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◆第1529号(2002年7月25日付)◆

全厚生試験研究機関交流集会を開く

国民本位の厚生科学研究守って

 全厚生は7月12日、試験研究機関交流集会を、東京目黒・みやこ荘で開催しました。この集会は、組織再編と独立行政法人化が進むなかで、恒常的な政策議論・討論の場づくりの出発点とし、労働条件・研究環境と職場要求を相互に交流し、日常活動の前進と要求実現につなげることを目的に開催したもの。前回の1994年以来8年ぶりの開催となりました。
 集会には、杉下委員長、坂田・加藤両副委員長他本部役員はじめ、感染研・国衛研・科学院・栄研・ハ病研・人口研の各支部と国衛研支部大阪分会の6支部1分会から32人が参加しました。

理念なき再編とたたかう研究機関 坂田副委員長が基調報告

 冒頭、杉下委員長は、「全厚生の歴史において研究機関支部が果たしてきた役割は大きいし、国民にとっても厚生労働省研究機関の果たす役割は大きい。現在、組織再編などに直面しているが、現状を交流しあい運動発展につなげよう」とあいさつしました。
 基調報告した坂田副委員長は、1987年から始まった全厚生試験研究機関交流集会の歴史を振り返りながら、臨調行革路線による国の科学技術政策及び厚生省研究機関の理念なき組織再編の変遷と全厚生の闘いを紹介。「昨年4月、国立研究機関の大多数が独立行政法人化され、厚生省では国立健康・栄養研究所が独法となった。国立大学さえも非公務員型の独法にするという中で、日本の学問、科学研究、国立研究機関のあり方は、大きく揺らいでいる。国民の健康・福祉と研究所に働く人たちの利益を守るために奮闘しましょう」と呼びかけました。
 続いて、国公労連独立行政法人対策部長の飯塚徹さんが「科学技術をめぐる情勢と国立試験研究機関の課題」と題して、記念講演しました。「国は、企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門は独法化を図ろうとしている。いま、公的研究機関の役割が改めて問われている。科学者・研究者は、社会的責任を果たそう」と問題提起しました。

組織再編の嵐の中で研究環境守れ 全支部が積極的に発言

 討論では、参加の全支部が発言しました。
 組織再編で、今年の4月に国立公衆衛生院から国立保健医療科学院に移行し、和光市に移転した国立科学院支部の鈴木支部長は、「職場は、埼玉県和光市と旧衛生院のあった目黒区白金台とに分かれた。衛生院では、研究と研修を一体的に行ってきたが、再編により、他の研究機関の協力なくして研修が成り立たたないのが実態」ときびしい現状を報告しました。
 国衛研支部の徳永副支部長は、再編による国衛研の変化を報告。「今年4月、伊豆薬用栽培試験場が廃止された。再編に伴い、中庭にプレハブを建て、受け入れを始めた。国衛研本体は、平成18〜20年に東京都府中市への移転が予定されている。また、平成15年又は16年に、国衛研医薬品医療機器審査センターが医薬品機構(認可法人)と統合し、独立行政法人となる。今後どういう組織になっていくのか」と現状と今後への不安を発言しました。
 人口研支部の石川副支部長は、「1996年に国立人口問題研究所は特殊法人の社会保障研究所と合併したが、今後の特殊法人改革で、再びこのような動きがあるのか」と問いかけました。

身分保障と安定的な研究はセット 基盤研問題で議論白熱

 基盤研問題では、国衛研支部、同大阪支所分会、感染研支部から報告があり、意見交換しました。
 「基盤研の渦中にある研究者として、たいへん危機感を持っている。基盤研の機能も不透明だ。身分も非公務員型の環境が強まっているとの厚生科学課の説明があった。8月末までに決めると言うが、論議がされていない」「身分保障と安定的な研究はセットであり、身分の議論なくして研究所の構想うんぬんはおかしい」「研究資源部門については継続雇用の研究者でなければ成り立たない」「基盤研については、研究内容や研究所構想は、現在該当者といわれている研究者たちが多いに議論して、自分たちで作り上げる研究所でなければならない」「そのためにも、職員に対して情報公開がされるべきで、組合としても要求していく」など、活発な議論が行われました。また、基盤研設立にともない、平成16年3月31日に廃止される国衛研大阪支所の田中さんは、職場の現状を紹介し「支所長は、職員全員の雇用の確保をすべき立場に立つのが筋であり、今後追及していきたい」。

独立行政法人で労働組合が奮闘 組合運営の工夫いろいろ

 研究条件の問題では、ハ病研支部の儀同支部長が「組織再編とハンセン病研究環境の確保、労働組合の役割」について報告。続いて、山田中執(国衛研)が国の科学技術体制や研究予算の流れを政府の方針を示しながら、説明・報告しました。
 独立行政法人の課題で栄研支部は、梅垣支部長が報告。組合員を増やし、労働条件などの問題で当局と協約を結び、研究環境の確保のために奮闘してきたことを報告。さらに山田前支部長が、独法化のもとでの研究評価と研究費の問題を生々しく報告。研究評価のあり方への問題提起を行いました。
 新再任用制度について感染研支部の杉山前支部長が、労金の利用について同支部の小浦さんが、国公共済会について同支部の野口前書記長がそれぞれ、組織の強化、運営の工夫の観点から報告しました。
 最後に山田中執が「久しぶりに開いた研究機関交流集会だったが、さまざまな議論があり、たいへん有意義だった。今後も研究機関の交流を深め問題解決していきましょう」とまとめました。 


リレーずいそう
● 平和と無関心
 この春闘の大きなテーマとして、有事法制に関連した平和に対する行動に参加する機会が多い。
 街頭宣伝行動を行い、市民の大半に声を掛けても無関心な方のほうが多いように思われる。
 私の意識の中には、日本国民は平和を重んじるものと思っていたが、最近の政治無関心が国民の平和意識に拍車を掛けているように思う。
 20代の頃、広島の老人福祉施設の職員として働いていた頃、毎年、8月6日(原爆記念日)が近づくと、「8・6集会」と呼ばれる施設行事が開催される。
 原爆投下を体験したお年寄りの話を聞きに、時には関東から修学旅行生までが、その体験談に耳を傾ける。
 原爆ドームも市内の中心部にあることもあり、前を通るたび、何かにつけて目に入って来た。
 戦争を繰り返さないという暗黙の確認を自分なりにし、日本人である以上、この意識は皆同じと思い込んでいた。
 戦争被害に対する意識に多少の地域差があっても、意識がこれほどまでに乖離しているとは思わなかったのが正直なところである。
 政治無関心の者が平和を重んじない訳ではないが、聞こえない振りで素通りするだけでは、日本は良くなって行かないのではないかと心配である。
(函館支部 副支部長 泉 徹)


募集中  ● ● ● ● ● ● ● ●
第15回全厚生機関紙フェスティバル

 支部・分会の教宣活動を応援する「全厚生機関紙フェスティバル」は今年で15回目を迎えました。支部・分会・専門部からたくさんの応募をお願いします。
 応募紙に ついては、例年どおり、全厚生第66回定期大会会場に展示し、交流するほか、すべての講評を行い、各紙の内容にふさわしい賞を設け、大会の中で表彰します。また、応募各紙の優れた紙面を選んで自家印刷の冊子にして、各支部の機関紙活動で活用できるよう工夫します。

〔目的〕
 支部・分会をはじめ青年・女性部な どの教宣・機関紙活動をはげまし、編集内容の質的向上を支援する。

〔対象紙〕
 支部・分会・専門部で2001年9月から2002年8月までの間に発行した機関紙。

〔参加方法〕
 参加申し込み用紙(各支部に送付)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。

〔締切〕
 8月12日(月)本部必着。

〔講評〕
 全厚生中央執行委員会で行います。

〔表彰等〕
 各紙の内容にふさわしい賞を設け、全厚生第66回定期大会で表彰します。賞状、記念品などを贈ります。
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国公労連非常勤職員交流集会開く

パート労働者が主人公に

 国公労連は7月13日、第1回非常勤職員交流集会を開催。全厚生からも飯塚副委員長ら本部役員のほか、業務センター支部の峰支部長と2人の事務補佐員が参加しました。
 集会は堀口委員長の主催者あいさつに続き、小田川書記長が集会の開催目的と、非常勤職員の労働条件、制度の現状と課題について基調報告を行いました。
 2つの特別報告では全労連パート・臨時労組連絡会事務局長の井筒百子さんが、@正規労働者の労働組合がパートを組織Aパート労働者自身が主人公としてたたかったB全国・地域の仲間がたたかいを支持した、という長野県・丸子警報機争議の3点の教訓を語り、「21世紀労働運動はパート・臨時労働者自身が主人公に」と強調しました。東京公務公共一般労働組合の名取学さんは、地方公務員の職場における非常勤職員の職場のたたかいを報告しました。
 各単組からの報告では、全厚生は峰業務センター支部長が、賃金職員の「雇い止め」問題の取り組みについて報告したほか、全医労、全建労などが組織化などの取り組みについて報告しました。
 全体討論では全建労の組合員が「取り組みを積極的にすすめてほしい」と直接堀口委員長に手紙を手渡すなど、非常勤職員の切実な状況や、各単組の役員からも貴重な取り組みの経験が語られました。

有期雇用の壁 うち破りたい 業務センター支部 中杉喜子

 2年前に雇い止めの通告を受けて、私達社会保険業務センターの事務補佐員は、粘り強くたたかい、雇い止めを撤回できましたが、今回、非常勤職員交流集会に参加して、何処も同じように、突然の雇い止め通告、3年あるいは5年の有期雇用という制度の壁が立ちはだかると感じた。しかし、その壁も運動で克服できるという一言が私の胸にひびきました。雇用の継続を守る為にも多くの仲間と手をたずさえ、大きな力とならなければという思いを確認し、帰路につきました。

非常勤全体の職場環境底上げを 業務センター支部 小林久美子

 今まで弱い立場であった非常勤でしたが、こうして大きな組合に支えていただけるのは、大変、喜ばしいことです。非常勤(パート)全体の雇用条件、職場環境の底上げにつながることを期待します。


大阪支部/「ノンノンノンノン有事法制」と平和行進

京都・衛研大阪も参加

 6月30日、国民平和大行進が大阪入りし、全厚生のリレー旗も、京都から大阪へと引き継がれました。
 京都支部からは、北久保支部長と尾崎執行委員が参加。大阪支部からは組合員ら4名が参加しました。また、今年は、衛研支部大阪分会からも代表が参加。全厚生の組織として、京都・大阪の組織が平和の運動で結集しました。
 12時、柏原市役所前で国民平和大行進実行委員会の引き継ぎ集会が行われ、河川敷での市民平和行進集会の参加者と「有事法制など平和が脅かされようとしている今、思いを1つに」とエールを交換。昨年は、5分間の間隔をあけた行進でしたが、今年は間隔が有りません。 「有事法制を廃案に」「平和憲法を守ろう」「核兵器廃絶」など元気よくシュプレヒコール。市民平和行進の仲間も、「こんにちは、平和行進です。あなたも1歩でも2歩でもご一緒に」「ノンノンノンノン有事法制」と元気いっぱい。
 雨交じりの1日でしたが、参加者は元気に東大阪市役所まで行進しました。
(津川清司中執)


神戸支部/日本国憲法のもと 勝ち取る平和こそ

台風一過の平和行進

 7月11日午後、全厚生大阪支部より引き継いだ旗は、明石市役所を出発しました。行進の列は約100メートル、150人位でしょうか。昨年より旗の数も多く足取りも軽やかです。「有事立法反対!」「非核三原則を守ろう!」「米軍艦は神戸港に入るな!」とシュプレヒコールの声も元気。大阪支部の方とお互いの子どもの話をしながらの約1時間は、短く感じられました。全国で3番目に早く非核武装都市宣言をした明石市民として、また、第2次大戦中、旧ソ連へ強制労働のため抑留された父の手記をまとめた私として、戦争も核兵器も許せるものではありません。
 世界に誇れる「日本国憲法」のもと、不断の努力で勝ち取る「平和」こそ価値あることと思います。
 風があるとは言え、蒸し暑さの残る1時間の行進。肌はジットリと汗ばみ、喉もカラカラ。昔、「ドーム」で子どもたちと見た、壁の黒いシミ。核の熱を全身に浴びた子供たちを思い出すと、目じりにも「あせ」がにじみました。
(神戸支部副支部長 渕上正寛)


医療改悪・有事法制は廃案に 7.19全国集会に3万5千人

解散・総選挙で国民に信を問え

 「医療改悪・有事法制は廃案に!解散総選挙で国民に信を問え」と、7月19日、東京・明治公園で全国大集会が開催され、3万5千人が参加。全厚生も本省・業務セ・感染研・リハ・神奈川県の各支部の代表とと退職者会から16人が参加しました。


経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002 骨太方針 を斬る

〔中〕
国家公務員の総人件費抑制を「改革の突破口」に
中央執行副委員長 加藤 重徳

 前号で見たように、いのちと暮らしと経済をこれ以上破壊する「骨太方針第2弾」を許すわけにはいきません。同時に容認できないのは、「第2弾」で国家公務員の定員削減や公務員給与等にまで言及し、公務員攻撃をいっそう強めようとしていることです。
 「2003年度財政運営のあり方」では、義務的経費の見直し、行政改革、首相主導による決定システムなど3つの課題をあげています。そのなかの第2の課題は「特殊法人等・公益法人の改革に加え、中央地方政府の一段の行政改革を行い、予算の削減、組織の減量化によって簡素で効率的な政府を実現する。その際、厳格な目標管理の下、国家公務員の定員の一層の削減及びメリハリのある定員の再配置の実現を図る。このように歳出改革と行政改革を加速させることにより、『負担に値する質の高い小さな政府』を早期に実現する」と記されています。
 そしてその具体策として「(4)その他の歳出分野のG」は「総人件費の抑制については、徹底した増員の抑制と一層の削減に努めるとともに、勤務実態を踏まえつつ、地域毎の公務員給与と民間給与の関係を比較方法を明示した上で国民に分かりやすく示す。人事院や地方公共団体の人事委員会等は、地域毎の実態を踏まえて給与制度の仕組みを早急に見直すなどの取組みを行う必要がある。また、その他の一般歳出(物件費等)についても、聖域なく徹底した見直しを行う」と述べています。
 ここでは「総人件費の抑制」をいっそう推進するために、増員抑制と一層の定員削減、給与制度の仕組みの見直しに言及し、「改革の突破口」として公務員攻撃をいっそう強めようとしています。人事院勧告が出される前に、政府が総人件費の抑制を強調し給与制度の見直しを言及し、「給与勧告」にタガをはめようとするなどは許されません。
 さらに、塩川財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会は6月3日、「平成15年度予算編成の基本的考え方について(案)」と題する建議を出し、「無駄な歳出、非効率な歳出を徹底的に削減し、重点的な予算配分を行う努力が求められる」と指摘し、「公務員給与の在り方について退職手当等も含め検討を進め、厳しい財政事情、民間における厳しい雇用・賃金情勢等に鑑み、総人件費の抑制に努めるべきである」と強調しています。
 「骨太方針第2弾」と「財政審の建議」の両方から、公務員の賃金削減が俎上にあげられ、人事院勧告を前に政治主導で「賃下げ」をねらって世論誘導しようとしています。こんな無法を絶対に認めるわけにはいきません。
(つづく)

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