見出し

◆第1643号(2006年3月15日付)◆


小さな政府は大きな国民負担
医療制度問題懇談会開く
 全厚生、全医労、健保労組の3組合は3月14日、医療制度問題懇談会を衆議院第2議員会館第1会議室で開催しました。これは、「小さな政府」を進める小泉内閣が今国会に提出した「健康保険法等改正案」が、国民本位の「改革」となるのか、安心して受けられる医療制度となるのか、さまざまな角度から検証しようと開催したもの。主催の3組合や後援の医労連、国公労連はじめ、医療・社会保障にかかわる労組・団体などから60人が参加しました。
 主催者を代表して北川全医労委員長は、「医療制度『改革』は、国民に格差を持ち込むもの。改悪を許さず、医療・社会保障に携わるみなさんと一緒にがんばりたい」とあいさつしました。また、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が国会情勢報告を行いました。
 テーマ別報告と問題提起は3人が行い、全厚生の飯塚副委員長が、「医療制度『改革』と社会保険庁改革」について、健康保険病院労組の濱田實副委員長が「社会保険病院・厚生年金病院・診療所・健康管理センター・介護老人保健施設をめぐる現状と課題、成果主義賃金反対のたたかい」について、日本医労連の井上久中央執行委員が「医療費適正化計画と診療報酬」について報告しました。
 フロアからは、保険医団体連合会の住江憲勇会長、全労連の石川芳子国民運動局長、年金実務センター代表の公文昭夫さんなど8人が発言。(記事2面)
 全厚生の杉下委員長がまとめの発言を行いました。

医療大改悪に連動する社会保険庁改革
全厚生労働組合  飯塚 勇

 飯塚さんは、医療制度「改革」と社会保険庁改革の問題点について報告しました。
 一昨年の年金大改悪に続く医療大改悪は、戦後、労働者や国民が前進させてきた公的医療保険制度の事実上の解体に他ならないと強調。具体的には、「医療費適正化計画」の名による診療報酬の引き下げ、被扶養者からも保険料を徴収し年金から天引きする新たな高齢者医療制度の創設、高齢者窓口負担増、高齢長期入院のホテルコスト代(食費・居住費)の全額自己負担、高額療養費の自己負担限度額の引き上げ、介護療養型医療施設の廃止、政管健保の運営主体の公法人化と都道府県単位の財政運営など、未だかつてない大改悪であると、問題点を指摘しました。
 社会保険庁改革については、08年10月に社会保険庁を廃止し、「ねんきん事業機構」と政管健保の公法人に業務は継続するが、職員の継承規定は設けず、40年間発動されていない組織廃止による分限免職や、新人事評価制度による能力分限処分を行おうとしていること。さらに、自民党の行政への異常な政治介入で、「業務目的外閲覧による処分」を基本に「選別採用」が行われる恐れがあることなどを紹介し、医療制度改悪反対の運動とあわせて進めたいと述べました。

病院の売却と同時進行する成果主義賃金
健康保険病院労働組合  濱田 實

 濱田さんは、医療改悪の動きとあわせて、そこで働く職員の在り方も変えていこうという攻撃があると、社会保険病院・厚生年金病院などの国有民営(社会保険庁が設置者で経営は全社連に委託)の病院・施設の現状と、成果主義反対のたたかいを報告しました。
 01年に厚生労働省は「社会保険病院の在り方の見直し」方針決定と同時に、労使関係に介入し、公務員準拠をやめて病院職員の給与体系を見直し効率的な経営を可能とする新しい給与制度の確立を指示。これを皮切りに、病院・施設における売却・廃止問題と成果主義賃金は同時に進行してきた、と経過を紹介。05年に強行された「新給与制度体系」は、目標管理制度による成果評価制度であり、チームが破壊され、命に携わる医療機関には無理な制度である。撤回を求めたたかってきた中で、成果主義賃金はやらせない施設、部門目標だけで個人目標は出させない施設などの成果もあげている。また、昨年秋の団体交渉において、「目標管理制度は導入しなくてもよい」と回答させたことを紹介しました。
 社会保険庁が4月から実施する新人事評価制度は、全社連が行ったものとまったく同じ。良い医療の提供と労働条件を守る両方の視点から成果主義賃金を粉砕し、売却反対の運動と結びつけてたたかうと述べました。

医療費抑制押し付ける「医療費適正化計画」
日本医療労働組合連合会  井上 久

 医労連の井上さんは、「医療費適正化計画」と診療報酬について問題点を指摘し報告しました。
 医療大改悪の最大の柱は、医療費抑制体制づくりにある。政府の「医療費適正化計画」とは、08年度から5ヵ年計画で、都道府県が、生活習慣病予防の徹底で有病者・予備群を25%減少させる、平均在院日数を全国平均36日を30日まで短縮するなど政策目標を掲げ、医療費の伸びを抑制するというもの。厚生労働省は、「予防の徹底の結果として医療費抑制ができる」と言うが、実際は、医療費抑制ありきの患者の病院追い出しに他ならないと批判しました。
 また、突如登場した療養病床の大幅削減方針は、重大な問題。現在38万床の療養病床を、6年後には15万床にまで減らす計画。介護療養は2012年3月末に廃止、医療療養は「医療の必要性の高い人」に限定する。狙いは病床削減を強行して医療費抑制の特効薬とすることだ。
 医療費抑制と深く連動した診療報酬はマイナス改訂を押しつけた。急性期の評価は若干引き上げたが、一層の機能分化・病床削減を誘導する内容。特に療養病床の評価を大幅に引き下げたことは重大。行き場のない大量の患者を生み、大きな社会問題となるのは必至である。国民に医療大改悪の中身を知らせて、たたかおうと述べました。

ピカピカの小学一年生の原稿を募集中
 今年もピカピカの一年生の原稿を募集します。今年小学校に入学する組合員の子どもさん全員が対象です。子どもの氏名(漢字)(1)氏名のふりがな(2)入学する小学校名(〇〇市立〇〇小学校)(3)大きくなったら何になりたい?(4)お父さん、お母さんからのメッセージ(支部・組合員名)を100字以内で。顔がはっきり写っている写真を送って下さい。デジタルデータもOK。写真(プリント)はお返しします。締め切りは、第1次が3月20日、第2次が3月31日です。お礼に図書カード(千円分)をさしあげます。詳しくは、支部の教宣担当者、または全厚生本部まで。

リレーずいそう
●音のみちしるべ
 トリノオリンピックでは、女子フィギュアスケートで荒川静香選手が、輝かしい成績を残して幕を閉じました。そして、今、トリノではパラリンピックが開催され、こちらもまた日本勢の活躍が期待されています。更に、2年後には、北京でオリンピック&パラリンピックが開催されます。トリノオリンピックは終わりますが、夏のこの舞台を目指し、今から日々努力を続けている選手も大勢います。
 アテネパラリンピックから正式種目となった、『ブラインドサッカー』という競技、皆さんはご存知でしょうか。『ブラインドサッカー』は視覚障害者の5人制のサッカーで、鈴入りのボールを使って行われます。キーパーは晴眼者ですが、フィールドプレーヤーは皆アイマスクをし、ボールの音・キーパーや監督らの指示を手がかりに、選手はプレーします。音を頼りにプレーするのは容易い事ではないですが、トップクラスの選手になると、まるで見えているかのようなプレーをします。わが日本チームは残念ながらアテネパラリンピックには出場出来ませんでした。選手たちは、その悔しさをバネに北京を目指しトレーニングに励んでいます。
 今年は、6月にドイツでサッカーのワールドカップが開催されます。このブラインドサッカーも11月にアルゼンチンで世界選手権が開かれます。そこで良い成績を残し、パラリンピック出場へ弾みをつけてもらいたいものです。
(伊東支部 組合員)

小泉構造改革許さぬ共同した運動を
医療制度問題懇談会でのフロア発言
 医療制度問題懇談会では、フロアから8人が発言しました。
 保険医団体連合会の住江会長は、「小泉構造改革がすすめる小さな政府は、日米大資本の利益を狙う市場原理主義が背景にある。大増税の一方で社会保障の削減はさらに勤労国民に格差をもたらす。開業医からも批判が寄せられている。この難局を乗り切るために大同団結していきたい」
 全医労からは、「地方ではドクター不足により内科病棟が閉鎖に追い込まれている。医療制度改悪により更に病棟閉鎖が加速される。政府として医療従事者を確保し地域医療を守る責任がある。根幹からの制度改善が必要だ」
 全労連の石川国民運動局長は、「介護保険料、国民健康保険料も年金から引かれる状況に年金受給者の不安が拡がっている。社会保障財源に消費税の増税が狙われている。ますます地域格差が拡がり、社会保障や福祉から締め出される人を増大させる。国民と力をあわせて運動を拡げたい」
 国公労連からは、「行政改革推進法案は小泉構造改革の総決算、国民の安全・安心を一層切り捨てるもの。金の切れ目が命の切れ目になる医療改悪は許されない。国民と官民一体となった運動を進めたい」
 健保労組からは、「社会保険病院は、7月に厚生年金病院と併せ存続問題が山場を迎える。政府は不採算を理由に売却することを狙っている。地域の人たちと共同して地域医療を守る運動と併せ病院の存続を訴えたい」
 全厚生の神奈川県支部平丸支部長は、「社会保険庁解体は、社会保障制度の解体と一体。現場では徴収部門の強化によりサービス部門が削られている。健康保険の運営主体が都道府県ごとの公法人に変更され、国の責任放棄につながる。社会保障を守ると共に雇用を守る運動を進めたい」
 年金実務センター代表の公文昭夫さんは、「社会保障を連続して切り捨ててきた小泉構造改革の矛盾が拡がっている。最大の特徴は大企業優遇、国民には負担を押し付けること。社会保障改悪、公務リストラ、憲法改悪と悪魔のサイクルがはじまっている。政策能力が高い国公労働者の出番、国民から支持される運動の構築でブレーキをかけることが大事」とそれぞれ発言しました。
 最後に全厚生の杉下委員長は、社会保障制度改悪は国民の願いに真正面から敵対しており、体を張って阻止しなければならない。これらの改悪は「小さな政府」、公務員攻撃と一体で進められているのが特徴。今日の懇談会を契機にみなさん方とともに急速に運動をすすめたいとまとめました。

誇りを持って働きたい
3・10青年女性パートが中央行動
 全労連は、社会的に注目を浴びているパートや青年、女性の「3・10中央行動」に取り組み、早朝宣伝、国会座り込み・議員要請、省庁交渉、日本経団連前集会などを終日実施しました。全厚生も青年を中心に20人が参加しました。昼に開かれた「06春闘勝利3・10青年・女性・パート決起集会」には、あいにくの雨の中、全国から2500人が参加。
 主催者を代表して熊谷金道全労連議長は、非正規雇用労働者が雇用労働者全体の33%に及びとりわけ女性労働者の増大と低賃金実態を報告し「春闘で均等待遇を重視し、賃金の引き上げ、差別是正に取り組もう」と訴えました。連帯あいさつには、韓国非正規労働センターのキム・ジュファン企画調整局長とユン・イェオリム労働弁護士が参加し企画調整局長らがあいさつしました。
 会場では、大阪パート連絡会の黄色の法被姿で「替え歌河内音頭」や女性部のコントに会場から共感の拍手が送られるなど青年部、ヘルパーネットらがパフォーマンスを繰り広げました。
 集会アピールを採決し、青年部は銀座へ、女性部・パートなどは国会に向けシュプレヒコールしながら元気にパレードしました。

愛知県
庁改革の真実に迫る
青年部が学習会を開催
 3月3日、愛知県支部青年部は学習会を開きました。「社会保険庁改革の真実に迫る」と題し、青年部長の國枝孝幸さんが講師としてゼミナール形式の講義を行いました。
 青年部の学習会でしたが、年齢制限を特に設けませんでしたので幅広い年齢層の方が参加しました。先日行われた一般職員研修、中堅職員研修での社会保険庁改革の講義を復習しつつもそこで触れることのなかった部分について学習をし、人員削減について、評価制度について参加者から様々な意見、質問が飛び交う内容になりました。
 学習会の後は会場の近くで懇親会が開かれ、参加した青年から、「一方的にトップダウンで様々なことが決められていくことに対し、学習を深め、意見や疑問の声を集めてそれに立ち向かうことができる組合の存在が重要なものであることを改めて知った。こういった学習会をもっと開いてほしい」との感想が。
 次回の開催時期は未定ですが、新規採用に合わせて新組学習会を開く予定でいます。もちろん新規加入者以外の参加も大歓迎です。
(愛知県支部執行委員)

本省庁
ボウリングで交流
全厚生60周年事業として開催
 全省庁一斉の定時退庁日である3月1日に、本省庁協議会主催でボウリング大会を開催しました。本省庁協議会では、本省3支部(本省・統計・業務センター)で、月に一度本省職場のさまざまな問題をとりあげ、会議をおこなっています。全厚生60周年事業と冠をつけ、ビラなどを作成し参加呼びかけをおこなったところ、20名の参加がありました。冒頭、本省支部・神山支部長が「日頃は運動不足だと思うので、無理せず懇親してほしい」とあいさつ、ボウリングで汗を流しました。ほとんどの参加者が久しぶりの運動ということもありましたが、ストライクやスペアが出るたびに、手をたたき合い喜びを分かち合いました。
 その後場所を移し、統計支部・三角副支部長の乾杯のあとしゃぶしゃぶを食べながら懇親をおこないました。ボウリングの結果発表では上位3賞の他に跳び賞を用意、予想外の出来事に賞品をもらった参加者は、喜びを隠せない様子。じゃんけん大会のあと、業務センター支部・佐藤書記長が「今後もこうしたレクを通じて懇親を深めていきたい」とまとめをし、終了しました。

退職されるみなさま
引き続き国公共済会へ
 3月で退職される皆さん、大変お疲れさまでした!全厚生は、組合の仲間として長年ともに励まし合い働いてこられた皆さんに、引き続き国公共済をお勧めしています。是非ご検討ください。
*退職者グループ*
 現在支部で加入されているセット・火災共済について、「退職者グループ」に異動すると手続きは全て国公共済会と直接行うこととなります。交通災害共済・火災共済は一生涯加入できます(ただし、原則として55歳以上の退職者に限ります)。
*シニア共済*
 皆さんがいつまでもお元気で活躍されることを願い、80歳までの病気やケガによる療養費などを援助する制度です。健康告知基準に該当しない55歳以上66歳未満のOB組合員とその配偶者が加入できます(配偶者のみの加入はできません)。また現在セット共済に加入している方は、64歳まで併行して加入できます。
 詳しくはパンフレットをご覧下さい。お問い合せは支部担当者または本部・西田書記(03-3501-4881、nshio@zks.dp.u-netsurf.ne.jp)まで。

Back  to HOME