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◆第1650号(2006年6月5日付)◆


自立支援法に伴う施設体制の整備を
社会援護局施設管理室長と交渉
 全厚生は5月29日、社会援護局施設管理室長と要求の実現を求め交渉を行いました。これには函館、塩原、国リハ、秩父、神戸、福岡、別府の福祉関係支部の代表のほか、杉下委員長、飯塚・鈴木両副委員長、杉浦書記長、福士書記次長、今井・宮田両中執の本部役員が出席。管理室からは難波室長、角田補佐らが対応しました。

施設運営に必要な人員は確保せよ
 交渉の冒頭、杉下委員長は、(1)官民比較方法の見直しにともなう賃金問題(2)定員削減問題(3)障害者自立支援法にともなう国立施設の在り方の3点を中心に総括的な問題提起をし、管理室の見解を求めました。
 これに対し、難波室長は、(1)賃下げには反対、職員の志気や生活にかかわる問題、ことあるごとに関係機関に意見を述べていきたい。(2)18年度から4年間の定員削減計画が示されており、国立施設は58名の削減数が出ている。現行の施設の運営に必要な人員は確保しなければいけないので、増員要求をし純減にならないよう努力したい。(3)在り方については、支援法のなかで都道府県の指定を受けるので、国立施設の体制を考えていかなければいけない。具体的な指定基準がまだ示されていないが、6月中にはある程度の中身がでるのではないか。みなさんと意見交換をしながら進めていきたいと回答しました。

制度移行を見据えた新たな宿舎体制の確立を
 具体的課題では、障害者自立支援法に係わり入所者や職員への説明が不十分なことにたいして、本体の部分が決まっていないものが多いが、見切りをつけてなるべく早く情報をながしていきたい。また、真に障害者が自立できる制度にすることについては、法律のなかで3年後の見直しがあるので、その時には必要な見直しがおこなわれる。制度移行を見据えた新たな宿舎体制については、夜間は施設入所支援という給付が盛り込まれている、そのなかで体制をどうするのか、宿日直をするのか夜勤体制を組むのか、まだ保留になっていると回答。全厚生は、現在行われている宿日直制度は、昼に本来業務を持ちながら宿舎の管理をおこなっている、施設形態からも欠陥制度、今の宿日直制度は十分ではないと追及しました。
 「健康安全委員会」については、全施設での実行ある運用とメンタルヘルスの職員が職場に復帰できるプログラムを検討してもらいたいと要求しました。行(二)の不補充問題については、秩父と福岡から現状を報告、管理室は不補充政策を撤回するのは難しいが、非常勤で対応する施設もあるので、そういう方法も考えていきたい。団塊の世代の大幅退職、特に理療科教官の補充について、欠員にならないよう要求しました。

少人数職種の昇格改善に全力を
 昇格改善に関する要求については、級別定数が少ないことが問題となっているので、配付要求を重視していきたい、今年4月から始まった歩行指導員研修課程については、国リハでのスクーリングを含め全体像を示していきたい。最後に、休息時間廃止にともなう勤務時間の変更については、結論には至っていないが、各施設の意見を聞いた結果、45分でいいのではないかと回答。全厚生はきちっと休憩がとれる職場にするよう要求しました。
社会福祉支部代表者会議を開催

 管理室交渉前日の5月28日、全厚生は茜荘で、社会福祉支部(厚社連)代表者会議を開催。翌29日の管理室長交渉の打ち合わせを行うとともに、「障害者自立支援法」にかかわって、国立施設にどういった影響が出ているのか、10月以降の施設体系の在り方がどのように変わっていくか、現場からの意見の交換をしあいました。会議には、福祉関係全支部代表のほか、本部役員が出席しました。

リレーずいそう
●孫子と私・その母とダットくん
 私が小さい頃、母はテレビで耳の長い四足の動物や立ち耳の着ぐるみを観ると、私によく「ほらダットくんだよ」と言った。おかげで私はしばらくその動物の本名をダットであると思っていた。
 十数年後、高校生になった私は、戦争映画好きが高じて「孫子の兵法」を読みかじる。その中で「後には脱兎のごとし」という一節に遭遇。「脱兎」だから「ダットくん」。兵法書の一節をもじるなど意外に博学だった母にチト感心する。しかし当事者の母に確認してみると、「そげな難しか本ば私が読むわけなかろう…ダットくんは人形たい!」と博多弁の回答。人形とは一体何なのか気になったけれども、追跡調査をするにはクダラナイ。十数年ぶりに蘇った「ダットくん」は疑問を残したまま藪の中へ。
 さらに十数年後、その疑問は女房殿が解決してくれた。「ダットくん」とは教育テレビ「おかあさんといっしょ」の人気キャラクターで、メガネをかけたウサギらしい。女房殿は「ダットくん」を実際に白黒テレビで視聴していた。
 放送期間は昭和四十二年からの二年半で、私は放送終了後に生まれている。年齢を逆算すると、母はその頃女子高生だから、きっと学校をサボって午前中から教育テレビでも観ていたのだろう。
 孫子「九地扁」には「散地(自国の領土)では戦闘するな」とある。母は実家から遠く離れた「死地」で女房殿を死闘させ、「孫子の兵法」を見事に実践していた。
(函館支部 組合員)

News
守ろう!いのちとくらし
雨の中、5.27国民大集会に5万人

 5月27日に東京・代々木公園で「許すな憲法改悪!守ろういのちとくらし5・27国民大集会」が5万人の参加で開催されました。憲法を守り、国民投票法、教育基本法改悪、共謀罪、医療改悪などの悪法を阻止するため、本集会を基点にさらに運動を広げ、国会を包囲していくことを決意しあいました。全労連の熊谷金道議長が主催者を代表して挨拶。日本共産党の志位和夫委員長、YWCA理事長の江尻美穂子さん、ビア・カンペシーナ国際運営事務局代表のヘンリー・サラギさん(インドネシア)、映画監督の池谷薫さんが連帯挨拶しました。閉会後、3コースでパレードを行い、沿道の人たちにアピール。あいにくの雨模様にもかかわらず、全厚生は在京・近県各支部やOBなど20人が参加しました。(写真左)

警察と検察の横暴を弾劾せよ
世田谷国公法弾圧事件第2回公判開く

 「世田谷国公法弾圧事件」の第2回公判が5月17日に東京地裁で開かれ、87名が傍聴に参加しました。第2回公判は、前回に引き続き、7人の弁護人が起訴状に対する意見陳述を行い、「国公法、人事院規則の構造的特徴を明らかにするとともに、立法事実がない(国会で審議されていない)ため合憲性が推定できない」、「職業生活と私的生活を明確に区分する労基法の原則は当然に公務員にも適用されるため、公務員の私的生活を規制対象として正当化するための事由が明らかでない」、「現在の国公法の母法とも言われるアメリカ合衆国ハッチ法でさえ、時間外、職場外の政治活動を自由化する流れにあり、これを国公法、人事院規則の合憲の根拠をハッチ法にもとめることは完全に不可能」などを指摘。「警察の横暴とこれをとがめない検察の横暴を、裁判所が弾劾すること」を要望しました。次回公判は、6月16日です。

雇用のルールを守れ
国公労連が社会保険庁へ申し入れ
5.26中央行動に全国から1500名、全厚生は22名が参加

 小泉内閣が今国会の「最重要法案」と位置づける行政改革推進法案が、5月26日、参議院本会議で、与党の賛成多数により可決・成立しました。国公労連は、抗議の意思表明と共に、公務の営利企業化・市場化や公務員総人件費削減などを許さず、公務・公共サービスの拡充、国民本位の民主的行財政・司法の確立を求めて、政府及び関係当局への要求・要請行動を行う中央行動を展開しました。

社会保険庁前要求行動で杉浦書記長ら決意表明
 今国会に関係法案が提出されている「社会保険庁改革」に関連し、医療制度改悪に反対し職員の雇用と権利を守る立場から、社会保険庁(合同庁舎5号館)前において要求行動を実施しました。国公労連岡部書記次長が「いま社会保険庁改革に関する法案が国会提出されているが、組織再編に伴う職員の雇用保障がきわめて不十分。国鉄分割民営化と同様の方式となっており、選別雇用の危険性がある。国公労連は社会保険庁改革の課題にかかわって職員の雇用確保の問題を産別全体の課題として全力で取り組む」と述べました。
 続いて全厚生の杉浦書記長は、「国民年金の不正免除問題は、民間出身長官が増大する業務量とは裏腹に人員削減が進められている職場実態を無視し、強引な成果主義を押し付けノルマ追求に檄を飛ばしていることも大きな要因である。基本的には国民の権利や安心を保障する社会保障制度の確立が求められている。その実現のために全力をあげる」と決意を述べ、また、全厚生支部書記長は、「長引く不況や雇用形態の変化などによる国民年金制度のあり方が問われている。民間手法では社会保険行政は行えない」と職場や地域の実態をあげながら決意表明を行いました。

野音の決起集会では杉下委員長が決意表明
 また、日比谷野外音楽堂で開かれた、憲法・教育基本法改悪反対、国民犠牲の「小さな政府」を許すな「2006夏期闘争勝利5・26決起集会」では、(1)地方・地域で無数のシンポを開催しよう(2)6・27、7・25中央行動への結集、地方でも議会要請を(3)対人事院宛の署名をやりとげようと3つの提起の呼びかけがありました。
 決意表明では、全厚生からは杉下委員長が、「国民年金の保険料免除にかかる不正処理の問題は、数字を中央から押しつけた結果であり、社会保険庁改革は、(1)定員削減(2)能力・業績評価という人事管理制度(3)市場化テストの拡大、全面実施であり、労働者犠牲、国民犠牲の改革は認めることはできない」と力強く訴えました。

社会保険庁への要請行動も実施
 国公労連は同日、「社会保険庁改革」にかかわって、社会保険庁に対し要請を行いました。国公労連側は、小田川書記長を責任者に、飯塚全厚生副委員長他が参加し、社会保険庁側は、三枝職員課長が対応しました。要請では、小田川書記長から、(1)「社会保険庁改革」にあたっては、あらたな組織への選別採用などの雇用問題や労働条件の不利益変更などの問題を生じさせないよう万全の対策をとること(2)国家公務員法や人事院規則などを基本に、職員の利益確保に万全を尽くすべき使用者としての責任を果たすこと(3)公務員制度の運用にあたっては、法令の遵守とともに、勤務条件に関わる課題については労働組合との交渉・協議を尽くすこと、の3点を申し入れました。職員課長は、「社会保険庁を取り巻く状況は非常に厳しく、国民の信頼を得る組織に生まれかわるべく、職員とともに懸命に努力している。平成20年秋には社会保険庁は廃止される見込みであり、将来のある省庁とは違う危機感を持って対応している。要請事項については、長官にしっかり伝えたい」などと回答しました。小田川書記長は、「危機感があるのはわかるが、ルールをきちんと守ってもらうことが大事」と社会保険庁の対応を強く求めました。

障害者自立支援法施行後の国立施設の実態(連載5)
真に障害者の自立を達成できない支援法
国立神戸視力障害センター

 今年4月から障害者自立支援法の一部が施行されました。法律が出来てから施行までの期間が短かったため、基準等が未整備のままスタートです。そもそも障害者自立支援法で障害者の自立が達成されていくのでしょうか。国の施設はその責任において有効に機能できるのでしょうか。施行から2月を過ぎて現場の状況を報告しながら問題点を考えたいと思います。

障害保健福祉総合化で通所者増
 障害保健福祉の改革の基本的な視点として、3本の柱を実現するとしています。1つ目は障害保健福祉の総合化です。年齢や障害種別等に関わりなく、出来るだけ必要なサービスを受けながら暮らせる地域づくりを進めることです。住み慣れたところから通所してサービスを受けることが原則となります。居住地域を離れて施設に入ることは例外とされます。そのため神戸センターでは、入所者の減が深刻になりつつあります。また、今年入所したほとんどの方は県内のセンター近辺の居住者です。入所者全体でも通所の方は5割。従来、寮に入り訓練を受けるようになっていますから定員分の居室がありますが、多くは空き部屋となっています。反面、通所の方の控え室は1部屋程度。利用者の半分の方がその1部屋を使うことになっています。加えて市町村中心の体制になりますから、住民票をセンターに移さないといけない事態も現れています。これまで多くの卒業生を出していますが、これからはそのような視覚障害者はセンターで訓練を受けることが出来ないことになっています。

食費対策で外食する生徒が急増
 2つ目の柱は、制度の安定的な運営や公平性です。つまり利用者である障害者から費用を取るというものです。特に負担となるのがホテルコスト実費負担分といわれる食費です。施設で全て食べると5万円(光熱水費を含)を超えます。費用を減らすために、食事をしない入所者も増えています。日曜日の食堂は喫食者が10名に満たないこともあります。一方、近所のお弁当屋には「センター弁当」と名づけられ弁当が販売され、安い飲食店の昼は、センターの生徒でいっぱいという光景もみられます。加えて、サービスを利用し、それに料金が発生するということは、使用場所や時間帯により利用料が発生することになります。入所して訓練を受けるということは、すべての活動が教育訓練に結びついています。場所や時間できっちり分けることなど出来るものではありません。現在のところ指導課の自立支援法、教務課の自立支援法、庶務課の自立支援法と障害者自立支援法が各課にあるような状況です。

就労支援でどうなる資格取得指導
 3つ目は自立支援システムへの転換として、就労支援、特に雇用に力点を置くことになっています。しかし、按摩、はり、きゅう師資格を取るためには、3年ないし5年もの長期間の教育訓練が必須なうえ、国家試験に合格してはじめて就労が可能となります。今まで行ってきた不合格者への指導や、卒業後の指導などについては実施できるかどうかすら未確定です。また、卒業生の多くは自営での就労を考えます。雇用を支援するだけでは十分とはいえません。
 障害者自立支援法が真に障害者の自立を支えるものとなるよう、これまで以上に施設や障害者の声を要求としてまとめていく必要があります。
(中央執行委員)

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