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◆第1540号(2002年12月5日付)◆

人事課長と秋闘課題で交渉

公務員制度改革  一方的な試行は行うな

 全厚生は11月29日、大臣官房人事課長と秋闘の重点要求にもとづく交渉を実施。交渉には全厚生から杉下委員長、飯塚・鈴木・藤巻各副委員長をはじめ、本部役員8人が出席。人事課からは、金子人事課長、宮島参事官、篠原人事調査官らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長が要求趣旨を説明。公務員制度改革の課題では、ILO理事会で採択された勧告内容を踏まえ、政府・行革推進事務局との交渉・協議について、組合の主張は受け入れられていないと指摘。改革方向が人事院の権限を縮小して政府や各省の権限を強化するのであれば、労働基本権問題は避けて通れない課題であると強調。その上で、能力等級制度及び評価制度の導入は、労働条件に直結する問題であることを指摘。一方的な試行を行わず、労使の交渉・協議を徹底し、双方の合意にもとづき行うよう要求しました。
 医療制度改革の課題では、年内に厚生労働省の改革案を示そうとしているもとで、政府管掌健康保険について、国の責任で全国一体で実施すべきことを主張。
 これに対し、金子人事課長が回答。賃金改善の課題では、「労働基本権の代償措置である人事院勧告を尊重することが基本的な立場であり、今後とも必要である」との見解を示しました。実質的な不利益遡及の問題では、「皆さん方には納得できないものだと思う」と述べつつ、「給与改善については、今後とも機会を捉え関係機関に必要な要望をしたい」と回答。退職手当の問題では、「退職金は、職員の退職後の生活にとって非常に大きな糧になる。非常に影響が大きいので懸念し、深刻に受けとめている」との認識を示し、「今後、総務省から具体的な案が示されると思うが、機会をとらえ必要な意見・要望をしていきたい」と回答しました。
 公務員制度改革の課題では、「公務員制度改革全体の考え方は、これまでも終始一貫して政府全体として見直しをしていく方針になっている。具体的な内容は中味が適切なものになることが必要。実施のプロセスも公正、信用が必要であり、我々も努力してきた」と回答。さらに、ILO勧告に対する総務省見解にもふれて、「今後とも関係者と幅広く意見交換し検討をすすめるとしている。厚生労働省としても、全厚生に必要な情報提供を行い、意見を聞いた上で、行革推進事務局に対し、省として必要な意見、要望を申し入れたい」と回答しました。

女性職員の採用登用拡大を

 女性職員の採用と登用拡大の要求では、「昨年11月に厚生労働省女性職員採用・登用拡大計画を策定した。この計画にもとづき、積極的に取り組んでいきたい」と回答。増員要求について、非常に厳しい状況を述べつつ、「厚生労働省全体の業務の重要性、仕事の特殊性等を充分踏まえ、必要な増員の確保について、省をあげて全力で取り組んでいきたい」と回答。本省庁の恒常的な残業実態の改善では、「厚生労働省超過勤務縮減対策要綱を策定し、これに基づき管理職員が認識をもって取り組むよう指示してきた」と回答。さらに、「実効性を高めるために月に2度、消灯日を設け、午後7時までに事務室を消灯する取り組みを行っている。管理者の意識を高め、取り組みを定着させたい」と回答しました。
 医療保険制度改革について、特に政府管掌健康保険の問題について、「被用者保険の『最後の受け皿』として公権力を行使できることが必要である」と回答。その上で、「社会保険制度全体の効率性や、事業主の負担軽減の観点から、適用・保険料徴収の一体的な運営を実現していくことが必要であり、政管健保と年金保険の運営主体を切り離すことは効率性を悪化させることから、公的組織が運営していくことが適当であることを様々な機会をとらえて主張したい。具体的内容は、検討の進捗に応じて情報提供を行うなど適切に対処したい」と回答しました。
 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所の廃止に伴う職員の雇用保障については、「職員にとって最も基本的かつ重要な問題と認識している。今後も厚生科学課及び関係機関に対し、関係職員には必要な情報は伝え、本人の意向についても十分配慮し、誠意をもって指導、対応したい」と回答。昇格改善の課題では、3級昇格について単独で研究実績がでにくい場合について、「部長、室長等の指導・助言を受け共同研究等を行うことにより研究実績があげられるよう、今後とも、各機関に働きかけていく」と回答。福祉職4級、5級の上位級定数の拡大については、「各機関の定数使用状況等を踏まえ、今後とも必要定数の確保に努めたい」と回答。新再任用制度について、希望者全員の雇用実現の要求に対しては、「職員が定年退職後の生活に不安を覚えることなく職務に専念できるよう、雇用と年金との連携を図るとともに、長年培った能力・経験を有効に発揮できるように導入された。制度の趣旨を踏まえれば、希望者全員が雇用されることが望ましいと考えている」と回答。その上で再任用には、「一定の選考を行ことが必要であり、運用方針を策定し、昨年7月に通知している。一部の機関等ではなかなか難しいとの指摘を受けているが、趣旨を踏まえ、適正、公正な運用をはかることで今後とも対応したい」と回答しました。


公務員制度改革でILOが勧告

日本政府を厳しく批判

 ILOは、11月21日、日本政府が進めている公務員制度「改革」に対して、日本政府を厳しく批判する勧告を行いました。今回の勧告は、全労連等がILOに提訴したこと受けて行われたものです。
 勧告では、公務員制度「改革」の内容が、人事院の権限を縮小し、使用者としての政府の権限を大幅に拡大する一方で、労働基本権の制約は維持するとしていることに対して、「政府は制約を維持すると言明した意図を再考すべきである」「国家の施政に直接従事しない公務員に結社の自由原則に従って団体交渉権及びストライキ権を付与すること」としています。
 また、「改革」に係る労働組合との交渉・協議に関わって、「すべての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行われるよう強く勧告する」とし、さらに日本政府が交渉・協議は行っていると主張していることに対して、「耳が傾けられたかもしれないが、聞き届けられなかったと結論せざるを得ない」と厳しく指摘しています。
さらにILOは、日本政府が、公務員の労使関係の歴史、社会的経済的背景、等々の国の事情が考慮されるべきと主張していることに対して、「すべての政府はILO条約の批准によって約束した誓約を完全に尊重する義務を負う」と一蹴し、日本の公務員制度がILO87号条約(団結権)、98号条約(団体交渉権)に違反すると断定し、結社の自由原則に合致させる方向で法律改正を求めました。まさに歴史的、画期的な勧告といえます。 国際世論を力として、勧告を無視する政府の姿勢を徹底的に追及する、今後のたたかいが重要となっています。


「全厚生」新年号子ども参加企画
こんなのいたらいいな キャラクター大集合
応募して図書券1000円分をゲットしよう。
イラスト大募集中!

 全厚生新年号「組合員のひろば」で、子ども参加企画「こんなのいたらいいな、創作キャラクター」大集合のイラストを募集しています。
 あなたが考えた想像上の生き物やロボットをイラストで紹介して下さい。ペットにしたい、カードゲームで使いたい、発明したい、アニメにしたいなど、あなたのアイデアキャラクター大募集。ハガキの裏にイラストとそのキャラの名前、解説を簡単に書いて送って下さい。そのまま印刷しますので、線は細くても良いので濃いめにはっきり書いてね。色をつけてもOKです。あなたの住所・氏名・年齢と組合員の支部名・氏名はハガキの表に記入して下さい。応募できるのは、組合員の子ども、孫、弟妹で、中学生までの方。締め切りは、12月24日本部必着。応募者全員に図書券1000円分をさしあげます。
宛先〒100−8916千代田区霞が関1−2−2
全厚生労働組合新年号イラスト係

「“極め派”大集合」と「恒例“お子ちゃまなりきりコンテスト”」の原稿も募集しています。くわしくは、支部役員、又は、全厚生本部まで。


組織再編などで国立管理室長と交渉

新再任用の具体的実現を

 全厚生は11月25日、国立施設管理室長と要求の実現を求め交渉を行いました。これには杉下委員長、藤巻・鈴木両副委員長ら本部役員と函館、塩原、リハ、秩父、神戸、福岡、別府の各支部代表が出席。管理室からは佐藤室長、森重補佐らが対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は(1)組織再編問題(2)公務員制度改革(3)全職員を対象にした新再任用制度の具体的な実現の3点について室長の見解をただしました。
 佐藤室長は公務を取り巻く厳しい情勢を述べた後、平成16年度に予定されている国立病院の独立行政法人化以降には更生援護施設の組織再編の議論がさけられないとの認識を前回の交渉に続き再度示しました。来年度、措置制度から利用契約制度(支援費制度)へ福祉施設のあり方が変わることも含め、入所者・利用者が重度・重複化、高齢化するなかで多様化するニーズに十分対応できる国立施設としての役割が発揮できるよう努力したいと回答。
 15年度概算要求については支援費制度への円滑な移行、定員・定数要求など現行のサービス水準を上回るようメリハリをつけ、優先順位を考慮しながら要求してきたが、厳しい査定結果となったと回答しました。
 定員要求では計画削減との関係で光明寮の定員がマイナスになることについて室長は現行を維持できるよう最大限の努力を約束。予算が確定した段階で具体的に対応する。また伊東に続く別府のPTの増員については16年度概算要求に入れたいと回答しました。
 定数要求では国リハ20、光明寮24、保養所17、秩父学園5の66の改定を要求していると明らかにしました。公務員制度改革では行革推進事務局が国公労連に対して行った説明のなかで「教(四)対象人員が少なくなることから、俸給表を残す意味があるか問題」との説明がなされたことについて、教官が教(四)である意味・経過を再確認しました。また秩父学園で準備されている勤務評定について室長は「職員間の温度差から不安感・不信感があることも認識している。国立としての役割発揮のため、職員のレベル向上など、活性化することは必要」と述べました。
 宿日直について、入所者のニーズや意識の変化もあり、弾力的で個別的な対応が求められる。所長会議でも議論して一つ一つでも改善したいと回答しました。 新再任用制度の問題では、制度があり、希望者がいるのに実現していないのが問題であり、具体的実現に向けて一層の努力をすべきであるとの追及に対し室長は、昨年は秩父で1人の再任用を行っている。全体調整の中で対応することから、各施設の話を聞いていきたいと回答。
 昇格の要求では各施設が抱える重点課題について交渉参加各支部代表から室長の回答を求め、早期昇格実現を要求しました。とくに行(二)の処遇改善では、業務や処遇の実態を当事者から直接訴えました。これに対し室長は査定当局が厳しい中でも例年以上の級別定数を要求している。最大限の努力をしていることをご理解願いたいと回答。
 人事異動についてはその必要性を述べた後、不公平感がないよう対応したいと回答。公務員宿舎の改善については、充分ではないが可能な限り優先するよう指示していると回答しました。

支部活動の現状を意見交換  福祉支部代を開催

 全厚生は管理室交渉前日の11月24日、東京・南青山会館で社会福祉支部代表者会議を開きました。会議では、翌25日の管理室長交渉に臨むにあたって打ち合わせを綿密に行うとともに、支部活動の現状を交換しました。塩原支部から参加した渡辺さん(ボイラー技師)は行(二)の厳しい労働実態を報告。また、秩父学園で行われようとしている勤務評定は公務員制度改悪の先取りと位置づけて重点的に取り組むことを確認しました。(今井進中執) 


行政研究推進集会を開催

小泉改革を問う  国交労連

 国公労連は11月23日、東京で行政研究推進集会を開催。各単組、ブロック・県国公などから113人が参加、全厚生は本省・神奈川県・国立リハの各支部と本部あわせて6人が参加しました。
 集会は来年秋に予定している「国公労連行政研究集会」に向けて各単組の行政研究の状況報告と交流、今後の取り組みの方向性を確認することを目的として開催しました。
来年の行研集会の統一テーマは「構造改革と路線の検証」。このテーマに沿った活動の中間的な報告を、12単組1県国公が行いました。特に、雇用と暮らし、命に関わる分野での行政研究活動の推進が求められているもとで、全労働、全医労、全国税等が小泉改革の問題点を指摘、行政サービスの後退を許さず拡充を目指していく方向性を示しました。
 全厚生は、飯塚副委員長が「国民本位の医療保険制度の確立を目指して」と題して報告、政管健保を国の責任で実施することの重要性について主張。医療保険制度体系の見直し問題に対する全厚生の基本的考え方を示し、独自の行研集会を開催したい。」との決意表明をしました。
 集会のまとめでは、国民に痛みを押しつけるだけの小泉内閣の悪政の中で、公務員労働組合として国民の側にたった行政研究は重要となっており、来秋の行政研究集会の成功と、「政策提言」をめざして各単組が取り組むことを全体で確認。   全労連の寺間誠治総合労働局長が「雇用・地域経済問題から見た国の行政」、永山利和日本大学教授が「公共投資など財政から見た国の行政」との記念講演をしました。


青年部秋の学習会を開催

人勧制度ときりたんぽ  秋田県

 10月26日〜27日に森吉町森吉山高原キャンプ場で全厚生秋田県支部青年部の秋の学習会が行われました。雪が降っても不思議で無い晩秋の高原に講師の支部長・小畑氏を含む、37人もの青年部員が集まりました。
 学習会では、小畑支部長から人事院勧告制度について講演をしていただき、人事院勧告の基本的な流れ、目的、現在に至るまでの過去の歴史などの講義を受けました。また、来年度の各分会への交付金の配分方法と、青年交流集会への財政活動について班別に討議してもらいました。各班からは現実味のある提案や、妙案、ただの思い付きまで多種多様な意見が出され大いに盛り上がりました。
 夜は今年度採用の新組合員を囲んで懇親会を行いました。班別で作ったきりたんぽ、豚汁、焼そばに舌鼓を打ち、ビール、日本酒で体を温め、極寒の高原の夜を乗り切り、交流を深め秋の学習会は成功に終わりました。
(青年部長 戸沢吉徳)



11.21国交労連秋年闘争

第3次中央行動参加者の声

社会保障制度は国の責任で 滋賀県支部組合員
 社会保障制度は、当然国が責任を持って行うべき制度であり、国民が安心して、生活できる制度を確立するのが、当然の責務である。その制度が、改悪され、国民生活が益々苦しくなるという今の政府は、どう考えてもおかしい。許されるべきではない。その政府に対し、官民一体となって、闘い、要求を実現し、強いては、私たちが、誇りをもって働ける職場になるよう、全員でがんばりましょう。

違法行為を許さないたたかいを 神奈川県支部組合員
 マイナス勧告による賃下げ、退職手当切り下げなど一連の公務員攻撃と、ILOが公務員制度改革に対して明確に違反行為と言ったのに改悪をおしすすめる今の政府に一言。「公務員の生活実態もILOの各国も無視かよ!それでも法治国家かよ!」

初参加で勉強になった 香川県支部組合員
 今回、初めての中央行動参加となりましたが、全国から集まった方々の雰囲気に圧倒された感じです。今回の行動を通じて公務員制度改革をはじめとする様々な問題を改めて認識し、大変勉強になりました。

退職手当もお給料も不安だらけ 愛知県支部組合員
 私が退職する時いくら手当金がもらえるのでしょうか?その前にいつまでこの職場で働くことができるのでしょうか?お給料はどこまで下がるのでしょうか?不安だらけです。

(参加者の声は次号につづく)

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