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◆第1654号(2006年7月15日付)◆


研究機関は国立で責任もって運営を
厚生科学課長と交渉
 全厚生は7月11日、大臣官房厚生科学課と試験研究機関の重点要求にもとづき交渉を実施。交渉には全厚生から、杉下委員長、伊藤・飯塚各副委員長、杉浦書記長、福士書記次長、宮田中執及び、感染研支部、国衛研支部、ハ病研支部、基盤研支部の代表計10人が出席。厚生科学課からは、安達課長、林研究企画官、大橋総括補佐、藤谷補佐が対応しました。
 冒頭、杉下委員長が重点要求の趣旨を説明し、誠意ある対応を求めたのに対し、安達課長が一括して回答。国立試験研究機関について、国が責任をもって運営し、独立行政法人化を行わないことを要求したのに対し、「@政策研究所、A公務員の研修機関、B緊急時に国の責任において直接実施すべき健康危機管理を担っている、等の理由により独立行政法人化されなかったものであり、現在でもその状況に変化はないものと考えている」と回答。国立保健医療科学院の教育研修の課題では、各機関・研究者との協力体制をはじめ、充分な体制確保を要求。これに対し、「厚生科学課、科学院、国衛研、感染研等から組織する『国立保健医療科学院教育研修運営協議会』を設置し、当該コースの講師派遣等の調整を行っている」と説明。「今後も関係機関の過度の負担にならないよう配慮しつつ、必要な研修体制を確保していきたい」と回答しました。

独法研究機関の労働条件確保を

 老朽化している研究施設について、予算要求を優先して行い、安心して研究できる環境を整えることを要求。これに対し、「国衛研の施設が全体的に老朽化している状況はよく承知している。移転までの間の研究機能を維持するために必要な改造・改修に要する経費については、積極的に対応したい」と回答。独立行政法人の研究・労働条件を確保する課題では、医薬基盤研究所での条件整備を強く要求。これに対し、「独立行政法人の労働条件は、各法人の理事長の責任において決定されるべきもの」と説明。その上で、「各法人を所管する立場から、安心して研究活動等に従事できる研究、労働条件を確保できるよう、法人運営に係わる必要な指導、助言を行っていきたい」と回答。感染症研究所ハンセン病研究センターの必要な定員確保(回復)の要求では、「定員について、業務量等を勘案し、不都合が生じることのないよう努力したい」と回答。運営の独立性を確保する要求では、「『ハンセン病研究センター運営委員会』が設置されている。機会を捉えて委員会を開催したいと考えている」と回答。
 感染症法改正の下で、新興再興感染症など、感染症を取り扱う研究公務員の業務の責任や困難性に対応した処遇(手当支給)改善を要求したのに対し、「公務員全体の中で検討されるべき事項。感染症対策の対応のための新たな手当制度を創設することは困難と思われるが、手当の支給が妥当であると各研究機関から要望があれば、人事課に依頼したい」と回答。研究所に勤務する非常勤職員の業務や技能を適正に評価し、賃金・処遇を改善する要求に対しては、「非常勤職員については、各研究機関の運営において実情に応じた役割を担っていると認識している。賃金・処遇は、常勤との均衡を考慮しつつ、各研究機関の実情に応じた適正な対応がなされていると考えている」と回答。

パワ・ハラ防止の指針策定を

 個人の尊厳を傷つける人権侵害行為であるパワー・ハラスメントを防止するための指針を示すなど、具体的な対策をすすめることを要求。これに対しては、「お互いの人格を認め、良好な人間関係を保てるような職場環境を整えることが重要であると認識している。今後、人事課が機会を捉え、『指針』の作成等を人事院に対して要望していくと聞いている」と回答しました。

リレーずいそう
●「セイバー」の機能
 自宅と職場の机の上に、とてもカワイイ児が。電源を入れしばらくすると・・1歳半になる孫の「スクリーンセイバー」です。名前は、瀬奈(せな)と言います。長男の子で、毎月はるばる岡山から明石へ来てくれます。とても嬉しいのです。
 最近、初めてカメラ付携帯を持ちました。孫を撮りたいため、蛸釣りや、喫茶店でも、練習しています。人は余り撮りません。風景や花です。
 テレビCMで、オノヨーコさんが、「フォト・イズ・ピース」とメッセージを送っていたのが耳に残っています。劣化ウランは恐ろしい。忘れてしまうことは、なお恐ろしい、と連想してしまうのは私だけでしょうか?
 蛸釣りをしていても、中国大陸からの黄砂が淡路島の上にかかっているのを見ることがあります。大陸中央部の砂漠化が進んで、環境破壊が起こっていると聞きました。
 セイバーは、『世話』と言う意味の古代インドのサンスクリット語が語源で、また『横』と言う意味もあるそうです。世話をする人も、世話を受ける人も同等の立場であることを意味しています。「愛国心」を押し付ける国は、国民をどのように見ているのでしょうか。
 神戸支部では、7月9日に平和行進をします。子供たちの心に『九条』がセイバーとして機能しますように、と願いながら歩こうと思います・・。
(神戸支部 組合員)

News
仕事と家族的責任の両立支援を
7・14人事院要求行動で訴え

 7月1日から新勤務時間が実施される中、家族的責任のある職員に対する制度・職場環境整備にかかわる要求や短時間勤務制度の導入などの課題で、国公労連女性協・青年協は7月14日、人事院前昼休み要求行動を実施。(写真上)全厚生は統計支部と本部から21人が参加しました。宣伝カーの上からは、全厚生女性部事務局長の木立さんが、子どもを祖父母に預けて深夜まで働くなどの生々しい労働実態を紹介しながら、所定内労働時間の短縮や超過勤務の縮減措置など、子育てや介護など家族的責任のある職員が働きやすい環境と制度の充実を求めました。その後の人事院交渉、総務省交渉には、東海ブロック国公から愛知県支部の杉崎さんも出席。社会保険職場の実態を紹介し、休息時間廃止に伴う勤務時間の延長は職員の健康を阻害すると勤務時間短縮への改善を訴えました。

米軍原子力空母の配備反対
7・9首都圏大集会in横須賀に3万人

 米軍原子力空母を配備させるな!米軍再編強化反対!などのスローガンを掲げた「7・9首都圏大集会in横須賀」が、7月9日横須賀市で開催され3万人が参加。(写真上)全厚生も地元神奈川県支部はじめ、業務センターやリハ支部、OBなど9人が参加しました。集会では、原子力空母の危険性や米軍基地の再編強化に対する反対運動の跳躍台にしていくことを確認。米軍基地正面に向かう2つのデモコースで「原子力空母の配備反対」、「米軍再編『合意』を撤回しろ」などの思いをアピールしました。

定員、人勧、社保庁問題で交渉
厚生共闘 夏期要求で人事課長に回答求める
 厚生共闘(全厚生・全医労)は7月7日、先に官房長へ提出していた夏期闘争要求で大臣官房人事課長と回答交渉を行いました。交渉には北川議長、杉下副議長以下役員が、厚労省当局からは、木倉人事課長、渡延参事官らが出席しました。

必要な定員確保に努力する

 北川議長は、「5年間5%以上の純減」をうたった行革推進法が成立したが、日本は先進諸国のなかでも、人口比、人件費比率でも既に「小さな政府」となっている。これ以上の減員は行政サービスの面からも、また、職員の労働条件から見ても限界を超えている。本省庁の異常な実態の改善や、高度専門医療センターの人員増は急務の課題である、と増員の必要性を強調しました。
 これに対し人事課長は、定員純減では雇用調整対策本部の設置などもあり、職員に不安を与えないように対応していきたい。少子高齢化の中で医療・年金・介護・雇用などに対応する役所として安全・安心の立場からの行財政の確立に向けて困難ではあるが、必要な定員の確保に引き続き努力していく、と基本的な考え方を明らかにしました。
 比較対象企業規模が50人以上に引き下げられた、民間給与実態調査を反映するかどうかが焦点になっている今年の人事院勧告について北川議長は、賃金改善は生活向上の基本であり、また公務労働者以外にも与える影響が大きいことなどから、反映させないように人事院に申し入れることを要求しました。
 人事課長は、従来からも慎重な対応を求めてきた。社会全体への影響や人材確保などの観点からも議論を尽くしてほしいことを申し入れていきたいと回答しました。

組織のあり方が問われている

 社会保険庁を巡る新たな状況の中で議長は、社保庁だけではなく社会全体の問題でもあり、重大な関心を持っている。マスコミのセンセーショナルな報道姿勢については極めて問題があると考える。選別採用や労働条件の不利益変更などを許さず、雇用に万全の対策を取るべきだと基本的立場を表明しました。
 人事課長は、職員の努力は受止めているが、きちんと調査しどう改善したら信頼を回復することができるのか組織のあり方が問われている。厳しいが歯を食いしばり努力していくことが大事である、と回答しました。
 これらに対し議長は、特に免除問題については、不正には厳格な対処が必要であるが、個人の思惑だけで生じたものではなくいろんなケースがあると聞いている。慎重な対応を求めたいことを強調しました。

愛媛県
組合員を守り闘う
第40回支部定期大会開催
 7月1日、ウエルサンピア伊予で第40回愛媛県支部定期大会を開催しました。全厚生本部杉下中央執行委員長はじめ来賓が情勢報告や祝辞を述べた後、40人の代議員が参加して議論が行われ、議案全てが無事採択されました。
 「国民年金不正免除問題」のあおりを受け、通常国会で、「ねんきん事業機構法案」は継続審議となりましたが、「行政改革推進法案」など行革関連5法案は可決されるなど状況は悪化しています。そうした情勢を受け、討議では労働組合の弱体化、将来の組織と身分への不安を訴える発言が多くありました。しかし、杉下中央執行委員長が本部の「組合員を守るため闘う」姿勢を改めて示したことで、代議員一同組合の存在意義を再認識し、団結を強める気持ちを強く持てたように感じました。組合員一人ひとりが自覚を持って問題に真剣に取り組み、働きがいのある職場を目指して奮闘できるよう執行部として頑張りたいと思います。
(三好書記長)

第19回全厚生機関紙フェスティバル参加紙募集
 支部・分会の教宣活動を応援する「第19回全厚生機関紙フェスティバル」を開催します。みなさん、ふるってご応募下さい。
 支部・分会・専門部で2005年8月から2006年7月までの間に発行した機関紙、およびメール配信されたニュース、ホームぺージに掲載されたニュースが対象です。参加申し込み書(各支部に送付)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。メールニュースの場合は全厚生のアドレスに送信してください。ホームぺージの場合は、URLをお知らせ下さい。8月4日(金)本部必着です。

障害者自立支援法施行後の国立施設の実態(連載8)
今のところ大きな混乱はないが…。
国立伊東重度障害者センター

 当センターでは平成18年7月3日現在54名、主に頚髄損傷(首から下の運動・感覚機能障害、排泄・生殖機能障害)者が入所しています。入所者数(定員は100名)の減少については、平成14年7月から全居室の改修工事を行い、その間入所制限をしていたことが契機となっています。当初65名いた入所者は、約8ヶ月後の平成15年3月には20名減少して45名となってしまいました。さらに、平成15年4月からは措置制度から契約制度に移行したことにより、入所期間も5年間から3年間に短縮したことが影響しました。客観的なデータは出していませんが、在所期間が短縮してきているように思います。

大きな混乱もなく新法に移行中

 こうした状況もあり、入所者が減る(もともと訓練が必要な人しかいない)こともなく、この4月からは収入に応じた応能負担から定率負担(減免措置があるものの食費・水道光熱費の負担を含む)となったものの、大きな混乱もなく新法に移行しはじめています。もちろん、幹部職員の対応もよく、職員向け・入所者向けの全体説明会が今年に入って3回実施し、さらに入所者へも指導課職員(生活支援専門職=病院でいうところのソーシャルワーカー)が個別に良く対応した成果でもあります。

食事提供に関する委員会で検討

 また、一番身近な問題である食事については、食事提供に関する委員会を立ち上げ、@栄養指導のあり方A複数メニュー方式の推進と調理体制(治療食・特別食を含む)B摂食介助サービスの具体的な内容の確認と整理C喫食数の正確な把握体制の確保の4つの作業班を置き検討しています。このことも混乱を少なくすることに貢献していると思います。ただし、これも自立支援法以前からもともと欠食する入所者が多かったという実態があります。
 以上のように、当センターでの自立支援法の影響は、今のところ定率負担の導入で入所者の費用負担が増え、指導課職員の事務量が増加したが、あまりその他の職員に大きな影響がないと言えそうです。

入所期間が短縮され、質の向上が必要

 今後は10月1日の本格施行されることに伴い、@施設自体が県の指定障害福祉サービス事業者の指定(自立訓練と施設入所支援)を受けなければならない、A標準利用期間が18ヶ月(市町村審査会の個別審査で必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新が原則1回できる)と短縮されます。これらについても、大きく現在のサービスが変わることはなく、利用者の費用負担と指導課職員を中心とした事務量が増えるだけと考えられます。今我々にできることは、指導課職員の事務が効率的にできるような協力をしていくことだと思います。もちろん、入所期間が短縮された訳ですから、自立訓練サービスの質をさらに向上させる努力が必要であることは言うまでもありませんし、もし自立支援法に不備があれば改善する働きかけをしなければなりません。
(伊東支部 支部長)

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