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◆第1652号(2006年6月25日付)◆


国民年金保険料納付免除問題について(見解)
1 国民年金保険料の納付免除等に係わって、法令に定める手続きに反する不適正な処理が多くの社会保険事務所で行われていたという事実が判明し、重大な問題となっている。社会保険庁が5月29日に発表した「第一次調査報告書」によれば、26都府県100社会保険事務所で不適正な処理がおこなわれ、6月13日の「第2次調査報告書」では、29都道府県110社会保険事務所に拡大している。
 憲法25条に基づく国民の生存権保障の一環でもある社会保険制度への信頼性を担保する土台に、公正・公平な行政運営があり、その点からしても、不適正な処理は決して許されるものではない。
 当該行政機関の職員で組織する労働組合として、行政運営に対する監視と問題提起が十分ではなかったことを自省し、原因の究明と再発防止に努力する決意である。
2 今回の不適正な処理は、全国的に同じ時期に同じように行われたというのが大きな特徴である。それだけに組織的な事情や背景についての徹底した原因解明が、真の再発防止の第一歩と考える。
 現段階で社会保険庁は、「事務所が指導し事務局は不知」「本庁は承知していなかった」などとし、現場や職員に責任を押し付けようとしている。しかし、国会審議やマスコミ報道などでも明らかにされつつある事実や職員の実感からしても、社会保険庁が何にも優先する課題として国民年金保険料の収納率改善を指導しており、その責任の解明は重視されるべきである。
3 この間、社会保険庁及び職員に対しては、一連の不祥事等から国民の厳しい不信と怒りが集中し、業務改革・意識改革・組織改革一体の「社会保険庁改革」が進められてきた。とりわけ、国民年金保険料の収納率改善は、信頼回復の最重要課題であるとされ、現場では、連日の残業や休日出勤が常態化していた。
民間企業から登用された村瀬長官は、昨年11月、「この時期になって言い訳は無用」「実行すべきことは既に決まっている。結果を出すことのみ」と緊急メッセージを発し、社会保険庁は社会保険事務局ごとの具体的な目標を示し、事務局・事務所総動員体制での取組みを指示した事実がある。
4 こうした中で、社会保険事務所ごとの「必達収納率」の設定や「グランプリ制度」の導入をはじめとする競争至上の業務運営が強要された。加えて、2008年10月を目途とした新組織移行の際の職員処遇にかかわって、「職員の引継規定は設けない」、「勤務成績による分限処分」などが社会保険庁当局から明言され、それらのことが職員の重圧となっていた。そのような時期に、長官からの緊急メッセージが発せられた経過は、重大な問題点として率直に指摘しておく。
 多くの民間企業でも、バブル崩壊後の新たな利潤追求策として「成果主義」が導入され、ノルマ追求との関係での様々な違法行為が指摘されている状況にある。職員に重圧と感じさせる過酷な「ノルマ主義」が、業務運営のゆがみとなって露呈するのは官民を問わない矛盾であると考える。
5 国民年金の収納率は1992年度を境に年々低下し、2002年度には過去最低を記録している。こうした背景には、20歳到達者の職権適用による被保険者増、バブル崩壊以降の長期不況、大企業の身勝手なリストラ「合理化」、そしてパート・フリーターによる低所得者層の拡大などの要因が考えられる。同時に根底には「保険料が高く経済的に払うのが困難」「年金があてにできない」など制度に対する不信・不安が大きく横たわっている。
 今回問題となった免除制度は、経済的理由などで保険料が払えない被保険者の権利として、受給権確保を目的に定められたものである。しかし、所得状況等からみて申請さえすれば承認されるにもかかわらず、相次ぐ制度の改悪に対する不信や無関心層の増大などから申請率は低い実態にある。
 免除制度のあり方も含め国民皆年金制度の維持・拡充は、国民の不信・不安を解消する上で中心の課題とされる必要がある。その点をないがしろにしたままで、保険料徴収の強化を職員に迫るだけでは、抜本的な問題解決にはなりえないものと考える。
6 全厚生は、公務への評価制度の導入は否定しないものの、いたずらに競争をあおる「ノルマ主義」については、チームワークを基本とし公正・公平な行政運営が求められる私たちの職場にはなじまない、と指摘し続けてきた。
 また、25年間保険料を払い続けないと給付が全く受けられず、40年間納めても生活できるだけの年金がもらえない実態を改善し、国民が安心して暮らせる年金制度を実現するため、全額国庫負担(一般財源)による「最低保障年金制度」の創設を真剣に検討するよう求めてきた。
 全厚生は、今回の事態を教訓に、今後もこうした年金制度拡充の運動に積極的に取組むとともに、それを民主的に運営できる組織の確立をめざし奮闘するものである。
2006年6月16日
全厚生労働組合中央執行委員会

リレーずいそう
●松山城の天守閣
 松山や秋より高き天守閣(子規)松山平野の中心部、勝山(標高132m)にそびえ立つ松山城は、松山市内からならほぼどこからでも見ることができる。築城者は、賤ヶ岳の合戦で有名な七本槍の1人加藤嘉明、両加藤の片割れである。25年もの歳月をかけて築かれた松山城は、攻守の機能に優れた日本一の連立式平山城といわれ、姫路城、和歌山城と並ぶ日本三大連立平山城のひとつにも数えられる。現在は保存修理の工事が行われているため、天守建物に足場が組まれメッシュシートで覆われており、残念ながら天守閣を見ることができないが、平成18年秋には修理が完了する予定である。
 保存修理の工事は昔からある話だが、最近は天守閣を鉄筋コンクリートではなく木造で再建する話をよく聞く。愛媛県の大州城、静岡県の掛川城などがそうだ。天守閣が復活すれば、新しい観光名所にもなるし、伝統的な技術を継承する機会もできる。まさに一石二鳥である。かつて皇居の東御苑には、明暦の大火で焼失したが、高さ60mほどの五層天守閣があった。この天守閣を木造で再建すれば観光都市『東京』の目玉になるのは間違いない。構想自体は以前からあるようなので石原さんに期待することにしよう。
 桜の季節、新緑の季節、紅葉の季節と折々の自然の移り変わりを見せてくれる天守閣。お城大好き人間として、その姿を歴史遺産としてこれからも大切にしたい。
(愛媛県支部 組合員)

社会保険庁「解体」でくらしはどうなる
大阪で緊急集会を開催
 6月16日、「社会保険庁『解体』でくらしはどうなる、〜不正免除問題の真相は?〜」と題して、大阪労連・大阪国公・大阪自治労連の主催で緊急集会が開催されました。各新聞社やNHK・ABCのマスコミ取材も入るなど、関心は高く100名を超える参加がありました。全厚生大阪支部からは組合員と退職者で20名余の参加となりました。
 服部大阪労連副議長が主催者あいさつを行い、庁の人事評価制度の「実績評価シート」で国民年金収納率向上対策が25%を占めていることを紹介しながら「問題の根本は小泉構造改革のもとで進められている社会保障改悪にあり、高い保険料、給付削減など年金制度に対する国民の不信が背景にある」と指摘しました。
 次に報告にたった全厚生代表は、冒頭、「法律を超えた処理は当然許されないこと。また、支部が監視役を果たせなかったことを率直に反省している」と述べました。そのうえで「全容解明、再発防止のためには問題の背景にしっかり目を向けることが大切」とし、国民のための年金制度改革の必要性を強調しました。
 さらに、政管健保の公法人化、保険料未納者に対する国保の短期証の発行、保険料財源からの事務費流用の固定化など社会保険庁改革関連法案の問題点を指摘しました。
 つづいて集会では、「『構造改革』で社会保障がこわれる〜国民のための社会保障再生の課題〜」と題して、岡崎祐司仏教大学教授の記念講演がありました。岡崎氏は「国民がいま社会保険庁に期待していることは、保険原理の貫徹で「取り立て屋」になることではなく、国民の健康や生活の支えとなる年金制度をつくり、運用を民主的にやってもらうことです」の述べました。
 その後、「最低保障年金制度など国民の最低生活を保障する年金制度が必要」など、フロアーから5名の発言がありました。
(大阪支部教宣部)

たまにはちょっとひと休み(^-^)/
明日への元気は癒しから
第30回全厚生女性交流集会ひらく

香りのパワーで心と体をリフレッシュ
 全厚生女性部は6月17〜18日、「たまにはちょっとひと休み(^-^)/ 明日への元気は癒しから」をテーマに、静岡県熱海市で第30回全厚生女性交流集会を開催。全体で16支部54人が参加しました。
 記念講演では、アロマテラピーインストラクターの宮崎薫さんが「香りのパワーで心と体リフレッシュ」と題して、ラベンダーやバラ、柑橘類やローズマリーなどの香りを実際に紹介しながら、植物の香りの持つパワーの解説と日常への取り入れ方、楽しみ方を講演。参加者には「今すぐ、生活に取り入れたい」、「気軽に始められそう」と好評でした。最後にみんなで、ラベンダー入りの石鹸作りをし、リラックスした時間を過ごすことができました。
 夕食交流会では、参加者の紹介と、恒例の「こども達の大好きな食べ物当てビンゴゲーム」で楽しく交流しました。
 2日目の分科会では、本省庁、研究機関、福祉、社会保険の4部門に分かれて、交流。飯塚・鈴木・三角・伊藤の各副委員長が各部門の助言者として加わり、現在の自分たちのおかれている状況をどう解決していくか話し合いました。
 本省庁支部では、深夜にまで及ぶ長時間ただ働き残業に対し、働くルールの確立が急務であることを確認。研究機関支部では、厚生科学課交渉に向けた要求について話し合い、組合の存在意義を改めて確認しました。福祉支部では、障害者自立支援法の実施で「福祉」とは言えない職場実態に職員の働き甲斐も見いだせなくなっている現状が話し合われ、自立支援法を変えていかなければとの思いが出されました。社会保険支部では、社会保険庁の解体的再編の課題、人事評価制度の導入、国民年金保険料免除問題などで混乱する職場実態を出し合い話し合う中で、自分たちが国民へ訴えていかなければとの思いを強くしました。
 閉会集会では、分科会報告と、集会アピールを採択。「これら職場の『痛み』は、小泉構造改革によるもの。女性の柔軟な発想で、世の中の流れを変える運動を作っていきましょう」と確認しあって閉会しました。


参加者の感想から

◆本当に忙しく、心が落ち着かないストレスがたまる毎日に、こんなにゆっくり講義を聞くことが出来て、よかったと思います。
◆実習があり楽しむことができました。アロマテラピーは知っていましたが、なかなか生活にとり入れるまではいきませんでした。これから少しやってみようかなーと思います。
◆社会保険の分科会に参加して、自分が思っていたとおりの意見が多く、大きくうなづいてしまいました。「これは明らかに仕組まれている!この国の流れ(大きな流れ)に巻き込まれて、必死にもがいているこの実態を世の中にどうにかして知らせなければ」そんな気持ちになりました。
◆福祉の他の職場の話を聞くことは、よい刺激になりました。
◆研究機関の現状・問題点を整理・認識することができました。他機関のようすをうかがうことができてよかったです。
◆国年免除のその後の対応や子育てとの両立での葛藤で、日々ストレスを感じています。どこの職場も同じで、忙しさに追われ、思いやりがなくなってきている人間関係のこわさを改めて感じました。今こそ、労働組合の力で、組合員はもちろん、国民の誤解を解かないと大変なことになると思いました。自分の仕事に誇りを持ってやっていけるように、真の国民サービスを訴えていける場を作っていきたいです。
◆今回参加したのは、壁に突き当たっている支部をどうしていこうか考えたかったことと、それ以上にたいへんな社会保険の皆さんの声を聞きたいと思ったからです。新聞報道を見て、そんなバカな…と思っていましたが、やはり、組合員の仲間はまじめに必死に取り組んでいたことが分かり、感動し、また憤りも強く持ちました。職場にもどってみんなに伝えたいと思います。社会保険の皆さんの応援団を増やしていきますから、皆さん、やめないで頑張ってください。
◆全国民に誤解されている社会保険職場の実態を私たち自身が伝えていかねばと自覚しました。
◆子ども一人に保育者一人という待遇でしたので、安心しました。また、保育者のみなさんがみんなの子どもを気に掛けてくださり、子どもたちはすっかりなじんで、楽しそうにしていました。おかげで私は講演、分科会に心おきなく参加できました。

具体的な議論深める
組織財政検討委員会が終了
 7月15日、東京赤坂の茜荘で第3回組織(人事)財政検討委員会を開催し、中央執行委員、支部代表など17名が参加しました。この日、最終回を迎えた委員会では7月15日に開催予定の全国支部委員長会議に向け、今後の対応方策などを取りまとめるために、「中央執行委員会の機能強化」、「安定した専従役員を確保する課題」、「ブロック(機能)や部門別の運動を前進させる組織や規約上の整備」「本部組合費のあり方」について具体的な議論を深めました。今後、検討結果については中央執行委員会が大会などに議案として提案し、その具体化を図ることになります。

第19回全厚生機関紙フェスティバル参加紙募集
 支部・分会の教宣活動を応援する「全厚生機関紙フェスティバル」を今年も開催します。応募紙は例年どおり、定期大会会場に展示し、交流するほか、応募紙にふさわしい賞を設け表彰し、講評を行います。
<目的>支部・分会をはじめ青年・女性部などの教宣・機関紙活動を励まし、編集内容の質的向上を支援する。
<対象>支部・分会・専門部で2005年8月から2006年7月までの間に発行した機関紙、およびメール配信されたニュー ス、ホームぺージに掲載されたニュース。
<参加方法>参加申し込み書(各支部に送付)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。メールニュースの場合は全厚生のアドレスに送信してください。ホームぺージの場合は、URLをお知らせ下さい。
<締切>8月4日(金)本部必着。
<講評>全厚生中央執行委員会
<表彰等>全厚生第70回定期大会で表彰します。賞状、記念品などを贈ります。
<Eメールアドレス> ZENKOSEI@zks.dp.u-netsurf.ne.jp

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