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◆第1635号(2005年12月5日付)◆


評価制度で労使協議を尽くせ
人事課長と秋闘要求で交渉
 全厚生は11月29日、大臣官房人事課長と秋闘の重点要求で交渉を実施。全厚生から杉下委員長、飯塚・鈴木・三角各副委員長、杉浦書記長、福士書記次長、木立・田口・宮田各中執が出席。人事課からは、木倉人事課長、渡延参事官、西山人事調査官らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長は、行政機関の責任は、憲法の理念である国民の権利と福利の実現であり、本来の役割にむけて、抜本的に拡充強化することが必要だと主張。何がなんでも公務員を減らせという論調は、国民の生活と権利を守る行政分野を縮小するものであると指摘。切実な重点要求の実現を求めました。
 これに対し、木倉人事課長が一括して回答。定員関係では、「5年間・10%以上」の定員削減計画を中止し、行政ニーズ・職場実態に応じた定員確保を要求したのに対し、「大変厳しい状況。業務の重要性を強く訴え、行政サービスの水準が後退しないよう努力したい」と回答。公務員制度改革の課題では、評価制度の「試行」を一方的に強行せず、労使協議を尽くすことを要求。これに対し、「1月からの試行の実施に向けて、全省的な試行のあり方について、議論していきたい」と回答。社会保険庁改革の課題では、社会保険行政は憲法25条にもとづき国の責任で拡充し、「市場化テスト」の対象として「民間開放」を行わないことを要求。これに対し、「『社会保険新組織の実現にむけた有識者会議』で具体的な議論がされている。国民の目からみて信頼され、仕事の責任が果たせる組織になるように議論を尽くしてもらう」と回答。社会保険庁の新たな人事評価制度については、全厚生との十分な協議を行うことを要求。これに対し、「上司と部下の間のコミュニケーションを深め、組織全体が明確な目標を持って取り組むことが評価の目的。改善すべき点は改善していく姿勢でないといけない」と回答。
 国立試験研究機関の課題では、独立行政法人国立健康・栄養研究所の非公務員型への見直しを行わないことを要求。これに対し、「総務省の評価委員会で厳しい指摘(非公務員化)がされている。しかし、研究所の役割が発揮でき、安心して研究に取り組んでいけるように研究条件を確保する努力をしたい」と回答。給与構造・地域給「見直し」では、労働組合と十分な協議を行うこと、地域手当の官署指定を現行調整手当と同様とするよう要求。これに対し、「給与は、職員の士気や生活にかかわる問題。十分な理解を得ながらすすめる。官署指定は、慎重に検討するよう人事院に説明を求めていく」と回答。

恒常的残業解消を
 本省庁職場の恒常的な残業改善の要求では、「本当に憂慮すべき事態。業務を見直し、早く帰れる勤務状況にする必要がある。国会や予算の作業が時間を問わず要求され、難しい点もあるが意識を高めて取り組んでいく」と回答。男女共同参画社会の実現をめざし、女性職員の採用と登用の拡大をすすめる課題では、「採用・登用拡大計画を策定しすすめている。今年は新たな計画を策定し、より具体的にとり組みをすすめたい」と回答。再任用制度では、希望者全員の雇用のために最大限の努力を要求。これに対し、「再任用制度は、定員との関係では使い勝手の悪さがあり、人事当局として各省共通の思いがある。改善を図るよう努力したい」と回答しました。

栄研は公務員型で
 一括回答の後、さらにやりとり。鈴木副委員長は、福祉職場の現状を訴え、定員確保の努力を要求。飯塚副委員長は、新たな人事評価制度について、わずかな試行で本格実施に入ることや相対評価の問題点を指摘し、改善を要求。杉浦書記長は、国立健康・栄養研究所は、業務や研究内容から、公務員型であることがふさわしいと指摘。公共性を発揮する研究・労働条件の確保を要求。さらに、給与構造の見直しでは労使協議と公正な運用、地域手当では現行調整手当での官署指定を同水準で維持するよう要求。三角副委員長は、霞国公残業実態アンケート結果を紹介し、実態把握と実効ある残業改善を要求。木立中執は、女性の採用・登用拡大計画の新たな策定では数値目標を掲げるよう要求しました。

リレーずいそう
●今年の紅葉
 秋の紅葉は、私の苦手な冬を知らせてくれるものであり、それ以上に鮮やかな色のコントラストは私の楽しみでもありました。
 そしてこの4月、暖かい伊東から4年ぶりに塩原に戻ってきました。
 美しい新緑や、エアコンをほとんど使うことのない夏が過ぎると、あっという間に紅葉の季節となりました。
 段々と色づく山々にふと気がつくと、職場の正面の山も、裏手も山も茶色のグラデーションになっていました。これから色づくのかとも思いましたが、結局そのまま赤にも黄色にも変わることなく葉は散ってしまいました。
 確かに、とてもきれいに色づいている木もたくさんありますが、山全体が色づいているという印象を感じることはできなくて残念に思いました。
 ニュース番組では、名所である京都の紅葉も神宮外苑のイチョウ並木も色づきが遅れているため、観光にも影響が出ていると伝えています。
 きれいな紅葉の条件として昼夜の温度差が必要であり、また、必要以上の夏の暑さは葉を傷め、色づく前に枯らしてしまうそうです。くすんだ色をしている山を眺めていると、活字としてはよく見聞きする「地球温暖化」の影響かとも考えます。
でも、こんな堅い言葉を使わなくても、何か変だということだけは確かに感じました。
 今年の紅葉だけが特別であって、また来年、きれいな景色が見られるといいと思っています。
(塩原支部 組合員)

News
もうひとつの日本めざす
全労連が春闘討論集会を開催

 全労連は12月1〜2日、静岡県熱海市で「06国民春闘討論集会」を開催。200人あまりが参加し、「06国民春闘構想第2次案」について討論を行いました。
 討論集会では、「小さな政府=大きな国民負担」に反対し、「もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす闘争本部」(略称・もうひとつの日本闘争本部)を確立したたかっていくことを提案しました。単産・地方から37人が発言。全厚生からも参加しました。

「支え愛」の加入促進を
国公共済会が9カ所で拡大推進会議

 国共済会は拡大推進会議を全国9ブロックに分け開催。関東ブロックは12月2日に東京都内で開催しました。坂本修弁護士を講師に「自民党の憲法草案をどう斬るか」とのテーマで憲法学習会を実施し、来年1月から制度開始のワンコイン共済と生命共済オプションの生命特約共済等についての説明を受けました。質疑応答ののち、加入促進等の経験交流を行いました。全厚生からは、神奈川県支部と本部から3人が参加しました。

米軍騒音被害に損害賠償
新横田基地公害訴訟が控訴審判決

 11月30日、東京にある米軍横田基地を巡り周辺住民5530人が国に米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めや騒音被害への損害賠償を求めた新横田基地訴訟の控訴審判決が行われ、東京高裁は、飛行差し止めは棄却しましたが、基地騒音訴訟の賠償総額としては過去最高の約32億5000万円の支払いを命じました。裁判長は、違法な基地騒音に補償制度すらないのは「法治国家のありようから見て異常」で「怠慢のそしりを免れない」と、国の姿勢を厳しく批判しました。

愛知県
人事評価制度に不安
学習・意見交換会を開催
 11月24日、人事評価制度の学習・意見交換会が愛知県で開催され、本部から杉下委員長、飯塚副委員長、杉浦書記長が参加し、愛知県支部から事務所課長以上の人事評価試行対象者を含む20名が参加し、岐阜県支部からは澤村支部長始め2名が参加しました。
 杉下委員長が今回の意見交換の目的について話し、飯塚副委員長が人事評価制度を説明しました。その後組合員との意見交換が行われました。 杉下委員長は、組合員の意見をふまえ、「今回の人事評価制度はいわゆるモルモットの状態であり、私たちがこのプロセスについてどのように対応したかが公務員全体の人事評価制度を決めるに当たって決定的に問われる」「観念的にではなく業務運営や人事管理においてどのような矛盾が派生するのかを浮き出させる取り組みが大事である」「個人的に抵抗するような戦術では成功しない」と闘いの基本姿勢について話しました。
 各組合員からは、「人事評価制度をやってダメになったとき、これまでの状態に戻るということはあり得るのか」「庁に対する人事評価制度のアンケートを出さないと、俺たちはこの評価制度を認めたことになる。だから出さないといけない」など、人事評価に対する不安や、問題点について活発に意見が出されました。
(愛知県支部 組合員)

京都
評価制度に率直な意見
人事評価制度懇談学習会開く
 11月25日夜に京都にて、事務所課長組合員を中心にした「人事評価制度懇談学習会」が開催されました。少数ながら、日頃からの仕事への思いも交えて、貴重な意見があいつぎました。
 「このままでは、病気や家庭に事情を抱えた人は職場にいられない」「トップダウンの職場運営の中だが、重要な課題は職場全体の納得がない限り実施させるべきでない。労組としてしっかり対処すべき」「直接処遇に結びつけることへは議論がいるが、全部B評価でも、皆目標に向かって努力し、全体レベルは向上するのでは」「評価への意識でミスなどを隠すようになるのでは。そして、職場での監視を強めざるを得なくなる」「従来人を動かすことについて本気でやってきていない中、お金だけが人を動かすとは思わないし、レベル向上が求められる中では、いい方向にむけ活用できればよい」「地方の組織再編の議論でも職場意見が反映されないもとで急な実施はとても心配」「08年の健保と年金組織へ人を分ける目的だけの導入ではないか」など、率直な意見が出されました。
 この場では、労使の枠を超えた流れの中、阻止は困難という現実のもと、ただ反対ではなく、よりしっかりした行政機関にするため、議論を深めて認識を共有しながら、組合全体の立場を確立することが重要ということが確認されました。
(京都支部 組合員)

庁交渉を再配置
社会保険支部代開く
 12月2日、東京都内で社会保険支部代表者会議を開催し11支部21名が参加しました。
 この日予定していた社会保険庁交渉は、交渉相手の社会保険庁幹部が「有識者など関係団体調整会議のため対応が困難になった」ためとした理由で急遽延期されました。支部代表者会議では、来年の通常国会で新組織発足に向けた改革関連法案の提出が予定される重大な局面にあることから、延期についてはやむを得ないと判断し、来春闘の最重要課題とし交渉を再配置することを確認しました。
 また、新たな人事評価制度に対する取り組みとして、各県の職場討議状況や特徴的な職場意見、当面の取り組みについて議論を深めました。また、11月21日に明らかにされた社会保険庁の「新組織の構造・機能に関する法制度や組織・業務改革に伴う人員削減計画(素案)、職員の新組織への移行」などについて情勢認識を深めるとともに今後の運動方針の具体化について活発な議論が交わされました。

核も基地もない平和な日本を
日本平和大会in神奈川
 横浜から京浜急行で約40分。長沢駅の閑静な住宅街を抜けた高台に「青い空を!」、「基地のない平和な日本を!」と願い海を見つめ続ける母子像が建っています。1977年9月27日、横須賀を母港としている空母ミッドウエーの艦載機RF14Bファントム偵察機が厚木基地を飛び立った直後、墜落。付近は一瞬にして火の海になり9人が大火傷を負い、2人の幼児が翌未明なくなり母の林和枝さんも5年後非業の死を遂げます。米軍機墜落事件から28年。平和を願う多くの人の心から、この事件は消えることはありません。
 母子像の願いに反して、日米安保条約の下、全国135カ所もある米軍基地は、日本を米国の危険な戦争政策の足場にしています。これらの基地は、自衛隊をはじめ、日本全体を米国の戦争に動員していく重大な役割を果たしています。
 第2の基地県、神奈川県には17カ所。座間基地に米陸軍第一軍団司令部を米国から移転、横須賀基地に原子力空母の配備、池子に米軍住宅の増設など米軍再編強化の焦点となっています。県内では、県民はもちろんのこと、横須賀、座間、相模原市長・議会をはじめ近隣の自治体、県知事もこぞって基地強化に反対をしています。
 こうした中、神奈川県で開催された05日本平和大会2日目(11月23日)基地調査行動(厚木〜座間コース)6号車は全厚生が担当、車長は本部西田書記、基地ガイドは神奈川県支部書記長川名がおこない、社会保障改悪、社会保険庁問題などにもふれ、神奈川の基地の実態を報告しました。
(神奈川県支部 書記長)

新執行委員紹介
少年サッカーコーチも務める情熱家
 久々に全厚生中央執行委員に返り咲いた山本潔さんは、休職専従として活躍されていた当時のままの熱い情熱で、私たちの職場の未来のために中央執行委員になることを決意していただきました。地元では、学童保育の会長とあの体型に似合わず少年サッカーの名(?)コーチとしても活躍され、職場・地域から厚い信頼を受けている山本さんです。
 いま、政府が推し進める改革の嵐に、私たち社会保険職場も吹き飛ばされそうになっています。しかし、「職場を基礎にした活動を進め、私たちの手で職場を改革していくことが必ずこの嵐に打ち勝つことができる」ことを信条とする経験豊かで信頼できる山本潔さんが、中央執行委員に復帰して職場の改革を進める全厚生労働組合の中心となって活躍していただけることを本当にうれしく心強く思っています。
 全厚生労働組合の専従として活躍されていた経験とその厚い人望で、これからの全厚生労働組合を引っ張ってくれることをおおいに期待しています。
(京都支部 組合員)

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