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◆第1609号(2005年2月15日付)◆


みんなのこえ

国民のための社会保険行政確立を

国民の社会保険庁への不信や年金不安がつのるなか、真の社会保険庁改革とは何か、社会保険業務の民間開放をどうとらえるかなど、社会保険に働く仲間の声を紹介します。


癒着根絶なくして真の改革なし  大阪支部 勝井 正
 次々に明らかにされる社会保険庁の不祥事のもとで、社会保険庁の民営化・独立法人化の動きが強まっています。確かに、国民が信頼する社会保険行政の確立のためにも、まじめに働いている圧倒的多数の職員のためにも、社会保険庁を根本から改革することが必要です。しかし、「のれんの掛け替え(独立法人化)」や「民営化」で本当に国民が期待する社会保険行政が実現するのでしょうか。真の改革は、社会保険庁を「不祥事のデパート(毎日新聞1/16付け)」にした原因を明らかにすることから始まります。
 その原因の1つは社会保険庁が持っている3つの体質にあると思います。1つは内外から「社会保険一家」と言われていますが、その内向的で隠蔽的体質です。2つには贈収賄等で現役や元幹部が逮捕されましたが官民の癒着体質です。3つはマスコミで指摘されましたが、行政サービスの向上や機械化などの職場改善に怠慢な自治労国費評幹部と、それを巧みに利用してきた社会保険庁幹部との事実上の癒着的な職場支配です。これらを根絶し、国の責任で行政運営することを基本に、国民的な議論と監視のもとで社会保険庁改革を進めることが必要です。

年金のプロとして人生と向き合う  愛知県支部 佐藤雅信
 窓口で年金試算の額のあまりの少なさに、怒りを通り越してがっかり肩を落として帰られる方が増えています。長期間加入して、退職を迫られ、これから老後の設計のため窓口を訪れ、失業保険との調整、在職停止や一部繰上げ全部繰上げ制度、加給年金など度重なる制度改悪で非常に複雑でわかりにくい年金制度と非常に低い年金水準を現実のものとして突きつけられ、将来の不安を抱いている人があふれています。また、無年金者も放置されたままになっています。
 本来、憲法25条に規定される生存権保障の実現を図るための制度にもかかわらず、もうけの対象にする「市場化テスト」は許せません。
 私たちは年金のプロとして、マニュアル化された仕事ではなく、1人ひとり40数年もの長い人生と向き合って相談業務をしていかなければならないと思います。そのためにも過去の制度変遷も含めた制度の様々な知識と経験が必要です。窓口での国民の声を日頃の業務改善につなげ、誰もが安心して老後を暮らせる制度確立のため努力していかなければならないと思います。

民間と公務にはそれぞれ役割が  京都支部 山本 潔
 官製市場の民間開放を声高に叫び、公務員の担っている公務部門までも市場化しようとしている。基本的に民間企業は、「もうけ」に直結し、公務は「もうけ」に直結しない分野を受けもっている。公務の市場化には疑問がある。それは、民間は「もうける」からダメとか、公務は「もうけない」からヨイとかいうことではない。民間企業は、市場での「もうけ」を目的にすることによって付加価値を生み新たな社会的資産を蓄積している。ここに、民間企業の社会的役割がある。その蓄積された社会的資産の一部を社会に還元する役割を担っているのが公務なのではないだろうか。だからこそ、公務には公平性と、それを担保しうる専門性が強く求められているのではないか。もしも、公務の役割を、民間企業が担うと、民間と公務のそれぞれの役割が阻害され、社会的資産も社会に還元されなくなるのではないだろうか。とりわけ、社会の歪みをカバーしている社会保障の分野こそ、公共性と専門性を重視した公務の役割を大いに発揮することが大切なのではないだろうか。

最低保障年金の創設を  岐阜県支部 澤村 明
 年金受給者が増大し、これから受けようとする高齢者にとっても、将来の不安は大きい。なぜなら、今の現役世代、特に若い世代が保険料を払わない、払えないことが大きな原因でもある。受け取る側からすれば、払わない世代が多ければ直接年金額、年金財政に大きく影響し、年金がもらえなくなると考えるからだ。さらに、年金不信から保険料の納付に損得勘定が入り、公的年金なのか、単なる保険なのかという議論となるのである。
 年金制度は憲法25条により公的年金としての値打ちがあるはずだ。こう見たとき、誰もが平等に受けられる「最低保障年金」があれば、とりあえず「安心」である。保険料を納めた人と免除を受けている低所者などには国庫負担(税金)付きの年金があるのに、大部分の国民は税金を払っても保険料を払わなければ国庫負担付きの年金は受け取れないのが現在の仕組みだ。この仕組みでは年金不信が未納者をつくり低年金、無年金となる可能性が大きい。
 ヨーロッパの多くの国が「最低保障年金」に拠出年金を上乗せしている。日本の現行制度では、基礎年金の国庫負担分を「最低保障年金」とし、この額を増やして行くことで実現できる。厚生年金、国民年金などは二階部分となる。無駄使いの公共事業をなくし、ゼネコン行政を転換させ、ドイツなど欧米並みの比率に社会保障費の予算を組めば実現できる。

《投稿募集》社会保険庁改革に関するあなたの意見募集中。今ほど、社会保険に働く仲間の胸の内を国民のみなさんに聞いていただくことが大切な時はないのではないでしょうか。一般新聞への投書とともに、この「全厚生」新聞へもみなさんの心からの声を送ってください。400字程度。支部名・氏名・年齢を書いてください。メールでの投稿は次のアドレスへ。
ZENKOSEI@zks.dp.u-netsurf.ne.jp


リレーずいそう
● 梅も桜も満開に
 「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」ということで、如月の時期は受験、資格試験の真っ只中である。今年は初詣にも行っていないので、太宰府天満宮へお参りしてきた。
 筑肥線、地下鉄で天神まで行き西鉄に乗り換えて太宰府まで行くことにした。福岡では3番目の地下鉄ができ、地下街がのびて新しいところでは人が沢山集まっていた。そういえば、なぜ天神というのか・・天神様はいらっしゃるのか?、ちょっと寄り道して、水鏡天神というところにお参りしてきた。この神社は博多に入られた道真公が四十川という清流に姿を映し、まるで鏡のようだったためこの名がついたと、それが現在の天神の由来だと紹介の立て札に書いてあった。由緒ある神社なのである。ビルの間の大通り沿いにあり、赤い小さな神社であったが、観光客らしき方が2、3人写真を撮ったりしていた。目的地の太宰府天満宮では、沢山の方がお参りしていた。神様はあまり騒々しいのは如何かとは思うが寂しいよりは良いのかもしれない。社殿にお参りして、お守りを購入し、おみくじを引いたが、3回とも小吉であった。大吉はでなかったが、運も残しておきたいとあきらめた。天神様はこの地で何を思われて千年間お暮らしであろうか、そんなことを考えながら、とにかく困ったときの神頼み、この際、かなり、ずうずうしいと思ったが、道真公が好きな梅だけでなく桜も満開にとお願いしてきた。
(福岡支部 組合員)


News
● 春闘と平和でがんばる ―国公青年協拡大代表委員会開く―
 国公労連青年協2004年度拡大代表委員会が1月29〜30日、東京・新宿で開催されました(写真)。執行部を代表して松原青年協副議長が「市場化テストなど、我々を取り巻く情勢は大変厳しいが、確信をもって闘おう」とあいさつ。執行部から、秋季年末闘争の総括と、今春闘の方針が提起されました。全厚生からは、佐藤事務局長が代議員で、宮田青年担当がオブザーバーで出席。佐藤事務局長は「ニューヨーク100万人集会への代表派遣をとりくむ。そのための物資販売を青年対策部でとりくむ」と力強く発言。春闘方針は満場一致で可決されました。


東海ブロック●総会と学習会を開催

社会保障はなぜ必要か

 全厚生東海ブロック連絡協議会は1月29日、名古屋市内で総会・社会保障学習会を開催。全厚生本部の杉浦書記長、全厚生近畿ブロックの勝井議長、東海ブロック国公の國近事務局長をむかえ、「社会保障を財界の儲けの対象にはさせない」「国民本位の真の社会保険庁改革を考えよう」と愛知・静岡・岐阜の3県から50人が結集しました。
 また、総会にあわせて、専修大学教授・唐鎌直義氏による「社会保障はなぜ必要か」と題した学習会を開催。イギリスを例に自助から公助へと発展してきた社会保障成立の背景と根拠、日本での社会保障軽視の歴史的理由を学ぶとともに、「労働者として普通に働いて、普通に暮らせる社会」の実現をめざす労働組合の役割が強調された内容で、参加者はいまこそ根本から社会保障を学ぼうと熱心に聞き入っていました。
 新役員は次のとおり 。
 ▽議長 杉崎伊津子(愛知県支部)、▽副議長 飯塚豊(静岡県支部)、佐藤雅信(愛知県支部)、澤村明(岐阜県支部)、▽事務局長 寺井唯哲(愛知県支部)
(岐阜県支部 組合員)


秋田県●支部の中高年学習会開く

再任用制度を学習

 県内でも積雪の多い地方に数えられ、「かまくらと焼きそば」で有名な横手市で、2月5日に中高年学習会を開催しました。
 小林支部長の挨拶で開会し、「退職後の再雇用と新再任用制度の現状と問題点について」と、「組合活動への助言・提言」と題し、座談会形式で参加者の意見交換が行われました。
 前半は再任用制度の内容から、人事院の資料を基に、退職後の生活設計や退職手当・年金の計算などを学習。後半は予定時間をオーバーする程熱心な討論会へ発展し、経験豊富な組合員としての貴重な話も聞くことが出来て、執行部も学習させてもらうことが出来た1日となりました。
 来年以降もさらに充実した学習会の開催を望む声があり、積極的に参加してもらえる環境づくりも今後の課題として確認し、無事閉幕しました。なお懇親会も盛り上がったことは言うまでもありません。
(書記次長)


香川県●40周年記念女性交流集会開く

現場の叫び出し合って

 香川県支部は1月29日、支部結成40周年記念女性交流集会を開催しました。貴重な休日をやりくりして子育てに忙しい人も参加して、本当に有意義な集会となりました。
 同じ社会保険で働く仲間でありながらもなかなか会う機会がなかった人ともお会いできたし、40周年ということでおいしいフレンチのランチを頂くこともでき、幸せでした。
 当日は、本部書記次長の福士さん、支部長の森さんから貴重なお話を聞かせていただき、また、意見交換では社会保険がおかれている厳しい現状の中で仕事をしている現場の叫びを聞くことができました。
 今後職場はますます厳しくなっていきそうですが、各分会ごとに食事会のような形ででも集まって元気になりましょう。
(組合員)


業務セ●支部で声明と提言を発表

不祥事に厳正な対処を

 1月14日、「カワグチ技研」に関わる汚職事件及び「監修料」の組織的プール問題に関わった社会保険庁職員に対して、懲戒免職をはじめとする懲戒処分が発表されました。このことについて、業務センター支部は、1月19日、次の声明と提言を発表しました。
(支部長)


2005年統一要求書提出

全厚生みんなの要求束ねて

 全厚生は2月8日、厚生労働大臣及び社会保険庁長官宛に全厚生2005年統一要求を提出しました。
 この統一要求は、全厚生のすべての構成員の要求と公務員労働者の制度改善要求をまとめ、先の全厚生第46回中央委員会で決定したもの。国公労連統一賃金要求や「給与構造の基本的な見直し」に対する要求、全厚生の社会保険庁改革や「市場化テスト」(官民競争入札)、独立行政法人医薬基盤研究所に対する要求などを網羅しています。
 この本部段階の要求書提出を出発点にして、05年の要求実現のたたかいを開始します。すべての支部・分会は、独自要求を確定させ、所属長への提出を行います。05春闘の山場にむかって、本部・支部一体で切実な要求の実現をめざしましょう。


<声明と提言>

 一連の不祥事事件は、年金保険料の事務費使用・無駄遣いや年金情報の目的外閲覧問題とあわせて、昨年の春からマスコミで連日のように大きく取扱われ、国民の中に渦巻いていた年金制度不信にいっそう拍車をかけるとともに、保険料納付意欲低下など社会保険事業へ大きな影響を与えた。
 「社会保険庁では、単一の人事集団が過度の共同体意識を有する中で、内向きで閉鎖的な組織体質が形成されてきた」(調査報告)とあり、その責任は重大である。不祥事には全く無縁で、ただひたすら真面目に働いてきた職員は、このことに怒る国民から一様に扱われ、罵声に耐え忍びながら業務を遂行してきた。
 昨年、社会保険庁当局が行なった一連の不祥事に関する調査がやり直しを求められたことは、国民に対して社会保険庁の自浄能力のなさを白日の下に晒したものであり、遅まきながら懲戒処分が下されたことは、まことに遺憾なことである。
 今回の懲戒処分が、これから社会保険庁が再出発するうえで、大きな区切りとなるよう期待する。残された、金銭登録機及びパピアートの調達過程に係る弁償責任及び懲戒処分、監修料問題における懲戒処分についても、厳正に対処することを求める。
 自民党内では「現在の社保庁職員がそのまま居残り自己改革したと言っても、有権者の理解は得られない」と批判しているが、社会保険庁の再生のためにも、懲戒処分された幹部職員については、現在の職を解き、年金相談業務などの最前線の職務に就かせること、また、退官し関係団体等の職に就いている社会保険庁OB職員については、その職を解くよう働きかけること、を提言する。
2005年1月19日
社会保険庁長官  村瀬 清司 殿
社会保険業務センター所長 霜鳥 一彦 殿
全厚生職員労働組合社会保険業務センター支部
執行委員長 峰 一史


平和キャラクター イラスト募集中

 全厚生女性部は被爆60年の今年、核兵器廃絶と憲法9条を守る運動に活用するため、平和をイメージしたオリジナルキャラクターのイラストを募集しています。応募資格は全厚生組合員とその家族。はがきに黒のペンかマジックでハッキリと書いて(カラー不可)、氏名・支部名・年齢・家族の場合は組合員名を書いて送ってください。キャラクター採用者には5千円の図書カードをお贈りします。
<締め切り>3月10日
<送り先>〒100-8916千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省低層棟3階 全厚生労働組合女性部 平和のイラスト係
応募者全員に図書カードをプレゼントします。
子どもたちの応募大歓迎(^-^)


「国民本位の年金制度と真の社会保険庁改革を考える」シンポジウム
日  時3月5日(土)13:00〜17:30
会  場クレオ大阪北(阪急京都線淡路駅から徒歩10分)
大阪市東淀川区東淡路1-4-21
TEL 06−6320−6300
パネリスト芝田英昭 氏  立命館大学教授
堤 修三 氏  大阪大学大学院教授(元社会保険庁長官)
浜田陽太郎 氏 朝日新聞記者
杉浦公一 氏  全厚生労働組合書記長
コーディネーター 飯塚 勇 氏  全厚生労働組合副委員長
主催全厚生労働組合
後援国公労連 厚生共闘 中央社保協 全日本年金者組合

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