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◆第1630号(2005年10月15日付)◆


ただ働き残業の根絶を
霞が関で定時退庁行動を実施

東京国公と霞国公は10月5日、霞が関で定時退庁・ただ働き残業根絶一日行動を行い、本省・統計両支部と本部が参加。各省庁の早朝門前ビラ宣伝に始まり、霞が関官庁街一周昼休みパレード、定時退庁鐘鳴らし行動と終日行動を行いました。昼休みパレードには、雨にもかかわらず、200人が参加し、無定量長時間のただ働き残業の根絶を訴えました。
これに先立ち9月28日、霞国公・東京国公は厚生労働記者会で第13回残業実態アンケートの結果を発表。霞国公の三角美智子事務局長(全厚生副委員長)が概要を説明。残業が増える最大の理由として6割を越える職員が「業務量が多いため」「定員不足」をあげており、霞が関で働く国家公務員の残業時間を人事院の指針である年間360時間に納めるには3100人以上の増員が必要になるとの試算を示しました。さらに、「6割の職員には、残業代が支払われていない」という結果を明らかにし、「違法なただ働きが野放しになっているが、管理職の責任は問われていない」と述べました。
残業アンケートは、霞が関で働く国家公務員の約1割にあたる4138名が回答。過労死ラインとされている月平均80時間以上の超過勤務を行っている人が12・0%(全厚生本省支部の集計分では実に40%)、毎日の帰宅時間が24時を超える人が9・5%、「体調不良」、「薬を服用中」及び「通院加療中」の人は37・6%にも達し、霞が関中央省庁の勤務実態が職員の尊い命を奪いかねない危機的状況にあることを浮き彫りにしました。同時に、これらの超過勤務実態を当局が把握していないことは重大です。
が関と同様の過酷な勤務の犠牲になった横森真二さんの過労自殺裁判の判決が9月27日、甲府地方裁判所で出されました。全厚生も、国と厚生労働省に、控訴を断念するよう要請しましたが、10月7日、不当にも当局は控訴しました。全厚生は、10月14日の中央執行委員会で、東京高裁に移ったこの裁判を支援していくことを確認しました。

再び犠牲者出さない職場に
横森さん過労自殺裁判の支援を
 社会保険庁・社会保険業務センターに勤務していた横森真二さん(当時23歳)は、業務によるストレスと長時間労働による過労が原因でうつ病を発症し、1997年4月5日に自殺しました。
 これを2002年12月人事院が公務災害と認定した事件で、ご両親は2003年7月31日甲府地方裁判所に社会保険庁長官の謝罪と事故再発防止を求め、慰謝料を含め1億2259万円の損害賠償請求を行いました。
 本年9月27日甲府地方裁判所は、人事院の裁決を踏まえて綿密な事実認定を行い、債務不履行に基づく安全配慮義務違反や、結果回避可能性など国の過失を認め、初めて国に損害賠償金7100万円余を支払うよう判決しました。これは社会保険庁の過酷な労働実態、労働安全衛生体制を明らかにし、それに大きな警鐘を鳴らした判決です。 しかし、当局は10月7日「自殺は公務災害だが、安全配慮義務違反があったとはいえない。自殺は直前まで予見できず、防ぐことができなかった」として控訴しました。控訴は非常に残念であり、当局は解決を先延ばしせずに、この判決を真摯に受け止めるべきです。

当局に超過勤務時間を把握させる
 この事件が起きて8年が経過しています。職場の働く環境はどう改善されたか改めて検証することが必要といえます。支部ではこの間、このような不幸な公務災害が再発しないよう、具体的方策を求めてきました。一つは「健康・安全管理委員会」の設置(組合から2名参加)。二つ目が、メンタルへルス対策としての研修の実施とカウンセラーの設置。三つ目が超過勤務時間の把握です。そして四つ目が本人に配慮した柔軟な人事異動の導入です。いずれの方策も実施されてはいるものの、対応はまだまだ不十分であり、さらなる改善が必要です。
 超過勤務時間の把握については、手当をつけるためだけの目的から、健康・安全管理という観点を取り入れ、超勤命令簿上の時間ではなく、実際の労働時間を把握し、各課の管理から庶務課の集中管理になりました。健康・安全管理の前進面といえます。今後、恒常的に残業している職員の健康診断、超過勤務の強制的制限の導入などが必要と考えます。
 今回の判決後、センター幹部は管理者に対し、この判決内容について、職場における管理者として安全配慮義務として具体的に何ができるのか考えるよう伝達しました。また、健康・安全管理委員会の当面毎月開催(これまでは年2回)が決まっています。健康・安全対策は科学的な学習と日常からの配慮が不可欠です。当局は当然ですが、労働組合の責任も重大です。
 裁判は高裁に移りますが、全国のみなさんに心からご支援をお願いいたします。
(業務センター支部 支部長)

リレーずいそう
●メンタルコールド
 メンタルヘルス問題はかなり深刻だ。私は医者(内科)だが、恥ずかしながら身近にあった典型的仮面うつ病に全く気付かなかった事がある。その反省からその後は気付くようになった。うん?気付きすぎだ。何故こんなに多い!?
 それはさておき、昨今の言葉遣いには違和感がある。「メンタルヘルス」これは良い。英語をカタカナにしただけだ。しかし、「メンタル発症?」「メンタルになりました?」これは何だ。メンタルが名詞になっている。これはおかしい。恐らくは「心の病」という意味で使われているのであろうが、いくらなんでも無理がある。「心の病」は英語ではmental disorder(s)であろう。かと言って、mental disorderをメンタルディスオーダーとするのは、ちと長すぎる。良く、心が風邪を引いた状態と形容される。従って「Mental cold (メンタルコールド)」という表現が「心の病」には良いのではないだろうか。インターネットで検索したところ、1973年にFrostさん*という方が既に提唱されている。その後普及せず一般的になっていないが、「心の病」には「Mental cold (メンタルコールド)」という表現を用いるべきと重ねて提唱する。もちろん、無理にカタカナを用いる必要はない。「心の病」という表現で充分ではあるが。
*1973年FrostM, the mental "cold", Nurs Mirror Midwives J
(感染研支部 組合員)

News
人勧の完全実施を閣議決定
9.29総務省前で抗議の要求行動

 政府は9月28日、05年人事院勧告の「完全実施」を閣議決定しました。公務労組連絡会は9月29日、総務省前要求行動(写真上)を600人の参加で実施。全厚生も参加し、政府の「マイナス勧告」「給与構造見直し」の05年勧告の実施決定に抗議し、公務員総人件費削減を阻止する決意を固め合いました。

障害者施策の明日を語ろう
東京の25団体がフォーラムを開催

 10月4日、「いまだから語りあおう!障害者施策の明日を」が東京都なかのZEROホールで開催されました。主催は都内の主要な障害者団体25団体が集まった「とうきょうフォーラム実行委員会」。障害者や家族、ヘルパーなど関係者約1300人が参加しました。きょうされん東京支部からは、「障害者基礎年金2級の給付額が月約66,000円で、障害者の生活保護の約155,000円を大きく下回っている。家族が支えていかないと生きていけない」と発言、本格的な所得保障制度の確立を求めました。集会では、所得保障制度、普通に暮らすための「人の支え」とそれを支える制度、安心して「自分の力」が発揮できる働く場の制度の充実を求めるアピールを採択しました。

共闘広げ社会保障拡充を
厚生共闘第27回定期大会で確認
 厚生共闘(全厚生・全医労)は9月30日、東京・茜荘において第27回定期大会を開催。国民・労働者犠牲の小泉構造改革に対峙し、憲法改悪阻止、政府の総人件費削減政策、公務の民営化を進める市場化テスト法の導入反対、国立病院機構を被告として全医労が提訴した「不利益・雇止め是正裁判」の勝利のため「公正判決要請署名(個人・団体)」の強化に全力をあげる方針を確立しました。
 冒頭、保木井議長(全医労元委員長)は、「先の衆議院選挙では郵政民営化が争点になったが国民はこのことに関心があったのだろうか。今国民が求めているのは安心して生活できる社会保障の拡充ではないだろうか。国民の視点にたって行動することが求められている」と執行部を代表して挨拶しました。
 また大会に国公労連・盛永副委員長と全労働・新宮委員長が来賓あいさつ、新宮委員長は「今我々にかけられている攻撃はとても強力。『定員削減』『市場化テスト』など公務の在り方そのものを揺るがすもの。厚生労働省3組合協力して闘おう」と訴えました。
 続いて藤巻事務局長(全厚生元副委員長)が運動方針案を提案。「9条の会」の運動を教訓に、改憲勢力のねらいを打ち破り国民投票法案の成立阻止、公務の重要性・必要性を訴え「公共サービス商品化」反対宣伝行動への結集、全医労・全労働・全厚生、厚生労働省内の3つの単組の共同行動の追求など社会保障解体につながるあらゆる策動に反対するたたかいの強化、大臣交渉、医療・福祉関係団体との交流・情報交換など国民本位の厚生労働行政の確立をめざす運動を重視する厚生共闘の役割発揮を中心にした提案がされました。
 限られた時間でしたが討論では4人の発言がありました。全厚生からは、神奈川県支部の飯塚代議員と業務センター支部の峰代議員が発言。飯塚代議員は3月5日に開催された「国民本位の年金制度と真の社会保険庁改革を考える」シンポジウムの後援団体に賛同してくれたことへのお礼、峰代議員は業務センターで過労自殺した横森さんの裁判支援へのお礼を述べました。すべての議案は満場一致で採択され、北川新議長(全医労委員長)の団結ガンバロウで幕を閉じました。
 新役員は次のとおり。
▽議長 北川寿博(全医労)、▽副議長 杉下茂雄(全厚生)、渡辺伸仁(全医労)、▽事務局長  飯塚勇、▽事務局次長 杉浦公一(以上全厚生)、岸田重信(全医労)、▽幹事 福士広志、宮田健一(以上全厚生)、淀房子、府中勝博(以上全医労)


労働基本権侵害も否認
国公権利裁判に高裁で不当判決
 「不利益遡及は許さない!国公権利裁判」の控訴審は9月29日、控訴棄却の不当判決を行いました。 国公労連は同日、「不当な判決に強く抗議する」とともに、「公務員労働者の労働基本権回復を実現し、不利益不遡及法理の後退を許さないため、引き続き奮闘する」書記長談話を発表しました。
 国公権利裁判は、2003年3月5日に東京地裁に提訴以来、大衆的な裁判闘争をめざし、組合員全員が原告団(控訴審では100人の原告団、全厚生は7人の原告団)の立場でたたかってきました。具体的な争点は、(1)憲法28条の団体交渉権保障の侵害による違憲・違法性、(2)適切な「代償措置」とは到底言えない機関(=人事院)による給与減額のための立法の違憲・違法性、(3)そもそも日本が批准しているILO87号、98号条約違反による違法性、(4)不利益遡及は脱法行為、不利益不遡及の原則の法理に違反し、法的に許されない、などを根本的に争いました。
 控訴審判決は、一審判決に比べ、期末手当での減額調整の措置が不利益不遡及の原則に対して、脱法行為であるか否かを踏み込んで検討。減額調整措置は、「法の趣旨を脱法するものとはいえない」と判断。しかし一方で「給与を生活の糧とする国家公務員にとって、相応の苦痛を与えるもの」として、国家公務員の被害の程度が考慮されなければならないことを判示。これは、「不利益不遡及の原則」が適用されうる余地を認める内容です。その上で、減額調整措置は、「民間準拠による給与水準の確保の手法は、正当」とし、人事院勧告での(減額調整措置の)選択をしたことには合理的根拠があると評価。減額措置を受容するのもやむを得ないと述べ、脱法性を否認。また、労働基本権問題では、「国は、国家公務員の使用者として、憲法28条の規定により、国家公務員又は国家公務員で組織する労働組合との間で、勤務条件について団体交渉を行う義務を負っていると解することは困難」と述べ、「団体交渉権が侵害されたとの控訴人らの主張は、採用することはできない」と労働基本権侵害も否認しました。
 国公権利裁判の今後の対応について、10月7日に単組委員長会議で協議。控訴審判決は、不当であることを確認。一方、憲法第28条違反などの主張について、全農林警職法事件や全逓名古屋中郵事件判決での最高裁判例を維持していると評価。この判例の見直し変更を迫ることは極めて「高い壁」への挑戦となることを検討。裁判闘争をたたかってきたことの意義を確認し、公務員労働者をめぐる情勢を総合的に判断。控訴審で打ち切り、最高裁への上告手続きをとらないことにしました。


新専従役員紹介
行政引っ張るリーダーから組合牽引役へ
中央執行副委員長 飯塚 勇 さん


 今期、神奈川県支部から中央執行副委員長に再任された飯塚勇さんは、水も空気もきれいな奥会津の只見町出身。
 職場では勤続37年の大ベテラン、厚木社会保険事務所で業務1課長を担当、職員からの信望も厚く、神奈川県内では行政を引っ張るリーダー的存在でした。
 組合活動歴も古く、全厚生大分県支部結成に携わるなど重鎮として活躍、今年3月に大阪で開催した「国民本位の年金制度と真の社会保険庁改革を考えるシンポジウム」では、パネリストの大学教授や新聞記者を相手に堂々とコーディネーターの大役を果たし大成功を収めました。
 昨年からの容赦ない社会保険庁をはじめとした公務員バッシングでは人一倍心を痛め、全国で働く仲間のために奮闘する決意を胸に本部専従役員を決断。奥さんも快く送り出してくれたそうです。
 信念は「国民本位の行政実現」「生きがい働き甲斐のある職場の実現」。
ストレス解消法は「釣り」と「カラオケ」。カラオケはプロ級?噂では新宿のとあるスナックでレッスンに励んでいるとか・・?
今、小泉首相のすすめる「官から民」の大合唱の中、私たち公務員を取り巻く情勢は大変厳しい状況ですが健康に留意し、持ち前のマイペースでさらなる全厚生運動の牽引役を期待します。
(本部 組合員)


ギャラリー平和キャラ (17)

国衛研支部 組合員の作品

 全厚生女性部が募集した平和キャラクターを紹介するコーナー。今回で終了です。 〈評〉地球を我が子のように抱っこする母なるハト。母から見れば、地球はひとつ。戦争なんてしてる場合じゃない。貧困、災害、地球温暖化…人類共通の課題に共に取り組まなければね。ハトはそう諭しているのかも。

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