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◆第1653号(2006年7月5日付)◆


定員純減、賃金引き下げやめよ
厚生共闘、官房長と夏期闘争要求で交渉
 厚生共闘(全厚生・全医労)は6月22日、夏期闘争要求で官房長交渉を実施しました。交渉には北川議長、杉下副議長他4名の役員が出席、厚労省当局からは阿曽沼官房長、木倉人事課長、渡延参事官らが出席しました。

社保庁職員の雇用確保を
 北川議長は、(1)「行革関連法」が成立した中で、今後、5年間5%以上の純減方策や「雇用調整本部」の設置など、具体的な問題に入ることが予想される。職場では、連年の定員削減により、業務遂行上必要不可欠な要員の確保さえ困難になり、最低限の労働条件の維持も困難になっている。本省庁の恒常的な長時間残業は周知のところだが、福祉施設、試験研究機関、高度専門医療センターにおいても長時間残業が当たり前の状況になっている。業務量に見合った人員配置は、どの職場でも切実な課題となっている(2)人事院勧告は、職員や家族の生活改善だけではなく、地方公務員をはじめ私立学校や民間病院など公務・公共業務に従事する730万人の賃金にも影響を与える。今年は民間給与実態調査に当たり、私たちの反対を押し切って、調査対象規模を100人以上から50人以上に拡大した。今年の人事院勧告にあたり、100人未満の比較対象企業の調査結果を反映しないよう、人事院に要請していただきたい(3)社会保険庁改革として、年金と医療保険に、その実施主体が分離されることとなり、新組織への移行において、社会保険職員の雇用が重大な問題となっている。雇用の問題はいうまでもなく、労働者の生活保障の基本の問題である。公務員の雇用問題は、「国家公務員の5%純減」との係わりで問題となっているが、政府としてはそれなりの対応措置を行うことが確認されている。これは当然のことであり、「社会保険庁は特別」などと、全体との公平性・均衡を欠くことは許されない。雇用行政に責任を負っている厚生労働省として、雇用不安をきたすことのないよう努力していただきたい、と3点にわたって申し入れを行いました。
 これに対し官房長は、詳細については改めて人事課長より回答するが、(1)行政改革推進法の成立など定員事情は厳しい状況にある。困難な面も多いが、国民の安心と生活の安定を支える厚生労働行政のためには、体制整備は非常に重要であると認識しており、今後も最大限の努力をしていく(2)国民に良質なサービスを提供するための人材確保という観点からも人事院に対して機会を捉えて申し入れていきたい(3)継続審議となった「ねんきん事業機構法案」の審議状況などを踏まえながら、今回の事案も含めた不祥事における処分の状況等を勘案しながら、対処していくものと承知している、とコメントしました。
 北川議長は、「社会保険庁問題については、労働基本権が保障されていない中、国家公務員法や人事院規則などを基本に職員の雇用・利益確保に使用者として万全を期すべきである」と再度申し入れました。官房長は、「社会保険庁に対しては国民の意識も含め多くの声がある。重要性は理解しているが立法府の審議なども見ながら組織的な問題としても検討する必要がある」との認識を示しました。

シンポジウム
社会保障・年金制度の今を考える
保険料免除問題はなぜおきたのか
日時 7月25日(火)PM4:00〜PM7:00
場所 星陵会館(千代田区永田町2-16-2)
  **シンポジスト***
   国学院大学教授 小越 洋之助 氏
   専修大学教授  唐鎌 直義 氏
   全厚生副委員長 飯塚 勇 氏
  **コーディネーター***
   国公労連書記長 小田川 義和 氏
主催 国公労連、厚生共闘(全医労、全厚生)

リレーずいそう
●今 思うこと
 私は、いま国民年金の課長(業務次長)をしています。
 私は「国民年金制度は、国民皆年金の一番の底辺として位置づけられている」と考えていました。何といっても、国民年金法の第1条に「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する・・」と記され、憲法に基づく国民生活(生存権)の「向上及び増進」させる「行政」の砦と思っていたからです。でも、今は、何か違うと思えてなりません。いつから、変わってしまったんだろう。あの「百年安心」で強行した2004年6月の「年金の大改悪」から、それとも、実際は、ずっと前から。そもそも、国民年金の仕事は、生活や収入が一番不安定で目の前の日々の生活がかかっている人に、「将来の年金」について話をし、やっとの思いで理解をしてもらい「納付」や「免除制度」によって、「個人の年金権を確保する」ことだと思っていました。それが、いつの間にか「国民の年金権確保」から「納付率向上、必達」「免除率改善幅の目標達成」へと変わってきました。月ごとの会議、週ごとの報告、日々のメールなど、事あるごとに押し寄せてきます。「何かをしなければ目標に届かない」との思いは、その職にある人は考えたと思いますし、そういう状態に、追い込まれるのです。
 私は、国民年金の職員の一人として、「憲法25条と国民年金法に基づいた、国民誰もが安心して暮らせる年金制度に立ち戻る行政を」「手のひらに憲法と国民年金法を」との思いを強くもって、この難題を乗り越えようと思っています。
(神奈川県支部 組合員)

News
年金・医療制度改善を
中央社保協総会開催される

 中央社会保障推進協議会は6月23日から24日にかけて、第50回総会を熱海市で開催しました。“命の沙汰も金次第”といわれ、日本の公的医療保険制度を根底から崩す「医療制度改悪法案」が、自民・公明与党の強行採決により成立しました。中央社保協は、徹底審議を求め全国各地での宣伝と国会議員要請等を中心に、運動を進めてきました。総会には、全国各地から活動家が結集し、この間の取組みの総括と新たな段階での制度改善に向けた運動の必要性が強調されました。全厚生からは飯塚副委員長が参加し、国民年金保険料納付免除問題の背景や問題点について発言し、安心して暮らせる年金制度の実現に向けて引き続き奮闘する決意を表明しました。

私達を人間として扱って
第5回「非典型」労働者交流集会

 国公労連は6月24日、東京都内で第5回「非典型」労働者交流集会を開催しました。非常勤職員ら34人を含め105人が参加、全厚生からは業務センターと本部役員が参加しました。業務センターの峰支部長は、非常勤の3年雇い止めの問題について発言(写真上)、非常勤職員からは「私たちを人間として扱ってほしい」「通勤費は必要」「有給が10日しかない。生理休暇や病気休暇が欲しい」などの切実な声が出されました。

違法収集の証拠は不採用
世田谷国公法弾圧事件第3回公判

 世田谷国公法弾圧事件第3回公判が6月16日、東京地裁で開かれ80人が傍聴しました。公判では、検察側が起訴状の朗読をし、書証を採用するよう弁護側に求めましたが、弁護人が、違法な逮捕にもとづく違法な捜査によって収集された書証は採用できない、と証拠採用をつっぱね、公判は終了しました。次回公判は、7月20日です。

言論・表現の自由守り無罪勝ち取るまで闘う
国公法弾圧・堀越事件で不当判決
 東京地裁(毛利晴光裁判長)は6月29日、国公法弾圧・堀越事件で罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。
 堀越事件弁護団は、「憲法を踏みにじる不当判決に対し、満身の怒りを込めて抗議する。本日の不当判決に対して控訴し、控訴審において無罪判決をかちとるべく奮闘する」との声明を発表。国公法弾圧を許さず言論・表現の自由を守る会は、「今回の不当判決をはね返し、憲法に保障された言論・表現の自由を守るため、たたかいをさらに広げ無罪を勝ち取るまでたたかいぬくものです」との声明を発表しました。
 国公法弾圧事件は、2004年3月3日、社会保険庁職員で目黒社会保険所で働く堀越明男さんが突然逮捕。国家公務員が休日に、仕事や職場に関係なくビラを配布することが国家公務員法違反の「犯罪」に当たると起訴されたもの。逮捕・起訴を知って、言論・表現の自由への弾圧を許すなの声がわき起こり、「守る会」を結成。27回の公判には延べ2500人が傍聴。全国各地でも守る会を結成し、個人、労働組合、広範な民主団体の支援の下でたたかってきました。全厚生も、国家公務員の政治活動の自由、国民の思想・信条の自由を守り抜くためにに、裁判の傍聴、宣伝行動などに積極的に参加してきました。
 弁護団は、国家公務員の政治的行為を一律、全面的に禁止した国家公務員法と人事院規則の規定は、憲法違反と主張。国公法を「合憲」として憲法学会から強い批判をあびた1974年の猿払(さるふつ)事件最高裁判決を変更するか否かが注目されていました。にもかかわらず、猿払判決の論理を踏襲し、有罪としました。しかし、公務員の政治活動を規制する合理的な理由は何もないことをかえって、浮き彫りにしています。
 判決では、「被告人が、勤務時間外の休日に、職場と離れた自宅周辺の場所において、その職務や職場組織等と関係なく行った行為であり、被告人の本件各行為によってその職場に何らかの悪影響が及んだことはなく、その他弁護人が主張するように、その行為は直ちに行政の中立性とこれに対する国民の信頼を侵害したり、侵害する具体的な危険を発生させたりするものではなかった」と事実認定しました。ならば、無罪であるべきです。さらに、公安警察官が堀越さんを長期にわたって尾行し、盗撮し、プライバシーを侵害する違法な捜査活動こそ、厳しく裁かれなければなりません。

全厚生青年交流集会in東京
第2回実行委員会を開催
2006年10月6日(金)〜8日(日)
テーマは「憲法と平和」
東京大空襲・戦災資料センターを見学

 全厚生青年交流集会実行委員会は、7月1日に都内で第2回実行委員会を行いました。参加は5人と少数でしたが、新たに統計情報支部から参加があるなど、実行委員会メンバーも着実に増えています。今回は、江東区にある東京大空襲・戦災資料センターを見学しました。
 ビデオで東京大空襲について学習した後、館内の展示物を見てまわりました。被災したピアノ、大空襲体験者自身が描いた絵、当時の雑誌など刊行物、手にとって読める教科書、小学校の校長が「死ね!」と子どもたちに教えた文集など、リアルに当時の生活が伝わってきました。さらに大空襲体験者の小川勇さんから、地図やラジオなども交えてお話しを聞きました。
 その後、場所を移して会議を開催。施設見学の感想交流と、青年交流集会の具体的な内容など話し合いました。また宣伝&物品販売として、オリジナルの手ぬぐいを販売することを決定しました!詳細は追ってお伝えしますので、皆さんぜひお買い求めください。 

平和と民主主義守ろう
全厚生退職者会総会を開催
 全厚生退職者会は6月24日に第9回総会を開催しました。
 総会では、全厚生が取り組むメーデーや平和集会などに会員が参加したこと、「国公退職者9条の会」主催の学習会などに会として代表が参加したこと、さらに厚労省職員・宇治橋さんの「世田谷国公法弾圧事件」の裁判傍聴等の支援活動などの活動報告が行われ、そして機関紙による情報交流、生活、平和と民主主義を守る活動、宇治橋さんの裁判勝利の支援などの活動方針が提案され確認されました。
  総会恒例の学習会では、中央社保協・相野谷安孝事務局次長を講師に招き、小泉構造改革、社会保障改悪により格差が拡大し貧困化が加速している実態や医療制度改悪のねらいや内容などについて、学習を深めました。
 また総会には宇治橋さんが出席し、直接、事件の概要、裁判のたたかいについて報告し、あいさつしました。さらに特別報告として、現在大きな問題となっている国民年金免除問題等、社会保険庁改革について、全厚生本部がその背景や状況などを報告しました。
 全厚生本部からは杉下委員長、飯塚副委員長、杉浦書記長が出席しました。

障害者自立支援法施行後の国立施設の実態(連載7)
高負担でリハビリに不安が
国立別府重度障害者センター

 国立別府重度障害者センターでは、現在59名の頸髄損傷者が入所しており社会復帰や家庭復帰等を目指しリハビリに日々励んでいます。

若者に朝食の欠食者が目立つ
 今年の4月から施行された障害者自立支援法は、これまでの低負担から、食費・水道光熱費を含んだ高負担となり、特に食生活において大きな影響となっています。利用者にかかる1日の食費負担は、朝が378円、昼夕が、600円とかなり高額だと思います。特に目立ったのは、朝の食事を欠食する方が多く、若者が目立ちます。カロリーメイト、ウイダーインゼリー等の摂取で間に合わせているようです。他にもパンを買い置きしている中高年者や、昼食は外部からの弁当が多く、夕食はカップラーメンで済ませたりとセンターより安くなる方法を考えているようにみうけられます。
 センターでもそば、海老、卵、牛乳などでアレルギー等の問題がある利用者は食べてはいますが、全体的に食数は減っています。調理師をはじめ、現場の職員は食数の把握や突然の欠食に戸惑う事も度々あります。
 リハビリ施設において、一日の活力である朝に食事を摂らないのは体力的な問題や、貧血、活気、低血糖、排便コントロール等に注意しなければいけない事がおきてきます。これらについて食生活指導を行いますが、やはり金額の問題が大きく、理解してもらうのは困難です。今のところ栄養不足による訓練への影響は出ていませんが、長期になると心配です。

金を払ってるからあたりまえ?
 また、「金を払っているのだから、してもらわないと損」と考える利用者が多くなり、本人のレベルで可能な動作もしない。介助してもらってあたりまえと発言が強く断れないので雑務が多くなったように思います。断れば、すぐに苦情解決委員会に言うような利用者もいます。もちろん、利用者にとって今後も快適な生活、訓練場所であり、個人のニーズにあわせサービスの提供ができ、健康管理に努め支援していきます。職員、利用者ともに意識改革していく必要があると思います。
(別府支部 元副支部長)

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