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◆第1531号(2002年8月15・25日付)◆

史上初の賃下げ勧告に怒り

本俸マイナス2.03% 一時金マイナス0.05月

 人事院は8月8日、国会と内閣に対して、一般職国家公務員の給与改定に関する勧告等を行いました。それは、(1)月例給与についてマイナス「2・03% 7、770円」の官民逆較差が生じたとして、給与勧告制度創設以来初の本俸の引き下げ改定(2)4年連続となる期末・勤勉手当(ボーナス)の0・05月切り下げ(3)3月期のボーナスを廃止し6月期と12月期に再配分し、勤勉手当の割合を増やす(4)今年の4月まで遡り実施するため、すでに支払った月例給のマイナス分を12月期の期末手当で減額調整(5)配偶者扶養手当の削減などを内容とするものでした。
 今回の勧告は、平均年収で2・3%・15万ものマイナスとなります。これは、公務員労働者とその家族はもちろん、人事院勧告の影響を直接的にうける750万人の労働者の生活を直撃します。そればかりか、年金受給者をはじめとする国民の生活にも影響を及ぼすなど、その社会的影響は多大なものがあり、現在の消費不況をより一層深刻化します。全厚生は人事院・政府へ抗議の打電をするとともに、「賃下げ勧告の完全実施に反対する署名」に取り組んでいます。公務員労働者の生活を守るため、また、公務・民間の「賃金切り下げの悪循環」を断ち切るために、国民との対話と共同を広げ断固たたかいぬきましょう。

厚生共闘 マイナス勧告やめよ 人事課長に申し入れ

 人事院勧告を目前にした8月6日厚生共闘(全厚生・全医労)は、厚生労働省官房人事課の井口人事課長に賃金問題で緊急に申し入れを行いました。これには、保木井議長(全医労委員長)、杉下副議長(全厚生委員長)らが出席。
 保木井議長は、人勧の情勢にふれて「たいへんきびしい情勢だ。マイナス勧告になれば現役労働者のみならず年金生活者にも影響する。重大な事態だ。私たち国公労働者は汗をかいている。使用者責任として課長も最後まで努力をしてほしい」と要請。杉下副議長は「4月に遡って引き下げるなどは絶対に容認できない」と発言。井口課長は「このままだと戦後初のマイナス勧告がでるのでは、と心配している。すでに関係機関には要望してきているが、みなさんのご意見はよく理解できる。職員が働く意欲をなくしたらいけないと思っている。勧告を見定めていきたい」と述べました。

2002年勧告の主な内容
 本年の給与勧告のポイント
(1) 官民給与の逆較差(△2.03%)を是正するため、給与勧告制度創設以来 初の月例給引下げ改定
 〜 俸給表の引下げ改定及び配偶者に係る扶養手当の引下げにより措置
(2) 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.05月分)
(3) 3月期のボーナスを廃止し6月期と12月期に再配分。
 併せて、期末手当と勤勉手当の割合を改定
(4) 年間給与で実質的な均衡を図るため、不遡及部分については、12月期の 期末手当の額で調整
 〜 平均年間給与は4年連続の減少(△15.0万円(△2.3%))


 官民給与の比較
約7,900民間事業所の約40万人の個人別給与を実地調査(完了率93.8%)
〈月例給〉 官民の4月分給与を調査(ベア中止、定昇停止、賃金カット等を実施した企業の状況も反映)し、職種、役職段階、年齢、地域など給与決定要素の同じ者同士を比較
〈ボーナス〉 過去1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
 ○官民較差(月例給)△7,770円△2.03%[行政職…現行給与382,866  円 平均年齢40.9歳〕
 (俸給 △6,427円 扶養手当 △618円  はね返り分 △412円 特例一時金(廃止) △313円)


 改定の内容
〈月例給〉 官民較差(マイナス)の大きさ等を考慮し、これに見合うよう月例給を引下げ
(1) 俸給表:すべての級のすべての俸給月額について引下げ
○行政職俸給表 級ごとに同率の引下げを基本とするが、初任給付近の引下げ率を緩和、管理職層について平均をやや超える引下げ率(平均改定率△2.0%)
行(一)の級別引下率(再任用を除く)
1・234〜78〜11
引上率(%)△1.7△1.9△2.0△2.1△2.0
 ○指定職俸給表 行政職俸給表の管理職層と同程度の引下げ(改定率 △2.1%)
 ○その他の俸給表 行政職との均衡を基本に引下げ
(2) 扶養手当
  ・配偶者に係る支給月額を引下げ(16,000円→14,000円)
  ・子等のうち3人目以降の支給月額を引上げ(3,000円→5,000円)
(3) その他の手当
 ○俸給の調整額 平成8年改正に係る経過措置を廃止し、新たな措置
〈期末・勤勉手当(ボーナス)〉
 民間の支給割合に見合うよう引下げ 4.7月分→4.65月分
(1) 3月期の期末手当で引下げ(△0.05月)
(2) 民間のボーナス支給回数と合わせるため、3月期の期末手当を廃止し6月期、12月期に配分
(3) 民間の支給状況等を踏まえ、期末手当と勤勉手当の割合を改定(15年度から)
 (一般の職員の場合の支給月数)
 6月期12月期3月期
本年度期末手当
勤勉手当
1.45月(支給済み)
0.6月(支給済み)
1.85月(現行1.55月)
0.55月(改定なし)
0.2月(現行0.55月)
15年度期末手当
勤勉手当
1.55月
0.7月
1.7月
0.7月
廃止
〔実施時期〕給与水準引下げの改定であるため、遡及することなく、公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)から実施するが、4月からの年間給与について実質的な均衡が図られるよう、12月期の期末手当の額について所要の調整措置


 地域における公務員給与の在り方
 給与配分の適正化の観点から、俸給制度や地域関連手当等の諸手当の在 り方について抜本的に見直し


 公務員給与制度の基本的見直し
 職員の職務・職責を基本にその能力・実績等が十分反映される給与制度を構築する必要
【その他】
 ・公務の活力を維持するため、実績を上げた職員に報いるよう、特別昇給や勤勉手当を活用する必要
 ・独立行政法人化の一層の進行に伴い、その役職員の給与水準を国として把握することが必要


リレーずいそう
● 季節の音に一喜一憂
 神戸に来て二度目の夏が過ぎようとしています。今回は私が感じた神戸の、春と夏の朝を彩る季節の音(声)についてお話します。
 当センターは近くに古墳などが有るせいか、自然に恵まれており、動植物の種類や数が多いように思われます。春の朝は様々な野鳥の声で目が覚めます。都会ではあまり耳にすることが無いような鳴き声を聞くことも有ります。特に昨年は5月中旬まで、鶯の声で爽やかに目覚めることが出来ました。これは なかなか良いものです。神戸の春は好きな季節になりそうです。そして7月 夏の朝の主役はクマ蝉です。
 皆さんはクマ蝉をご存じですか。私は神戸に来るまで知りませんでした。クマ蝉はおよそ静岡以西に生息する大型の蝉で、その鳴き声は「シャーン シャーン シャーン シャーン」とボリュームも大きいのです。センターの朝は5時を過ぎる頃になると、たくさんのクマ蝉が一斉に鳴き始めます。とても寝ていられるものではありません。そんな日が蒸し暑さとともに数週間続くのです。爽やかな目覚めは何処へ行ってしまったのでしょう。  
 ある人曰く、「あれは夏になるとやってくる上々颱風(シャンシャンタイフーン)や」。じっと通り過ぎるのを待つしかなさそうです。皆さんはどんな季節の音を聞いていますか。
(神戸支部 支部長 逢坂 忠)


News
● 雇用とくらし守る共同追及を ―全労連第20回定期大会を開催―
 全労連は、7月24〜26日、「雇用・くらし・いのちと平和を守り、政治の民主的転換に向け、壮大な共同の発展を」のスローガンのもと、第20回定期大会を東京都内で開催しました。大会では、小林議長の主催あいさつの後、坂内事務局長他が、運動方針と総括、「組織拡大推進基金」創設、予算・財政方針、規約・規則改正を提案。
 向こう2年間の運動の基調として、(1)「目標と展望」実現への着実な到達点の確保(2)あらゆる社会勢力との国民的対話の追求(3)結成15年にふさわしい組織と機能の強化、を掲げています。大会議論は、(1)賃金要求のあり方を含む「4・12国民総決起春闘」の発展方向(2)「組織拡大推進基金」創設の是非(3)リストラ「合理化」反対闘争の到達点と教訓、に集中しました。討論を受けて、全労連幹事会が「基金」の修正提案を行い、運動方針案とともに圧倒的多数の賛成で採択されました(国公労連は全議案に賛成)。
 役員改選では、国公労連の熊谷金道氏が第5代議長に選出されました。


原水爆禁止2002年世界大会に参加

核兵器のない平和で希望のある世界を国際的連帯と共同を広げよう

 「核兵器のない平和で希望ある世界を 国際的連帯と共同を広げよう」と、原水爆禁止2002年世界大会が8月2日から9日まで開催されました。日程は、8月2〜4日「国際会議」(会場は広島)、4〜6日「原水爆禁止2002年世界大会・広島」、8・9日「原水爆禁止2002年世界大会・長崎」。全厚生からは、10人が参加。「国際会議」や「世界大会・広島」の参加者リポートを紹介します。

核兵器廃絶の展望を 原水禁世界大会・広島

 8月4日から広島で開催された「原水爆禁止2002年世界大会・広島」。全国から7000人が参加した開会総会は、「核兵器廃絶の展望を作りだす大会にしよう」と力強い開会宣言でスタートしました。
 広島市の秋葉市長の「核兵器廃絶と平和な社会の実現に世界の指導者が真剣に取り組むべき」とするメッセージを市民局長が代読。また14歳の時に長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会の山口さんは「原爆は悪魔」と体験を語り、「広島を平和の発信地に」の願いをこめて訴えました。2人の来賓あいさつのあと、ラオス、マレーシア、ニュージーランド、スウェーデン、ベトナム、南アフリカ、バングラデシュの7カ国の国家元首のメッセージも紹介。ほかにも日本各地の首長、著名人などから大会に寄せられたメッセージが900人以上にのぼることが報告されました。
 実行委員会議長団を代表して、主催者報告した安斎育郎(立命館大学教授)さんは、2日から開催されていた国際会議で採択した「国際会議宣言」の内容を報告。「アメリカは核兵器を単に武器としてだけでなく、政治の道具として、もてあそんでいる」と非難、「今こそ自分に何ができるかを、主体的に考え、行動しよう」と呼びかけました。
 今大会には、26カ国・40団体、5国際・地域団体の64人、および政府代表2人の計66人が海外から参加。政府代表からは、エジプトのムバラク外務次官とマレーシアのフサイン軍縮大使の二人が特別報告し、核兵器廃絶のため、各国政府も市民社会の代表も手をつなごうと訴え、政府とNGOの協力の重要性を強調しました。
 そのほかの海外代表や国内の各分野の代表がアメリカの横暴を許さず、戦争も核兵器もない希望ある世界を築こうとたたかいの経験を報告、大きな拍手に包まれました。海外からの報告では、昨年9月11日のアメリカでのテロ事件で弟さんを亡くしたリタ・ラザールさんが、事件を口実に、ブッシュ大統領が弟の名でアフガニスタンで戦争を起こしたことに反対し、「平和な明日をめざす9月11日の家族の会」を結成。危険な方向へと流れようとする動きに抗して運動しているものがアメリカにもいることを示したいとの発言が心に残りました。
 国内各地からの報告では、40人の代表団を組んだ沖縄県が米軍基地の撤去の問題、北海道や神奈川県からは核兵器廃絶を求める「アピール署名」数が住民の過半数を超えた取り組みなどについて発言。国民平和大行進の通し行進者や各地の行進者がステージに並び、多くの首長が一緒に行進しことや行進中に誕生日も迎えたことなどが楽しく報告されました。
 作家の早坂暁さんは、被爆者が描いた絵の陶板建設運動を進めていることを紹介。2枚の絵を掲げながら「第1号を詩人・峠三吉の眠る西応寺に建設した。これこそ世界遺産。世界中の人にみてもらいたい」と訴えました。女性の憲法年連絡会の代表は有事法制反対の意見広告を日韓の新聞に掲載し、大きな反響があったこと、カンパに憲法9条の「9」を6つ並べた99万9999円のカンパがあったことなどを報告しました。
 大会2日目の5日は、多彩なテーマでの11の分科会・動く分科会、2つの特別企画に分かれ、核兵器のない世界を築くためにそれぞれの会場で運動の経験などを交流、熱い議論を交わしました。
 5日夕、広島県国公が主催する「平和のつどい」では財団法人平和文化センターの寺本さん(昭和9年生・10歳で被爆)から被爆体験を聞きました。「原爆資料館ができたのは私が20歳の時。一度みて正直いやになった」といいます。しかし今、こうしてピースボランティアとして話をすることは小さなことだが「小さな積み重ねが必ず大きな力になる」「少しでも平和の役に立つことしたい」と力強く答えていた姿が印象的でした。
 被爆者の平均年齢が70・8歳になり、被爆者から直接体験を聞くことが困難になりつつあります。今の青年が直接体験を聞く最後の世代ともいわれます。その状況の中で、原爆死没者追悼平和祈念館が平和記念公園内に完成したことの意義は大きいと思います。追悼空間の入り口の反対側、スロープの終点に「誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致し」と案内板が掲げられています。惨禍を語り継いでいくこと、歴史に学ぶことは、つらさとともに平和へ歩む確実な一歩だと考えさせられます。
 人類史上初めて原爆が投下されて57回目の8月6日。原水爆禁止2002年世界大会は「地球上のいずれの地にもヒロシマ・ナガサキを繰り返してはならない。連帯と共同の力で、核兵器のない平和で希望ある世界を実現しよう」と広島からの呼びかけを採択。決意を一つにして閉幕しました。
(國枝英樹中執)

過去を学び、平和への願いを心の中に持ち続けることから

 愛知県支部 國枝孝幸
 8月4日から6日にかけて広島で行われた原水禁世界大会に参加しました。この大会への参加は、2年前に参加したのに続き、2回目となります。
 今回の大会をはじめ、今年は、この原爆投下の日を迎えるにあたって、原爆投下の悲惨さが時の経過と共に忘れられてきていることへの警鐘と、昨年9月11日の同時多発テロ以来の報復戦争への反対や核兵器の使用もありとする発言に対する抗議が主なテーマとなりました。
 私は、世界大会の分科会を通じていろんな人の被爆体験を聞くことができました。そして、50年以上たったいま、ようやく被爆体験を話すことができるようになったという人もいました。それだけ、つらい記憶であったのだけれど、いま伝えておかないと同じ過ちが繰り返されて、あの当時のように、何の罪もない子どもたちがたくさん殺されてしまうという危機感・使命感あってのことだと思います。
 大会参加のほかには、8月6日の平和公園での平和記念式典に参加し、また、広島平和記念資料館や、8月1日に開館したばかりの国立広島原爆死没者追悼平和祈念官を訪れました。被爆した人たちの遺品が展示されているのを見ると、その当時の悲惨さが伝わってきて、核兵器の使用は絶対あってはならないと感じました。
 今回、このように広島へ行くことができ、いろんなことを感じましたが、戦争・核兵器使用に対して無関心であったのでは、過去と同じ過ちが繰り返され多くの命が犠牲になるという不安をものすごく持ちました。過去を学び、平和への願いを心の中に持ち続けることが、まずは誰もがなすべき平和活動なのではないでしょうか。

世界の反核・平和運動前進を実感

国際会議に参加して<上>中央執行副委員長 加藤重徳
 「核兵器のない平和で希望ある世界を 国際的連帯と共同を広げよう」と、原水爆禁止2002年世界大会国際会議が、8月2日から4日まで広島市の厚生年金会館で開かれました。
 わたしは、2年ぶりに国際会議に西田書記と一緒に参加しました。海外代表と日本代表の発言から、反核平和運動の前進を身をもって学ぶことができました。とくに、原爆被爆者や核実験被害者が、どんなに困難ななかでも決して希望を捨てずにたたかっている姿と発言に接し、その痛苦に胸がいっぱいになり、そっと目頭をおさえることもしばしばでした。
 国際会議には、非同盟諸国のマレーシア軍縮大使、核廃絶のための国家連合「新アジェンダ」グループのエジプト外務次官の政府代表を含む国際地域組織代表ら26カ国66人が参加し、アメリカの核兵器先制使用政策に対するきびしい批判をはじめ、核兵器廃絶の緊急性、広島・長崎の被爆者、在外被爆者や核実験被害者の補償援護の切実さが相次いでだされました。こうした熱心な発言を集約して、国際会議宣言(別項要旨参照)が満場一致で採択されました。
 なお「新アジェンダ」諸国とは、ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、スロベニア(のちにアメリカの圧力で脱退)、南アフリカ、スウェーデンの8カ国で、これらの諸国を「新アジェンダ」諸国とよんでいます。インド、パキスタンの核実験を契機に1998年6月、8カ国の外相が核保有5カ国と潜在核保有国を批判し、核兵器廃絶のための実際的措置と交渉を即時実行するようよびかけた「核兵器のない世界へ:新たな課題(新アジェンダ)の必要性」と題する共同声明を発表し、核保有国に核兵器廃絶への明確な誓約を求めたのです。
(つづく)

被爆の話は「あなた自身のために広めて」と

私のヒロシマ・ナガサキ体験<連載(1)>本部書記 西田志緒
 8月2日からの原水爆禁止2002年世界大会に参加してきました。そこで見て聞いて体験してきたことを紹介します。
 広島・長崎で被爆者のお話をたくさん聞くことができました。どの話も、とても想像に及ばない凄惨なものでした。
 日本被団協の小西さんは当時16歳、焼けた広島を全て見たはずなのに「白くぶよぶよに煮えてふくらんだ『とうふ』のような人々の顔」しか覚えていません。
 長崎の被爆者谷口さんは「自殺を考え家出したこともあったが『痛い苦しい』と死んでいった人々を思うとどうしても死ねない」。「私のこの話を遺言と聞いて下さい。この話をあなた自身のために広めて下さい」と語りました。
 8月6日の平和記念式典の後、近くのベンチに座っていた2人の女性に声をかけました。姉妹だという2人は、7歳と9歳で原爆を体験しました。一緒に外出していた父親と3人の姉は、2日後に他人に連れられて帰宅。瓦が頭にささったままの父、目がつぶれた姉、頬の皮膚が40pも垂れ下がって・・その3日後、全員が30分毎に亡くなりました。2人の口から何度も出てきた言葉「あの原爆さえなかったら」。あの原爆さえなかったら、私達は幸せなままだったろう、母はあんなに苦労せずにすんだろう・・。「幸せだった生活が一瞬にして崩れてしまった」という言葉がとてもリアルで恐ろしいものでした。最後に、2人は励ましの言葉をかけてくれました。「世界中の人が仲良く暮らせるのがいい。あなたのしている事は誰の為でもない、自分の為にきっとなるから。頑張りなさい」。
(つづく)

「原水爆禁止2002年世界大会国際会議宣言」(要旨)

(1)この半世紀余、人類の生存と平和を願う世界諸国民の運動は、核戦争を防ぎ、核兵器廃絶の世界的な合意をつくりだしてきた。
 この1年世界は、「9.11」テロと報復戦争という悲しむべき事態を目撃した。これを契機とした核大国アメリカによる核兵器使用の新たな企てが、世界に深刻な脅威をもたらしている。核保有国となったインド・パキスタン間の軍事緊張の高まりにも危惧が広がっている。
 地球上には、いまなお3万発の核兵器が存在し、人類の生存を脅かしている。核兵器の使用を封じ、核兵器廃絶の約束を実行させることは、21世紀のいまを生きる人々の共通の課題である。
(2)アメリカ政府は、核兵器廃絶の声に逆らい、覇権を求めて、核兵器の先制使用をもくろんでいる。国連では、毎年、核兵器使用は「人道に対する犯罪」であるとして、その禁止を求める決議が採択され、国際的な合意となっている。
 米政権の新しい方針は、こうした国際的な約束をも捨て去るもので、アメリカの同盟国も含め、全世界の政府と人々から非難と憂慮の声があがっている。また、国際紛争をかかえた印・パ両国は、核兵器使用の危険性をはらみながら軍事的対立を深めており、その平和的解決が切実に求められている。
(3)核兵器廃絶は、広島・長崎をくりかえさず、世界平和と人類の生存のために、ますます緊急の課題となっている。
 われわれは、核保有国に要求する。核兵器先制攻撃政策を放棄し、不使用を宣言せよ。新型核兵器の開発、ミサイル防衛計画、核実験の再開をはじめ、あらゆる核軍備の増強、核戦争態勢の強化を中止せよ。すべての核保有国は、核兵器廃絶の約束を実行せよ。
(4)被爆国・日本では、政府首脳が、米政権の先制核攻撃政策を「選択肢の一つ」と容認し、「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という「非核三原則」の見直しにさえ言及するなど、許しがたい事態が生まれている。
 日米軍事同盟のもとで、沖縄をはじめ日本各地に100カ所余りもある米軍基地は、「テロ対策」を理由にした先制攻撃戦略の最前線基地とされている。日本政府がすすめようとしている有事法制は、この戦略に日本を組み込み、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものであり、国民の大きな反撃を受けている。
 核兵器廃絶を訴え、戦争への動きに反対し、憲法第9条守ろうとする日本国民の運動の前進は、世界の反核・平和運動を発展させるためにも、国際的責務となっている。
(5)原爆が広島と長崎にもたらした惨禍と、今日なおつづく被爆者の苦しみは、核兵器使用の非人間性を告発し、核兵器は廃絶する以外にないことを教えている。
 いま核兵器使用の新たな危険が強まるなかで、多くの原爆被爆者や、核実験など核開発に伴う世界各地の被害者が、補償や援護施策の改善を求めてたたかいながら、その痛苦の体験とねがいを伝えようと決意を新たにしている。この思いをしっかりと受けとめ、連帯をさらにつよめ、原爆被害と世界の核兵器被害の実相を人々に知らせるため、証言活動や原爆展など創意あるとりくみを全世界ですすめよう。
(6)20世紀から21世紀へ、反核平和の流れは大きく発展している。戦争と核攻撃の企てを許さず、核兵器廃絶の展望を開くため、思想、信条、宗教、国籍の違いをこえた諸国民の世論と運動を広げよう。核兵器廃絶を求める諸国政府との協力を広げよう。「核兵器の使用を許さず、核兵器を廃絶せよ」を共通の要求として、全世界で、署名をはじめ多様な行動にとりくもう。 われわれは、公正平和民主主義を基調とする新しい世界秩序をもとめ、飢餓・貧困対外債務の解決、地球環境の保護などのために努力する諸国民の運動に連帯する。
 われわれは、核の暴力が人類を破局に導くものにほかならないことを知っている。いまこそ、核兵器のない平和な世界を築くため力をあわせて前進しよう。
ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ、ノーモアヒバクシャ!


自公保が医療改悪強行

実施許さぬたたかいへ

 7月26日自民、公明、保守の与党三党は国民の反対の声を無視し、「医療改悪法案」の参議院本会議での採決を単独で強行成立させました。衆議院段階でも厚生労働委員会で、防衛庁リスト問題により国会が空転しているさなかに、自公保による一方的な強行採決が行われました。参議院の参考人質疑では、相野谷安孝(中央社保協事務局次長)をはじめ6人中4人の参考人が反対、日本医師会、連合、全労連も反対の立場を明確にし国民多数の気持を反映しました。衆議院でも一方的な強行、参議院でも一方的な強行。国民の命綱を断ち切る重大法案を議会制民主主義のルールを無視したやり方で一方的に強行したことは許すことはできません。
 「医療改革法案」は、(1)健保・共済本人の窓口負担3割への引き上げ(2)「総報酬制導入」による保険料の引き上げ(3)高齢者医療1割負担の徹底(4)自己負担限度額の引き上げなど労働者・国民に新たな負担を課すものです。
 今回の改悪によって、国民負担は1兆5000億円増になるとの見通しを厚生労働省も明らかにしています。国民はこの負担増によって深刻な受診抑制を引き起こすことになり、病気の早期発見・早期治療を困難にし、憲法25条で保障された国民の生存権が脅かされることとなります。また、「医療保険制度の体系のあり方見直し」(14年度中)「政管健保の組織体型のあり方見直し」(おおむね5年を目途)など、社会保障に対する国の責任を放棄する重大な内容が盛り込まれた付則条項が法律となり、検討が本格的に行われることになります。 全労連、国公労連が提起した医療改悪反対署名は全体で2700万筆、全厚生では5000筆が各支部から寄せられました。5月24日、6月16日、7月19日と連続的に開催された、全国規模の中央集会に12万人、全厚生では在京支部だけでなく、地方支部が新幹線に乗って駆けつけるなど、100人を超える仲間が結集し、有事法制反対と併せて医療改悪反対の世論を大きくしてきました。
 引き続き、全厚生は自公保3党の強行採決に断固抗議するとともに、全労連、国公労連が提起する医療改悪法の実施を許さないたたかい、国民がいつでもどこでも安心して医療が受けられる医療体制の確立をめざすたたかいに積極的に取り組んでいきます。


女性職員の採用・登用の拡大を

女性部が人事課と労働条件改善求め懇談

 全厚生女性部は、「女性の労働条件改善等に関する要求書」にもとづいて、7月24日に厚生労働省大臣官房人事課と懇談しました。全厚生は、清水部長、木立中執(副部長)、本部の杉浦書記長をはじめ女性部幹事と、在京各支部女性部の代表ら10人が参加しました。人事課は、篠原人事調査官と、伊東・白川・永田の各補佐が対応しました。
 基本要求の組織・機構の改編にあたって労働組合と協議するとともに、職員の身分・勤務条件の後退を招かないことについては、「組織・機構の改編に伴う職員の処遇・勤務条件等は、職員にとって最も基本的かつ重要な問題と認識している。医薬基盤技術研究所(仮称)の運営については、独立行政法人新設にかかる要求が出され省内調整を行っているところであり、総務省に要求する段階で担当課から説明したい。基盤研の設立に伴い勤務条件の変更が生じる職員に対し、必要な情報は伝え、本人の意向も十分配慮するよう指導していく」と回答。これを受けて、感染研支部から「基盤研の機能についても不透明であり、身分も非公務員型との情報もあり、大変不安である。基盤研と感染研の定数の関係や、15年度の組織改編など、正確な情報・条件を明らかにして欲しい」。国立衛研支部から「国衛研大阪支所 職員の意向を聞いて雇用確保など、その処遇に配慮してほしい。やむをえず退職せざるをえない者につ いては、自己都合ではなく組織改編による勧奨退職扱いにしてほしい」との切実な訴えに、人事調整官は「職員の処遇については関係部署とも相談して、不利益にならないように努力していく。また、定数については調べておく」と回答しました。

恒常的残業なくし男女ともに働きやすい職場を

 恒常的な残業をなくし男女ともに働きやすい職務環境をつくることについては、「職員の健康管理の重要性は十分認識している。昨年は超過勤務縮減要綱を策定し、超勤縮減の徹底を図ってきた。今後とも積極的に取り組んでいく」と回答。本省支部は「要綱策定による努力は評価できるが、まだまだ帰れない雰囲気の職場もある」「定員を見直せないのであれば、雇用均等・児童家庭局長からのメッセージ等を参考に意識改革を積極的にすすめてほしい」と訴え、人事調整官は「帰れない雰囲気は解消されてきたと思う。今後は業務を減らすように努力していきたい」と回答しました。
 女性の採用・登用の拡大については、「昨年11月に策定・通知した厚生労働省女性職員採用・登用計画に基づき、計画推進のための推進会議の開催を検討している状況であり、その会議に向けて、現状把握の準備を行っているところ。ただ、本省の今春の採用状況は試験区分における女性合格者を上回っている。選考採用についても男女を問わずポストに適任する者を採用しており、今後とも性別にとらわれず、積極的な採用に努めていく。研修については、女性職員が研修に参加しやすいよう業務分担等にも配慮するなど、積極的に参加させるよう努める」との回答を受け、採用・登用の現状把握は、計画推進の基礎資料として大変重要。状況把握後には公表するよう強く求めました。

双子号俸以上の昇格を

 昇任・昇格等の改善では、 双子号俸以上の昇格について「4・5級についてはほぼ男女格差はない」との回答に、北島事務局長が「女性の事務職員が少ない部局等で、4・5級で双子号俸以上の高位号俸に女性が留め置かれている実態がある。女性の積極的登用を進める指導をしてほしい」と訴えました。感染研支部からは、女性が2級に積み残されている実態を示しながら「自分の本来分野の研究に加えて、外部との研究分担やプロジェクトのとりまとめ任され、これらに費やす負担が大きい。論文以外にも職務への貢献を見てほしい。また、具体的にどのような研究実績をあげればよいか指導してほしい」と訴えました。これに対し「他の職種に先立って能力評価がおこなわれており、実績をあげれば昇格評価がなされる」と回答。3級枠の拡大についても昨年の回答内容に留まりました。
 国立衛研支部は、「今年は3年ぶりに女性が採用されて喜ばしいが、4級主任研究官の5級昇格は定数が現状に見合っていない。5級枠の拡大を」と訴えました。 国立リハ支部は、「福祉職の上位級定数の拡大と、女性職員の半分を占める看護部職員の年次有給休暇の取得しやすい職場づくりを進めること。子どもの看護休暇等の徹底を図ること」を訴え、「職務の実態の重要性や困難度を人事院に説明し今後とも必要定数の確保・拡大に努めていく。年次休暇については話し合いで調整してほしい。看護休暇等については周知徹底をはかっていく」と回答。
 統計情報支部は「産前・産後休暇の制度改善」を求めて妊婦の職場での状況を訴え、「今年も関係機関に対し要望をした。今後も引き続き要望していく」との回答が得られました。
 登用拡大、研究職の昇格における評価など、引き続き理解を深め合うべく懇談を続けていきたいと思います。
(清水美穂 女性部長)


許せん! マイナス勧告

組合員の声


歳出削減なら別な方法があるはず 精研支部 支部長 秋元 明
 今回の人事院勧告は、本当に嘆かわしいものです。何故いま、公務員世帯の経済力を低下させる必要があるのか。現在の景気刺激策と逆行しているのでは。歳出の削減なら、もっと別な方法があるはずです。とにかく、今回の勧告には、納得がいきません。


遡って差額を返せとは許せない 京都支部 書記長 川口博之
 マイナスは覚悟していたが、さかのぼって差額を返せとは許せない。うちらの給与はいつも仮払いで、給与法がとおるまでは使ったらアカンということか?!こんなん余計に誰も金使わなくなるぞ!退職者からは返還させないということで、うちの職場をやめた人にはなんとも思わないが、苦労している現場からではなく、不祥事起して9千万やらの退職金持ち逃げしたうえ、うちらを批判の的に至らしめた高級官僚からこそ返還させるべきだ!


生活が破壊される・断固抗議 大分県支部 支部長 本田博幸
 過去最大の「賃下げ勧告」は、公務員の賃金切り下げを皮切りに広範な国民に影響する。さきの医療保険制度の改悪で、年金・医療とも総報酬制が導入され、大幅な保険料の負担増も強いられる。このままでは、生活が破壊される。断固たたかおう。


窮屈な生活スタイルは研究にも影響 栄研支部 支部長 田畑 泉
 平成14年度の人事院勧告は史上初の賃下げ勧告となりました。賃金の低下は、実質的にも精神的にも窮屈な生活スタイルを送ることを余儀なくされてしまいます。精神的な余裕がなければ、良い研究の発想は浮かびません。生活の質の一層の向上のために、また厚生労働科学研究の向上のためにも賃下げには断固反対です。


人生設計の大幅見直し迫られる 愛知県支部 黒川正崇
 僕は今年の3月に結婚して現在扶養手当(毎月¥16000)がついている。しかし、マイナス勧告で¥14000にさがってしまう。年間にすると¥24000の給与の減である。我が家で¥24000というと、焼肉3回、日帰り小旅行1回、一番軒のラーメン(替え玉付き)二人で15食分ぐらい、その他にも良いことがいっぱいできる。もちろん下がるのは扶養手当のみならず、本俸、ボーナスなど多くの部分で引き下げになる。となると年間10万円ぐらいのダウンだ!!さらにさらに、退職金にも当然影響がでてくるので生涯所得にすると何百万もの差額になってしまうのではないか(クゥ〜頭がクラクラしてきた)。もうこのぐらいの金額になると、その金額分だけ自分の人生設計を大幅に見直さなければならなくなった。不況の世の中、マイナス勧告が悪いと言っているのではない。人事院の言っている官民給与の逆格差(−2.03%)という数字はどういう計算をしたのだろう。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」では民間の4月の給与は昨年の4月給与の1.3%減としている。そこにマイナス勧告の矛盾と怒りを感じてしまう。


詐欺にあったみたい! 愛知県支部 織田知子
 あきれてものも言えない。4月から新規採用されましたが、一体何ナノ!詐欺にあったみたい!ふざけるな!!と言いたいです。


青年部が定期大会開く

活発な討議と浜遊び 秋田県

 7月14日秋田県支部青年部は、第27回定期大会を開催しました。
 会場の桂浜海水浴場の海の家には45人の青年部員が集まりました。大会は各分会からの質問や提案など多くの意見で盛り上がりました。また、恒例の新人紹介コーナーでは、新しく仲間になった7人の自己紹介と、これからの決意を発表してもらいました。「早くみんなに顔を覚えてもらえるようがんばりたい」「皆さんの力になれるようがんばりたい」「せっかく海に来たので黒くなるまで肌を焼きたい(?)」など、力強い決意をいただいて大会は無事終了しました。
 大会終了後は、浜辺に出てバーベキュー大会を開催し、食べて飲んで、そして、砂浜野球、砂浜サッカー、まだ冷たい海での海水浴など、みんな思い思いのスタイルで親睦を深め、定期大会に負けないくらい盛り上がりました。
 新役員は次のとおり
青年部長戸沢 吉徳
副部長羽澤 幸久
畠山 清子
書記長小浜 晃一
書記次長斉藤 史明



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