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◆第1495号(2001年6月25日付)◆

調整額・諸手当などで人事院と交渉

国リハ薬剤師に調整額の適用を

 6月21日、全厚生は調整額・諸手当等の改善を要求し、人事院と交渉しました。全厚生からは杉下委員長以下8人が出席、人事院側は給与局3課の山田課長補佐が対応しました。

特別滞納処分手当の新設を ―保険料徴収の困難性訴え

 福祉部門では鈴木副委員長が「国立福祉施設に働く全職員に調整額を適用すること。当面、医事課職員、自動車運転手、調理師、薬剤師に調整額を適用すること」「介護員、児童指導員、保母の夜間特殊業務手当を夜間介護業務手当に改め、増額すること」の2点を強く要望しました。とくに「調整額」にかかわって、国立リハ支部の薬剤師・西嶋さんが実際に薬剤を持参して交渉に参加。視覚障害者のために薬袋に切れ目を入れたり、点字の説明書を添付するなど、障害者援助の観点からの様々な要望に応じた工夫点などを説明、障害の種類・程度に応じて実施している調剤の複雑性・困難性を強く訴えました。
 社会保険部門では、飯塚副委員長が「社会保険に働く全職員に調整額を適用すること」「保険料徴収業務及び不正受給調査等の業務に従事する職員に対する『特別滞納処分手当(仮称)』及び『特別調査手当(仮称)』を新設すること」を強く要求。「社会保険倒産」の新聞記事を提示しながら、厳しい不況のなかで増える滞納事業所に対する調査・差し押えの実態を説明、国税との比較もしながら、要求の実現を迫りました。
 また「本省庁職場において、心身の疲労や健康を害することのないよう、恒常的な超過勤務実態を改善するために実効ある措置を講ずること」「超過勤務した場合は、給与法にもとづいて超過勤務手当を全額支払うこと」の2点についても強く要求。残業実態アンケート結果を載せた全厚生新聞を提示、杉浦書記長は長時間残業の実態について、改善どころかよりいっそうひどくなった現状を訴えました。

超勤の実態を調査せよ ―命令した超勤に手当支給当然

 これらに対し、山田課長補佐は「具体的な職場の実態を聞かしてもらった」「(調剤業務は)他の施設に影響を与えていくほどの先駆的な努力がされていると個人的には理解している」としながらも、「調整額の見直しは(個別対応ではなく)全省庁的な見直しを考えている」「見直しをする機会があれば、要望をふまえて検討したい」と回答しました。
 長時間残業・超勤手当課題では「管理者が定時退庁を強くうながす必要がある」「命令した超過勤務に対しては手当を支給するのが当然である」と回答。これを受けて杉下委員長は「組合からは(仕事があり、残業しているのだから)超勤命令を出せと言っている。実際は命令がだされていないことに対して、人事院が調査・指導するべきだ」と指摘しました。
 最後に、新再任用制度について各省庁の運用方針作成にあたっては、再任用希望者はできる限り採用するように努めることとした「人事院事務総長通知」の徹底を要望して交渉を終えました。


リレーずいそう
● 学童保育大好き
 「学童に行きたいの!」「どうして?」「だって行きたいんだもん」小2の娘は休みの日にも行きたいと言うほど学童が大好きだ。夕方に迎えに行くといつもビリ、娘は1人で待っている。おやつを食べながら横目で遅いわよという顔で私を見る。ごめんねと言いながら、ついほっとして先生とおしゃべりをしてしまう。 上の子がお世話になった保育園は時間に厳しくて契約時間ぎりぎりに行こうものなら「もうちょっと早くこれませんか」と冷ややかに言われた。今の学童は公設民営ということもあって先生もぎすぎす言わず、暖かく迎えてくれる。たぶん娘も学校や家とも違う学童の雰囲気が心地良いのだろう。    
 昔は近所の子供達と好きなだけ遊ぶのは当たり前だったが今時はそうもいかない。静かな住宅地にある我が家も近所に小学生は少なく、今は学童がそうした環境を肩代わりしてくれている。
 生意気盛りの中学生の息子の時は特にお世話になった。小学校ではいろいろやらかしてくれたので、学童という場があることで、ずいぶんと救われた思いをした。
 学童は親も運営に関わる。様々な活動や事業は時々負担を感じるが、「学童へ行きたい」と言われると、頑張りますかと気を取り直し長い間こうしてお世話になっている。こんな平和な居場所が続くと良いと願う。
(国立リハ支部 執行委員)


News
● 自民党政治の本質見抜こう ―本部退職者会第4回総会ひらく―
 全厚生本部退職者会は6月26日、茜荘で第4回総会を開催。総会には14人の会員が参加し、経過・会計報告を確認、新役員を選出しました。総会終了後、和やかに歓談し、来年6月に元気に顔を合わせようと申し合わせました。なお、この1年間で新会員を6人迎えました。
 総会では長田会長が、小泉内閣の人気は高いが政治・経済とも行き詰まっている。情勢は厳しいが元気でやっていきたい、とあいさつ。全厚生の杉下委員長が公務員制度改革の問題点、全厚生としての組織活動などについて報告しました。
 総会に引き続き、国公労連の西田祥文副委員長を講師にまねき、講演をききました。西田氏は「現局面の見方、そして21世紀初頭の争点と課題」と題して、500万年人類史の現局面という気宇壮大な話から始め、自民党政治の問題点を究明し、今後のたたかいの展望について語りました。
 役員は、会長=長田泰公、副会長=中村泉美・鹿島哲・大倉修二、事務局長=三原実、幹事=小山敦・鈴木毅一・山本実・山本衛(以上再)・高野昭子(新)の各氏です。 

● 全厚生署名7000筆突破 ―公務員制度改悪反対署名提出―
 国会最終盤の6月19日、公務労組連絡会は参議院議員面会所において「昼休み議面行動」を開催、それに続いて国公労連は、衆議院第1議員会館内の議員を対象に「第2次国会議員要請・署名提出行動」をおこないました。全厚生の署名は最終的には7000筆を超える集約となりました。議面集会は「教育関連三法案」阻止のたたかいとあわせての行動配置となり、全厚生からは6人が参加しました。日本共産党の畑野議員(文教委員会所属)からの国会情勢報告、全教・国公・自治労連の決意表明のあとに、行動提起を受けて議員要請を実施。全厚生は10名の議員に要請しました。


沖縄に基地はいらない

国公青年沖縄平和のつどいに参加して

全厚生感染研支部の方
 6月1日〜3日にかけ、沖縄において開催された国公青年平和のつどいに参加しました。
 初日、初めて降り立った沖縄は、梅雨真っ只中の雨で、亜熱帯らしい激しい雨と蒸し暑さの中、会場となる那覇市内のホテルに到着しました。最初の企画である沖縄の記録映像の鑑賞では、古くは琉球王国時代に始まり、終戦後のアメリカ統治下での琉球政府、本土復帰、現在の基地問題までにいたる歴史と当時の住民の暮らしぶりまでを知ることができました。その後、沖縄国際大学の安仁屋教授により、沖縄戦の歴史的背景を中心とした開戦から敗戦にいたるまでの経緯についての講義を受け、夜は参加者全体での夕食会が開催され、全国各地から参加した様々な国公単組の青年達との交流をおこないました。
 南部戦跡巡りの予定となっていた2日目は、雨との予想を見事に裏切り、時折強い日差しが照りつける天候の中、参加者およそ80人が2台のバスに分乗して行動しました。沖縄戦最大の激戦が行われた嘉数高台より普天間基地を臨んだ後、糸数壕を訪れました。アブチラガマとも呼ばれるこの鍾乳洞は、住民の避難壕のみならず陸軍の地下陣地、野戦病院も兼ねていた洞窟で、200bもの長さがあり、かなり高い天井部もある大きな洞窟で大変驚きました。洞窟内には井戸も存在し、当時使用されていたと思われるガラスや器の破片が散在していました。参加者全員で懐中電灯の明かりを消した時に生まれた闇と静寂から、当時の軍・民・負傷者・死体の雑居した洞窟内の悲愴状況が偲ばれました。その後、平和の礎、ひめゆりの塔、海軍本部壕跡等を順に見学しました。
 3日目は、元ひめゆり学徒隊で生き残られた宮良ルリさんを語り部として、沖縄戦の実体験のお話を伺った後、グループ毎に別れて意見交換会をおこない、閉会となりました。
 今回のつどいはとても濃い内容で、初めて知ることが多く大変有意義なものでしたが、沖縄戦の歴史を学ぶうえでは、時間が足りなすぎたとの印象も残りました。今後このような企画を続けて欲しいと願うとともに、自らもさらにもっと知りたいという気持ちになった沖縄のつどいでした。


国民平和大行進が行く

憲法9条の大切さ実感 ―愛知県支部

 5月31日から6月11日までの12日間、今年も核兵器廃絶を訴える平和の声が愛知県内を行進しました。静岡県支部から受け継いだ全厚生の旗は、県内リレー通し行進の形で連日組合員の手によって掲げられて、最終日には無事岐阜県支部に引き継ぐことができました。
 参加した組合員からは、「憲法9条の大切さを実感、青い地球を子どもたちに残していきたいと思った」「若い人に平和を考える機会をつくる必要あり」「平和を願って歩けた元気をとても幸せに思った」という声が出ていました。
 今年の愛知県支部の行進者は延べ33人でした。
(愛知県支部教宣部長)


連載
社会保障構造改革を斬る
中央執行副委員長 加藤重徳
社会保障の後退に歯止めを  ―逆立ち財政を改めてこそ―

 小泉首相が掲げる「聖域なき構造改革の断行」のなかで、医療・年金などの「社会保障改革」は重要な政策の柱です。とくに2002年の高齢者医療制度「改革」に向けた動きが活発になっています。社会保障改革大綱では「高齢者医療制度などにおいて、高齢者の経済的能力に見合った適切な負担も求め、これから増加する負担を若い世代とともに分かち合う」とした基本的考え方を示したうえで、「高齢者医療制度の見直しをはじめとする医療制度改革の実現を図る」ことを「早急に講ずべき施策」としています。
 自民党民主党、公明党など政党や日本医師会、経団連、日経連などが検討していますが、いずれも高齢者医療制度を創設する方向での提言づくりです。そのなかにあって、注目されるのは、全国保険医団体連合会が、昨年10月、「高齢者医療制度改革についての提案」を行い、当面する財政負担問題について、@高齢者の自己負担を増やさないA住民税非課税者など低所得者に対する保険料の新設や増額を行わないB企業負担を軽減しないC国庫負担割合を増やすD消費税をその財源にしない、などと主張していることです。
 「患者の安全を守る」「健康管理や生活指導を重視」「多用な医療ニーズへの対応」「意欲に応じて働き、年金と組み合わせて豊かな生活が出来るようにする」など「大綱」には美辞麗句が踊っています。政府・与党は、実現をどう図るのでしょうか。だから、「負担増が不可欠」と増税や窓口負担、保険料値上げなどのホンネが見えみえではないでしょうか。
 導入から1年経った介護保険の実態がそのことを教えています。「社会でお年寄りを支える」などの聞こえの良いキャッチフレーズを宣伝しながら、実は医療費をはじめとする社会保障費削減が主な理由だったのです。利用者は、毎月の保険料に加え、利用時は1割支払うことになり、しかも申請しなければ利用できないのです。いざという時に、お金がなくとも医療や介護などを安心して受けられる、そんな社会が「安心して暮らせる豊かな生活」と言えるのではないでしょうか。まさに小泉首相の「聖域なき社会保障構造改革」は、憲法25条でうたう国民の生存権に対して国の責任を放棄するものといわなければなりません。
 いま多くの国民は「ゼネコンに奉仕する公共事業よりも社会保障を重視する財政支出を」と願っています。総務省自治行政局のまとめた最新の98年度版『行政投資実績』によれば、1998年度の公共事業費(行政投資額、実績ベース)は、国と地方を合わせて47兆2613億円にのぼっています。92年度からほぼ毎年度、50兆円前後の規模がつづけられています。一方、98年度の社会保障費(国・地方合計公費負担分)は、国立社会保障・人口問題研究所の調べでは21兆9882億円。うち、国庫負担が17兆1681億円、地方自治体の負担が4兆8201億円となっています。こうした「逆立ち財政」を改め、社会保障への国庫負担を欧米なみにするならば、医療費抑制、患者・国民の負担増、ましてや高齢者への負担を押し付けなくてもすむのです。社会保障の後退に歯止めをかけるために、広範な国民・労働者とともに粘り強く運動していくことが今日ほど求められている時はありません。 
(おわり)

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