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◆第1494号(2001年6月15日付)◆

2001年夏季闘争の中心課題

公務員制度改悪は許さない

新たな人事制度検討案示す

 公務員制度改悪反対のたたかいは、6月8日に開催した2001年夏季闘争第1次中央行動で、公務員と民間労働者が共同で決起した力をバネに、6月段階での取り組みに全力をあげることが重要になっています。
 5月29日、政府・行革推進事務局は6月中に「基本設計」をまとめるにあたり、その「たたき台」となる「新たな人事制度について(検討案)」各省に示すとともに労働組合に提案してきました。検討案は、能力・業績主義にもとづく「信賞必罰の人事管理」の徹底をはかるとして、任用・賃金・評価制度の抜本的「改革」を表明しています。また、賃金決定にあたっての当局権限を拡大する一方で、労働基本権やそれとかわる人事院勧告制度との関係には、なんら検討方向を示していません。国公労連はこれに対し、検討案の提案に至るまでの手続き上で重大な問題があると行革推進事務局を追及し、「正式の提案としてうけとることはできない」と交渉を終えています。
 「大枠」のさらなる具体化に他ならない検討案は、その内容はもとより、たたき台という検討案の性格、公務員労働者の労働条件の重大な変更にかかわる問題の進め方(手順)などからして到底受け入れることはできないものです。公務員制度「改革」をこれ以上進めさせない、即時中止を求めていくことが大切です。

人事課と庁に申し入れ

 全厚生は、厚生労働省(6月7日)、社会保険庁(6月4日)に対し、公務員制度改革にかかわる申し入れを実施。厚生労働省は井口大臣官房人事課長、篠原人事調査官らが対応、社会保険庁は角田総務課長らが対応しました。
 申し入れは、杉下委員長以下、専従役員が行い、公務員制度改革が行政の直接の担い手である職員や労使当事者の意見を聞かず、政治主導で拙速に作業をすすめていることは重大な問題であることを指摘。さらに、「『大枠』にもとづく公務員制度改革を行わないよう、使用者責任にもとづき関係機関に働きかけること」を強く求めました。

夏季闘争方針を決定

 国公労連は、6月6日都内で第101回拡大中央委員会を開催し、夏季闘争方針、人事院勧告にむけての要求書、参議院選挙闘争方針を決定しました。全厚生は、この方針を受けて6月15日の中央執行委員会で取り組みの具体化をはかります。
 夏季闘争の中心課題である公務員制度改悪反対のたたかいは、@国民本位の行政改革をめざす行政民主化のたたかいとも一体で取り組みを強めること、A政府が「公務員制度改革の大枠」に則った「基本設計」のとりまとめを強行してくる場合には、労働条件の大改悪、一方的な不利益変更の攻撃ととらえ、重大な決意でたたかう態勢確立をめざすことで職場討議を強めることを決めました。
 来年度の概算要求にむけた取り組みでは、定員削減計画の中止を求め、行政と労働の実態に見合った要員確保を求める取り組みを職場から強めることを確認しました。
 賃金改善のたたかいでは、春闘での民間相場や春闘期の政府・人事院の回答をふまえ、「人事院勧告によるベアゼロや、3年連続の年収切り下げの危険性が払拭できない(国公・中央闘争委員会声明)ことから、生活改善の実現を迫る「歯止め要求」を額として明示し、賃金改善のたたかいに全力をあげることを決めました。
 人事院勧告にむけた賃金改善要求では、「公務員労働者の労働と生活の実態に照らし、賃金水準を平均5千円引き上げること。また、すべての年代について、賃金の抑制、切り下げは断じて行わないこと」を決定。さらに、「3年連続の賃金切り下げの閣議決定反対」を闘争課題に、勧告の取り扱い閣議決定期にむけて、全単組が組合員の意思確認のうえに、現段階でとり得る最大限の実力行使態勢の確立をめざす」方針を決定しました。


リレーずいそう
● プラモデル
 テーマは自由とのことでしたので紙面を埋めれるものを考えますと半間の押し入れの上半分を満杯にしているプラモの山ぐらいしか思い付きませんでした。
 一言でプラモといっても飛行機・戦車・船・車・アニメ物等多岐にわたり、日々、進化しており年々精密になっています。私の専門は、戦車と飛行機と軍艦であります。
 今は、作ったものを手にとってながめたり飾ったりするぐらいのものですが、遠い昔に実物が戦争で使われそれに乗って死んだり殺したりしたことを銘記しておかなければなりません。
 戦後50数年経過して実際戦った人たちは死滅しつつあり遺族の記憶も風化しつつあります。そんな中にあってプラモは一部分ではありますがリアルな過去を教えてくれます。戦争すなわち大量殺人、兵器イコール人殺しの道具をもっと知るべきだと考えます。くさいものに蓋では、本当の事を知ることはできません。兵器自体を嫌うのは、正常です。ただ、その兵器ができるまでの経過や時代を正しく理解する必要があると考えます。ですから皆さんも、気分転換の一環として学生時代にもどった気分で1度製作してみてはいかがですか、私も親子で作るのをたのしみにストックを増やしている今日この頃です。
 最後に戦争は個人の未来を奪うものであり絶対、特に日本は繰り返してはならないものである。相変わらずまとまりがありませんが正直な気持ちです。
(香川県支部書記長)


News
● 公務員制度の進め方で ―ILO総会で日本政府に非難集中―
 ジュネーブで開催されている第89回ILO総会に設置された「基準適用委員会」では、日本における87号条約(結社の自由と団結権の保護に関する条約)の実施状況(個別ケース)が焦点となっています。6月12日の議論では日本がとりあげられ、日本政府から@消防職員の団結問題にかかわっての「消防職員委員会」の運用状況A公務員のストライキ禁止にかかわる日本政府の見解B公務員制度改革にかかわる政府の検討状況(現時点では、ILOに情報提供できる状況にないとするコメント)の3点について発言が行われ、使用者側(ドイツ)、労働側(ベルギー)のコメントの後、日本の労働代表(連合)から、@消防職員の団結権は否定され続けているA公務員のストライキ権は「全面的・一律的」に禁止され87号条約に違反しているB進行中の公務員制度改革は、労働組合との協議が行われておらず、「ILO基準の実現、労使協議の保障、『大枠』が今後の交渉を制約しないことの希望」、について発言。フランス、パキスタン、アメリカ、スウェーデン、ドイツ、シンガポールの各労働代表が、日本の労働代表の支持を表明しました。最後に委員会議長が、「委員会は日本政府に対し、改善をもって労働組合と協議し、権利を保障することを期待する。労働組合との『社会対話』を希望し、次回政府が詳細に報告することを希望する。事態の進捗を期待する」との「結論」を述べて総会の報告が採択されました。
 総会は21日までの日程で、日本労働代表団(代表=鷲尾連合会長)の一員として全労連から坂内事務局長他3人がオブザーバー参加しています。

● 公害の根絶と救済を ―全国公害総行動デー―
 6月7日午後、第26回全国公害総行動デーが行われ、全厚生は昼休み霞が関デモに参加しました。


6.8中央行動で上京団が奮闘

公務員制度改悪を阻止しよう

 6月8日、霞ヶ関周辺で全労連「公務員制度改革」対策本部、公務労組連絡会による「公務員制度改悪阻止」中央行動がおこなわれました。全国各地から1500人の国公の仲間と民間の仲間を加えて2400人が結集しました。全厚生はカンパによる上京団を提起、各支部から39人の組合員が参加しました。
 この日は早朝から「霞ヶ関いっせい早朝宣伝行動」が取り組まれ、政府・財界奉仕の公務員制度「改革」反対、「大枠」にもとづく「基本設計」阻止、国民のいのちとくらしを守る行財政・司法、民主的公務員制度の確立と今日の中央行動への参加の呼びかけをおこないました。
 昼休みには国会請願デモが取り組まれ、国会へむけて日比谷公園西幸門を出発。全厚生からは本省・統計・感染研・人口研・国立リハ・愛知県・岐阜県・滋賀県・京都・大阪・香川県・愛媛県支部、本部書記局から31人が行進しました。
 次に行革推進事務局前要求行動、総務省前の要求行動に参加した後、全厚生の参加者はもう1度国会(参議院議員会館)へ戻り、国会議員への要請行動を22人の上京団全員で取り組みました。「公務員制度改悪反対署名」の紹介議員になってもらえないかと要請した議員は参議院議員15人。面会拒否があったり、秘書対応ばかりでしたが、「初めての議員要請で緊張した」「はじめて議員会館に入った」という参加者も多く貴重な体験となりました。国公労連では今回の要請行動で全国会議員に12万筆の署名を提出しました。現在の全厚生での署名集約数は組合員数を超える4,724筆になっています。
 最後に日比谷公会堂で行われた中央総決起集会に参加しました。集会では、国公・自治労連・全教の決意表明と民間単産からの連帯のあいさつがありました。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)の生熊さんは「公務員は悪政の執行者にならざるをえなくなっている。職場の中だけのたたかいでは公務員制度改悪阻止は困難。自分たちはこんな行政がしたいともっと国民にアピールしていくべきだ。国民の『顔』がみえる仕事をしてもらいたい。私たち民間労働者にはわかりにくいが、安定した雇用・特権的権利を守るたたかいなのではなく、働く仲間すべてが同じ権利を手に入れるためのたたかいと位置づけている」とエールを送りました。集会の最後に参加者で力強いシュプレヒコールをおこない1日の行動を終了しました。


参加者の感想から
国民全体の世論として盛り上げて
京都支部の方(33)

 一部の者だけが優遇される制度は公務員制度として不的確なのは誰がみてもはっきりしています。国民サービス向上のため定員を増やすべきものが、行革の名のもとに、定員を削減され、民間に委託されるなんてサービス切り捨てにつながることは明らかです。私達公務員が制度の改悪に反対し、行動を進めることも大事ですが、全てが行政サービスの切り捨てにつながることを国民に明らかにし、国民全体の世論として盛り上げていくことが大切だと思います。私達の行動が自分たちのためだけではないということをもっとわかって欲しいと思います。
国民のために行われるものでない改悪
香川県支部の方(31)

 前々日より風邪気味で時々せき込みながらの参加であった。今、行われようとしている公務員制度改悪は国民のために行われるものではないことを痛切に感じた。
医療の質が下がる
国立リハ支部の方(43)

 公務員制度改悪で、今医療の質が下がるおそれがあります。能力等の評価を導入されれば本当に必要とされる医療が行えるかが心配です。よって公務員制度改悪はやめてほしいものです。
国会議員さん!考えて
岐阜県支部の方(38)

 初めて中央行動に参加しました。
 参議院議員会館に足を踏み入れたのも初めて!
 国会議員さん!本当の行政サービスは何なのか、成績主義でできるの!?もう1度考えて欲しいです。
公務員だけの問題ではない
愛媛県支部の方(28)

 正直こんなに大人数が集まってるとは思いませんでした。ちょっと歩き疲れたけど民間からも力強い言葉をいただき、公務員制度改悪は公務員だけの問題ではないのだなと実感できました。議員要請は初めてだったけど、ちょっとタンパクな感じでした。
政府に都合の良い公務員をつくる
愛知県支部の方(41)

 政府から見て都合の良い公務員と、国民から見て都合の良い公務員とは違うと思う。たとえば社保の窓口で「国保より任意継続の方が有利」などとお客様(国民)にアドバイスするのは、お客様にはいいことだけど国の負担は大きいかも知れない。それを政府から見て良くない公務員と言われるなら社会保障や福祉の仕事なんて出来ません。議員要請は2件いったが、1人は面会拒否、2人目は秘書しかいなかった。本人に会って直接話をしたかった。公務員を成績付けするならイネムリ、ヤジ、欠席議員はどーなるの!そっちを先に問題にしてほしい。
悪政阻止が第1歩
大阪支部の方(31)

 公務員になって約9年、公務員制度改悪ほど重大問題はないと思います。民間のリストラを他人事だとは思っていませんでしたが、もっと一体として頑張って阻止していれば、と自己反省も感じます。今の経済状態は最悪で、賃金の大幅アップは正直むずかしいと思いますが、労働者の権利も守れない悪政を阻止させることがまず第1歩ではないかと思います。国民に改革を言いながら、今まで以上に無茶苦茶な悪政を推進しようという小泉流改革は早くも正体を表したと思います。今日1日請願デモ等がんばらしていただきましたが、みんな思いは1つだと思います。力を合わせてがんばりましょう。


連載
社会保障構造改革を斬る
中央執行副委員長 加藤重徳
小泉厚相時代の医療改悪が引き継がれて

 前回見たように、社会保障改革大綱は、わが国の社会保障制度について「持続可能な制度を構築する」などとして、自民党政治が招いた経済危機、財政赤字のしわよせを社会保障におしつけるために「リストラ」(再構築)することを明言しています。
 大綱は社会保障改革に当たって(はじめに)、改革の理念、改革の基本的考え方、今後の進め方からなっています。「はじめに」では、社会保障制度について、「世界に誇るべき長寿国家である我が国にふさわしい持続可能な制度を再構築することこそが、現在の我々の責務」と述べたうえで、2025年には現役世代2人に対し高齢者が1人になるなどと指摘。そして、「近年、経済の伸びを大きく上回って社会保障の給付と負担が増大」し、「国、地方の財政は極めて厳しい状況に陥っており」と指摘し、それゆえ「経済・財政と均衡のとれた持続可能な社会保障制度を再構築」する必要性を強調しています。
 「財政が厳しいので…」「お年寄りが増えて給付が増大するので…」だから、「見直さざるを得ない」というのです。5月7日、小泉純一郎首相は国会の所信表明演説で社会保障制度について「これからは、『給付は厚く、負担は軽く』というわけにはいかない」と強調、「『自助と自律』の精神」「世代間の給付と負担の均衡」の名のもとに、国民にたいし、新たな負担増と給付減を公然と求めたのも、この大綱の考え方にもとづいているものです。
 しかし、もともと社会保障制度は、憲法が保障した国の施策の根本です。「財政が厳しい」とか「高齢者医療が増大する」などといって、国民のいのちと暮らしと直結する社会保障をリストラすることは許されるものではありません。そもそも、財政事情をこれほどまでに悪化させたのは誰なのか。責任をとらずに国民に負担を強いるのはお門違いではないでしょうか。
 小泉首相は同じ所信表明演説で社会保障制度について「国民の『安心』と生活の『安定』を支えるもの」などと言っていますが、当の小泉首相は厚相時代、被用者保険(健保など)の本人負担を1割から2割に引き上げる医療改悪(97年)や、難病患者の医療費の一部自己負担導入(98年)を「改革」の名のもとに断行してきたのです。小泉氏が厚相時代の97年8月にまとめた「21世紀の医療保険制度(厚生省案)」では、負担の割合について、健保本人3割、大病院5割、高齢者1割から2割という、さらなる国民負担増を打ち出していましたが、これが大綱にも引き継がれているのです。
(つづく)

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