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◆第1512号(2002年1月25日付)◆

2002年春闘スタート

雇用・暮らし・いのちを守る

 全労連・国民春闘共闘委員会は1月11日、新春宣伝全国統一行動を行い、中央段階では早朝宣伝と日経連臨時総会に対する抗議行動を実施。1100人が参加し、「雇用・暮らし・いのち」を守る2002年春闘をスタートさせました。この行動に、全厚生から5人が参加しました。
 日経連臨時総会の会場となった東京会館前で、11時半から始まった抗議行動の主催者あいさつに立った国民春闘共闘・小林洋二代表幹事(全労連議長)は、「2002年春闘のスタートにあたって、@深刻な不況のなか、雇用の確保なくして、日本経済の再建はない。政府に解雇規制の立法措置を求めるA今月21日からの通常国会で審議される政府の予算案は、この大不況の冷え切った日本経済に、さらに氷水をかけるようなものとなっ ている。医療の大改悪を許さず、国民の暮らしを守るため、国民本位に予算を組み替えるよう要求するB日本経済を支える労働者の賃金底上げなくして景気回復はない。胸をはって、2002年春闘で、賃上げ要求をかかげ、たたかおう!」と力強く述べました。行動の最後には、参加者全体で、「2002年国民春闘・闘争宣言」を確認しました。
 抗議行動の後、経団連会館前までデモ行進を行い、日経連の賃下げ攻撃を糾弾する怒りのシュプレヒコールを響かせました。 デモ終了後は、NTT持株会社前に移動し、NTTの11万人リストラに抗議する行動に取り組みました。


女性の採用・登用の拡大

職場ごとに要求を

 11月31日に厚生労働省は、「女性の採用・登用の拡大計画」を策定しましたが、それを前後して女性部では、人事課と社会保険庁に対して要求書を提出し、男女共同参画基本法が職場で生かされるよう、要求しました。この「拡大計画」では、厚生労働省の女性職員割合は、行(一)で23%となっており、全府省の17%に比べると6ポイント上回るなど、採用・登用において全府省からすれば進んでいると分析しています。これは、全厚生女性部で要求してきたことの成果でもありますが、@内部部局や各機関を個別に見れば、女性が極端に少ない職場があるA男女共同参画の社会の流れに照らして23%は「多い」という数字ではない、など今後の課題も残っています。女性部では、当局に実態を真摯に受け止めさせ、計画を実行していくよう働きかけていくことが重要と、各支部での取り組みを呼びかけています。


定時退庁を呼びかけ

本省支部と女性部

 1月16日の全省庁一斉定時退庁日に、全厚生本省支部は夕方6時から、定時退庁呼びかけ行動を行いました。これに、清水女性部長はじめ女性部幹事会メンバー6人が合流し総勢14人で、厚生労働省本省の各階廊下を鐘をならしながらねり歩き「健康と生活を守るため、仕事を切り上げ帰りましょう」と呼びかけました。 


リレーずいそう
● 我が家での映画
 この年明けから、寒さが厳しくなってきました。こんなときは早めに家に帰り、こたつに入って、体を暖かくしてくれるものを、食べたいものです。もちろん、飲み物もですが。私は中途失明の視覚障害者ですが、職場復職して以来、職場でも家庭でもパソコンをいろいろと利用しています。現在は一般にスクリーン・リーダーと呼ばれる音声合成ソフトを入れて、画面に出ている文字や記号を読ませながら、仕事や電子メール、ホーム・ページの閲覧などをしています。
 現在、自宅のパソコンはDVDを見ることができるタイプです。これを買った当時は、DVDのことはあまり気にしてなかったのですが、最近、我が家でもDVDの映画鑑賞をするようになりました。最初に購入したのは、以前見たトム・ハンクス主演の映画「BIG」です。家庭で映画となると、レンタル・ビデオでというのが一般的ですが、こういった洋画の音声は英語で日本語は字幕で画面です。でもDVDの場合、だいたい日本語の吹き替え音声が入っています。英語が極めて苦手な私にとっては、本当にありがたいものです。
 映画を見るのに音声だけというのは、ちょっと変な気もしますが、映像については一緒に見ている家族に聞いたり、予めインター・ネットでその映画情報をチェックすることで、補っています。まあ、推理物の映画の結末までは調べませんが。
 そんなこんなで、私は家で映画を楽しんでいます。これまで何本か見てきましたが、職場で話をしたら、映画の話題で盛り上がったこともありました。
 一般の社会も公務員の社会も、何となく窮屈な時代になってきています。そんな中で少しでも、気持ちにゆとりを持てるようにできればと、考えている今日この頃です。
(精研支部 秋元明)


第26回全厚生女性交流集会 in 大阪に
ぎょうさん来ておくれやしておくれやっしゃ
大阪支部女性部長 豊島美香さん

ともに生きる〜人が人らしくあるために
第26回全厚生女性交流集会
日  時2002年2月23日(土)午後2時から
2月24日(日)正午まで
会  場「大阪コロナホテル」
大阪市東淀川区西淡路1−3−21
(JR新大阪駅東出口北側より徒歩1分)
記念講演小林康二さん
(落語グループ「笑工房」代表・落語作家)
楽しく語り合い、学び合い、交流しましょう。
保育室あります。お子さま連れでどうぞ。
 第26回全厚生女性交流集会は、2月23・24日に大阪で開催します。現在、全厚生女性部と大阪支部女性部が連携して準備を進めています。交流集会の1日目、落語作家の小林康二さんの記念講演の演題は「笑いと いじめと 労働組合」です。夕食交流会では大阪支部が楽しい企画を用意。お部屋で部門&テーマ別の交流もします。2日目は、参加者全員でフィールドワーク。大阪空襲や原爆、核戦争の脅威と平和を考える展示などがしてある大阪国際平和センター(ピース大阪)を訪れます。案内人は、関西大学名誉教授の小山仁示さんです。保育室を設けますので、お子さま連れで参加してください。希望者は1日目にジンベイザメで有名な水族館「海遊館」に行きます。2日目はフィールドワークに親子で参加し、平和について語り合う機会にしてください。
 大阪支部は人数こそ少ないけれど、1人ひとりが存在感あふれるメンバーです。大阪に来て良かったと思っていただける企画で、みなさんのお越しを待ってま〜す。ぎょうさん来ておくれやしておくれやっしゃ。


2002年春闘「私の要求アンケート」全厚生分の結果

生活改善要求は切実

対話と共同を広げたたかおう

 昨年秋に取り組んだ「私の要求アンケート」は、18支部・分会1816人分を集約しました。(約50%)  全厚生は、アンケートは誰でも参加できるとともに、1人ひとりの切実な要求を運動に反映させるため、全員参加を重視して取り組んできました。(昨年同時期2199名) 決して十分な集約状況とはいえませんが、暮らし、賃金要求、残業実態、健康状態など、職場の現状を知ることができます。このアンケート集約結果をもとに職場で大いに議論し私たちの要求を「みんなの要求」として確立しましょう。  全体の構成は、男性7割、女性3割、収入構造では1人(独身)が36%、1人(扶養者有り)が19・4%、共働きが38%(パート及びフルタイム)となっています。

暮らし苦しく文化教養の充実望む

 暮らし向きについては、「かなり苦しい」「やや苦しい」をあわせて6割を越え、この傾向はすべての年代に共通しています。生活で充実させたい項目では、「文化・教養・レジャー」が最も多く、次いで「車・家電・家具」「老後のそなえの充実」と続いています。特に「文化・教養・レジャー」を充実したいという回答はすべての年代に共通しており「健康で文化的」とは言い難い生活実態にあることを示しています。

賃上げ要求は切実

 賃金要求では、3万円要求が最も多く、次いで、2万円、1万円、5万円となっており、単純に平均すると約3万1,000円で、昨年と比べて4千円程度低い結果となっていますが、依然として要求平均は3万円を超え、賃上げ要求が切実な状況は変わりありません
 人事管理の公正な配置・処遇が行われているかの問では、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」があわせて15%なのに対して、「どちらかというとそう思わない」「そう思わない」が43%と、不公正な人事管理に不満を持つ職場実態が明らかになっています。
 超過勤務の実態では、粘り強い毎回の交渉や退庁日行動を行う中で、超過勤務実態が若干は改善されたものの、「10時間未満」42%「10時間〜20時間」25%の結果は、本省・業務センターの実態が反映されていないことも要因の1つです。また、依然として、仕事による疲れについては、疲れを感じるとの答えは83%にも達しています。
 こうしたアンケート結果から、全体的に生活が苦しく、「文化・教養・レジャー」などの最も人間らしさを感じる分野が満たされず、残業に負われ、日々、疲労を感じている、まさに不健康そのものの職場実態が浮かび上がってきます。
 人事管理については、経験や職務が正しく評価されていない実態が明らかになっています。
 賃金要求では、賃上げ要求がより切実度が増していることを如実に物語っており、3年連続年収切り下げに対する怒りの大きさもうかがうことが出来ます。賃金に関しては、「意見欄」にも「これ以上賃金を下げないで」「賃上げして欲しい」などの意見が多く寄せられています。また、公務員制度改革に関しては「成果主義の公務員制度は国民のために絶対ならない」「競争主義の導入は職場を分断する」「職場のチームワークが乱れる」などの意見が寄せられ、小泉内閣が強行しようとする「公務員制度改革」は、到底受け入れられないことを示しています。

要求に確信を持って

 2002年春闘で全労連は、「すべての労働者の賃上げ」を重点に掲げています。私たちは、生活の中から出てきた要求をしっかりと掲げ、「公務労働者」のみにとらわれることなく、すべての労働者・国民の生活改善をめざしてたたかうことが重要です。
 私たちの要求を「わがままな要求」ではなく「当然の要求」であるとし確信を持って、1人でも多くの対話と共同を広げ、2002年春闘を大いにたたかいましょう。 


経営側の春闘方針・労問研報告を読み解く

財界・大企業は労働者に犠牲を押しつけるな

 労務問題で経営側を代表する日経連は1月11日、臨時総会を開き「これ以上の賃金引き上げは論外」とする今春闘に臨む方針(労働問題研究会報告)を決定しました。これによって2002年春闘が本格的にスタートしました。過去最悪の失業率5・5%をはじめ労働者と国民の暮らしと雇用、営業が危機的状況にあるもとで、今春闘は国民生活を守る大闘争としてたたかわれます。マスコミ各紙がこぞって論評するような「雇用春闘」とか、「切り札」は「ワークシェアリング(雇用の分かち合い)だ」などという限られた範囲の狭いたたかいではありません。
 労問研「報告」は、日本経済の危機打開を強調するだけで有効な展望を示し得ていません。今日の長期不況をもたらした財界みずからの責任には言及せず、日本の「高コスト構造」にその原因を転嫁し、もっぱら攻撃の矛先を賃金に向けています。リストラと賃金カットで労働者にひたすら痛みを強い、歯止めのない国際競争にかりたてようとしているのです。
 「報告」は賃金問題について、労働者の生活実態を無視した比較を行い、「わが国の賃金水準は世界のトップクラス」などと強調し、国際競争力の維持という観点から「これ以上の賃上げは論外」と主張しています。そして「場合によってはベア見送りにとどまらず、定昇(定期昇給)の凍結・見直しや、緊急避難的なワークシェアリングも含め、思い切って踏み込む」と述べ、賃下げを公言してはばかりません。財界・大企業は労働者に犠牲を押しつける徹底した「総額人件費の抑制」、春闘解体の姿勢を強く打ち出してきています。
 さらに、失業率5・5%の史上最悪を記録し社会問題になっている雇用問題について「報告」は「危機的な雇用失業情勢を打開するため」として、雇用のセーフティネット、ワークシェアリングなどを掲げています。しかし、その方針が「総額人件費の抑制と両立する」緊急避難型の提案からも明らかなように、仕事の分かち合いで雇用を創出するワークシェアリングは名ばかり。その狙いは、賃金を時間割で減額する「時間当たり給与」の導入や一時帰休など企業都合の労働短縮においても「ノーワーク・ノーペイの原則」の適用を打ち出すなど労働条件の切り下げ、総人件費・賃下げを押しつけるなにものでもありません。
 また、「派遣、パート、アルバイト、契約社員」など雇用形態の多様化の推進も掲げ、その際「経営効率の向上と雇用コストの軽減を同時に実現しなければならない」と主張しています。ここには、正規労働者を非正規労働者に置き換え、必要な労働者を必要なときに安く雇用するという雇用対策に名を借りた大企業の論理があるだけです。
(次号につづく)
(全厚生中央執行副委員長 加藤重徳)

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