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◆第1517号(2002年3月15日付)◆

政管健保民営化は社会保障解体の道

「政管健保事業及び当該事業の組織形態の在り方の見直し」について

 3月1日に国会に提出された「健康保険法等の一部を改正する法律案」には、『政府は、おおむね5年を目途に、政府が管掌する健康保険事業及び当該事業の組織形態の在り方の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること』が付則として盛り込まれました。
 法案から「政管健保民営化」「社会保険庁民営化」の文言は消えたものの、社会保障に対する政府の政策が、憲法25条の規定を堅守する立場に立たない限り、今後の「検討」いかんによっては、「民営化」問題が改めて再浮上する危険性があります。
 一連の経過から見えることは、今回の医療保険制度改革の内容が、小泉首相のいう「三方一両損」などというものではなく、公的保険の変質と国民にのみ激痛を強いるものであることがますます明らかになり、国民の批判をそらすために「官」も痛みをということで突如浮上したものです。
 この問題をとらえる視点としては、国民犠牲の悪政をごり押しする際に、今の政治において常に持ちだされる「公務員の削減」なり「官もリストラ」をということをどうとらえるかです。
 悪政とその背景にある政官業癒着の実態が国民の厳しい批判をうけ、転じて「公務員批判」があることは間違いありません。しかし圧倒的公務員は憲法15条の「全体の奉仕者」として、国民の共同事務としての行政事務・行政サービスにまじめに携わっています。
 国民サービス部門の縮小は、国の責任をあいまいにし、結果として国民犠牲の悪政を許してしまうことになります。
 真に国民本位の行政を求める国民の立場と政略的な公務員攻撃とははっきり区別する必要があります。

社会保障は国の責務

 もう1つの視点としては、社会保障制度の確立は「国としての重要な責務」であるということです。憲法25条は、国民の生存権の裏打ちとしてこのことを明確に規定しています。
 最近の世論調査では、社会保障問題が、国民の批判、要求で最もその割合を占めています。このことは、日本の社会保障が未成熟であり、さらに今政府が進めている方向は、国民の願いに逆行するもので、国政の中心に据えられていないということの現れです。
 政府は「社会保障構造改革」を推進するとして、「自律自助」の名のもとに、社会保障にも「市場原理」を持ち込み「公的」から「私的」に変質させようとしています。
 「民営化」問題は、こうしたことを背景にして持ちだされたということも見ておく必要があります。そういう意味において、一過性ではなく相当根が深い問題だといえます。

事業運営は国の責任で

 もう1つは、社会保険は国が責任をもって国が経営するものであり、全国的に単一の事業体によってその事務を処理することが必要であるということです。
 1962年、国民皆年金、皆保険が発足して間もない時期、社会保険庁が設置されました。その背景には行政機構の充実と増大する業務量に的確に対応する、そのために専ら事業の運営を担当する現業機関として、そしてわが国の医療保険及び年金制度の整備と推進を図りたいとして設置されたものです。
 「政管健保民営化」「社会保険庁民営化」は社会保険行政の後退、国民サービスの縮小にとどまらず、社会保障解体の道に通ずるものです。
 当該事業に直接携わる職員を組織している全厚生労働組合は、組合員の団結のもとに、当局の責任を徹底的に追及し、その根を根絶させるために全力で奮闘することを表明するものです。 
(SS)


リレーずいそう
● ドライブ大好き
 我が家には、5歳と1歳の息子がおりますが、「趣味は散歩とドライブ」の私と一緒に生活するので、頻繁に外出することになります。それは保育園の帰り道であることもしばしばです。
 とある金曜日の夜、クリスマスプレゼントを用意し忘れ、休日は店が込むからと家から程近い池袋に出かけ、買い物前に冬の夜景を60階高層ビルの展望台で見せてやりたいと行きました。
 夜景は1歳の息子まで「うわー」とうなるほどの眩さ。しばし2人は窓のそばでじっとして離れず、小さく見える電車や首都高の車を見ては感嘆していました。私といえば、最初のうちは子どもと一緒に感動したものの、暗いと危ないだろうかとか、しかしこんなに電気や看板はいらないだろうなといったことばかり考えておりました。
 その後、プレゼントを量販店で安価にて無事購入し、この日の散歩は終了。翌々日には、往復100キロほどの実家へ高速道路経由で日帰り。最近は、下の息子が夜の渋滞で大泣きすることもなく、私は迷路のような首都高で迷わなくなり、都内の幹線道路に詳しくなってからは、新米のタクシー運転手に道案内。ちなみにつれあいの夫は鉄道会社勤務で、鉄道にはかなり詳しいものの、車に乗れば、上の息子が母の趣味の影響で少しずつ道を覚え始めてからは助手席を譲り、後部座席で安眠(?)のようである。
(統計支部執行委員 園部晴美)


News
● 子どもの看護休暇求め ―国公女性協が人事院交渉と要求行動―
 国公労連女性協と東京国公女性協は3月7日、子どもの看護休暇の早期実現などの課題で、人事院交渉と昼休み人事院前行動を開催し、全厚生は、統計支部と本部から16人が参加。交渉には、清水女性部長と業務センター支部の藤田さんが参加し、「小さな子どもを持つ親は、年休をほとんど子どもの病気や予防接種、健康診断に使っている。女性だけではなく、子をもつ職員みんなの要求」と子どもの看護休暇制度化を訴えました。

● 組織強化・拡大に向け議論 ―第2回組織財政検討委員会を開催―
 3月7日、東京赤坂・茜荘で第2回組織財政検討委員会を開催し、1回目に続き、中期的な本部執行体制、組織強化・拡大、財政等の課題について議論。本部執行体制の課題では、安定的な執行体制を確保するための熱心な討議が行われました。今回、議題の中心となった、組織強化の課題では、「壮年部が元気だ、再任用等の要求書を当局に提出した」「若い人が組合に入らない」「定年退職の減少が多く拡大しても増にならない」等の職場実態が報告され、「組合員の要求に根ざした運動が求められている」「目にみえる運動、昇任・昇格問題などに力を入れていく事が必要ではないか」「女性部の活動が、支部女性部の運動に役立っている」等、組織拡大・強化に向けた方法について積極的な討論が行われました。第3回は5月開催予定。

● 有事立法・憲法改悪反対 ―3.8国際婦人デー女性の銀座デモ―
 国際婦人デーの3月8日、有事立法・憲法改悪許さないと「女性の銀座デモ」が行われ、全厚生女性部も統計支部と本部から3人が参加しました。


国公青年協中央行動に参加し全厚生青年部長会議を開催

初任給改善と公務員制度改革の検討中止を

 3月8〜9日、全厚生青年対策部は国公労連青年協春季中央行動にあわせて、学習討論会などの内容で青年部長会議を開催。2日間を通して、秋田県、神奈川県、愛知県、岐阜県、京都、大阪、香川県、愛媛県支部の各青年部長(もしくは役員)と全厚生青年対策部役員、本部青年担当役員の19人が参加しました。
 1日目の中央行動は初任給改善と公務員制度改革の検討中止を求めて実施されたもので、人事院前要求行動、決起集会、国会議員要請行動、総括集会のほか、総務省交渉、人事院交渉、財務省交渉などが終日取り組まれ、全国から10単組240名が参加しました。
 全厚生は中央行動への結集にあたり上京団の意思統一としての事前会議を設定しました。杉下委員長の青年の役割と中央行動への結集の重要性についてのあいさつのあと、中央行動日程やとくに国会議員要請行動について理解を深め、終日行動にのぞみました。
 なかでも衆参全議員に対して実施した国会議員要請行動は全厚生の青年にとっても貴重な体験となりました。議員要請の経験のない参加者がほとんどでしたが、3人1組に分かれ、1組で7人の議員に自分たちの職場・生活の状況を訴えました。「議員本人(自民党)はいたがアポがないのでと、秘書の対応となった。秘書からは初任給15万円は少ない、といわれた」(神奈川県支部・岡崎さん)など、議員本人と直接面会できた参加者はいませんでしたが、政治を身近にとらえ、行動した1日となりました。
 2日目の青年部長会議では、学習討論会にあたって冒頭、西田書記が「労働組合とはー労働組合を職場とした書記の目をとおして」をテーマに問題提起。海外、民間、公務などで働いている友人に労働組合についてどう考えているかを聞いた中身を具体的に紹介しました。各支部からは、青年部活動の現状を率直にだしあいながら、労働組合・青年部の役割、活動の仕方などを話し合いました。また愛知で開催予定の全厚生交流集会のあり方について、愛知青年部の議論経過の報告を受け、全厚生青年対策部として主題や中身について、積極的に議論を行い、会議を終了しました。
(全厚生青年対策部長・澤田泰介)


3・1ビキニデー集会を開催

核兵器も戦争もない21世紀を

3・1ビキニデーとは

 1954年3月1日、アメリカは太平洋のマーシャル諸島のビキニ環礁で広島型原爆の約1千倍の威力を持つ水爆実験を行いました。この核実験によってマーシャル諸島の島民や、856隻にもおよぶ日本漁船が被災しました。焼津のマグロはえ縄漁船第五福竜丸は核実験の当日、アメリカ政府の指定した危険区域外で操業中であったにもかかわらず、放射能を含んだ死の灰を浴び、23人の乗組員全員急性放射能症にかかりました。このビキニ被災事件は国民に大きな衝撃を与え、核兵器廃絶を求める原水爆禁止運動が大きく広がりました。3・1ビキニデーはビキニ水爆実験の犠牲者を追悼し、核兵器廃絶への決意を新たにする機会として毎年全国規模の集会などが行われています。
 「被災48周年2002年3・1ビキニデー集会」が3月1日、静岡県焼津市の文化センターで開催されました。会場は、2000人を超える参加者であふれ、世界の人々と連帯して核兵器のない平和な21世紀の実現をめざす熱い思いに包まれました。全厚生からも本部代表のほか、静岡県・岐阜県両支部からそれぞれ参加し、平和運動の確かな力としました。
 3月1日午前は、「原水爆の被害者は、私を最後にしてほしい」との遺言を残した第五福竜丸の無線長・故久保山愛吉さんへの献花墓参行進。1500人もの参加者が手にバラを持ち、JR焼津駅を出発。市内を抜け、墓前祭が行われている弘徳院まで行進しました。 午後の集会は「青い地球を」「3月1日の歌」などうたごえによるオープニングで幕を開けました。静岡県実行委員会による主催者あいさつ、来賓の焼津市長のあいさつ、広島・長崎の知事・市長などからのメッセージを紹介したあと、原水爆禁止世界大会実行委員会の河井運営委員代表が核兵器をめぐる現情勢の特徴と今集会の重要な役割についての主催者報告を行いました。続いて、第五福竜丸の元乗組員・小塚さんは帰港前に髪の毛が抜け始めたなど生々しい被災時の状況やその後の放射能障害、輸血による肝障害などの苦しみを証言。原水爆の恐ろしさと核兵器禁止を訴えました。また残留放射能の影響で移住を余儀なくされたマーシャルのロンゲラップ島出身のピーター・アンジャインさんは「核兵器がある限り希望はない。力を合わせて核兵器廃絶を」と力強く訴えました。時を同じくしてマーシャルでも記念集会が行われており、日本代表団として参加している元乗組員の大石さんと電話中継も行われました。
 各界の発言では被団協、青年団協議会、生協連、日本山妙法寺が発言。また「非核神戸方式」の取り組みなど各地の平和団体から草の根のたたかいを報告、核兵器のない世界の実現めざしてがんばろうと呼びかけました。
 翌2日には、原水協全国集会が開催され、「有事法制」など8つの分科会と全体集会が行われました。集会には1000人が参加し、草の根の運動で原水爆禁止世界大会を成功させ、テロも戦争も核兵器もない世界をつくろうと決意をかためあいました。


国療秋田病院の存続を

住民投票成功へ市民集会を開催

 「国療秋田病院の存続を」と、秋田県本荘市で、国立療養所秋田病院(本荘市石脇)の存続・廃止について、市民に意思を問う住民投票を計画している「住民投票を成功させる市民の会」は3月2日、本荘市の子吉川畔の本荘ポートプラザ・アクアパルで市民集会を開き投票の成功を誓い合いました。
 秋田病院は厚生労働省の方針で来年3月末に廃止される予定です。同病院は全国からアトピー性皮膚炎や特定疾病の患者が来院し、現在約160人が入院しており、東北地方最大の病院(430床、敷地面積130万f)です。
 集会会場の入口には、黄色とピンクの地に「あなたの声が医療を守ります」「住民投票を実現しよう」の幟旗が肌をさす寒風にはためくなか、市民、医療関係者ら約460人がつめかけました。うち受任者は約120人、それ以外の市民も約180人が参加。全厚生からは秋田県支部の小畑支部長、遠田書記長、地元の本荘分会の小林分会長ら10人、本部から杉下委員長、加藤副委員長もかけつけ、集会後の宣伝行動にも参加しました。
 住民投票条例制定を直接請求するには、有権者の50分の1の署名が必要で、本荘市の場合は726人(昨年12月1日現在)。同会によると署名集めを担う受任者はすでに1200人に達しているといいます。
 集会であいさつに立った市民の会の中心となっている国立療養所秋田病院を守る住民の会の遠藤誠助会長は「病気になったとき、その患者を守るのが国の仕事だ。それが憲法25条の精神だ」と厚生労働省の廃止方針を批判。市民の会の杉淵勉事務局長も「厚生労働省の政策は弱者をいじめる合理性のないものだ。国の医療政策を転換させるためにも今回の運動は重要な意味をもっている」と住民投票の趣旨を強調しました。
 集会に参加した市民の佐々木たかさんは「孫が秋田病院にお世話になっている。東北一の大きな病院である秋田病院をなぜ廃止するのか全然分からない。本当に腹が立つ。国療秋田病院をなくすことは絶対に許せない」と、フロアーから発言しました。
 住民投票条例制定に必要な請求代表者証明が7日に本荘市から交付される見通し。このため署名活動は証明書交付の翌日から1カ月行われます。市民の会では有権者の過半数を上回る2万人以上の署名を目標にしています。
 集会でアピールを提案した長谷部勝さん(29)は秋田病院の敷地内にある県立本荘擁護学校同窓会の会長です。長谷部さんは「秋田病院の廃止はまったく道理がない。納得のいくまで最後までがんばり住民投票をなんとしても成功させたい」と決意を述べます。
 集会後、国公労連、全厚生、全医労をはじめ全労連、医労連の参加者は、街頭での宣伝行動やビラ配布行動を行いました。 全労連などの主催で夜には同市のホテルで「住民投票を成功させよう!激励交流会」がひらかれ、市民の会の役員や市議らと交流しました。全厚生の杉下委員長が閉会あいさつし、「国民いじめの医療政策と対決していきたい。秋田病院存続への世論をもりあげるため微力ながらがんばりたい」と決意を表明しました。

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