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◆第1563号(2003年8月25日付)◆


全厚生第67回定期大会議案のポイントはココ!

頼りになる組合活動をつくろう

 9月12日から3日間、静岡県伊東市で全厚生第67回定期大会を開催します。今回の大会の焦点や情勢の見方、全厚生のめざす運動方向など、議案のポイントを杉浦書記長に聞きました。

■今回の定期大会を迎えるにあたっての思いを聞かせて下さい。
 21世紀初頭の今、まさに時代の転換点にあると思います。この国のあり方にかかわる平和や民主主義をめぐる情勢と暮らし・働き方の課題が常に直結していることを感じています。
 8月8日に史上最悪の人事院勧告が出されました。国及び地方の公務員のみならず、民間労働者の賃金抑制を一層進める攻撃です。公務員制度改革は、通常国会の法案提出は見送りになりましたが、引き続き、正念場を迎えています。行政や公務員のあり方が、政府や財界のめざす方向か、国民の願いに応える方向かが、鋭く問われています。こうした行政をめぐる厳しい環境のもとで、労働組合は、組合員とその家族、さらに、国民の期待に応えるための運動をいかに進めていくか、率直に議論したいと思います。1年間を振り返り、今後の基本方向を確立していく、運動の幹となる骨太の討論を展開したいと思います。新たな決意で実践する出発点にしていきましょう。

■労働組合は、これからどんな役割を担っていけばよいのでしょうか。
 議案書の情勢論の中で、労働組合の役割についてふれ、「新しい時代の労働組合の役割」を提起しました。これは、時代を見据えた骨太のテーマです。小泉「構造改革」は、競争原理をたたえ、経済効率のみを唯一の物差しにしています。私たちも知らず知らずのうちに、この大波にのみこまれているのではないでしょうか。私たちは、この方向には同意できないことをはっきりと言う時期だと思います。人間を大切にし、人間を高めあう立場に立つのが労働組合だからです。この立場を貫くことは、要求の立て方やたたかい方にとっても重要なポイントになると思います。
 また、競争原理を包囲する私たちの「共同原理」を少し長いスパンで探求したいと思います。 

■私たちの運動目標はどんな方向におきますか。
 労働組合は、要求実現をめざす組織です。しかし、要求は一進一退、しばしば後退を余儀なくされています。この状況を少しずつ変えていく、みんなで希望のもてる運動方向を見据えたいと思います。
 提起している運動方向は、(1)職場を基礎に、仲間たちの要求実現をめざす、(2)県国公に結集し、国公産別運動で要求実現をめざす、(3)この国のあり方を問い、根本的な解決をはかりながら要求実現をめざす、この3つです。どれもがこの間、常に重視してきた方向です。運動目標は、地下の水脈のように大切にしたいものです。確信を持って、深く掘り下げていきたいと思います。

■この1年間何を重視して取り組みますか。
 重視する取り組みは、行政研究活動です。この活動を本格的に強化します。これまでも言ってきましたが、少し長い視野に立って、全厚生の基本的な活動に位置づけて推進します。企画立案部門である本省庁、厚生科学研究の担い手である試験研究機関、国立しての役割を担う社会福祉施設、年金・医療の社会保険行政の担い手である社会保険の4つの行政部門のそれぞれの性格や位置づけを踏まえ、進めたいと思います。
 また、職場の仲間にとって頼りになる労働組合をつくることに全力を尽くします。どのように元気な労働組合をつくるかが、問題です。組合活動の原則にたちかえり、5つの観点、(1)職場での日常活動を粘り強く、(2)学習・教育活動の重視、機関紙活動の前進、(3)憲法の精神を生かし、行政研究活動を本格的に強化する、(4)青年、女性、階層別のたたかいで幅を広げる、(5)組織拡大・強化、非常勤職員の仲間とたたう、を重視して取り組んでいきます。

■04年の年金改悪に対して、全厚生はどのような構えでたたかいますか。
 年金闘争は、秋から来春闘の国民的な中心課題です。
 1985年の改定で基礎年金を導入して以降、今回は今後の制度のあり方を決める大改悪がねらわれています。
 全厚生は、年金制度や社会保障行政の専門家として、年金闘争を前進させるために、「全厚生の出番であり、本番」と受けとめて意思統一を図ります。特に、社会保険の仲間は、年金闘争での講師活動の担い手として期待されています。
 この期待に応え、講師団の質と量のアップをめざします。年金闘争を通じて、「権利としての社会保障」に強い全厚生となるためにお互いに努力していく決意です。


官房人事課長、社会保険庁に申し入れ

賃下げの悪循環を許すな

 過去最大の年収マイナスという史上最悪の「人事院勧告」を受け全厚生は、8月20日に大臣官房金子人事課長に対し、14日には社会保険庁薄井総務課長に対し、勧告に基づく給与法「改正」を行わないために、使用者責任を果たすよう要求しました。全厚生からは杉下委員長はじめ本部専従役員が出席しました。  
 杉下委員長は、「勧告は2年連続の本俸引き下げ、連続の一時金引き下げなど、過去最大の年収マイナスを国公労働者に強いる内容であり、しかも昨年同様に4月に遡って賃下げを行うという不利益遡及の脱法行為も繰り返している・労働基本権制約のもとで、『代償措置』の名による生活悪化の押しつけは断じて許すことができない」と、当局の誠意ある対応と必要な働きかけを強く要求しました。


リレーずいそう
● 暑い夏をもう1度
 はるか昔、とても暑い夏があったように記憶している。県国公の仲間と日帰り上京団。国会請願やデモ。とても暑かった日々。
 さて、今年の夏は例年になく冷夏で、景気も冷え、法律を破ってまで公務員に泣いてもらうと「とんでもない人勧」を2年も続けて出してしまう状況。それでも今は、力を蓄えるときと、怒りを超えて足元を見つめる日々ではあります。
 明石国公も15年継続して、最近考えることは、国公の仲間のことです。2年前全医労が抜け、新たに神戸大学附属養護学校が加盟しました。事務局長として訪問した時、予算面で疑問を持たれている実態を実感しました。見学させて頂きながら、「ソーラーをつけるくらいなら廊下をなおしてほしい」と言う意見を聞いて、なるほどと思いました。実際、板はあちこち壊れているし、トイレなどは車椅子で入れない狭さでした。国の基準は劣悪です。改善策としては、交渉もさることながら、家族の方や地域と連携して運動を広げていくことの大切さをお話し、神戸支部で以前「福祉の街づくり」運動をした時の資料を後日送付しました。
 最近では、「有事法制反対ネットワーク明石」で一緒に活動することが多いのですが、「要求の一致で活動」することは、来るべき暑い夏に備え、足腰を鍛えることのできる、唯一の道ではと・・・
(神戸支部 副支部長)


今こそ核兵器も戦争もない世界を

原水爆禁止2003世界大会・長崎に全厚生から18人参加

 8月7日〜9日、原水爆禁止2003年世界大会・長崎が開催されました。大会テーマは「今こそ核兵器も戦争もない平和な世界を!」。60人を超す海外代表も含め7300人が参加、約6割が青年という元気な大会となりました。全厚生は、神奈川・京都・愛知・滋賀・大阪・ハ病研の各支部と本部から18人が参加しました。
 今大会は「平和運動がかつてなく広がり、一方で核戦争の危機がかつてなく高まっている」(世界平和評議会ロメシュ・チャンドラさん)情勢の中で開催されました。2月15日の世界600都市・1000万人を超すNO WARの行動など、この1年で平和の波は地球規模に広がりました。一方で米英は3月にイラク攻撃を強行。米国は核使用の可能性を明言し「使える小型核兵器」の開発さえ進めています。しかも、米国はすでに世界を「核のゴミ」で汚染し始めています。
 放射性廃棄物を利用した劣化ウラン弾は、91年の湾岸戦争で初めて実践に使われました。イラク人医師アル・アリさんによると、バスラ市内の病院で死亡した癌患者は88年は34人、それが01年には603人に激増しました。重症の奇形児が生まれる確率は3%にも。イラクを取材してきたフォトジャーナリストの森住卓さんは、病院にいた2時間で無脳症などの障害を持った新生児を4人も見ました。どの子もすぐに死亡しました。
 森住さんは米国の大罪を告発します。バグダッド市内に核開発施設があります。米軍はバグダッド占領後、この施設の塀に穴をあけて放置しました。住民は放射性物質が詰まったドラム缶を持ち出し、中身を捨て漬物や貯水に使いました。「今とてつもない汚染が始まっている。米国はイラク国民だけでなく人類に対して取り返しのつかない罪を犯した」

米国追従の政府を国民は支持しない

 世界中の反戦・非核の取組など海外代表の発言からも、米国の単独行動主義はより孤立を深めていると確信しました。
 その米国のイラク戦争を、日本政府は支持しました。6月に有事法制、7月にはイラク特措法を成立させ戦争への道を進みます。
 8月6日広島の平和記念式典で小泉首相は「非核三原則を堅持し核廃絶に全力で取組む」と挨拶しました。しかし「核のゴミ」をまき散らす米国に追従することと、核廃絶に全力を尽くすこととは、絶対に両立し得ません。
 米国フレンズ奉仕委員会のトニー・グエンさんは「米国民の反戦の闘いはイラク戦争が始まってからもずっと続いている」と述べました。インド核軍縮平和連合のイリーナ・センさんは「インドは今や核を持ちパキスタンと対立している。だが国民がそれを支持しているわけではない」と。
 では私たち日本国民は、政府が進む道を支持しているのでしょうか?
 開会総会では日本各地の取組が次々と報告されました。大阪で「戦争あかん」人文字に2500人、東京で原爆症認定訴訟を支える会「ピースバード」結成。これらの行動は、日本国民は核も戦争も望んでいないとの証明ではないでしょうか。
(本部)



原水爆禁止世界大会参加者の感想から

私たちの心を1つにして核兵器のない世界を実現しよう。

自分にできることから行動  神奈川県支部 組合員
 特に印象的だったのは、ピースジャムというイベント。学生や中高生が多いにもかかわらず、自分の考えを持ち、署名運動など様々な活動を積極的に行っていることを知り、胸を打たれました。参加者の意見のなかで、「平和は願うだけでは実現しない」と述べた人がいましたが、本当にそのとおりだと思います。私自身、自分にできる小さなことから行動を起こしたいと思います。

核実験に人間の愚かさ知る  京都支部 組合員
 世界大会に参加して、いちばん良かったことは、長崎・広島以外の被爆者の方々のお話を聞けたことです。世界各国で行われた核実験の話に、いまさらながら核の恐怖と過ち繰り返しつづける人間の愚かさを知りました。世界中の地上や、美しい太平洋に、これ以上核の光があたらないように、平和を願う一人として、できる努力をしていきたいです。

核兵器の恐ろしさ伝えたい  京都支部 組合員
 いま、新たに核開発する国や核を保有する国は、本当にその悲惨さを理解しているのでしょうか。二度と、核兵器の犠牲になる人がないよう、あのヒロシマ・ナガサキを繰り返さないよう、核兵器のない平和な世界を望みます。核兵器のない平和な世界をすべての人々が願い、その願いがひとつの大きな波となり、世界を平和へと導けるよう、我々は、正確に原爆・核兵器の恐ろしさを伝えていかなければならないと思いました。

若者たちの平和求める姿に感動  神奈川県支部 組合員
 日頃、平和についてなど考えることのない私にとっては、とても貴重で、深く考えさせられる、よい経験となりました。特に印象に残ったのはピース・ジャム。終戦から58年目を迎え、自分の親ですら戦争を知らない若者たちが、反戦・反核運動、平和運動に取り組んでいることを会場いっぱいにアピールしている姿には、とても驚き、鳥肌すら起ちました。今まで何の活動にも参加したことのない私にとっては、その場に居たというだけで、すごく意義のあったことだと思っています。

言葉を失うほど悲しい事実  京都支部 組合員
 今回参加したいと思ったのは、戦争がいったいどのようなものであったかを知識としてでなく、実感として知りたいという理由からでした。そして、実際の感想は、言葉を失うほど悲しいものでした。ただ、その悲しみの中でも、誰もが前向きに生きてきたことや、「憎しみ」ではなく、心から世界平和を望んでいることなどを知り、私自身も世界の惨劇から目を背けることなく力強く生きなければと励まされました。

己を微力と思わず花を咲かそう  京都支部 組合員
 原水爆禁止世界大会に参加して、より戦争の持つ悲惨さを実感できました。過去に舞い戻ることを絶対に避けたいと願う人々が集う大会。開会式には約7千人が会場にあふれるほど入り、クーラーでは押さえきれない熱気。魅力ある人々は己を微力だと思わず、一生懸命やりたいことをやっていました。数多くの花を見ることのできたこの大会により、少しくらいの種は分けてもらえたかなと思います。

力ではなく話し合いで平和を  神奈川県支部 組合員
 長崎で感じたことは、今、私たちはこれからの世界の方向を決める岐路に立っているのだということ。これからの様々な問題解決の方法をどうするのか、話し合いで1人1人が世界の平和のために不断の努力をしていくのか、それとも強者の都合のみで何もかもが決められてしまう、いつも強者の顔色を見ながら怯えていくのか、の選択です。

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