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◆第1644号(2006年3月25日付)◆


社会保険職員の雇用に万全を期せ
大臣官房人事課長と春闘重点要求で交渉
 全厚生は3月23日、大臣官房人事課長と06春闘の重点要求で交渉を実施。全厚生から杉下委員長、飯塚・伊藤・鈴木・三角各副委員長、杉浦書記長、福士書記次長、木立・田口・宮田各中執が出席。人事課からは、木倉人事課長、渡延参事官、西山人事調査官らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長は、国公労連統一賃金要求をはじめ重点要求の実現を求め、特に社会保険庁改革の課題で主張。国会提出の関連法案は職員の引継規定が盛り込まれていない問題点を指摘。さらに、新組織への移行にあたり、業務目的外閲覧の処分を重視し、分限処分に連動させることは違法行為。法の厳正な適用をはかるべきと主張。雇用問題は最重要課題であり、職員の不安のないよう最大の努力を求めました。
 これに対し、木倉人事課長が一括して回答。国公労働者の賃金水準を平均月額1万1千円(2・9%)引き上げる要求には、「生活実態を踏まえた切実な要求として受け止め、関係機関に対し、必要な意見・要望を申し入れたい」と回答。定員課題では、「5年間・10%以上」の定員削減計画の中止、「5%定員純減」は具体化しないこと。公務の市場化や民間開放を行わないことを要求。これに対し、「真に必要な増員の確保は、業務の重要性、特殊性等を主張し、最大限の努力をしていきたい」と回答。公務員制度改革の課題では、評価制度の「試行」を一方的に強行せず、労使協議を尽くすことを要求。これに対し、「第1次試行は、実施・検証して今後の参考資料を得ることが目的。意味あるものとなるよう議論し、適切に対応したい」と回答しました。

人事評価制度の結果を選別採用に使うな
 社会保険庁改革の課題では、職員の雇用に万全を期すこと、新たな人事評価制度について、職員の勤務・労働条件に直接関連するものであり、全厚生と十分協議することや、人事評価制度の結果を選別採用に使わないよう要求。これに対し、「社会保険庁が新たな認識のもとで自覚をもって取り組もうとしている。専門知識が生かせるよう、大臣以下一丸となって説明していく。新たな人事評価制度は、職員の意見を聞き、より公平・公正な仕組みとなるよう努力していく」と回答しました。

非公務員型移行で研究・労働条件の確保を
 独立行政法人国立健康・栄養研究所の非公務員型への移行では、公共性を十分に発揮し、生き生きと研究活動に従事できる研究・労働条件を確保することを要求。これに対し、「国民のための重要な研究活動を担う研究・労働条件の確保に努力したい。労使での協議をしっかり行うよう厚生科学課にも伝え、指導したい」と回答。「障害者自立支援法」の施行にともなう具体的な事項について全厚生と十分協議することを要求したのに対し、「組合とも意見交換を行っている。職員の方々が力を投入でき、利用者が不安にならないよう、サービスの中核が確保できるよう努力したい」と回答しました。

恒常的な長時間残業の改善を
 給与構造・地域給問題の運用について、労働組合と十分な協議を行うこと、地域手当の官署指定を現行調整手当と同様とするよう要求。これに対し、「給与は、職員の士気や生活にかかわる問題。運用は慎重に、公平・公正にやっていく。官署指定は、同様な措置がされることになっている」と回答。本省庁職場の恒常的な残業改善の要求では、「大変な事態は十分認識している。管理職員が意識してすすめることが重要。超勤の経費を予算措置するよう努力する」と回答。休息時間廃止による拘束時間の延長を行わないことを要求したのに対し、「運用上の努力で、柔軟な対応ができるよう人事院に要望していく」と回答。再任用制度では、希望者全員の雇用のために最大限の努力を要求。これに対し、「再任用制度は、定員問題で使い勝手が悪い。有効に運用できるよう人事院に要望していく」と回答。
 一括回答の後、さらにやりとり。飯塚副委員長は、社会保険庁改革で職員の雇用に万全を期すこと、人事評価制度では試行の継続を要求。杉浦書記長は、国立健康・栄養研究所の非公務員型への移行準備は、労使自治を尊重し、自主的な協議ですすめるよう主務省の役割発揮を要求。鈴木副委員長は、障害者自立支援法施行に伴う協議を現場と丁寧に行うよう要求。三角副委員長は、厚生労働本省は常に残業時間のワースト5に入ることを指摘。定員確保と大胆な業務改善を要求。木立中執は、休息時間廃止に伴う勤務時間の弾力的な運用での改善協議と所定内労働時間の短縮を要求しました。

4月の主なスケジュール
6日  国民投票法反対国会請願デモ&集会
10日  憲法改悪阻止統一行動
14日  国公労連第2次中央行動
15日  第3回国公労働における男女共同参画の前進をめざす集会
 最低保障年金をめざすシンポ(年金者組合主催)
19日  「サラリーマン増税」「公共サービス商品化」反対・定時退庁統一宣伝
21日  第7回中央執行委員会
22日  全国支部委員長会議
23日  社会保険関係支部代表者会議

リレーずいそう
●勤続表彰の憂い
 思い起こせば、昭和60年(1985年)4月に国家公務員として採用され、今日に至っている。当時は、職場が地下一階にあり職員の仲間からは「地下で大変だね」などと言われ、何を言っているのか分からず思わず「・・??」となってしまったことを記憶している。現在は、中庭に面した画像診断棟の建物の中で勤務している。中庭を眺めながら、時に外の爽やかな空気を感じながらの仕事を経験すると当時の「地下で大変だね」がうなずける思いである。
 月日は早いもので、今年で勤続21年目を迎えた。御多分にもれず20年勤続表彰の機会があり、事務官から表彰伝達式の日時を知らされた。表彰伝達式の正式名称は、「永年勤続厚生労働大臣表彰伝達式」である。伝達式当日は、豪華な昼食?をとりながら、表彰者からの一言と総長からのお祝いの言葉・表彰状・記念品が渡され、その後記念写真を撮る段取りのようであった。
 しかし、勤続表彰を受ける気にはならなかったので、担当事務官に伝達式出席拒否の旨を伝えた。その後、上司の事務官にも出席拒否を直接伝えた時、不意をつかれた感じであった。何故、出席拒否か。それは当時の国立病院施設の中で能力の証でもある標準職務表の位置づけが、最も低いからである。今でも、改善することなく続いている。何一つ、懲戒処分を受けたことが無いのに何故?何故なんだと日々思うことがある。そんな扱いをされているのに、ノコノコと表彰を受ける気には到底なれないのである。そもそも今のご時世に、このような表彰が必要だろうかと感じるこの頃である。
(国立リハ支部 組合員)

News
早出遅出勤務の対象拡大
人事院規則の改正で4月施行

 人事院は、「育児・介護を行う職員の早出遅出勤務」の対象範囲を拡大する人規10-11の一部を改正する人事院規則を3月22日に公布しました。(今年4月1日から施行)「育児・介護を行う職員の早出遅出勤務」は、職員がフルタイムで働きながら育児・介護を行い、家庭責任を果たすことができるよう、始業及び終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げて勤務させることを認めるもので、昨年4月に導入。育児については、未就学児を対象にしていたものを、今年4月からは、児童福祉法に基づく学童保育施設に託児している小学生の子を迎えに行く職員にも拡大されます。金子女性部長は「全厚生女性部では、いわゆる『小学1年生の壁』を乗り越えられるよう、学童期までの『子育て支援策』を粘り強く要求してきた。『学童』が対象となったことは初めてで画期的。今後、学童期の子をもつすべての職員、さらに、小学生の子をもつ職員が対象となるよう、運動していきたい」

ピカピカの小学一年生の原稿を募集中
 今年もピカピカの一年生の原稿を募集します。今年小学校に入学する組合員の子どもさん全員が対象です。子どもの氏名(漢字)(1)氏名のふりがな(2)入学する小学校名(〇〇市立〇〇小学校)(3)大きくなったら何になりたい?(4)お父さん、お母さんからのメッセージ(支部・組合員名)を100字以内で。顔がはっきり写っている写真を送って下さい。デジタルデータもOK。写真(プリント)はお返しします。締め切りは、第3次が4月10日、第4次が4月20日です。お礼に図書カード(千円分)をさしあげます。詳しくは、支部の教宣担当者、または全厚生本部まで。

自立支援法導入後の施設の在り方
社会福祉支部代表者会議で議論
 3月19日、全厚生は茜荘で、社会福祉支部(厚社連)代表者会議を開催。会議では、4月を迎えるにあたり「障害者自立支援法」にかかわって、国立施設の在り方がどのように変わっていくか、現場からの意見を交換しました。利用者負担については、ほとんどの施設が入所者に対する説明が遅いということや、まだ職員に説明をしていないところもあるなど、管理者責任を追及する意見が多く出されました。
 この法律により、民間と国との差がなくなることから、国立が行う意義についても話し合いました。障害者の視点からみれば、利用料などが大幅に増加することから、施設に入所する人が減少するのではないか。今年は昨年なみの入所者を確保できたが、今後はどうなるか不安。入所ではなく通所の生徒が増えてきた。このまま入所者が減少すれば本当に国立として残れるのかなど現場の生の声が多く出されました。
 ホテルコスト代として、光熱費代と食費代を入所者から費用徴収することに対し、施設毎に単価が違うのは問題があるのではないか。食費に調理師の人件費が含まれているのはおかしい、調理師が多いほど単価が高くなるため、入所者が節約のため食事をとらないことや、自分で食事を用意することが考えられる、入所者の健康面からも大いに問題。障害者に一定額(2万5千円程度)しか手元に残さず、生活保護よりも少ないのはおかしいなどの意見が出されました。
 リハ支部からは「宿日直」に関して、当局は組合の反対を押し切って試行をおこなったが、いろいろな問題が噴出した。真に入所者のための宿日直が出来る体制が必要だし、これ以上先延ばしには出来ない。
 こうした意見を踏まえて、厚社連として厚生労働大臣にむけた署名や国会議員要請行動などを提起。とりくみの具体的な範囲やテンポなどの内容までは至りませんでしたが、行動しようということで、意思統一。また、国立管理室との懇談にむけて内容を検討、「契約問題」「入所者・職員に対する説明責任」「自立支援法の精神との矛盾」「運営上の問題点」「就労移行支援」「国リハの更生訓練所の再編」などを意見交換することを確認。
 会議には、福祉関係全支部代表のほか、本部役員が出席しました。

入所者・職員へ説明責任果たせ
国立管理室と懇談

 全厚生は3月20日、社会援護局国立施設管理室との意見交換・懇談を行いました。これには函館、塩原、国リハ、秩父、神戸、福岡、別府の福祉関係支部の代表のほか、飯塚・鈴木両副委員長、今井・宮田両中執の本部役員が出席。管理室からは菅原室長、角田補佐らが対応しました。
 冒頭、函館支部の泉支部長が契約違反にならないかの質問にたいし、室長は重要事項の変更には、きちっと入所者に説明していくことが必要。また、入所者・職員への説明責任については、会議ごとに入所者・職員に説明するよう指導してきたが、徹底されていなければ遺憾であると陳謝。その他にも給食のあり方や、宿日直の問題、国リハで検討している更生訓練所の再編にともなう他の視力障害センターへの影響などを話しあいました

徹底審議と国民本位の社保庁改革を
積極的な職場討議で団結を深めよう。
 医療・年金・介護など社会保障制度の改悪が連続して行われ、国民の命と暮らしが削られるなか、社会保険庁の一連の不祥事が明らかになり、国民の立場に立った制度改善と民主的で効率的な行政運営を徹底することが求められてきました。
こうしたなか、自民党社会保障制度調査会(会長=丹羽雄哉氏)の社会保険庁などの改革WG(主査=武見敬三氏)を中心に「組織改革・業務改革・意識改革」一体で社会保険庁改革がすすめられ、08年10月を目途に社会保険庁を廃止、国の特別な機関として位置づける「ねんきん事業機構」と、全国一本の公法人である「全国健康保険協会」(非公務員型)を新たに設置するなどとした関連法案が今国会で審議がおこなわれることになります。 郵政改革の次は「公務員制度改革」とする、小泉政権は社会保険庁改革を壮大な実験場とし、新組織への移行にあたっては「国家公務員の分限免職」を持ち出すなど公務リストラも懸念されます。全厚生は、今春闘の重要課題として国公労連と共に「公務リストラ」を許さない積極的な運動を展開します。全組合員に配布した「社保庁改革関連法案に対する基本的な考え方」(全厚生新聞号外)を積極的に活用して、情勢認識をしっかり共有し団結を深め具体的な運動をすすめましょう。

十分な検証・検討と研修の拡充を
新たな人事評価制度の試行継続を申入れ
 昨年10月より一定職以上を対象に試行が実施された社会保険庁の「新たな人事評価制度」に対し全厚生は、チームワークを基本とした組織運営と公正・公平な業務運営が求められる私たちの職場に導入するにあたっては、(1)職員の勤務・労働条件に直接関連するものであり全厚生との十分な協議を行うこと(2)本格実施にあたっては試行結果の十分な検証・検討を行うこと、(3)公務全体との整合性(水準・テンポ)を図ること(4)職員の育成と行政サービスの向上を目的とし給与処遇には適用しないこと。また、公平性・客観性・透明性・納得性を確保することなどを社会保険庁に申し入れてきました。あわせて、当面する疑問点を中心に第一次質問書を提出(2005年11月15日)してきたところです。
 しかし、第一次質問書に対する回答は、3月24日に示されました。また、運用や改善について協議するとされている「人事評価制度運営会議」も3月27日に開催される予定です。さらに、明らかにされた「評価に関する実態調査集計表速報」では、もっとも基本と思われる「人事評価制度に対する理解度」で、「概要は理解できた」が83%を占めている半面、実績評価や能力評価の方法に対する理解度については、逆に20%から40%の範囲で不足している実態も示されています。同時に、「どちらかといえばそのとおり」との受動的な回答がすべての項目で40%から60%を占めるなど不安要素も示されています。
 そもそも新たな人事評価制度は、「職員と上司のコミュニケーションを高めるとともに、人材育成や業務改善を図り、組織全体のパフォーマンスの向上と業務の一層の効率的・効果的な遂行」を目的としたものであり、そのためには、「職員をはじめ各府省や職員団体の理解と納得を得られるよう、関係者間で十分協議を行っていくことが不可欠」(人事院)「試行期間終了後、試行結果の分析等を行い、第二次試行に反映する」(総務省)とも指摘されているものでもあります。
 こうした経過とアンケート結果等を踏まえ全厚生は、新たな人事評価制度が有効に機能するには、スケジュールありきではなく、制度の周知と研修の拡充が決定的に重要であると考えます。その立場から、3月24日、社会保険庁に対し、(1)一定職以上を対象とした4月からの「本格実施」は行わず、制度の周知と研修の拡充を図るなど引き続き試行を継続すること(2)本格実施にあたっては試行結果の十分な検証・検討を行い、全厚生とも十分協議すること、を申し入れました。

言論表現の自由を守れ
「世田谷国公法弾圧事件」初公判
 集合住宅一階の集合ポストに「しんぶん赤旗」号外を配布したことが住居侵入罪にあたるとして「逮捕」され、住居侵入罪は不起訴としつつ、身分が国家公務員ということで国家公務員法違反で起訴された、厚生労働省職員宇治橋眞一さんに対する「世田谷国公法弾圧事件」の初公判が3月24日午後、東京地裁で開かれました。
 公判には、不当な逮捕・起訴への怒りともに、言論表現の自由を踏みにじることは許されない、裁判勝利と宇治橋さんを激励しようと、傍聴席を埋め尽くす支援する仲間がかけつけました。
 公判では、検察官の起訴状朗読に対して、宇治橋さん本人が意見陳述を行いました。宇治橋さんは、私の行為は国公法違反として処罰されるものであるとは考えていないとして、住居には不法に侵入していないこと、今回の逮捕は特定政党のビラの投函によることは明らかであり、法の適用は平等でなければならず、恣意的な適用は許されないこと、誠実に職務に専念してきており、今回の行為が国民の信頼を裏切り、公務の中立性を侵すものではなく、私生活の中で、国民に許されている言論表現の自由の一行為として行ったもの。裁判所は憲法の精神に則り正しい審判を。そしてこうした事件が二度と繰り返されることなく、国家公務員の政治活動が保障されることを望みます、と述べました。
 続いて7人の弁護人が、逮捕、起訴は不当であること、政治活動を全面的に禁じる国公法、人事院規則は誤りであることなど、控訴棄却を求めるとともに、この事件に対する基本的な主張を意見陳述しました。第二回公判は5月17日です。

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