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◆第1541号(2002年12月15・25日付)◆

厚生共闘 坂口厚生労働大臣と交渉

政管健保は国の責任で実施を

 12月2日、厚生共闘(全厚生・全医労)は坂口力厚生労働大臣と交渉を実施。厚生共闘からは保木井議長(全医労委員長)、杉下副議長(全厚生委員長)をはじめ幹事会役員が出席しました。
 まず保木井議長が4つの要求項目について趣旨を説明。坂口大臣は一括して回答しました。
 「公務員制度改革は労働条件に直接影響する」と指摘し、一方的な検討を行わず、労働組合との十分な協議を要求。ILO勧告にも言及し、良好な労使関係維持の立場から「改革」の内容や進め方について十分な配慮を求めました。また評価制度の試行に関わっても「偏った結果となるような職場選定等を行わない」「評価基準を事前に明らかにする」「評価結果を情報公開する」等の点について、労働組合との十分な協議・合意を図るよう強く要求。これに対し大臣は「ILO勧告がだされたことも承知しており、今後、労働組合と十分な話し合いをしたい」と回答しました。
 国立病院・療養所の再編成計画の実施にあたっては「地域医療の継続」「職員の雇用」の2つの問題を指摘し、万全を尽くすよう要求。独立行政法人国立病院機構法案にかかわっては「移行」にあたって職場に混乱を起こすことのないよう早い段階からの誠実な労使協議を要求。とりわけ賃金職員の雇用継承では「現に働いている職員、長く国立病院に貢献してきた職員の不安は大きい」と指摘し、職員の移行・雇用確保について最大限の努力を要求。この追及に大臣は「不安な気持ちは当然」「少ない人員で賃金職員とともに取り組んでいると理解している」としながらも「正規職員はそのままいくので問題はない。賃金職員については新しい長に権限がある」と回答。議論はそれからとの考えを示し、雇用継承問題について無責任な対応に終始しました。

労働組合との十分な協議・合意を

 医療保険制度改革では「政管健保はこれまでどおり、国の事業として国の責任で実施していくべき」と主張。「『医療保険制度の体系の在り方』で示された『都道府県単位を軸とした保険運営』は重大な労働条件にかかわる問題であり、労働組合との十分な協議・合意を図るべきだ」と強調し、一方的な「在り方」の決定や実施を行わないよう強く要求しました。これに対し大臣は「医療制度改革は断行する」「政管健保をどういう形にしていくか、国が行うかも含めてこれからの議論。今は答えられる状況にない」と回答。「在り方」が職員の問題にも影響するとの認識も示しました。
 増員要求では「どの部署でも人員不足は深刻」と指摘。とりわけ医療事故と隣り合わせの国立病院・療養所の看護現場は緊急に増員が必要と格段の努力を要求。大臣は「国立病院の看護師は他の公的病院と比べて少ない人員であることは充分承知している。独立行政法人としてふさわしい機関にするべく努力したい」と回答しました。
 大臣の一括回答を受け、杉下副議長は「国民のくらし、健康といのちを守るために職員はがんばっている。厚生労働行政をいっそう発展させていくうえで、職場環境や職員の労働条件を改善することは重要」と指摘。「公務員制度改革など諸課題について労働組合との十分な協議・合意」「国立病院の独立行政法人化にあたって賃金職員の雇用継承や看護師定員増への努力」「政管健保は国の事業として国の責任において実施」を重ねて要望し、交渉を終えました。


リレーずいそう
● 自分から動かなきゃ
 小5の長男との冷戦が始まって今日で2日目。ほとんど口を聞いてません。理由は、自分の要求ばかり主張し、私やおばあちゃんの話をちっとも聞かないからです。
 話は変わりますが、この夏、息子と娘(小3)を連れて中央行動に上京団として参加しました。とにかく暑い日で、炎天下の中、立っているだけでクラクラ。息子は、「こんなに暑いのにどうして大きな声で話をしたり、みんなで叫んだりするの?」とうちの書記長に話したそうです。私にもこの行動がどれだけの効果があるのかわかっていません。ただ、より良い職場にしよう・働きやすい職場にしたいという想いは、皆、同じなんだろうと思っています。
 実は私、今年度、支部役員に名が上がっているのですが、家庭の事情で(末っ子の3歳児に手がかかる)と言い訳し、四役会議にも出ていない名ばかりの役員です。(支部の皆さん、ゴメンナサイ)ただ、私にできることは(消極的でなんですが)なるべくやろうと思っています。
 組合活動というと腰がひけそうに思う人もいるかもしれませんが、役員をしていると、何かに参加するだけでもOKですヨと声に出したくなります。
 冒頭の話に戻りますが、私と長男との戦いは日常茶飯事です。偉そうな事を書きますが、子どもたちに自分が動かずしてすべてが与えてもらえると思うのは間違いだと心してほしいです。
(岐阜県支部副支部長 畦地和子)


News
● ストップ!イラク攻撃 ―2002年日本平和大会in東京開く―
 「ストップ!イラク攻撃 守れ!国連憲章 許すな!有事法制」をテーマに「2002年日本平和大会」が11月22日から24日(国際シンポは11/21〜22)まで東京で開催されました。日比谷公会堂での開会集会には韓国・マレーシア・アメリカの海外代表を含む1700人が参加。基調報告は「たたかいの大きな到達と展望を確信に、平和への流れを大きく発展させよう」と呼びかけました。23日は都内各地でシンポジウムと分科会を開催。今年は横田基地調査、横須賀基地見学など丸一日の「動く分科会」だけでなく、東京大空襲戦災跡や靖国神社、第5福竜丸などの各フィールドワークと討論を組み合わせた分散会が目玉でした。最終日の24日は平和大会を締めくくる閉会集会をかねて「ストップ!イラク攻撃、許すな!有事法制大集会」を日比谷野外音楽堂で開催。3000人が参加し、銀座をパレードしました。

● 雇用と地域医療を守れ ―独法国立病院機構法が成立―
 全国144の国立病院・療養所を2004年4月から独立行政法人化する「独立行政法人国立病院機構法」は、12月13日の参議院本会議で、自民・公明・保守の与党と民主党などの賛成で、可決・成立しました。この重要法案が衆参あわせてわずか19時間の短時間の審議で成立させられたことに対し、全医労は抗議の声明を発表。「国立病院機構」は、北海道から沖縄まで職員数5万人を超える巨大医療ネットワークとなります。国会審議を通じて、焦点の賃金職員の雇用継承問題は、すべての責任を「法人の長となるべき者」に丸投げし、国家公務員のリストラ「合理化」策として独立行政法人を「活用」しようとしていることが一層浮き彫りに。一方で、小児救急を政策医療に位置づけ人員などの整備を図ることや、地域が求める救急医療や一般医療については「可能な限り」対応していく立場を表明させました。また看護師をはじめとする人員不足の実態についても増員の必要性を認めさせました。全医労は今後、賃金職員の雇用継承と正職員化や「労使自治」原則にもとづく就業規則の制定や労使協定・労働協約の締結など、取り組み強化の決意を表明しています。


厚生科学課長と秋闘課題で交渉

研究条件、再任用などで要求

 全厚生は12月17日、大臣官房厚生科学課長と2002年秋闘・研究機関の重点要求にもとづき交渉を実施しました。交渉には全厚生から、杉下委員長、山本・藤巻各副委員長、杉浦書記長、佐藤・國枝中執及び、感染研支部、国衛研支部、科学院支部、人口研支部、ハ病研支部、栄研支部の代表計13人が出席。厚生科学課からは、遠藤課長、赤川研究企画官、宮治補佐、鈴木補佐らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長が要求趣旨を説明。公務員制度の課題では、ILO理事会で採択された勧告内容を踏まえ、労働組合との充分な交渉・協議を行うよう要求。国立医薬品食品衛生研究所大阪支所職員について、本人の意向が十分尊重され、働く場が確保できるよう、最善の努力を要求。新再任用制度では、本来の趣旨を踏まえて実効ある制度として機能するよう見識ある指導を要望しました。

国衛研大阪支所職員の身分保障と職場確保を

 これに対し、遠藤厚生科学課長が回答。公務員制度改革については、「公務員制度改革は、職員の勤務条件の基本に係わる問題であり、組合の意見を聞いて検討されるべきものと認識している」と述べ、「研究職に係わる取扱い等について、各研究機関や組合の意見を聞いて必要な意見、要望を人事課に伝えたい」と回答。評価制度の試行では、「行革推進事務局は、試行は組合との合意を得て実施するとの考えを示している。各研究機関や組合の意見を聞き、人事課に伝えたい」と回答しました。
 平成16年度の発足予定で整備をすすめている医薬基盤技術研究所(仮称)の運営は、「その研究内容から民間等から資金を受け入れる共同研究、産学官との円滑な人的交流や弾力的会計手法が可能となる独立行政法人新設要求を行っており、現在総務省で調整が行われている」と説明。国衛研大阪支所廃止に伴う支所職員の身分保障及び働く場を確保する要求に対し、「関係職員の処遇・勤務条件等の扱いについては、当該職員にとって最も基本的かつ重要な問題と認識している」と回答。この間、全厚生の要望もうけて、国衛研の所長が出向き、職員の意向を聞いてきたことも述べ、「今後も関係職員には必要な情報を伝え、本人の意向についても十分配慮するよう指導したい」と回答。
 国立感染症研究所ハンセン病研究センターの必要な定員確保(回復)の要求に対しては、「その業務量等を勘案し不都合の生じることのないよう確保したい」と回答。運営の独立性を確保する要求に対しては、「センターを設置する際に『ハンセン病研究センター運営委員会』が設置され、種々検討が行われている。運営に支障が生じないように努めたい」と回答しました。病理医の確保の要求では、「要求の趣旨は十分わかる。今後とも業務がとどこおらないようにしたい」と回答しました。
 基盤的研究費の増額要求では、「ほぼ前年度並の要求を行ったところであり、現下の厳しい財政実情を是非ご理解いただきたい」と回答。昇格改善の要求に対しては、3級昇格では、「研究業務の事情等により、単独で研究実績が挙げづらい者については、部長、室長等の指導助言を受け共同研究等を行うことにより研究実績が挙げられるよう、今後とも各機関に強く働きかけていきたい」と回答。さらに、上位級定数拡大の要求では、「各機関の定数使用状況等を踏まえ、今後とも必要定数の確保に努めたい」と回答しました。
 研究評価について、その目的は、研究所および個々の研究者・職員のポテンシャルを引き上げることにおき、研究の自主的及び創造的発展を助けるために行うことを要求。これに対し、「本年8月に新たに『厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針』を定めた」と説明。さらに、「各機関に対しては、本指針に基づく評価を行うにあたっては、公正性、客観性、透明性、信頼性等を確保するよう指導したい」と回答しました。
 新再任用制度では、希望者全員の雇用を確保することを要求。これに対し、「本趣旨を踏まえれば、希望者全員が雇用されることが望ましい」と述べつつ、選考は「昨年10月に当職から『新たな再任用制度の運用方針』を各機関の長あてに通知し、これに基づき、適正、公正な運用がなされているものと考えている」と回答。さらに、「今後とも引き続き、各機関に対しては、再任用制度の趣旨、目的にかなった運用を図るよう指導したい」と回答しました。
 また、国立保健医療科学院の教育研修について、十分な体制を確保することを新たな課題として要望し、引き続き協議することを確認しました。


官房人事課に申し入れ

退職手当改悪反対

 全厚生は12月16日、退職手当の切り下げに関わって厚生労働省官房人事課に緊急に申し入れを行いました。全厚生からは杉下委員長、藤巻副委員長をはじめ、本部専従役員が出席。人事課からは篠原人事調査官、白川補佐らが対応しました。
 申し入れ項目は、(1)公務と民間の退職手当や関連制度の違いを踏まえ、官民比較の調査結果を唯一の根拠とする一律の退職手当の引き下げを行わないこと。(2)退職手当は重要な労働条件であり、労働組合との協議を尽くすとともに、一方的な決定を行わないこと。
 杉下委員長は、(1)キャリアの不祥事や、9千万円にもなる事務次官の退職金に対してのマスコミ報道に端を発した退職手当の見直しにもかかわらず、「高額」とはいえない一般職員の退職金に影響を及ぼそうとしている、(2)比較的長期勤続者が多い公務職場と比較するのに人的流動要因が考慮されておらず、民間の役員クラスの退職金も反映していない官民比較の方法は科学的根拠がなく不十分、(3)退職金は労働条件であり、一方的な決定は許されない。政府は長期勤続報償的な性格が強いというが、比較した民間では賃金の後払いという位置づけを明確にしていることを説明。
 人事課に対し、申し入れの2項目について働きかけを強めるよう要請しました。


11.21国公労連秋年闘争 第3次中央行動


参加者の声

社会保障の充実こそ景気回復の道 京都支部組合員
 社会保障を充実させることこそが景気の回復につながると思います。経済的な理由だけで、社会保障制度を改悪するのは、国が国民に対する責任を放棄することであって、決して許せないことです。景気が良くても悪くてもみんな病気になったりケガをするのは、変わりがないのに、国の財政が良いときは面倒みるけど、悪くなったらやらないというのは、全くおかしいことで、みんなが苦しい時こそ国の果たす役割がより大きいのではと思います。

国民のための職場を破壊するな 滋賀県支部組合員
 国民あっての社会保障であり、支持され、生活を支援し、この国で希望を持って生きていくため、当然必要な制度です。その重要な役割を担っている職場を破壊することなど許されません。

さらなる改悪許さない 秋田県支部組合員
 今でさえ苦しい生活をさらに苦しくするマイナス勧告の完全実施、公務員制度改悪は許せません。これ以上の改悪をゆるさないためにも、今まで以上の活動・行動をしていかなければと思いました。



第27回全厚生女性交流集会
テーマ「今を活きる〜麗しくたくましく」
日 時2月22日(土)pm1:30 〜23日(日)正午
会 場横浜市内 鶴見パールホテル
 (JR京浜東北線鶴見駅より徒歩3分)
 今年度は、神奈川県支部実行委員会との共催です。記念講演や夕食交流会、分科会など楽しく交流できる企画をと、神奈川県支部の女性が奮闘しています。保育室を設けますので、お子さま連れでどうぞ。くわしくは支部女性部または本部女性部へ。


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