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◆第1524号(2002年6月5日付)◆

国立としての役割り発揮を

国立施設管理室長と交渉

 全厚生は5月20日、社会援護局国立施設管理室と要求の実現を求め交渉を行いました。これには函館、塩原、リハ、秩父、神戸、伊東、別府の支部代表のほか、杉下委員長、加藤・鈴木両副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、今井・國枝両中執の本部役員が出席。管理室からは佐藤室長、森重補佐らが対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は@職員の処遇改善に果たす当局の努力・工夫の重要性A労使関係の信頼確立にむけた管理室としての責任B全職員を対象にした新再任用制度の円滑な導入、の3点について、室長の見解を質しました。
 これに対し、佐藤室長は、公務を取り巻く厳しい情勢を率直に述べた後、平成16年度に予定されている国立病院などの独立行政法人化以降には更生援護施設の組織再編の議論がさけられないとの見解を示しました。障害者福祉法改正により来年度、措置制度から利用契約制度へと福祉施設のあり方が変わることも含め、入所者・利用者の重度・重複化、高齢化のなかで多様化するニーズに十分対応できる国立施設としての役割が発揮できるよう努力したいと述べました。
 15年度概算要求にあたっては「国立施設のあり方検討会」での検討に沿って、現行のサービス水準を上回るようメリハリをつけ、優先順位を考慮しながら考えたいと回答しました。
 増員要求・施設整備については、より進んだ施設サービス、機能が求められるとし、入所者などのニーズに対してきめ細かい配慮という観点から、優先的・重点的に何が必要かを十分精査しながら、増員要求、予算確保に努めたいと回答。
 宿日直についても、入所者サービス充実の観点から全体的な議論が必要と回答。これに対し、全厚生から危機管理の面から宿日直にあたる職員について問題提起しました。

人事異動は本人の意思を尊重し協議する

 労使の信頼関係確立について、室長は福祉の職場がいわゆるデスクワークではなく、人を相手にした職場であり、信頼関係が基礎にあるべきとの認識を示し、信頼関係の確立のために管理者にきめ細かな配慮を指示していきたいと回答しました。
 人事異動についてはその必要性を述べた後、適材適所の配置に向け、本人の意思を尊重し、個別の事情を考え、十分時間をとり、協議を重ねた上ですすめたいと回答。内示については全厚生の要望を受けて3週間から1カ月前には行っていきたいとしました。

再任用は全職員対象に弾力的に運用する

 新再任用制度で、室長は昨年の交渉での(行二についての)説明は言葉足らずだったとし、@再任用後の業務として「直接入所者の処遇に関わる職務」を基本としたA初年度であり限定的な取り扱いとなったが、今後、全職員を対象者として検討していきたいB個別な対応は弾力的に運用するよう所属長会議を通じて指示をするC具体的なスケジュールについてはこれから準備するが、所属長会議で周知徹底していくと回答しました。
 公務員制度改革に関して、室長は福祉の現場にみあったものはどういうものなのか、他職種に関わっての問題点、実情をそのつど人事課に話しており、引き続き意見を言っていきたいと回答しました。
 そのほか、介護員の夜間特殊業務手当については毎年要求している、専門職不在の件については、できるだけ早く対処するなどと回答しました。

支部活動の現状を意見交換  福祉支部代を開催

 管理室交渉前日の5月19日全厚生は、東京・茜荘で、社会福祉支部代表者会議を開催しました。
 会議では、翌20日の管理室長交渉に臨むにあたって打ち合わせを行うとともに、支部活動の現状を交換しあいました。日常的に組合活動をどうすすめるか、組合員加入の取り組みの中で、組合の重要性を確認した経験がだされました。また、今回初めて提起された着任交渉についても引き続き実施することを確認しました。そして、当面の課題である有事法制阻止、医療改悪反対、公務員制度改革のたたかいを改めて意思統一しました。会議には、函館、塩原、リハ、秩父、神戸、伊東、別府の支部代表のほか、杉下委員長、加藤・鈴木両副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、今井・國枝両中執の本部役員が出席しました。
(今井進中執)


リレーずいそう
● ウグイスと道連れ
 この頃は、趣味やスポーツを楽しむ中高年が増加しているようです。それは海や山や空を舞台にして、多種多彩な娯楽やスポーツが広がってきたためではないでしょうか。またインターネットやAV機器などの普及により、家庭内でも様々な趣味や娯楽を楽しめるようになってきました。そして私も時代の流れに沿い休日には山歩き、家では日曜大工などを楽しんでいます。ただし、私は視覚障害者のためこれらを楽しむには多少の介護と援助を必要としています。
 それでは、最近行った奥武蔵の山歩きについて紹介します。高山不動尊という関東の三大不動尊の一つが山腹にある山で、標高770m程の頂上には奥の院があります。また、そこは関東見晴し台とも呼ばれ、とても眺望の良い場所となっています。5月とはいえ、初夏の陽気で汗をかき、息を切らせながらの登頂でした。
 頂上に登り着くだけでも私には感動的なことなのですが、この山行には、さらに二つの感動がありました。一つは多数のウグイスが山麓から頂上まで手が届かんばかりの近くで鳴いているのです。もう一つは70代も半ばを過ぎたと思われるおじいさんが一人で杖をつきながらゆっくりゆっくり一歩ずつ確実に登っていく姿でした。足腰が弱らないように毎週歩いているそうです。私も心身の健康維持のためにできるかぎり続けたいと思っています。
(国立リハ支部 副支部長 小澤 隆)


News
● 執行体制・財政など討議 ―第3回組織財政検討委員会開く―
 全厚生は5月24日、都内で第3回組織財政検討委員会を開催しました。この組織財政検討委員会は、昨年開催した第65回定期大会の方針にもとづき設置したもの。この間、中期的な本部執行体制、組織強化・拡大の課題、財政等の課題について討議してきました。
 第3回目は、締めくくりの討議を実施。財政等の課題では、昨年の定期大会の財政小委員会で提案し、継続討議となっている「一般会計の繰越金の処分について(案)」の「健全財政基金の設置」を中心に討議しました。さらに、すべての課題について、総合的に深めました。組織財政検討委員会では、3回の委員会討議を整理し、報告を行うことにしています。

● 有事法制は許さない ―請願デモや国会前座り込み行動―
 5月29日、全労連や国民大運動は、第9次となる「国会前座り込み行動」を午前10時から午後3時まで実施しました。全厚生は、杉下委員長先頭に座り込み、昼の集会には統計支部も駆けつけました。
 また、連合や全労協もそれぞれ独自に座り込み行動を実施し、総勢1600人が、「有事法制と医療改悪法案の廃案」を求め、国会を包囲しました。
 昼の集会で、国会情勢報告に立った共産党・穀田恵二衆院議員は、「与党が、単独で有事法案の公聴会設定を強行した暴挙に対して、4野党は結束してたたかい、事実上公聴会の設定を白紙撤回することができた。歴史上、公聴会の日程を撤回させたのは今回が初めてであり、この成果に確信を持ち、必ず有事法案を廃案に追い込もう」と激励しました。
 国会周辺では、連日行動が行われており、28日には国会請願デモ(写真上)、6月に入ってからは、連日座り込みや議員面会所集会が行われています。


有事法制は阻止しよう

日本国憲法9条こそ、平和の備え!  5.24大集会に4万人

 有事法制を許さないたたかいは全国で大きく広がっています。
 5月24日夜、東京・明治公園の「STOP!有事法制5・24大集会」は、有事3法案の断固阻止に向け、陸・海・空・港湾労組20団体・平和をつくり出す宗教者ネット・平和を実現するキリスト者ネットが組織の違いを超えて結集を呼びかけた国民的共同の集会で4万人が結集。俳優の吉永小百合さんらが賛同メッセージを寄せました。
 全厚生もこの緊急の呼びかけに積極的にこたえ、本省、統計、業セ、感染研、国立リハ、神奈川県、愛知県、京都の支部と全厚生OB、本部から33人が結集しました。
 大集会では日本共産党の志位委員長、社民党の土井党首、民主党の生幸夫衆院議員、無所属の中村敦夫参院議員が国会からのアピールとして、有事法案の廃案を訴えました。また、日本青年団協議会会長、日本山妙法寺僧侶、東京・小平市議、全労連、高校生などが「有事法制反対」、「平和な日本をつくろう」と訴えました。その後、国会コースなど3つに分かれ、デモ行進を行いました。

統計支部
過ち繰り返す有事法制反対  支部で学習会開く
 統計支部では、5月24日の昼休みに支部組合事務室で「有事法制」の学習会を行いました。講師は、中央執行委員の国枝さんにお願いしました。貴重な昼休みに11人の人たちが参加し「有事法制」とはどういうことなのか、成立したらどうなってしまうのか、という話をわかりやすく、かつ、熱く説明してもらいました。
 我が家では「人を傷つけること、悲しませることはしてはいけない。もし、してしまったとしたら、その後は、二度としてはいけないんだよ。同じ過ちを二度もする人は、馬鹿なんだよ」と、いつも子供たちに言い聞かせています。それなのに、あんなにたくさんの犠牲者を出した戦争をする法立を成立させようなんて、いったい何を考えているのでしょう?怒りを通り越して呆れてしまいます。
(統計支部 K)

京都支部
平和はやっぱ皆の願いやな  嵐山で署名宣伝行動
 国民を守るどころか危険にさらすだけの「有事法制」廃案に向け、京都支部では、京都国公提起の行動に積極的に結集し奮闘しています。
 この間、駅前などで実施された宣伝署名行動に4回で、のべ19人が参加し、「5・22府民大集会」には17人が参加しました。
 四条河原町では、共同する他団体も同じ時間・場所で偶然宣伝行動を実施していたことから、まさに平和を願う「ホットコーナー」状態になっており盛り上がりました。今風のちょっとクールそうな若者も、ビラを結構受け取ってくれ、「見かけで人を判断したらアカンで」「平和はやっぱりみんなの願いやな」という会話も参加者同士で交わされ、行動の手ごたえを感じました。「この熱い思いを広げるには」と執行部では、全国の人が集まる観光地で支部独自の宣伝署名行動を計画し、6月1日は嵐山の渡月橋で実施しました。
 また、15日には清水寺前を予定していますが、同日全厚生近畿ブロックの事務局会議を京都で開催することから、近ブロ共同行動として、位置付けられればと計画中です。今後も絶対、「有事法制」を廃案に持ち込む決意で奮闘します。
(京都支部書記長 川口博之)


みつめよういのち!築こう平和!生かそう憲法!

国公女性交流集会 in 高松開く

 「みつめよういのち!築こう平和!生かそう憲法!」をメインスローガンに第32回国公女性交流集会が5月24・25日に香川県高松市で開催され、15単組471人が参加しました。全厚生は、地元香川県支部が実行委員として奮闘し、29人が参加したのをはじめ7支部44人が参加しました。
 「いのち輝け人権回復をめざして」と題して、医師の寺島萬里子さんが記念講演。4年間通い続けカメラにおさめたハンセン病療養所「栗生楽泉園」での写真スライドをうつしながら、元患者らの苦難の歴史、ハンセン病の問題、らい予防法人権裁判でのたたかいなどをリアルに紹介。参加者は、差別・偏見の酷い実態に心から怒り、絶望と悲嘆の中でも明るく強く生きてきた元患者らの姿に感動し、寺島先生の「ハンセン病への差別は、日本が戦争へと向かうために利用された。今の時代、差別を許さないことが平和への第一歩」という言葉を心に刻みました。
 職場からの報告では、全厚生業務センター支部の藤田弘江さんが、賃金職員の雇い止めの撤回を求めるたたかいを発言しました。
 アトラクションは、徳島県の阿波十郎兵衛屋敷のみなさんが人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」を出張公演。初めて見るという参加者がほとんどで、三味線の音と名セリフとともに、人形のこまやかな動きに母と娘の苦悶がみごとに表現され、クライマックスでは涙する人も。四国ならではの感動を味わいました。
 2日目は、「生き方・働き方」「労働組合と女性部」など7つの分科会と豊島産廃問題のフィールドワークに分かれ、学び交流しました。
 全厚生参加者は1日目の夜に交流しました。

秋田県支部
自ら選び取る育児・介護休暇  女性部で制度学習会
 5月25日、秋田県支部女性部は、秋田市の秋田県総合生活文化会館アトリオンで学習会を行いました。テーマは「育児休業及び介護休暇の制度について」。本部の女性部副部長木立さんを講師に一時間半、みっちり勉強しました。
 内容としては、今年4月の改正がメインで、普段馴染みの薄い、昇給にかかる点などは難解でもありましたが、私のような、また出産を遠く感じるような世代にも興味深いものでした。育児休業を「事務の人がなんとかしてくれる」ものと漠然と感じていましたが、むしろこれからは、自ら考え、選び取ることが大事なのだと、認識を改めることができました。
(秋田県支部 中村紘子)

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