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◆第1532号(2002年9月5日付)◆

全厚生第66回定期大会のポイント

情勢を語り職場活動の前進を

 9月13日から3日間静岡県熱海市で全厚生第66回定期大会が開催されます。定期大会に向けて、情勢やたたかいの構え、議案討議のポイントなどを杉浦書記長に聞きました。

小泉「構造改革」は許さない

 定期大会は、1年間のたたかいを総括し、今後の活動の基本方向を議論する場です。そのために、今年は情勢を語ることを重視します。
 小泉首相は、「自民党をかえる。変わらなければぶちこわす」と叫びました。しかし、小泉首相がこわしたのは、国民の生活です。いま、政府・財界と労働者・国民の要求とが鋭くぶつかり、日本の進路をめぐる激しいせめぎあいになっています。有事法案を廃案にするたたかいは引き続く重要な課題です。このたたかいを少しでも弱めれば、憲法は、停止状態に追い込まれてしまいます。行革・公務員制度改革とのたたかいも正念場です。国民のための厚生労働行政をめざすとともに、働くルールを確立するために奮闘する決意を固めあう大会にしていきましょう。

「マイナス勧告」許さぬたたかいをただちに

 史上初の「マイナス勧告」をうけてのたたかいをただちに開始します。公務員労働者とその家族はもちろん、人事院勧告の影響を直接的に受ける750万人の労働者の生活を直撃する4年連続の年収引き下げや実質的に不利益を「遡及」実施する勧告を受け入れることは到底できません。
 当面、政府が勧告についての判断を行う閣議決定期までの取り組み、さらに、秋の臨時国会段階での給与法「改正」にむけて、生活改善のために全力をあげましょう。

民主的公務員制度の確立めざす

 公務員制度改革とのたたかいは、重要な段階を迎えます。公務員制度改革は、進め方、内容ともに問題であり、先のILO総会でも日本政府に対する批判が相次いでいます。政府・行革推進事務局が来年の通常国会で国家公務員法改正法案の国会提出をもくろむなら、秋には改正案の骨格を固めなければなりません。政府主導の一方的な検討にもとづく国公法改正を先行させてはなりません。
 こうした情勢のもとで、@民主的な公務員制度の確立をめざすA労働基本権の保障を基本要求とし、一方的な労働条件の決定は許さないB競争原理の導入で差別と選別を強化する人事管理制度に反対する、この3つの要求をかかげてたたかいます。公務員制度改革で必要なことは、憲法の理念を生かす方向で、現行制度を改革することです。

国民の願いに応える厚生労働行政を

 小泉「構造改革」は、厚生労働行政の各分野を直撃しています。政管健保の事業運営や組織体制の「見直し」や福祉施設の「見直し」、特殊法人改革や独立行政法人化の攻撃など、私たちの職場と行政、雇用と働き方に直結する課題です。この課題を攻勢的にたたかうとともに、国民の願いに応える厚生労働行政をめざした取り組みを重視します。これは、各部門の特性を生かして進めます。この間、全厚生の基本方針に据えている行政民主化、行政研究活動を前進させるために引き続き努力します。国民のために厚生科学研究、社会福祉施設、社会保険行政をめざし取り組みます。

団結を強め、国民的共同めざす

 いま、人間らしく働くルールや人権が無視されているのは、働く側の団結した力が弱いためです。基本的な力関係をかえるために、国民的な共同をめざしてたたかうことが重要です。今年の春闘では、国民総決起型の春闘をめざしました。その次の年のチャレンジです。日本の労働組合は、多くが企業別に組織されています。この企業や産業の枠を超えて、地域での共同の取り組みを基礎にして、国民的な運動をつくりあげる一翼を担います。

活動を交流し、職場を基礎にたたかう

 あらためて、職場を基礎にして、たたかうことを意思統一します。職場での仕事の変化に注意を払い、いかに職場活動を前進させるかを知恵を出し合い探求します。
 職場で団結を強めるための特効薬はありません。地道な活動をねばり強く続けることです。この1年間、支部・分会で行ってきた様々な活動を交流し、学びあい、相互に生かします。議案では、支部・分会活動をすすめる軸になる執行委員会を改善することを提起しました。すべての支部・分会は、「元気になり、高まっていく」会議運営をめざしましょう。


リレーずいそう
● 全厚生は完全分煙に
 全厚生の定期大会が近づいてきました。大会に参加していて、いつも不思議に思うことあります。代議員に喫煙者が多いことです。全厚生の議案書には「国民のいのちと暮らしを守る」「メンタルヘルスの課題を重視・・」とあり、心の病である精神疾患の例として「アルコール依存症」が入っていますが、「ニコチン依存症」が欠落しているように、全厚生は、非喫煙者を守る姿勢が弱いと考えます。喫煙による死亡などの健康障害は非喫煙者の数倍から数十倍に及び、受動喫煙つまり副流煙の方がさらに有害という調査結果がでています。
 私は昨年の定期大会で組合員の健康を守るため全厚生が率先して喫煙対策をするよう提案しました。欧米では、非喫煙者保護法により屋根付き空間での禁煙など完全分煙が行われています。全厚生の定期大会では、一応分煙の形式は取っていますが、会議室に隣接した廊下での喫煙は非喫煙者保護にはほとんどなりません。ましては夕食時に非喫煙者が副流煙に苦しんでいることを考えず平然と喫煙をされる行為は理解に苦しみます。WHOは「喫煙は病気の原因の中で予防できる最大にして唯一の原因」として、完全分煙を呼びかけています。全厚生が喫煙による健康被害者を出さないため、喫煙対策と非喫煙者保護法案の制定に努力されることを願っています。
(ハンセン病研究センター支部 儀同政一)


News
● マイナス調整は「不遡及」か ―大阪の人事院勧告説明会で紛糾―
 8月12日、大阪で人事院本院による人勧説明会が実施され参加してきました。マイナス勧告もさることながら、「不利益不遡及の原則」を踏みにじる12月賞与で行なおうとする「マイナス調整」が質疑の中心となりました。人事院曰くは、あくまで不利益の遡及をせず実施日は給与法成立の翌月1日である。マイナス調整は「情勢適応」のため仕方がない、しかし「遡及」ではない。と全く説得力のない説明を繰り返し、参加者からは怒り続発、説明会における質疑のやり取りが、交渉と化していました。今回の勧告が人事院自身、説明出来ないほどのまったく不当な内容であることがあらためて浮き彫りになりました。(京都支部 川口博之書記長)

● 国共病院の再編・合理化反対 ―国公共済運営審議会当日に抗議集会―
 8月27日、国家公務員共済組合連合会は、共済(直営)病院の「新たな再編・合理化計画」策定のための運営審議会を開催しました。これに対して、国公労連や医労連の支援のもと国共病院組は、連合会前で経営不振を口実としたリストラや合理化に反対する決起集会を開催。全厚生も支援に駆けつけました。(写真右)


アメリカの核先制使用政策に批判集中

国際会議に参加して<中>中央執行副委員長 加藤重徳
 今回の国際会議に参加するに当たってのわたしの問題意識は、アメリカの核先制使用政策についての国際的世論でした。21世紀を迎えて、核兵器廃絶の流れが大きく広がっているなかで、アメリカのブッシュ政権が今年1月に核態勢の見直し政策を発表し、7つの国の名前をあげ核兵器の先制使用もありうること、また地中の目標を破壊するための新型核兵器開発を打ち出したことに対して、海外の代表がどうとらえているのか、注目しました。
 多くの代表がアメリカの核先制使用政策を批判しましたが、その一人アメリカ代表の発言を見ることにしましょう。アメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんは、ブッシュ政権がABM条約(弾道弾迎撃ミサイル制限条約)から離脱したこと、軍事予算を3分の1近く増して4千億ドルに引き上げ、海外軍事基地のネットワークを広げ、危険きわまりない「核態勢見直し」を発表したことを指摘し、武力行使を規制しているジュネーブ条約や国連憲章など国際法を放棄・破壊していると批判しました。
 そしてガーソンさんは「ワシントンの無謀な一国単独行動主義者たちは、今後数カ月間に、イラクにたいして戦争、しかも核戦争までもしかける準備をすすめている」と告発します。こうしたブッシュ政権の核態勢見直し政策は米国のマスコミも批判しており、ニューヨーク・タイムズ紙は社説でアメリカは核の「ならずもの国家」になりさがったことを紹介。そうしたなかで、アメリカの政治情勢と文化は最悪の状態にあり、「ブッシュ政権は国内の批判的な考え方や民主的な意見をもつ人々を弾圧しようとしている」ときびしく糾弾しています。
 こうしたブッシュ政権の戦争政策に抵抗して、アメリカ国内の平和活動家たちは、平和集会、会議や抗議集会、デモ行進などを展開、対イラク戦争反対運動、核の危険を終わらせるなどのとりくみを行っています。そしてアメリカ政府に対して、核兵器の先制使用をしないこと、核弾頭の開発、実験、生産を永久にやめることなどをよびかけ、2004年の大統領選挙までに1000万人分の支持署名を集めることをめざしていること、そして「グローバルな軍事十字軍(米軍)を阻止しなければならない」と発言を結びました。ブッシュ政権の戦争政策への批判者に対する弾圧やイスラム教徒やアラブ系アメリカ人に対する日常的な差別、虐待を受けている実態、大統領命令によって2千万人もの移民が秘密の軍事裁判にかけられことができるようになったなど、ブッシュ政権が米国内の平和・民主主義を破壊し、国民を戦争に動員しようとしていることが、ガーソンさんの発言で浮き彫りになりました。
(つづく)


アメリカで人々は真実を知らされていない

私のヒロシマ・ナガサキ体験<連載(2)>本部書記 西田志緒
 国際会議では、発言者のほとんどが米国・ブッシュ政権の外交姿勢、核戦略を批判しました。米国の一国主義=ユニラテラリズムに強く反対し暴走を阻止しよう!これが世界中の平和活動家の共通認識なのだと痛感しました。
 米国からも多くの代表が参加していましたが、9・11テロで弟さんを亡くしたリタ・ラサルさんの「米国のマスコミは『テロが世界を変えた』と報道したが、ルワンダの大虐殺、旧ユーゴの戦争やエイズで同じように報じたのを聞いたことがない。これらはなぜ世界を変えたことにならないのか」という問いかけは、印象深いものでした。
 私は米国の傲慢な外交をテレビや新聞で見る度に不思議でなりませんでした。米国民はなぜブッシュ政権を支持するのだろう?本当に戦争が正義だと考えているの?
 今大会では、米国内にも大勢の平和活動家がいることをはっきりと認識することができました。米国フレンズ奉仕委員会(AFSC)のトニー・グエンさんは「米国ではメディアが規制され、人々は真実を知らされていない」と言います。実際は米国の各地でアフガンへの報復反対デモが行われ、4月にも米政府の他国への軍事的干渉に対してワシントンで10万人規模の平和行進が成功を収めるなど、大きな国民の運動があります。また同委員会のアダム・デイビスさんは「私の国は半世紀前の日本の惨禍を忘れてしまっている。学校では核兵器の恐ろしさについて何一つ教わらなかった。国民は、米国に苦しめられている人は誰もいないのだと騙されてきた」と。
 米国の青年と話してみて、初めて知った事でした。外国から日本を見たら、やはり脅威と怒りをおぼえるだろう、米国と日本は同じなのだと感じました。また一方で、米国内にそれだけ大きな国民の力があるのに依然ブッシュ政権の暴走を阻止できないでいることも事実です。日本でも同様に、有事法制など危険な動きは止まっていません。私たち一人一人ができる事を、さらに周囲に広げていくことの大切さを強く感じました。
(つづく)


神戸視力/支部定期大会で確認

厚社連をリード

 7月17日、神戸視力障害センター会議室で2001年度神戸支部定期大会を開催しました。
 大会の冒頭今井支部長は、公務員を取り巻く厳しい状況の今だからこそ組合原点に立ち返り団結して課題に取り組もうと挨拶しました。本部の加藤副委員長は平和の問題を熱っぽく語り、政府が進める有事法制がいかに国民を犠牲にした悪法であるか、大変わかりやすい語り口で参加者全員なるほどとの思いで聞くことができました。書記長から一年間を振り返っての要求の前進を検証する報告がされ、今後一年間の活動方針の提案が全会一致で承認されました。職場の展望が見いだせるような組合要求を再構築して要求で団結していくことを確認し合いました。最後に挨拶に立った逢坂・新支部長から力強い抱負が語られました。
 神戸支部は厚社連をリードしてゆく支部となるべく頑張ります。
 新役員は次のとおり。
支部長逢坂 忠
副支部長渕上正寛
書記長小坂昌博
(神戸支部 小坂昌博)


秋田県/支部定期大会を開く

暑い日に熱い討論

 秋田県支部は、7月26日、第35回定期大会を開催しました。
 本部の加藤副委員長は夏季闘争を中心に、情勢報告を踏まえたあいさつ。今井中執(神戸支部)は、ベトナムの視覚障害者との交流など普段私達が耳にする機会のない貴重な話を紹介しました。
 討議では、4月からの国民年金事務に関して数多くの意見、要望、現場に携わる組合員の生の声が出される等、例年にもまして活発な意見が飛び交う大会となりました。
 新役員は次のとおり。
支部長小畑 浩
副支部長勝浦 努
竹村 隆
仙葉拓史
遠田俊治
書記長佐々木聡
書記次長佐藤幸樹
(秋田県支部 佐々木聡)


日本母親大会に参加して

子を守るため手をつなごう

 7月27・28日福岡県で開催された第48回日本母親大会に参加しました。
 1日目は「学力って何?」の分科会に参加。今年4月から新学習指導要領のもとで、学校週5日制、「総合的学習」の実施、評価(通知票)が相対評価から絶対評価へと学校は大きく変わりました。「絶対評価はがんばりが報われる評価」と思われがちですが、私の子の通う小学校の評価のハードルは高く、政府・文部科学省がめざしている「一握りのエリートと大多数の凡才」を選別するシステムそのもので、大いに矛盾を感じていたので、発言もしました。分科会には160人が参加していましたが、教員も多く、学校現場での工夫や悩みも多く紹介されました。少人数授業の名のもとに習熟度別クラス編成授業も導入されはじめており「習熟度別少人数授業ではなく少人数学級を」の運動も重要と知りました。「学力とは生きる力」「教員と親がともに子どもをしっかり見つめていこう」「子どもの励みになる評価制度を」などを話し合い、がんばっている教員や親たちの話を聞いて、明るい未来を感じました。労働者にとってのいわゆる「子育て支援策」はもっぱら未就学の子どもが対象なので、もっと親(父も母も)が学校と関わっていくために、制度改善(例えば、子ども看護休暇の対象年齢引き上げ)や残業問題などの労働条件改善、子の教育の悩みを語り合う場づくりなど、労働組合として取り組むべき課題を考えさせられました。
 2日目の全体会では、アフガニスタンで18年に渡り医療活動を続けている中村哲医師が記念公演。アフガニスタンの人々に心寄せ、文化の違いを認め、誰の支援も届かないところに手をさしのべる活動と変わらぬ誠実さに心打たれました。
 また、全厚生女性部の清水美穂部長が1万2千人の参加者を前に、業務センター支部の賃金職員雇い止め撤回、雇用継続問題を発言し、参加者に感動を与えました。(本部書記 近藤浩美)

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