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◆第1500号(2001年8月15・25日付)◆

3年連続の一時金カット(0.05月)を強行
格差は0.08%、俸給表改定見送り、3月に「暫定的一時金」支給

賃金切り下げ許せない

 人事院は8月8日、国会と内閣に対して一般職国家公務員の給与改定に関する勧告等を行いました。
 その内容は、「0・08%、313円」という僅少の官民格差のもとで、2年連続の俸給表改定を見送り、一時金0.05月を減額し、官民格差分を3月期に「暫定的一時金」として定額3、756円支給するというもの。一時金は、3年連続のマイナスで、合計0.55月の大幅な削減となり、1970年の月数にまで減少することになります。これは、民間賃金の動向を反映したとはいえ、国公労働者と家族の生活、行政改革のもとで過重な労働を強いられている労働実態にてらせば、耐えがたい「痛み」であり、急激な年収引き下げによる公務員労働者とその家族、さらには人事院勧告の影響を直接的にうける750万人の労働者の生活に及ぼす悪影響ははかりしれません。

育児休業3年 介護休暇6月

 同時に人事院は、男女共同参画社会及び少子高齢化社会に向けて職業生活と家庭生活の両立を図るための条件整備として、「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正についての勧告」を行い、育児休業及び部分休業の対象を1歳未満から3歳未満に引き上げる、介護休暇の取得期間を3カ月から6カ月に延長する大幅改善を求めるとともに、育児、介護をおこなう職員の超過勤務の上限時間短縮や、子どもの看護のための休暇導入に言及しました。これは、全厚生はじめ国公労連がねばり強く運動してきた成果であり、引き続き早期の法整備等を求める政府追及と、実効ある運用を迫る職場段階からの取り組みが重要となっています。

地域間の配分「見直し」表明

 また、勧告では、各地域に勤務する公務員の賃金水準が、民間給与に比べて高いとする「指摘」にこたえるとして、「民間給与の実態把握及び公務部内の地域配分の在り方」について、速やかに検討することを表明しました。これは、公平な賃金制度を突き崩し、公務員制度「改革」での賃金制度改悪を先導しかねないものであり、検討の中止を人事院に迫ることも含め、厳しい対応が求められます。


2001年勧告の主な内容
◎ 本年の給与勧告のポイント
 @ 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.05月)
 A 俸給表の改定を行わず、官民給与の較差に見合った年額相当額を暫定的な一時金(3,756円)として支給
   〜 平均年間給与、3年連続の減少(△1.6万円(△0.2%))
◎ 官民給与の比較
 約7,500民間事業所の約44万人の個人別給与を実地調査(完了率94%)
 <月例給> 官民の4月分給与を調査(ベア中止、賃金カット等を実施した企業の状況も反映) 
  単純な平均値ではなく、職種、役職段階、年齢など給与決定要素の同じ者同士を比較
 <ボーナス>過去1年間の民間の支給実績(支給月数)と公務の年間支給月数を比較
 ○ 官民格差(月例給) 313円 0.08%
   〔行政職(一)・(二)現行給与 379,836円 平均年齢 40.7歳〕
 <俸給表、既存の手当の改定は行わず、暫定的な一時金により措置>
  暫定的な一時金 年額3,756円(月額313円相当)
 <ボーナスは民間の支給月数に見合うよう引下げ>
  (民間給与実態調査結果:4.69月)
◎ 改定の内容
 @ 暫定的な一時金の支給
  ・当分の間、3月1日(基準日)において給与法に基づく俸給表(指定職俸給表を   除く。)の適用を受ける職員に対し原則3,756円の一時金を支給
  ・なお、基準日に育児休業中の者に対しても、勤務実績に応じて支給するよう措置
 A 期末・勤勉手当等の引下げ
  ・年間支給月数 4.75月分 → 4.7月分(△0.05月)
   ※ 12月期の期末手当で引下げ
      一般職員      1.6月分 → 1.55月分(△0.05月)
      特定幹部職員    1.4月分 → 1.35月分(△0.05月)
      指定職職員(期末特別手当) 1.6月分 → 1.55月分(△0.05月)
[実施時期]  平成13年4月1日

【公務員給与水準のあり方の検討】
 各地域に勤務する公務員の給与水準について、その地域の民間給与に比べて高いの ではないかとの指摘もあるところ。指摘を受けるような公務員給与の在り方について は、国民の理解を得ていく必要。このため、民間給与の実態把握、公務部内の給与配 分の在り方について、関係各省庁等の協力を得て、速やかに検討。


育児休業制度及び介護休暇制度の改正
に関する意見の申出等の概要
1 趣旨
 男女共同参画社会の実現に向けて、職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするための環境整備として、育児や家族の介護を行う職員の負担を軽減するための措置を拡充

2 育児休業等の対象となる子の年齢の引上げ(育児休業法の改正)
(1) 育児休業の対象となる子の年齢の引上げ
 育児休業の対象となる子の年齢を、3歳未満(現行1歳未満)に引上げ
(2) 代替要員の確保措置
 育児休業をした職員の業務を処理するため、臨時的任用のほか、任期付採用を行うことができるよう措置
(3) 部分休業の対象となる子の年齢の引上げ
 部分休業(1日2時間の勤務時間短縮)の対象となる子の年齢を、3歳未満(現行1歳未満)に引上げ

3 介護休暇の期間の延長(勤務時間法の改正)
 介護休暇の期間を、連続する6月(現行3月)の期間内に延長

4 実施時期
 平成14年4月1日


リレーずいそう
● 戦後処理の仕事から
 8月15日が近づくと、終戦特集として先の大戦に関する番組が多くなります。
 いつもは戦争のことなど考えたことがない方でも、この時期だけは、戦争と平和について考える方も多いかと思います。
 厚生労働本省の中にはこの戦争に大きく関わっている部署があります。現在の社会・援護局で、旧援護局です。ここではいわゆる戦後処理の仕事を担当していますが、終戦記念日の全国戦没者追悼式の開催の中心的な役割なども担っています。
 私も、厚生省入省時からこの援護局に20数年間勤務してきました。
 軍人恩給関係に始まり、未帰還者(終戦時に海外にいて現在も日本に帰還していない方で、皆さんもご存知の中国残留孤児なども含まれます。)の調査、戦傷病者の援護関係、戦没者の遺骨収集・慰霊巡拝関係の仕事などに携わってきました。
 旧援護局では、ほんの少し前まで、ほとんど他の部局への異動というものがなく、厚生事務官ではなく援護事務官として一生を終える人?も多い状況でしたが、最近では他部局との人事交流も多くなってきています。
 私もこの4月から、20数年目にして初めて援護以外の仕事に就くこととなりました。私も、やっと援護事務官から厚生(労働)事務官になれたような気がしています。
 歳とともに記憶力が低下し、全く畑の違う仕事を覚えるのは大変な状況ですが、新たな気持ちで頑張っていきたいと思っています。
(本省支部 副支部長 神山正)


公務員制度改悪反対のたたかいを軸に

全厚生第65回定期大会(9月13〜15日)のポイント

 9月13日から3日間、静岡県伊東市で開かれる全厚生第65回定期大会のポイントについて、杉浦書記長に聞きました。

ゆったりした気持ちで議論しよう

 ◆今年の定期大会は、どのような課題や役割があるのでしょうか。
 私たちの運動は、常に情勢をつかみ、時々の課題を鮮明にさせ、仲間たちの要求実現のために力を尽くすことが重要です。
 情勢の面では、小泉内閣がめざす「構造改革」の中身を見抜くことが大切です。要求・課題はたくさんありますが、しぼり込めば、公務員制度改革とのたたかいが軸となります。行政のあり方、労働条件の根本にかかわる最重要の課題です。
 仕事も組合活動も、とにかく忙しい毎日です。しかし、「心を亡くし」てはいけません。年に1回、全支部が一堂に会する貴重な場です。この時には、中期的な視点に立ち、ゆったりした気持ちで、情勢や課題、たたかいの基本、組織の発展方向を議論していきましょう。

小泉内閣の危険な実像を明らかにする

 ◆小泉「構造改革」とのたたかいで大切な点は何ですか。
 労働者・国民にとって、厳しい情勢にあることはまちがいありません。しかも、崖っぷちにたつ支配層が、必死で仕立ててきたのが小泉内閣です。この構造改革には、「痛み」を伴うことをかくしません。この痛みとガマンを強いられるのは、私たち労働者・国民の側です。
 参議院選挙では、「小泉人気」が巧妙な手法・演出でつくられました。
 この現象をふりかえってみて、国民の立場から権力を監視し、批判し、民主主義を守り発展させることを期待されているはずのジャーナリズムの役割やあり方を考える重要な時期にあると痛感しています。特に小泉内閣が「改革者」であるとのイメージを巻き散らした「テレビジャーナリズム」の責任、影響力等は、たたかいを前進させるためにも掘り下げるべき課題です。
 この点を踏まえ、秋からのたたかいで、小泉内閣の危険な実像を広範な労働者・国民の中に明らかにしていくことが大切です。地域での労働組合の役割を一層鮮明にしなくてはなりません。

公務員制度改悪反対の正念場

 ◆公務員制度改革とのたたかいは、どのように展開するのでしょうか。
 この公務員制度改革とのたたかいは今年度の最重要課題です。
 4月末の全国支部委員長会議で本格的なたたかいを開始しました。短期間の取り組みで、職場での学習、署名、ビラ宣伝行動、職場連判状、所属長交渉、中央行動への結集など、今後のたたかいを前進させる基礎を築いてきました。全労連規模のたたかいとなり、ILO総会の場で政府の一方的な公務員制度改革の姿勢に批判が集中。政府は、「今後は職員団体をはじめ関係者と誠実に交渉・協議しつつ、制度の内容について検討していく」と態度表明しています。まさに、重要局面の中で、秋からのたたかいが開始されます。
 政府は、12月を目途に「公務員制度改革大綱(仮称)」を策定しようとしています。さらに、次期通常国会への法案提出をねらっています。
 このたたかいは、これまで歴代政府が進めてきた国民犠牲の行政改革に対決し、国民本位の行財政をめざす行革闘争の総集約となるたたかいです。職場から、国民的な課題としてたたかうための討論を深め、その意思を固めたいと思います。
 この公務員制度改革とのたたかいと結びつけて、行政民主化・行政研究活動を今年は着実に進めたいと思います。昨年の大会で提起しましたが、まだ十分な取り組みになっていません。それぞれの職場、行政の現場から、自らの仕事と労働を国民の立場から見直し、検証することが益々重要になっています。この活動は、3年から5年くらいを視野に入れ、全厚生の基本的な活動に位置づけていくように、全体で討議を深めたいと思います。


秋田県◇再雇用問題など前進

支部定期大会を開く

 秋田県支部は、7月27日に秋田市文化会館で第34回支部定期大会を開催し、21世紀最初の運動方針を確認しました。本部からは國枝中央執行委員が来秋し、公務員制度改革や人事院勧告をめぐる情勢を報告しました。
 討議では、事務局係長を含んだ職務の格付け、2000年4月に実施された人員の再配分、新再任用制度の運用と再雇用に対しての意見・要望等が各職場から届けられ、定年後の再雇用問題や宿舎問題では一定の前進はみているものの、処遇面や職場環境ではまだまだ切実な問題が山積していることを改めて認識させるものとなりました。
 ここ数年の特徴になっていますが、今年も大会代議員の半数以上が青年部員で占められていました。幹部世代の中高年の少なさに若干の不安はありますが、青年の若さあふれるパワーが支部の大いなる推進力となることでしょう。
 新役員は次のとおり。

執行委員長小畑  浩
副委員長佐藤 一浩
  同高橋 直彦
  同仙葉 拓史
書記長遠田 俊治
書記次長佐々木 聡
(遠田俊治)


神奈川県◇核兵器のない21世紀を

結団式で被爆体験を聞く

 8月3日、全厚生本部・神奈川県支部と合同で原水爆禁止世界大会結団式が行われ、20名が参加、神奈川県支部16分会からの千羽鶴1万3千羽と約10万円のカンパが届けられました。
 支部長の挨拶後、広島での被爆者・武田恵美子さんによる特別講演『平和行進への想い〜命と平和〜』が行われ、被爆者手帳を手に「私は、直爆では無く介護による被爆者です」と56年前の体験が語られました。当時20歳であった武田さんの生死を分けた列車の切符、学徒動員で被爆し15キロの距離を必死に帰り数日後亡くなった弟の話、原爆投下後日から隣組の活動として陸軍病院(小学校)に看護員として勤労した時の生々しい様子、「まさに生き地獄でした」と時々言葉を詰まらせ涙を堪えながら、最後に「核兵器のない21世紀を願い、命ある限り核廃絶を訴えたい」と語って下さいました。
 初めて被爆体験を聞いた参加者も含め、原爆の悲惨さ、命の尊さと真の平和について考えさせられました。最後に、大会参加者が決意表明を行いまいた。
(川名 健)


ささえ愛
国公共済会

少ない掛金大きな保障


入っててよかった、「助け合い」がみんなを救う

 私は、国公共済会発足とともに加入し、苦節10年、ついに給付金を受け取りました。
 これまで、「助け合い」を広げようと呼びかけつつも、これほど「助け合い」がありがたいことだと感じたことはありませんでした。
 実は、5人しかいない子どものうちの2番目の子が入院したのです。病名は肺炎で、10日間の入院でした。退院して支払をしたとたんに、健全化しつつあった我が家の財政は、またもや赤字財政に転落してしまいました。このまま国の財政なみになったらどうしようと思っていたところに国公共済会の「助け合い」の救いの手があったのです。子どものC型に入っていたので、「1日500円ではなあ」と、思いつつ証書を見ると、なんと医療共済を9口追加していました。いや〜助かりました。入院した子も、「おまえのせいで貧乏になったやないか」と言われずに助かったと思います。
 今年は、更新時に医療共済をさらに10口追加しました。
(山本潔書記次長)

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