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◆第1548号(2003年3月15日付)◆

03春闘3.4中央行動で大奮闘

雇用・くらし・いのち、平和守れ

 全労連・国民春闘共闘は寒風吹きすさぶ3月4日、03春闘中央行動を実施。民間・公務の仲間あわせて7000人が参加しました。
 東京国公による独自の昼休み総務省請願行動に結集した本省・統計支部を含め、全厚生は愛知県の8人の上京団、業務センター、国立リハ、秩父学園、秋田県、神奈川県、静岡県、岐阜県、滋賀県、京都、大阪、香川県、愛媛県、大分県の各支部から80人が結集、終日多彩な行動に奮闘しました。
 中央行動は「医療費3割負担凍結、賃金職員の雇用継承、社会保障の充実をめざす厚生労働省包囲行動」からスタート。国立医療闘争委員会と日本医労連、厚生労働省内の3つの労働組合(全厚生、全医労、全労働)の呼びかけで実施。厚生労働省は医労連などの仲間に文字どおり包囲され、通りをはさんだ日比谷公園側の歩道も国公労連などであふれました。厚生労働省3組合を代表して主催者あいさつに立った杉下委員長は国民の厚生労働行政に対する願い・要求にふれた上で「職員は国民・労働者の立場に立った良い仕事がしたいと願い、努力しているが、厚生労働行政の改悪・後退が職員の労働実態にも深刻な問題をもたらしている。必要な人員も手当てされないもとで、国民の正当な要求と矛盾が生じている。そのもとで、厚生労働省3組合は、国民とともに共同を広げている。私たちの頑張りが国民のたたかいを励ますものと自覚し、奮闘したい」と述べました。また全厚生を代表して職場からの決意表明をした京都支部の川口書記長は、年金制度の相次ぐ改悪にふれ、「不安が募り、相談窓口には国民があふれている。国民が安心できる社会保障を拡充しよう」と訴えました。
 続いて日比谷野外音楽堂での中央総決起集会のあと民間労働者とともに国会請願デモ。その後、総務省・人事院・行革推進事務局要求行動、「労働基本権回復、民主的公務員制度確立をめざす公務労働者総決起集会」に参加し、霞が関飯野ビル前での宣伝行動で一日の行動を終えました。

寒い! だけど僕たちの思いは熱い!
〜参加者の声〜
○京都支部
 寒い!!でも私たちの中央行動は熱かった。要求課題は多々ありますが、私は今は1番にイラク攻撃反対をあげたい。戦争はすべてを失ってしまいます。

○秩父学園支部
 ほんとうに寒い中、多くの仲間が集い、自分達公務員労働者の主張を大声で発言しました。支部に帰っても大いに要求しなければと決意しました。

○静岡県支部
 「私の年金、こんなに少ないの」と毎日言われて、仕事がやりづらくなっています。 今日はひさびさに「年金改悪反対」の声を国会に向けました。イラクは平和解決を。

○大分県支部
 寒い!!とにかく寒い!私達の生活、現在の世相を反映しているかのようです。ただ皆さんの決意表明で少しだけあたたまりました。頑張りましょう。アメリカのイラク攻撃反対!なさけない日本政府!


公務員制度改革で人事課に申し入れ

一方的な法案提出やめよ

 全厚生は、3月11日に厚生労働省に対し、公務員制度改革の課題で申し入れを行いました。
 現在、政府・行革推進事務局は通常国会に国家公務員法「改正」法案などを提出する方向で検討作業を一方的にすすめる一方、ILO勧告でも指摘された労働組合や各省との誠実な協議が行われていない中で実施したもの。具体的には、「労働組合と誠実で十分な協議・交渉を徹底し、国家公務員法『改正』法案等の決定を一方的に行わないよう尽力すること。ILO勧告にそった公務員制度改革をすすめるための役割を発揮すること」を申し入れました。これには、杉下委員長、藤巻副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、國枝中執で行い、大臣官房人事課の金子人事課長、宮島参事官、篠原人事調査官らが対応しました。


リレーずいそう
● 親の気持ち
 公立学校が週休2日制になり、土曜日・日曜日と子どもと過ごす時間が増えました。平日勤めをしている私にとっては、休日子どもとゆっくり接する時間をとるようにしています。
 しかし、それまで土曜日に行われていた参観や親子レクリエーション等も平日にと移行しました。これには本当に困りました。
 子どもも小学生とは言え低学年のうちはやはり親が来てくれるのを待っています。兄弟がいればどの子どもにも同じ条件で参加してやらなければなりません。
 時間休を取り参観に来た私にうれしそうに手をふる子どもを見ると「休んできて良かった」と思うのもつかの間、電車の時間を気にしながら仕事へと急ぎます。なぜもっとゆっくりと見てあげられないのか自分でもくやしく思います。
 子どもへの看護での休みが認められるようになりました。とてもありがたい事です。その対象が小学生まで延びるのと、枠が子どもの行事(参観やレクリエーション)の参加についても広げられると良いのにと思います。
(滋賀県支部)


News
● 子ども看護休暇を小学生まで ―国公労連女性協が人事院前行動―
 3月6日国公労連女性協は、子ども看護休暇の対象拡大や母性保護の拡充、家族的責任がはたせる勤務環境の改善を求めて、人事院と交渉し、昼休み人事院前行動実施しました。(写真上)全厚生は、北島女性部長が、宣伝カーの上から「子ども看護休暇の対象を小学生まで、さらに家族看護休暇へ」と訴えました。交渉には業務センターの藤田さんが参加しました。

● 労働基準法の改悪許すな ―全労働などが呼びかけ学習決起集会―
 労働基準法や労働者派遣法などの法「改正」案は、3月中旬には通常国会に提出が見込まれ、たたかいは重要な段階を迎えています。こうした情勢のもとで、共同した取り組みがすすんでいます。 2月28日には、全労連及び労働法制中央連絡会の主催による学習決起集会を都内で開催。網の目の学習会や宣伝行動を強め、各地方の労働法制連絡会の活動を早急に再開させていくことを確認。集会には、全労協(=全国労働組合連絡協議会)の議長が連帯の挨拶を行いました。また、3月1日には、日本マスコミ文化労組会議(MIC)、全労働省労働組合、通信産業労働組合、航空労組連絡会の4団体の主催で、「非道リストラに反対する3・1共同集会」を都内で開催。全厚生も協賛団体として参加。人権を無視した「非道」リストラに反対し、雇用と労働条件を守るために労働組合の協力・共同の大きな運動をめざすことを確認しました。

● 「ささえ愛」の加入拡大を ―国公共済会拡大推進会議を開催―
 3月7日、東京中央区で第7回国公共済会拡大推進会議が開かれ、全国12単組1県国公から209人が参加しました。全厚生からは9支部の国公共済担当者をはじめとする出席者11人と本部から、あわせて14人が参加しました。午前中は、元生命保険労働者の保坂忠史氏が「民間生保の現状と自主共済運動の重要性」と題して特別講演を行いました。午後は3つの分科会「加入拡大のとりくみの意思統一」「生命保険診断のすすめ方」「加入、給付、自動車の実務」で、国公共済会に対する理解を深めました。参加者は4月〜6月の加入拡大強化月間に5000人を増やすことを確認し、加入拡大の決意を固め合いました。


国公権利裁判で国を提訴 全厚生から7人が原告に

「不利益遡及」は許さない

昨年12月の一時金で「マイナス人勧」賃下げ分が4月まで遡って「減額調整」されました。国公労連は「不利益遡及を断じて許さない」と、国を相手に国公権利裁判として3月5日に東京地裁に提訴しました。原告団は139人で、全厚生からは7人の原告が参加しています。(氏名と決意を別掲)
 この裁判では、労働基本権の制約の違法性を司法の場で争うのと同時に、公務員の労働基本権確立の必要性と正当性を社会的にアピールし、職場から権利闘争を強めていくことをねらいとしています。政府が進めている「公務員制度改革」では、労働基本権制約は「現状を維持」するとし、ILO原則に基づく労働基本権確立については拒否しています。
 特に国公権利裁判を通じて、人勧の影響を受ける750万人公務関連労働者はもとより、民間労働者や年金受給者との連帯をいっそう発展させることはこの裁判の大きな目的です。
 国公労連は3月5日、労働基本権確立国公労働者決起集会を開催し、裁判の意義と取り組みを確認し、139人の原告団を紹介。集会後、東京地裁へ移動し、提訴の手続きを行いました。
 引き続き裁判は、第1回口頭弁論が4月21日に東京地裁で開かれることが決まっています。
 国公労連は、この裁判闘争に必要な財政の確保と、実質的に全組合員が裁判闘争に参加する運動を作り出すために、カンパ活動に取り組みます。全厚生は総額100万円が目標です。「コーヒー1杯分のカンパで怒りを裁判に!」を合い言葉に取り組みましょう。


−原告の決意−

さかのぼってまで返却とは言語道断
国リハ支部
 職務に関して本人に落ち度があり、甚大な影響が周囲にあった場合、給与を減じたり一部を返却したりということがありますが、その場合でさえ対象となるのは、それ以後の給与です。ましてや、そのような事由が全く無く、時期をさかのぼってまで給与を強制的に返却させるなどは言語道断。絶対にこのような横暴を許してはならないと思います。
法治国家の名に値しない
神奈川県支部
 普段「法」に基づいた仕事を求められている私達に国が違法行為である不利益遡及を行ったことは断じて許してはならないと思います。国自らが法秩序を無視するようでは、法治国家の名に値しなくなってしまいますし、悲しいことです。国民が私達が安心して暮らせる社会になってほしいと思い決意しました。
代表としてがんばります
愛知県支部
 今回原告団へ決意しましたが、全厚生の代表として、原告団へ出たくても出られなかった多くの組合員の代表として頑張ります。
おかしいことを認めさせたい
愛知県支部
 政府の勝手な違法行為(減額措置)に対して、おかしいということを認めさせていきます。違法行為なのだから、国への損害賠償が認められるようにがんばります。
労働基本権取り戻すたたかい
京都支部
 健保、年金改悪、リストラ首切り、ベアゼロ。明るい将来が見えない中で、「ここで何とかしなきゃ!」の気持ちで原告としてたたかう決意をしました。「不利益遡及は許さない裁判」と思っていましたが、公務員労働者の労働基本権を取り戻すたたかいとして発展するべく、組合員の先頭に立って奮闘します。職場のみなさんの強力な支援をお願いします。
不利益遡及は民間労働者にも悪影響
大阪支部
 本日、提訴を前にして、全国から集った139名の原告の一人として、理不尽にも奪われた、私たち公務員労働者の労働基本権の確立を求める最前線に立ち、勝利を勝ち取ることの、責任と使命に身が引き締まる思いです。今回の不利益遡及により、判例違反ですが民間で遡って賃金を引き下げる事例も出てきていて、労働者全体に与える影響も大変大きいそうです。これ以上、政府・財界に好き勝手させないため全力を尽くしますので、皆様のご協力をお願いします。
自分のこれまでの言動に正直に
香川県支部
 県国公の役員として、また、支部の役員として職場、地域で、不当性を訴えてきました。原告の立場を他の人にゆずってしまうと、自分のこれまでの言動にウソをつくような気がして、手を挙げました。職場内外でがんばります。


3.1ビキニデー開催

イラク攻撃も核兵器もNO

 49年前の3月1日、米国の水爆実験により日本のマグロ漁船第五福竜丸が被爆しました。母港の静岡県焼津市では毎年3月1日、乗組員の久保山愛吉さんが眠る弘徳院へ献花墓参平和行進が行われます。今年も降り続く雨の中、1700人以上がJR焼津駅前から弘徳院まで行進。全厚生からは静岡・愛知・岐阜の3支部と本部から8人が参加しました。
 同日午後には焼津市文化センターで被災49周年2003年3・1ビキニデー集会が開かれ、全国から2千人が参加。米国によるイラク攻撃の脅威が強まる一方、世界6百都市で1千万人もの人々が反戦の声をあげ、他の国々からも批判が起こるなど米英が孤立を深めている世界情勢をふまえ、「私達の1日1日の行動が歴史を動かす」と、行動に立ち上がることを呼びかけました。「原水爆の被害者は私を最後に」という久保山愛吉さんの遺言、被爆者とその家族の反核平和の願いを胸に、「戦争も核兵器もない希望ある世界」実現のため世論と運動を広げよう、と集会アピールを確認しました。
 ビキニデー前日の2月28日は海外代表4人を含む120人の参加で国際交流会議が開催され、「ストップ戦争・平和を守るたたかい」「ビキニ被災50周年へー非核独立太平洋運動との連帯」のテーマで交流・討論を行いました。本部の國枝中執は昨年の青年対策部幹事会で「労働組合が平和運動をする必要があるのか」と議論になり、その意義を再確認しあったことなどにふれ、春闘の中だが全厚生も平和運動に取り組むと決意を述べました。
 3月2日午前中は、富士基地行動など動く分科会も含め10カ所で分科会が開かれました。午後は日本原水協全国集会を開催して全日程を終了しました。


イラクの子ども達を再び戦火にさらすな

フォトジャーナリスト 森住卓さんインタビュー    (1)

 湾岸戦争後の「イラク」を98年以来撮りつづけている森住卓氏に、戦争の危機迫るイラクの状況を聞きました。森住氏は、昨年暮れから新年までバグダッドで過ごし1月23日に帰国。各地での写真展開催や江川紹子さんとの共著「イラクからの報告」(小学館文庫)を出版するなど、イラクの実態を伝え、戦争反対を訴え続けています。

◇アメリアシェルター

 バグダッドにアメリアシェルターという防空壕があります。1991年2月16日に空爆を受けた場所です。アメリカは空爆の対象は軍事施設だけで市民をターゲットにしないと言っていましたが、このアメリアシェルターの空爆が全世界に知られることによって、ようやくバグダッドの市民が大きな被害を受けていることがわかるようになりました。
 ここに避難していたたくさんの人たちが亡くなりました。最初の一撃で天井に穴が開いて2発目がこの穴から侵入して内部を破壊しました。それと同時にみんな地下室に逃げたのですが、水道施設が破壊されて地下室がプールのようになり、火災が発生し、その水が沸騰してみんな死んでしまったといわれています。地下室の壁に人間の目の部分の皮膚が張りついていました。当時の惨状をいまも伝えています。
 バグダッドから南に 600キロほど行った南部最大のバスラという町も徹底的な空爆が行われました。イラク攻撃で使われた爆弾の量は、第二次世界大戦のときに連合国が使った総量を上回るといわれています。湾岸戦争は42日間です。しかも、イラクの国土は日本の 1・2倍くらいしかないんですね。砂漠が多くて都市に人口が集まっています。そこにそれだけの爆弾が投下されたということになるわけです。
 メインストリートはほとんど空爆の跡がありません。一歩路地を入ると空爆の跡がすさまじい。特にバグダッドは外国人がたくさん来るので、アメリカは裏側を爆撃したということです。

◇劣化ウラン騨

 湾岸戦争後、イラクとクウェートの国境をはさんでクウェート側に4キロ、イラク側に10キロ、非武装地帯が設置されました。国境線をサウジアラビアの方へ行くと、破壊されたイラク軍の戦車が転がっています。戦車の墓場です。30ミリ砲の劣化ウラン弾が打ち込まれて戦車には穴が開いていました。装甲が10センチくらいの鋼鉄の戦車で、通常の弾ならはねのけるんですが、劣化ウラン弾は簡単に穴を開けてしまうんです。
 劣化ウラン弾は中に入って一気に燃焼し、乗員を焼き尽くしてしまいます。同時に劣化ウランが燃焼して酸化ウランになり、たばこの煙と同じくらいの大きさの微粒子になって空気中に浮遊します。これが肺に取り込まれて被曝し、あるいは血液によって身体中に運ばれてリンパ腺や内蔵が被曝していきます。
 アメリカ陸軍の研究によると、酸化ウランの粒子は風で25マイルくらい運ばれます。砂漠地帯で雨期の2カ月以外はほとんど雨が降りません。地表に落ちた酸化ウランが風で飛ばされ、際限なく広がっているという状況があります。同時に酸化ウランは水溶性で、雨が降ると地下水を汚染していくということにもなります。
(つづく)


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