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◆第1590号(2004年7月5日付)◆


大臣官房厚生科学課と重点要求で交渉

【基盤研】 職務に専念できる体制確保を

 全厚生は6月23日、大臣官房厚生科学課と2004年春闘・試験研究機関の重点要求にもとづき交渉を実施。交渉には全厚生から、杉下委員長、網・藤巻各副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、川原・宮田各中執及び、感染研支部、国衛研支部、人口研支部、ハ病研支部、栄研支部の代表計14人が出席。厚生科学課からは、成田研究企画官、坂本総括補佐、野澤補佐らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長が重点要求の趣旨を説明したのに対し、成田研究企画官が一括して回答。先の通常国会で個別法が成立し2005(平成17)年4月に非公務員型の独立行政法人で設立する医薬基盤研究所について、「昨年8月に法人設立の諸課題に的確に対応するため、「(独)医薬基盤研究所準備会議」を発足させ、準備会議の下、各準備チームによる検討・準備をしている」と回答。異動する職員の身分・労働条件の後退にならないよう万全の措置を要求したのに対し、「勤務条件等は、最も基本的かつ重要な問題。まとまり次第、関係職員に説明する。要望には誠意をもって対処したい」と回答。宿舎確保の要求では、「職員が安心して異動できるような措置を考えたい」と回答。基盤研の生物資源部門では、安心して職務に専念できる体制の確保を要求。これに対し、「研究施設、備品等の整備を行い、安心して研究に専念できるよう準備を進めたい」と回答しました。

★保険医療科学院
教育研修の体制確保を

 保健医療科学院の教育研修の課題では、各機関・研究者との協力体制をはじめ、充分な体制の確保を要求。これに対し、「厚生科学課、科学院、国衛研、感染研等による『国立保健医療科学院教育研修運営協議会』を設け、当該分野の講師派遣等の調整を行っている」と説明。「今後とも、本協議会等の場を通じて国衛研及び感染研にとっても過重な負担とならないよう配慮し必要な研修体制を確保したい」と回答。さらに、教育研修の業務を適正に評価することを要求したのに対し、「研究者の研究業績については、研究開発に加え、厚生労働行政への貢献、研究開発の企画・管理、評価活動その他の関連する活動等に着目し、量よりも質を評価すること、人材養成その他の面についても評価できるように配慮している」と回答しました。
 定員削減反対、必要な定員確保の課題では、「増員は、厳しい行財政状況下で種々困難な面が多いが、試験研究機関の業務、重要性、特殊性等を踏まえ、必要な増員の確保に最大限の努力をしたい」と回答。研究者の流動化や競争的環境の課題では、継続的な研究業務や行政支援業務を遂行する部門は、短期雇用でなく任期のない恒常的な研究職員の配置に努めることを要求。これに対し、「研究者の流動性の向上を図ることは、創造性豊かで活力ある競争的研究開発環境の基礎的要件として重要」と説明。「各試験研究機関における研究者の流動化計画の作成を依頼し、各機関において、研究業務の実態を考慮した具体的な検討を進めている」と回答。さらに、任期付研究員の任期後は、任期のない職員として採用する道を開くことを要求したのに対し、「任期終了後に当該施設において公募がある場合、任期を終了した者の応募の道を閉ざすような制限はないものと理解している」と回答しました。

★ハ病研
必要な定員の確保(回復)を

 感染症研究所ハンセン病研究センターの必要な定員確保(回復)の要求では、「今後とも定員については、その業務量等を勘案し不都合が生じないよう確保したい」と回答。運営の独立性を確保する要求には、「『ハンセン病研究センター運営委員会』を設置。運営に支障の生じないよう努めたい」と回答。基礎的研究費の増額要求では、「基盤的研究費は、個別具体的な行政上の業務遂行に必要な基礎的・基盤的研究で試験研究機関全体で約6億4千万円を計上」と回答。国内外の学会出席旅費の増額要求では、「各研究者が行った研究内容の結果を発表する等に必要な交通費等に充てる経費で試験研究機関全体で約7百万円を計上」と回答しました。 
 研究評価の目的では、研究所および個々の研究者・職員のポテンシャルを引き上げることにおき、研究の自主的及び創造的発展を助けるために行うことを要求。これに対し、「各機関に対しては、『厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針』に基づく評価を行うにあたり、公正性、客観性、透明性、信頼性等を確保するよう指導したい」と回答。新再任用制度では、希望者全員の雇用確保を要求。これに対し、「各機関に対しては、再任用制度の趣旨、目的にかなった運用を図るよう指導したい」と回答しました。

★4試験研究機関
国立として位置付け明確に

 その後のやりとりでは、独立行法人化が進められている下で、引き続き国立試験研究機関として位置づけるための見識を示すよう要求。これに対し、「4つの試験研究機関は、@公権力の行使や特別な業務を行っている試験研究機関A政策研究機関(3)行政機関のみを対象とする研究施設という3項目のいずれかに該当する。これは、独立行政法人にはなじまない」と回答。基盤研の課題では、異動する職員の具体的な賃金・労働条件の後退にならないよう強く要求。これに対し、「異動する職員については、当然ながら後退させないように努力したい」と回答。保健医療科学院の教育・研修の課題では、感染研の村山庁舎で行っている教育研修の教務体制の確保を強く要求。これに対し、「研修に必要な期間、非常勤の人を採用して対応したい」と回答しました。

リレーずいそう
● 労働運動は階級闘争
 支部長としてデビューしました。組合バカと言われています。他に取り柄のない自称派です。
 社会保険行政に対する、さまざまな角度からのバッシングの嵐は、意図的なものを感じます。
 国民年金の未納問題から始まり、今や制度の問題から社会保険庁の内部の問題へと発展し、それと時を呼応するかのような厚生労働大臣の勝手な民営化発言。医療保険制度の都道府県への窓口一本化問題の時もそうであったように、厚生労働大臣として、私たち社会保険行政に携わる職員の身分を、真に守る立場にあるとは到底言い難いものです。
 日本の社会保障制度は、大企業奉仕の予算のあおりを受けつつも、戦後労働運動と民主勢力の闘いとともに改善・発展してきました。その繰り返しの闘いの歴史の中で、国民の最低限の生活を守り保障する権利は国の施策として、国の責任で予算をまかない運営していくべきという考え方が、崩れなかったのです。
 私たち全厚生は、当事者として制度のよりよい改善を目指すとともに、この社会保障制度と私たちの身分を守る闘いを、今こそ強める必要があります。労働運動は、資本家階級と労働者階級との闘いである階級闘争です。この間、労働組合を離れる若い方々が見受けられます。組合員でなければ、闘いに加われないし、私たちも守りきれません。この激動の歴史に加わる勇気を持ってほしいと、願ってやみません・・・。
(愛媛県支部支部長)


News
● 全厚生退職者に対象広げて ―全厚生退職者会総会を開く―
 全厚生退職者会は、6月12日に東京・茜荘で第7回総会を開催。会員52人のうち19人が参加し、総会、学習会、懇親会で旧交を暖め、楽しいひとときを過ごしました。
 総会では、1年間の活動報告と今後の活動方針を承認し、続いて会則について議論を行い、退職者会の組織拡大・発展をめざして、会員の対象を「本部役員経験者」から「全厚生労働組合員の退職者」に広げるよう会則を改訂しました。併せて、会費の値下げを決定しました。
 学習会は、杉下全厚生委員長が「年金の真の改革をめざして」と題して、先の通常国会で自・公政権の採決強行で成立させられた年金制度の国会審議における経緯、改悪の背景、社会保険庁の体質や問題点等を解明しました。懇親会は、久しぶりの再会を喜び、お互いの健康と活躍を確認し合うなど話はつきず、盛会のうちに終了しました。
 閉会にあたって、三原事務局長は、退職者会の活動は関東圏が中心になるが、これまで入れなかった方々にも各支部のご協力をいただいて、入会の呼びかけをお願いしたいと述べました。


人事院が今勧告で「見直し」狙う

寒冷地手当の改悪許すな

 今年の人事院勧告のなかで、寒冷地手当の見直し・改悪が強行されようとしています。1月26日、人事院は、寒冷地手当の支給地域、支給額を、「民間企業での同種手当の支給状況に基本的に準拠」させるとして、大幅な「見直し」改悪を提案してきました。ではいま、なぜ、寒冷地手当「見直し」なのでしょうか。
 2002年6月、政府が決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(骨太方針)は、「(公務員給与について)地域毎の実態をふまえて給与制度の仕組みを早急に見直す」必要性を強調しました。地域の賃金水準に、そこの公務員賃金を準拠させろ、というのです。
 そして、人事院は昨年8月の勧告で、(1)給与決定における年功要素の縮小(昇給、昇格制度の「見直し」など)、(2)職務、職責の的確な反映(俸給表構造「見直し」など)、(3)勤務実績・業績を重視した給与制度(勤勉手当「見直し」など)、(4)民間給与の地域差に対応した地域手当「見直し」の4点が、「改革の基本的なメニュー」であることを明らかにしました。その中で「改革」の第1弾として、寒冷地手当「見直し」改悪を提案しています。
 人事院は(1)全国一律の俸給表(本俸)の水準引き下げ、(2)本俸で「浮いた原資」をもとに、大都市対象の地域手当を新設、(3)地域差の拡大に対応して「転勤手当」を新設、(4)地域給与を引き上げている年功体系「見直し」、などを検討し始めています。
 同じ仕事をしていれば、同じ条件のもとで働いていれば、賃金も同一に、というのは公務員給与を考える際に重視されるべきポイントの1つです。職場に差別と分断をもちこむ給与全面改悪を反対していくためにもその第1弾である寒冷地手当見直し改悪阻止の運動が重要になっています。

6・22中央行動で訴え

 6月22日、全労連・国民春闘共闘は、「最賃凍結・マイナス勧告は許さない!第2次最賃デー」を実施しました。全厚生は、本省・統計・業務センター・神奈川県・愛知県・岐阜県・大阪の各支部と本部が参加しました。この日は早朝からのビラ宣伝行動に始まり、人事院前で「寒冷地手当改悪阻止」「ブロック別賃金の導入反対」を掲げて座り込み行動、人事院・厚生労働省前要求行動、途中から二手に別れ総務省前と財務省前で要求行動を並行実施しました。続いて、国公労連の独自行動として、小泉首相の「ブロック別給与」発言に抗議し、「ルール無視の公務員給与への言及と、ブロック別給与の導入は行わないこと」との首相あて個人請願行動を、内閣府に対して行い、社会文化会館に移って、「夏季要求実現・国政の民主的転換をめざす公務労働者中央決起集会」に参加しました。


仕方ない‥なんてことは何一つない

年金パンフを作成して  漫画家 にしだ かな
 漫画家・にしだかなさんが全厚生と協力して、パンフ「考えよう社会保障〜年金改悪は、はじめの一歩〜」(国公青年協発行)を作成しました。「マンガでわかりやすい」と好評です。にしださんに作成にあたっての思いを寄せていきだだきました。

 年金漫画の制作を受けたのは、かなり軽い気持ちでした。しかし社会保障について全く無知だった私は初手からつまづきました。「社会」って何?権利って何?という具合です。
 まずは友人達に年金についての意見を聞きました。保険料を払う・払わないに関わらず「年金に期待しない」。これは答えの大勢を占めました。内省すれば私も似たような意識で保険料を払っています。
 意見を集める中で、友人の母親の年金給付が月1万7千円だという事を初めて知りました。ここから税金を払い保険料を払うのです。残りはいくらか、想像するのも怖い金額です。そんな状況になる可能性は全員ありますが、仕方ない、仕方ない・・この言葉は友人知人の口から実によく聞きました。ノンキな話で、ここに来て初めて私は焦りました。自分が出来る限りの力で生きるのは当然ですが、社会に自分の存在を保障させるのも当然じゃなかろうか。
 訴えたいテーマが決まりました。年金を例に、仕方ない事なんて何一つないよ、と皆に伝えたくなりました。
 何度も描き直しながら、資料を削ったり足したりして描き上げました。年金を知らない人にもわかるよう、年金の基本的な考え方も最初に入れました。ぜひ活用してください。

◇      ◇      ◇

 にしだかなさんは全厚生本部書記の西田志緒さんのお姉さんです。全厚生年金講師団の一員である西田志緒さんもパンフ作成のスタッフとして活躍しました。



国民平和大行進が行く ─ 4 ─

愛知県 → 岐阜県 → 滋賀県

【岐阜県】 憲法9条守れ 県内全コースに旗を掲げ

 6月11日に犬山市で愛知県支部から全厚生リレー旗を受け取り、16日に長浜市で滋賀県支部へと引き継ぐまでの6日間、岐阜県支部はすべてのコースで奮闘しました。
 例年、岐阜県でのコースの第1日目は航空自衛隊岐阜基地のある各務原市からスタートです。
 イラク派兵、多国籍軍への参加、戦争する国づくりための憲法9条改悪が問題となっています。年金など社会保障改悪を許さない取り組みとならんで平和の課題への行動が重要になっています。 執行委員会ではコースごとに各分会を割り当て、組合員の参加協力を呼び掛けるとともに、毎日必ず支部四役を中心にした責任者を配置することで意思統一。業務が忙しくなるなかで、様々な行事も重なり、年休を取って半日・1日の参加は厳しい状況にありますが、各分会のがんばりで県内の全コースに旗を掲げることができました。今後も岐阜県支部は平和の課題でもいっそう奮闘していきたいと思います。
(岐阜県支部書記長)


第17回全厚生機関紙フェスティバル
 支部・分会の教宣活動を応援する「第17回全厚生機関紙フェスティバル」への応募をお願いします。
 応募紙に ついては、例年どおり、全厚生第68回定期大会会場に展示し、交流するほか、すべての講評を行います。

目的支部・分会をはじめ青年・女性部な どの教宣・機関紙活動をはげまし、編集内容の質的向上を支援する。
対象紙支部・分会・専門部で2003年9月から2004年8月までの間に発行した機関紙。
参加方法参加申し込み用紙(各支部に送付します)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。
締切8月6日(金)本部必着。
講評全厚生中央執行委員会
表彰等全厚生第68回定期大会で表彰します。賞状、記念品などを贈ります。


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