」に対し、仲間の雇用を守り、国民本位の社会保険行政確立へ奮闘することを確認しました。大会宣言と2つの特別決議を採択しました。

委員長挨拶
社会保障を守ろう
全厚生の役割発揮を

 杉下委員長は、第70回定期大会は、全厚生結成60周年を迎えて開催される記念大会であり、60周年を祝い、OBから期待と激励の熱いメッセージが寄せられていると述べ、挨拶しました。
 いま日本は、国民犠牲の悪政と一体で、戦争をする国へひた走っている。生活と権利を軍靴が踏みにじることは絶対に許すことはできない。平和・民主主義、働く者の権利を取り返す正念場として、全厚生60年のたたかいの歴史に確信と誇りを持ち、過去に学び未来を見すえ、大会成功を新たなたたかいのスタートにしよう。小泉構造改革は厳しく問われなければならない。アメリカと財界の意に沿う「改革」は社会を歪め、格差拡大と貧困化を深刻にした。市場原理による自己責任論で社会保障、社会福祉が攻撃のターゲットにされている。行革推進法、市場化テスト法が強行され、公務破壊、公務員攻撃を許さないたたかいはこれからが本番、と強調。
 社会保険庁改革へのとりくみは、極めて重要な局面を迎える。全厚生全体が総力をあげてとりくむ。国民の医療・年金・社会保障を守るたたかいであると同時に、公務員攻撃とのたたかい。分限免職条項の安易な発動は国公法の精神に反する。攻撃の不当性を明らかにし、雇用確保に全力をあげる、と述べ、厳しいときだからこそ労働組合の役割発揮が求められている。全体で意思統一し、組合員の期待にこたえて奮闘をしようと呼びかけました。

第1号議案
「壊憲」は許さない
庁「改革」対策を産別で

 杉浦書記長は冒頭、結成60周年の歴史的な節目であり、全厚生の正念場の大会であると述べ、2006年度運動方針案、秋季年末闘争方針案を提案しました。
 今、戦争か平和かが問われる重大な岐路に立っているもとで、この国のあり方の根本をかえる「壊憲」を絶対に許してはならないと強調。公務の民間化の攻撃が加速し、国家改造が進む事態だからこそ、公務の本質を語り、公務労働の原点にかえりたたかうことを提起。運動の基本方向では、(1)労働組合の基本に立ち返り、活動する(2)憲法25条を行政に活かす(3)今と未来を切りひらくために奮闘しようと呼びかけました。
 さらに杉浦書記長は、9条改憲を許さないたたかいと憲法25条を活かす社会保障闘争を深く結びつける重要性を強調。「9条改憲反対」新聞意見書広告カンパの取り組みを全力で取り組む方針を提起。最優先の課題である社会保険庁改革の取り組みでは、この秋から07春闘にむけて、社会保険庁「改革」の方向を決定づける重要なたたかいの場となる情勢を踏まえ、「社会保険庁改革対策委員会」(国公労連・全厚生・全労働・全医労・ブロック国公)を直ちに立ち上げ、産別規模でたたかう方針を提起。職域・部門のたたかいでは、本省庁、試験研究機関、社会福祉の各部門での政策活動と運動強化の方針を提起しました。

大会宣言

 結成60周年を迎えた全厚生労働組合は、「共同の力で平和憲法を守り、憲法25条が輝く行政を確立しよう」をメインスローガンに、静岡県伊東市において第70回定期大会を開催し、1年間の経験と教訓を持ちより、職場と地域に根ざした2006年度の運動方針を確立した。
 小泉後継勢力と自民・公明与党は、アメリカの世界戦略に加担し、日本を「戦争できる国」にするための土台作りを急いでいる。特に、次期総理大臣の最有力候補とされている安倍官房長官は、自民党結党以来の課題であった「憲法改正」と「教育の再生」をスローガンとし、ナショナリズムや新保守主義を強調している。日本の平和と民主主義、国民のくらしと安全、公務労働者の権利などに関わって、これからの闘いが決定的に重要であることが明らかにされた。
 小泉政権の5年間は、「構造改革」路線が強行される下、雇用や社会保障制度の破壊と国民生活の「格差拡大」が特徴である。厚生労働行政の役割発揮が益々求められていること。医療・年金制度や障害者自立支援法、そして試験・研究機関における組織の位置づけ・研究体制のあり方などの問題点と改善にむけた取り組みも指摘された。
 社会保険庁を廃止し新組織を設置する「社会保険庁改革関連法案」は、医療制度改悪法案の強行により、「全国健康保険協会」の設置は確定した。しかし、「ねんきん事業機構」法案については、国民年金事務処理問題をめぐる新たな情勢のなかで継続審議となり、臨時国会でも争点になろうとしている。
 国民年金の事務処理を巡る諸問題に対し、その根本問題を広く発信していくことや情報の伝達など、国民・組合員に見える運動の必要性が強調された。安心して暮らせる年金制度、国民本位の社会保険庁改革、そして組合員の雇用と権利を守る闘いを、より広範な運動として発展させていくことの必要性が強調された。 
 慢性的な人員不足の中で、恒常的なサービス残業やメンタル面も含めた健康不安が増大している。特に、1ヶ月の平均残業時間が90時間を超えるという本省の実態は、驚愕であり深刻である。教育宣伝活動の前進と組織の強化・拡大を基本に「頼りになる労働組合」として取組の強化が重要である。
 全厚生は、今大会で決定された方針を実践するため、すべての仲間たちの力を結集し、職場・地域を基礎に、憲法・教育基本法と平和・民主主義を否定しようとする様々な策動を阻止するため、政治の民主的転換も展望しつつ、全力で闘うことを宣言する。
2006年9月17日
全厚生第70回定期大会

第2号議案
財政方針を決定
本部組合費は据え置き

 大会初日、第2号議案である「2005年度決算報告と2006年度財政方針・予算(案)」を福士書記次長が提案しました。決算報告では、公務員の総人件費削減攻撃や社会保険庁改革など多岐にわたる課題と結合した運動を予算の範囲で執行することができたことを報告。財政方針・予算(案)では、専従1名の減、「全厚生」新聞発行回数の減により支出を抑えつつ、「憲法改悪」に反対する取り組み、「国民本位の社会保障制度・社会保険庁改革」の取り組みと組織の発展を支えられるよう効果的な予算配分を行ったことを提案。
 大会2日目の議事終了後、財政小委員会を開催。委員会では岐阜県支部の代議員を委員長に選出し、質疑・討論を経て第2号議案を採択。大会最終日に、財政小委員会の議論と採決の結果について財政小委員長報告を行い、全体の採決では、2005年度決算報告及び会計監査報告を承認し、2006年度財政方針・予算(案)を全会一致で採択しました。

本年度本部組合費
 新俸給表へ切り替えに伴い、俸給月額が下がる職員については新俸給表の額に加えて、切替日の前日に受けていた額との差額が支給される経過措置(いわゆる現給保障)が設けられたことや、新俸給表切り替えに伴う事務負担軽減をはかるなどの理由から、2006年3月時点の本部組合費の額とすることが採択されました。なお、2006年4月以降の新規採用者の本部組合費については、左記の計算方式が適用されます。
 一般会計分=本俸×1・1%+420円、救援資金特別会計分=30円、専従役員補償特別会計分=90円の総合計

第3号議案
規約改正を採択
ブロック機関を明記

 杉浦書記長が第3議案「全厚生職員労働組合及び全厚生労働組合の規約改正(案)」について報告。これまで東海、近畿、四国の各ブロックは、支部間で交流し、幅広い活動を行ってきました。この機能を規約上も明確に位置づけ、ブロック機関(名称=地方協議会)として活動するために、規約11条〜13条を改正することを提案。特に、社会保険庁改革の中で、各県に設置されている地方社会保険事務局がブロック単位に集約されることから、基本的な労働条件を決める労使関係でも、ブロック機関としての活動を重視することが重要になっていると提案理由を説明しました。第3号議案は、大会最終日、全会一致で可決されました。

来賓あいさつ
 大会では次の各氏が来賓挨拶しました。
 ○国公労連・福田委員長 アメリカと財界の意のままに国民の生きる権利をビジネスにする政府に怒り。国公職場で一人の仲間の首切りも許さないたたかいを頑張る。
 ○全医労・北川委員長 社会保障に対する強烈な逆風のなか、高度専門医療センターも2010年に独法化される。国民のための医療・社会保障を守っていく決意。
 ○日本共産党・高橋衆議院議員 政府は9条と25条を亡きものにしようとしている。幅広い共同で守ろう。国民の年金を守り公務破壊を許さないたたかいは国民の利益も守る。ともに頑張ろう。

メッセージに感謝
 第70回定期大会にメッセージをいただいた労働組合、団体は次のとおりです。(順不同)
 全国労働組合総連合、公務労組連絡会、健康保険病院労働組合、日本出版労働組合連合会、総理府労働組合連合会、全労働省労働組合、全法務省労働組合、全国税関労働組合、全国税労働組合、全経済産業労働組合、全運輸労働組合、全運輸省港湾建設労働組合、全司法労働組合、全建労労働組合、全気象労働組合、全国労災病院労働組合
 国公共済会、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)、中央社会保障推進協議会、全日本民主医療機関連合会、原水爆禁止日本協議会、全国保険医団体連合会、行財政総合研究所、非核の政府を求める会常任世話人会、安保破棄中央実行委員会、新日本婦人の会、全国商工団体連合会、全国生活と健康を守る会連合会、日本国民救援会、中央労働金庫霞ヶ関支店、株式会社きかんし 

誇りが持てる厚生行政の実現を
本省庁・研究機関・福祉施設・社会保険すべての部門から発言
 大会の討論は、16日と17日に行われ、のべ41人の代議員が発言をしました。討論の特徴をリポートします。

本省庁
恒常的残業なくせ
公務労働の原点は憲法

 本省庁支部からは、3人が発言。厳しい職場実態とともに、改善への提起が行われました。
 代議員(統計支部)は、統計情報部では全ての指定統計について、平成19年度までに市場化テスト・民間開放実施計画が策定されようとしている。「官から民へ」の攻撃をはね返すため、憲法こそ公務労働の原点であることの勉強会の開催や学習資料の作成を。代議員(業務センター支部)は、安全配慮義務違反を問い、9年間闘った横森過労自殺裁判が2月10日に和解成立。たたかいの中で、健康・安全管理委員会を設置させた。現状は、職員の7%が長期病気休職中。対策強化が求められる。代議員(本省支部)は、残業アンケートや定時退庁の呼びかけなどの取り組み、女性対策部や青年対策の取り組みを紹介。勤務時間の縮減と事務補佐員の処遇改善を国公労連規模で行って欲しいと発言しました。
 青年・女性からは3人が発言しました。
 青年活動では、10月6日から3日間、東京で開催する全厚生青年交流集会について、代議員(京都支部)と代議員(業務センター支部)から、成功にむけて協力の訴えがありました。
 女性部からは、代議員(国リハ支部)が、活動報告と11月18日の第11回総会の成功を訴えました。

研究機関
研究環境を守れ
ガイドライン作成でパワハラ防止

 研究機関支部からは、5人が発言しました。
 代議員(ハ病研支部)は、新たな試験研究機関連絡協議会で、ゆるやかな支部間交流から始め、恒常的な政策研究や要求を運動に発展させてはどうか。代議員(感染研支部)は、支部では、パワーハラスメント対策のガイドライン作成を要求し、実現した。効果は明らかで、組合員より職場の雰囲気が改善したとの報告があったことを紹介し、各職場での作成を呼びかけました。
 独立行政法人の支部からも発言。代議員(栄研支部)は、栄研は、4月から非公務員型となった。部長ー室長制から、プログラムープロジェクト制に移行した際、実質的な降格のような人事があった。代議員(基盤研支部)は、基盤研の行政的な役割が未だに確立されない。研究者を自由に切り捨てられるプロジェクト中心の研究所なので、成績が悪いという評価で、1つのプロジェクトが打ち切られようとしている。代議員(基盤研支部)は、筑波学研労協にオブザーバー参加を果たした薬用植物センター、霊長類センターの組合員から様々な情報がもたらされ、支部も多いに触発された。頑張りたいと発言しました。

福祉施設
自立支援法許せない
障害者の立場に立つ施設に

 福祉部門支部からは7人が発言。「障害者自立支援法」についての意見が多く出されました。
 代議員(神戸支部)は、自立支援法がこんなに人権無視の法律になるとは思わなかった。さらに改悪される可能性があり、厚社連として、反対の意思表示をしたい。代議員(塩原支部)は、利用者の中には費用負担に耐え切れず退所してしまう人や、入所を断念するケースも出ている。現場にいる者だからこそ痛切に感じるこの法律の不条理を広く訴えていこう。
 代議員(国リハ支部)は、自立支援法は、生活保護基準以下の処遇方針。施設そのものが存続できなくなり、弱小施設が切り捨てられていく内容。代議員(函館支部)は、支部は自主的な勉強会を昨年から実施。公務員純減など厳しい情勢のもと、施設は民間同様の扱いとなり、ますます厳しくなるが、国立施設を守っていきたいと発言しました。
 支部活動についての発言もありました。代議員(福岡支部)は、「かたらせて」を発行することで、職場のコミュニケーションがとれたことを紹介。代議員(秩父学園支部)は、支部では、未組合員も参加して、支部組合結成・秩父団結破壊事件当時を中心に学習会を開催した。代議員(国リハ支部)は、組合を引っ張ってきた先輩が、定年を迎えつつあり、後継問題は大きな課題。自立支援法の問題でおかしいことはおかしいともの申すことが大切だし、組合活動の基本と発言しました。

社会保険
国民の社会保障守れ
雇用継承に全力を

 社会保険部門支部からは23人が発言しました。
 保険料免除問題に関連しては、次のような発言がありました。
 代議員(大阪支部)は、組合員の「納得いかない」「給与自主返納は新組織移行に影響するのか」との疑問、怒り、不安に答えていかなければならない。代議員(香川県支部)は、自主返納について、寄付なら名はいらないのではないか。代議員(大分県支部)は、自主返納に対する不安、国民の年金に対する不信の増大、どう対応していったら良いか。代議員(愛媛県支部)は、不適切な国民年金免除問題で、休日返上で連日深夜まで何ヶ月も対応し、職員の負担は大きかった。自主返納は全職員無記名でやるべき。代議員(大阪支部)は、庁は、免除処理問題を、08年10月の新組織への移行を彼らの意のままに進めるため、有効に活用しようとしている。国民に事の真相を明らかにしなければならない。国民の思いは、年金制度の改革。全厚生が制度改革の先頭に立って、たたかうことが求めらると強調。
 代議員(京都支部)は、今年4月、閲覧処分問題で、非常勤職員が多く雇い止めされたが、人事院に不服申し立てをした場合も「雇い止め」そのものは審査請求の対象とならない。非常勤職員へ何らかの対応が必要ではないかと発言。
 導入された新しい評価制度ついての発言もありました。
 代議員(京都支部)は、今後、一般職員も評価の対象となり、隣の課が大変でも、自分の評価を上げることに必死で、手伝うことが出来ない。これでは職場は崩壊する。この評価制度は、一刻も早く廃止を。
 代議員(愛知県支部)は、第一次評価者として部下の人事評価を行った。改めて人事評価の難しさを痛感したと同時に、こんないい加減なものでいいのかという疑問が生じた。これを、新組織移行のための判断基準に使われてはたまらない。基準策定や苦情処理などの制度設計の仕組みを作らせよう。
 社会保険庁「改革」についての意見も出ました。
 代議員(神奈川県支部)は、政府は、福祉・年金をめぐる悪の根元が、社会保険職員にあるような世論を作り、国民の不満をかわしている。年金制度が国民にとって魅力のないものであれば「改革」などできない。代議員(静岡県支部)は、庁一括管理で職員の欠員が不補充となっているが、補充をして欲しい。代議員(秋田県支部)は、健康保険の都道府県単位財政運営に向けた業務集約化に伴う混乱について発言。代議員(神奈川県支部)は、新たな業務や制度で、実施直前の通知通達で職員の知らないうちにマスコミ発表〜こんな行政運営はおかしい。代議員(岐阜県支部)は、庁「改革」の影響で、組織・業務の変更が十分な検討期間がないままにすすめられている。青年層の退職が続く。でも、負けない!
 支部の取り組みの紹介や活動の提案、今後の決意もありました。
 代議員(愛知県支部)は、情報収集の必要性と伝達の速報性を重視した活動について発言。代議員(岐阜県支部)は、友好的な団体・労働組合に、全厚生新聞や資料を送り、全厚生のたたかいや職場の現状をわかってもらい、支援をお願いしている。代議員(滋賀県支部)は、組合員の不安、不満が増大しているが、「要求で団結」していく。力を合わせてがんばる。代議員(神奈川県支部)は、不安や不満は、逆に組合としては、絶好のチャンス。組合活動をアピールし、組織の拡大強化につなげたい。代議員(神奈川県支部)は、社会保険庁「改革」と支部運動について発言。今後、社会保障講師団を結成し、外に訴えていく、と力強く発言。代議員(神奈川県支部)は、庁「改革」に対しての署名行動の必要性を感じる。代議員(愛知県支部)は、悪政に対する国民的な運動を再構築するため、労働運動の役割は大切。全労連が提起している「もうひとつの日本」を作っていくため、地域に打って出ることがきわめて重要。代議員(岐阜県支部)は、今の報道はおかしい。事実が伝えられていない。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」を胸に刻んで、これからもガンバる。代議員(滋賀県支部)は弱い立場にある労働者を守れるのは労働組合しかない。これからの2年間が勝負。
 代議員(愛知県支部)は、マスコミが書かない本質を見抜いていくことが大切。規制改革はすべて、アメリカの年次改革要望書に書かれており、アメリカの要望に日本が応じたもの。憲法9条、教育基本法を改悪させてはならないと発言しました。

総括答弁
社会保障を守ろう
「要求で団結」を基本に

 最終日、杉下委員長が総括答弁を行いました。
 討論での発言者は41人。小泉構造改革が公務職場に、社会保障、社会福祉に重大な状況をつくり出していることが具体的事実で明らかにされた。 「要求で団結を」の発言がされたが、活動と団結の基本に、職場実態をふまえた要求をしっかりすえ、組合員を主人公にした活動が重要である。
 また、「国民とともに」の活動において、国民世論へのはたらきかけには、まず、自らが学び成長することが求められている。学習が重要であり、例えば、全労連作成の『もうひとつの日本を!』(DVD)の活用など、組織として重視して取り組みたい。
 福祉支部からは、障害者自立支援法の問題点が多く語られ明らかにされた。情報の共有と問題点、課題を整理し、真に障害者の自立に結びつく法律に発展させるよう力をつくす。
 社会保険からは、雇用・身分保障への不安がこもごも語られたが、このことはしっかりふまえ、関係法令の学習など、確信をもってたたかいを進め、不当な攻撃を許すことなく、全員の雇用に全力をあげたい、と決意を込めて答弁を締めくくりました。

雇用破壊を許さず、国民本位の 社会保険行政の確立をめざす決議

 いま、社会保障の連続改悪と軌を一にして社会保険庁「改革」が強行されようとしている。政府の肝いりで、損保ジャパンの副社長を社会保険庁長官に据えた「改革」は、「組織改革」「業務改革」「意識改革」からなり、公務破壊のトップランナーという異常な役割を担わされている。
 「組織改革」は、2008年10月をめどに行う社会保険庁の解体・再編であり、「業務改革」は、国民年金保険料の収納率改善を最大のテーマとして、国民や年金受給者を「お客様」に見立て、顧客サービスの向上をめざす様々な取り組みであり、「意識改革」は、目標管理制度を軸とする新たな人事評価制度の本格実施である。このことからも明らかなように、「改革」の中心に職員の意識改革や人事管理の民間化がおかれ、国民の立場に立った社会保障の充実の視点が全く欠如している点に特徴がある。
 「組織改革」とあわせ、雇用問題の発生が懸念される事態がすすんでいることも見逃せない。新組織への職員の移行に際して、「職員の引き継ぎ規定」は設けられていない。公法人となる「全国健康保険協会」の採用には、差別・選別を可能にする枠組みが設けられ、民間からの積極的な採用すらうたわれている。
 社会保険庁を引き継ぐ「ねんきん事業機構」では、国家公務員法の規定以外にも「厳正な服務の宣誓」が職員に求められ、この間の一連の処分を重視した採用も検討されている。 さらに、「ねんきん事業機構」に採用されない職員には、国家公務員法第78条の分限免職さえ検討していることは重大である。雇用不安をあおり、「命令と服従」の人事管理を強要しては、公正な社会保険行政を維持することは到底できない。この行政運営の異常な姿勢を改めさせなければならない。
 多くの国民の願いは、老後が安心して暮らせる年金制度や安心して受けられる医療制度の確立であり、職員に国民年金の収納率改善競争を強いるための「改革」ではない。
 社会保険庁には、問題となった国民年金の不適正な事務処理が、ノルマと競争を現場に押しつけた結果であることへの反省こそが今、求められているのである。
 秋の臨時国会では、継続審議になっている「ねんきん事業機構法案」の審議が行われる。 職員の雇用や改革方向を決定づける重要なたたかいの場となる。全厚生は、社会保険庁「改革」のねらいと本質を国民の中に明らかにするために奮闘する。雇用破壊、社会保障解体を許さず、国民の願う社会保険行政の確立のために全力をあげて奮闘するものである。
 以上、決議する。
2006年9月17日
全厚生第70回定期大会

憲法改悪に反対する決議

 日本は今、かつてないほど重大な岐路に直面しています。「先制攻撃」戦略に日本の自衛隊を組み入れたいアメリカ・ブッシュ政権や、海外で多国籍企業を展開する財界・大企業は、自衛隊をいつでも海外へ出動できるよう政府・自民党に憲法改正を要請しています。こうした要請をうけ、自民党が昨年11月に発表した「新憲法草案」では、憲法第9条を改悪し、日本を「戦争しない国」から「戦争する国」へ大転換させようとしています。
 9月末に開会される臨時国会では、先の通常国会で継続審議となった教育基本法改正案や、国民投票の手続きと国会の改憲発議の手続き法、「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰改正法案、防衛庁の省への格上げなどなどさまざまな悪法が審議されようとしています。次期首相の最有力者である安倍官房長官は、憲法改正と教育改革を政権公約に掲げ、憲法改正を5年以内におこなうと明言するなど、この国のあり方を根底から覆えす動きが急速に強まっています。
 世界の人々の願いは、戦争も核兵器も貧困もなく、平和に豊かで平等に生きることです。日本国憲法は、二度の世界大戦で学んだ、戦争の悲惨さ・残酷さを教訓に、戦争を違法とする世界の流れと、平和と民主主義を求める日本国民の願いによって生み出された宝物です。とくに第9条で掲げた「戦争の放棄、戦力の不保持・交戦権の否認」は21世紀の平和の理念として光り輝いています。
 この世界に誇る憲法を守り、発展させようと日本の良心を代表する著名9氏の呼びかけで発足された「9条の会」は、全国の職場・地域で次々と結成、その数は五千を超え過半数世論を結集するため奮闘しています。戦争と社会保障は相容れません。全厚生は国公労連が提起している「職場9条の会」を発足させ、国民の生活と権利をまもり、戦争をしない国であり続けるため、地域や職場から憲法改悪反対の声を上げ全力でたたかいます。
 以上、決議します。
2006年9月17日
全厚生第70回定期大会

要求実現の先頭に2006年度執行体制
力を合わせみなさんとともにがんばります。
中央執行委員長(再) 書記局 杉下茂雄
中央執行副委員長(再) 感染研 伊藤健一郎
中央執行副委員長(新) 書記局 杉浦公一
中央執行副委員長(再) 国立リハ 鈴木徹
中央執行副委員長(再) 統計 三角美智子
書記長(新) 神奈川県 飯塚勇
書記次長(再) 神奈川県 福士広志
中央執行委員(新) 函館 泉徹
中央執行委員(再) 滋賀県 木瀬知彦
中央執行委員(再) 業務センター 木立圭子
中央執行委員(再) 大阪 倉橋忠司
中央執行委員(新) 国立リハ 小出千鶴子
中央執行委員(新) 秋田県 高階聡
中央執行委員(再) 本省 田口雅之
中央執行委員(再) 愛知県 深沢英二
中央執行委員(新) 業務センター 峰一史
中央執行委員(再) 京都 山本潔
中央執行委員(再) 愛媛県 横田慎二
特別中央執行委員(再) 業務センター 北畠弥生
会計監事(新) 秩父学園 秋山佳秀
会計監事(新) 統計 佐藤惠治
書記 近藤浩美
書記 西田志緒

手と手と手と…繋いで… 仲間がいっぱい
全厚生結成60周年記念レセプション
 全厚生は1946年4月20日に、前身である厚生省職員組合が結成されてから今年で60周年。大会初日の15日、内外から120人の参加で、記念レセプションを開催しました。OBの挨拶、来賓の「構造改革でズタズタになった社会保障を一緒に立て直していこう」との挨拶に心温まり、歴史を振り返りながら、歌声喫茶「ともしび」の歌声で盛り上がりました。

退任されたみなさん
長い間お疲れ様でした。
 今大会で、中央執行委員の今井進さん、斉藤史明さん、宮田健一さん、会計監事の服部和夫さん、花田正春さんが退任されました。
 中執を7期務めた今井さんは、「障害者自立支援法のもとで、今まで積み上げてきた福祉の水準が切り下げられないよう、真の障害者の自立をめざし支部で頑張りたい」。専従中執を3期務めた宮田さんは、「福祉部門の担当、障害者団体との交流、中央メーデー、ニューヨークなど良い経験を積んだ。支部役員として頑張る」と挨拶しました。

機関紙が組合の姿を伝え仲間を励ます
第19回全厚生機関紙フェスティバル
 大会初日、19回目を迎えた恒例の機関紙フェスティバルの表彰式を行いました。飯塚副委員長が参加機関紙全体についての講評と結果の報告を行い、杉下委員長が金賞と銀賞を受賞した支部、専門部の代表者へ賞状と副賞を手渡しました。
 飯塚副委員長は、11支部14機関紙の参加があったことを紹介し、「応募機関紙は減少したが、職場の状況がますます厳しくなる中で、これだけの支部が発行を続けていたことに、感動し、本当にたいへんな状況のもとでの機関紙発行であったことを改めて感じさせられた。支部で要求を掲げ、交渉や申し入れなど、たたかう姿が伝わる」と述べました。
 受賞機関紙は次の通りです。
 〈金賞〉 本省支部「夜明け」、統計支部「執行委員会ニュース」、国立衛研支部「衛研支部ニュース」、函館支部「イカ労メールニュース」、国立リハ支部「組合員通信メール版」「かるがも」、福岡支部「かたらせて」、神奈川県支部「週刊保険」「書記長情報」 、愛知県支部「こぶし」「支部だより」、秋田県支部青年部「とらい」
 〈銀賞〉 業務センター支部「支部ニュース」、秩父学園支部「秩父学園支部ニュース」、京都支部「社保ニュース」

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