見出し

◆第1506号(2001年11月5日付)◆

昇格改善の課題で人事院交渉

級別定数の拡大、運用改善を

 全厚生は10月22日、昇格改善を求めて人事院と交渉しました。交渉には杉下委員長をはじめ坂田、鈴木、藤巻、加藤副委員長ら本部役員9名が参加、本省庁、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険4部門のそれぞれの課題を職場実態をしめしながら改善をせまりました。人事院からは勤務条件局・給与2課の相川補佐が対応しました。
 冒頭、杉下委員長から「昇格改善に関する要求書」を手渡したあと、全厚生の4部門それぞれの組織の特徴、昇格改善要求の趣旨を説明、「3年連続賃下げのもとで、職員の働きがいに応える手段として昇格の意義は大きい」と強く主張しました。
 個別の要求課題では、各副委員長が積極的に発言。本省庁は係長7級、男女格差の是正を要求。これに対し人事院は「7級の仕事であれば係長でない。係長の7級は標準職務表から困難」と回答。男女格差の是正については、男性が8級で退職している中で、女性は6・7級で退職している実態を指摘し、人事院としての指導責任を追及したのに対し人事院は「任用も含めた解決方法を各省庁の具体化でお願いしたい」と回答しました。
 試験研究機関では、研究職の3級昇格に関して、技術・検定・検査・教育・指導等への業務について適正に評価した昇格改善を強く要求。人事院は「かねてから論文の数だけでないと言っている。各研究機関において評価するにふさわしい方法を考えてもらいたい」と回答しました。
社会福祉施設では、福祉職俸給表の4・5級枠の拡大、また介護員長の3級格付け、医療職(二)や行政職(二)など少人数職種の昇格改善を強く要求しました。福祉職俸給表の適用にあたり、専門職としての評価自体は喜ばしいことだが、それに見合った給与とはいえないこと、介護員長については2級が上限では将来展望がない。少数職種だからこそ困難なところがある点を強調しました。人事院は専門職としての評価を強調した福祉職俸給表を作った前提にふれながらも介護員長については、2級でもかなりの評価をしているとの認識を示し、少人数職種の処遇改善には、各省庁の工夫が必要と回答しました。
 社会保険では国公全体の7級枠外者のうち社会保険関係で600人・15%を占めている点をあらためて強調。7級枠外の解消を強く求めました。人事院は「業務の困難さは理解している。8級については増やしてきたつもりだ」と回答しました。
 最後に杉下委員長から人事院としての努力を重ねて要求し、交渉を終了しました。


報復戦争参戦法案【テロ対策法案】を強行

憲法9条守り自衛隊派遣反対のたたかいを

 政府・与党は、10月29日、報復戦争へ自衛隊を参戦させる「テロ対策特別措置法案」と自衛隊の警護活動や防衛秘密漏えい者への罰則強化を定めた「自衛隊法改正案」を強行採決し、成立させました。わずか9日間という短時間の審議で、小泉首相はまともな答弁もせず、何が何でも自衛隊を派兵しようと突っ走りました。
 「テロ対策」を口実にした報復戦争への自衛隊派遣では、テロの根絶はできません。アフガニスタンでは、現在も激しい米軍の空爆が続いていますが、病院や学校、民家、赤十字国連施設などを爆撃し、日に日に民間人への犠牲が広がり、新たな難民がつくりだされています。今求められていることは、この米軍の軍事行動に自衛隊が参加することではなく、空爆を直ちに中止し、国連中心の制裁と裁きによる解決の道に切り替えることです。
 政府は、法案の成立を受け、「基本計画」の策定をはじめ自衛隊の派兵準備を急いでいます。
 全厚生は憲法9条を守り、自衛隊の派兵反対、基本計画の作成反対、PKO法改悪に反対していきます。署名については現在の様式のまま、引き続き取り組みます。  


リレーずいそう
● T先生の想い出
 自分は文章を書くのが「嫌い」だった。嫌いになったのは、小学校の担任T先生のせいだ。
 先生は当時ですら珍しい「怖い」先生。とにかく殴られた。拳、平手はもちろん、鞭(ビニールテープを巻いた木の棒)まであり。出血した友達も1人いた。今なら間違いなく、クビだろう。
 あれは6年の頃。読書感想文コンクールがあり、自分の作品が学校代表で出ることになった。放課後残り、先生が手直しした原稿を清書。先生は後ろから覗きこむ。そして、字を間違ったり、書き順が違ったりすると頭や右手に「棒」が飛んでくる。痛い。悔しい。情けない。不覚にも涙が溢れる。右手小指付近は黒鉛で真っ黒。原稿用紙は涙でグシャグシャ。こんな悲惨な思いをして誰が文章書くのが好きになるというのか。
 鬼のようなT先生だが、授業を中止して遊びに連れて行ってくれたり、時たま優しい言葉を掛けてくれたりもした。「憎めない人」だった。たぶん、同級生の皆も同じ気持ちだったろう。
 昨年の正月、小学校の同窓会で先生と再会した。先生はすでに定年退職し、すっかり丸くなっていた。が、「感想文」の件はすっかり忘れたようだ。自分と同じく土日は当たらない馬券を買って遊んでいるという。「またいつか会いたいな」、怖いけどそんな魅力のある先生。その日まで長生きしてほしい。
(秋田県支部書記次長 佐々木聡)


News
● 育児休暇3年介護休業6月 ―育児・介護休暇関連法案を閣議決定―
 政府は、10月30日、育児休業、介護休暇の延長等に関する法律案を閣議決定しました。これは、本年8月8日に人事院が意見の申出等によって、2002年4月1日より育児休業(部分休業も含む)の対象となる子の年齢を3歳未満まで引き上げ(現行1歳未満)、介護休暇の期間を6月(現行3月)に延長することなどを求めたことを受けたもの。育児休業をした職員の業務を処理するため、臨時的任用のほか、任期付採用を行うことができるよう代替要員の確保措置も盛り込まれています。
 法案化作業にあたった総務省は同日、国公労連に対し法案の内容を説明しました。やりとりの中で総務省は、@育児休業について1年を超える場合は任期付採用ができ、職員としての身分保障がある(育休取得者が予定より早く復職したからといって、直ちに廃職にはできない)A共済組合法は内容の変更を加えない。(現行は、育児休業手当金の支給と共済掛け金の免除は1歳未満まで、介護休業手当金は3ヶ月まで)B1度延長した人も来年4月1日以降に該当子がいる場合、例外的にさらに1度の期間延長が認められる、などを説明しました。
 今後、全厚生は国公労連とともに、全休業期間中の有給保障や介護休暇の代替要員の確保措置などを要求し、国会議員要請などを行います。

● よし!元気もらった! ―全厚生全国支部書記長会議ひらく―
 全厚生は10月26日〜27日、東京・晴海で書記長会議を開催。17支部19人の支部書記長をはじめとする出席者と本部役員ら29人が参加しました。
 冒頭、杉下委員長は92年以来の開催となる全国書記長会議の意義についてふれ、大倉修二顧問(前委員長)が「全厚生の歴史と伝統」と題して、厚生行政の民主化にむけて果たしてきた全厚生の誇りを語りました。加藤副委員長から生き生きとした支部活動のために、労働組合運動の原点、書記長の役割など厳しさもまじえた問題提起を受けた後、各支部書記長からの日常活動の苦悩や喜びが率直に語られる場となりました。
 翌日は「公務員制度改革」の問題点についての学習と、秋季年末闘争期における具体的行動について討議を行うなど、充実した2日間となりました。


全厚生 近畿ブロック◆人事院近畿事務局と交渉

昇格改善を訴え

 全厚生近畿ブロック協議会は、10月9日、昇格改善などの要求で、人事院近畿事務局と交渉を行いました。
 交渉には、滋賀・京都・大阪の社会保険の各支部と、福祉部門の神戸支部(国立神戸視力障害センター)、研究機関の国立衛研大阪分会(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所)の、全厚生3部門から31名が参加しました。
 交渉では、社会保険関係の要求として、「7級枠外、6級高位号俸の解消」「社会保険職場の格付けの改善」「大阪の人事における男女差別、組合問差別の解消」を取り上げ、人事院に改善に向けた取り組みを強く求めました。
 交渉では、職場の実態を訴えるとともに、「年金の仕事は経験がもっとも求められる仕事である。実態は、経験を持った人が7級枠外におかれている。これで本当にやりがいをもてるのか」など、改善を強く求めました。
 また、昇任・昇格の差別について、大阪の実態を表にして具体的に示しながら、「誰がみてもわかるように、明らかに不平等、差別の実態がある」、人事院として是正をするよう迫りました。
 これに対して、対応にあたった給与第1課長は、職務職階給制度の説明をしながらも、内容については理解を示し、「要望の主旨について近畿事務局長と本院に伝える」と約束しました。また、男女差別については、人事院の女性登用の指針に触れて、「さらにいっそうの指導をしていきたい」と述べました。
 国立衛研大阪分会からは、切実な要求となっている医薬基盤技術研究所への組織再編に関わって、職員の身分保障問題について、職員の不安の実態を訴え、雇用を守り身分保障をするための人事院としての努力を訴えました。また、研究職5級、4級の定数拡大、行政職(一)の本省・本所と支所の格差是正などを訴えました。
 神戸支部からは、福祉職の専門性を充分評価し、指導課長の5級格付け、5級・4級の拡大を訴えるとともに、行(二)の処遇改善、調理師長の4級昇格などを訴えました。
(津川中央執行委員)


静岡県◆第10回定期大会開く

平和問題など重点課題に

 10月13日静岡県支部は第10回支部定期大会を静岡市で開催しました。飯塚支部長の挨拶に続き川名本部書記次長、愛知県支部、岐阜県支部等から挨拶を受けました。
 静岡県支部は、「平和問題」「公務員制度見直し」「社会保障改悪」「国民年金事務見直し」等の重点課題があり、これらの課題についての方針を組合員で確認しました。
 大会のあいさつとして川名本部書記次長により「これからの社会保険はどうなるか」について神奈川県支部の取り組みを説明してもらいながら記念講演をしていただき組合員の理解を深めました。
 新役員は次のとおりです。

支部長飯塚 豊
副支部長山口 孝夫
副支部長杉山 智昭
書記長高橋 一夫
書記次長望月 昭吾
(静岡県支部支部長 飯塚豊)


愛知県◆定期大会で意思統一

働きがいある職場を

 愛知県支部は10月17日、第35回全厚生愛知県支部定期大会を名古屋市内で開催しました。本部からは加藤副委員長が出席し、仲間を激励しました。
 冒頭挨拶した磯貝支部委員長は、「私たちが誇りと働きがいのある職場を誰がつくるのか。主人公は組合員です。労働組合に求められている情勢を打開する展望をみんなで切り開きましょう」と、組合員1人ひとりが運動に確信を持って主体的に組合活動に関わっていこうと呼びかけました。
 午後から行われた議案討議では、全体で24名の代議員が発言し、新再任用制度の運用や育児休業の延長問題に対する意見を皮切りに、公務員制度「改革」問題や国民年金の業務見直し問題など、私たちの労働条件から身近な業務問題まで活発な討議が行われました。
 新役員は次のとおりです。

執行委員長磯貝 勝
副委員長杉崎伊津子
  同波辺美樹雄
  同佐藤 雅信
  同鈴木 定雄
  同深沢 英二
書記長佐藤 義松
書記次長宮田 健一
  同後藤 秀利
(愛知県支部 寺井唯哲)


滋賀県◆第4回定期大会開く

あらゆる問題に団結し

 滋賀県支部では10月20日、第4回定期大会を開催しました。来年度からの国民年金事務見直し等、私たちを取り巻く労働環境はめまぐるしく変化しています。そのような状況を打破するため、今大会にて2001年度運動方針を採択し、活動をしていくことにしました。
 また、同時開催にて、業務センター支部の峰書記長を講師に、第1話「パート・不安定労働者の組織化と正規労働者〜雇い止め阻止の闘いから」、第2話「公務員制度改革に私はこう思う」と題して学習会を開催しました。
 今年も、あらゆる問題に団結してがんばります。
 新役員は次のとおりです。

支部長西村 伊知朗
副支部長中澤 明広
書記長木瀬 知彦
書記次長饗庭 隆
(滋賀県支部書記長 木瀬知彦)


新執行委員紹介

全国の組合員のためにねばり強く優しい男
中央執行委員 深沢 英二さん

 これまで、8年間にわたって中央執行委員・中央執行副委員長と奮闘してきた“全国の首領”杉崎伊津子さんに代わり、今年度から中央執行委員となった深沢英二さんとは高校時代から20数年来の付き合いで、「英二」「義松」と呼び合う仲です。彼も私も杉崎さんの笑顔(眼光は鋭い)にグウの音も無く労働組合活動の道に…。しかし、今は決して後悔はしていませんし、英二もきっと同じ気持ちだろうと思います。
 さて、英二という男はどういった人間か?愛知県支部の書記長として5年間も支部の先頭に立ちグイグイと引っ張って来てくれましたが、その間の彼は当局に対して1歩も引くことなく、頭の中には「組合員のために」という気持ちが常にあり、「組合員のためになると思えば、とことん食らいついて離さない」といった、とにかく粘り強い男です。
 また、彼から書記長を引き継いだものの、何もわからない私をいつも気遣ってくれ、助言は無論のこと、落ち込んでいる時には叱咤激励をして元気づけてくれるなど、非常に優しい男でもあります。(少々ほめすぎ?)。
 満を持しての全国デビューですが、健康には十分留意して「全国の全厚生組合員のために」頑張って欲しいと思います。
(愛知県支部書記長 佐藤義松)


テロと報復戦争参加に異議あり
日本に期待される役割は他に
京都支部 組合員
 テロ対策特別措置法が成立した。国際社会の協調行動の一環とはいえ、国会提出から3週間余りの成立で、性急で粗雑な感は否めない。テロ封じ込めのための自衛隊派遣だけでなく、アフガニスタン現政権後の復興支援など、日本に期待される役割はいくらでもあるはずと思う。

あなたの意見を全厚生へお寄せ下さい。

Back  to HOME