見出し

◆第1641号(2006年2月15日付)◆


ほころび見えた「小泉構造改革」
もうひとつの日本を目指し国民的な運動を各地から
「行革推進基本法案」も通常国会の焦点に
 国家公務員の大幅削減(今後5年間で5%以上純減)、さらに給与調査官民比較方法の見直しなど、給与制度改革の強力な推進により、総人件費を大胆に削減する「小さな政府」を実現することが緊急かつ最重要課題であるとして、小泉内閣が行政改革の重要方針として打ち出しました。
 そして今通常国会には、「小さな政府」の道筋を確かなものにするために、基本的な改革の方針、推進方策を盛り込んだ「行政改革推進法案」を提出するとしています。
 政府、財界による公務員攻撃が日増しに強まっていますが、「小さな政府」の本質、公務員攻撃の本質を徹底的に明らかにして世論形成をはかることが、いままさに緊急で重大な課題となっています。

先進国で最も低い国民一人当たりの公務員数
 大幅な定員削減は単に公務員労働者の労働条件を悪化することにとどまりません。公務サービスの重大な後退をもたらし、これまで公務が担ってきた役割、国の基本的責務が根底から変質させられることになります。あわせて公務員攻撃の危険なねらいには、物言わぬ公務員をつくりだすことで、国民の基本的人権と利益を保障する担い手から反動的行政の担い手へと変質させることにあると同時に、その先には国民総犠牲の大増税、社会保障の全面改悪があります。「小さな政府」、公務員攻撃の本当のねらいが国民の中に明らかにされれば、大きく政治を変えることができます。

財界のビジネスチャンス拡大「市場化テスト法案」
 今国会には、「官から民へ」の流れを加速するために、公務サービス全般を営利企業の儲けの対象にするための「市場化テスト法案」が提出されています。まさに国民のくらしと権利が重大な危機に直面しています。
 規制緩和、市場原理主義の小泉「構造改革」により、深刻な矛盾がつぎつぎと噴出してきています。労働者の3人に1人、若者の2人に1人は不安定雇用であり、雇用と所得の破壊がますます進行するもとで、社会のゆがみや「格差社会」が大きな問題となっています。国会での質疑でこの問題を問われ、小泉首相は「言われているほど日本社会に格差はない」「格差は悪いことではない」とウソぶいています。真実に目をとざし、弱い人のこと、弱い立場にある人に思いをめぐらすことができない小泉首相とそれをかばう自公与党。こんな政治を長くつづけさせるわけにはいきません。国民のくらしと権利を保障している公務サービスを改善・拡充することこそ、国民が求める改革です。小泉「構造改革」ではなく、もうひとつの日本へ、政治の流れを変えるとりくみがますます重要になっています。

安心できる公務・公共サービスをめざそう
 昨年12月、全労連は、「小さな政府=大きな国民負担」に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす闘争本部を発足させ、小泉流宣伝をはね返す国民的運動を全国津々浦々から取り組むことを提起しました。
 国公労連は、今国会に提出される社会保険庁改革関連法案、とりわけ新組織移行にともなう職員の雇用問題については、全厚生だけの問題ではなく公務産別全体の課題として位置づけ、取り組むことを決定しています。
 小泉内閣の支持率も急速に低下し、「小泉政権は末期症状を呈し始めた」との社説まで出始めました。こうした情勢の変化を確信に全国各地から反撃の闘いを強めましょう。

リレーずいそう
●メダルへの道
トリノオリンピックが現在行われているが、前半戦を終え、日本のメダル獲得数は0個。メディアでは、健闘をたたえる声が上がる一方で、悲観的な意見を言葉にする方達も多い。私はアテネパラリンピックゴールボール競技において、コーチとして参加させて頂き、銅メダルという素晴らしい成績を残した。
 現在は、北京パラリンピック出場権を目指し、毎月1回日本各地で全日本の選手と共にトレーニングを行っている。1月下旬もカナダ遠征を行い、アメリカ・カナダ強豪チームと試合を行ったり、チーム力向上に励んでいる。6月にはアメリカでパラリンピック出場権を兼ねた世界選手権があり、ここで4位以内に入れば、出場権を獲得することができる。しかし、非常に難しい道のりである。
 あの舞台に立つだけでも大変なのに世界で3番に入らなくてはもらえないメダル。切符を獲得するために血を吐くぐらいのトレーニング。世界に勝つためにどうしたらいいのか?日々考えながら生活する。大舞台で勝つことは本当に難しい。もっともっと競技を楽しみながら選手達の頑張りにエールを送ってほしい。
頑張れ!!日本!!
(福岡支部 組合員)

News
働くルールの確立めざす
国公労連女性協拡大代表委員会開く

 国公労連女性協は2月4〜5日、東京都内で拡大代表委員会を開催し、06年春闘方針を決定しました。方針案を提案した北畠事務局長は、憲法改悪反対・国民投票法案の阻止、公共サービス商品化反対のたたかいをはじめ、母性保護、育児休業などの制度改善、勤務時間延長問題では女性が働き続けられるルールの確立に全力をあげようと提案。討論では、各単組と県・ブロック国公の代表が発言しました。全厚生は金子女性部長、木立女性部事務局長、大阪国公から大内さんが出席。金子部長は、社会保険庁改革の概要と職場で何が起こっているかについて紹介しながら、「国民の社会保障を守る立場で頑張れば、雇用も保障されると信じている」と発言しました。(写真左)拡大代表委員会では、5月26〜27日に札幌で第36回国公女性交流集会を開催することを確認しました。

全厚生青年の取り組み発言
国公労連青年協拡大代表委員会開く

 2月4日〜5日、国公労連会議室で国公労連青年協2005年度拡大代表委員会が開催されました。全厚生からは業務センター支部の佐藤青年対策部事務局長が代表委員として、本部からは宮田・西田青年担当が傍聴で出席しました。笠松国公青年協議長の挨拶のあと、執行部より06年春闘方針案と国公青年交流集会の提案がありました。全厚生からは佐藤中央委員が「今年10月開催の青年交流集会成功にむけて、そのプレ企画として3月10日の中央行動に併せ、青年部長会議を開催する。その中で3月10日が東京大空襲の日ということもあり、体験者から話を聞く学習会を予定している。また、昨年の青年部長会議では、福祉の現場を見にいく企画として、秩父学園見学を行い、そのことにより組合に1人加入した。社会保険庁改革で職場は大変だが、交流集会成功に向けて頑張る」と発言しました。方針案は満場一致で採択されました。

「小さな政府」は許さないぞ
国公労連の2・10中央行動に参加
 国公労連は2月10日、「行政改革推進法案」や「市場化テスト法案」が国会提出されようとする情勢のもとで、国民の安心・安全、行政サービスの後退を許さず組合員と家族の暮らしを守る2・10中央行動を実施。全国から650名が参加しました。
 行動は、人事院・行革推進事務局前での要求行動や日比谷公会堂での集会、国会請願デモを行い、全国会議員に「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める」要請を行いました。全厚生は、本省・統計・業務センター・基盤研・国リハ・神奈川県の各支部と本部から21人が参加。その後開かれた独法労組春闘交流決起集会には、杉浦書記長と基盤研支部の小浦書記長が参加しました。
 日比谷公会堂での「許すな!公共サービス商品化・怒りの大集会」で堀口委員長は、「社会保険庁改革は公務員全体に対する攻撃だ。国公労連の課題として組織をあげて取り組む」と挨拶。決意表明で全厚生杉浦書記長は、「社会保険庁改革は選別雇用のおそれがある。雇用確保に全力をあげる」と述べました。
 集会と平行して人事院、総務省、財務省、行政管理局、経済財政諮問会議、規制改革・民間開放推進会議、行革推進事務局に各単組の代表も参加し要請を行いました。

休憩・休息見直しやめよ
人事院が「適正化措置」提案
 休憩・休息時間の見直し問題に関して、人事院は2月10日、国公労連に対し、これまでの交渉経過などを踏まえ、「適正化措置」を提案してきました。内容は、当初提案どおり「休息時間は廃止する」としていますが、「休憩時間60分」については、「各職場における業務の実情、昼休み時間等を総合的に勘案して、45分とすることができるものとする」としています。そのほか、「小学校就学前の子の育児又は小学生である子の学童保育施設での託児のために必要があると認められる職員、要介護者を介護する職員その他人事院の定める職員について、職員から申出があった場合で公務の運営に支障がないと認められるときは、休憩時間を30分とすることができる」などの特例措置をとるとしています。施行期日については、当初4月としていたものを、「改正規則は、平成18年2月中を目途に公布し、7月1日から施行する」としています。
 国公労連はこれに対する対応方針について中央闘争委員会を開き討議。この間の交渉で主張してきた休息時間廃止にともなう拘束時間の延長反対などの基本的な要求に、人事院は応えておらず、休息時間廃止にかかわる説明責任が果たされていない。また、「特例措置」の具体的な適用事案の取り扱いが不明確のままであり、休憩時間が極端に短くなるなど、新たな問題が生じているとして、2月14日に人事院に対して、職場連判状を提出するとともに、意見書を提出し検討を求めました。
 全厚生は、「働き続けられなくなる職員を一人も出さない」という立場で、人事院交渉に臨み、組合員の声を届け、提案の撤回と改善を求めてきました。

東海ブロ
共同した運動強め
第8回総会を静岡で開く
 全厚生東海ブロック連絡協議会は2月4日、第8回定期総会を静岡市内において愛知・岐阜・静岡県支部の組合員20名が集まり開催しました。
 厳しい情勢の中、この1年ブロックとしての取り組みはあまりできませんでしたが、運動方針では公務労働の商品化反対、医療改悪を許すなの共同街頭宣伝行動など、親睦を兼ねた遊びを含めもっと各県との交流をすすめて、共同した運動を強めていくことを確認しました。
 総会の後、本部の杉浦書記長を講師に「社会保険庁組織再編と運動の具体化」と題して学習会を行いました。書記長は、中央委員会後の情勢を含め、今後の取り組みなどを提起。組合員からは、選別人事を許さず、組合員全員の雇用を守ること、分限処分をさせない取り組みが重要であることなどの意見が出されました。
(愛知県支部 組合員)

障害者自立支援法でどうなる国立施設(連載<1>)

自立支援法は『対岸の火事』ではない
函館支部支部長

 1月22日、全厚生06年度中央委員会の翌日、東京都内で福祉部門支部代表者会議が開催されました。今回の内容は、昨年秋の特別国会で成立した障害者自立支援法施行に伴う検討として、その学習と検討をメインに行いました。この法律施行の目的や背景を始め、施行後に想定される問題点や課題を中心に説明をし、その上で時間の許す限り最大限に議論を行いました。

大幅に増大する利用者負担
 この法律の大きな問題点は、大幅な利用者負担の増加です。これまでの「応能負担」に変わり、「応益負担」として、受けたサービスの供給量に応じて利用料負担がかかる仕組みに変わることです。わずか2年で破綻した支援費制度の財政的負担の早期解消を目的に、新制度での利用料徴収は、制度移行の6カ月前である平成18年4月からとなっています。その詳細については各施設で全職員にあまり説明されておらず、大抵の職員は利用料が上がる程度の認識しかないのが現状です。しかし、実際は、利用料が増大するだけではありません。その先の制度移行を視野に入れた議論が未だされておらず、支援費制度移行後、利用者本位を前提に推進しているはずが、そうなっていないのも現状です。
 昨年秋に開催された国立施設管理室交渉では、今後、利用者への悪影響を極力さけるため、その説明責任については時期的なものも含め、最大限の努力をしてほしい旨を申し入れました。しかし、法律は成立したものの、政令・省令が当初のタイムスケジュールから大幅な遅れが生じ、様々な状況を想定していないため、実際に説明の段階で各論に入ると担当者が回答できないなど、細部についての検討の乏しさがあらわになりました。場当たり的な厚生労働行政が浮き彫りにされた一面ではないかと思われます。

遅れる新制度への移行作業
 ただ、今後は、国立施設としてこの制度を推進していく側であり、早急に細部についての検討や移行に向けた諸作業を行っていく必要があります。1月末に公布された政令に引き続き、省令の公布を待ち望んでいる状況であり、国立施設の利用料並びに新制度移行への諸作業を早急に進めないと平成18年10月の制度移行に間に合わないことも考えられます。民間施設の場合は制度移行後概ね5年以内という経過措置期間が設けられていますが、国立施設の場合「率先して」同時に現行サービスを移行するという方針もあり、一刻も早い対応が望まれています。
 しかし、説明責任を負う職員も、細部の未調整部分が解消されなければ、理解することはできません。また、訓練部門(教務課・医務課等)では制度移行を含めた総合的な理解に至っておらず、所属長などの幹部や指導課職員の焦りとは裏腹にその危機感を感じている職員も少なく、「対岸の火事」の状況となっています。このため、早急に利用料(定率負担・ホテルコスト)の詳細を出し、この立ち遅れている現状打破を目指すことや、利用者の損益を考え、費用負担と同時に制度移行も行わなければ、「費用はかかるがサービスは同じ」というアンバランスも生じてくるかと思われます。
(つづく)

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