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◆第1567号(2003年10月15日付)◆


全厚生年金講師団養成講座を開催

みんなで年金大改悪を阻止しよう

 全厚生は10月4・5日、東京都内で、年金講師団養成講座を開催。15支部60人が参加し、史上最悪の04年年金大改悪を阻止し、安心して暮らせる年金制度の改善へ、年金講師団活動の先頭にたつ決意を固めあいました。

 養成講座の冒頭、杉下委員長が、「年金講師は今まで個人の力量に負うところが多かったが、組織として実践するために養成講座を開催した。経験や意見を大いに出していただきたい」とあいさつ。 第一講義は「史上最悪の年金『改革』のねらいと対決点」と題して年金実務センター代表の公文昭夫さんが、第2講義は「『みんなが安心』の公的年金をめざして」と全労連の提案する最低保障年金制度について全労連常任幹事の石川芳子さんが報告。質疑討論のあと、飯塚副委員長が、年金講師団活動を職場・地域からどう展開するかを提起し、討論を行いました。
 2日目は、この間年金講師団として活動してきた、大阪支部の竹本さん、岐阜県支部の澤村さん、業務センター支部の峰さんが、年金学習会での話すポイントや工夫していることなどを発言。参加者からも多くの講師団活動の経験報告がありました。年金講師団活動のポイントは、(1)年金制度のしくみ(2)年金制度の矛盾(3)情勢と財界の狙い(4)04年年金改悪の内容と狙い(5)展望と力を合わせて変えていこうという呼びかけ(6)労働組合でたたかうことを重視(7)職場での経験を実態として紹介する、などを話していくことが共通した内容として紹介されました。
 養成講座では、次のことを確認し、参加者が講師団活動の先頭に立つことを意思統一しました。
 (1)行政研究集会を成功させるとともに、事務局会議をプロジェクト的に位置づけ、全厚生としての政策提言をまとめていく(2)国公労連のビラ等の作成に全厚生として積極的に関わる(3)各支部は、県労連、ブロック・県国公に結集し、支部でビラの作成や宣伝行動をする場合は、本部として財政援助していく(4)全厚生としての基本的な統一レジメを作成する(5)年金講師団活動を積極的におこない、世論を盛り上げ年金改悪を阻止しよう。

第1講義 史上最悪の年金「改革」を阻止しよう 公文昭夫さん
 公文さんは、04年の年金「改革」について、(1)保険料を10年かけて20%に引き上げ固定方式とし、あわせて年金額を大幅に引き下げる(2)「マクロ経済スライド」を導入し年金額を自動的に引き下げる(3)不安定雇用労働者をさらに増大させるパート・フリーター400万人厚生年金適用拡大策などの改悪内容を紹介。これは部分的見直しにとどまらない、21世紀の年金制度の基本構造を規定する史上最悪の改悪。政府のねらいは、アメリカの戦争協力費捻出と大企業の利益を守るためであり、憲法25条にもとづく国の責任を放棄するものに他ならないと、厳しく批判しました。基礎年金への国庫負担を現行の1/3からただちに1/2に引き上げることや巨額の年金積立金を計画的に活用するなどの改善こそ求められているし、税金の使い道を変えさせることがなにより大事と述べました。

第2講義 みんなが安心の公的年金改革めざして 石川芳子さん
 石川さんは、全労連が提案している「最低保障年金制度」について、討論経過も含め詳細に報告。その内容は、(1)公的年金制度の加入の有無及び保険料納付済期間の長短に係わらず、「全額国庫負担」によりすべての日本在住者に支給する(2)給付額は、全国一律水準で、高齢単身世帯の生活扶助基準に相当する額を基準に月額7万円を原則として60歳から支給する(3)必要な財源は、全額国庫負担(一般租税及び事業主拠出金)による(4)最低保障年金制度(一階)の上に、社会保険方式による年金制度を上乗せした2階建ての年金制度として構築するというもの。全労連は、「最低保障年金制度の確立」を「21世紀初頭の目標と展望」の実践プログラムと位置づけ、04年国民春闘の重点課題として、また悪政阻止の絶好の機会である総選挙において年金署名1人10筆の総対話行動を提起していると紹介しました。


リレーずいそう
● 私にとっての死活?問題
 この4月から初めての単身赴任の生活が始まった。早速、いろいろと家電製品を買い揃えることとなった。全盲の私にとっては、「安いこと」もさることながら、もう一つ「手で触れて操作しやすいこと」は必須の条件である。電気店に足を運んで、「機能がシンプルで操作が簡単なもの」「ボタンに凹凸があって指で触れてわかりやすいもの」を選んだ。おかげで、どれも便利に利用できているのだが、一つ困ったのが炊飯器である。どうもご飯の炊きあがりがおかしいのである。確認してみたら、「モード切替」というボタンがあった。押す度に、ご飯・ケーキ(どうしてこんなモードが必要なのか分からないが)・お粥・ご飯‥‥」という具合にモードが切り替わるのである。どうも気付かないうちにこのボタンに触れていたらしい。押す度に「ピッ」と音がしてモードが替わったことはわかるのだが、今どのモードなのかは表示を見ないと分からない。初期モードに戻った時点で、「ピッピッ」と違う音でわかるものもあるらしいが、私の炊飯器にはこのような機能はついていない。数年前からシャンプーのボトルにギザギザ模様が付いた。ラベルを見なくてもリンスとまちがえることはない。「バリアフリー製品の開発」などと大袈裟に構えなくても、メーカーのちょっとした工夫で使い易くなった製品は沢山ある。さあて、この炊飯器のバリア、いかにして克服するか、これが目下の私の「死活?問題」である。
(塩原支部)


News
● 年金大改悪を阻止しよう ―10・5中央大集会に1万8千人―
 10月5日「10・5中央大集会」が亀戸中央公園で開催され1万8千人以上の人が集まりました。全厚生は、年金講師団養成講座から引き続き参加する人も含めて35人が参加。「年金大改悪反対、大増税ノー」と元気よくデモ行進しました。

● テロ特措法延長を強行 ―イラクへの自衛隊派遣許すな―
 10月10日小泉内閣と自公保の各党は、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法の延長案を衆参あわせわずか6日間の審議で強行成立させました。テロ特措法でインド洋に派遣された自衛隊がイラク戦争に向かう米軍に燃料を供給するなど、米国の軍事力による世界支配の野望に日本が協力することは許されません。また、政府は米国の強い要請のもと、治安が改善されていないイラクへの自衛隊派遣を年内に実現する方針を固めました。さらにイラク復興資金として米国から9000億円の負担を迫られ、「人とカネの貢献」のあり方が総選挙の大きな争点となっています。

● 昇任・昇格の差別是正を ―女性・青年が人事院要求行動―
 国公労連女性協は10月10日、人事院と昇格課題で交渉し、昼休み人事院前要求行動を青年協とともに実施しました。交渉には全厚生から、北島女性部長が出席し、異動を伴う昇格について家族的責任を有する職員に対して不利益が生じないよう改善を求めました。行動には統計支部はじめ10人が参加し、積極的差別是正措置や両立支援の勤務環境整備を要求。青年協はこの後、03人勧の青年への不当性について学習会を行い、青年労働者の賃上げを求める運動の意思統一を行いました。


年金講師団養成講座で経験交流と討論

だれでもできる活動を

 年金講師団養成講座では、のべ27人が発言しました。

職場を守るためにも年金制度改悪阻止を

 国民本位の公的年金制度の実現を目指す立場からは、「最低保障年金制度について、財源や今の制度との整合性、過渡期の制度のあり方、2階建て部分についてなど具体的に内容を深めていく事が課題。少子化対策や雇用対策と合わせて考える」、「マスコミへの宣伝が重要」、「最低保障年金を主張すれば、国民年金の徴収の仕事はどうなるのか。職場で最低保障年金は理解されにくいのではないか」という意見や「税方式で職場があぶないのではなく、このまま年金制度が改悪されることのほうが職場があぶなくなる。10年後、保険料が20%になったら、どうなるか。国民から見放されるのではないか。国民からそっぽを向かれた職場はなくなっていく。その方がこわい。最低保障年金のほうがよりよい方向に行く」という意見も。全体としては、年金「改革」をめぐる情勢と合わせて、最低保障年金制度を大いに議論し、学んでいくことの必要性を確認しました。

学習会参加者はみんな年金講師になって

 全厚生の方針に関わっては、「年金より高い生活保護費が切り込まれる。社会保障全体で考えていかなければならない。全生連や障害者団体とも取り結んで運動をしていく必要がある」、「最低保障年金についての全厚生としての見解を早急に確立すべき。全厚生の独自ビラを作成し、もっともっとひろげ、学習会に出かけていこう」、「学習会に参加した人はみんな年金講師となって語っていかないと、世論を変えていけない」、「当局がお金をかけているのに、私たちのほうが遅れている」、「当局の広報は、おどしともとれる内容。国民に制度への不信があるのに、逆効果。職員を激励し、国民に安心を与える広報をすべき」などの意見が出されました。

若い人たちにも積極的に話していきたい

 年金講師団活動についても縦横に討議しました。「資料集を作成してほしい。財源問題では、法人税も追及していく必要がある。各国の比較なども欲しい」、「闘争ニュースの発行や講師団活動報告書、組合員向けホームページへの掲載など、活動を返していってほしい」、「講師活動を積極的に受け止めたい」、「若い人に年金をどう考えてもらうか、青年層を取り込む方法を全厚生として考えたい」、「講師を実践していきたい。講師活動の現場を見に行くことも経験。最低保障年金の2階建て部分は職場から見ても、国民から見ても必要。積立金の繰り入れをなくせば保険料率を変えなくてもいいのではないか」、「本部として、より多くの人が活動に参加できる材料づくりに力を入れて欲しい」、「構造改革と年金を語る必要感じた。行政サービスの受け手は、主権者。我々にもとめられるサービスは、窓口の笑顔のような“形”ではなく、『国民が権利行使する手助け』である。民主的公務員労働者論とともに、年金講師団のスタンスを見つめ直したい」、「年金は生きものである。学習会に青年を連れていって、講師に育てよう」など、積極的に「講師活動」を展開していこうとの意見がだされました。


年金の将来を語ってがんばりたい
年金講師団養成講座参加者の感想と決意
どんどんやる気が出た 愛媛県支部組合員
 統一したレジュメが用意されてあって、ハイ、あなたも明日からこれを基に講師活動をと期待していましたが、甘かったです。でも、講師の方々の年金改悪のねらいや各地域で活躍されている支部のみなさんの話を聞くうち、どんどんとやる気が出てきました。昔と違って、制度そのものを語るだけではなく、年金の将来を語るそこのリンクと工夫が大事で、まさに全厚生の組合員でないとできない分野・活動がここにあるんだと再認識させられました。

国民とともに運動したい 京都支部組合員
 「年金将来大丈夫ですか?」と問いかけてきた人たちが、人任せにせず、自ら「大丈夫にする」運動に参加してもらう、そういった意識を喚起していく。国民の中に入っていき、国民を運動にとり込んでいくことが大切であり、それができないと本当に制度が破壊されてしまうかもしれない。壊そうとしている者と守ろうとする者の対決点を明らかにする。以上のことをおり混ぜて、あとは勇気と根性、そして、人に伝えられるしゃべりが出来るようになるには、経験を積む(数をこなす)ことなんでしょうね。決意としては、気負いすぎず、人前で話をできるという貴重な経験を独り占めしないよう、多くの講師団を組織していけるようがんばるとともに、職場でもやりがいある制度の議論を深めながら、国民の権利を守るための行政が実施できる職場目指してがんばります。

地域でがんばる 岐阜県支部組合員
 「全厚生の出番」であり「本番」という情勢を迎えている。今回の講座参加者の多さに年金改悪阻止の取り組みに対するみんなの意気込みと期待を感じました。レジュメづくり、講師としてのヒントになることが盛りだくさんの講座を、自分も地域などに出て社保職場の状況を交えながら講師をしようと思う。

国民の立場に立って 滋賀県支部組合員
 改革があるごとに「改悪」されている年金制度を、今一度改めて国民の立場に立った質の高い制度「改正」を訴える必要性を感じました。

国民本位の社会保障を 大分県支部組合員
 国民本位の社会保障を守るため、年金講師団として地域に出て、頑張っている活動報告を聞き、今後の運動の参考となりました。

実践に役立てたい 函館支部組合員
 「年金制度」ひいてはわが国の社会保障の問題点について深く考えさせる機会を与えられたことに、とても感謝しております。とりわけ、第2日目には、各支部の実践の話が聞けて興味深い内容でした。今回参加して得た知識を、今後支部における実践に役立てていきたいと思うとともに、ますます議論を深めていきたい。

支部で講師養成学習会を 静岡県支部組合員
 今回、「最低保障年金制度の創設」の説明を初めて勉強した。年金実務をしている社会保険職場の組合員としては、まだ、これからつめていかなければならない項目が多いと感じた。今回の講座を活用し、支部に帰って、「年金講師養成」の勉強会を行い、できる範囲での講師派遣にこたえていきたい。

これ以上改悪は許さない 秋田県支部組合員
 最低保障年金(税方式)について一般の組合員に説明すれば、「じゃあ、職場はどうなるの」となるだろう。難しい・・・。しかし、これ以上の制度改悪は、ますます職場の危機が進んでいく。それだけは確かだ。

年金講師団としてがんばる 香川県支部組合員
 現在の年金制度の矛盾点や問題点、2004年改悪や最低保障年金制度の内容など大変中味の濃い2日間でした。年金講師団としてがんばっていけたらなーと思っています。

運動を広げたい 業務センター支部組合員
 年金の話だけでなく、雇用や社会保障全体について語っていかないといけない、やはり、まず、学習しないといけないなと感じました。いろいろな所へ出ていって、話をしないと、運動として広がらないので、わかりやすい話をしていくことが大切ではと思います。いい年金制度の確立が国民や職場にとって安心して生活や働いていけることへつながっているのがこの講座を聞いて、感じられましたので、それを話の中に入れていきたいなと思います。私たちが講師団活動をしていっても運動には限界があると思うんです。話を聞いた人が周りに話していけるような話をしていってこそ、運動が広がるのでは。そんな話ができるようがんばりたいです。



業務セ/組合の運動の成果

女性の8級昇格実現

〔業務センター支部発〕
 10月1日付で、支部が要求してきた「業務センターで働き続けてきた女性職員の8級昇格」が実現しました。現在、課長補佐である女性職員3名が、15年4月に遡って昇格するものです。
 この間、「センターで働き続けてきた女性職員を8級に昇格させろ」との要求を、支部をはじめ該当者が先頭に立って当局に求めてきた結果、ようやくその一部が実現したものです。
 今回、センターで働き続けてきた女性職員が8級に昇格したことは、支部としても運動の成果として一定の評価をするものです。しかし、支部が切に要求してきた「退職前の女性職員の昇格」について昇格検討の対象にすらせず門前払いとし、課長補佐のみを昇格させたことは、長年にわたり処遇面で差別してきた多くの女性職員を選別し、分断させる極めて卑劣な人事管理であり、強く抗議するものです。
 センターで長年働き続けてきた女性職員は、若い頃、簡易で定型的な業務しか行わないポストに留めおかれ、研修や出張からもはずされるなど処遇面での差別扱いを受けてきた世代です。
 そして、当局の人事政策により多くの女性職員がこの職場を去らざるをえなかった中で、差別扱いにもめげずに組合に結集して頑張り抜き、専門的知識と能力を備えてきた人達です。
 同期や後輩の男性職員はとっくの昔に8級に昇格させているのに、過去において処遇面で男性と差別しておきながら「適正」や「能力」をもち出し昇格させてきませんでした。
 業務センターの職場では、長年にわたって処遇面で女性職員を差別してきたことは当局も認めるところであり、差別をうけた女性職員を全員8級に昇格させないというのであれば、退職金・年金など賃金おける男女格差は将来にわたって続き、生涯男女差別を受けることになります。
 支部は「差別をうけた女性職員を全員8級に昇格」させることを要求するものであり、直ちに退職前の女性職員全員の8級昇格を実現するよう強く求めるものです。

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