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◆第1549号(2003年3月25日付)◆

社会保険庁と03春闘要求で交渉

国民に信頼される社会保険制度に

 全厚生は3月18日、社会保険庁と交渉しました。交渉には杉下委員長以下、本部役員と各県支部代表が出席し、社会保険庁は伍藤次長、薄井総務課長らが対応しました。 冒頭、杉下委員長は「政管健保の問題」については、これまで通り国の責任で国の事業として、全国一体で実施すべきと要求。公務員制度改革については、労働組合との十分な交渉、協議が行われることが前提であり、「評価制度」等の一方的導入は行わないよう主張。社会保険業務については、来年度の37人の定員削減は実施しないこと、「効率化、合理化」を理由に定員削減を行わないことを要求しました。さらに、社会保険庁として国民の信頼確保のためには、社会保険制度の改善に全力をあげる必要があると指摘。また、社会保険北病院問題にふれ、最後に4年連続の賃下げ、遡及しての調整は許されないことを主張しました。

政管健保は厚生用・定数拡大を  伍藤次長が回答

 これに対して伍籐次長は、政管健保の問題について、被用者保険の「最後の受け皿」としての役割、厚生年金保険との一体的な運営が効率的であることを今後も主張していきたい。公務員制度改革は、職員の処遇、仕事そのものに関わる大変大きな問題であり、引き続き皆さんの意見を聞いて検討されるべきものであり、関係機関に対し必要なことは伝えていきたい。社会保険業務については、国民の批判については謙虚に受け止め改善していくことが必要だ。実施官庁として言うべきことは言っていきたい。国民年金の収納率低下は14年度状況分析をし必要な対策を講じていきたい。定員削減については、厳しい状況の中、今後とも必要な定員の確保に向け努力し、あわせて、一層の業務の効率化・簡素化を推進していかなければならないと考えている。社会保険病院問題については、健保法改正付則の中で、病院の自立性、自主性が促される仕組みにすべきとの議論の流れの中で決断した。給与改定等は、職員にとって切実な問題であると理解していると回答しました。
 この後、総務課長から平成15年度予算の概要について説明を受け、飯塚副委員長の進行で、課題別要求に対する見解を総務課長に求めました。

定員・女性の登用・定数拡大を  各支部が要求

 各支部発言では、定員問題で、神奈川県支部は、都市部対策を要求。岐阜県支部、京都支部は、職場の声・要望を真摯に受け止めるように要求しました。これに対して社会保険庁は、年金相談は「あふれ対策」で改善を図ってきた、年金相談も重要課題として取り組みたい。国民年金業務については効率的にできるように今後も改善に向けて努力をしていく。16年度の定員についても努力していきたいと回答しました。人事問題では、愛知県支部は、いわゆる天下り所長の解消を要求。女性部は、「登用計画の策定、登用拡大」を要望しました。これに対して社会保険庁は、幹部職員登用については、適材適所論で従来と変わらない回答に終始しました。女性の登用については、「厚生労働省女性職員採用・登用拡大計画」に基づき実施すると回答。級別定数、昇任昇格問題については、秋田県支部から、双子、枠外の早急な解消、大分県支部は4級双子号俸の解消を要求しました。超過勤務、健康管理問題では、業務センター支部から、過労死公務災害認定について事実を真摯に受け止め、職員に周知するよう主張。これに対して社会保険庁は二度と同じことが起きてはならないと痛感している。超過勤務の縮減も含め、より一層職員の心身の健康管理等に努めて行きたいと回答しました。
 最後に杉下委員長は、政治主導と言われるもとで、労使交渉がその枠内であってはならない、交渉で努力を約束した事項については、政治に対しても言うべき事は言う態度が必要だ、と主張し交渉を締めくくりました。

アメリカと小泉首相に強く抗議

イラク攻撃は即時中止せよ

 3月20日、世界中にわきたつ反戦の世論を無視しアメリカは、イラクへの武力攻撃を開始しました。これに対し、小泉首相は、平和憲法を踏みにじり、アメリカに追随し戦争支持を表明しましたす。
 全厚生は、アメリカによるイラクへの一方的武力攻撃に対し強く抗議するとともに、攻撃の即時中止を要求する抗議打電を、首相とアメリカ大使館へ行いました。
 3月15日、東京・日比谷野音で1万3千人が参加した「イラク戦争反対!平和守れ!NO WAR ON IRAQ!3・15大集会&銀座パレード」はじめ、全国各地でイラク攻撃反対の集会が開催されました。

寒い! だけど僕たちの思いは熱い!
〜3.4中央行動参加者の声〜
○秋田県支部
 社会保障制度の大改悪、大反対! 政府は少しでも暮らしを良くしたいという国民の声を聞いて欲しい。

○岐阜県支部
 石油ねらいのイラク攻撃というアメリカに賛同しない、日本の理性的な対応を求めたい。

○大阪支部
 所得の下がる中で、社会保険料の増額が行われ、その上、医療費の負担増は、我々の生活をより苦しくさせ、許されないと思う。みんなで反対しよう。

○香川県支部
 日本をどうする?どうしたい?自分が良ければいいのか?自分に関係なければいいのか?当面のことだけでいいのか?で、どうする、どう動く。

○滋賀県支部
 今こそ政府にILO勧告を遵守させ、労働者としてのあたり前の権利である労働基本権を回復させなければなりません。

○愛媛県支部
 現在の不景気をまねいた原因である生活の不安を取り除くべきであるのに、3割負担や労働法制改悪などさらなる不安をあおる政府には、失望する。



リレーずいそう
● 住みよい世界は職場から
 いつもパレスチナ問題が気になって仕方ありません。イスラエル軍が貧しいパレスチナ人の家屋や工場、商店、学校を破壊し、一般のパレスチナ人を殺害していく。パレスチナ人の近隣にユダヤ人入植地を作り民族間で互いに対立するように仕向ける。イスラエル政府はパレスチナ人を根絶、あるいは無力感を与えて支配しようとしているのでしょうか。あるいは、パレスチナ問題をイスラエル国家維持のための手段として利用しているのでしょうか。このように、差別し、蹂躙し、差別を人を支配するために利用する。ヒトには元来そういう素質が備わっているのでしょうか。
 程度の違いこそあれ、私たちの職場はどうでしょう。人を差別し、見下し、人権まで踏みにじり、職場内で人をいじめている人はいませんか?健全な職場環境のためには、これを中止させる必要があります。
 また、管理する際の常套手段として、故意に職場内で不平等やもめ事の種を残しておいて職場を管理しようとする場合があります。ですから、被管理者同士で争うのはやめましょう。間違った管理手法の罠にかかっています。
 私たちには幸いにも労働組合があり、組合に相談して改善を申し出てもらいましょう。近いうちに職場環境が改善されるはずです。そしてこれが住みよい世界形成の始まりになるかも知れません。
(国立衛研支部大阪支所分会)

ピカピカの小学一年生原稿募集
 子どもの氏名(漢字)(1)氏名のふりがな(2)入学する小学校名(〇〇市立〇〇小学校)(3)大きくなったら何になりたい?(4)父母からのメッセージ(支部・組合員名)を100字以内で。顔がはっきり写っている写真を送って下さい。写真はお返しします。
 締め切りは、4月11日です。お礼に図書券(1000円分)をさしあげます。
 くわしくは支部教宣部まで。



青年役員学習交流会開く

知って学んで行動した2日間  青年対策部

 全厚生青年対策部は3月7日〜8日、国公青年協中央行動に結集するとともに「青年役員学習交流会」を開催。全国から23人が参加しました。 中央行動には冷たい雨にも負けず全体で140人を超える仲間が結集。人事院前要求行動を皮切りに、アメリカによるイラク攻撃を阻止するため国連安全保障理事会の常任・非常任理事国各大使館に要請行動を行い、「話し合いによる平和的解決」を求めました。
 全厚生は中央行動前に独自の意思統一学習会議を配置。杉浦書記長が「青年役員学習交流会への期待をこめて」と題してワンポイント講座を準備、青年を激励しました。
 青年協・常幹のSさん(神奈川)、Kさん(大阪)、Oさん(京都)の3人はチリ大使館への要請行動、他のメンバーはアメリカ大使館の抗議行動に参加。Kさん(愛知)は抗議集会の中でビキニデー集会に参加したことにふれ、全厚生も平和活動で奮闘すると決意を述べました。
 8日は2本の講義とフィールドワークを行いました。第一講義は東京・杉並区労連の峰事務局長から地域労働運動の重要性を学びました。未払い残業代38億円を支払わせた「白木屋」のたたかいの経験など実践にもとづいた語り口は朝一番にも関わらず、参加者を惹きつけました。峰さんは最後に「働く場所が違っても同じ地域に住んでいる人や働いている人たちは生活や仕事で多くの共通の要求を持っている。すすんで地域に出かけ、要求に根ざす結びつきを強めることが大切。すべての労働者、全国でたたかっている労働者と一体となった運動を進めることが勝利につながる」と語りました。
 第二講義は労働者教育協会で哲学を教えている村本敏さん。「シンプル人生の経済設計」(森永卓郎著)を題材に、経済情勢の捉え方や人生設計の結論に多くの人が共感するだろうとしながらも、それでいいのかと問題提起。アメリカ型の市場原理万能主義に警鐘をならしました。
午後からは新宿平和委員会の松田修次さんのガイドで靖国神社を見学。境内は戦争を美化する姿勢が顕著で、前日の中央行動の取り組みと重なり、戦争推進勢力を許さない取り組みの大切さを再認識しました。


滋賀県内で署名宣伝

医療制度改悪反対  近畿ブロック

 3月11日全厚生近畿ブロックは、寒風吹きすさぶ中、滋賀県・JR石山駅前で、「医療制度改悪反対」署名宣伝行動を展開しました。春闘もヤマ場、後半に差し掛かっており、暦の上では春に向かっているはずなのに、署名した札幌在住の方からも、「滋賀県は寒いね〜」と言われるほど、本当に寒い中での行動となりました。しかし、参加した16人の心は熱く、滋賀県国公からの激励も受けながら奮闘し、また、大阪支部が誇る“署名の女王”の活躍もひかり、17時半からわずか1時間で55筆の署名を集約。行動後、全厚生近ブロ勝井議長(大阪支部)は、「全厚生近畿ブロックは、これからも『京阪神津』にとどまらず、より広範な運動と要求実現めざして奮闘しよう!」と呼びかけ、これからの運動の発展への決意を固めあいました。
(全厚生近ブロ事務局長)



みんなの国公共済会
私の体験紹介しま〜す <連載(1)>
親善野球大会で体が宙を舞い
 その日は、愛媛県の職員親善野球大会で、我が宇和島チームは10連覇を目指して、順当に決勝に駒を進めて進めておりました。
 数年ぶりにヒットを打って出塁した私は、自分の年齢と、それが3試合目であることをすっかり忘れ、2盗を試みたのです。しかし、思うように足は動かず、クロスプレーになると思った私は、中途半端な姿勢で二塁ベースに足を伸ばしました。その時、ベース手前の地面にスパイクの刃がひっかかり、しこたま足首を捻って、私の体は宙を舞いました。診断の結果は「右足首靱帯損傷」で、三本ある靱帯のうち、一本が断裂しておりました。その切れた靱帯をつなぐために入院&手術となったわけです。入院・手術ともに初めての経験で、自分にとってもかなりの負担になりましたが、家庭&職場にも多大な迷惑をかけてしまいました。何とか二週間ほどで病院を脱出したのですが、しばらくはリハビリに通う日々を過ごしました。
 私の安月給のみで生計を立てている我が家にとって、今回の治療費は、かなりの痛手となるはずでしたが、加入していた国公共済のおかげで、支払った治療費のほとんどが返ってきました。まさに「小さな掛金、大きな安心」を身をもって体験したわけです。
 まだ国公共済に加入されていないあなた、ほんのわずかでいいですから、加入してみませんか。次の体験者は、あなたかもしれませんよ。
 ちなみに野球大会の結果ですが、唯一のウィークポイントであった誰かさんが負傷退場したおかげで、見事、10連覇を達成いたしました。めでたし、めでたし。
(愛媛県支部)



イラクの子ども達を再び戦火にさらすな

フォトジャーナリスト 森住卓さんインタビュー    (2)

◇劣化ウラン弾とは

 核兵器や原発の燃料として、ウラン鉱山からウランを産出し、これを精錬したものが天然ウラン、いわゆる酸化ウランです。劣化ウラン弾を見つけて棒で引っ繰り返してみると、黄色い粉が吹いています。これは「イエローケーキ」といわれている酸化ウランに戻ってしまった状態です。これはウラン238という物質がほとんどです。その中にわずか 0.3%くらいウラン235が含まれています。これが核分裂します。これを濃度を高め核兵器や原発の原料にするわけです。日本の原発では4%くらいの濃度に高めることで、核分裂を促進させます。その濃縮したあとのカスが劣化ウランといわれています。核開発が始まって半世紀以上経ちますが、それ以来ずっとたまりつづけている「核のゴミ」です。
 世界中に 120万トンくらいあるといわれていますが、これを安全に保管するためには莫大なお金がかかります。70年代ころからほかに再利用できないかと軍需産業が考え出したのが兵器への転用でした。初めは戦車の装甲にも使いました。しかし、ずっとつけっぱなしにすると乗員が被曝するので、戦闘中だけしか使ってはいけないということでした。劣化ウラン弾も被曝するから安全マニュアルもできています。しかし、湾岸戦争ではいっさいそれを無視し、兵士に危険性を教育せずに無防備に使いました。ですから、米英の帰還兵には20万、30万人という数の湾岸戦争症候群といわれている病気が広がっています。

◇放射能汚染が拡大

 非武装地帯を自由に移動して生活しているベドウィンの人たちは、破壊されたイラク軍の戦車の部品を町に持っていって売ります。彼らも被曝するし、同時に汚染された部品が町に運ばれることによって汚染が拡大していくことになります。ベドウィンで見た少女は羊を放牧していました。羊たちも汚染された草を食べますから、いろいろな影響が出てきます。汚染された肉もまた、町に売られて汚染が拡大します。
 農家の人たちは農業用水を地下水からくみ上げて使っています。専門家の話では、トマトやキュウリやメロンは、水分が多くて汚染物質を吸収しやすいそうです。これらが市場に出回ることによって汚染が拡大するわけです。

◇白血病や癌が急増

 湾岸戦争の後、とくに子どもたちに白血病やガンが急増しています。ぼくはバグダッドにある2つの小児病院を取材していますが、93年から白血病の専門病棟が設けられるようになりました。子どもが亡くなって車にお棺をのせて運び出されるというのが小児病院の朝の風景になっているんです。 バスラの病院に入院していた少年は、不発弾を拾って遊んでいたら爆発して右足を失いました。その後、骨ガンになってしまいました。彼を撮影した直後に亡くなってしまったと医師から聞きました。白血病による感染症を防ぐためにエアーカーテンはイラクには一つしかなくて、まったく対応できない状況です。
 劣化ウランの影響は放射線の被曝だけではありません。カドニュウムや鉛、水銀といった重金属毒性による影響もあります。腎臓や肝臓が炎症を起こして腹水がたまり、お腹が肥大してしまう子どももたくさんいます。お腹が肥大した子どもに、注射針を刺して腹水を抜いてとりあえず苦痛をやわらげようということをします。麻酔をしないので痛がって悲鳴をあげます。女の子を撮影していたんですが、ぼくもつらくて外に出てきてしまいました。そこでその子のお父さんに会って「日本に連れていった助けてほしい」と言うんですね。彼女は撮影して数日後、亡くなってしまったそうです。
 薬は薬局にもなくて、患者さんが町に行って買わなければなりません。子どもが白血病やガンになった家庭は、財産をすべて使い果たしてしまうという状況です。
(つづく)
森住卓さんのホームページはこちら http://www.morizumi-pj.com


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