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◆第1574号(2004年1月5・15日付)◆


年金講師団が活躍中
年金大改悪は許さない

 連日、マスコミをにぎわす年金問題。年金に対する国民の不安と関心が高まっています。今ほど、国民に信頼される年金制度への改善が求められている時はありません。なのに政府は、改善どころか、史上最悪の年金大改悪を強引に押し進めようとしています。
 全厚生は、ここが「出番、本番!」と、第67回定期大会で意思統一。年金制度のしくみや矛盾、04年の改悪内容や政府・財界の狙いを解き明かし、年金改悪に反対し国民に信頼される年金制度を確立しましょうと呼びかける年金講師が全国で活躍しています。
 いよいよ今年、年金改悪法案が国会に提出されます。全厚生年金講師団の「出番、本番!」は、これからが本番。ご一緒にがんばりましょう。年金講師団の活躍ぶりを紹介します。

函館支部 組合員
 福祉職でありながら年金にくわしい。年金と生活保護水準について常に問題意識を持ち、社会保障を守れ、と頑張っています。
業務センター支部 組合員
 昨年12月、東京春闘共闘討論集会での年金問題の発言が大評判に。「ぜひ、うちの春闘学習会に」と東京地域の労組からひっぱりだこ状態。
神奈川県支部 組合員
 神奈川県内だけでなく、在京近県からも声が掛かります。かながわ生協の15カ所の学習会講師を6人で手分けしてこなしました。昨年12月の国公労連年金110番でも相談員として神奈川県支部は大活躍。関東圏で頼りにされる存在です。
「年金講師のすすめ」を説く 組合員
 京都支部では3カ月で9人の年金講師が活躍。誰でも年金講師が出来るようにと、山本さんの発案で「年金紙芝居」を作成。「国公労新聞」新年号には京都支部が出ています。
大阪支部
 大阪支部の伝統ある年金講師団活動に全厚生は学びました。3カ月で11人が講師を務めました。竹本さんはベテラン講師。今回も講師活動件数最多です。大阪支部の活動については、2面に記事がありますのでご覧下さい。
大分県支部
 大分県支部は県労連学習会の講師を4人で分担しました。「大分県支部は小さな組織ですが、年金講師団活動は積極的に取り組んで、役に立ちたい。一歩が踏み出せて良かった」と秦さん。
静岡県支部
 静岡県支部も頑張っています。飯塚さんは県国公の年金学習会に。他に、働く女性の集会などでも支部の仲間が講師として活躍しています。
岐阜県支部 組合員
 岐阜県支部の組合員さんは、当局による人権無視の妖怪辞典大攻撃とも対峙して、国民に信頼される年金制度へ、講師団候補生といっしょに頑張っています。
愛知県支部
 愛知県支部の年金講師団は10人。石川県や三重県にも足を運んでいます。束ね役の杉崎さんは、労働組合にとどまらず、民主商工会や生協、母親連絡会などの学習会にも出かけていきます。「もっともっと地域に入っていかないと」と、運動の広がりを重視しています。
香川県支部
 香川県支部の組合員さんは、香川県内だけでなく、高知県や徳島県にも出向いて講師をしています。愛媛県支部とともに四国ブロックで活躍中。
愛媛県支部 組合員
 愛媛県支部の組合員さんが講師を務めた地域労連の学習会では、年金制度をもっとわかりやすいものにすること、消費税増税で年金財源にすることは絶対反対、そして、全額国庫負担の最低保障年金制度の創設が共通する意見として出されました。


全厚生年金講師団活動データブック
2003年10月1日から12月20日までの81日間

●146件の学習会で講師活動
 カラスの泣かない日はあっても年金がマスコミで話題にならない日はない、とよく言われますが、1日に1.8件のペースで行われている年金講師活動は、カラスにも勝ち、マスコミをも追い抜く勢い?
●講師活動をした人は12支部と本部で54人
 今までは少数精鋭のタレント的活動と評されていましたが、年金講師団養成講座の甲斐あってこんなに増えました。年金改悪をストップさせるには年金講師団のすそ野を広げるのがカギ。もっともっと広がりそうです。
●総講義時間は198時間30分
 トータル11910分。平均すると、1日2時間27分、誰かがどこかで、年金改悪反対、国民のための年金について熱く語っていることになります。
●学習会参加者は延べ4581人
 全厚生組合員数をはるかに超える全厚生組合員以外の人に語ったことになります。これからもっと広がるね。


【大阪支部】 年金講師団・署名・宣伝で大活躍
年金大改悪許さへん

 大阪支部では、04春闘の中でいち早く「すべての労働組合に年金講師を」と大阪労連規模で年金講師養成講座を開催するなど、年金改悪阻止の運動を03〜04年の中心課題として位置づけて年金講師団活動を旺盛に展開しています。10月以降だけでも40回を上回る学習会に講師を派遣し、04年分もすでに30件以上の受注を確保するなどプロモーション活動も活発です。活動範囲も、奈良・兵庫・和歌山と府の域を超え、時には愛知や大分など他県支部のエリアに進出するほどの奮闘ぶりです。最近は、日に3回も珍しくなく、また、「平日の午前中に」などの依頼も多くなっています。新しく講師活動に参加する組合員も増え、「今度は行ったるで」と声がかかるなど往年の講師の復活も期待されています。

署名は組合員一人20筆目標
 署名活動では、「年内に、これまで未到達の最高の峰を」と「組合員×20」を提起、12月の支部定期大会以降、毎週のように100筆単位で数を増やし、現在900筆を突破しています。家族とあわせて200筆を超える署名を集めた組合員が現れたり、制度改悪について説明を求めに訪れた民間労組役員に署名を訴え、即日111名の署名が届けられる等の経験も生み出されています。
 また、署名をもっての労働組合訪問にも取り組んでいます。医療改悪反対署名の時は聞き流していた労働組合役員も「今度は協力する」と積極的な対応があるなど変化も生まれています。「年休で労働組合訪問を計画」の分会の出現や、「訪問したけど、書記局に署名は届いた?」と問い合わせがあるなど、分会での取り組みにも意欲が見られます。

月2回の宣伝行動を定例化
 宣伝行動では、11月19日「大規模な宣伝行動を」と年金者組合に呼びかけ、大阪労連や国公の仲間とともに京橋で80人を超す宣伝行動を展開。ハンドマイクとビラで訴え、1時間弱で署名も202筆を集めました。その後も月2回の宣伝行動を国公の仲間とともに配置しています。宣伝する支部組合員のまわりには、ミニ年金学習会や臨時年金相談コーナーがいくつもつくられるなど、関心の高さを実感できます。

いま、国民の中へ、国民とともに
 2004年、いよいよ「年金改悪を許さない」国民と小泉自公政権・財界との真っ向勝負の年です。支部では、新春7日から署名宣伝行動を計画。「いま、国民の中へ、国民とともに」を実践し、年金改悪反対闘争が国民総決起の運動となるよう奮闘する決意です。
(大阪支部書記長)


私の年金講師団活動
安心して暮らせる年金制度に

 11月10日から14日まで大分県労連主催の「年金改悪阻止」学習会が県下5カ所で開催され、年金講師団として初めて講師をすることになりました。
 全厚生本部で行われた講師養成講座では各支部の方々の活発な活動に圧倒されっぱなしでしたが、大分でも機会があれば是非にと思っていたところ、県国公の会議で意見が出され講師を引き受けることになりました。
 講師は本部会議に出席した4人がそれぞれ1カ所を受け持ち、レジメは浜川書記次長が各支部からいただいた資料をもとに作成しました。学習会は、厚生年金制度の概要と現状、問題点を話し、県労連の事務局長から今回の改悪の内容(負担増、給付切り下げ、国と大企業の負担が外国に比べ低い)、最低保障年金について説明があり、改悪阻止の署名活動が提起されました。
 私が出席した佐伯地区では国公労働者から「中小企業の保険料滞納で企業が責任を果たしていない」、「当然加入の小規模事業所の適用で滞納になれば仕事上困ることになる」等職業柄の問題点が指摘されました。また、「子供の国民年金保険料を未納にしたらどうなるのか」と親としての心配もありました。
 私は日々年金相談コーナーで受給者の相談を受けていますが、「思っていたより年金額が少ない」とがっかりする姿を見ていると、自分自身も含め、老後を安心して暮らせる年金制度にしなければと考えます。
 今後、署名活動を取り組むなかで、各単組、支部、地域で年金学習会を開くときは、出来る限り出席し、説明させていただくことを申し出て、話の締めくくりとしました。
(大分県支部執行委員)


年金講師団活躍カレンダー

 年金大改悪反対、国民のための年金制度について熱く語る全厚生年金講師団の活躍ぶりをカレンダーにしました。桜の上の数字が各地で行われた講師活動の件数です。日々の活躍ぶりをご覧下さい。
(昨年10月1日〜12月20日)
10月
<10月の合計>
●講師活動 51件 
●総講義時間 65時間50分
●参加者総数1434人
11月
<11月の合計>
●講師活動 57件 
●総講義時間 79時間55分
●参加者総数 1836人
12月
<12月の合計>
●講師活動 38件 
●総講義時間 52時間45分
●参加者総数1311人



年金大改悪許さない04春闘を
信頼と安心の年金制度確立めざし

 信頼と安心の年金制度の確立を、今期年金改革の最大の課題がここにあります。
「空洞化」といわれる国民年金保険料の収納率の急速な低下、初めて赤字となった厚生年金。年金をとりまく状況は深刻です。
 全厚生は、坂口厚労大臣交渉(12月8日)で年金問題を正面に掲げ、国民の不信・不安の高まりは重大な問題、国民の生存権の裏打ちとして、崩壊させてはいけない、国の責任を明確にして、国民の信頼回復が図れる改革内容とすべきだ、と強く主張しました。
 合わせて、そのためには、財源を消費税増税に求めることなく、基礎年金の国庫負担を直ちに2分の1に、膨大な積立金の有効活用と民主的管理を、さらに国民の権利と利益を擁護するのにふさわしい事務処理体制の確立を求めました。

通常国会に年金「改革」法案提出
 1月19日に開会する通常国会に提案する「改革」法案の全容には、未確定部分はあるものの、基本的なところは明らかになっています。
 厚生労働省は、11月16日「持続可能な安心できる年金制度の構築に向けて」(案)を発表しましたが、負担増問題が取扱いの焦点(財界の意向を背景に)となり、結果として、12月16日の自民党、公明党の「与党年金制度改革協議会」で合意した内容は、(1)保険料は、今年の10月から13年連続して引き上げ、現行より35%増の18・35%に。(2)給付水準は、厚労省案よりさらに引き下げ、実質15%減の現役世代の手取り年収の50%以上に(現行59・4%)。(3)国庫負担は、法律で決定している約束をやぶり、09年度までに2分の1に段階的に。04年度は年金課税を強化し、05〜06年度に所得税の定率減税を縮小・廃止してその分を当てる。(4)さらに、07年度をめどに消費税を含む抜本的税制改革を実現する、と消費税の大増税路線に踏み込むというものです。

消費税の大増税を認めない
 今回の「改革」の最大のポイントは、その都度、国会の審議を経ることなく、給付減、負担増が行える「自動装置」を盛り込もうとしていることです。このことは「与党合意」において了承されています。
 負担はますます増え、給付は数字合わせで限りなく減らされ、さらに最大の不公平税制である消費税の大増税。こうした内容では国民から突きつけられた不信・不安を解消することは不可能です。歴史的な大改悪が強行されようとしているといわざるを得ません。
 とりわけ今回の大改悪は、財界の意向、財界の描いた路線に沿って行われているもので重大です。 財界は、社会保障からの責任の回避・撤退をあからさまに打ちだし、財界・大企業にとってはまったく痛くもかゆくもない消費税を、将来18%にと政治献金をエサに政治の買収を宣言しています。こんな身勝手、横暴は絶対に認められません。

政治のありようを根本から問う
 年金の大改悪を許すな、安心できる制度を確立せよ、悪法は撤回し国会に提出するな、国民合意をと、いま、全国でたたかうエネルギーと行動が急速に広まっています。
 人間らしく生きる権利に直接責任を負っている厚生労働省の責任は極めて重大であり、政治のありようが根本から問われています。
 年金の支え手の基本である雇用の保障とともに、軍事費拡大、大企業奉仕ではなく、国民生活、社会保障を中心とした予算への転換を実現するために全力をあげる、このことがこれまでにも増して求められています。
 全厚生は、昨年9月の定期大会で決定した方針に基づき、その役割と責任を自覚して、年金講師活動を旺盛に展開し、全国で大奮闘しています。
 04春闘、正念場のたたかいとなります。全厚生はすべての仲間、国民と固く力を合わせ、持てる力を発揮して全力で奮闘する決意です。


年金「改革」私の意見
消費税にたよらず   神奈川県支部 組合員(43)
 だれにでもわかる年金制度と消費税にたよらない最低保障年金の創設が国民に一番喜ばれる行政サービスであり、安心だと思います。国民に自信をもってすすめられる年金制度を!!

だれもがわかる制度に   滋賀県支部 組合員(30)
 国民のニーズからかけはなれた制度になっているのは残念。だれもがわかる制度が基礎になる制度改正を!

最低保障年金の実現を   大阪支部 組合員(45)
 11月16日に発表された厚生労働省の04年年金改悪の案を見て、よくこれだけ国民をバカにできるものだと思う。いつまでもだまし続けられないということを広く宣伝して、改悪反対。全労連の提唱する最低保障年金実現の運動を広げていこうと思います。

税金を最良の公共投資へ   秩父学園支部 組合員(56)
 税金を最良の公共投資、福祉・年金へ

明るい生活できる年金へ   香川県支部 組合員(34)
 みんなが立ち上がらないのは、権利と義務があいまいだからでしょうか?年金の必要性を家族として考え、明るい生活ができる年金制度にしなければ、未来はない。

国民は納得しない   愛媛県支部 組合員(30)
 保険料値上げ反対。給付額切り下げ反対。皆が安心出来る年金制度を。より良い年金制度にしないと国民は絶対に納得しないぞ。

シンプルな制度に   愛知県支部 組合員(28)
 社保審の中で出たいろいろの案のうち、なぜこういう改正案としたのか、他の案はなぜ切り捨てたのかの説明を行うべき。もう少しシンプルな制度に!


あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします


中央執行委員長 


平和、社会保障を守る年に 2004年は全厚生の出番

 21世紀の日本の進路。このことを考えると、2004年、あらためて気を引き締めて立ち向かわなければならない。
 首相であり、自衛隊の最高司令官である小泉純一郎氏は、イラクに自衛隊を派兵する理由を正当化しようとして、日本国憲法前文の一部を、前後の見境なく抜き出し引用した。言った本人はどのような心境だったのだろうか。まさか本当にそう思っているわけでもあるまい。不正義の決定であることの証左であろう。憲法学者でなくともあきれるとともに、怒りを禁じ得ない。
 国民は見抜いている。派兵が正義に反した愚かな決定であることを。と同時に悪質で救いようのない首相であることを。もはや彼にとっての選択肢は即刻の退陣しかない。
 日本国憲法前文では、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存する」と高らかに宣言している。日本の進路の決定権は国民の手中にある。
 国民は、小泉首相や与党である自民党や公明党に日本の進路決定権を白紙で委ねてはいない。国民の意思の存するところは明白であろう。
 ところで、都合良く社会の木鐸たるを唱えるマスメディアの態度だ。12月10日、東京・日比谷野外音楽堂では、イラクへの自衛隊派兵に反対する集会が開かれ、身震いするほど多くの人が集まり、熱気あふれる集会、デモ行進が行われたが、テレビカメラや記者が来ていないわけではないのに、黙殺された。腹立たしいが、それがいまの日本のマスメディアの実態だ。権力に寄り添い、国民世論を代弁しないマスメディアは、かつて過ちをおかしたように、それをまた繰り返そうとしている。
 全国いたるところで青年が女性が労働者や高齢者が、平和や生活向上、日本の進路にかかわって地道な奮闘・努力をしている。今年は平和の課題とともに生活保障の根幹である年金制度の改悪がもくろまれている。私たちは年明け早々からエンジン全開で奮闘しなければならない。全厚生は、労働条件の改善とともに、社会保障の確立と平和と民主主義の確立に寄与することを目的としている組合として、組織結成以来57年余、こうした課題に何のためらいもなく力をそそいできた。まさに出番であり、がんばりどころである。
 この1年、課題は山積しているが、たたかう方向と相手は明白だ。仲間の団結と奮闘で、夢も希望もある1年にしたいものだ。



みんなの広場(憲法第9条手記)

手記 憲法第9条と私

第9条の重み  感染研支部 組合員
 私は憲法前文の『政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し』の表現が好きである。戦中生まれの私の少年期にこの文面をみて、なる程、戦争とは政府の過った行為によって起きるのかと、実感しました。
 さて、昨今の我が国の政府は全く危なくなってきた。しかし、冒頭に『日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し』とある以上、政府の危さも国民の意志なのだろうか。それにしても前回の衆議院選挙の投票率が60%程度では崇高な憲法を保持している我が日本人はどうしたのだろうか。第9条では『武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』。『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』戦力を保持している現状は矛盾だらけであるが、今日までの平和を支えてきたのなら第9条をうかつにいじって欲しくない。憲法解釈の拡大も限界がある。警察予備隊、保安隊、自衛隊、この次の名称は憲法改正なしでは変えられない。憲法による歯止めは実にありがたい。犠牲になった2人の外交官が、イラクヘの自衛隊派遣はやめときな、とのむせび泣きが私には聞こえてくる。

子供と一緒に「ぞうれっしゃ」  リハ支部 組合員
 子供の頃、祖父や母は戦争のことをよく話してくれました。高校は大学紛争の余波が残っていた頃で、社会体制を疑うことを教えてくれました。
 でも私が自分の子供に自分の言葉で戦争や平和について話すことは難しい。だから子供と「ぞうれっしゃ」の合唱団に入って歌を通じて何かを伝えられればと思い、歌いつづけてきました。(現在はちょっと休眠中ですが)今の平和な日本は自然に続くのではなく、誰かが、皆が意識的に守らなければならない。このことを自分に再度言い聞かせると共に、せめて自分の子供には心に刻み付けて欲しいと思っています。また忙しい毎日だからこそ、戦争の実態について学ぶ機会も意識的に作らねばと思います。

小学校の恩師  国衛研支部大阪分会 組合員
 イラクへの自衛隊派遣に関して、普通の日本国民の暮し向きが劣悪になっても平気な首相が、遠い異国の地の「生活基盤を作るために自衛隊を派遣するのだ」ともっともらしいことを言っている。さて、憲法第9条といえば、私は小学校の恩師を思い出します。ライフ誌の写真集を教材に戦争の悲惨さを私たちに教えてくれました。中でも、南京大虐殺の写真は衝撃的でした。私たちの祖先である皇軍兵士が中国人の妊婦を日本刀で殺害し、その胎児を胎内から引きずり出したりといった件では耳目を覆いたくなるような気持ちになりました。先生は、こういった残虐なことを二度と日本人がしないようにと願いを込めて、平和憲法の大切さを私たちに教えてくれました。
 時は流れて現在、「南京大虐殺なんてなかった」「先の戦争は正しかった」と言って憚らない輩が、東京都の知事であったり、国会議員であったりする。憲法第9条の精神を理解せず平和を望まない輩は、平和以外のものを目的としているのか、あるいは、単に暴力が三度の飯よりも好きなのだろうか?同時に自分は被害者にならないことを確信しているからなのだろうか?

混声四部合唱「憲法9条」  感染研支部 組合員
 かつてある合唱団の研究生に関わって、平和を愛する歌、戦争を告発する歌、連帯の歌など、なかなかマスコミでは聞けない歌や音楽に出会ってショックを受けことがある。その中に混声四部合唱「憲法9条」(組曲の中の一曲)もあり、数回ピアノが入るだけで、ほとんど伴奏のないこの曲を、歌いにくいなあと思いながらパートの部分だけ練習していた。しかしみんなで合わせた時の迫力は、歌う人の思いが何十にも覆い被さった中から一斉に放射されたような、強烈な印象を受けた。音楽は技術だけではない、伝えたい思いをどれだけ強く持つのかが、聞く人の心をとらえるのだと言うことを確信した一コマだった。
 その合唱団のレパートリーの中で、多くの人が愛し、またうまく(?)歌えてしまうのは「We shall over come」だった。
 親の立場になり、技術をも高めなければならない活動はできなくなったが、今一番歌いたい歌の一つである。

アメリカの侵略戦争に日本が加担  秋田県支部 組合員
 今、イラクへ自衛隊が派遣されようとしています。「国際貢献」といえば、聞こえはいいのですが、アメリカの侵略戦争に日本が加担することにもなりかねません。
 戦争を始めた理由に、イラクが大量破壊兵器を持っているというのがありましたが、それは未だ発見されていません。そして現地では、治安維持及び復興に携わっている、献身的な人たちの多くの尊い命が失われています。これらは「テロ」と報道されていますが、見方を変えれば、侵略に抵抗するレジスタンスと捉える事もできます。殺人がいいことではありませんが、どちらが正しいかはわからないのが実際のところではないでしょうか。
 そもそもその国のことは、そこに住む人たちが決めればいいことなのです。起こしてしまったイラク戦争について、どうすればいいかの答えにはなりませんが、「国際貢献」の名のもとに、自衛隊を容易に派遣できるようにする改憲には反対です。法解釈により、自衛のための軍備を否定していないという以上、今のままでいいのです。

憲法9条が戦争させなかった  神戸支部 組合員
 私は戦争を知りません。世界各国ではいま現在戦争状態が続き、テレビなどでそのリアルな映像をすぐに得られるけれども、私の感じる心象は映画などバーチャルとなんら変わりません。けれどもそう感じていられるのも、日本が50年以上戦争を経験していないからであって、それはとても幸運なことだし稀有なことであると思っています。そしてそれができたのも大変な戦争を経験してきた先人の平和を願う努力と憲法第9条によるところは大きいのでしょう。日本が世界へ貢献できるのは、戦力の提供よりも、50年の平和の尊さと憲法第9条の理想をアピールしていくことなのだろうと感じています。平和ボケともいわれようとも平和な状態を継続していくために不断の努力が欠かせないのだと思います。

憲法9条の存在意義  香川県支部 組合員
 自衛隊の海外派遣決定が先日報道されました。現地駐在の外交官が2名亡くなられ、それの弔い合戦であるように派遣がなしくずしに決まってしまった感じです。
 終戦後、戦前の過ちを振り返り、平和な国づくりを進めるための基礎となったのが日本国憲法であり、その中でも憲法第9条が担った役割は非常に大きかったと思います。もし、9条がなかったら再び戦争の惨禍に日本も巻き込まれていたかもしれません。
 世界中で戦火があがり、罪もない一般市民がたくさん亡くなったり、すむ場所、生活基盤を失っている状況がつづいています。いまこそ、私たちは戦争の放棄・戦力の不保持をうたった憲法第9条の存在意義を再度考えていく必要があると思います。

若者の屍の上に  愛媛県支部 組合員
 私はあの戦争の翌年に産まれた。戦争体験はもちろんなかったが、あの戦争の話を良く聞いて育った世代だ。私の生まれ育った山村の小学校の同級生は2クラス、70名もいた。なぜか私の1つ年上は30名余の1クラスしかなかった。
 戦後50年の年、私は数人の仲間と「戦後50年、今平和のために」という戦争・被爆体験文集を作った。是非書かせて欲しいと言う声が殺到して膨大な文集となった。
 私はこの文集に関わるまで、何百万の招集された青年の多くは戦闘行為で亡くなったと思っていた。しかし、シベリアも南方戦線もほとんどが餓死だった。当時の支配者が国益をかざし続けた結末が広島、長崎であり、8月15日だった。憲法9条は誰が何と言おうと、若者の屍の上に作られたことは歴史の紛れもない真実なのである。


イラクは自衛隊派遣望まない
<対談>池田香代子さん 森住 卓さん
イラク混乱の最大の矛盾は外国軍の存在
劣化ウラン弾の被害深刻 軍服ではなく白衣を
自衛隊が日本に対する 好感も尊敬も無にする
イラクの白血病少女サファア
池田さんと森住さんの本6人にプレゼント

イラク混乱の最大の矛盾は外国軍の存在

池田香代子 いけだかよこ
1948年東京生まれ。ドイツ文学翻訳家、口承文芸研究家。主著に「世界がもし100人の村だったら」(マガジンハウス)「哲学のしずく」(河出書房新社)「魔女が語るグリム童話」(正・宝島社、続・洋泉社)主な訳書に「ソフィーの世界」(NHK出版)「やさしいことばで日本国憲法」(マガジンハウス)など。
森住卓 もりずみたかし
1951年神奈川県生まれ。フォトジャーナリスト。旧ソ連の核実験場を取材した「セミパラチンスク」(高文研)で日本ジャーナリスト会議特別賞受賞。主著に「イラクー湾岸戦争の子どもたち」(高文研)ドキュメント三宅島(大月書店)「イラクからの報告(共著・小学館)「私たちはいまイラクにいます」(写真・講談社)など。
池田  私が森住さんを知るきっかけになったのは、写真集「チルドレン・オブ・ザ・ガルフウォー」です。アメリカでは、この写真集が、イラク戦争決議反対を訴えるために、上院と下院のすべての議員に手渡されたことを知りました。ところが、議会は大統領に戦争の権限を与えるという戦争決議を通してしまいました。それが2002年の10月11日でした。その夜、考えたんですね。戦争決議が通ったとはいえ、日本が戦争に反対をしたら、アメリカは戦争を少しはやりにくくなるだろう。だったら、私たちが森住さんの写真集を日本の衆参両院の議員にお手渡しをしようと考えついて、10月12日にインターネットで呼びかけましたら、全国から60人くらいの人が声をあげてくださって、2週間で配付しました。
 森住さんは昨年はとてもお忙しかったと思いますが、何回くらい日本を出入りしたんですか。
森住  一昨年の暮れから昨年の正月にかけてイラクにいて、その後、戦争が始まった3月、4月、6月、11月と行きました。それからカザフスタンとユーゴにも行きました。以前から劣化ウラン弾やそれによる白血病の子どもたちの取材などを進めてきました。
池田  バグダッドに行っているともだちがいるんですが、「日本の自衛隊が来るのをどう思う」とイラクの人に聞くと、「とても困惑する」と言うそうです。また、元レバノン大使の天木直人さんが書いた本の中でも、レバノンの人は「何かのまちがいだろう」と悲しい顔をするそうです。日本の自衛隊、いわゆる軍隊が行くことに対する反応はありますか。
森住  自衛隊はアメリカの軍隊と一緒になってやるということです。どういう「軍隊」なのかがわかると思うんですよね。当初、アメリカ軍がバグダッドに入ったとき、イラクの人たちは複雑な思いで迎えたわけです。アメリカ軍は何をしてくれるんだろう。一方ではサダム政権を倒してくれた。自由になった。それから何をしてくれるんだろう。ところが、アメリカ軍は何もしない。逆に自由を奪うようなことをやっている。という本質が見えてきて、いまの状況を迎えているわけです。それと同じようなことが自衛隊にも起こると思うんですよね。
池田  私のともだちは「自分たちはここに外国の軍隊がいることに反対しているんだ。だから日本からだろうが、アメリカに対するのと同じもてなしをするしかないんだよ」と言われたそうです。
 テレビでは政治評論家と元警視庁の人が「自衛官はイラクで立派に死んでこい」と盛り上がって笑っていた。あれを観て悲しくなりました。というか、怒りを覚えたんですね。そういうふうにわけがわからない方向にどんどん進んでいく。私たちの安全と命こそを守るべきなのに、それを楯にするというのは本末転倒だと感じています。
森住  イラクの混乱の最大の矛盾は、外国軍が存在することです。そこに日本の自衛隊が行くことは、いっそう混乱させ矛盾を深めてしまうことになると思うんですね。
 とくに、いま支援をしているNGO(非政府組織)の人たちの身まで危険にさらしてしまうことになっています。
池田  すでに北海道の旭川駐屯部隊の中から500人の選抜が終わったそうですが、聞くところによると、派遣される自衛官の日当が3万円だそうです。3カ月交代で、3カ月行くと270万円の貯金ができるといいます。この不況の中で喜んで行くという隊員もいるらしいんですが、彼らに劣化ウラン弾のことがきちんと伝わっていないことは問題です。

劣化ウラン弾の被害深刻 軍服ではなく白衣を

森住  湾岸戦争で300トン以上の劣化ウラン弾が使われて、それ以降もアメリカがかんでいる戦争では劣化ウラン弾が使われています。今度の戦争でも、500トン以上と言われています。しかも、バグダッドなど人口密集地域でところかまわず使った。これからイラクの人たちには、湾岸戦争の劣化ウラン弾と今度の戦争の劣化ウラン弾の影響が直接、間接的に、複雑に絡み合いながら出てくるのは確実です。 汚染された場所にいれば、当然被曝してしまうわけで、それはイラク人であろうと自衛隊員であろうと分け隔てありません。
池田  昨年の夏にイラクからお医者さんふたりがお見えになったとき、「日本からイラクには、軍服ではなく白衣を」とおっしゃっていました。日本はヒロシマ、ナガサキの経験で被曝に対する医療が発達しているし、劣化ウラン被害は重金属中毒という面もあるから、公害医療のノウハウもある日本から医師を、と。現地の人々が望むことにこたえることが、私たちが尊敬される条件だと思います。
森住  いままでの日本はアラブの国の人たちから非常に好感を持たれていました。それは経済的な問題が大きくて、車や電気製品へのあこがれがありました。それが軍隊が入ってくると一気に変わってくると思いますね。ハイウェイも、バスラのシェラトンホテルも、今回完全に燃えちゃったんだけど、そこも日本の建設会社がつくったんですね。そういう意味で、日本の技術をイラクの人たちは高く評価しています。仕事もていねいだというようなことをよく言っていました。そういうものが一気に帳消しになってしまうんじゃないか、心配です。

自衛隊が日本に対する 好感も尊敬も無にする

池田  私は、日本に逃げているアフガニスタンの難民の人たちに面会に行って、「どうして難民に冷たい日本なんかに逃げてきたの」と聞いたんです。「日本はヒロシマ、ナガサキから立ち直ったたくましい人々の国、あんなにひどい目に遭ったんだから人の心の痛みがわかるやさしい人々の国」、それから、「あんなにひどい目に遭わせたアメリカとあんなに仲良くしている懐の深い人々の国」というようなことを言うんですよ。アフガニスタンでは基礎教育の教科書で、日本のところには必ず、ヒロシマ、ナガサキのことが書いてあるんです。あとから、イスラム圏にはそういう国が多いことを知りました。学校で先生がそう教えるから、「たいへんだったね」という思いやりも、「すごいね」という尊敬の念も持ってもらっているのかと思います。もし自衛隊が行ったら、それを無にしてしまいますよね。それを回復するのは私たちの次の世代ですから、私たちの世代は若い人に謝っても謝り足りないことをしてしまうような気がします。
 2003年は憲法を考えることと市民の立場からイラク戦争に反対してきましたが、今年も引き続き憲法、そして教育基本法のことを考えたいと思います。いま旧来の右、左という分け方がなくなっていると思います。「非戦」だけでなく、もう少し広く保守の「避戦」の声に耳を傾け、広めたいと思います。
森住  ぼくは2、3カ月の予定を立てられないんですよね。何が起こるかわからないから。やりたいことはたくさんあります。一つは旧ユーゴの劣化ウラン弾の取材に決着をつけたいと思っています。
(11月7日、(株)きかんしにてインタビュー)


イラクの白血病少女サファア
 本「イラクからの報告」などの表紙(写真下)に載っている少女サファア。彼女は白血病で、バグダッドにある国立小児病院の白血病専門病棟に98年4月、森住さんが初めて取材に行ったとき、玄関で出会いました。良くなったのではなく薬が無くなったからという理由での退院のときでした。彼女も劣化ウラン弾放射能による被害者です。写真を撮った瞬間に風が吹いてきてショールが取れ、髪の毛のない写真と連続写真になっています。写真は世界中で使われるようになり、昨年の1月に、ワシントンポストやニューヨークタイムスで意見広告に使われたり、この写真を見て平和運動の世界に足を踏み入れた人がたくさんいます。彼女の家はバグダッドの南の住宅地。クラスター爆弾がたくさん落とされ、空爆された地域です。森住さんがサファアに再会したのが昨年6月。彼女は13歳になっていました。近くにたくさん爆弾が落ちたけれども、なんとかしのいだそう。白血病の方は再発しましたが、少しよくなって髪の毛もまた伸びていました。学校に行くだけの体力が無いので自宅で療養しているということでした。そして、昨年11月、サファアは学校に通っていました。森住さんが写真を撮ると、ちょっとはにかんでいましたが、授業ではとても元気に発言をしていたそうです。(写真上)


池田さんと森住さんの本6人にプレゼント

池田香代子さんの本「やさしいことばで日本国憲法」(池田香代子訳、C.ダクラス・ラミス監修・解説、マガジンハウス 952円)と、森住卓さんの本「核に蝕まれる地球」(岩波書店、1700円)をそれぞれ3人の方にプレゼントします。ハガキに希望の本名と住所・氏名(家族の場合は組合員の氏名も)・支部名を書いて応募してください。Eメールでの応募もOK。
▽締め切り2月10日必着。
▽宛先〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2厚生労働省内 全厚生労働組合「新年号本プレゼント」係。
▽EメールZENKOSEI@zks.dp.u-netsurf.ne.jp
▽発表2月15日付紙上の予定。



厚生科学課長と秋闘要求で交渉

独法化で労働条件の後退招くな

 全厚生は12月11日、大臣官房厚生科学課長と2003年秋闘・試験研究機関の重点要求にもとづき交渉を実施。交渉には全厚生から、杉下委員長、網・藤巻各副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、川原・宮田各中執及び、感染研支部、国衛研支部、人口研支部、ハ病研支部の代表計13人が出席。厚生科学課からは、中谷課長、成田研究企画官、宮治補佐、鈴木補佐が対応しました。
 冒頭、杉下委員長が重点要求の趣旨を説明したのに対し、中谷厚生科学課長が一括して回答。2005(平成17年)4月に非公務員型の独立行政法人で設立予定の医薬基盤研究所(仮称)について、「関連法案を通常国会に提出する予定」と説明。組合は、異動する職員の身分・労働条件の後退にならないよう万全の措置を要求。これに対し、「勤務条件等は、最も基本的かつ重要な問題。関係職員には法人に係わる必要な情報を知らせる。要望には誠意をもって対処したい」と回答。国衛研大阪支所廃止に伴う支所職員の身分保障及び働く場の確保を要求したのに対し、「当該職員にとって基本的かつ重要な問題。誠意をもって対処している」と回答。さらに、「今後も関係機関及び関係職員には必要な情報は伝え、本人の意向を十分うかがい配慮したい」と回答しました。

保健医療科学院の充分な教育研修体制を
 保健医療科学院の教育研修の課題では、各機関・研究者との協力体制をはじめ、充分な体制の確保を要求。これに対し、「厚生科学課、科学院、国衛研、感染研等による『国立保健医療科学院教育研修運営協議会』を設け、講師等の調整を行っている」と説明。「今後とも、本協議会等の場を通じて国衛研及び感染研にとっても過重な負担とならないよう配慮し必要な研修体制を確保したい」と回答。定員削減反対、必要な定員確保の課題では、「増員は、厳しい状況で難しいが、今春のSARSに関わる緊急増員のように、業務の実態、重要性、特殊性等を踏まえ、必要な増員の確保に最大限の努力をしたい」と回答。 研究者の流動化や競争的環境の課題では、継続的な研究業務や行政支援業務を遂行する部門は、短期雇用でなく任期のない恒常的な研究職員の配置に努めることを要求。これに対し、「研究者の流動性の向上を図ることは、創造性豊かで活力ある競争的研究開発環境の基礎的要件として重要」と説明。「各試験研究機関における研究者の流動化計画の作成を依頼しており、各機関において、研究業務の実態を考慮した具体的な検討を進めている」と回答しました。

ハンセン病研究センターの必要な定員確保を
 感染症研究所ハンセン病研究センターの必要な定員確保(回復)の要求に対しては、「必要な定員は、その業務量等を勘案し不都合が生じないよう確保したい」と回答。運営の独立性を確保する要求には、「『ハンセン病研究センター運営委員会』で様々な立場の意見を受けて、運営に支障の生じないよう努力したい」と回答。基礎的研究費の増額要求では、「行政上の業務遂行に必要な基礎的・基盤的研究で競争的資金にそぐわないものとの観点から、試験研究機関全体で約6億4千万円を計上」と回答。国内外の学会出席旅費の増額要求では、「研究内容を発表する必要な経費で重要であり、試験研究機関全体で約7百万円を計上」と回答。
 研究評価の目的では、研究所および個々の研究者・職員のポテンシャルを引き上げることにおき、研究の自主的及び創造的発展を助けるために行うことを要求。これに対し、「個々の業務の性格を踏まえ、一般的な研究開発活動の評価の際に用いられる評価指標、例えば論文数や特許件数などとは異なる評価指標を用いるなどの配慮が必要」と回答。さらに、各機関に対して、「『厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針』に基づく評価を行うにあたり、公平・客観・透明・信頼という評価の重要な側面を確保するよう指導したい」と回答。新再任用制度では、希望者全員の雇用確保を要求。これに対し、「各機関に対しては、再任用制度の趣旨、目的にかなった運用を図るよう指導したい」と回答しました。


国公権利裁判、今年が最大の山場

不利益遡及は許さない

 12月18日初めて、全厚生原告団の1人として裁判に出廷しました。第6回口頭弁論は原告第5・第6準備書面と被告第3準備書面での書面陳述と第8回弁論を3月15日に決めただけで僅か15分で終わりました。従って、書面でやりとりしているだけで書面を読まなければ何の弁論が行われているかサッパリわかりません。しかし法律論の主張が終わり、それに対する次回2月12日で国の反論が終わるとのことです。その後証人尋問(国公労連は全運輸の滝口さん、全国税の金田さん)が行われていき、今年が裁判の最大の山場となります。
 これまでの経過はこちらが憲法28条(すべての労働者へ労働基本権の保障)違反、ILO87・98号条約違反(労働基本権は軍隊、警察国家の名において権限を行使する以外のすべての公務員に及ぶ)、不利益不遡及の条理への違反の3段構えで減額措置の無効性を追求しているのに対し、国はILO結社の自由委員会の勧告は審査であって法的拘束力を持たない、個々の減額を一円単位まで個別調整しても不利益遡及ではない、官民格差を是正する情勢適応の原則(国公法28条)により調整する必要があると反論をおこなってきました。(国も、さすがにまずいと思ったのか03年は定率調整を実施)
 国の主張は、私たちは賃金の決定に口出しはするな、たとえ減額されても、人事院勧告が不利益遡及という不法行為でも「代償措置」を黙って受け入れろと言うことです。私はたとえ勤務条件法定主義と言っても国会・政府は使用者と同様の状態にあるので労働者である私たちに労働基本権がなければ何処までも勤務条件は切り下げられると思います。
 閉廷後の原告団会議で今年の調整では官民逆格差(特に青年層・通勤手当が高い方)がある、裁判のゆくえは公務員制度改革にも影響すると言う報告があり、この裁判は法律論を理解するのは大変難しいけど私たち労働者全体の人権・民主主義を守るために是非、勝利しないといけない、カンパ活動も引き続き取り組もうと参加原告団70人が意志を新たに固め合いました。
(国公権利裁判原告 中央執行委員)



 「国立病院賃金職員の雇い止め許さない」「職安の民営化反対」…全厚生を同じ厚生労働省に働く仲間の労働組合、全日本国立医療労働組合(全医労)と全労働省労働組合(全労働)から、直面している問題について、寄稿していただきましたので紹介します。

たたかう全医労の仲間

国立病院賃金職員の雇用守れ

 今年4月、国立病院の独立行政法人化に伴う賃金職員の雇用問題について、厚生労働省は昨年11月、方策を一方的に説明・通告しました。 その内容は、賃金職員全員を一旦雇い止めした上で、病棟勤務を希望する(夜勤可能な)看護師については定数の範囲内で常勤職員として優先採用することを打ち出す一方、行(一)、行(二)、福祉職の賃金職員については、「業務委託・パート化」、また院内保育所については「全面民間委託」するというもの。全医労は、「賃金職員の雇い止め阻止」を掲げて、今年も新春1月5日から、厚生労働省前で抗議の座り込みを続けています。
 昨年12月座り込みに参加した全医労南京都支部の西川英治さんの発言を紹介します。

「ネバー ギブアップ」の精神でがんばろう
 僕は国立病院に入って14年間賃金職員で調理師をしています。
 今すごく怒っています。なぜなら、厚生労働省(国)が賃金職員を厚生労働省のマリオネットかはたまた奴隷のごとく扱ってきたからです。そして、長年総定員法と言う縛りがあるために、本来なら定員として採用すべきなのに、賃金職員として採用し、正職員と全く同じ仕事内容でありながら、賃金は正職員と比べると明らかに低賃金で、正職員では認められている夏季休暇や病気休暇、結婚休暇などを与えず、様々なところで正職員と差別をし、心身ともに賃金職員に苦痛を与えてきたのです。
 さらに近頃では行(二)職(調理師・看護助手・ボイラー技士……など現場職)の職場に派遣や委託を導入して、長年自分達の仕事に誇りを持って患者サービスに勤めてきた職員のプライドさえも踏みにじる攻撃がされてきました。
 僕が思うには、病院はドクターや看護師だけでは成り立たない職場だと思います。患者さんに一日も早く社会復帰をしてもらうには、治療はもちろんだけど、入院中の身のまわりの世話をしてあげる看護助手、入院中の何よりの楽しみの一つでもある3食の食事を作る調理師、直接患者さんには接する事はないけれど患者サービスに欠かす事のできないボイラー技士や電気士など、職種は様々だけど皆誇りを持って働いているんです。
 厚生労働省の役人は赤い血が流れていないのかと思うほどにすさまじい攻撃をしてきています。そして、何より僕が一番腹が立つのは、長年様々な差別をしてきた賃金職員を2004年4月以降、6時間勤務の非常勤職員にし、なおかつ賃金単価を下げるなど人を人だと思ってないようなあつかいをしてきているんです。
 今、世間では少子化問題と騒いでいるのに、若者の解雇は少子化問題に大きく影響を与えるに違いありません。なのに、厚生労働省の考えている事には理解に苦しむ部分が多々あります。別に僕は絵に描いたような贅沢を言っているつもりはないし、言う気もないんです。だけど、月10万円でどうして家族を養うことができると言うんだろう…?僕が言いたいのは、ただ人間としての扱いを受けたいだけなのに、それさえもぜいたくなのかなぁ…?
 でも、僕は最後まであきらめることはしたくないし、やれる事はこれからもしていきたいと思っています。全国の全医労の仲間の皆さん、「ネバーギブアップ」を合言葉にともに頑張りましょう。


全労働の仲間

職安と労災・雇用保険の民営化に反対

 政府の総合規制改革会議は12月22日、最終答申を決定しました。閣議決定にはなっていないものの、職業紹介事業の民間委託の拡大、公設民営化・独立行政法人化、地方への業務移管などに加え「労災保険および雇用保険の民間開放の促進」を求めています。(下記に、政府の総合規制改革会議への反論を行いましたので、お読み下さい)
 お金ばかりの問題ではなく、「公」として職業紹介事業や労災保険を運営する本当の意義は、憲法に基づく国の責任であるということです。職業紹介は勤労権や職業選択の自由を保障するために職業安定法に定められたものですし、ILO条約でも明確に表現されています。また、労災保険も幸福追求権・生存権・勤労権を具現化するために労働基準法の中に事業主の「無過失賠償責任」が謳われ、それを担保する(強制)保険制度として確立したのです。
 どちらも労働者保護を前提につくられていますから、これが経営至上主義で制度が変えられたり運営されたらどうなるのでしょう。ハローワークの窓口では、より就職しやすい=商品価値の高い求職者のみを優先して扱い、数の上がりやすいパートや短期の求人が重宝されるようなことにならないでしょうか。(件数=営業成績ならその方が稼げます)労災保険では労災の認定をしない方が企業が儲かるわけですから、不認定や低い障害等級の方向へ流されないでしょうか。立証責任を本人が負うことになれば、証拠集めすら困難になるでしょう。これでは過労死などの認定では致命的な欠陥になります。企業にとっても、事故が起きたとたんに高額の保険料を負担させられることにもなりかねません。そのため今以上に「労災隠し」が蔓延するでしょう。
 全労働は、これら民間開放の国民生活にとっての危険性を知らしめるとりくみをすすめています。官=悪、民=善の誤った構図がはびこっている状況の下で困難もありますが、すでに各方面から「民営化反対」の声がわき上がっています。
 政府の新たな規制改革3カ年計画の策定や、新「審議会」と、これから超えて行かねばならないハードルはまだまだあります。全労働は、小泉「構造改革」の危険性・反国民性を労働行政の課題に限らず、多くのたたかう仲間たちと手をとりあって広く訴えていきます。

働く権利も命すらも金儲けのネタにしようというのか
総合規制改革会議を批判する

 総合規制改革会議。2001年4月に内閣府設置法第37条2項に基づく政府の恒常的審議会。オリックスの宮内会長を議長とする15人の委員は、4人の「御用学者」と11人の企業経営者から成る。いわゆる労働者側は一人もいない経済至上主義の審議会。しかも「人材ビジネス」代表が3人も含まれる誰が見ても偏っている構成だ。
 その総合規制改革会議が03年7月には「規制改革推進のためのアクションプラン12の重点検討課題」のひとつとして『ハローワーク改革』を挙げた。これは、民間委託のさらなる拡大に加え、公設民営方式・独立行政法人化・地方への業務移管など、組織・業務を抜本的に見直せというもの。
 背景にあるのは、自ら仕向けた規制緩和により、資本のかからない人材ビジネスが乱立し、過当競争により経営が立ちゆかなくなったため。不況によりシェアが向上しているハローワークを解体してその業務=労働者を取りこもうとしているに他ならない。国の無料の職業紹介事業は目の上のたんこぶ以上の存在というわけだ。
 その理由のひとつとして「官は非効率」だとして就職1件60万で請け負うという政策まで登場した。定員不足の上に次々と打ち出される政府の雇用政策(実効は別として)のためにずいぶん業務の外部委託が行われてきたが、ここまでやるかという感じ。ハローワークでは就職1人あたりの経費は5万円という試算もあるというのに。
 さらに10月7日、総合規制改革会議はアクションプランに当面の課題として「5つの重点検討事項」を追加した。今度は『労災保険および雇用保険の民間開放の促進』が加わった。これで安定と基準の両方に民営化の危機到来だ。
 労災保険には7月からおかしな動きがあった。同一事務所内に損保代理店をもつ出版社が雑誌で労災病院批判をネタに労災保険攻撃をしてきたとたん、「構造改革特区・官製市場ワーキンググループ」のヒアリングが行われた。このワーキンググループには損保業者もいる。できすぎた偶然だ。
 彼らは労災保険も自賠責に習い、民間に全面委託すべき、その方が効率的だと言う。自賠責保険の業務運営経費は保険料の約3割。対する労災保険の人件費割合はわずか5.2%だというのに。
 7兆円の労災勘定積立金をいかに自分の懐に入れようかと考えているのだろう。しかし労災勘定の積立金は単純な「黒字」ではない。遺族年金などの後年度負担への蓄えでもあるのだ。



青年交流集会inあいち
 全厚生の青年たちが、昨年の11月22日から3日間、「環境問題」をテーマに青年交流集会inあいちを開催。(12月5日号既報)続報としてフィールドワークと座談会、感想、アピール を紹介します。

全厚生青年交流集会アピール

 私たち全厚生の青年は、全厚生交流集会inあいちを開催し、成功させることができました。
 今回の青年交流集会では、「環境問題」をテーマに、2005年愛知万博開催予定地であった海上の森を自分たちの足で歩き、中部国際空港建設現場を視察し、そこで感じたことをみんなで話し合って意見を出し合い、当たり前にとらえている身近な自然について考える機会をもてたことは、とても有意義なことでした。
 それと共に、将来性のはっきりとしない公共事業にたくさんの税金が使われている現状を学び、このような国民を無視した政治のあり方について怒りを覚えました。
 今回の青年交流集会で感じ学んだことを忘れずに、当たり前だと思っていた身近な自然と暮らしのつながりを大切にし、一人一人が政治に関心を持ち、税金の使い方も含めて注意していかなければならないと考えます。
 また、全体を通して、労働組合の大切さを再認識し、この集会を機に知り合えた仲間と共にこれから様々な問題に取り組んでいくことを決意し、奮闘することを誓います。
2003年11月24日
全厚生青年交流集会inあいち参加者一同


中部国際空港問題を考える
 中部圏と世界を結ぶ空の玄関として2005年2月の開港めざして中部国際空港株式会社が建設をすすめる。知多半島常滑市沖を埋め立てた周囲12キロの空港島に3500メートルの滑走路を備えた空港。24時間いつでも離着陸できる。「環境にやさしい空港、ユニバーサルデザインで心くばりのあるターミナル、魅力あふれる商業施設、中部の物流を変える貨物施設」と美辞麗句が並ぶが、実態は・・・。関連事業を入れると1兆3000億円以上になる巨大事業。ほとんどが借金。
 新空港建設の根拠とされたのは名古屋空港「満杯」論。年間離着陸数12万回は、小型機や自衛隊機の離着陸も含めているから。それらを除くと8万4000回に過ぎない。しかも旅客機の平均座席利用率は56.3%で、採算ラインの60%に届かない。航空機需要が急激に延びれば採算は取れる。愛知万博で需要は延びる?民間機が新空港に移れば、名古屋空港は自衛隊単独の航空基地として機能強化される。

愛知万博問題を考える
 2005年3月25日から半年間開催される愛知万博。テーマは「自然の叡知」。当初会場予定地とされていた「海上(かいしょ)の森」は、落葉広葉樹の雑木林が広がる豊かな里山。自然保護団体や住民団体の反対により、会場は愛知県瀬戸市と長久手町に変更されたが、面積は2倍に拡大された。会場建設費は1,350億円、運営費は550億円。瀬戸会場と長久手会場を結ぶゴンドラ建設費の50億円、解体・撤去費は会場建設費に含まれない。会場建設費は、国、地方公共団体(愛知県と名古屋市)、民間の3者が450億円ずつ負担。こんなに借金抱えて、「愛・地球博」は「愛知窮迫」。採算をとるための目標入場者数 は1,500万人。東京ディズニーリゾートよりも1.36倍の入場者を見込んでいる計算になる。
 「愛知万博」と「中部国際空港」という二大事業をかかえる愛知県の借金は4兆2746億円。そのため愛知県の住民税の高さは、全国第3位。さて、愛知万博の目玉は、永久凍土から掘り出したマンモス。発掘だけで10億円。しかも、まだ捜しています。「人類から地球への贈り物」だそう。
 自然を破壊し、生態系を破壊することが「自然の叡智」なの?木も森も生きる権利を持っている。

違った視点で考えられた  岐阜県支部 組合員
 いいことばかりだと思っていた中部国際空港でしたが、内には、いろいろと問題を抱えていることを知りました。一人一人意見が違って、考え方の違いを感じました。実際の現場を見ることで、また、違った視点で考えられることを知りました。

税金を有効に使って  愛媛県支部 組合員
 見学だけではわからないものが、池住さんのお話で、すごいお金が動いているという実感が出てきました。まだまだ統計以上のお金が動くと思われますが、有効な税金の使われ方をしているかどうかは疑問です。

誰が責任取るの?  業務セ支部 組合員
 万博は本当に自然の叡智がテーマなんだから自然破壊の上に成り立たせようとするのはおかしい。問題が大きすぎて、こんなんでいいのって感じです。このあと、いったい、誰が責任とるのかと思うと、あたまが痛いです。

国民が願っているのは  京都支部 組合員
 公共事業は、本当にすごいと感じました。しかし、今本当に国民に必要なことや国民がして欲しいと願っていることは、違うことではないのかナと思う。万博って本当に必要なの?理解できない。


青年の主張

賃金カット許せない

 昨年12月の一時金は5年連続のマイナスでした。前年から0.25月も減。月例給は1.07%の減、しかも前年に続き4月に遡って「調整」と称して一時金から減額。これは定率ゆえ青年の方が不利。そして総報酬制導入による共済掛け金の大幅引き上げ。昨年12月に取り組んだ「小泉総理に一言」に寄せられた青年の切実な声を紹介します。春闘がんばりましょう。
 ◆就職してから給与は下がってばっかりで不安です。◆採用時に約束された金額がもらえていない!◆採用3年目、不安でいっぱいです。◆車のローンが払えない!遡及はおかしい!◆こんな給料じゃ嫁さんもらえない!◆給与が下がれば、結婚もしないし、子供も持てないぞ!◆採用時に提示された金額で雇用契約が結ばれているはず。遡及して調整するというのは詐欺というものでは?◆奨学金の返納があるので、とっても辛いです・・・。◆やる気なくします。◆このままだと仕事にやりがいが持てません。◆8年前の採用年度12月期末勤勉手当の手取額と変わっていません。ショック!◆採用5年未満です。最初の労働契約を守れ!!◆残業代も払えない上に、一時金までカットするな。◆一生懸命働いているのに、こんな仕打ちはひどいと思います。◆たのむ!やばいです。◆仕事は増えるのに賃金は下がるなんて、働く意欲がなくなる!◆貯蓄も出来ず将来が不安。不利益遡及は有り得ない!!◆私達から奪ったお金は、いったい何に使われているのでしょう。◆海外への支援よりも国民の生活にもっと目を向けて下さい。◆イラクに自衛隊を派遣する金があるなら中止して、一時金を減額するのも中止せよ!◆民間に勤める友人も「国家公務員も下がったのだから」と言われて減らされたと嘆いています。◆公務員が減→民間が減→公務員が減→民間が減→・・・・悪魔のサイクルはもういやです。◆こんなことをやるから景気が回復しないんだ!◆総理!景気をよくする気があるのですか?

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