見出し

◆第1603号(2004年12月5日付)◆


秋闘要求で人事課長交渉

社会保険行政の民間開放やめよ

 全厚生は12月1日、大臣官房人事課長と04秋闘の重点要求にもとづく交渉を実施。交渉には全厚生から杉下委員長、網・飯塚・藤巻各副委員長、杉浦書記長、福士書記次長、木立・宮田各中執が出席。人事課からは、小野人事課長、木倉参事官、西山人事調査官らが対応しました。

ILO勧告にそった公務員制度に

 冒頭、杉下委員長が要求趣旨を説明。とりわけ、「市場化テスト」(官民競争入札)について、公務の民営化を加速させ、社会保障に対する国の責任を放棄するものと指摘。社会保険庁の独立行政法人化や民営化には反対であると主張し、重点要求での回答を求めました。これに対し、小野人事課長が一括回答。公務員制度改革では、「『公務員制度改革大綱』を撤回・修正し、ILO勧告にそった公務員制度改革を行うこと。労使協議を尽くし、『民主・公正・効率』の民主的な公務員制度を確立すること」の要求に対し、「引き続き、行革推進事務局に対して各省、労働組合と十分協議が行われるよう働きかけていく。全厚生にも、必要な情報提供を行う」と回答。定員削減に反対し、国民サービス向上・充実のための増員要求では、「定員環境は非常に厳しいものとなっている。適正な定員配置と必要な増員の確保に最大限の努力をしたい」と回答しました。
 社会保険庁改革の課題では、社会保険行政は憲法25条にもとづき国の責任で拡充し、「市場化テスト」(官民競争入札)の対象として、「民間開放」を行わないことを要求。これに対し、「社会保険業務については、業務効率化の観点から外部委託の範囲を拡大していく必要があると考えている。コアとなる業務は、引き続き社会保険庁自らが実施することが必要であると考えている。国民年金保険料の収納業務、年金相談業務は、外部委託の拡大を検討している。『市場化テスト』の実施の検討と併せて、詳細を検討していく」と回答。給与制度、俸給表構造の「見直し」改悪を行わないことを要求したのに対し、「給与制度は重大な勤務条件であると認識している。皆さんの意見も踏まえ、人事院に対して人事管理に支障をきたすことのないよう必要な意見を申し入れていく」と回答しました。

独法化で勤務条件を後退させるな

 独立行政法人医薬基盤研究所に異動する職員について、身分・勤務条件等の後退を招かないよう万全の措置をとるよう要求。これに対し、「独立行政法人に異動する職員にとっては、勤務条件等の扱いは最も基本的かつ重要な問題である。関係職員には必要な情報を知らせる。勤務条件の後退を招かないように誠意をもって対処するよう、厚生科学課や関係試験研究機関に伝える」と回答。本省庁職場の恒常的な残業改善の要求では、「恒常的な残業実態の改善は、職員の健康管理という観点からも、重要性は十分認識している。管理者の意識を高めかつ定着させていくことも大切。今後とも、超過勤務の縮減について十分認識をもって積極的に取り組む」と回答。メンタルヘルス対策等、健康と安全確保の要求では、「メンタルヘルス対策は、非常に重要であると認識している。今後とも、職員の健康・安全対策の充実に努めていきたい」と回答しました。
 男女共同参画社会の実現をめざし、女性職員の採用と登用を拡大する要求に対しては、「昇任・昇格は男女を問わず、職務内容、経験年数等を考慮し、級別定数の運用状況を見極めながら実施している。今後とも女性職員の採用・登用の拡大について、これまで以上に積極的に取り組む」と回答。再任用制度では、希望者全員の雇用のために最大限の努力を要求。これに対し、「定員の問題など制度上の問題の認識は持っている。再任用を行うにあたっては、今後とも制度の趣旨を踏まえ、適正、公正な運用がなされるよう、各機関を指導していきたい」と回答しました。


秋季年末闘争第3次中央行動

公共サービスの商品化反対

 公務労組連絡会は11月30日、秋季年末闘争の山場となる第3次中央行動を行いました。行動は、「市場化テスト」など「公共サービスの商品化」反対、国民犠牲の「公務リストラ」反対、地方切り捨ての「三位一体改革」反対、労働基本権回復など憲法とILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立、小泉「構造改革」反対等の実現をめざして、財務省・総務省前要求行動、内閣府・行革推進事務局前要求行動、政党要請、決起集会など終日行動を実施。全厚生は北は函館から、南は大分県まで14支部、総勢55人が参加しました。中央行動初参加の秩父学園支部・日野憲文さん(24)は、公務切り捨てが狙われる中で職員が「長時間・ただ働き残業をさせられているのが気になる」との感想。参加者は国会請願デモで「公共サービスの市場化反対」「公務リストラ反対」とシュプレヒコールを響かせました。


公務の「市場化」 私の意見 (1)

民間企業の目的はもうけ  大阪支部 組合員
 民間なら「効率的で親切」、官は「非効率、不親切」のイメージで宣伝されていますが、民間企業の目的は、いかに他社との競争に勝ち抜き利益をあげるかです。もうけにならないことは、なるべく避け、顧客の選別が行われるのではないでしょうか。

市場化は社会保障の放棄  神奈川県支部 組合員
 国の責任において行うべき社会保障の充実を放棄するのみならず、憲法25条に違反する「市場化テスト」、庁民営化に強く反対!そしてその根源である小泉「構造改革」にSTOPをかけよう!


リレーずいそう
● “とっと”へ
 とっとは、4がつからしおばらに行っちゃったね。ぼくは、はじめのころは、なぜまいしゅうしおばらにしゅっちょうに行くのか、とてもふしぎで、さびしかったよ。それまでは、あさ、いっしょにほいくえんに行って「だっこでバイバイ」してくれたのに、ぜんぜんいっしょに行ってくれなくなっちゃったんだもん。しゅっちょうなんかなければいいのにと思ったんだけど、さいきん、わかってきたんだ。とっとがしおばらに行ってるのは、しゅっちょうではなく、おしごとでずっと行っているんだって。ぼくもバンビぐみだからね、そのくらいわかるよ。
 とっとがいなくなってかっかはまえよりもおこりっぽくなったけど、だいじょうぶ。おねえちゃんと、ちゃんとやってるから。ぼくだって、おせんたくものをたたんだりして、かっかのおてつだいできるようになったんだよ。おふろもひとりで入れるようになったし、はみがきもひとりでやってるよ。おにいちゃんになったでしょ。
 でもね、にがてなこともあるよ、おもちゃのかたづけ。おうちのなかでブロックとつみ木とせんろでとてもたのしくあそんでいるのに、かっかは「ねるじかんよ。ぜんぶかたづけなさい!」って言って、かたづけができないと、お気に入りのおもちゃ、すてられちゃうんだ。ほんとうだよ。
 だから、とっと、はやくかえってきて。おもちゃのかたづけ、てつだって。すてられちゃうよ。
(塩原支部 組合員)


News
● イラク派兵延長やめよ ―11.30緊急集会に3,000人―
 「アメリカはイラクでの住民虐殺やめろ!即時撤退を」「自衛隊のイラク派兵延長を許すな!」と11月30日、東京・日比谷野外音楽堂で緊急集会が開催されました。(写真右)まともな審議もなしに小泉内閣が3日に国会を閉会し、14日に期限が切れるイラクの自衛隊派兵を閣議決定だけで延長しようと狙う緊迫した情勢のもと、「イラクから自衛隊をすぐに戻して」のプラカードなどを手に3,000人が結集。集会後、アメリカ大使館、首相官邸近くまで迂回し、国会請願デモ行進。全厚生からは、本省・リハ・神奈川県・岐阜県・業務センター支部・OBなど総勢21人が参加しました。


国の行政責任を放棄する市場化テストに反対です

「社会保険庁改革に対する全厚生の主張と要求」を作成 組合員の積極的な討議を呼びかけます

 全厚生は11月29日、職場討議資料として「社会保険行政の民主化と行政サービスの確立に向けて 社会保険庁改革に対する全厚生の主張と要求」を発表しました。
 社会保険庁の「解体的改革」が叫ばれているなか、政府の規制改革・民間開放推進会議で、「市場化テスト(官民競争入札)」のモデル事業に社会保険庁があげられるなど、民間開放を狙う流れが急激に強まっています。全厚生は、真に国民のためのサービス向上と、働きがい・生きがいある社会保険職場の実現となるような「改革」を目指して、組合員の積極的な討議を呼びかけています。
 「社会保険庁改革に対する全厚生の主張と要求」の要旨を紹介します。全文とダイジェスト版は冊子で配布している他、全文は全厚生ホームページにも掲載しています。

 今年の通常国会で、8割の国民が反対していた「年金改悪法案」が自公政権により強行され、意図的な出生率の発表など様々な矛盾や問題点が指摘され、多くの国民が政府に対する不信感を募らせました。こうした年金問題の本質から国民の目をそらすかのように社会保険庁をめぐる様々な問題が取り上げられ、社会保険庁改革が急テンポで進められています。まじめに働いてきた現場の職員にしてみれば本当に悔しい思いがあります。
 この流れにあわせるかのように、政府の「規制改革・民間開放推進会議」は、社会保険行政事務の民間開放を重点検討項目とすることを決定し、年内に答申を予定しています。私たちは、国民全体の奉仕者である公務員労働者として、国民の視点での行政サービス向上に全力で取り組んでいくことが、生きがい・働きがいある職場づくりや労働条件の改善につながるものと確信しています。
 こうした視点から、多くの仲間達と共に「庁改革に対する全厚生の主張と要求」をまとめてきました。年末の慌ただしい中ですが組合員の皆さんの積極的な討議をお願いします。

全厚生の主張と要求(要旨)

1 社会保障制度に対する国の責任の明確化を求めます

 小泉内閣による社会保障の連続改悪が国民生活を圧迫しています。
 失業や生活困難を個人の責任とし、「自立・自助」「自己責任」を強調することで、社会保障への国の責任を国民に転嫁しようとする路線が益々強まっています。さらに、規制改革・民営化の流れも加速され、公務部門への民間参入を狙った市場化テストも俎上に上るなど、市場万能主義、弱肉強食の世界が社会保障制度にも襲いかかっています。私たちはこうした流れには断固反対します。

2 市場化テストに反対します

 政府の諮問機関である「規制改革・民間開放推進会議」は、官が提供しているサービスと同種のサービスを提供する民間事業者が存在する場合、官と民間で競争入札を実施し、価格やサービスの点で優れたものが落札し業務を行うための制度として「市場化テスト」(官民競争入札)の実施を打ち出し、来年度実施に向けた対象事業の選定を行っています。現在検討されている事項に社会保険関連業務などがあげられています。こうした動きは今後あらゆる公務部門に及ぶことは明らかで、その狙いは、民間企業へのビジネスチャンスの拡大であり、企業の利潤の追求です。
 国民の命と暮らしを守るために憲法第25条の生存権を基に制度化された社会保険制度の運営に、こうした手法が導入された場合、当然のごとく制度の更なる切捨てと職員の労働条件の後退につながることは明らかです。私達はこうした流れには断固反対します。

3 国の機関が直接責任を持って行うことを求めます

 この間、多くの国の機関や公団・特殊法人等が独立行政法人化させられました。最近では国立病院が最大の組織として発足しています。これらの経過や現状を見てもその最大の狙いは、効率的運営という名によるリストラ・合理化であり、労働条件の切り下げです。
 小泉「構造改革」は、社会保障の各制度を一体的に見直す社会保障「構造改革」をすすめています。 本来、国の行政機関は、国民の基本的人権を保障する責務を担っています。独立行政法人化や民営化は、厚生労働行政、社会保険行政を安定して継続して遂行する方向に逆行し、国が果たすべき役割や責任を放棄するものです。私たちは、こうした制度・行政の切捨て路線には与せず、国の機関として社会保険庁がその任にあたり、同時に国民の立場に立った真の社会保険庁改革が実現するために奮闘します。

4 真の行政サービスの向上と労働条件の確保を求めます

 都市部を中心とする異常な混雑、様々な権利を行使するにも主体性が求められる実態など行政サービス上様々な問題点が指摘されています。社会保険庁が示した緊急対応プログラムには、私たちがかねてから指摘しその改善を求めてきた項目なども多く含まれています。体系的・計画的な実施と同時に、具体的実施に当たっては、必要な要員の確保や予算措置、そして十分な協議と条件整備、労働条件の確保を求めます。

5 全額国庫負担(一般財源)による最低保障年金制度の創設を求めます

 年金制度の相次ぐ改悪は、給付水準の引き下げと大幅な負担増をもたらし、高齢者や若年層も含めた圧倒的多数の国民に制度不信と将来不安を増長させています。制度への未加入・未納・免除者が4割を超えるような国民年金制度、また、低迷する経済情勢のなかで重い保険料負担なども影響し4割の法人が未加入といわれている厚生年金、こうした空洞化の進行が社会保険制度の根幹をゆるがしています。また、世界に例を見ない長期の受給資格要件や、多額の積立金と非民主的な運用実態などが制度不信に拍車をかけ抜本的な改善を求める声も益々強くなっています。
 深刻化する年金制度の劣悪な現状を抜本的に打開するために、そしてみんなが安心する制度を実現するために全額国庫負担(一般財源)による最低保障年金制度を創設し、その上にそれぞれの掛け金に応じて給付を上乗せする新たな制度体系を構築する必要があると考えます。


公務の「市場化」 私の意見 (2)

市場原理に巻き込まれる  愛知県支部 組合員
 「市場化テスト」は民間がビジネスチャンスとして公務に入り込んでいこうとしていることの現れだと思います。社会保険が市場化の対象になれば、究極的には、国が責任を放棄し民間の市場原理に巻き込まれる、まさに弱者切り捨てがおこることになる。阻止しなければならない。

営利企業の食い物に  静岡県支部 組合員
 「国民年金未納の催促電話を外部の民間会社に任せているだと・・!どういうことだ!(怒)」こうした苦情に私達社保職員は、その都度、社会保障としての年金、制度への理解や、受給権の確保を訴え誠心誠意、国民・被保険者のための対応をしてきました。市場化により公務から切り離されたら、これからの個人情報はどのように管理され、活用されていくのでしょうか・・債権回収会社等、営利企業の飯の種として取り扱われることになってしまう危険はないでしょうか?市場化に断固反対です。


「公務の民営化と社会保険行政」全厚生学習会

日 程2004年12月23日 10時30分〜17時
場 所お茶の水・ホテル聚楽
内 容講演二宮厚美(神戸大学発達科学部教授)
河村直樹(全労働中央副執行委員長)
基調報告と討論
積極的な参加をお願いします

Back  to HOME