見出し

◆第1611号(2005年3月5日付)◆


人事院が給与水準一律5%引き下げ示す

給与構造の「見直し」やめよ

 人事院は昨年の勧告で、「給与構造の基本的見直し」を表明しました。昨年11月2日に国公労連と各府省に「給与構造の基本的見直し・素案」を示し、また今年の2月8日に「素案」の内容を具体的説明したものを示しました。その内容は大きく3点に分かれますが、どれ一つとっても、大変な改悪内容となっています。

俸給水準の引き下げと地域手当創設
 1点目は「地域の民間企業の水準を公務員給与に反映する」ことを中心に作業を進めています。人事院の説明によれば2004年の地域別の官民給与(表1)を比較すると、関東甲信越以外ではすべて官のほうが全て高く、一番差がある北海道・東北ブロックでは4.77%の格差があります。この北海道・東北ブロックの官民比較の数値を基に、全国共通俸給表の水準を一律に5%程度引き下げます。その上で、地域の民間賃金との均衡を図るため地域手当を新設し、現行の地域調整手当は廃止します。地域手当の算定には、賃金構造基本統計調査を基礎に市町村単位で算定し、支給割合については、現行の東京都区部を上限とします。また、新たに、転居を伴った職員に対し、3〜6%程度の転勤手当を新設するとしています。まず全体を5%下げて、地域手当で差を付けるというのは、「同一労働同一賃金原則」を大きく歪めるものです。国家公務員給与を下げることにより、地方公務員の賃金水準を下げることが政府の本当のねらいです。

俸給構造の見直し
 2点目は「職務給強化」の観点から、級構成の再編と昇給カーブのフラット化を行うとしています。級構成の再編では行政職(一)の俸給表を、1級・2級、4級・5級を結合させ、新たに本省重要課長等を対象として12級を設置し、10級制とします。昇給カーブのフラット化では、俸給表の引き下げ分5%と合わせて、公務の中高年の水準は民間に比べ、まだ2%高いということから、4級以上の高位号俸者を7%引き下げようというものです。このことは、高位号俸者を多数かかえる地方出先機関の職員の賃金水準をさらに引き下げようというものです。さらに、枠外昇給の廃止により、枠外にいる職員は最高号俸に戻されることになり、二重の賃下げとなります。

勤務実績の反映
 3点目は勤務実績に基づく昇給制度(査定昇給)を導入し、現行の普通(定期)昇給、特別昇給は廃止されます。また、勤務実績を反映させやすくするため、現行号俸が4分割されます。その上で、職員層ごとに昇給号俸別数の分布割合(昇給幅に対する基準)が定められ、査定によって昇給幅が決められます。昇給月も採用時ごとに異なっていたのを、年1回にします。特別昇給も廃止されます。勤勉手当について、勤務実績の反映を拡大させるため、一定月数を拠出させ、上位評価者に再配分することを検討しています。人事院は本年夏においては、勤務実績を適切に給与へ反映させるため、現在の勤勉手当の成績率及び昇給の決定において行われている勤務成績の判定について、着目すべき要素の明確化、勤務成績不良者の判断基準の明確化、分布割合の設定など一定の改善を図るとしていますが、歴史的に不十分とされている現行制度(勤務評定)を基本に勤務成績を給与に反映させることは、職場に差別と分断を持ち込むものです。

本府省手当の新設
 本省の勤務実態(長時間残業が多く、不払い残業も多い)を考慮し、本府省課長補佐手当を廃止し、課長補佐以下の職員も含めて本府省手当(役職別・職務の級別の定額)を創設します。このことは、本省職場に蔓延する超勤実態の改善を放置し、不払い残業を事実上認めることになり、問題の根本解決につながるものではありません。

今後のたたかい
 人事院は、8月成案の予定で間に合う時期に具体案を示す考えです。あくまで、今年の勧告に盛り込む構えです。この動きに対抗していくため、春闘期で当局(所属長)を追及し、人事院へ上申させる運動と、いま取り組んでいる「給与構造の『見直し』に関する要求署名」の完遂(1人あたり5筆以上)すること、学習強化が求められています。また勧告期に向けて、上京団行動が取り組まれますので、我々の声を政府・人事院に届けましょう。


リレーずいそう
● 百鬼夜行の教え
 「百鬼夜行」って聞いたことはありますか?聞いたことはあるが、どんなものかと言われると・・・。少し前に映画化され流行っていたので「陰陽師」とか「安倍晴明」の関係の本を読んだことがある方ならご存じでしょうか?
 わかりやすく言えば、妖怪が夜中にパレードをするのですが、見ただけで病気になったり、取り殺されてしまったりすることも・・・恐ろしいことです。そこで陰陽道では「百鬼夜行日」という日があり、その日は出歩かないようにしていたようです。
 妖怪といってもテレビアニメに登場するような各地に伝わる有名な妖怪ではなく、鬼のような人に近い姿のものから、単に道具(草履・釜・鏡・扇等)に手足の生えたようなものまでが入り混じっていました。
 日本古来の伝承の中には、道具は100年経つと魂が宿るとされ(草履が百年使えるかは疑問ですが)、99年経つと捨てられてしまったそうです。当の道具達にしてみれば身勝手なこと、こうして妖怪となった道具達は夜な夜な京の町を徘徊していたのです。
 環境問題が注目を受ける中、様々な法律や基準、努力目標等々・・・ありますが、物の気持ちを考えれば今使っているペンひとつにしてみても、そう簡単には捨てられなくなりませんか?
 「物は大切に」という教えなのかもしれません。
(滋賀県支部 組合員)


News
● 助け合い・ささえ愛広げ ―国公共済会拡大推進会議開く―
 2月25日、東京都台東区で第9回国公共済会拡大推進会議が開かれました。全体で250人、全厚生からは4支部と本部から10人が参加しました。
 労働共済連の石川武男理事長が「自主共済活動の前進のために」と題して記念講演。その後の基調報告では、生命共済の死亡保障を4千万円まで引き上げる、青年・非常勤職員層向けに「ワンコイン共済」の新設など、改正を予定している制度についても報告されました。
 午後は(1)加入拡大のとりくみの意思統一(2)保険診断の進め方(3)加入・継続・給付等の実務の各分科会に分かれて交流。最後に「助け合い・ささえ愛の生きがいある人生を一緒に」とのアピールを採択し、今年4月〜6月に新たに5千人の仲間を迎えるために奮闘することを確認し合いました。

ピカピカの小学1年生の原稿を募集中
 今年もピカピカの1年生の原稿を募集します。今年小学校に入学する組合員の子どもさん全員が対象です。子どもの氏名(漢字)(1)氏名のふりがな(2)入学する小学校名(〇〇市立〇〇小学校)(3)大きくなったら何になりたい?(4)お父さん、お母さんからのメッセージ(支部・組合員名)を100字以内で。顔がはっきり写っている写真を送って下さい。デジタルデータもOK。写真(プリント)はお返しします。締め切りは、第1次が3月15日、第2次が3月31日です。お礼に図書カード(千円分)をさしあげます。 くわしくは、支部の教宣担当者、または全厚生本部まで。



【近畿ブロック】商店街で街頭宣伝行動

真の社会保険庁改革を

 「二度と不祥事を起こさないためにも真の社会保険庁改革を」「独法・民営化でなく社会保険行政は国の責任で」「誰もが安心の年金制度を」と全厚生近畿ブロックは、2月16日、大阪市内の商店街で街頭宣伝行動を行いました。近畿の仲間15人が参加し、ビラを配布しながらハンドマイクで訴えました。
 宣伝では、大阪支部の倉橋執行委員が作成したスポット原稿が活躍、京都・滋賀・大阪の支部長もマイクを握ります。「社保庁って解体!?」の声で対話が始まり、組合員の説明に納得して帰る姿、大阪市職員の厚遇問題など公務員批判には、全労連や国公労連の立場を説明すれば「頑張って」との声が、また、年金制度に対する不信や不安も大きく、あちらこちらで年金相談も見受けられました。私たちの主張は、伝えれば理解と合意が得られ、改めて国民の中に打ってでる必要性を感じました。
 近畿ブロックでは、3日にはシンポジウム会場周辺での宣伝行動も予定しています。
 シンポジウムを成功させ、「国民の中に、国民とともに」の運動をさらに進めていく決意です。
(大阪支部 組合員)


【業務セ】横森過労自殺「損害賠償請求」裁判支援を

問われる「職場の安全配慮義務」

 【業務センター支部発】2月15日、甲府地裁において平成9年に過労自殺した横森さんの損害賠償請求事件の証人尋問がありました。横森さんは平成5年社会保険業務センターに入庁し、業務部や中央年金相談室などで年金業務に携わってきました、過労自殺については、平成14年に人事院で公務災害と認定されています。
 国家公務員の過労死、過労自殺はこれまで数十件が公務上と認定されていますが、横森さんのご両親がおこしているこの度の裁判は、公務の職場における過労自殺で日本初めての「損害賠償請求」裁判です。
 この裁判は、「公務上」での争いではありません。争点は、国側に、「職員に対する安全配慮義務違反があったかどうか」です。役所(社会保険庁)の責任が問われる裁判となっています。
 今回の証人尋問は、国側の証人にたいする尋問が行われました。横森さんをめぐる職場環境、労働環境に対する国側、原告側からいくつかの質問が行われました。このなかで、横森さんに対する国側の安全配慮義務に違反があったかどうかが問われました。
 次回の尋問は、原告側の証人が立ちます。約2時間半続けて尋問を原告、国側の両方の弁護士から受けます。前回の証人尋問とは逆に原告側弁護士が、安全配慮義務違反となる行為等があったことを証人の発言から示し、その後、国側弁護士が逆の立場から質問を行うという構図になります。
 「社会保険庁改革」が内外で叫ばれ、遂行されようとしている中で、社会保険庁の職場環境、労働環境がこれまで以上に複雑・急速に変化していくと思われます。職員の負担はこれまで以上に大きく、ストレスも増大する場面が多くなると思われます。このようなことからも、この裁判の行方は、職場全体の問題であり関心を持っていかなければならないと思います。
 公務の職場における日本で初めての「安全配慮義務」違反が問われる裁判となっています。次回の証人尋問では、傍聴席から大きな力を送りたいと思います。組合員の皆様には、一人でも多くの方が傍聴に行っていただくようお願いします。
〈今後の日程〉
3月15日=第12回裁判証人尋問 原告側証人
3月22日=第13回裁判証人尋問 原告横森正保氏 甲府地方裁判所


3・1ビキニデーに青年が大集合

核廃絶で世界中の青年が一緒に行動を

 51年前、米国の水爆実験によりマグロ漁船第五福竜丸が被爆した日にあたる3月1日の「ビキニデー」を前に、2月27日原水爆禁止日本協議会が静岡市内で全国大会を開催。エジプトの政府代表など海外代表を含む1200人が参加しました。
 基調報告に立った高草木博事務局長は、国際的に政府レベルの核廃絶運動が起きている平和の流れを示し「核廃絶は射程距離内」と展望しました。(1)5月のNPT再検討会議に向けて国民の核廃絶のコンセンサスを署名に結実させよう(2)核廃絶の一点で国際的な連帯を強め、原水爆禁止世界大会の成功を(3)被害の非人間性を世界と日本の青年に知らせる目的もある原爆症認定集団訴訟に支援を、と行動提起しました。
 また同日、国際青年集会「核兵器なくそう・青年のつどい ACT ONE」も開催され600人の青年が参加。反核平和運動に取り組むフランス、フィジー、日本の青年が「核兵器のない21世紀の創り方」をテーマにトークしました。
 フランス平和運動のソフィー・レフェーズさんは「世界中の青年が自分の頭で核の怖さを理解し、ITも使って交流しよう」と呼びかけ、「今年の世界大会にはフランスから100人の青年と参加したい」と述べ拍手に包まれました。フィジーからの留学生ディパル・マネクラルさんは「最も重要なのは『違いを超える』こと。1つの目的で連帯することは強烈なインパクトを与える」と発言。日本からは、3月20日に神戸市で開くピースフェスタ実行委員長の井澤美穂さんが登壇。昨年の国連軍縮会議開催中に各国代表部を訪ね核廃絶を訴えた経験から、人の心に訴えかけることの重要性を強調。「被爆60年の今年、平和運動にバクハツを起こそう!」と元気に訴えました。
 各地での反核・平和活動が次々と発言され、ビキニ被災者の大石又七さん、韓国やアメリカの青年からのビデオレターも放映されました。
 「世界中の青年が一緒に行動を起こせたら本当にすごい!」希望ふくらむ集会となりました。
(本部書記)


憲法9条でいこう 平和バッグ販売中
 全厚生青年対策部は、「ニューヨーク100万人行動」への代表派遣を決め、その費用確保のため、「NO WAR 憲法9条でいこう」のオリジナルバッグを作成・販売しています。(写真)
 色は生成りでプリントとまち部分が藍色。人気のデザイナー、ttによるイラストでアピール力はバツグン!型くずれしにくい丈夫なつくり、おちついた色合いとデザインで、どんな洋服にもコーディネートOKです。あなたの常備バッグのひとつにいかがですか。大きさは2種類。価格は、
 小 1,000円
 大 1,500円
 お問い合わせは、支部役員または全厚生本部まで。 買ってね(^-^)


退職されるみなさま 引き続き国公共済会へ
 3月で退職される皆さん、大変お疲れさまでした!全厚生は、組合の仲間として長年ともに励まし合い働いてこられた皆さんに、引き続き国公共済をお勧めしています。是非ご検討下さい。

<退職者グループ>
 現在支部で加入されているセット・火災共済について、「退職者グループ」に異動すると手続きは全て国公共済会と直接行うこととなります。交通災害共済・火災共済は一生涯加入できます。

<シニア共済>
 皆さんがいつまでもお元気で活躍されることを願い、80歳までの病気やケガによる療養費などを援助する制度です。健康告知基準に該当しない55歳以上66歳未満のOB組合員とその配偶者が加入できます(配偶者のみの加入はできません)。また現在セット共済に加入している方は、64歳まで併行して加入できます。
*詳しくはパンフレットをご覧下さい。お問い合せは支部担当者または本部・西田書記(03-3501-4881、nshio@zks.dp.u-netsurf.ne.jp)まで。

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