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◆第1511号(2002年1月5・15日付)◆

国民の方を向いて仕事がしたい

 公務員制度改革とのたたかいは、昨年末の「公務員制度改革大綱」の閣議決定という新たな段階を迎え、たたかいの継続・強化が求められています。公務の職場には、「信賞必罰」の競争原理の導入や「能力・業績主義」は、そもそもなじみません。公務員は、憲法15条にある「全体の奉仕者」の立場にたつことが基本です。「民主・公正・効率」の公務員制度を確立し、国民のための厚生労働行政の拡充のために、引き続き、2002年春闘で奮闘しましょう。

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●チームプレーを主とする福祉の職場に競争主義は不向きです。  福岡視力支部 上田幸彦

 今回の公務員制度改革には反対です。いろいろな公務員批判が出ていることは十分に承知していますが、大方の批判を浴びる元凶はどこにあったのでしょうか?我々の現場の様な組繊の下の部分にあったのでしようか?そうではないでしょう。ほとんどは組織の上の方、それも非常に上の方が起こした事件が発端ではなかったでしようか。
 現場には問題がないとは言いません。しかしそれらが今回の改革の本質である「競争原理」によって解決するとは思われません。問題の本質はそれぞれの組繊の上に立つ者の管理責任・監督責任が明確でないことにあると思います。それを是正しない限り、公務員の質は改善されないでしょう。
 さらに今回の「競争原理」は我々のような福祉の現場、チームプレーを主とする職場には不向きです。より良くチームプレーを評価するシステム、それがあれば良いのでしようが、今回の大綱からはそれを読みとることはできません。一部の個人プレーを評価することはできるかもしれませんが、それ以外のほとんどの者はやる気を更に失うことになるでしょう。それで公務員を辞めることを政府は狙っているのじゃないかな?


公務員制度改悪反対
新人事制度はこんな制度成果主義賃金導入の職場からの告発

国民的な支持と共同を広げよう

 政府・行革推進事務局は、昨年12月25日に「公務員制度改革大綱」を閣議決定しました。焦点である労働基本権問題は、「公務員の労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持すること」としています。能力等級制度の導入を基礎にした新人事制度の構築では、各省庁の人事管理の権限を拡大させる方向を示しています。使用者側の権限を拡大・強化する一方で、労働者の人間らしく働く上で最大限尊重されるべき労働基本権保障の具体的内容は明らかにされていません。この一方的な決定は、断じて許されるものではありません。
 大綱は、公務員制度改革のスケジュールは、2003年中を目標に国家公務員法の改正案を国会に提出。2005年度までに関係法律や政令等を整備し、2006年度を目途に新公務員制度に移行するとしています。
 いよいよ、公務員制度改革との対決は、より具体的かつ正念場に入ります。政府の言いなりになる行政体制づくり、公務員の働き方の基本を根本的にかえる攻撃に対し、民主的な公務員制度の確立をめざす立場での取り組みを強化し、春闘の中心課題に位置づけてたたかうことが重要です。
 今後のたたかいの基本方向は、@国民的な支持と共同を大きく広げるA政府・当局の使用者責任の追及B政府による一方的な労働条件の不利益変更に反対する職場からのたたかう態勢づくり、を引き続き重視してたたかうことが大切です。このたたかいを攻勢的にすすめるために、職場での学習活動を重視しましょう。

●検査・検定が評価にならないなんて  感染研支部 森嶋康之(32)

 今年4月に感染研に入所してハッキリと認識できたことの中に、研究所の業務の中には行政検査・依頼検査があり、このような業務が国民の健康と福祉を守るために重要であると云うことです。しかしながら、職員の業務評価・昇格審査にあたっては、論文の数(研究業績)が専らの指標とされてきたことを知り、大変驚いています。私も含めて、日々の業務として検査、また検定に多くの職員がしっかりと取り組んでいますが、国立の試験研究機関であるにも拘わらず、このような業務は殆どが評価の対象になってこなかったのです。新制度では更なる業績主義が指向されています。研究業績のみが評価の対象となり、それ以外の高度に専門的な業務(検査・検定業務)での実績は全く評価されなくなります。それでは、職務に励む研究国家公務員の意欲を喪失させ将来への希望も失わせる、このような状況では国民の保健医療の向上が阻害されかねません。

●キャリア制度や天下りの改革こそ必要  秋田県支部 野本隆男(30)

 日本の産業・企業・政治が今や市場競争原理に大きく揺さぶられ、これまでの規則や慣行によって守られてきた日本的経営がグローバルスタンダードに向けて方向修正を余儀なくされている。その中で、公務員制度の改革が唱えられるのは時勢の必然であるが、今回のそれは、内容を考察すると本来あるべき姿の変革ではないように見受けられる。
 信賞必罰は、競争原理を基に個々の能力を最大限に引き出す手法で時に効果を発揮するが、今回の内容では、企画・立案・調整部門だけを対象にしている。人事考課を行ううえで、能力評価は上役の主観的判断が入り易く、業績評価は、明確な業績が測定できる職務等に限られており、この点においては工夫が必要である。しかし、キャリア制度、天下りといった世論批判を受けている部分にはほとんど触れられていない。まず、ここから始めなければ、真に国民のための行政改革などできないだろう。わが国の官僚制では、規則に基づく権限の体系と職務の遂行をきわめて合理的に行っている反面、実際の職場においては、職務の遂行はむしろ柔軟性を欠き、非能率的な場合もある。そうした視点に立ち改革を進めるべきであると考える。
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新人事制度はこんな制度
 「国民本位の行政」だなんて全厚生と同じこと言ってるケド・・・
 12月25日に閣議決定された「公務員制度改革大綱」は、「真に国民本位の行政の実現を図ることを基本理念として、国民の立場から公務員制度を抜本的に改革する」と言っている。なかなかいいこと言っているじゃないか。そのとおり!「国民本位の行政を」は、まさに国公労連・全厚生のスローガンでもあるしが、何か違うぞ。掲げるものは同じでも、どうも「国民」の捉え方が違うらしい。政府・行革推進事務局の言う「国民」とは、もしかして「財界・大企業」のことかな?と思ってしまうような改革内容だ。
 今回の改革の主要部分である「新人事制度」について簡単に紹介しよう。
 能力等級表で格付けが下がる?
 新人事制度は、能力等級表を新たに導入する。組織段階ごとに基本職位、代表職務及び能力基準を定めると言うから、今の標準職務表のようなものを示すらしいが、本府省偏重・上級幹部職員重視の考え方からして、地方支分部局等の格付けが下がるのは避けられない。
 給与に成績主義導入
 新人事制度の目玉は、能力・職責・業績を反映した新給与制度の確立だ。新給与は、「基本給」、「職責手当」、「業績手当」からなる。それぞれの内容を見てみると。
@基本給(能力給)
 現行の俸給月額に替わる基本給。定額部分と年1回の加算部分からなる。定額部分は上位の等級ほど高い。加算部分は年功序列ではなく、業績評価の結果により決まり、加算がない場合もある。
A職責手当(職責給)
 管理・監督の地位にある職員の給与を補完するもの。職責手当が支給される職員には超過勤務手当は支給されない。
B業績手当(業績給)
 民間における賞与に相当。基礎的支給部分と業績反映部分からなる。業績反映部分の支給額は人事管理権者が決定する。なお、本府省課長等級の上位者は業績反映部分の比率を高める。基礎的支給も業績反映部分もともに勤務状況(期間率)を反映する。
Cその他の手当
 特別調整額、期末手当、勤勉手当等、既存の手当は廃止。本府省課長補佐及び係長には本省勤務手当を新設。扶養手当はあり方について見直す。
 競争に負けたら給与はマイナス
 このように給与制度が抜本的に変えられる。新給与制度は、職員間で「競争」をさせて「成績の良い者には給与をたくさんあげよう、成績の良くない者は、給与を下げるぞ」という制度。総人件費抑制が目的だから、「成績の良い者」と同じだけ、いやそれ以上の「成績の悪い者」を作らなければいけない制度だ。
 評価は人事管理権者の胸先三寸か?
 では、評価はどうするのか。新人事制度は、現行の勤務評定制度に替え、能力評価と業績評価からなるあらたな評価制度を導入する。
 まず、能力評価により、格付けが決まる。次に、業績評価は目標管理の手法をもちいる。つまり、職員の業務目標達成の度合いで、基本給加算部分と業績手当の業績反映部分を人事管理権者が決める。組織目標は各府省が設定する。職員には行動規準を設定し、周知徹底する。行動規準にのっとり模範となった職員には褒賞を行うなどの措置をとるという。 
 気になるのが、評価制度が適正に運用されるかどうか。評価の公正性・納得性を確保するため、複数の評価者による評価、評価者訓練、評価のフィードバック、職員の苦情に適切に対応する仕組みの整備などを行う、と言っているが・・・評価するのも苦情処理するのも同じ省内。公平性が保たれるのか疑問は大。
 国民の方を向いて仕事がしたい
 民間の職場ですでに成績主義賃金が導入されているところでは、個人の成績を上げるために知識を人に教えない、大きな目標をもたないので会社の発展に逆行、などの弊害が生まれている。
 全厚生は、国民に対して公平に行政サービスを行う公務職場に競争主義はなじまないと主張してきた。個人の評価を気にするあまり、上司の方を向いて仕事をするのではなく、私達は「国民の方を向いて仕事がしたい」。この気持ちを大切にして、「公務員制度改悪反対」でガンバロー。
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成果主義賃金導入の職場からの告発@
 昨年から業績給が導入されたNTTでは、年度はじめに目標設定のチャレンジシートを書かせています。通話料金滞納対応のある職場で働くAさん(50代女性)は、「チームでしている仕事であって、個人でいくら集めるなどという目標は出せない」とチャレンジシートを出さないでいたら、「達成度をはかる基準がない」という理由で評価は最低のD。冬のボーナスの実績評価部分(全体の25%)が0円だったため、2.6月もらえるはずのボーナスが1.95月しかなかったとか。業績給導入前の同じ冬のボーナスと比べて40万円もダウンしました。「不服申し立てをしても通らなかったら裁判してでも闘うべき」と家族に言われたそうです。
 また、ある電報の営業部門でのこと。個々の職員の中には、高い目標を持ち営業成績も目標を超えるなどがんばった人もいましたが、「電報は将来性がない」という理由で、電報部門は全員最低のD評価でした。がんばっても評価されないなら、もうがんばるのがあほらしくなるのが人間というものでしょう。これではNTTの将来もあやうい?
成果主義賃金導入の職場からの告発A
 とある大企業は、数年前から成果主義に基づく人事制度を導入していますが、昨年、「個人の成果に走るあまり組織として機能せず、成果主義賃金制度は廃止の方向」とマスコミでも取り上げられました。職員のBさん(男性30代)に話を聞いてみました。
 報道されたとおりですが、実際は、部下を教育することも成果になるので、アメリカのように同僚を蹴落としてまで自分が成果を上げるというようなことは露骨には行われていません。が、目標に対する達成度が評価の基準になるので、みんな目標を高くもつことはしません。これじゃ、会社の発展はないだろって、会社も気づいたんじゃないですか。
 ボーナスは本給と職責給でなってますが、職責給は単年度評価です。5段階評価で、平均のCは全体の50%、平均以下のDは15〜20%、平均以上のBは30%、最低のEと最高のAの人数はその時々でちがいますが、事業部門ごとに割合が決まっているので、最高ランクはわずかになります。その微妙な判断は、上司の胸先三寸。いくらがんばっても、事業部門にがんばった人が多くいすぎると、Aランク競争は激しくなります。がんばらない人ばっかりだと、少々成績が悪くてもAランクがもらえたりします。AとEでは30万円ほど違います。今年Aでも来年はEかも知れない。とても不安定です。
 上司によっては、透明性のある公平な判断をしてくれる人もいれば、納得いかない評価をする上司もいる。上司にごまをすってる人もいるけど、ボクはそんなのいやだから、上司に取り入るどころか、評価に対する不服申し立てもしたことないです。
 マスコミで成果主義賃金は廃止と取り上げられましたが、まだ、いつやめるか、などは正式に決まっていません。会社は、成果主義賃金よりも裁量労働制をやめたいのだとも言われています。うちの会社は、大卒で勤続2〜3年すると裁量労働制を選択できるのですが、残業手当の月40〜60時間(Aさんだと9万程度)が手当として出るかわり、仕事の時間制限がなく、残業規制もありません。会社は残業手当の削減を見込んで入れた制度ですが、残業月100時間する人はする、しない人はしない。会社組織が大きくなればなるほど、適当に仕事はやって手当だけはゲットする人が多く出る。会社の大きな誤算だったわけで、会社としては、そこを斬りたいというのが、本音のようです。


あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします


中央執行委員長  杉下茂雄


人はだれにも可能性がある


 30数年前の3月、1人の青年が、まだ見ぬ東京での生活に不安と希望をおりまぜて上野駅に夜行列車から降り立った。東京に来たのは公務員となって働くためだが、仕事のこと職場のことはむろん何1つインプットされておらず、とにかく白紙からの出発。“人に迷惑をかけず、まじめに働くんだよ”とのおふくろの言葉だけが頭に残っている。
 最初の配属は年金の支払いの事務。法律というものをはじめて読み、文章の書き方も1から教わった。自分をいやになるほどつまづき反省の繰り返しだったが、先輩は優しく親切だったし、同期とも大いに語らい合った。今の私はこうした先輩や同期たちの存在があったればこそだと、つくづく思う。
 人にはだれにも輝く部分があり、可能性がある。その芽を摘むことなく、長い目で生かし育てることがいつの場合でも大切だと思う。少なくとも、半年や1年の結果でレッテルを張り色分けするようなことは理にかなっているとは思えない。
 職場でも社会でも1番つらいことは、差別ではないだろうか。しかしこれからの公務職場は、公然と、能力だ業績だと「管理者」によって「評価」され、1人ひとりが個別管理のうえ差別分断されようとしている。政府は民間ではあたりまえというが、実際のところ現場の「管理者」もたまらないのではないだろうか、大事な仕事に責任が負えるのかと。先輩が後輩に仕事を教えなくなったとかノウハウが継承されなくなったなどと新聞でも大きく報道しているが、心配だけですまされないのではないか。
今年は正念場となる。公務員制度「改革」の問題はそれ自体単独に存在するのではなく、平和・民主主義への攻撃や社会保障改悪などと一体として突きつけられているもの。
 1面の四コマ漫画、作者の佐尾さんによると、ゴホゲホの老人は“私”に似せているそうだが、老けこむにはまだ早い。未来ある青年をはじめすべての仲間と力を合わせ、改悪の断念をめざしてがんばりたい。決意も新たに。


ベトナムに盲学校の建設を
視覚障害児との交流を重ねて  中央執行委員 今井 進(神戸支部)

 ベトナム視覚障害児との交流活動には、全厚生の皆さんから、激励や励ましを頂いております。誠に有難うございます。  ベトナムと聞くと皆さんは何を思い浮かべられるのでしょう。アオザイや生春巻き、ベトちゃんドクちゃん、年輩の方ならやはりベトナム戦争でしょう。世界中が戦争に傾く今、反戦平和への想いが強まります。

ベトナム視覚障害児者との交流のはじまり

 私たちがベトナムの視覚障害者と交流を始めたきっかけは、阪神・淡路大震災直後の1995年7月でした。震災地神戸では20万世帯が避難所や仮設住宅で途方に暮れていた時期に、ベトナムより日本ベトナム友好障害児教育センター福祉調査団の一行(Bachviet団長、盲学校教員)が神戸を訪問され、お見舞いと激励を受けました。このことを契機に、翌年の1月、調査団から受けた激励に対する表敬訪問と国連・アジア太平洋障害者年の意義を確認して、ホーチミン市盲人協会との交流を実施することが決まりました。帰国後この交流を今回限りで終わらせたくないとの声が寄せられ、1997年5月23日、神戸で日本ベトナム視覚障害者交流協会が結成され歩き始めました。現在まで4回訪越し交流を深めています。
 交流の具体的なものに、スポーツ交流とマッサージ交流があります。スポーツ交流では視覚障害者スポーツの紹介を兼ねて一緒に楽しく遊びます。マッサージ交流ではベトナム視覚障害児者の新しい職業としてマッサージを広めようと日本按摩の指導をしています。

厳しい経済状況下での障害児教育の現状

 ベトナムの経済状況は、平均月収でいうと都市部で1万円、農村部で5千円程度です。現地の人が行く食堂は、1食50円くらいで食べることが出来ますが、観光客の場合は別です。日本料理店で夕食でも食べれば、現地の人の平均月収くらいになってしまいます。
 教育や障害者施策も取り組まれてきていますが、経済状況もあって厳しいのが現状です。学校が少ないため教育が受けられない子供もたくさんいます。義務教育の年齢は決まっていますが、色々な事情で入学できず、学年の年齢はバラバラです。小学1年で12歳という子供もいます。学校は半日で午前の子供、午後の子供と分かれています。障害児は障害児学校で通常の倍の時間をかけて学習し、学年を終了していきます。また、年齢が高くなると労働力として家庭を支えます。労働が許されるのは15歳からですが10歳位から働いています。

期待の高まりと交流の成果に喜び

 4回の交流を通じて期待の高さをひしひしと感じます。マッサージを勉強しようとする子供は少しでも早く覚えようと、私たちの手を触りながら確認していく様子が印象的です。子供たちはスポーツと音楽がとても好きです。ベトナム式バレーボールや卓球などは1日中でもやっている勢いです。
 私たちが交流するにつれマッサージに来る患者さんが増えてきた。楽しめるスポーツ種目が増えたなどの話を聞くと、少しずつでも着実に成果が感じられ嬉しくなります。

交流や援助を一時的なものにしないために

 交流や援助を一時的なものにしないで出来るだけ長く続けられるようにと考えていますが、ベトナム視覚障害児が自立して生活できることが大切であることはもちろんです。視覚障害児の教育の機会はまだまだ少ないですし、働く機会も少ないのが現状です。それらの機会を少しでも増やしていけるよう地道に活動を続けようと思っています。そのためには多くの人たちの相互理解が大変重要となります。スポーツを通じて実現できればと考えています。

8月に日韓越視覚障害児者サッカー大会を開催

 想いを形にする。今年は日韓共催のワールドカップがあります。ベトナムの子供もサッカーが大好きです。そこで日韓越の視覚障害児者サッカー大会「音で蹴るもう1つのワールドカップIN KOBE」の8月開催に向け準備を進めています。どんな大会になるか今から楽しみです。
 マッサージの交流は教育機会の確保が大変重要と考え、私たちで盲学校を建設することを目標にしています。会の名称も「ベトナム視覚障害児の夢と未来を支える会」に変更、多くの方々に協力や支援を訴えています。
 関心のある方は次のアドレスにメールを送って頂ければ資料等送らせていただきます。もちろん神戸支部宛に連絡頂いても結構です。
e-mail  jadfvn@hotmail.com (いまい・すすむ)


2002年全厚生
組合員のひろば


― なんでもコレクター大集合 ―


●ボトルキャップ  秋田県支部 櫻田 明
 私が、ナイお金を使って意地になり躍起になって収集しているのは、よくジュースのおまけとして付いてくる、ボトルキャップです。
 ボトルキャップ自体ペットボトルの蓋カバーみたいな物で、たいして意味がないのですが色々な種類があり、ついつい買って集めてしまうのです。もう完全に病気ですが・・今のところ治りそうもありません。

●ミニカー  秋田県支部 成田真寿美
左より、長男基武もとむ(3歳)次女むつき(1歳)長女みかる(5歳)
 トミカを中心にミニカー 約180台勢揃いです。このほかにも、大型バスや大型ダンプ等何台かあるのですが、紙面の都合上省かせていただきました。子どものというより、家族みんなの楽しみの一つになっています。

●遊戯王デュエルモンスター  函館支部 古賀英樹
 今私のコレクションの多々ある中で一番凝っているものはトレーディングカードゲーム(TCG)です。特にTVアニメ遊戯王デュエルモンスターに凝っています。1000種類以上あるカードの中からデッキ(自分の山札)を組み、知略と相手との駆け引き、そして一番の醍醐味はここぞという時に勝利を手にすることの出来るカードを引き当てることが出来るかどうかです。

●JRの駅の入場券  愛媛県支部 堀本陽司
愛媛県支部の堀本陽司(29)さんが、JRの駅の入場券を収集されています。そこでお伺いしてみました。
 いつ頃から、何をきっかけに入場券の収集をはじめたのですか。
 本格的に収集を開始したのは2年ほど前からです。きっかけは、平成11年11月11日の1ならびの日になんとなく思いついて!
 現在、何枚くらい集められていますか?
 入場券+乗車券で300〜350枚程度です。
 最後に今後の目標は?
 全国47都道府県の県庁所在地の駅に行くことです。写真に写っている入場券は、全部ではなく一部だそうです。

●プラモ  香川県支部 香川 博(32)
以前リレー随想でお話しました。プラモの山です。つもり積もって、これだけあります。全て未成品です。いつか子どもと一緒につくりたいと思っています。

●チョコエッグ  秋田県支部 小畑 浩
 昨年からはまり続けたチョコエッグですが、なかでも猫が大のお気に入り。写真は、猫に囲まれてとってもうれしい、ネズミ(年生まれ)の私です。


ザ・ニュースペーパー

  小泉政権を笑う

 全厚生大会や神奈川県支部大会でおなじみの、お笑い集団『ザ・ニュースペーパー(TNP)』の稽古場を訪問してきました。
 場所は東京都北区、JR駒込駅から3分ほど歩いたマンションの2階に事務所、1階が稽古場、政治が大きく動いた昨年は生き生きと活動、「小泉効果」はTNPに大きな影響をあたえました。6月の東京池袋で行った公演は参院選挙が絡んで大盛況で嬉しい大入り。選挙応援に全国から依頼が殺到、松下アキラさんふんする小泉首相の取り合いが起こる始末。「政治家は国民を食い物にしているけどTNPは政治家を食い物にしている唯一のグループ」との巷の声もあるとか。
 稽古場では12月公演の稽古真っ最中。今回の公演もワールドカップ・狂牛病・小泉内閣・さる高貴なご一家…と盛りだくさん。2002年の公演は2月に福島からスタート。
 プロデューサーの杉浦正士さんは 「小泉内閣になって、うちとしてもほんとにうれしい、小泉バブルがわれわれに吹いている」と笑います.さらに、続けて「強いものを笑ったほうがからっとしていて面白い。前首相の森さんは、あの人自体がとんでもない人だったから。川に落ちた犬をさらに笑うという弱いものいじめみたいになってしまって、後ろ向き。からっとしてないんですよ」と説明し、社会保障の改悪の話の中で「公演で会うお年寄りは生きようという意欲にあふれていているんです。そんな人にも、痛みを強いる。はらがたちます。わかりにくい政治をやさしく、深く、面白くそんな思いで作ってます」と舞台への思いを語ります。
 神奈川県支部の大会では、小泉首相役の松下アキラさんが「国民からの圧倒的支持と人気を得て、鼻高々の小泉純一郎です」と代議員席の後ろから登場し代議員席は大爆笑の渦、その情報を聞きつけた県内の労組から講演依頼が殺到したとのこと。また、医療改悪では民医連の要請で問題点を鋭く突いた「小泉医療『改革』に異議あり!」を作成大好評です。
今年もTNPがどんな舞台を作るのか結成14年目、代弁するというわけもないけれど、笑ってしまいたいことを舞台にします。油断のできないステージに乞う期待あれ!
(川名健書記次長)

《ビデオ申し込み》
「小泉医療『改革』に異議あり!」全日本民医連企画・製作、18分 税・送料別2,500円。 保健医療研究所 03(5842)5656まで

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本とバッグ プレゼント
 全厚生のみなさまにジョン・レノン・ミュージアムのロゴ入りランチバッグ(ナイロン製・ブラック・28p×17p)と中村哲著「医者井戸を掘る」の本をそれぞれ1名様にプレゼントします。
ハガキに希望の商品と住所・氏名(お子さんの場合は親の氏名も)・支部名と新年号の感想を書いて応募してください。Eメールでの応募もOK。
▽締め切り=2月8日必着。
▽宛先はクイズ宛先と同じ住所で「新年号プレゼント」係。
▽発表=2月15日付紙上の予定です。


女性への差別は社会の損失
セク・ハラ相談員として  社会保険業務センター支部 田辺恵美子

 電車の中でなら「キャー、ちかん!」と叫ぶことができます。周りの人も放ってはおかず、加害者を取り押さえ、警察へ突き出してくれるでしょう。刑事民事責任は免れず、社会的制裁を受けることになるでしょう。そして、誰もがそれを「犯罪」とたやすく認識できます。
 同じことが職場の中に起ったらどうでしょうか。被害者は抵抗もできず、憂鬱な気分に陥るだけ、加害者はどこかへ突き出されるわけでもなく、昇進に差し支えるわけでもありません。なかなか訴えることができないからです。
 何故でしょうか。職場のそれは、顔見知りという人間関係、上司と部下という力の不平等関係の中に生じるからです。

人権を蹂躙するセク・ハラ実態

 昨年12月、女性部主催の「これってセクハラ?」の学習会が計画されたのを機に、業務センターとその周辺のセクシャル・ハラスメント事例を集めてみました。相談員3人と女性部員2人の情報だけでたちまち30事例が列挙されました。部下が上司から受けた事例が圧倒的に多く、驚かされます。しかし、相談に来る人は、まだまだわずかです。次に相談に来て解決した事例を3つ挙げてみましょう。
 Aさんの上司は、わざと卑猥なことを言って周りの反応を見てひとり悦に入っていました。周りの人が注意しても止めません。Aさんが相談に来てくれたので、その上司に事実確認の後、注意し、反省させるに至りました。その上司は神妙に受け止めたので、今後は周りを不快にする言動は慎むでしょう。
 B さんの相談はちょっと深刻でした。5時以降の出来事でした。上司にあたるCさんから「仕事の話がある」と呼び出されましたが、仕事の話は一切なく、男女の話題などばかりでした。悔しくてか、相談中時々涙ぐんでいました。Cさんは手ごわい相手で、自分に不利になるようなことは認めようとしません。しかし、何回かの事情聴取でセクシャル・ハラスメントと判断されました。働いている部屋を離してもらいたいというBさんの要望には応じられましたが、心の傷まで救済できなかったと思いました。そのときの男性相談員の真摯な態度には感動しました。
 Dさんは、酒の席上で、上司から触られ、落ち込んでいました。訴えたいと思いましたが、後で気まずくなるのではないかと心配していました。友人が心配して、一緒に相談に来てくれました。指摘された上司もDさんに謝罪したので、Dさんの心は晴れました。
 このように、訴え出れば、解決されますが、多くの場合は、被害者の救済も加害者の懺悔もされておりません。もちろん、制裁もありません。
 列挙された30事例は、他人の身体的特徴をネタに笑いを取ったりするもの、おばさん、お母さんなど人格を無視した呼び方をするもの、身近な話題を性的なものに結び付けたりするものなど様々です。いずれも人としてのマナーからはずれ、被害者の人権を蹂躙しています。けれど、大方の加害者が、その行為を指摘されるまで、被害者の辛さに無頓着であり、罪の意識はありません。ここに、問題解決の根深さを感じます。

職場全体の意識改革がまず大事

 そもそも、セクシャル・ハラスメントは、20年程前に欧米から入ってきた言葉なのですが、日本でも、職場の男性の女性に対する性差別の意識が強く、多くの女性がセクシャル・ハラスメントに悩まされている実態が明らかにされて来ました。訴訟も100件近くあり、裁判の中でも、セクシャル・ハラスメントが雇用差別であること、人権問題であること、使用者責任があるのだということが認められるようになってきました。女性への差別は、会社や職場の損失であるということに気付き始めたのです。
 そういう社会情勢の延長線上に作られた人事院規則10−10は、セクシャル・ハラスメントの概念を示し、強く意識改革を求めています。男女とも対象としており、相談した者が不利益を受けないことも明記してあります。職場全体の意識改革が一番大事ですが、セクシャル・ハラスメントを受けたら、「ノー」と言えるようになることも大事です。言っても通じないときや言いにくいなと思うときは、ぜひ、相談に来て下さい。それもできない場合は、お近くの組合役員のそばで「これってセクハラ?」とつぶやいてみてもいいですよ。
(たなべ えみこ・社会保険業務センターセク・ハラ相談員)


平和のメッセージを伝える
ジョン・レノン・ミュージアム

想像してごらんみんな平和に暮らしているんだ  ─イマジンより
 ジョン・レノン・ミュージアムは、オノ・ヨーコ氏の許諾を得た世界初のミュージアムとして、彼の生誕60年にあたる2000年10月9日にさいたま新都心にオープンした。
 ビートルズ時代からジョンとともに年を重ねてきた人も、平和活動家としてのジョンが好きな人も、ハウスハズバンド(主夫)として子育てに専念した生き方にあこがれをもつ人も、「イマジン」くらいしかしらない人も、みんなを満足させてくれるように、ジョンの行動と心の変遷が一目でわかる展示と映像と音楽で構成されている。ミュージアムは、少年時代から1980年12月9日の凶弾に倒れるまでの40年をジョンの人生にそって9つのゾーンに分けている。ビートルズの演奏曲順リストが貼られたままの黒のリッケンバッカーや直筆の作詞原稿に驚喜するのもよし、ヨーコとの「Love&Peace」キャンペーンの今日的意義について深めるのもよし、「イマジン」に込められたジョンの想いに涙するのもよし、楽しみ方は人それぞれ。
 ジョンは、ベトナム戦争時代、ヨーコとともにニューヨークで反体制的な運動に積極的に参加し、政治色の濃い音楽を発表し続け、アメリカ政府から国外退去を命じられた。そして、FBIによる尾行と盗聴に精神的に追いつめられ挫折を経験するが、ヨーコとの再会で立ち直っていく。その過程から、ジョンが子育てに専念したことも、ごく自然なことのように感じられる。女性を尊敬するパートナーとしてみるジョンの女性観にも共感する。
 米同時多発テロ後、ヨーコが9月25日付のニーヨークタイムズに「イマジン」の一節を載せた全面意見広告を出したことは有名だが、テロ後、ジョン・レノンの「イマジン」はイギリスでは放送禁止、アメリカでは放送自粛になっているという。それほどまでに、平和や民主主義はゆがんできているのか、と驚く。「イマジン」を自由に歌えるこの国で、安穏としていてはだめなのだろう。
 ジョン・レノン・ミュージアムはジョンの平和のメッセージに貫かれている。愛があふれている。ジョンのやさしい励ましにボロボロ泣いている人がいる。あ〜やっぱりジョン・レノンはとことん偉大だ。こんな時代だからこそみんなで「イマジン」を歌おう。
(近藤浩美)

私のいち押し! ミュージアム  ジョン・レノン・ミュージアム
 場所 さいたまスーパーアリーナ内
(JRさいたま新都心駅下車徒歩3分)
 開館時間 午前11時〜午後6時
 休館 毎週火曜日(祝日の場合は翌水曜日)
 入場料 大人1500円 中高生1000円
小学生500円
 電話 048−601−0099
 くわしくはこちらで
  http://www.taisei.co.jp/museum
 併設のショップもカフェも充実しています。



 本紹介 

医者 井戸を掘る

中村 哲著(石風社・1800円)


 アフガニスタンで18年もの長い間、医療活動を続けて来た中村哲医師の講演を11月18日に静岡、12月3日に東京で聞く機会を得た。控えめでそのとつとつとした語りに、辺境の地で貧しい人々のために活動してきた中村医師の誠実な人柄がにじみ出ていた。
 中村医師は1984年、パキスタンのペシャワールに赴任しハンセン病や貧困層の一般診療に携わってきた。現在、1病院(PMSペシャワール会医療サービス、70床)と10カ所の診療所(パキスタン北部山岳地帯に2カ所、アフガニスタンに8カ所)で、年間20万人の診療を行っている。この活動を福岡に事務局を置くペシャワール会が支えている。中村医師のアフガニスタンでの18年間は、タリバン政権よりも長い。
 アフガニスタンは、日本人に対してたいへん友好的だ。日露戦争、広島・長崎の被爆の経験が親近感をもたせているのか、根拠もなく「日本とアフガニスタンの独立が同じ」と信じている人もいるほどで、中村医師らの活動がさらに日本人への信頼関係を強固なものにしたのだろう。それが、自衛隊の派遣があってから反日感情が徐々に広がってきていると言う。
 中村医師は、テロ対策特別措置法案審議の国会で10月13日、参考人の1人として出席し、「自衛隊の派遣は有害無益」と述べ、与党議員から攻撃された。中村哲医師は「軍隊を動かすことを簡単に決められるような世の中に恐ろしさを感じる」と言う。
 今、マスコミで「タリバン=悪、アメリカ=正義」という構図ができあがっている。日本の新聞にはうそばっかり書いてある。ブルカを女性に強制しているなどは、旱魃(かんばつ)で命を繋げることがやっとのアフガニスタンの99%を占める貧民層や農村の人には関心の薄いこと。ブルカをとった女性の笑顔の写真が新聞雑誌に掲載されたが、作られた筋書きであるといわざるを得ないと言う。「では、先生はタリバン派ですか」と批判される。「国際協力で大切なのは、その国の習慣や文化を認めることではないか。外国人のよく陥る過ちは、文化の問題を善悪・優劣のカテゴリーで見てしまうこと。それをネタに戦争まで引き起こすことだ」。中村医師の話に国際協力の真実を見る思いがした。
 アフガニスタンの旱魃(かんばつ)は深刻だ。数年前にエチオピアの旱魃が世界的な話題となったがアフガニスタンはそれ以上。しかし、ニュースにならなかった。中村医師は、2000年6月から、この旱魃のアフガニスタンに井戸掘りを始めた。命を繋ぐためだ。同時多発テロ後、アフガニスタンへ「外国人退去勧告」が出た。ペシャワール会のワーカーも対象だ。英米の爆撃の犠牲者だけでなく、旱魃と国際援助の撤退による犠牲者が数百万人にものぼっている。今、アフガニスタン全土が無政府状態になっていて危険で入ることも出来ず、物資が届かない状態にある。が、ペシャワール会の方針は徹底している。「農村の自給自足態勢を確立すること。東部の恵まれぬ地域、アフガン国内の飢餓避難民に集中すること」中村医師らは、国際援助も届かないさらに貧しい人々に対して援助をおこなっている。
 アフガニスタンには「金が無くても生きられるが、雪がなくては生きてゆけない」ということわざがある。アフガニスタンの乾燥地帯では水源を夏にとけ出す氷雪に依存している。それが、地球温暖化で年々雪が降らなくなったという。京都議定書にも調印しないアメリカは二重にアフガニスタンの貧しき人々を苦しめていると思った。
 「医者井戸を掘る アフガン旱魃との闘い」は、2000年6月から始まったアフガニスタン大旱魃にたいするPMSの1年間の苦闘の記録だが、アフガニスタンの貧しい人々の現状と中村医師たちの活動の基本理念と実践に国際協力のあり方の真実を見る。中村医師の活動については、ペシャワール会のホームページにくわしい。
(近藤浩美)

ペシャワール会のHP
http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/


美ら海、美ら島に、米軍基地はいらない

沖縄のこころにふれて平和への決意新たに  中央執行委員 國枝英樹

 一昨年は那覇、昨年は名護とこの2年続いて日本平和大会に参加した。それにしても沖縄のおばあやおじいの明るさはどうだ。青年の参加も目立つ。基地撤去・新基地建設を許さない平和をめざす運動は日米両政府のごり押しに対してもいっこうに怯むところがない。沖縄戦の体験と運動の経験が怒りとなって、たたかいの自信と展望を作っていると実感する。

テロ不況に苦しめられる沖縄

 ところで、地方では多くの商店街が「シャッター街」と化している。しかし沖縄本島北部の玄関口として人口5万5千人を数える名護市。県都那覇市までは高速道路を使っても1時間半かかる。ましてや平和大会が行われたのは週末である。公開シンポの記録係として必需品のレポート用紙を買いに土曜日の朝、町1番のはずの繁華街を歩いたが人出がない。商店街の人の生活はさぞやたいへんだろうと思う。
 あのテロ事件以来、沖縄への観光客は激減。11月現在、修学旅行のキャンセルは768校で17万人、一般団体は4万8千人の計・約22万人となっており、これにともなう観光収入減は256億円になると見込まれている。日本各地の米軍基地が緊急体制をとったことからも明らかなように、テロの対象としての基地の存在が危険視された結果である。名護市でもすでに修学旅行を中心として15万人がキャンセル、損害額は7億円にのぼっている。
 95年の米兵による少女暴行事件をきっかけにして米軍基地の整理縮小が叫ばれたが、いっこうに進んでいない。代替基地の建設という条件が付いているからだ。住宅地等市街地の真ん中を占拠している普天間基地の撤去には名護市の東海岸・辺野古地区沿岸域への新しいヘリ基地建設が条件になっている。

巨大基地からジュゴンを守れ

##  沖縄がアメリカに占領されていた頃、沖縄本島を「涙の南部、怒りの中部、安らぎの北部」と表現した青年がいたそうである。沖縄戦の悲劇の南部、米軍基地だらけの中部、そしてやんばるの緑に囲まれた北部。いま「怒り」の範囲がどんどん北部に広がっている。やんばる統一連の宮里さんは「アフガンを見ると、子どもを抱えて逃げ回った沖縄戦を思い出す」といったおばあの声を紹介した。「涙」にしないための運動が名護市を中心にたたかわれている。
 名護市では97年、市民投票で辺野古への新基地建設に反対を表明した。いま日米両政府が強引に押し進めようとしている基地は長さ2千6百メートル、幅730メートル。これは4年前に市民がノーといった当初案の2倍の大きさで、ヘリ基地の移設どころか、戦闘機や輸送機も使える巨大基地。米軍基地の整理縮小どころか、本音が見えてくる。住民には騒音・事故の危険が懸念される。あまりの基地の大きさに話が違うと声を上げ始めた人たちもいる。
 辺野古の海岸からは水平線が見えなくなり、リーフ(珊瑚礁)や藻場など環境や景観が壊されることは明らか。ジュゴンは生きていけるだろうか。
 不況に苦しむなか、「基地」と引き替えにされる北部振興策。それでも「基地に頼る経済振興が成り立たないことは、沖縄のこれまでの状況からはっきりしている」「平和でなければ観光は成り立たない」の声。

武器のかわりにサンシンを持ち

 かつて沖縄は「武器のない島」としてナポレオンを感嘆させたという。うちなんちゅー(沖縄人)は「よろい、武器のかわりに三線を持ち、怒り・喜び・悲しみを歌で表現」してきた。いま「沈黙は容認につながる」と人間らしい武器、様々な立場の人たちの、それも国際的な共同と連帯でのたたかいが広がっている。


編集後記

 全厚生2002年新年号は、「平和」「愛」「平等」「アンチ競争」「アンチ小泉」「笑い」をコンセプトに大論文は書かず、全厚生エンタテイメントの底力を発揮した、ハリー・ポッターの“百味ビーンズ”みたいにいろんな味がする新聞にすることが目標だった。今、有事法制化の危険な動きが強まっているが、12月27日の毎日新聞の川柳に「『イマジン』が国連歌ならいいだろな」というのがあった。とってもいい提案だと思った。
(近)

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