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◆第1626号(2005年8月15・25日付)◆


給与構造・地域給見直し強行

マイナス0・36%の賃下げ勧告

人事院は8月15日、一般職国家公務員の給与改定と給与構造見直しに関する勧告と報告を行いました。(主な内容を1・2面に掲載)
 給与改定の内容は、本年4月時点の官民賃金逆格差「0・36%、1389円」にもとづく「マイナス勧告」で、配偶者扶養手当を500円削減するとともに月例給を4月に遡って0・3%引き下げ、一時金をわずか0・05月引き上げるというものです。
 最低賃金「目安」が4年ぶりに改善されるなど、民間賃金が改善傾向にあるなかでの今回の「マイナス勧告」は、社会の流れに逆行するものであり、730万人の人事院勧告準拠労働者に直接的に影響を及ぼし、公務と民間の賃下げのさらなる悪循環を引き起こすものです。また、三度目となる不利益遡及の「調整措置」を、その違法性をめぐっての裁判闘争(国公権利裁判)のさなかであるにも関わらず、勧告したことは、きわめて不当な内容です。

不当にも給与に能力・実績主義を導入
 給与構造・地域給「見直し」では、(1)俸給表を全国一律4.8%引き下げる(2)昇級カーブのフラット化で中高齢層の給与抑制(3)18%もの格差のある地域手当の新設C勤務成績に基づく昇給制度導入などを内容とした、50年ぶりの大改悪を強行しました。
 同一労働同一賃金の原則を無視した地域手当の創設や民間でも破綻しつつある能力・実績主義を評価制度も確立されていない状況で導入することは断じて認められません。
 政府は「05骨太方針」で、国民への大増税と社会保障抜本改悪の「地ならし」として、公務員の総人件費削減を「構造改革」の当面の最大課題としていました。労働基本権剥奪の代償措置である勧告制度で、政府・財界の「構造改革」を推進する立場をとった人事院の責任は重大です。
 全厚生は国公労連に結集し、昨年の秋季年末闘争段階から、給与構造「見直し」反対を掲げ、当局交渉などで、その不当性を追及してきました。夏季闘争では3次にわたる中央行動、とりわけ4500人が結集した勧告直前の7・26中央行動、8月4日の炎天下での座り込み行動などに奮闘しました。また、地域経済への影響を強調してとり組んだ地方議会要請行動では、147議会で意見書採択が行われました。
 これらの取り組みの反映として、(1)地域手当の支給対象地域の当初案からの拡大(2)広域異動手当での「転居」要件の除外(3)号俸延長の実施(4)55歳昇給停止措置の見直し(5)5年間の現給保障措置などを勝ち取ることができました。

総選挙で「構造改革」 にNO!を
 8月8日、小泉首相が「構造改革の本丸」と位置づけた郵政民営化法案が参議院で否決、それを契機に衆議院が解散され、9月11日投票で総選挙が実施されます。
 総選挙では、憲法改悪とともに、大増税や社会保障制度の大改悪、公共サービスの民営化・市場化を加速する「構造改革」への賛否が最大の争点となり、総人件費削減施策の是非が国民的に問われることになります。
 憲法改悪、国民犠牲の「構造改革」を阻止する絶好のチャンスとして、総選挙闘争と秋季年末闘争を一体に進めましょう。

2005年勧告の主な内容
本年の給与勧告のポイント
〜平均年間給与は減額(行政職(一)平均 △4,000円、△0.1%)
 給与構造の抜本的な改革を実施(1957年以来約50年ぶりの改革)
(1) 官民給与の逆較差(△0.36%)を解消するため、2年ぶりに月例給の引下げ改定
− 俸給月額の引下げ、配偶者に係る扶養手当の引下げ
(2) 期末・勤勉手当(ボーナス)の引上げ(0.05月分)
(3) 俸給制度、諸手当制度全般にわたる抜本的な改革の実施
− 俸給水準の引下げ、地域手当の新設、給与カーブのフラット化、勤務実績の給与への反映等
本年の給与改定

1 官民給与の比較
約8,300民間事業所の約35万人の個人別給与を実地調査(完了率91.0%)
〈月例給〉 官民較差△1,389円 △0.36%
〔行政職(一)…現行給与382,092円 平均年齢40.3歳〕
俸給    △1,057円  扶養手当 △214円
はね返り分 △118円
〈ボーナス〉 民間の支給割合 4.46月(公務の支給月数 4.40月)

2 給与改定の内容
〈月例給〉
 官民較差(マイナス)の大きさ等を考慮し、月例給を引下げ
(1) 俸給表
(1) 行政職俸給表(一) すべての級の俸給月額を同率で引下げ
(改定率△0.3%)
(2) 指定職俸給表 行政職俸給表(一)と同程度の引下げ
(改定率△0.3%)
(3) その他の俸給表 行政職俸給表(一)との均衡を基本に引下げ
(2) 扶養手当 配偶者手当支給月額を500円下げ
(13,500→13,000円)
〈期末・勤勉手当等(ボーナス)〉
民間の支給割合に見合うよう引上げ 4.4月分→4.45月分
(一般の職員の場合の支給月数)
6月期 12月期
本年度 期末手当
     勤勉手当
1.4月(支給済み)
0.7月(支給済み)
1.6月(改定なし)
0.75月(現行0.7月)
2006年度 期末手当
       勤勉手当
1.4月
0.725月
1.6月
0.725月
[実施時期等]公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)から実施。
 本年4月からこの改定の実施前日までの官民逆較差相当分を12月期の期末手当で調整する措置は、2003年勧告時の「定率方式」を踏襲
〈その他の課題〉
(1) 特殊勤務手当の見直し 2004年に6手当9業務、2005年に9手当14業務の見直しを実施、今後も引き続き手当ごとの業務の実態等を精査して所要の見直しを検討
(2) 官民比較方法の見直し 民間企業における人事・組織形態の変化に対応できるように、官民比較方法について、学識経験者の研究会を設けて検討
(3) 独立行政法人等の給与水準の把握 専門機関として、独立行政法人等における給与水準の在り方等の検討において今後とも適切な協力

2005年勧告の主な内容(給与構造の改革)
給与構造の改革

1 俸給表及び俸給制度の見直し
(1) 行政職俸給表(一)の見直し
地域別の官民較差の3年平均値を参考として、俸給表の水準を全体として平均4.8%引下げ
若手の係員層については引下げを行わず、中高齢層について7%引下げることにより、給与カーブをフラット化
現行1級・2級(係員級)及び4級・5級(係長級)の統合。従来の本府省課長の職責を上回る職務に対応した級の新設(11級制→10級制)
きめ細かい勤務実績の反映を行うため現行の号俸を4分割
現在在職者がいないか、在職実態が極めて少ない初号等の号俸をカット
現時点の最高号俸を超える者の在職実態を踏まえ、号俸を増設
最高号俸を超える俸給月額に決定し得る枠外昇給制度を廃止
中途採用者の初任給決定の制限、昇格時の号俸決定方法について見直し
(2) 指定職俸給表の見直し
現行の行政職俸給表(一)11級と同程度引き下げるとともに、現在在職者がいない1号俸から3号俸までの号俸をカット
(3) 行政職俸給表(一)及び指定職俸給表以外の見直し
行政職俸給表(一)との均衡を基本として、職務の級及び号俸構成、水準是正などの見直し
(4) 俸給の調整額の見直し

2 地域手当及び広域異動手当の新設
(1) 地域手当の新設
賃金構造基本統計調査による賃金指数を用いた指定基準を基本として、支給地域及び支給割合を決定
支給区分は、18%、15%、12%、10%、6%及び3%
大規模空港区域内の官署に在勤する職員について、当該区域内の民間賃金等の事情を考慮して、特例的な地域手当を支給
現行の調整手当の異動保障と同様の制度を引き続き措置
(2) 広域異動手当の新設
官署を異にする異動を行った職員のうち、異動前後の官署間の距離及び異動前の住居から異動直後に在勤する官署までの間の距離がいずれも60キロメートル以上となる職員について、広域異動の日から、原則3年以内の期間支給
手当額は、俸給、俸給の特別調整額及び扶養手当の月額の合計額に、異動前後の官署間の距離区分に応じて、60キロメートル以上300キロメートル未満の場合は3%、300キロメートル以上の場合は6%を乗じて得た額
地域手当が支給される場合には、地域手当の支給額を超える部分の額の広域異動手当を支給

3 勤務実績の給与への反映
(1) 勤務成績に基づく昇給制度の導入
特別昇給と普通昇給を統合し、昇給の区分を5段階(A〜E)設けることにより、職員の勤務成績が適切に反映される昇給制度を導入
年4回の昇給時期を年1回(1月1日)に統一。昇給号俸数は、A(極めて良好)で8号俸以上、B(特に良好)で6号俸、C(良好)で4号俸、D(やや良好でない)で2号俸、E(良好でない)は昇給なし。ただし、管理職層は、C(良好)を3号俸昇給に抑制。B以上は分布率を設定。D以下については、該当事由に関する判断基準を別に設定
55歳昇給停止措置に替えて、55歳以上の昇給については昇給幅を通常の半分程度に抑制
(2) 勤勉手当への実績反映の拡大
査定原資を増額(2005年の引上げ分0.05月分のうち0.03月分を平成18年の6月期、12月期の勤勉手当の査定原資として配分)し、「優秀」以上の成績区分の人員分布を拡大。新たに「特に優秀」及び「優秀」の成績区分に係る人員分布率を設定
(3) 昇格基準の見直し
昇給及び勤勉手当に係る勤務成績の判定結果を活用
(4) 給与決定のための勤務成績の判定についての改善
当面、各府省の現行の判定手続を明確化、成績上位者の判定尺度を例示、標準的な勤務成績に達しない場合の統一的な判定基準を設定

4 その他
(1) スタッフ職活用のための環境整備
3級程度の簡素な級構成の専門スタッフ職俸給表を新設
(2) 俸給表の特別調整額の定額化
定率制から俸給表別・職務の級別・支給区分別の定額制に移行。地方機関の管理職に適用される三種〜五種の手当額については、改善を行った上で定額化
(3) 本府省手当の新設
本府省の課長補佐(俸給の特別調整額(8%)は廃止し、手当の水準は維持)、係長及び係員を対象とした本府省手当(役職段階別・職務の級別の定額制)を新設

5 実施スケジュール
(1) 俸給表等の実施時期と経過措置
新俸給表は2006年4月1日から適用。同日にすべての職員の俸給月額を新俸給表に切替え。経過措置として新旧俸給月額の差額を支給。2006〜09年度までの間、昇給幅を1号俸抑制。俸給の調整額の改定も2006年4月1日から施行
(2) 手当の新設等の実施方法
地域手当は2006年度から、広域異動手当は2007年度から段階的に導入。俸給の特別調整額の定額化は2007年度から実施。専門スタッフ職俸給表及び本府省手当の新設は2010年度までの間に実施
(3) 給与への勤務実績反映
新昇給制度は2006年4月1日から実施(新制度による最初の昇給は2007年1月1日)。勤勉手当の勤務実績反映の拡大は2006年の6月期から実施。昇格運用の見直しに係る措置については2007年4月1日から実施。新昇給制度における勤務成績の判定に係る改善措置等の活用は、2006年4月1日から管理職層について先行して行い、引き続きその他の職員について行う

被爆60年
今こそ核兵器廃絶を
原水禁世界大会・広島に参加
「被爆60年の今年を核兵器のない平和で公正な世界への転機にしよう」と原水爆禁止2005年世界大会・広島が8月4日から6日まで、広島市内で開催されました。今年は、海外から過去最高の29カ国・264人が参加し、国内と併せて8千人の熱気で会場が包まれました。特にフランスからの130人の青年が参加したのをはじめ、アメリカ・韓国・アフリカからも会場につめかけました。全厚生は本部を含め、業務センター・統計・ハ病研・本省の各支部から6人が参加しました。
 4日の開会総会では、主催者報告をした安斎郁郎・立命館大学教授が「各国、各地域で草の根の運動を飛躍的に発展させていこう」と呼びかけました。「ヘイワ」の大合唱のなか、海外の青年たちや反核トラックの行進者が一斉に登壇。またいろいろな団体から、署名などの草の根運動の実践報告がされ、会場はおおきな拍手で包まれました。
 5日は、参加者が思い思いの分科会に参加し、学習・交流を深めました。夕方には、「国公労働者平和のつどいin広島」があり、出前講釈師・緩急車雲助さんの「石に影を灼き付けた男」を通じて原爆投下後の広島の悲惨さを感じとることができました。その後、全厚生懇親会を行い、初参加から35年連続参加の人まで、平和や仕事のことなど忌憚のない意見を交換。
 6日早朝に行われた「平和記念式典」では、広島秋葉市長が来年8月9日までを「継承と目覚め、決意の年」と位置づけ被爆者の志を受け継いで核兵器廃絶に行動を起こすことを誓いました。
 閉会総会の最後に世界中の参加者と大合唱、広島の中学生が作詞した「ねがい」をいろいろな国の言葉で歌いました。
 平和と核兵器は相反するものです。平和を守るため、憲法を改憲させない世論が重要になっています。草の根の運動を広げ、憲法9条を世界に発信しましょう。

この決意を各国政府に
原水禁世界大会・長崎に参加
 8月9日、長崎の空は青く晴れ渡り、60年前も同じような陽射しだったのかと思わせる暑い暑い一日となりました。長崎大会は、1日目(7日)が「長崎のつどい」(全体集会)、2日目がフォーラム・テーマ別集会・佐世保基地調査等行動、3日目が閉会総会の日程。
 閉会総会は、長崎市民会館体育館で開かれ、5千人の参加者で会場は埋まりました。スタートは、被爆60年記念プログラムとして、原爆症認定集団訴訟原告の小幡悦子さん、日本被団協代表委員の山口仙二さんが被爆体験を報告。お二人の話の悲惨な内容に参加者は改めて核兵器廃絶・平和への願いを強くしました。
 続いて、6カ国の海外代表がそれぞれの国の核兵器廃絶や平和運動のとりくみを熱く報告。次いで、各団体からの決意表明、これからの運動と行動の提起が行われ、集会のまとめとして、「国連および各国政府への手紙」(被爆60年ーいまこそ核兵器全面禁止・廃絶の実現を)原水爆禁止2005年世界大会・閉会総会ー被爆60年ナガサキデー集会決議が、会場もわれんばかりの大きな拍手で確認されました。
 フィナーレは、青年を中心に、平和を願う歌声が会場と一体となって響き渡りました。海外の参加者はステージ上で、身体をいっぱいに使って平和への思いを表現し、閉会総会はいつ終わるともなく盛り上がりました。
 全厚生の仲間は、業務センター、神奈川県、京都の各支部と本部から子どもを含めて8人が参加し、長崎の夜の街で平和への熱い思いを交流しました。


ギャラリー平和キャラ (14)

愛媛県支部 組合員の家族の作品
平和のピースちゃん

 全厚生女性部が募集した平和キャラクターの応募作品を紹介するコーナーです。  〈評〉平和の使者、うさぎのピースちゃんです。指でつくるピースサインに似た長い耳と小さいリボンがトレードマーク。世界に向けてピースサインを発信し、貧困も戦争もなくしていくかわいいキャラです。

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