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◆第1508号(2001年11月25日付)◆

昇格改善などで社会保険庁と交渉

定員確保に最大限の努力

 全厚生は11月6日、社会保険庁と交渉をしました。交渉には、杉下委員長・飯塚副委員長ら本部役員と各支部代表が出席。社会保険庁は、小島次長、角田総務課長らが対応しました。
 交渉の冒頭杉下委員長は、@「国民年金事務見直し」に関して定員の確保と十分な協議の保障をすることA「公務員制度改革」について信賞必罰の人事管理を柱とする公務員制度改革を行わないように使用者責任に基づき関係機関に働きかけることを要求。これに対して小島次長は、「国民年金事務見直しは、みなさんの意見を十分聞きながら進めていきたい。必要な定員の確保に向けて最大限の努力をしているところだ」と、十分な協議の保障とともに、定員の確保に向けて社会保険庁が最大限努力する決意を表明しました。公務員制度改革については、今後具体的内容が示された段階で必要なことについては働きかけていくことを明らかにしました。
 この後、総務課長から平成14年度の概算案要求の説明を受け、飯塚副委員長の進行で具体的な社会保険庁の見解を質しました。
 今回の交渉は、5級、6級、7級枠外の解消をはじめとする昇格問題、超勤問題、定員削減、公平な人事を求める人事問題を中心に主張しました。
 昇格問題では、7級枠外問題と組合間差別で社会保険庁の人事の指導性を指摘、霞ヶ関経験者との昇格格差の実態について是正を求めました。さらに、大分県支部は5級枠外の実態を訴え、次回人事異動で改善するよう求めました。また、滞納処分の実態に関わっての特別滞納処分手当の新設を要求しました。
 社会保険庁は、全厚生の主張を理解し、7級枠外の解消に向けての努力と5級枠外の改善を表明しました。
 超勤問題では、業務センター支部から慢性的超勤の職場実態を訴え、超過勤務縮減対策要綱の実施も含めた対応をもとめました。また、謝金職員の処遇改善についても要求しました。
 社会保険庁は、劣悪な状況については認識している事を明らかにし、超過勤務縮減対策要綱の実践と外部委託等の事務改善をしていきたいとの回答を示しました。
 定員問題では、「定員事情、業務量等を総合的に判断して行う」との回答を引き出しました。
 人事問題については、所長の地元登用と共働き問題での庁の見解と、組合間差別の早期改善を求め、「組合間差別はあってはならない」と言明させることがでさました。
 最後に杉下委員長は、「私たちの職場は国民を擁譲する立場の仕事であり、国民から信頼され期待される役所を作って行かなければならない。一層の社会保険庁の決意が求められる。今日だされた発言について、しっかり受け止めてもらいたい」と庁のさらなる努力を求めました。


能力・業績による評価制度反対

人事課と公務員制度改革で協議

 全厚生は11月15日、「公務員制度改革」の課題で大臣官房人事課と協議を行いました。全厚生からは杉下委員長以下、専従役員5名が参加し、人事課からは篠原人事調査官、宮治補佐のほか、任用・給与の担当者らが対応しました。
 これは10月23日に人事課長に対して行った公務員制度改革に関する申し入れで「公務員制度改革が公務員労働者の労働条件の改変につながることを十分に認識し、検討にあたっては、国家公務員法108条の5の趣旨をふまえ、全厚生との交渉・協議を随時行うこと」の要求を受けて、全厚生との率直なやりとりで協議を行ったものです。
 最初に全厚生は、政府・行革推進事務局が一方的にすすめる「公務員制度改革」のねらいは、上司の顔色ばかりをうかがい、全体の奉仕者である公務員の役割を奪う「もの言わぬ公務員づくり」であること、また公務員労働者の生活実態を無視した人件費抑制を目的としていることを指摘。この方向の改革には基本的に反対であることを主張しました。具体的には、11月6日に政府・行革推進事務局からだされた「行政職に関する新人事制度の原案」の内容、能力・業績による評価制度などを批判し、政府・行革推進事務局に全厚生の見解を伝えるよう強く要求しました。


リレーずいそう
● 良質な野菜にこだわって
 今、私は「農産グループ」と言う作業班を担当している。4年目になる。それ以前も配属寮との関係で、「農産グループ」へ園生を引率して、作物栽培を時々体験していた。
 しかしその時は、あくまで園生とその日の農作業を通した活動をすることが目的であったと思う。良い作物を作りたいなどとはあまり考えていなかったと思う。
 当時の担当者には申し訳ないが、今は違う。良質な野菜を作るための努力をしたいと思っている。野菜の味などあまり感じるほうではなかったが、畑の上で直ぐに口へ入れるようにもなっている。
 収穫した作物を学園の皆さんに食べてもらって、「おいしかったよ」と言ってもらうと、やはり安心する。苦情を言われると、それなりにショックだ。
 サツマイモとジャガイモはほとんど農産グループの内輪で食べている。理由は、最初の年に不評であったことが私の心に深く記録されているからだと思う。
 それにやはり今年の芋を見ても、外見がごつごとしていて悪いだけでなく、割ってみると、中身がおかしいものもある。グループから外へは出せない。幸い、メンバー全員、芋の嫌いな人がいない。
 今年も、腐葉土を造るための落ち葉掃きの季節になった。やはり、土づくりが基本ではないかと、心に誓っている。
(秩父学園支部 支部長 三宅明)


News
● 公務員制度改悪反対に全力を ―3年連続の賃下げ「給与法」成立―
 11月21日、参議院本会議において人事院勧告「完全実施」の給与法が成立しました。給与法「改正」案は、公務員賃金の社会的役割や個人消費に及ぼす影響などについて十分な議論がされないまま、衆・参あわせて約5時間という超スピード審議で成立しました。3年連続の賃下げ「給与法」は、国公労働者のみならず人勧の影響を直接受ける750万人の労働者とその家族の生活を悪化させるものです。また、賃下げ「給与法」の強行は、公務労働者の生活実態に根ざした要求を踏みにじるとともに、景気回復という国政の緊急課題に逆行するものです。能力主義強化の公務員制度改悪反対とともに国民の「いのち」「くらし」「雇用」「平和」の危機をいっそう深刻にする小泉「構造改革」を許さないため、たたかいを強めましょう。

● 医療の総改悪反対 ―11・15厚生労働省前行動を実施―
 11月15日、国立医療闘争委員会は「医療総改悪反対、国立病院・療養所統廃合・移譲反対、独立行政法人化を許さない!」11・15厚生労働省前行動を実施。全厚生も参加しました。


組織再編で労働条件後退させぬ

研究機関支部代会議で意思統一

 全厚生は11月13日午後、試験研究機関支部代表者会議を全厚生書記局会議室で開催しました。 この会議は、@試験研究機関の組織再編、労働条件にかかわる課題で各支部の取り組み状況を交流するA当面、人事課長、それに次ぐ厚生科学課長交渉にむけた要求・課題を鮮明にさせるB試験研究機関支部の相互の交流・連携を強め、定期大会で要望があった恒常的な政策論議の場づくりや交流集会等の開催を検討するC公務員制度改革のたたかいでは、12月中旬に予定される「公務員制度改革大綱(仮称)」決定に向けた取り組みの意思統一を行うことを目的に開催しました。
 試験研究機関は、組織・機構の再編が来年4月に一応の完成をみます。全厚生はこの間、組織・機構の再編、移転にあたり、職員の身分・勤務条件等の後退を招かないように、万全の措置をとるよう要求してきましたが、引き続き重視していくことを確認。医薬基盤技術研究所(仮称)の設置では、国立医薬品食品衛生研究所大阪支所の職員の意向を十分に尊重した対応を要求し、厚生科学課長交渉を準備することを意思統一しました。
 また、新再任用制度に対する各支部の取り組みを交流。引き続き、制度の趣旨にそった運用を求めることを確認しました。
 重要な局面にある公務員制度改革のたたかいでは、11月30日の中央行動に各支部が全力で結集することを確認しました。
 会議には、感染研支部、国衛研支部、同大阪支所分会、衛生院支部、人口研支部、栄研支部の代表が出席。本部からは、杉下委員長、坂田・加藤副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、山田中執が出席しました。


秋田県◇中高年学習会を開く

占い講座や麻雀大会

 秋田県支部では、10月18日から19日にかけて中高年学習会を開催しました。この学習会は、ここ何年か連続開催され、今や秋の行事としてすっかり定着した感があります。
 初日は文化行事として、「分会対抗麻雀大会」と「占い講座」の2本をメインに開催しました。
 麻雀大会では、和気あいあいとした中にも白熱の闘牌が繰り広げられました。チョンボはご愛敬ということで・・・。
 また「占い講座」では、元大学教授で、地元FM局の番組でコーナーを持ち活躍されていた、田中玲子先生を講師に招き、講演を聞きました。参加者は、個別に自身や家族の運勢を占ってもらい一喜一憂していたようでした。「占い講座」は初の試みでしたが、なかなかの盛り上がりだったようです。あ、もちろん夜の交流会の方も、翌日に支障をきたすほど盛り上がりました。
 2日目は「新再任用制度」および「支部活動における中高年の役割」について支部講師による説明及び全体での討論を行いました。型にはまらず、ざっくばらんに意見を出し合いました。
 参加された方には、満足してもらえたかなとは思っていますが、@新再任用制度をメインテーマに据えたにもかかわらず、参加者は30代が中心で、特に50代の参加率が悪かったA支部講師の書記長が 、2日酔いでつらそうだったB私が麻雀大会で優勝できなかった等々、来年へ向けての課題も残した感じです。
 以上、秋田県支部から佐々木(麻雀大会9位)がお伝えしました。


新執行委員紹介

ボランティア精神に富む何でもこなせる研究者
中央執行委員 山田 雅巳さん

 国立衛研の所内で山田雅巳さんを知らない人はいないと言っても過言はないほどの有名人というか目立ってしまう人です。その仕事振りはエネルギッシュでマルチタイプ、何でもこなせてしまうところが彼女のすごいところです。研究者としての評価は高く、数年前には日本環境変異原学会の研究奨励賞を受賞、さらに英国留学の経験を生かして、国際共同研究のキーパーソン、精力的に仕事を進めているのは想像に難くないことでしょう。また、書道や着付けなどといった文芸の才能も磨くことを怠らず、まさに才色兼備を具現したような…とまで言い切る強さは今の私にはありませんが、喜怒哀楽の激しさも去ることながら、日本語・英語を問わず弁が立ち、聞く者の心を魅了し、その場に一笑をもたらしてくれるようなユーモア精神たっぷりの心の持ち主です。
 最近、仕事が多忙を極めているせいか、妙に悟りに近い心境から来る発言が頻発しているように感じるのは私だけでしょうか。元々ボランティア精神に富む性格上、それが年を経るごとに受け手側の目に見えやすくなっただけかもしれません。皆様の温かい彼女へのご支援を切にお願いします。全厚生での今後の彼女の活躍は間違いなしです。
(国立衛研支部書記長 田辺秀之)


テロも報復戦争も自衛隊の海外派遣も反対

マスコミはもっとアフガニスタンという国を伝えて

中央執行副委員長 加藤 重徳
このままではこの冬90万人もの餓死者が

 米軍は連日、アフガニスタンへの空爆をつづけています。誤爆による民間人の犠牲も急増しています。新聞報道によるとカブールに冬の訪れを告げる冷たい雨が降ったといいます。アフガニスタンの11月はもう冬。カブール市内でも夜間、家の中にいてさえ寒さで両足がひきつるほど。厳しい冬の到来と大干ばつ、そして空爆。アフガニスタンの人々の暮らしは一体どうなるのでしょうか。ブラヒミ国連特別代表はこの冬で90万人の餓死者が出る可能性があり、米国に空爆の即時停止を訴えています。
 ところで、アフガニスタンとはどういう歴史を持ち、どんな地形をもった国なのでしょうか。米国のスポークスマンになりさがっている感があるNHKのテレビ放映では、まったく緑らしい木々を見ることができません。爆弾の投下で民家が瓦礫の山になっている映像が映し出されますが、そこには緑がみられません。山岳に爆弾が炸裂する映像にも木々の景色はほとんど見られません。荒涼とした大地が全国土を覆っているのでしょうか。その理由は、ソ連との長いたたかい、そしてその後の20年にわたる内戦によって国土の荒廃がすすんだのだといいます。カブールはもともと緑豊かな都市でした。 米軍の空爆の標的になったタリバンの本拠地カンダハルはその昔、「アラコシア(州の名)のアレクサンドリア」と呼ばれていた歴史のある都市。そこからアレキサンドロス大王はカブールに入り、ヒンズークシ山脈を超え、バクトリアに侵入しました。アレキサンドロス大王の東征です。時代は紀元前330年頃。兵士たちは薄い空気と白一面の世界の中で雪の吹きだまりにつまずきながら行軍をつづけたと古代史家が書いています(「毎日」11月3日付余録)。
 時代が変わっても、アフガニスタンの山岳地帯の冬の厳しさは変わっていません。アフガニスタンとパキスタンの国境線は約2400キロb。そこには5000から7000b級の山々が横たわっています。国境を越えるには車が通らない道なき道も多いといわれます。両国が国境を完全に封鎖することが出来ないのも肯けます。
 アフガンは未知の国。前国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが「アフガンは国として成立することがなかった大きな部族社会」(「朝日」10月6日付)と語っていました。アフガン社会では「部族」や「家系」が強烈に生きているのだといいます。ソ連とたたかったムジャヘディンは7つの派閥に分かれていましたが、それは彼らを援助したパキスタン政府の政略であると同時に、この部族意識によるものであったというのです。そしてソ連撤退後は、このそれぞれの派閥が抗争し、内戦に突入します。

アフガンは世界一の親日国

 20年以上の内戦のなかで、犯罪も絶えませんでした。それを元に戻して犯罪をなくしたのがタリバンでした。ですからアフガンの人々やものごとの決定に力があるジルガと呼ばれる地域の長老会議もタリバンを支持しています。アフガニスタンやパキスタンで18年間医療活動を行っている中村哲医師によれば、アフガンは世界でも一番の親日国だといいます。またアフガン難民への援助額も日本がトップです。
 それに対して、英国は19世紀に2度もアフガンに攻め込み、米国も冷戦時代、ソ連の侵攻に対して資金と武器をつぎ込み、パキスタンに軍事訓練センターをつくり、そこでアフガンゲリラを訓練しました。つまり、アフガンに対する位置関係は、日本と米英両国では相当違うと言えます。
 日本をふくめ西側のジャーナリズムは、「米国が正義でタリバン政権は悪の塊」といった論調が多い。しかし、タリバン政権は、平和なイスラム教信者がつくる政権であり、アフガンから犯罪をなくしたので国民からは支持されています。そうした親日国に、米国の報復戦争に加担する日本についてアフガンの人々はどんな思いでみているのだろうか。連日、テレビは米軍の空爆だけを垂れ流しているだけで、民衆が全くといいほどでてこないのはどうしたことだろうか。もっとアフガンの人々の姿が知りたいものです。

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