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◆第1573号(2003年12月15・25日付)◆


国民が信頼できる年金制度に 厚生共闘 坂口厚生労働大臣と交渉
 12月8日、厚生共闘(全厚生と全医労の共闘会議)は、賃金職員の雇用継続と国民に信頼される年金制度の確立を求めて、坂口厚生労働大臣と交渉を行いました。

国立病院賃金職員の生活守れ
 保木井議長(全医労委員長)は賃金職員問題について、国立病院の独立行政法人化を円滑に進めるには、賃金職員問題の解決は大前提である。賃金職員は、病院運営に不可欠の存在であり、本来「定員職員」として雇用されるべき職員である。ところが11月10日、全医労への事前の説明もなく、賃金職員を打ちのめすような発表が突然行われた。看護職員に定員化の道を開いたことは評価するが、その他の職員に対する「仕打ち」はむごすぎる。委託かパートかと言われても選びようがない。委託では雇用保障がないし、パートでは生活保障がない。生活破壊の提案であると主張。
 大臣が国会で発言した賃金職員制度をなくすということに反対ではない。ただ、解決策は定員化しかないと思っている。それが無理なら「制度廃止に伴う経過措置」を設けて、ソフトランディングを図るよう求めました。
 続いて、杉下副議長(全厚生委員長)が年金問題について、次のように主張。今、年金に対する国民の関心は高まっていると同時に、制度への不信、不安も高まっている。制度への不信、不安の高まりは、度重なる制度改正で、給付水準が引き下げられてきたこと、将来の給付の保障がどうなるのかということに、大きな原因があることは否定できない。公的年金制度は、どんなことがあっても守り抜かなければならない。しかし、現状は制度の「空洞化」を招きかねない危機的で深刻な事態になっている。国の責任を明確にして、国民の信頼回復が図れる改革内容とすべきである。
 安心と信頼される公的年金制度を確立するために、基礎年金の国庫負担を直ちに2分の1に引き上げ、その財源は消費税の増税に求めるべきではない。また、積立金は計画的に有効に活用する必要がある。さらに、国民の期待に応え、仕事に誇りと希望が持てる職場を作るために、必要な要員確保を図るよう求めました。
 これに対して、坂口大臣は、賃金職員問題について、全員が残ってやっていくのが一番いいとは思うが、それぞれの病院が自立して経営上のことを考えてもらうことになった。看護師については、本人の意思がある以上、全員存続してもらうということは実現できると思う。看護師以外の職員については、多くの場合、パートになるか、新しい職場を選んでいただくことになる。そして、極力、継続して働いていける新しい職場を紹介し、職員の生活が安定するよう協力させてもらうのが、課せられた仕事ではないかと思っていると答えました。経過措置については、例えば、半年とか1年間行っても、その後、良い結果をもたらすとは思えないと否定しました。
 次に、年金問題について、本当はおっしゃるとおりだと思うが、保険料と給付額の両方満足するのは難しい。国庫負担2分の1については、税調にお願いしている。時間はかかるかもしれないが、間違いなく2分の1に引き上げる決意でやっている。また、積立金については、次の世代のために使わせていただきたい。さらに、定員を取り巻く環境は厳しいが、必要な定員の確保に努力しているところであると答えました。
 最後に、保木井議長が賃金職員について、「国立病院を放り出されては困る職員が多数いるし、国立病院運営にとっても放り出すことがいいとは思わない。なんとか経過措置を再考していただきたい」と述べて、交渉を終わりました。



リレーずいそう
● 北風と太陽
 先日たまたま島田紳助司会の「世界バリバリバリュー」という番組を妻と見た。「アラブ首長国連邦」をテーマに取り上げていた。アラブは何せ、石油の利益がすごくて、医療、教育、税金まで全部タダ。暮らしぶりは、庶民でも2、3人の召使いがいて、王族ときたら大学生のお坊ちゃま1人に10台ほどの外車が買い与えられ、坊ちゃんいわく「車を集めるのは好きだけど、ドライブは嫌い」「お金のことをあまり考えたことがない」とのこと。その坊ちゃまに自動小銃を持ったガードマンが4、5人常について回る。何やらちょっと物騒。裕福でもイスラムの社会は治安が悪いイメージだし、やっぱりこのくらいガードしないといけないのかなぁと思いきや、コメンテーターが一言、「日本より治安がいいんですよね、この国は」とのこと。
 そこで妻が一言「だから今、こんなに日本の治安が悪くなったんか〜、なるほど」となかなか的を射たコメント。
 私がニュースを見たがるといつもいやな顔をし、賃下げの給与明細を見ては、「アンタ何のために活動してんの?」とのたまう彼女から、久々のスマッシュヒットを聞いて少し感心した。と同時に凶悪犯罪をなくすためには、どっかの野党の政策のように警察官3万人の増員ではなく、人を大切にする政策、暮らしにゆとりを持てる世の中の実現が何より。あらためて「北風と太陽」の話を思い出さずにいられませんでした。
(京都支部書記長)


News
● 年金改悪への怒り寄せる ―国公労連が年金110番―
 国公労連年金闘争本部は、12月6日午前10時から午後6時まで、「年金なんでも電話相談」にとりくみ、首都圏を中心に全国から35件の相談が寄せられました。(写真上)全厚生の仲間13人が、複雑な年金制度への相談にも懇切丁寧に応対し、たいへん好評を得ました。また、「厚労省案には、非常に腹が立つ。年金改悪を止めるにはどうしたらよいか」(50代、主婦)、「保険料はいったいどうなるのか。保険料を払い続けて本当に将来、年金をもらえるのか、(30代、サラリーマン)など、厚生労働省の年金改悪案への怒りの声や将来不安の声も相談とともに寄せられるなど、来年通常国会で政府の狙う年金大改悪が、道理がない上に、国民の生活不安を一層増大させるものであることが明らかになりました。

● イラク派兵反対9条守れ ―7000人が12.10中央集会に参加―
 「イラクに自衛隊を送るな! 憲法9条を守れ」と12月10日、東京・日比谷野外音楽堂で「12・10中央集会」が開かれ、7千人が参加。全厚生はOBを始め、本省・業務センター・国リハ・感染研・神奈川県の各支部などから25名が行動に参加しました。イラクへの自衛隊派兵の閣議決定を強行した小泉内閣への怒りと、暴挙を食い止める決意が会場にみなぎりました。集会は、安保破棄中央実行委員会など3団体が主催したもので、会場は参加者で埋め尽くされ、外周の公園にまであふれました。(写真下)青年も数多く参加し会場を盛り上げました。参加者は集会後、ピースキャンドルやペンライト、手書きのプラカードなどを手に、銀座までデモ行進し、「イラク派兵やめよ」の声をとどろかせました。


秋年闘争重点要求で人事課長交渉

4月に遡って賃下げ実施するな

 全厚生は12月4日、大臣官房人事課長と秋季年末闘争での重点要求にもとづく交渉を実施。交渉には全厚生から杉下委員長、網・鈴木・藤巻各副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、木立・田口・宮田各中執が出席。人事課からは、宮島人事課長、東参事官、篠原人事調査官らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長が要求趣旨を説明したのに対し、宮島人事課長が一括回答。4月に遡って賃下げを実施するいかなる調整(手段)も講じないことを要求したのに対し、「給与問題は、働く人たちの志気や生活に直結する問題。今後とも機会を捉えて関係機関に要望していきたい」と回答。公務員制度改革では、「『公務員制度改革大綱』を撤回・修正し、ILO勧告にそった公務員制度改革を行うこと。労使協議を尽くし、『民主・公正・効率』の民主的な公務員制度を確立すること」を要求。これに対し、「行革推進事務局に十分な協議が行われるよう働きかけていきたい。全厚生には節目節目で、知り得た必要な情報を提供していきたい」と回答しました。
 政府管掌健康保険の課題では、「国の責任で国の事業として全国一体で実施すること。国の責任放棄・縮小につながる『都道府県単位の運営』は行わないこと」を要求。これに対し、「財政運営を基本的に都道府県単位とする方針で内容的には区分経理すると理解している。改革内容の検討経過は、情報提供を行うなど適切に対応したい」と回答。男女共同参画社会の実現の課題では、「女性職員の採用と登用の拡大、昇任・昇格の男女格差の是正を要求。これに対し、「女性の採用・登用は時代の流れ。これまで以上に積極的に取り組んでいく」と回答しました。
 定員削減反対、増員要求に対しては、「適正な定員を配置するよう最大限の努力をする。環境は厳しいが必要な増員の確保に努力する」と回答。本省庁職場の恒常的な残業改善やメンタルヘルス対策等、健康と安全確保の要求では、「厚生労働省超過勤務縮減対策要綱を策定し、管理職員が十分認識し早期退庁を促進するよう取り組んでいる。メンタルヘルスの課題は大変深刻な事態だと思っている。管理者及び一般職員向けの講習会の開催、電話相談などを実施している。組織の在り方を効率的に見直し、より良い職場環境ができるよう努めたい」と回答しました。
 医薬基盤研究所(仮称)の課題では「関連法案を次期通常国会に提出する予定」と説明。「基盤研に異動する職員にとっては、勤務条件等の扱いは最も基本的かつ重要な問題。関係職員には必要な情報を提供し、要望は誠意を持って対応するように指導したい」と回答。国衛研大阪支所職員の支所廃止後の雇用確保の要求では、「今後も本人の意向について十分配慮しながら円滑な移行ができるように厚生科学課、関係試験研究機関に要請したい」と回答。再任用制度では、希望者全員の雇用のための最大限の努力を求めたのに対し、「今後とも適正、公正な運用がなされるよう各機関に要請したい」と回答しました。
 この後、各課題で更に追及。杉下委員長は、公務員制度改革では公務の世界に競争原理を持ち込むことは許されないと指摘。政府管掌健康保険の課題では、これまで通り国の責任を明確にすべきことを強調。木立中央執行委員は女性職員の採用・登用の拡大で数値目標の設定にむけての努力を要望。鈴木副委員長は、福祉施設の定員は入所者の生活状況や訓練状況と密接な関係にあることを強調し、定員確保を強く要求。藤巻副委員長は、本省庁の実効ある残業改善を要望。メンタルヘルスの課題では、管理者の意識の問題を指摘しました。杉浦書記長は、基盤研の課題で異動する職員の労働条件の後退を招かないよう全厚生との協議を要求。大阪支所職員の雇用保障では、本人の意向を尊重し最後まで丁寧な対応を要望しました。


主 張

国民に信頼される年金の広報を

 マスコミによる、連日の年金の危機感をあおる報道がされています。また、公的年金に対する国民の不信、不安も高まっています。
 こうした中、公的年金制度の周知や、適切な理解を求めていく広報の役割が重要になっていますが、この広報に対して厳しい批判が突きつけられています。
 社会保険庁作成のポスター(江角マキコをモデルにした「納めないと、もらえない。国民年金」)に対しては、「内容が曖昧で国民を恫喝している」と批判があがっています。 また、岐阜社会保険事務局作成の、未納者を妖怪に見立てた「年金妖怪大辞典」(雑誌広告)に対しては、「人権侵害だ、これではかえって徴収しづらくなる」と職員から批判があがり、障害者団体、民主団体からも抗議の申し入れがありました。マスコミでも取り上げられ、一地域の問題にとどまらず、全国に波及しています。岐阜地方法務局は「人権擁護の観点から不適切な広告」と指摘しました。
 広報においてこうした問題がなぜ生じたのでしょうか。最大の原因は、政府の社会保障切り捨て政策による、国民年金の保険料納付率の低下があります。さらに、手段方法も選ばず、納付率を上げることに躍起となっている社会保険庁の姿勢があります。
 国民を恫喝し、未納者を悪者のように扱う公報は、社会保険庁の言う「国民年金制度の重要性と納付促進及び周知をする」という目的からもかけ離れたものです。また、国民の批判をまねく広報は、集合徴収や戸別訪問にがんばっている職員の足を引っ張る結果をまねくこととなります。
 年金広報において重要なことは、年金制度は国民の生存権、基本的人権の裏打ちであるということを、基本に据えて行われなければならないということです。そして、制度改善を行うとともに、国民の信頼確保を図るために力が尽くされるべきだということです。
 全厚生は、民主的な職場、業務を推進していくうえで、人権意識の向上・確立は極めて重要だと考えます。そのために力をつくす決意です。


大阪/第6回定期大会で確認

年金闘争で役割発揮を

 大阪支部は、12月6日、第6回定期大会を開催。「みんなで討論、みんなで決定、みんなで行動」の大阪支部、全組合員参加の定期大会です。
 大会では、「年金講師団活動や署名に宣伝にと大いに打ってでよう」「年金制度のあり方について当該労働者として制度・政策面で役割の発揮を」「行政研究集会を成功させよう」など決意が語られました。また、業務の「効率化」や総報酬制など制度変更のもとでの大変な職場実態や業務量と定員のアンバランスの実態も出され、組織機構と定員の抜本的見直しに向けた取り組みの重要性についても討論。20人が発言し、男女間・組合間差別を許さず職場の民主化に向けた取り組みや、憲法と平和の問題、組織強化と組織拡大の問題と幅広い討論が行われました。
 大会では、組合員一人一人が支部運動の主体的な構成員として奮闘する決意を固めあいました。 新役員は次のとおり。
支部長勝井 正
副支部長緒方典子阿南正直
書記長津川清司
書記次長伊藤悦子



業務セ/03年度支部定期大会開く

残業の改善へ全力

 業務センター支部は11月28日、03年度支部定期大会を開催し、運動方針及び予算案を全会一致で採択しました。本部からは宮田中執が出席。
 佐藤書記長は、新年度において当局交渉の強化、組合加入促進、年金講師団養成に向けた教育宣伝の取組みなど10項目にわたる方針を提案。
 業務センターでは、毎日のように深夜までの残業、さらに休日までも仕事をしている職員は少なくありません。そして、それに輪をかけるように年金の過誤払い対応、基金代行返上などの「特別処理」が行われています。
 討論の中では、職場の代議員から残業の改善や欠員対策、人事異動、業務委託のあり方、健康破壊など労働条件に関する発言が相次ぎました。また、少子化対策への取組みの提言がありました。
 新役員は次のとおり。
支部長峰 一史
副支部長木立圭子荒谷和正塚越徳雄
書記長佐藤憲一
書記次長北畠弥生蕗谷有毅 



近ブロ/全厚生近畿ブロック総会開く

宣伝や交渉で奮闘

 11月29日、京都・本能寺会館において全厚生近畿ブロック協議会(滋賀県・大阪・京都・神戸の4支部と国衛研支部大阪分会で構成)の総会が開かれました。
 総会の中で総括・方針案の提案に立った川口事務局長(京都支部)は「近ブロとして人勧学習会を開催したり、医療改悪凍結を求める宣伝行動を行った。また、人事院近畿事務局との昇格交渉では神戸支部の定数配布状況の一部が明らかになるなど一定の成果があった。医薬研究開発機構(仮称)の設立により国立医薬品食品衛生研究所大阪支所が閉所される問題については激励だけだったかもしれないが近畿の仲間として奮闘した。来年度も今年度同様の運動を展開したい」と提案しました。
 各支部の発言では「組合員は減ったが全員が再就職できるようがんばりたい」(大阪分会)「安心できる年金制度の確立を」(京都支部)など各支部の思いや状況が語られ、総会は無事終了しました。
(京都支部)


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