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◆第1629号 (2005年9月25日・10月5日付)◆


平和憲法守り、25条が輝く行政を
全厚生第69回定期大会を開催

仲間の労働条件守ってがんばる
 「草の根の運動で平和憲法を守り、憲法25条が輝く行政を確立しよう!」をスローガンに全厚生労働組合は、第69回定期大会を9月16日から3日間、静岡県内で開催し、今年4月に結成した医薬基盤研支部を承認するとともに、2005年度運動方針案と財政方針案を採択。新役員を選出しました。大会には、全国から代議員・傍聴者など123人が参加。新たな段階を迎えた社会保険庁改革に対し、仲間の労働条件を守り、国の責任を明確にした国民本位の社会保険行政確立へ奮闘すること、憲法改悪阻止の共同を大きく広げること、「頼りになる労働組合」として奮闘することなどを確認しました。大会宣言と「健康な職場づくり」、「憲法9条守る」の2つの特別決議を採択しました。

委員長挨拶
国民本位の行政を
全厚生の組織的前進で

 中央執行委員会を代表して、大会初日の冒頭、杉下委員長があいさつを行いました。
 杉下委員長は、まず、仕事が多忙な中で奮闘されている組合員、役員に敬意と感謝の意を表明するとともに、仲間の期待に応える真剣で熱心な討論を呼びかけました。
 続いて、総選挙結果についてふれ、3分の2を越す巨大与党が誕生し、どんな悪法でも通せる危険な状況となったが、重要な政策、政治路線で同じレールを走っている民主党が減り自民党が増えたという構図であり、基本的には選挙前と大差ないと考えるのが至当ではないか。選挙結果をもって、小泉政治全体を支持したものでも白紙委任したものでもない。4割台の得票で7割台の議席を占める現行選挙制度は、民意が正確に反映されない欠点・弊害をもっていることを指摘しました。
 次に、社会、職場状況、公務員攻撃などについてふれ、いまの日本社会は、「勝ち組」「負け組」とか、「市場原理」「競争」「能力・業績主義」などということが幅を利かす世情で、どこか殺伐としており、潤いのある社会とはいえない。これまでのたたかいで築きあげてきた社会のルール、安心・安全や社会的公正の仕組みが全面的に掘り崩されようとしている。さらに、憲法まで改悪しようとしていると批判しました。
 健康で生き生き希望をもって働き、生活できる社会や職場を実現するためには、一人ひとりがバラバラでは不可能であり、労働組合の力量を強化して、その役割を担わなければならない。全厚生は来年結成60周年を迎える。今年4月の医薬基盤研支部の結成にも学び、全厚生の組織的前進を勝ち取る決意を固め合おうではないかと呼びかけました。
 社会保険庁改革について、労使がまともな協議を行うことが重要であり、全厚生は、新組織への対応をはじめとして、仲間の労働条件を守り、国民本位の行政の確立をめざすことを基本に、総力をあげて奮闘するとの決意を表明しました。

大会宣言

 全厚生労働組合は「草の根の運動で平和憲法を守り、憲法25条が輝く行政を確立しよう!」をメインスローガンに静岡県伊東市において、第69回定期大会を開催し、一年間の経験と教訓を持ちより、職場と地域に根ざした2005年度の運動方針を確立した。
 小泉内閣は、郵政民営化法案が参議院で否決されたにもかかわらず、衆議院の解散・総選挙という暴挙を行い、自・公の与党で三分の二を上回る議席を獲得するという異常な状況となった。この背景には、48%の得票率で70%を超える議席を占めるという選挙制度に大きな問題があることも指摘されている。
 今後、サラリーマン増税や消費税増税、そして社会保障制度や憲法改悪などの動きにさらに拍車がかかることは明らかである。日々の暮らしや老後生活の充実を求める国民の声がますます強まっている中で、医療・年金、福祉など厚生行政に直接携わる私たちにとっても正念場となっている。障害者本位の支援制度や最低保障年金制度の確立、そして社会保障講師団活動の更なる発展など、継続した地道な取り組みの重要性があらためて確認された。
 2005年人事院勧告は「俸給水準の引き下げ」と「給与構造の見直し」、そして勤務成績の反映など、かつてない重大な内容となっている。職場・地域からの運動を反映し、一定の前進面も見られるが、退職手当の改悪問題とあわせ、この秋のたたかいの重要性が強調された。総選挙後のあらたな情勢のもと、様々な困難が予想されるが、職場での学習と分析、そして総人件費抑制や定員の大幅な削減、公務の民営化などに反対する取り組みとあわせ、国公労連に結集し要求の前進をめざすことが求められている。
 新たな段階をむかえた社会保険庁改革は、組織の解体や新たな人事評価システムの導入など極めて大きな問題を含んでいるにもかかわらず、労使協議もおこなわず、ただちに試行にはいるという異常な事態となっている。職場に無力感が漂うなか、労働組合の存在意義が問われている。公務の原点にたち返り、公務労働の意義と国民本位の行政サービスをあらためて見つめなおし、仲間の団結と権利を守るために共に奮闘する決意が確認された。一方、非公務員型の独立行政法人として2005年4月に設立された医薬基盤研究所で、全厚生労働組合30番目の支部が結成された。様々な困難な情勢のなかで奮闘された仲間たちの努力をたたえあうと共に、更なる発展を全体で確認した。
 慢性的な人員不足のなかで、恒常的なサービス残業やメンタルヘルスを含めた健康不安が増大している。全厚生は、悩みや不安をお互いに相談しあえる組合員相互のつながりを大切に、「頼りになる労働組合」として、組織の強化と拡大を図り、すべての労働者・国民を視野に入れた運動を重視してたたかうことを誓い合った。
 情勢は厳しさを増しているが、憲法改悪阻止、民主的な公務員制度の確立をめざし、社会保障、社会福祉の後退を許さず、職場・地域に根ざした広範な運動の発展のために全力でたたかうことを宣言する。

2005年9月18日
全厚生労働組合第69回定期大会

第1号議案
憲法9条と25条守ろう
05年度たたかう運動方針提案

 杉浦書記長は冒頭、国民の期待に応える厚生労働行政の確立をめざし、全厚生のすすむ基本方向について、現状を正確につかみ、仲間たちの思いを出し合い、展望や希望を語り合う大会にしようと呼びかけ、2005年度運動方針案、秋季年末闘争方針案の提案を行いました。
 情勢の見方について、私たちが運動をすすめる対決軸はどこにあるか、情勢の本質を見極めるために、憲法を座標軸にして世の中を見ることを提案。さらに、憲法が縁遠いものになっていないかと率直に問い、たたかいの基礎となり、土台をなす憲法の行方は、国民・労働者、労働組合にとって、最大の関心事であり、最優先の課題であると述べました。その上で、憲法「改正」の最大のターゲットは憲法9条にあること、改憲には「構造改革」をスピードアップし、いっそう推進するねらいがあると指摘。公務の民間化・営利化の攻撃が加速しているもとで、改めて公務労働とは何か、公務の原点にかえり考えることが必要であると強調しました。
 書記長は、来年2006年に結成60周年を迎える全厚生運動の原点は何かと問い、労働条件の改善とともに、社会保障の拡充、厚生労働行政の民主化のために活動してきた歴史に学び、輝かしい伝統を受け継ごうと提起。政策活動を強化し、行政研究活動をすすめるには、中期的な視点にたって全厚生の基本的な活動に据えることを改めて強調し、各部門ごとに活動を進めることを提起。社会保険庁改革に対する取り組みでは、この1年間、学習討議、労使交渉、宣伝行動、シンポジウムなど、様々な活動を取り組んできたことを総括。引き続き、最重要課題に位置づけて取り組むこと、継続的な改革に対するたたかいの構えをつくり、体制強化に努めることを提起しました。具体的には、(1)労使関係を重視し、職場討議を力に取り組む、(2)国公労連に結集して、たたかう、(3)国民的な運動構築をめざすことを提起しました。
 さらに、人間らしく働くルールの確立をめざし全力で取り組むことと併せ、平和と共に、社会保障の確立をめざす課題を提起。全厚生は、憲法9条と25条の相互の価値を探求し、「憲法の語り部」の取り組みを積極的にすすめることを提起。年金講師団の活動では、安心して暮らせる公的年金制度の確立、憲法25条にもとづく最低保障年金制度の確立をめざす課題を明らかにし、社会保障を語る年金講師団活動を前進させようと呼びかけました。
 最後に、日常活動を重視し、全員参加型の活動をめざし、要求実現の運動と一体で組織拡大に取り組み、頼りになる労働組合をめざそうと呼びかけました。

第2号議案
財政方針を決定
本部組合費は前年度と同じ

 大会初日、第2号議案である「2004年度決算報告と2005年度財政方針・予算(案)」および「超過執行に伴う予備費の支出について」を福士書記次長が提案しました。
 決算報告では、合理的かつ効率的な執行を心がけ、公務の民間開放や公務員の総人件費削減攻撃など多岐にわたる課題と結合した運動を予算の範囲で執行することができたことを報告。また、国公労連加盟費の超過執行に伴う、予備費の支出についての承認を求めました。
 財政方針・予算(案)については「公務の市場化・商品化」に反対する取り組み、「憲法改悪」に反対する取り組み、「国民本位の社会保障制度・社会保険庁改革」の取り組みが本格化することから運動と組織の発展を支えられるよう効果的な予算配分としたこと、一年間の運動を保障する財政を確保するためにも、果敢な組織強化拡大の取り組みなどを提案しました。
 大会2日目の議事終了後、財政小委員会を開催しました。委員会では業務センター支部の峰代議員を委員長に選出し、質疑・討論を行いました。
 討論では多くの委員から、組織強化、経費削減の観点からインターネットや全厚生ホームページリニューアルや機関紙などのPDF化など電子媒体の活用による経費削減、研究機関の十分な予算措置、「闘争費」など支出項目名称についての変更の検討など、厳しい財政状況の中で全厚生運動を前進させる観点での積極的な意見が出されました。財政小委員会では、討論を経て提案された第2号議案を採択しました。
 大会最終日冒頭に、財政小委員会の議論と採決の結果について財政小委員長報告を行い、全体の採決では、2004年度決算報告及び会計監査報告を承認し、2005年度財政方針・予算(案)を全会一致で採択しました。

本年度本部組合費
 一般会計について前年度同様、本俸×1・1%+420円、特別会計についても前年度同様、120円(月額)を専従役員補償特別会計に繰り入れることとなりました。

ともにたたかいましょう
来賓あいさつ

 大会では次の各氏が来賓として挨拶しました。
○国公労連・小田川書記長
 国公労連は、先の大会で決定した@9条改憲に反対A「公共サービス商品化」反対、総人件費削減反対B組織の整備・拡大の3課題を機軸に、「国民の中へ国民とともに」の運動を発展させる。国民に「なぜ年金制度は国で実施することが国民の利益になるのか」を全厚生の言葉で伝える運動を。
○全医労・岸田書記長
 小泉構造改革はアメリカと財界に奉仕し、国民に痛みを押し付ける路線。国際競争力を理由に、社会保障費の企業負担を減らすことが政府・財界のねらい。新たな高齢者医療制度の創設の動きや、共済年金と厚生年金の一元化などが取りざたされている。社会保障構造改革や社会保険庁改革など重大な課題が直面している全厚生と、厚生労働行政にたずさわる仲間として、ともにたたかいたい。
○日本共産党・井上哲士参議院議員
 総選挙の結果、自民党は多数を笠に着て、国民に痛みを押しつけ、大増税と改憲の方向を強めれば、改革を望んだ国民との間に新しい矛盾が生まれる。自民・公明・民主の各党は「民間でできるものは民間へ」と公務員の大幅削減を言うが、減らせばいいという問題ではなく、教育や福祉の分野は増やすべき。憲法に基づく基本的人権を保障する公務労働の必要性を国民が理解できるよう、草の根から運動を広げ、人間らしく生きられる政治の流れを作ろう。

メッセージに感謝
 第69回定期大会にメッセージをいただいた労働組合、団体は次のとおりです。(順不同)
 全国労働組合総連合、公務労組連絡会、健康保険病院労働組合、日本出版労働組合連合会、総理府労働組合連合会、全労働省労働組合、全法務省労働組合、全国税関労働組合、全国税労働組合、全経済産業労働組合、全運輸労働組合、全運輸省港湾建設労働組合、全司法労働組合、全建労労働組合、全気象労働組合
 国公共済会、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)、中央社会保障推進協議会、全日本民主医療機関連合会、原水爆禁止日本協議会、全国保険医団体連合会、行財政総合研究所、中央労働金庫霞ヶ関支店、年金実務センター

憲法9条を守り、平和でゆたかな世界をめざす決議

 憲法を変えようという動きがかつてないほど強まっています。「自衛軍」を明記した自民党の新憲法第一次案が、8月はじめに発表されました。民主党も、国連決議があれば海外での武力行使は可能としています。
 日本国憲法は、絶対主義的天皇制のもとでの侵略戦争による日本国民310万人とアジアの人びと2,000万人の犠牲と深い反省のもと、「主権在民」「恒久平和」「基本的人権の尊重」という崇高な理念で成り立っています。とりわけ、「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を規定する9条は、世界に誇るべき平和の宣言です。
 日本政府は解釈改憲をおこない、自衛隊を持ち、海外に派遣しましたが、憲法9条が「歯止め」になって、これまでに一度も武器を使用したこともなく、交戦したこともありません。改憲勢力は、「日米同盟」にもとづき、アメリカの「先制攻撃」戦略に日本を参加させることをねらっています。イラク戦争では多くの民間人が殺害されているように、改憲されればアメリカが始めた戦争に日本も参戦することになり、罪もない人を殺してしまうことになります。
 改憲をすすめる小泉首相は、今年の秋以降の国会に改憲の前提となる「国民投票法案」を提出しようとしています。この法案は憲法「改正」の国民投票に道を開くものであり、断じて許してはいけません。
 一方、世界に誇る憲法を守り発展させようと日本の良心を代表する著名9氏の呼びかけで「9条の会」が発足して1年、全国各地で、3,000を超える「9条の会」が発足しています。憲法改悪阻止一点での共同の広がりに確信をもち、全厚生「職場9条の会」で草の根の運動を前進させていきましょう。
 戦争と社会保障は相容れません。全厚生は、国民の生活と権利をまもり、戦争をしない国であり続けるため、地域や職場から憲法改悪反対の声を上げ全力でたたかいます。
 以上、決議する。

2005年9月18日
全厚生労働組合第69回定期大会

仲間とともにがんばります。
要求実現の先頭に2005年度執行体制
中央執行委員長(再) 書記局 杉下茂雄
中央執行副委員長(新) 感染研 伊藤健一郎
中央執行副委員長(再) 神奈川県 飯塚勇
中央執行副委員長(再) 国立リハ 鈴木徹
中央執行副委員長(新) 統計 三角美智子
書記長(再) 書記局 杉浦公一
書記次長(再) 神奈川県 福士広志
中央執行委員(再) 神戸 今井進
中央執行委員(再) 滋賀県 木瀬知彦
中央執行委員(再) 業務センター 木立圭子
中央執行委員(新) 大阪 倉橋忠司
中央執行委員(新) 秋田県 斎藤史明
中央執行委員(再) 本省 田口雅之
中央執行委員(再) 愛知県 深沢英二
中央執行委員(再) 愛知県 宮田健一
中央執行委員(新) 京都 山本潔
中央執行委員(新) 愛媛県 横田慎二
特別中央執行委員(新) 業務センター 北畠弥生
会計監事(新) 統計 服部和夫
会計監事(再) 業務センター 花田正春
書記 近藤浩美
書記 西田志緒

退任されたみなさん
長い間お疲れ様でした。

 今大会で、中央執行副委員長の藤巻一世さん、網康至さん、中央執行委員の阿曽幸男さん、尾崎直人さん、北川健二さん、仙葉拓史さん、森芳清さん、特別中央執行委員の清水美穂さん、会計幹事の澤田泰介さんが退任されました。
 副委員長を7期務めた藤巻さんは、「専従として2年半。50代の公務員生活をどう送るかを考え、厚生労働省や国を相手に頑張ろうと専従に出た。これからは、人を思いやれるあたたかい職場づくり国づくりのために力を注げたらと考えている。微力だが、草の根の力として地域で頑張っていきたい。みなさんとたたかう場は違っても目的は同じ」とあいさつ。
 副委員長を2期務めた網さんは、「基盤研支部を立ち上げる事ができた。こつこつと支部でがんばりたい」。中央執行委員を3期務めた尾崎さんは、「視点を変えて今後も組合活動に関わっていきたい」。同じく北川さんは、「次の人に引き継ぐことができ良かった」。森さんは、「わずか2年だったが、貴重な体験だった。支部長としてがんばる」とあいさつしました。  国公労連中央執行委員を3期務めた清水さんは、「働きやすい職場をつくりたい、人と人のつながりを大切にしたいという思いで頑張ってきた。国公労連では、自分とのたたかいだったが、いつも全厚生のみなさんに支えられ、励まされてきた。今後は、職場でがんばりたい」とあいさつしました。

憲法を守り掲げて真の国民本位の厚生行政を

討論1 本省庁・研究機関・福祉

 大会の討論は、17日と18日に行われ、47人の代議員・傍聴者が発言しました。発言は、定員削減のもとでの恒常的残業、国立研究機関のあり方、障害者自立支援法と国立施設のあり方、社会保険庁改革のもとでの職場実態や、新しい評価制度への意見、平和、青年、女性、組織活動など、いずれも大会議案を豊かに補強する内容でした。討論の特徴をリポートします。

定削で本省は悲鳴
本省の恒常的残業解消を

 統計支部代議員は、定員削減について発言。統計情報部では、定員削減にプラスして、50名の再配置を行い、合理化するよう総務省から突きつけられている。実質的に50名の削減に等しい状況の中、当局は、効果的な業務の見直しや対策を実施することができず、定員削減に伴う業務量増をそのまま職員にツケ回している状況。長時間残業が恒常化しているが、管理責任を放棄した「本省手当」でお茶を濁させるのではなく、省全体、政府全体の問題として本省庁の定員問題、残業問題を追及していく必要がある。
 本省支部代議員は、人事院勧告での評価制度実施に向けて、運動の今後について説明を。本省では、今でさえ殺人的なスケジュールで仕事をこなしている。それになお、評価となれば大変。実行されれば、職場の不満は必至。全厚生だけでなく、国公としての見解も知りたい。
 統計支部代議員は、統計の職場でも「民間でできることは民間へ」ということが進められようとしている。このまま行けば、国の仕事は、企画と公表だけになってしまうかもしれない。今、改めて公務労働とは何かを学習していかなければと思う。講師の派遣や検討資料について、本部の協力をお願いしたい。

研究に利益求めるな
医薬基盤研支部を結成し奮闘

 基盤研支部代議員は、「独立行政法人化に歯止めを」と発言。この4月に非公務員型の独立行政法人として設立された医薬基盤研究所は、研究所として利益直結型の研究を強く追求させられている。運営交付金(国家予算)は初めから削減が決定されており、研究者は自ら研究費や運営費や人件費までも何らかの方法で作り出さねばならない状況になっている。本来研究は、その国の文化や科学技術の水準を向上させる崇高な使命のもとに行われるもので、そこから派生する経済利益に左右されてはならない。にもかかわらず、独立行政法人の研究所は、利益中心のゆがめられた研究目的を設定せざるを得ない。研究機関の独立行政法人化はあやまりであり、国務として位置づけるべきである。
 ハ病研支部代議員は、世界的には、ハンセン病は減っているが、今でも年間60万人もの発病があり、子どもの感染が続いている。ハンセン病の研究は、マウスを使って、1年かけて菌を増やすといった、時間がかかるものであり、研究者も減っている状況で、国立の研究センターの役割は大きい。研究機関の交流や運動の再構築を進め、組合員が減少し、厳しい状況ではあるが、団結して運動を発展させていくつもりである。
 感染研支部代議員は、「メンタル」対策とは、何を表しているのかわからない。「メンタルコールド」=心がカゼをひくという意味でことたりるのではないか。3年前までは、組合が何をやっているのかわからない、メリットもわからない中で、私なりに答えをみつけた。「憲法28条」団結権であった。この権利を子供に受け継ぎたいとの思いでいる。
 基盤研支部代議員は、4月7日に11名での結成以来、9月はじめまでで42名の組合員となった。組合に入った理由は何か。独法になるということで、膨大な量の就業規則などが送られてくる。納得したらOKしろというが、読んでもよく分からない。管理職もよくわからない中で、労組は問題点について明確に答えている。支部は、職員全員に手紙を送った。7月に労働者代表選挙を前に朝ビラをした。丁寧にできたと思う。また、ニュースも配布した。その中で、職場代表をすべて組合員からだすことができた。これからが頑張りどころ。感染研・衛研・本部の援助に感謝。

障害者支援法許せない
国民本位の国立施設として奮闘

 神戸支部代議員は、障害者自立支援法について発言。応益負担でサービスに10%の利用料が自己負担となる。重度の障害者は働く場所もなく、基礎年金(障害)のみの所得者も多い。自治体の財政状況により、差が出てくる。障害者の生活がどうなっていくのか、また、施設のありようがどうなっていくのか心配である。当局からの情報を待つのではない運動が必要だと思うので、厚社連として頑張っていきたい。「小さな漏れは大きな船を沈める」との英語の格言にもあるように、小さな漏れを見逃してはならない。
 福岡支部代議員は、「真の『国民本位』って何?」とのテーマで発言。マッサージとリフレクソロジーの違いは何か。「資格を取るのはたいへんですよね」と投げかけ、動揺ぶりをみると、有資格者がどうかわかる。各種民間療法の氾濫で、「あはき」の資格取得が厳しくなっている。組合活動で、「国民本位」というが、国民と向かい合っているのか、国民本位といいながら、職場を守る「自分本位」になってはいないだろうか。「国民」の希望とは、必ずしも「あはき」の仕事をすることではない。本当に「国民」と向き合い、議論し、理解を得られなければ、前進はない。
 塩原支部代議員は、障害者自立支援法について発言。障害者自立支援法案が成立すれば、応能負担から応益負担になるが、障害者がサービスを受けることが利益だろうか。ガイドヘルパーを利用しなければ外出できない、人口呼吸器を付けなければ命を維持できない。これは、利益ではなく、最低保障ではないだろうか。自立支援法の応益負担は、憲法25条に反した法律なのではないか。政省令で決めるところも多いので、悪いところを良くしていく運動をしていかなければと思っている。
 国立リハ支部代議員は、自立支援法というが、自立とは一体何なのか、議論・定義されていない。職場では、独法化への危機感から、定員充足を求められ、体制もないのに、入所者が増えていて、サービス低下になっている。
 国立リハ支部代議員は、自立支援法等による応益負担で、病院にかかりにくい状況が生まれてくる。リハの病院に行きづらいという話も聞く。施設としても入院患者数を増やすとか薬を多く出すとか対応を考えているようだが、障害者の負担増加につながり、問題がある。厚生訓練所もどうやったら、このセンターを利用できるかという、グローバルデザインを考えているが、幹部ではなく、職場にやらせており、不備があれば職場に責任をとらせようとしている。組合としても指摘していく。

大会に参加して(1)
北海道に仲間増え心強い
函館支部 組合員

 基盤研支部創設によりこれまで全厚生最北端として函館が位置づけられていましたが、基盤研の北海道の仲間を迎えられることができました。場所が名寄と少し遠いですが心強く思っております。ご奮闘を期待します。

社会保障切り捨て許せん
国立リハ支部 組合員

 今大会は、社保庁の独法化による社会保障の低下、研究部門の利益を求めたいがための地道な研究の切り捨て、そして福祉部門の自立支援法による今後の影響について多くの発言があった。全ての発言に政府が行う社会保障の切り捨てが感じられた。

厳しい中頑張ってる
秩父学園支部 組合員

 皆さんお疲れさまでした。どこも状況が厳しい中頑張っておられることを知り、自分の支部及び自分自身も頑張ろうと新たに決意しました。職場に戻ったら、支部一丸となり、団結して邁進していきたいと思います。

討論2 青年・女性・平和・民主主義

一人ひとりを大切に
青年と女性の要求受けとめて

 業務センター支部代議員は、青年対策部の活動について発言。7月に青年部長会議を開いて、活動が役員止まりで青年に届いていない、コミュニケーション不足を感じた。組合の姿を知らせることが大事と、青対部の機関紙「あおぞら」を創刊した。また、アンケートをおこなって、来年の青年交流集会を成功させたい。今年、原水爆禁止世界大会に参加し、青年の平和への感心の強さを感じた。青対部は平和学習にも力を入れていきたい。
 岐阜県支部代議員は、今の若い人は、諸先輩方に比べ、組合のありがたみを実感していない。若いうちに学習会、交流会、地区国公、地区労連への活動に取り組みたい。今後、職場の分離や、評価制度が導入されていく中で、職場の仲間が信頼できるものにしたい。青年の問題は、青年だけの問題ではなく、支部と連携して取り組んでいきたい。 金子代議員(神奈川県支部)は、女性部の活動を報告。今年は被爆60年であり、女性部は、あらゆる活動に平和を掲げて取り組むことを確認した。女性交流集会を広島で開催したり、平和のイメージキャラクターを募集したり、NPT再検討会議要請ニューヨーク行動に女性代表を送るなど、さまざまな取り組みをした。平和のタペストリーや9条バッチの普及など、一つ一つの小さな取り組みのつみ重ねが、今、9条改悪含めた改憲勢力に対抗阻止する力になっていると確信する。
 国立リハ支部代議員は、女性部としては、支部での活動低下を感じていたが、広島の集会に向けた千羽鶴が予想を超えて集まった。福祉部門では、秩父学園から女性交流集会への参加があり、伊東支部の土屋さんがニューヨーク行動に参加した。これを励みにがんばっていきたい。
 愛知県支部代議員は、国公運動での男女共同参画社会具体化に伴う規約改正案について、各支部・各単組での女性の参加を促す実践の積み重ねが求められる。運動のスタイルも改めて検討しなければならない。女性も含めた運動をどう作っていくか大いに議論する必要がある。

憲法9条守る運動広げ
基本的人権、思想信条の自由守れ

 統計支部代議員は、 現在、各省庁で、国民保護法に基づき各省庁の国民保護計画が策定されようとしている。その中では、武力攻撃災害等が発生した場合、被災地に職員を派遣することが出来るとされている。社会保険、福祉、研究機関も含め計画が作られており、まさに総動員法として組み込まれている。戦争のできる国作りの第一歩と言える。注視していく必要がある。
 愛知県支部代議員は、「9条」改憲許さない運動が広がっている。全国の地域・職場で「9条の会」が結成されている。私たち公務員は、憲法99条で、「憲法を遵守し、尊重する義務を負う」と定められているとおり、直接憲法に関する仕事をしている。 その立場から、「国公99条の会愛知」(仮称)の結成に向けた取り組みを、県国公が中心となって進めている。当面、99名の呼びかけ人を募る。
 秩父学園支部代議員は、昨年の大会で、戦後60年、広島・長崎被爆60年の年に平和の問題に取り組むと発言。広島での全厚生女性交流集会に2名参加することができた。引き続き「平和」「憲法を守る」運動に取り組みたい。
 業務センター支部代議員は、今年、3・1ビキニデーや岐阜での平和行進、原水爆禁止世界大会などに参加して、子供達に「青い空」を残してあげたい、の思いで、国公労連の中央執行委員に立候補した。組合員にいろんなことをしゃべれるようにがんばりたい。
 ハ病研支部代議員は、今年の世界大会に参加してきた。核廃絶を求める国際世論は大きくなっている。署名だけでなく創意ある行動を。
 統計支部代議員は、先輩が不当逮捕された。住居侵入の他、国公法違反で送検されたが、国家公務員であっても、休日の政治活動は憲法に保障され、思想信条は自由であるはずである。公務員全体に対する攻撃が強まっており、今回対応についてもみなさんの支援をお願いしたい。
 愛知県支部代議員は、厚生労働省職員の逮捕について、基本的人権の侵害であり、極めて不当。国民に対するこうした不当な思想攻撃にジャーナリズムが権力を批判する記事を書かないことに、さらに怒りを持つ。
 秩父学園支部代議員は、不当逮捕された人は、何十年も前、秩父学園に組合が2つでき、裁判で闘ったとき、たいへんお世話になった方。不起訴を要求するなど協力したい。

共闘すると成長できる
県・地区国公労働運動に参加を

 函館支部代議員は、函館地区国公議長3期目。函館地区国公も、独立行政法人とも共闘できる組織にしたが、宿舎問題一つとっても、交渉先が分かれ、共闘の難しさを感じている。地区国公の事務局長は、若い人に経験してもらうといい。実践的な経験を積め、すぐにでも支部長ができるほど成長できる。若い人は、ぜひ、挑戦を。
 岐阜県支部の組合員は、県国公の役員をしている。役員だけとか、一部の単組のみの活動になってはいけない。各分野の専門家の集まりなのだから、困った時は県国公に相談すると解決できることもある。ぜひ、経験して欲しい。

大会に参加して(2)
みんなで実行できるよう
伊東支部 組合員

 本部定期大会に初めて参加して全国各地様々な問題があり、将来を見ても組合活動の強化、団結が必要と感じました。働きやすい環境、仲間で会議をし決め、みんなで実行できるよう、頑張っていきたい。

組合の存在意味を再確認
福岡支部 組合員

 全国的に組合員の減少、組合自体の存在価値が薄れてきている現在ですが、大会に参加することにより組合の存在意味を再確認しました。「ある」ことが当たり前ではなく「する」ことに感謝し日頃の活動を続けていく重要性を痛感しました。

定員削減を許さず、不払い残業をなくし、健康で働きがいの持てる職場づくりを目指す決議

 小泉内閣は、「官から民へ」のスローガンのもとに、公務・公共業務を民間企業、特に大企業の利潤追求を目的として、民間開放をすすめています。その手法の一つとして市場化テストモデル事業を昨年末に閣議決定し、2006年通常国会で市場化テスト法の成立を狙っています。さらに、政府は、昨年12月の「新行革大綱」で、「5年間10%」の定員削減計画の策定を閣議決定しました。また、今年6月の「骨太方針2005」では、「総人件費削減の基本指針」を今秋にも策定することを決定し、削減の方策として公務員の純減目標の設定を盛り込みました。
 郵政民営化を「改革の本丸」と位置づけ、法案の成立を図るとともに、公務員削減を掲げ、サラリーマン増税や消費税増税の構造改革をすすめようとしています。
 職場実態を無視した一方的な定員削減や人件費削減は、より一層の長時間残業、不払い残業をすすめることになります。今、全厚生の職場では、現職死亡や自ら職場を去る者が増えています。社会保険職場では、「改革」の名のもと十分な代替休暇や人員の手当てもなく月曜日の相談時間の延長、土曜日の開庁が押し付けられています。統計職場では、計画削減とは別枠で「5年で50名」の合理化減がすすめられています。
 定員削減による長時間残業は、職員の健康問題にも大きな影響を与えています。どこの職場でも、一人あたりの業務量は増え続け、業務の内容は複雑になり、他の機関との業務の調整や作業期限の遵守など、一人一人にかかる責任は重くなり、精神的・肉体的な負担が大きくなっています。今では、メンタルコールドによる病休者のいない職場はないと言っても過言ではありません。
 厚生労働省に働く私たちは、社会保障行政に携わる労働者としての責務と役割を自覚し、行政サービスの向上をめざし誇りを持って仕事に励んでいます。
 健康で働ける職場づくりは、労働組合の重要な役割です。業務量に見合った定員の確保をめざし、行政サービスの充実、不払い残業の根絶、労働時間短縮の流れをつくるため奮闘することを決意します。
 以上、決議する。

2005年9月18日
全厚生第69回定期大会

頼れる労働組合に仲間を信じて働きたい

討論3 社会保険庁改革

真の国民サービスとは
庁改革のもとで厳しい職場実態

 社会保険支部の代議員からは、行われている社会保険庁改革で、職場はいったいどうなっているのか、実態がリアルに報告されました。
 業務センター支部)は、職場では、民間への業務委託が進んでいるが、受付業務の入札で落札業者が2週間も業務停止を起こし元の業者になったり、相談業務の入札業者は、まるで電話交換と同じ状態で、充分な業務がこなせていないのが実態。
 大分県支部代議員は、庁改革が進められているが、すべて数字で管理され、事務所、事務局間で競争(サービススタンダード、ワンダフルオフィス グランプリ)をさせられている。数字をまとめる人もたいへんだ。経費節減からすべて入札となり、これまで地元業者がしていた広報誌の印刷を東京の業者が持っていくという状況が生まれた。小泉改革で、地場産業がどうなっていくのか、とても不安である。
 愛知県支部代議員は、村瀬長官就任以来、「お客様サービス」という言葉で、窓口相談業務においても目まぐるしい改革が行われている。年金相談業務の時間外実施は、結果として、平日の相談体制の人手不足を招き、サービス向上にはつながっていない。年金相談窓口の混雑状況を庁のホームページに公開しているが、報告作業に毎日数時間を費やし、1週間前の混み具合を掲載して何の役に立つのか。サービススタンダードの実行と結果を報告するのに、時間がとられ業務に支障を来している。団塊世代対策の裁定請求書の様式が13ページにもわたり、職場に混乱をもたらすのは必至。
 愛知県支部代議員は、たいへん厳しい職場状況にある。昭和社会保険事務所は愛知で4番目に小さい事務所だが、2人の現職死亡があった。改革による休日・夜間・昼休み開庁の問題もあったのではないか。また、20%庁費削減から、冷房は28度の設定だが、ウインドマシンの熱や、倉庫のような事務所構造のため、暑く、毎週、職員や客が救急車で運ばれた。空気の流れが悪いところもある。
 社会保険の定員再配分問題については、2人の代議員から発言がありました。
 神奈川県支部代議員は、庁改革をめぐって、「改革のセカンドステージ」が位置づけられ、業務改革・組織改革・意識改革を進めるとしている。改革の内容のうち人員配置の地域間格差の是正着手について神奈川では130名の定員増、45名の謝金職員の減が示された。15年前から定員の再配置を訴えてきた。自分達の主張が正しかったと思っている。庁の配置基準を明らかにさせるべき、その基準をもとに必要な人員を必要な所に配置させる運動をすべきだ。
 香川県支部代議員は、香川県は、定員175名の内、地域間格差の名の下にマイナス24名。その他定削で、3年間で30名近い減員となる。2割近い人員が一気に減らされようとしている。この減員の数字の根拠がわからない。公表したんだから説明する必要はない、では、仕事をする気が失せる。支部の定期大会では、厳しい意見が多かった。

能力・成績主義やめて
新しい評価制度にどう対応

 新たな人事評価制度への不安や不満の意見があいついで出されました。
 業務センター支部代議員は、庁改革で導入しようとしている能力・成績主義は、総人件費抑制の手段。大企業でも、個人主義・利己主義がはびこり、目先の利益を追い求めたりと、失敗している。評価は絶対評価ではなく相対評価になる。評価する側にとっては常に差を付けなければならないということで、悩み、病気になるのではないか。能力・成績主義の導入は、仕事のノウハウや実体験を通しての情報交換がなくなり、仕事の目的を見失うことにつながる。
 大阪支部代議員は、新たな人事評価制度は、人勧の枠を越えたひどい内容。社会保険庁改革はこの間、トップダウンで行われているが、これもトップダウンで行うのか。労働条件に深くかかわる問題。本部として、どう反対闘争するのか。
 愛知県支部代議員は、庁改革の新人事評価システムに対する具体的行動を行う必要がある。全公務員を評価する人事院勧告とも連動する査定システムの先取りである。所属長に対して、一人一人の人生を左右するような評価を安易にできるのか、ほんとうに正当に評価できるのかを問い、「できない」という上申を勝ち取る運動を。
 愛知県支部代議員は、新たな人事評価制度の導入で、組合活動が評価に影響しないか心配している。
 京都支部代議員は、以前から組合に反対する意見として「仕事をしない人、できない人を保護しようとする労働組合が職場を悪くしている」というものがあり、新しい評価制度に肯定的な組合員がいるかもしれない。今回示されている案に対して、問題点を指摘していくことはもちろん必要だが、ただ単に能力主義・実績主義に異を唱えるだけでは、組合員の気持ちを動かせないかもしれない。「では、どんな人事が正しいのか」ということについて、積極的な考えを固めておく必要を感じている。組合員の関心も高いテーマなので、議論しあう場を作ることが重要ではないか。
 愛知県支部代議員は、「職場にいづらいものは去ればよい」という意見や「評価をすることはまじめに仕事をしている人間からみれば当たり前」という意見もある。評価制度により、仲間を対立させ、分断する攻撃に負けないよう、仲間を信じて行かねばという思いを強くしている。
 岐阜県支部代議員は、公務の原点に立ち、誇りある仕事がしたいと発言。政治勢力や庁の圧力に対して職場で労働組合の役割をどう示すかによって、存在意義が大きく違ってくる。対話を基礎に職場から運動を作っていきたい。
 愛媛県支部代議員は、社会保険庁改革に絡んで、組合の存在意義がなくなったとして、離れていく組合員の姿がある。改革のピッチが早くて、押しつけ行政がどんどん職場に入ってくる中で、本部として長官交渉が出来なければ、次長・総務課長への交渉を追求すべきだ。業務の変更が組織として良い方向に向かうよう、最優先の課題として取り組むべき。庁改革にたいする組合の方針や執行部の行動が、組合離れを引き起こす要因となることを見逃してはならない。世論をよくするマスコミ対策、自治労とも一致した要求での共闘、健康保険と年金の分離問題への対応、年金は国がやるべきという署名活動に取り組もう。執行部だけでなく、下からの要求の積み上げの強固な運動にしてほしい。
 神奈川県支部代議員は、8年ぶりのオールナイトスケートに50名ほどの参加があった。職場内では、「組合をやめたい」という人が多くいる。それぞれに見合った対応で思いとどまるよう働きかけている。庁改革で職場がどのように変わっても、組合がある限り組合員を守るためにがんばるのが組合である。

大会に参加して(3)
社会保険外の視点が新鮮
秋田県支部 組合員

 今回初めて全厚生定期大会に参加しました。各支部の様々な方の発言により、現在の状況を知ることができました。特に社会保険とは違う視点をお持ちの支部の発言は新鮮で、大変参考になりました。

特効薬は一人一人の力
神奈川県支部 組合員

 組合加入のメリット(組合費高い)といった組合員の声に応える特効薬はない。粘り強く全厚生の方針と団結を訴えること、一人ひとりの力を一つに結集するしかないことを改めて感じました。

仲間に会えて良かった
大分県支部 組合員

 大変な職場状況の中、組合の仲間に会え話せてよかったです。また明日から頑張って働けます。

魅力を感じられない
香川県支部 組合員

 昨年、今年と社会保険庁が組織を変えつつある状況の中で行われた大会としては質疑での発言は穏やかなものであり私は失望してしまいました。残念ながら今の組合に魅力を感じられません。

討論4 社会保険庁改革

社会保障講師団活動を
最低保障年金の確立めざし

 国民本位の真の社会保険庁改革の実現のために、社会保障講師団活動や外に向けた活動など具体的な提案がありました。
 大阪支部代議員は、社会保険庁改革について、国民は年金保険料の不祥事をなくすには、社会保険庁を廃止すればいいと思っている。先日の総選挙でも、年金への感心は大変高かった。国の責任で行うという事と国民の要求がかみ合う運動が大切。年金講師団の活動は、国民に要求があるのだから、消費税にたよらない、最低保障年金確立に向け、打って出る活動が大切。
 静岡県支部代議員は、先の選挙戦では二者択一に結果的にだまされた。選挙で何が期待されているかといえば、社会保障改革で、当面は医療保険改革。国民の期待は制度を良くして欲しいということ。医療保険改革で国民に打って出る状況をつくる必要がある。
 秋田県支部代議員は、年金相談コーナーの相談員が2人続けて退職した。メンタルを病んでの退職ではないが、「生活保護より少ない年金額の試算結果を示すことがつらい」との話もあった。納得してもらえる制度、自信をもって話せる制度をつくっていくよう、組合からの提案もしていかなければいけない。
 愛知県支部代議員は、国民本位の庁改革はどうするのか、小泉構造改革が国民生活にどう関わってくるのか、行政懇談会などの運動で、各公務の職場にどう表れているのかを、あらゆる公務の職場、地方自治体の仲間や地域の人々と共同を広げる必要がある。
 神奈川県支部代議員は、小泉構造改革について、子育てを通じて庶民に冷たい、ということを実感した。これから、どのように自分達の生活に関わってくるのか、検証していく作業が大事と思う。
 京都支部代議員は、年金もややこしいが医療もややこしい。医療にまつわる制度が複雑化しており、自分がどのような制度で扱われているか、わかっていない人が多い。医療保険見直しで、混合診療の実質解禁は、日本のすぐれた医療保険制度をこわし、ナショナルミニマムを放棄することになる。年金・医療・介護等、社会保障制度を総合的に語ることが必要。社会保障講師となれるような学習を深める必要がある。
 神奈川県支部代議員は、社会保障制度に危機感を持っている。社会保障にも様々な分野があり、その様々な分野が一体となり、一つの社会保障制度を作っている。健保の制度、医療機関の制度、研究の充実など、社会保障全体を通じた視点での方針の提案をお願いしたい。
 大分県支部代議員は、選挙の結果、自民大勝で、国民に痛みを押しつけることになりそうで残念。社会保険の職員が悪いことをしたから年金が少ないかのように文句を言う人がいるが、ちゃんと選挙に行ったのか、と言いたい。

みんなの思い束ねて
労働条件守る強固な労働組合を

 庁改革から組合員の労働条件を守る強固な組合活動についての意見も出されました。
 京都支部代議員は、社会保険の職場では、支部や分会活動にほころびが見え始めている。基盤研の奮闘に改めて私たちは学ばなければならない。すべて崩れてから立ち上げ直すのではなく、繕うことが大事。職場では、理屈だけでなく、みんなで考え一致した要求をつくることが大事。みんなを引き込み、近畿ブロックもがんばりたい。
 愛知県支部代議員は、1年間支部執行部として、業務問題や賃金問題について、事務折衝や上京団行動など、様々な取り組みを行ってきた。しかし、組合員全体で運動したという実感がわかない。その原因を考えると、分会体制の弱体化と機関紙活動の停滞にあると思う。この2つの問題を克服することが、組合存続のカギであり、本部方針に基づき、組合員が一体となれる組合運動をめざしたい。
 京都支部代議員は、息子のクラブ活動の様子は、タクトを振ると皆が一緒になって、一つの目標に向かって演奏をする。全厚生本部のふるタクトに従って、支部がそれぞれの持ち味を活かして、みごとな演奏をするのと同様である。各支部が日頃から音が出せるような活動をしていくようにしたいと思う。
 滋賀県支部代議員は、支部は20名ほどの小さな組合だか、ボートでも全員が力を合わせなければ、まっすく進まない。同じ目標に向かって、全員が力を合わせれば、どんな困難でも立ち向かえる。がんばっていきたい。
 大阪支部の組合員は、小泉さんは、国家公務員はリストラできないから民へ、と言っていた。人を大切にしない風潮が広まっている。人を大切にする労組運動が必要。今こそ、役割発揮を。基盤研の話を聞いて、労働者は労働組合を求めるということがわかった。全員参加の運動、労働者のチャンネルにあった運動を。全厚生は自由でのびのびと思うが、裏返すと、それぞれバラバラとも言える。それぞれの支部の連合体としての色合いが強いが、今日の庁改革の中で、一枚岩の組織を作っていかないと、うち勝っていけないのではないか。組織の発展が必要。もっと政策的な議論をし、政策をつくるなど、各部門の執行機関が必要ではないか。いい方針をもっていても、後手にまわってしまう。体制の強化を。

大会に参加して(4)
頼りになる労働組合に
愛知県支部 組合員

 いろいろたくさんの意見がありましたが、やはり不安、心配の内容が多かったです。この時だからこそ頼られる労働組合になるべきと思います。また冬の賞与で不利益遡及が行われようとしています(怒)。

勇気や元気もらえた
岐阜県支部 組合員

 今回初めて定期大会に参加させていただき、私なんかが皆さんについていけるのか不安でした。でもそんな心配は全く無用で、仲間達から多くの勇気や元気がもらえました。まだ参加したことがない方、機会があれば是非参加してみてください。

憲法改悪阻止が大切
岐阜県支部 組合員

 今回定期大会に参加させていただき、あらためて憲法改憲の阻止の大切さを感じました。

職場破壊がここまで
滋賀県支部 組合員

 各職場の仲間からの悲痛な訴えを聞き、国民不在の小泉構造改革による職場破壊がここまで来たのだなと実感しました。全国の仲間の熱い思いを職場に、地域に持ち帰り頑張りたいです。

進め前に前に前に
京都支部 組合員

 スマートな意見が沢山出てきました。すばらしい。しかし体がスマートではないので健全な体には健全な魂が宿りますから、どうか体を鍛えてください。明るいオッサンの未来の為に。進め前に前に前に。

頼もしい全厚生の姿
大阪支部 組合員

 4分野が積極発言の大会。語られたのは「構造改革」の中、大変な職場の実態と国民と共にの運動を進める頼もしい全厚生の姿。庁「改革」・「新たな人事評価」でも、頼もしいと言える運動をつくろう。

思い引き継ぐ活動を
愛媛県支部 組合員

 3日間、大会の充実ぶりに少し驚きました。他支部の活動報告を直に聞き、組合に対する様々な思いに共感するとともに、その思いを引き継ぐ活動の重要性を再確認しました。

忙しい時こそ機関紙を交流の場に
第18回全厚生機関紙フェスティバル
 大会初日、18回目を迎えた恒例の機関紙フェスティバルの表彰式を行いました。藤巻副委員長が参加機関紙全体についての講評と結果の報告を行い、杉下委員長が金賞を受賞した8つの支部、専門部の代表者へ賞状と副賞を手渡しました。
 藤巻副委員長は、昨年に比べ、機関紙数は若干減ったが、支部の数では、秩父学園支部と4月に結成された基盤研支部の2つが増えて17支部の参加があったことを紹介。いくつかの特徴を述べ講評しました。

 編集体制については、函館支部や秋田県支部青年部のように複数の編集者で定期的に編集会議を開いているところや編集責任者1人の肩にかかっているところがあります。定期発行と内容の充実をはかるには、編集体制の確立が重要です。
 内容では、神奈川県支部、愛知県支部、香川県支部のように、組合の活動を中心に掲載する機関紙と業務ベースの情報提供の機関紙とに分けているところ。大阪支部のように家族ぐるみで組合員が登場し、あたたかさが伝わってくる機関紙などが目立ちました。
 発行形態では、まだ紙に印刷する機関紙が主流ですが、時代を反映して、社会福祉や試験研究機関の支部では、メールニュースという形態も増えてきました。レイアウトや印刷、配布という手間を省き合理的、音声変換が可能という利点があります。一方、ビジュアルで訴えるものがないので、内容の充実が今後の課題です。
 その他、京都支部「社保ニュース」、愛知県支部「こぶし」、国立リハ支部「かるがも」のように、すばらしい内容の機関紙ですが、息切れをしてしまった残念なものもありました。
 年々厳しくなる職場環境のもとで、機関紙を発行し続けることはたいへんな作業です。困難に陥らない工夫も必要になっています。組合員や職員の交流の場として、機関紙の役割が大きくなっていますので、各支部の一層のとりくみを期待します。なお、銅賞は該当の機関紙がありませんでした。
 受賞作品は別掲の通りです。

フェスティバル参加紙

<金賞>
業務センター支部 「国民サービスの推進と私たちの労働条件を考える懇談会NEWS」
「組合員のみなさんへ」
「支部ニュース」
国立衛研支部 「衛研支部ニュース」
福岡支部 「かたらせて」
神奈川県支部 「週刊保険」「書記長情報」
大阪支部 「全厚生大阪SHIBU-NEWS」
「全厚生大阪SHIBU-NEWS号外」
香川県支部 「支部ニュース」「支部情報」
秋田県支部青年部 「とらい」
愛媛県支部女性部 「ふじん」

<銀賞>
本省支部 「夜明け」
統計支部 「執行委員会ニュース」
基盤研支部 「基盤研支部ニュース」
函館支部 「イカ労メールニュース」
国立リハ支部 「組合員通信メール版」
「かるがも」
秩父学園支部 「秩父学園支部ニュース」
秋田県支部 「こだま」
愛知県支部 「こぶし」「支部だより」
岐阜県支部 「支部情報」
京都支部 「社保ニュース」
愛媛県支部宇和島分会 「よあけ」
統計支部女性対策部 「かがやき」
京都支部女性部 「たんぽぽ」

大会に参加して(5)
憲法が語られた大会
本省支部 組合員

 「国民本位」と言いながら、「自分本位」になっていないかなどの見直しの視点、そして何よりも憲法(9条、25条、28条、99条)について活発に語られた近年にない有意義な大会だったと思います。

4部門が連携して
統計情報支部 組合員

 社会保険庁改革、自立支援法の問題、研究機関の独法化の問題など、全厚生の4部門が連携し運動が組み立てられていることを改めて感じることができました。支部に帰っても広い視野で活動していきたいと思います。

組合の力で変えたい 
業務センター支部 組合員

 愛知県で2人の現職の方が亡くなったり、本庁で連日深夜3時まで働かされ精神的に追いつめられている方の話を聞いて、組合の力でそういう状況を変えていかなければいけないと思いました。


総括答弁
労働組合の役割発揮を
声をかけ、語り、学習を重視しよう
 大会最終日、杉下委員長が総括答弁を行いました。
 委員長は、3日間の討論において、職場、仕事の状況がどうなっているのかが明らかになった。そして討論全体に貫かれていたのは、労働組合の大切さや役割発揮の重要性であった、と全体の討論を確認のうえ、社会福祉(障害者自立支援法にかかわって)、改憲問題、社会保険庁改革、組織拡大の4点にわたり、総括的に執行部としての答弁を行い、全体で確認しました。
 障害者自立支援法については、 討論において、法案のもつ問題点(「応益負担」など)が解きあかされた。全厚生として運動に参加していきたい。同時に国立社会福祉施設の今後の方向への対応が求められている。関係支部と十分協議していきたい。
 憲法問題では、なぜ改悪しようとしているのか、改憲勢力の意図を見抜くことが重要だ。米国の強い要請であり、憲法の基本を、権力をしばるものから、権力が国民を統制していくものに変えようとしている。戦争する国づくりを許さないために、職場を基礎にたたかいを前進させていきたい。
 社会保険庁改革については、「新たな人事評価制度」への対応が当面の重要課題。本部、支部一体で取り組みを強めていきたい。公務員制度全体との関係など国公労連と協議して対応していきたい。当局は導入を強行する姿勢で臨んできているが、制度がかかえる問題点を質問書等で明らかにしながら、個別具体的に対応していきたい。
 また、「新組織」、定員削減、市場化テスト、仕事の進め方など、庁改革全体に受け身ではなく打開する方向で立ち向かっていきたい。
 組織拡大については、 組織人員の減少は重大な問題。組合が大事で大切なことは討論を通じ全体の確信となった。一方で組合の役割・必要性に確信がもてずに脱退者が出ている。「自ら学習し加入した」との発言があったが、仕事の忙しさ、攻撃の厳しさに負けることなく、声をかけ、語り、学習する中で組織的前進を実現しようではないかと述べました。
 そして最後に委員長は、本部の責任の重さにふれ、経験で蓄積した知識だけでは対応していけない情勢にある。学習を重視しがんばろうと呼びかけ、総括答弁を締めくくりました。

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