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◆第1599号(2004年10月25日付)◆


国公権利裁判判決

不利益遡及は許さない! 不当判決に怒りの声

 10月21日東京地方裁判所は、「国公権利裁判」で原告の請求を全て棄却する不当な判決を言い渡しました。
 「国公権利裁判」は、2002年8月に出された人事院勧告にもとづく給与法「改正」で、史上初の本俸マイナス分を12月期末手当から「減額調整(=不利益遡及)」したのは違法・違憲だとして、昨年3月5日に全国139名の国公労働者(原告)が国(被告)に対し、約1250万円の損害賠償を求めて提訴していたもの。全厚生はこの裁判の意義を受け止め、原告に7名、裁判費用「コーヒー1杯分のカンパ」など積極的に取り組んできました。
 この裁判の争点は、本件「減額調整措置」が(1)憲法28条違反(「労働基本権=団体交渉権」の不当な制約)かどうか(2)ILO87号・98号条約違反(同)かどうか(3)不利益遡及が脱法行為に当たるかどうか(情勢適応原則の解釈)の3点です。そして原告団はこれまで10回の口頭弁論をつうじて、本件「減額調整措置」をめぐる政府・人事院などの不当性を厳しく追及してきました。
 10・21判決日行動には、愛知・大阪の原告団と本部が参加。昼休みに裁判所前で宣伝行動、この中で原告筆頭の河野さん(全税関)は、「本日の判決で東京地裁が良識あるきちんとした判断を下すように期待したい。そして、公務員制度改革をめぐるたたかいで、何としても労働基本権を回復していきたい」と訴えました。その後、裁判所内に入り傍聴行動。TVカメラの撮影終了後、裁判官は「主文、原告らの請求はいずれも棄却する。また、訴訟費用は原告らの負担とする。以上」と判決主文を読み上げました。あまりにも短時間の判決であったため、傍聴参加者はあっけにとられましたが、我々の主張が全く反映されなかったことに怒りがこみ上げてきました。

国家公務員の労働基本権侵害は許せない

 報告集会の冒頭、主催者挨拶にたった堀口委員長は、「判決は、請求を全て棄却するという不当なものであり抗議する。到底受け容れることのできないものであり、判決を乗りこえるため控訴をふくめた対応の討議を早急にすすめる。この間の運動の到達点として、官民共同の前進や労働基本権棚上げの公務員制度『改革』を許さない取り組みの前進など確認し、今後に引き継ぎたい」と決意を述べました。
 弁護団からの判決の解説では、「この判決は我々の主張を正面から否定したのではなく、上手にかわそうとしたもの。こんな判決を望んでいたのではない」と厳しく批判。小田川書記長は「我々のこの行動により、自治体によっては『不利益遡及』を取りやめたところがある。また裁判支持署名やカンパを積極的に取り組んできた」と評価。参加者からは「国家公務員なら『不利益遡及』をおこなってもいいと取れる文面があり、納得できない」、「青年の立場からいってもこの判決はおかしい。日本の司法ここにありというところを見せて欲しかった」、「国家公務員の労働基本権を侵害している」、「もともとこの裁判は一審でおわる予定ではないはず。是非控訴を」など、たたかいの決意みなぎる集会となりました。

判決を傍聴した原告の決意
黙っていては何も変わらない
愛知県支部 組合員
 今まで1年7ヶ月という時間を費やしてきたのに、たった10秒で結果が出てしまったことはほんとうに怒りです。ここで終わってしまっては、また「やっても無駄だ」「何をしていたんだ」と言うことになってしまうので、是非次の段階、控訴を考えて、これからもがんばらなくてはいけないと思います。今回の遡及しての減額調整が違法でないなら、この先も私たち国公労働者は「『不利益不遡及の原則』の法理が直ちにあてはまるとはいえない」という理由だけで、押さえつけられてしまいます。組合員の皆さん、全員が原告(被害者)なんです。このまま黙っていては何も変わりません。まず、行動をおこしましょう。これからどうなるかはわかりませんが、不利益遡及はおかしい、国家公務員だけが、どうして守られないのかという気持ちを一段と強く持ち、この先頑張ろうと思います。皆さん、一緒に頑張りましょう。


不条理な判決は承服できぬ
中央執行委員 組合員
 たった10秒の判決で私達の人権は踏みにじられた。「やっぱり裁判所の良心なんてないのか」というのが素直な気持ちだ。判決のすべて論点はごまかし。当たり前の不利益不遡及も私たちには「直ちに当てはまるとはいえない」と述べてる。この国の先行きは暗い。公務員の人権どころか、国民の権利を守ろうという姿勢すら、判決からは読みとれない。道理や法律なんてどうでもいいのか。私は、このまま不条理な判決は承服しかねる。政治も司法も変えてやる。一生かかってもたたかってやるとの新たな決意をしました(^-^)



リレーずいそう
● 狸のお気に入り
 学園に勤めて30数年、今夏のように暑い日々が続くと、九州の生まれの私でも、さすがにうんざりする。それでも今は、作業棟の屋根に、時折ドングリの実が、静寂にアクセントをつけるように落ちる。園内を歩くと、靴に踏まれたドングリが乾いた音をたてる。建築工事があるたびに樹木が減ったな、と我が頭に思わず手をやり、寂しくくなる。自然が失われていく中、それでも園内の椚に営巣していた鷹が、5羽ほど巣立っていった。人や車が行き来する道路から数メートルの場所での営巣とは、よほど周囲の環境が住み難くなったのだろう。そういえば、狸も5月頃、園内の花壇で死んでいるのが見つかった。車にでも撥ねられ、ここまで逃げてきたのだろうか。以前、学園前の県道で狸が轢かれていたと聞いたことがある。まさか学園に狸が棲んでいようとは。狸の家族はまだ居るらしく、ついこの間、電気をショートさせ停電。狸は気絶はしたものの、まもなく回復し側溝へ逃げ込んだとのこと。9月のある夕方、市内の歩道を歩いていると、何ものかがこちらを見ているのに気付く。猫にしては尻尾が太め。狸だとわかり、1メートルほど近付くと、道路を横断して、国リハ内に逃げ込んだ。狸は「国立施設」がお気に入りのようだ。狐七化け、狸は八化けと言われる。狐、狸が化かすのは愛嬌があるように思うのだが、1番怖いのはやはり、人間かな。
(秩父学園支部 組合員)


News
● STOP!公務リストラ ―秋年闘争第2次中央行動行う―
 10月20日、第2次中央行動が台風接近のどしゃぶりの雨の中、能力・実績強化の給与構造「見直し」反対、昇格改善、民主的公務員制度確立、公共サービス商品化反対、憲法・教育基本法を守れ、働くルールの確立など公務産別課題と国民的課題の諸要求実現をめざして全国から600名、全厚生は業務センター・本省・統計・神奈川県の各支部から参加があり11名での行動となりました。昼休みの行動では、総務省前と人事院前、行革推進事務局前と3カ所に分かれ要求行動。午後からは、参加者全体が日比谷野音に合流して「諸要求実現・労働基本権回復・悪政阻止10・20総決起集会」を開催しました。(写真右)各単産の決意表明で最初に登壇した国公労連の小田川書記長は、「新たな行革大綱が示され、新たな定員削減計画の策定、市場化テスト、公務リストラの攻撃が強まっているが、国民からも支持される運動を展開したい」と発言。
 悪天候のため国会請願デモは中止となりましたが、議員会館に場所を移し行動。構造改革による「市場化テスト」など「公共サービスの商品化」や国民犠牲の「公務リストラ」に反対し、業務に見合う要員・体制の確保などを求めて、全厚生は35名の衆議院議員にたいし要請をおこない1日の行動を終了しました。


国公青年協が中央行動を実施

給与構造の見直し反対

 10月15日、国公青年協は青年の要求実現に向けた秋の取り組みとして、04年秋期中央行動を行いました。全厚生からは本省・業務センター・京都支部と本部書記局から5人が参加しました。
 午前中の人事院交渉、午後の財務省交渉ともに全厚生は尾崎直人青年対策部長が出席。地方と本省庁との昇格格差について発言しました。
 昼休みには国公女性協、東京国公女性協と合同で、昇格改善を求めた人事院前要求行動を実施。青年協の仲間は「仕事が忙しくなっているのに、昇格を改善しないどころか給与構造を全面改悪しようとする人事院は許せない!」と宣伝カーから訴えました。秋空の下、320人が「給与構造の見直しは許さないぞ!」「初任給を引き上げろ!」など元気よくシュプレヒコールを響かせました。
 午後からは、「給与構造の基本的見直し〜その内容と問題点」、「なぜ今、国公労働者は日本国憲法を守り、改悪に反対するのか」の2つのテーマで学習会を開催。給与では最大20%の格差が出ること、また憲法9条が改悪され戦争が出来るようになれば、私たち国家公務員は何を担わされるか?など、参加者は熱心に聞き入っていました。
 最後に、憲法・給与制度の基本的見直しなどの学習強化、来年2月の国公青年交流集会への参加を、など行動提起を受けて秋期中央行動を終了しました。
(組合員)



秋田県●第37回支部定期大会を開催

今こそ団結だ

 代議員34名の参加で開催された第37回全厚生秋田県支部定期大会は10月1日、本部より杉下委員長を迎え、心地よい秋晴れのもと開催されました。
 増える業務量と増えない定員、社会保険庁の文字がマスコミを賑わしている今日、国民の批判は直接接する私たちの職場・職員に向けられ、追い討ちをかけるように社会保険庁職員の逮捕劇までも。やり場のない怒りをどうすればよいのか。例年の大会よりも、職場環境やメンタルヘルスについて組合でも積極的に取り組んでほしいという声が各分会からあがりました。こんなときだからこそ安心して働ける職場作りを目指し、労働条件を守るため団結が必要だと再確認しました。
 代議員の顔ぶれはいわゆる「若手」が多く、組合が団結して運動していく大切さを受け継ぎ、秋田県支部を支えていく土台が強くなっていってほしいと願っています。
(書記次長)

 新四役は次のとおり。
支部長 小林 利幸
副支部長 佐藤 一浩
 同 遠田 俊治
 同 長澤 利則
書記長 佐々木 聡
書記次長 高橋 由博



本省●第45回支部定期大会で確認

多くの懇談の場を

 全厚生本省支部は10月14日に第45回定期大会を開催しました。
 本部からは杉下委員長、福士書記次長が参加し、委員長からは、社会保障を巡る様々な問題、特に、社会保障分野での規制緩和や権利としての社会保障を否定する民営化の動きについて組合として改めて危機感を持って取り組むこと、その中での本省支部の役割、さらに憲法等を守る重要性の訴えがありました。
 本省で働く職員にとって超過勤務対策は、最重要課題です。残業アンケートの実施、定時退庁日の鐘ならしや、早朝宣伝ビラ配布などを行ったほか、本省共闘を通じた人事課交渉の取り組みが報告されました。
 労働組合の役割と意義についてあらためて強調するとともに、組合員の意見・要望を運動に反映していくため、今後本省支部として、多くの組合員との懇談の場をもっていく方向を確認しました。
(書記長)

 新四役は次のとおり。
支部長 神山 正
副支部長 田口雅之
 同 光家眞由美
書記長 菊池竹人
書記次長 大島勝也



新中央執行委員紹介 中央執行委員 阿曽 幸男さん
誠実で頼りがいある理系の人
 今期、国立衛研から中央執行委員となった阿曽幸男さんは、同研究所の薬品部の主任研究官として医薬品の安定性やNMRの解析などについて研究をされています。
 土日もしばしば研究室を徘徊する仕事の虫ですが、家では2児の父として、フルタイムで仕事をされている奥様を助け家事にいそしんでいる(はず)です。組合では書記長および副支部長の経験があり、頼りになる中堅です。
 阿曽さんをひと言で表すと「誠実」ということになります。なにか困ったことがあるとすぐ「阿曽さーん」と頼られがちなナイスガイです。(いつもすみません)
 とにかくまじめで目立つことが嫌いな、典型的な「理系の男」ですが、実は大学の同じ研究室の後輩だった奥様との知る人ぞ知る大恋愛エピソードがあります。詳しくは酒を飲ませて聞き出して下さい。もっともかなり酒が強そうなので、相当手こずるでしょう。
 ここ数年、衛研からの中執には山田さん、佐藤さん、川原さんと希有な人財が集まっていますが、阿曽さんも確実に仕事をこなすタイプなので全厚生の中執として活躍が期待されます。でも、責任感が強くイヤといえない性分なので、あまり無理な仕事は頼まないように、全厚生の皆様にはくれぐれも暖かい御配慮をよろしくお願いいたします。
(国衛研支部 組合員)


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