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◆第1589号(2004年6月25日付)◆


雇用・暮らし・いのち・平和を守るために

参議院選挙で国民の審判を 【投票日7/11】

 暑い夏、夏期闘争が本格的にはじまります。この夏期闘争は、04春闘を受け継ぐ大切なたたかいです。「雇用・暮らし・いのち・平和」を守るために引き続き、労働者・国民に痛みを強いる小泉「構造改革」に真正面から対決し、公務員も民間労働者も力を合わせ、国民的なたたかいに結集します。

◆投票に行こう
年金改悪、有事法制強行の小泉政治を変えるチャンス

 6月16日に閉会した通常国会で政府・与党は、十分な審議を行うことなく、年金大改悪法案や有事関連法案の採決を強行し、成立させました。老後の生活、日本の進路をめぐる重要法案に対し、各政党がどんな態度をとったかを見極めておくことが大切です。6月24日公示・7月11日投票の参議院選挙は、確かな審判を下す絶好の機会です。小泉改革をストップさせ、国民が主人公の政治をつくるために、主権者としての1票を行使しましょう。職場でも地域でも家庭でも、国民が主人公の政治をつくるために、政治の風をさわやかに吹かせましょう。

◆賃金改善を
マイナス勧告許さない

 8月の人事院勧告にむけて、マイナス勧告を許さず、04春闘から続く公務員労働者の賃金改善のたたかいも大詰めです。賃金改善の要求は、「これ以上の賃下げを許さない」意思を込めて、国公労働者の統一賃金要求は、「2年連続の賃金切り下げによる生活悪化を踏まえ、公務員労働者の賃金水準を平均1,000円引き上げること」を掲げてたたかいます。さらに、04勧告の焦点である寒冷地手当改悪反対、地方に勤務する公務員の賃金引き下げにつながる俸給・地域関連手当の改悪をやめさせる取り組みを強化します。

◆職場から
統一要求書を提出しよう

 全厚生は、6月11日に開催した中央執行委員会で、人事院勧告に向けた賃金改善や概算要求期にむけた「全厚生2004年夏期統一要求書」を決定しました。この統一要求書の提出は、職場から夏期闘争をすすめる出発点です。すべての職場で具体化し、交渉を配置し、上申の取り組みを強めます。夏期闘争の山場となる7月27日の中央行動は、上京団行動として取り組みます。
 人事院勧告は、750万人の公務員・公務関連労働者の賃金に直接の影響を与えます。さらに、民間労働者の賃金にも波及します。賃下げの悪循環を断ち切り、景気回復につなげるために、共同の取り組みを広げてたたかいます。

◆公務員制度改革
秋の法案提出の動き

 公務員制度改革は、改めてたたかいを強化します。政府・行革推進事務局は、新たな体制のもとで、秋の臨時国会での法案提出をめざして、制度検討の動きを強めています。引き続き、労使交渉・協議を徹底するよう要求します。その上で、一方的な閣議決定を許さず、ILO勧告にもとづく、民主的な公務員制度の確立めざしてたたかいます。

◆核兵器廃絶
原水禁世界大会の成功を

 平和な日本と世界を築くために平和運動に取り組みます。今、2004年原水爆禁止世界大会にむけて、国民平和大行進が広島にむかって行進中です。全厚生の平和行進は、今年もリレー旗で平和の願いをつなぎ、支部間で交流しながら取り組んでいます。世界大会は、平和の取り組みを総結集させる行動です。特に若い組合員の参加を呼びかけます。世界大会は、世界の平和運動のダイナミックな流れをつかみ、草の根の運動を学ぶ貴重な機会です。未来を担う若い仲間に、平和運動への積極的な参加を呼びかけていきましょう。

リレーずいそう
● 「何でやねん」
 娘が高校に進学し、地元以外の友達を持つようになった。友人の1人は千葉県出身だそうだ。
 その彼女が、娘が言った「何でやねん」という言葉にびっくりしたという。「ナンデヤネン」は吉本興業の芸人さんが使ういわばギャグのようなもので、一般の(?)人たちの日常会話には使われないものだと思っていたというのだ。これには娘のほうが大いに驚いた。「おかあさん、ショックやったわあ」
 家で報告してくれる娘。メディアを通じた大阪の(関西の)姿とはどう映されているんやろ。
 しかし、標準語だと「どうしてよ」といったところか?この「何でやねん」はなかなか今の時代、とても大切な言葉ではないだろうか。
 年金財政がもたないから負担は増やして給付は削るんでしょ。なのに莫大な軍事費やアメリカの世界戦略にならポンとだすという。
 「何でやねん」
 少子化問題、
 「何でやねん?」
 年金の支え手が減るから?でも、職に就けなかったり低賃金じゃ同じことでしょ?
 ひとつの面だけから見るとそうかなと思うこと、いや思わされていることが別のことと併せみると違った考えがうまれてくる。近視眼的なイメージにとらわれず、多面的にみるよう心がけたい。その為には生の情報が不可欠だ。情報をキャッチする力と余裕も。
 ところで皆さんの地元では「何でやねん」を何と言う?
(大阪支部)


News
● 有事関連7法案の採決強行 ―国民の戦争参加を罰則付きで強要―
 有事関連7法3条約協定案 は6月14日、十分な審議がされないまま、参議院本会議で採決が強行され、自民、公明、民主3党の賛成で可決成立しました。議員面会所集会では、今後、有事法制を発動させない運動、自衛隊の多国籍軍参加を許さない運動をすすめるとともに、参議院選挙で自・公・民に審判を下そうと意思統一しました。


今年も開催します 第17回全厚生機関紙フェスティバル
 支部・分会の教宣活動を応援する「第17回全厚生機関紙フェスティバル」を今年も行います。支部・分会・専門部からたくさんの応募をお願いします。  応募紙に ついては、例年どおり、全厚生第68回定期大会会場に展示し、交流するほか、すべての講評を行い、各紙の内容にふさわしい賞を設け、大会の中で表彰します。また、応募各紙を、各支部の機関紙活動で活用できるよう工夫し、冊子にまとめます。

<目的>支部・分会をはじめ青年・女性部な どの教宣・機関紙活動をはげまし、編集内容の質的向上を支援する。
<対象紙>支部・分会・専門部で2003年9月から2004年8月までの間に発行した機関紙。
<参加方法>参加申し込み用紙(各支部に送付します)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。
<締切>8月6日(金)本部必着。
<講評>全厚生中央執行委員会で行います。
<表彰等>全厚生第68回定期大会で表彰します。賞状、記念品などを贈ります。


調理師長の4級・5級が実現
 なかなか要求が前進しない中、福祉職場で行(二)昇格が一定の前進を実現する事が出来ました。そこで神戸視力障害センターの調理師長に話をうかがいました。(中執)


【神戸】5級実現めざして
もっともっと処遇改善を

 今回、別府の調理師長を除く調理師長が4級に昇格出来ました。加えて暫定とはいえ、リハ、函館、福岡で調理師長の5級が実現できたこと大変嬉しく思います。ただこれで私達の処遇が良くなったという実感が持てないのも事実です。
 行(二)採用の者の多くは中途採用者です。初任給の条件も良くありません。なかなか昇格することもできません。5級といっても行(一)と比べれば係長以下の賃金で退職しなければならないのが現実です。
 勤務時間も変則勤務です。早朝からの出勤も多々あります。また、施設特有の業務として、入所者の方々と直接接する機会も多く、気を使うことも多くあります。
 加えて再任用問題は一層深刻です。日々の生活を維持することが優先されていますから、定年後の蓄えなど出来るわけがありません。行(二)不補充が優先され、制度本来の目的である定年後の生活が全く考えられていません。行(二)職こそ優先して再任用して欲しいくらいの気持ちです。
 入所者の方々に温かくて美味しい食事を提供しようと思って、日々仕事をしています。仕事に対する誇りが持てるような処遇を考えて欲しいと思います。
 今回の処遇改善がきっかけとなって、2歩も3歩も要求の前進を勝ち取っていければと思っています。



国民平和大行進が行く ─ 3 ─

神奈川県 → 静岡県 → 愛知県 → 岐阜県

核兵器廃絶訴え  (静岡県)
大雨でも元気に行進
 静岡県支部は、年金改悪法案が国会で審議されている中、5月19日から5月31日の間、静岡県内の原水禁2004年平和行進に、延べ3人の組合員が参加しました。県内初日の19日は昨年同様あいにくの大雨でしたが、神奈川県支部の仲間からトランペットの盛大な歓迎により神奈川県湯河原で引き継ぎを受け熱海駅まで行進しました。県内での行進には参加できませんでしたが、愛知県支部との引き継ぎは、こちらは1人だけの参加でしたが、なんとか平和の旗を手渡しで引き継ぐことができました。平和を願い参加した仲間たちが、替え歌で核兵器廃絶を訴え行進していく沿道には、手を振って激励してくれた方々が思ったより多く、また、祝儀袋でカンパしてくれた年配者を見てとても感激してしまいました。これから参加する皆さん広島、長崎に向かって共に頑張りましょう。
(静岡県支部書記長)

自衛隊派兵NO!  (愛知県)
県内全てのコースで旗掲げ
 5月31日に静岡県支部から旗を引受け、6月11日に岐阜県支部へ引き継ぐという例年どおりの日程でしたが、会計検査院の検査があり、5月31日から5日間完全に重複したため、役員中心の行動とならざるを得ない非常に厳しい状況の中での平和行進となりました。しかし、何とか全てのコースで旗を掲げ、1度も途切れることなく、無事に岐阜県支部へ引き継ぐことができました。こうした背景には、今年3月で定年退職された小松孝二さんが愛知県内を通し行進(参加していない数日は年金講師で活躍)し、私たちに元気を与えてくれたことが大きな要因のひとつではないかと思います。
 愛知県には「航空自衛隊小牧基地」があり、イラクへ行っています。残念ながら愛知県が戦争の発信拠点になってしまいました。今後は「自衛隊派兵NO!」「2度と戦争はしない」運動の発信拠点にしなければならないと痛切に感じた平和行進でした。
(愛知県支部書記長)


フォトジャーナリスト 森住卓さんイラクリポート    〔1〕

日本の民主主義の未成熟さを露呈した人質事件

 湾岸戦争後の「イラク」を98年以来撮りつづけている森住卓氏に、戦争の危機迫るイラクの状況を聞きました。森住氏は、昨年暮れから新年までバグダッドで過ごし1月23日に帰国。各地での写真展開催や江川紹子さんとの共著「イラクからの報告」(小学館文庫)を出版するなど、イラクの実態を伝え、戦争反対を訴え続けています。

 イラクで取材をつづけている写真家の森住卓さんに聞きました。森住さんは、イラクのストリートチルドレンの支援を続けてきた高遠さんと親交があり、人質事件が起こる直前も、イラク入りするという高遠さんを現地で迎える約束をしていました。待てども来ない高遠さんは、そのころ事件に巻き込まれていました。

◇自己責任論と責任転嫁〜「個」が確立していない日本

 今回の一連の事件で、政府の対応と、それに乗ったマスコミにぼくは非常に怒っています。
 この事件が発生して自衛隊撤退要求が出て、小泉政権は危機になってしまった。あれだけの国民の反対を押し切ってサマワに自衛隊を派遣した彼らが1番心配していたのは、サマワの自衛隊が攻撃されることです。
 そこにいきなり民間人がバグダッドの近くで拘束されてしまった。しかも、犯人側の要求は自衛隊の撤退。思いもよらなかった。国内の世論が一気に自衛隊撤退に傾くということになったらたいへんなことになる。これをどう乗り切るかということから、3人の救出が始まりました。
 要するに3人の無事救出が動機ではないんです。小泉政権はわずか数時間後に要求拒否を発表しました。犯人がどういう人なのかわからないときにああいうことをいうのは、人質の身を危機にさらすわけで常識では考えられないことです。
 その次に出てきたのは、自己責任論だとか自作自演。この情報を流したのは飯島秘書官らだと言われています。情報が少ない中で、記者にこれらの情報を流すわけです。3人に責任を転嫁していくことによって危機を脱する。これは権力の常套手段です。
 自己責任という言葉がこれだけ1人歩きして影響力を持ったんですが、とてもうまい表現を使ったなと思いました。救援活動をしているときにこれに反論できるキーワードは何かをずっと考えていたんですが、結局見つからなかったんです。
 自己責任論がなぜあれだけ国民の中に入り込んだか。日本人は「個」が確立していないと思いました。日本人が心情的に1番弱いところにすっと入り込んだわけですよ。それに拍車をかけたのがメディアです。それを批
 判的に見られないのは、メディアも「個」の確立ができていないからだと思います。それは同時に、日本の民主主義の未成熟さを表しているといっていいでしょう。

◇自衛隊の撤退はメンツがたたない?

 高遠さんは解放されて日本大使館に連れて行かれたとき、自衛隊撤退要求が犯人から出ていたことを初めて知りました。そのとき、臨時大使に「自衛隊は撤退するんですか」と聞いたら「そんなことあるわけないじゃないですか。来たばかりなのに、メンツが立たないでしょう」と言われ、自分たちNGOが自衛隊がイラクに来ることによってどれほど危険になったのか、NGOの活動がどれほどやりづらくなったのかまったく知らない彼に、「メンツがたたない」と言われ腹わたが煮えくり返るようだったと言いました。
 帰国してから高遠さんは、いろいろな精神的ショックでPTSD(心的外傷)になってしまいました。自分がやってきたことが否定されてしまったことが一番のショックだったようです。いまではそれも少しずつ回復してきました。
 また、ファルージャの事件が起こってイラクの人たちが何人も殺されている中で、日本人3人が助かってしまったということに心を痛めていました。それから被害者なのに日本政府から加害者にされてしまったことです。

◇人質事件をきっかけにイラク人自身が子どもたちのケアを

 今回、高遠さんが目標にしていたのは、子どもたちのケアをする上でシェルター(子どもたちの家)をつくることでした。それからイラクの人たちが自分自身で子どもたちをケアできる態勢をつくりたいというのがありました。
 この事件がきっかけになって、高遠さんと一緒に活動していたイラク人たちが「おれたちがやらなきゃだめだ」ということになりました。災い転じて福と為すというか、イラクの人たち自らがやっていこうという芽が出てきたんです。
 高遠さんはもうすぐ社会復帰をする方向です。
(つづく)
◇5月28日「(株)きかんし」の共同インタビューでお話を伺いました。
森住卓さんのホームページはこちら http://www.morizumi-pj.com


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