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◆第1580号(2004年3月15日付)◆


社会保険行政研究集会を京都で開催

行政に国民の信頼と働きがいを

 全厚生は3月6・7日、社会保険行政研究集会を京都市内で開催。165人が参加し、社会保険職場の現状を出し合い、国民の立場にたった行政のあるべき姿などを討論し深め合いました。

職場実態踏まえ研究分析を
 集会では、杉下委員長が、全体の問題提起を兼ねてあいさつ。度重なる社会保障制度の改悪で、職場実態はますます厳しくなっている。やりがいのある仕事と国民から信頼される行政の実現は、一体的に追及できる。職場実態を踏まえ、医療・健康保険、公的年金、行政サービスの3つのテーマで、研究分析や解決の方向性を話し合いましょうと呼びかけました。

社会保障の基本原理と将来像
 記念講演は、立命館大学産業社会学部教授の芝田英昭さんが「社会保障の基本原理と将来像」をテーマに講義。
 芝田さんは、17世紀から戦後にかけての社会保障の歴史について紹介し、「政策としての社会保障」は、国家と国民の力関係によって「支配としての社会保障」にも「権利としての社会保障」にもなりうる。今求められているのは「政策としての社会保障」を国民の側へ少しでも近づける運動だと強調しました。また、社会保険のすべてを統合・一元化する政府の「国民保険」構想を詳細に紹介。保険料の減免措置無し、ペナルティー強化、事業主負担廃止などの危険な内容を明らかにし、厳しく批判しました。芝田さんは、「相反する提案にみえる『奥田ビジョン』と『国民保険』構想だが、『企業負担廃止、国民負担増』では一致している」と述べました。
 さらに、社会保障の財源問題について触れ、輸出戻し税など消費税の大企業優遇のしくみを鋭く批判。「税金の使い道を正すことで財源は確保できる」と述べました。最後に「社会保障を社会保険のみに矮小化すべきではなく、将来、社会保険事務所は『社会保障事務所』に」と社会保険の発展の姿を指し示す新しい提案を行いました。

医療・年金・行政テーマに討論
 研究集会は、テーマごとに基調報告。杉下委員長が、医療・健康保険のあり方について、飯塚副委員長が、公的年金のあり方について、川名書記次長が、行政サービスについて、それぞれ問題提起。また、杉浦書記長が全厚生における行政研究活動の意義と進め方について報告しました。その後、医療、年金、行政の3つのテーマで5つのグループに分かれ2日間かけて討論を深めました。
 医療・健康保険の分散会では、冒頭、京都保険医協会の事務局次長の久保佐世さんが医療機関の立場から診療報酬改定や現場の実態を紹介。討論では、医療保険改革の背景とねらい、社会保障に対する国の責任、都道府県単位の財政運営、改革で社会保険の職場はどうなるか、について話し合いました。
 公的年金制度の分散会では2つのグループに分かれ、年金改革のねらいと本質、空洞化問題と行政のあり方、職場実態、年金講師団活動、年金改悪阻止へ全厚生のたたかい方について討論。
 行政サービスの分散会も2つに分かれ、電子政府構想と社会保険職場、外注化と職員の役割、国民のための社会保険事務所のあり方について討論しました。
 2日目の全体会では、飯塚勇副委員長がまとめを行いました。飯塚さんは、今回の研究集会はゴールではなく出発点。問題点を共有できたことは貴重。今後、職場での行政研究活動につなげて次の行研集会に持ち寄ろうと呼びかけました。
 定期大会を上回る参加規模となった行研集会の夕食交流は、マジックや支部紹介などでにぎやかに交流しました。


リレーずいそう
● ビバ!渡り鳥
 鳥の渡りは氷河期に端を発すると考えられ、現在も餌の移動に適した行動である。オキアミの北上にあわせてミズナギドリは海上を移動し、ツンドラの解凍を待ってシギ、チドリ、ガンは繁殖地へ向かう。キョクアジサシは、毎年、北極と南極を往復し、アネハヅルは、標高7千メートルのヒマラヤを上昇気流に乗って駆け上がる。その様は、地球上の生命の脈々とした連なりの一端を感じさせる、いかなる人にも描き得ない、雄大な物語の一頁である。
 冬開けきらぬ3月。日照時間ものびる頃、冬を過していたツルもカモメも春を感じはじめる。換羽も終盤に入り、早い種は夏羽の装いに変わり始める。5月ともなれば、春の大移動の季節。オオルリ、キビタキがアジアから北上し、オーストラリアで越冬したシギチが北へと向かう。6月、日本の湿地、森にも、色とりどりの鳥が巣を作り、てんてこまい。秋は、越冬地へと鳥達の大移動が再開。昨年の冬、田の脇の小池でマガンを見つけた。数週間後、そのマガンは密猟者に射殺された。犯人は、非狩猟鳥かつ天然記念物のマガンを打ち殺し、逃走。悲しい出来事だった。
 昨今もTVで渡り鳥がニュースになる度に、悲しい。番組がヒステリックであればある程、安易な答えに薄っぺらい安堵感を求める傲慢さを感じる。鳥の渡りは、人類発祥の遥か昔から繰り返される地球の生物の歴史であり、小さい翼だけを頼り、命がけで海を渡り続ける鳥達に敬意が払われてしかるべきであろう。
(感染研支部)


News
● イラク派兵・年金改悪反対 ―全労連女性部が菜の花行動を実施―
 全労連女性部は3月5日、04春闘菜の花行動を東京・霞ヶ関を中心に実施しました。イラク派兵と年金改悪に反対する宣伝行動を有楽町で行い、人事院前要求行動や04春闘勝利3・5中央総決起集会に参加(写真上)、午後からは、イラク派兵・有事法制・年金改悪反対の課題で議員要請行動を行いました。全厚生は、統計、岐阜県支部などから、7人が参加しました。

● 社会保障優先の政治へ ―日本共産党議員団と懇談―
 2月10日に閣議決定、同日、国会に提出された年金制度改革法案について、日本共産党から意見交換を行いたいとの申入れがあり、3月3日午後3時から約1時間、衆議院第1議員会館会議室で、日本共産党の衆・参厚生労働委員会委員の山口富男衆議院議員、井上美代参議院議員らと懇談。全厚生からは、杉下委員長、藤巻副委員長、杉浦書記長、宮田中執が出席しました。
 全厚生からは、年金講師団活動や社会保険職場の状況等、この間の年金改悪反対の取り組みを紹介したうえで、国会論戦では、基礎年金の国庫負担2分の1への引き上げ、積立金の活用等政府の責任を明確にすること、消費税増税を許さず、国の予算の使い方を社会保障優先に切替えること等を追及するよう要望しました。


研究機関支部代表者会議を開催

独法化で勤務条件後退招くな

 全厚生は2月24日、試験研究機関支部代表者会議を開催し、当面する試験研究機関支部での取り組みを意思統一しました。
 独立行政法人医薬基盤研究所は、2005(平成17)年度の設立にむけて、重要な段階を迎えています。構想は、非公務員型の独立行政法人であり、具体的計画と設立スケジュールを明らかにさせることが大切です。国立感染症研究所や国立医薬品食品衛生研究所からも職員・研究者が異動します。労働組合として、異動する職員の身分・勤務条件等の後退を招かないように、万全の措置をとるよう要求していくことを確認。特に、国衛研支部、感染研支部の相互の連携をとり、対策を強化します。独立行政法人医薬基盤研究所法(個別法)案は3月5日に閣議決定され、今後、参院先議での国会審議が行われる模様です。
 春闘段階での厚生科学課長交渉は、医薬基盤研究所の課題、定員削減に反対し、必要な定員を確保する課題、任期付研究員の要求や課題、研究評価の課題、再任用制度の課題等で実施します。早急に要求の最終とりまとめを行い交渉準備に入ります。
 全厚生試験研究機関交流集会は、6月ないし7月段階で開催します。国民のための厚生科学研究の基本方向をさぐり、要求政策づくりと労働組合運動の前進に寄与することを目的とします。独立行政法人の課題や研究環境、研究・労働条件を掘り下げていくよう構想づくりに入ります。
 なお、会議には感染研支部、国衛研支部、栄養研支部、ハ病研支部の代表が出席。本部からは、杉下委員長、網・藤巻副委員長、杉浦書記長、川原・宮田中執が出席しました。


【静岡県】3・1ビキニで署名訴え

年金大改悪反対

 静岡県支部の3・1ビキニデーにおける年金改悪反対署名行動の取り組みについて報告します。
 今年が被災50年に当たる3月1日ビキニデー集会に静岡県支部として年金宣伝を兼ねて3人参加しました。午前はJR焼津駅南口に集合し、岐阜県支部、愛知県支部および本部からの参如で、東海ブロックの取り組みとして、年金改悪反対署名・宣伝行動を実施しました。
 集会参加者は高齢者の方が多く、やはり年金に大変関心があり、年金改悪反対、大増税反対、最低保障年金を訴えると快く署名に協力してもらいました。また若い人達は年金制度が分かりにくいこととマスコミ等による影響で、国民年金保険料を払っていないなど、年金制度に不満を持っている人達も多くいました。墓前祭の会場までの行進には静岡県支部が東海ブロックの代表として参加しました。
 午後は焼津市文化センターで集会が行われ、ここでも開会前の会場入り口で署名・宣伝行動を行いました。駅は多くの人が行き来している時間帯ではありませんでしたが、進んで署名をしてくれる方もいてやり甲斐がありました。
 今回の取り組みは、静岡県支部として単独で実施することは非常に困難でしたので、岐阜と愛知県支部に大変感謝しています。組合員の皆さん、今後も引き続き年金闘争を全力で展開していきましょう。
(静岡県支部書記長)



【函館】2・25で平和の危機訴え

米軍艦が室蘭港に

 2・25国民総行動デーは、地区労連である函労会議を中心に日中は函館市役所をはじめ、関係機関への申し入れ行動がありましたが、夜の地区集会と終了後のデモ行進のみの参加でした。
 例年、この時期の行動は、氷点下となり1年の行動の中で寒さの山場ともいえる冷え込みとなりますが、今年はプラスの気温で行動のしやすい天候でした。集会での決意表明では、イラク派兵前の室蘭港にアメリカの軍艦が訓練という名目で市民にその旨をまったく告げず停泊している状況に危機感を持つ必要性を強く呼びかけていました。このような体制自体、黙認できない状況にあることを再認識する良い機会となりました。集会後、五稜郭までデモ行進を行い、広く市民に呼びかけを行いました。
(函館支部支部長)



社会保険行政研究集会に参加して

行政研究活動を支部でも行いたい

○<記念講演>
「社会保険事務所を社会保障事務所に」との主張にはいつも励まされます。社会保障事務所になれば、もっと誇りを持って働くことができるのではないでしょうか。
(大阪支部)

○<記念講演>
社会保障の歴史から将来構想まで幅広い話を聞くことができ、勉強になりました。
(静岡県支部)

○<分散会(医療)>
保険医協会の久保さんの話を聞いて、保険者と医療機関との立場の違いによる誤解があることがわかった。医師会ではなく保険医協会との連携も必要ではないか。都道府県単位の保険者の再編、国保、政管、組合それぞれ保険者の立場にたった医療制度にすべきで、格差があるのはおかしい。やはり国が責任をもって、たとえ赤字でも国の負担で行えば良い。
(愛知県支部)

○<分散会(年金)>
他の支部で同じような業務を行っている方々の切実な思いを聞くことができた。私も戸別や窓口で積立金運用の問題を突かれて、なかなか答えられないということがあったので、この2日間で話し合った内容を参考にしたいと思う。
(秋田県支部)

○<分散会(年金)>
活発な意見が出て、いろいろ勉強になりました。年金のあり方から運動の進め方まで明確な道が見えた感じがしました。もっと分かりやすい制度で、国民の理解と信頼を得ていくこと、実際に行っている矛盾や、これから政府が狙っている背景をもっとみんなが知らないといけないと思いました。
(業務センター支部)

○<分散会(年金)>
各職場の現状や、現制度についての皆さんの考え方が聞けてとても有意義だった。私も現制度については疑問を感じており、もっと国民に対して分かりやすい制度にすべきであると思う。
(香川県支部)

○<分散会(年金)>
国民にわかりやすい年金制度を確立するためにまずは今回の年金改悪の中身をさらに伝えていく行動をしていこうと決意を新たにしました。
(神奈川県支部)

○<分散会(行政)>
「広く浅くか、深く狭くか」、「どこまでサービスが可能か、どの程度が適切な情報提供か」といった根本的な話題が中心で、自分の視野の狭さを恥じました。ただそうした根本的な問題に集中するためにも、適切な「効率化」という問題も看過できないと思います。
(京都支部)

○<分散会(行政)>
各県の実情・実態がいろいろ出され、大変参考になりました。社会保険庁のすすめようとしている行政サービスが、いかに形だけのものか、本当に被保険者、受給者のためのサービスではないことを実感しました。
(愛知県支部)

○<今後の行研活動について>
我々組合員の参加だけでなく、今後の社会保障の在り方や社会保険事務所に求められているものを外部から直接聞くことも大切だと思う。組合員(職員)が考えるのではなく、国民の願いをどこまでとり入れることができるかを討論した方がより国民のためだと思う。「国民のため」と言いながらその国民の声を直接聞いたことが無い。
(岐阜県支部)

○<今後の行研活動について>
各県で意見を出し合ったうえでの行研集会にしたほうが内容が深くなると思う。
(愛媛県支部)

○<今後の行研活動について>
このような会が定例化できればなと思った。できれば、県レベルでも行いたいです。
(滋賀県支部)


原稿募集中 ピカピカの小学1年生
 今年もピカピカの一年生の原稿を募集します。今年小学校に入学する組合員の子どもさん全員が対象です。みなさんの応募をお待ちしています。
 子どもの氏名(漢字)(1)氏名のふりがな(2)入学する小学校名(〇〇市立〇〇小学校)(3)大きくなったら何になりたい?(4)お父さん、お母さんからのメッセージ(支部・組合員名)を100字以内で。顔がはっきり写っている写真を送って下さい。写真はお返しします。締め切りは、第2次が3月30日です。お礼に図書券(千円分)をさしあげます。
 くわしくは、支部の教宣担当者、または全厚生本部まで。



みんなの国公共済会
退職者グループ編 <連載(1)>
転ばぬ先の杖
 退職後も何となく「退職者グループ」で継続していた国公共済会がまさに転ばぬ先の杖となったのです。夫が旅先の浴場でのふとしたケガが原因で頭の手術をすることになり、一度で完治せず、二度も入院することになりましたが、5日以上の入院で、1日目から給付されるので助かりました。
 国公共済会から送付された共済加入証書と共に、請求書も同封されていましたので、すぐ間に合い、至れり尽くせりやなーと実感しました。
(大阪支部 昨年3月退職)


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