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◆第1595号(2004年9月5日付)◆


全厚生第68回定期大会議案のポイント
頼りになる組合活動をみんなで

 9月17日から3日間、静岡県伊東市で全厚生第68回定期大会を開催します。大会の焦点や情勢の見方、運動方向など、議案のポイントを杉浦書記長に聞きました。

◆情勢を生きいきと語り合う大会に
 労働組合は、要求実現をめざす運動体です。職場や社会の現状を見つめ、よりよい方向にかえる処方箋をつくるのが大会です。情勢を正確につかみ、生きいきと語るところからはじめましょう。攻撃の大きさにたじろがず、情勢を多面的にみて、私たち労働者・国民の幸せを実現する方向に向かって、意気高く組合運動をすすめましょう。

◆年金講師団の活動を発展させよう
 全厚生は、昨年1年間、職場の要求実現をめざし、奮闘してきました。04年年金大改悪に対して、年金講師団の取り組みを進め、年金闘争で積極的な役割を果たしました。82人の講師が誕生し、全国で666回に及ぶ学習会に出かけ、学習会参加者は、約2万3千600人になりました。各講師は、年金改悪のねらいや内容を伝え、社会保障の立場から老後が安心して暮らせる最低保障年金制度の確立をめざす国民的な討議を呼びかけました。この貴重な経験を生かし、講師団の裾野をさらに広げ、社会保障を守り、社会保障を語る講師団をめざし発展をめざします。

◆憲法改悪反対の国民的な共同を広げるために全力を
 憲法9条をターゲットにした改憲の策動が戦後最大の規模で展開されています。小泉首相は、歴代内閣の中で初めて2005年11月と期限を区切り、与党・自民党に改憲案を作成するよう指示しました。改憲派は、改憲の手続きを法律で明確にするよう求め、来年の通常国会に国民投票法案の提出をねらっています。この危険な動きを絶対にやめさせなければなりません。憲法改悪阻止の一点での共同を前進させるために、すべての組合員が憲法を学び、憲法を生かす様々な取り組みに参加します。国公労連が提起する職場・地域で憲法学習と運動をリードする「憲法の語り部」登録運動は、年金講師団活動の教訓を生かし、全厚生らしい取り組みとして、積極的に推進します。

◆「社会保険庁改革」を最重要の課題と位置づけて
 すでに社会保険庁長官には、民間人・村瀬清司氏(損保ジャパン副社長)が起用されています。官房長官のもとに、2つの私的懇談会が設置され、討議が始まっています。一つは「社会保障のあり方に関する懇談会」、もう一つは「社会保険庁のあり方に関する有識者会議」です。社会保障制度のあり方の検討と併せて、社会保険庁改革が議論され、おおむね1年をめどに検討される段取りです。社会保険庁改革の検討にあたり、独立行政法人化あるいは民営化ありきでなく、国の責任を明確にした上で行うことが必要であると考えます。国民の願いに応え、民主的で効率的な行政運営をめざし、常に改革をすすめる立場に立つことが大切です。全厚生は、組織の将来にかかわる最重要課題に位置づけ、この課題を集中的に討議し、取り組みを開始します。

◆頼りになる組合活動をつくるために奮闘しよう
 職場が、仕事が、どこでもキツくなっています。これは、どの部門でも共通しています。個人の責任やがんばりでは解決できません。働くルールを確立し、行政民主化の取り組みの中で、生きがい、働きがいを取り戻し、真の解決をめざします。公務員制度改革のたたかいはこの秋、重要な局面を迎えます。民主的な公務員制度の確立をめざし、力を集中してたたかいます。
 取り組みを前進させるために、組合運動の改善や工夫を大いにすすめましょう。これは、すべての支部・分会が取り組む共通課題とします。方針案で提起した職場活動を改善する7つの基本方向は、組合活動の基礎を述べています。たたかいの出発点である要求づくり、団結の基礎となる職場組織の確立など、基本に戻って取り組みます。さらに、組織の拡大・強化と要求実現のたたかいを一体で取り組み、頼りになる労働組合をつくるためにがんばりましょう。



給与法「改正」で人事課長に申し入れ
寒冷地手当の改悪やめよ

 全厚生は8月31日、大臣官房人事課長に対して、給与法「改正」等に関する申し入れを行いました。全厚生は杉下委員長、藤巻副委員長、杉浦書記長、宮田中執が出席。人事課は、小野人事課長、木倉参事官、西山人事調査官らが対応しました。
 杉下委員長は、「(1)寒冷地手当の支給地域、支給額の改悪を一方的に行わないこと。04年勧告にもとづく「改正」法案の検討にあたり、必要な働きかけを行うこと(2)給与構造の『見直し』で、公務員賃金における地域間格差の拡大、評価制度未整備のもとでの実績反映の給与制度、機関間格差拡大につながりかねない昇給カーブのフラット化などについて、労使合意を重視すること(3)二度のILO勧告をふまえ、国家公務員の労働基本権の回復を認めるなど民主的な公務員制度の確立をめざして努力すること」を求めました。人事課長は、「皆さんと十分な意見交換をしながら対応していきたい」と回答しました。


リレーずいそう
● 暑中考察
 リレー随想のネタ探しのために新宿の街をぶらついた。暑い中歩いた。
 東京はこの前まで40日連続の真夏日。残暑もきびしい。映画館街に行ったが、時間が合わずあきらめた。はたと困っていたところ、お願いします、とポケットティッシュを渡された。少し歩いていると、また、ティッシュをもらった。普通はそんなに気にかけていないが、調子に乗ってもらっていたら、数分の間に11個も手にしていた。金融業のティッシュは定番だが、お得情報もある。「この券をご持参の方に生ビール又はドリンク、さらにおすすめ料理一皿無料!」と銘打った居酒屋のサービス券付ティッシュ(これはいいかも、今度行ってみようと思う)、「紳士諸氏ご優待します」と変に気合が入った怪しげな誘惑のティッシュ(絶対ボラれるぞきっと、保証する)、「なんと!2万冊読み放題・インターネット使い放題、24時間営業」まんが喫茶○○(ここは以前に入ったことがあるが2万冊は無かったような気がするなー)などがあった。この線でもらい続けたらすごい量になると思ってやめた。途中、腹がへったので定食屋で「たらこ定食」を食べた。たらこは少しあぶったのがうまい。とうとうネタは見つからなかったが、食べ終わって勘定をしているとレジの前に「ご自由にお使いください」と、なんと街中でもらったのと同じティッシュが備品のように置いてある。こりゃ経済的だな。でも、もういらないや。
(業務センター支部長)


News
● 米軍ヘリ墜落事故に抗議 ―緊急国会集会に300人参加―
 8月26日、米海兵隊の大型ヘリが沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学に墜落した事故に抗議する緊急国会集会が、同県選出の野党国会議員6氏の呼びかけで開催されました。(写真上)会場に続々とつめかけた参加者は300人以上。「普天間基地は世界一危険な基地。多くの市民は今も墜落の恐怖に眠れない夜を過ごしている」(赤嶺衆院議員)。「この事件は沖縄の問題で、日本全体の問題になっていない」(糸数参院議員)など、深刻な実態が報告されました。墜落事故への日米両政府の責任を厳しく糾弾し、普天間基地の一日も早い閉鎖、即時無条件撤退に向けての日米交渉の開始など求めるアピールを大きな拍手で採択しました。

● 寒冷地手当見直し再検討を ―人勧取り扱いで国公労連総務省交渉―
 国公労連は8月31日、04人勧の取扱いをめぐって3度目の総務省交渉を実施。全厚生は川名書記次長が出席。国公労連側は、04人勧による寒冷地手当の抜本見直しは、寒冷生計増嵩費補填という制度の趣旨を無視した民間準拠原則によるもので、全国異動など人事管理上も大きな影響を及ぼすと寒冷地手当見直しの再検討を求めました。


国公労連第50回定期大会を開催

いまこそ憲法が輝く社会を

 国公労連第50回定期大会が、8月25日(水)〜27日(金)まで、東京都内で開催されました。今回の大会スローガンは「いまこそ憲法が輝く社会を!国民の中へ、国民とともに」です。
 執行部を代表して堀口委員長はあいさつで、「国の進路と国民生活に責任を負う国公労働者の使命にてらして、憲法改悪阻止の運動に全力をあげる」と強調。憲法理念を国民生活と行政のあらゆる分野にいかしていく運動を強めようと訴えました。
 2004年度運動方針案を小田川書記長が報告。「(1)9条をはじめとする憲法改悪に反対し、職場地域での憲法学習の呼びかけ、「憲法の語り部」登録の運動を始める(2)「公共サービスの商品化」「公務リストラ」に反対し、世論に訴えるキャンペーンを強める(3)国際労働基準にも適合する公務の働くルールの確立をめざす」などが提案されました。
 質疑・討論の時間では、全厚生愛知県支部から愛知国公に派遣されている議長の磯貝さんが、「04春闘期におけるトヨタ総行動を愛知県としてではなく、全国の取り組みとすることができた。1兆円以上の利潤があるのに、労働者に還元しない。労働者いじめのトヨタ工場の前で早朝ビラから市内での集会・デモ行進、夕方ビラ行動など行った」と発言。併せて愛知国公が取り組んだ年金ネットワーク闘争も紹介しました。
 全厚生本部からは5人が代議員として出席。杉下委員長と、杉浦書記長が発言しました。委員長はこの間の社会保険庁改革について「組織の将来に関わる問題。7月には損保ジャパンの村瀬氏が長官として就任し、年末をめどに中間報告、来夏までに改革案をまとめようとしている。全厚生が今後どうやって対応していくか。憲法25条を中心に据え、独法化・民営化ありきでなく、国の責任を明確にし、国民の立場からの行政サービスを」と発言。また書記長はこの間の年金闘争について「年金講師団82名、回数666回、のべ参加者23,600人を対象に年金講師団活動を行った。年金制度を社会保障の立場で考え、全厚生として将来、年金をどうしていくか、社会保障を語れる講師団を作っていく。また年金講師の経験を活かし、憲法の語り部を増やしていく」と述べました。
 この大会で引き続き、業務センター支部出身の清水美穂さんが、国公労連・中央執行委員に再任されました。


原水爆禁止世界大会広島に参加して

復讐ではなく「和解」が新しい道

 原水爆禁止2004年世界大会(8月4〜6日)が開催される中、広島で最も印象に残ったものは、被爆者の記憶でした。
 新見愛枝さんは当時19歳。被爆した知り合いの子には奇形が多かったので、息子が正常に生まれた時には心から喜びましたが、すぐに心臓奇形と判明しました。原爆から29年目に生まれた孫も、結婚する段になって婦人科系に奇形があるとわかりました。また幼い時に突然顔が膨れあがり、目も充血してえんじ色に。病院で「家族に被爆者は?」と聞かれ、周囲の視線がいっせいに新見さんに注がれました。「『私じゃない!私のせいじゃない!』と大声で叫び出したかった」。新見さんは一昨年やっと「初めて世界大会で被爆体験を語った。だけど孫とはまだ話せていない」と語ります。
 平和記念公園で話しかけた女性は、当時女学生でした。爆心地近くにいた姉を捜すため、父親と二人で連日何十キロも歩き回りました。病院に泊まった夜、暗闇で「水をください」と誰かに足をつかまれました。「当時、水をあげると死んでしまうと聞いていたので心を鬼にして通り過ぎた。今でも『あげればよかったなぁ』と後悔している」と涙をこらえきれませんでした。
 戦争、そして原爆の被害者でありながら、59年経った今でも強い自責の念に苦しみ続ける被爆者の姿は、衝撃でした。
 しかし、その大きな葛藤を乗り越えて被爆者が選んだものは、憎悪にまみれた復讐ではなく「もう他の誰にもこんな思いをしてほしくない」との願いでした。日本の被爆者を中心にした核兵器廃絶の運動は、いま地球的規模に広がり、核廃絶の実現に向けた新たな転機を創り出しつつあります。「核廃絶が示す『和解』の道は新しい考え方であり、21世紀を動かす力」(秋葉広島市長)になるものです。
 そして今、被爆の記憶を受け継ぐ世代、青年が平和を求め行動に立ち上がっています。分科会「戦争反対・核兵器なくせー青年の広場」には500人以上が参加。提起されたメーリングリストには、すでに280人以上が登録し、被爆60周年の来年に向けて「自分に何ができるだろう」と、様々な思いや取り組みが交流されています。
 8月6日の平和記念式典で、核廃絶への具体的な行動を訴えた秋葉広島市長の平和宣言は、満場の拍手に包まれました。一方で、その後に挨拶した小泉首相には野次が飛び、拍手も起こりませんでした。この二人に対する反応の違いこそは、米国の「唯我独尊主義」を容認する流れと、核廃絶・戦争反対など平和を目指す流れと、世界の流れがどちらに向かっているのかを端的に示しているのではないでしょうか。
(本部書記)

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似島少年少女のつどいに親子で参加

廣島とヒロシマを学ぶ

 原水爆禁止世界大会に小学3年生の息子と一緒に地域代表で参加し、2日目の分科会は、「似島(にのしま)少年少女のつどい」へ行ってきました。
 広島(宇品)港から船で約20分の瀬戸内海に浮かぶ似島は、日清戦争以来、朝鮮半島への出兵の拠点として、検疫所や弾薬庫が置かれた軍島で、これらの跡や「一億一心」の碑、外国人捕虜収容所跡や防空壕などを見て軍国日本の過去について学びました。
 そして59年前の8月6日、広島に原爆が投下されて、約一万人の被爆者がこの島に運ばれました。血、膿、ウジ虫、遺体のにおいがする中で、5日間一睡もしないで、死んだ方と生きている方の仕分けをし、供養した人の話を聞きました。焼ききれなかった遺体は、防空壕にぎっしり詰め込んで蓋をし、今もそのままになっているそうです。
 似島小学校の体育館でつどいの実行委員長である校長先生の話を聞きました。広島市内でお母さんと一緒に被爆した先生は、原爆投下直後の地獄を子ども達にわかるように話しました。先生とお母さんの身体にささったガラス片は、2人でバケツ1杯分もあったそうです。生きながらえたお2人ですが、お母さんは29年もたって原爆症になり、高熱、下痢、紫斑、そして毛穴からも出血し、あっと言う間に亡くなられたということです。先生は、今だ世界に核兵器が存在する現実を紹介した後、子ども達に語りかけました。
 「戦争の被害に目を背けないで、見て、戦争をなくす方法を考えて下さい。みなさんは、しっかり勉強して、『本当のことがわかる大人』に成長してください」
 原爆投下から59年を経て今年、新たに遺骨85体が発掘された現場にも行きました。発掘作業にかかわった方が偶然、現場にいて、お話を聞くことができました。丸い頭蓋骨もぺしゃんこにつぶれ、重なり合うように浅いところに埋まっていたそうです。子ども達には、「二度とこういうことがおこらんように、みなさん、しっかり勉強して下さい」と話されました。広島の秋葉市長が平和宣言の中で、「報復ではなく和解を」と言っていますが、それは、広島の人々の心からの願いだと感じました。息子は、「僕たちみんなが、『本当のことがわかる大人』になって、戦争をなくして、平和な地球を作りたい」と言い、日記には「核兵器をなくしたい」と書きました。
 原爆被害の実相とともに軍国日本の過去を学ぶことのできるフィールドワーク「似島少年少女のつどい」は、毎年開かれています。みなさんも、ぜひ、親子で参加してみて下さい。
(本部書記)

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