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◆第1492号(2001年5月25日付)◆

本省支部の残業実態アンケート結果から

ひどい!不夜城厚生労働省

 全厚生本省支部は、毎年行っている「残業実態アンケート」を3月に行いました。アンケートの結果は、省庁再編後もますます深刻となる長時間過密労働の実態を浮き彫りにしました。

残業は増える一方

 今年の回収は587枚、その内訳は表1〜3に示したとおりです。

表1 職名別
職 名 枚数
課長補佐 69 11.8%
専門職(専門官等) 51 8.7%
係長・主査 183 31.2%
主任 47 8.0%
係員 202 34.4%
NA・不明 35 6.0%
合 計 587 100%
表2 年代別
年代 枚数
10代 3 0.5%
20代 173 29.5%
30代 251 42.8%
40代 118 20.1%
50代 41 7.0%
NA・不明 1 0.2%
合 計 587 100%
表3 性別
520枚 88.6%
66枚 11.2%
NA・不明 1枚 0.2%
合 計 587枚 100%


 通常業務をどの時間帯で処理しているかについての結果は、「残業」と答えた人が昨年より3ポイント増え、年々増加しています。
 月平均残業時間は、年々残業時間が増えています。95年と比べると100時間以上が2倍に増えています。1番多いのが100時間以上で2番目が75時間以上、3番目が50時間以上となっており、人事院が出した指針、年間360時間以内(月30時間以内)に当てはまる者は、わずか11.9%でした。
 年間の平均退庁時間は、ピークが23時台、昨年と比べると全体に遅い時間にシフトしています。
 定時退庁出来ない理由のトップは、やはり仕事の量に対して人員が少ないこと。2番目は、国会待機のため。国民生活に密着した介護保険や年金などの重要な課題への対応が不十分な人員配置のもとで行われていることを如実に表しています。
 昨年1年間の年次有給休暇(夏期休暇を除く)の取得日数は、年次休暇取得日数5日以下が47.1%にも達し、99年からの推移をみても年々、年休がとりづらくなっている事は明白です。
 超過勤務手当の支給率は、支給率4割程度と2割程度と答えた者が1番多く、4割以下がほぼ半数です。
 今年1月の省庁再編後の残業の増減については、26.7%が増えたと答え、その理由のトップは「新たな業務が加わったため」でした。
 今回の調査で、圧倒的な人手不足、異常な職場実態が明らかになりました。
 支部では、恒常的残業を解消するために、定員削減に反対し、職員が人間らしい生活を取り戻すことができるよう、厚生労働省本省労働組合共闘会議(全厚生本省支部、統計支部、全労働本省支部)で奮闘する決意です。6月20日の東京国公規模で行う一斉定時退庁行動に向け、取り組みを強めます。
(本省支部書記長)


リレーずいそう
● 伊勢神宮考
 伊勢神宮について僕はいつも不思議に思うことがある。それは「なぜ、あの場所にあるのか」ということである。
 伊勢神宮は、天皇家の「始祖」を祭っている。普通、始祖は「ゆかりの地」に祭られるが、どう考えても伊勢の地には繋がらない。
 ところで、大和王朝成立に関して東征伝説がある。王が西から大和へ攻め込んだが、現地の王に勝てなかった。現地勢力の助けを借りて、南から攻めて勝ち、大和王朝を開いたというものである。これが伊勢神宮の鍵ではないか。
 大和王朝は、九州を根拠として大陸との交易で勢力を伸ばした。一方、当時の近畿は、北陸を根拠として大陸との交易を行う「越」の国が支配していた。
 大和王朝は「越」の国を倒すため、内部からの裏切を利用した。裏切者は代償として「あなたの祭神を、私の領地へ移すこと」を求めた。
 当時、政治と祭祀は一体であり、祭神の存在は我々の想像以上に大きい。裏切後の粛清を逃れるため、祭神を人質ならぬ「神質」に取ったのではないかと僕は推理するのである。
(京都支部 副支部長)


News
● 21世紀を生きる青年への接近 ―青年組織と運動の交流集会―
5月11日から12日、国公労連は「青年組織と運動の交流集会」を開催。13の単組から組織担当役員や青年部役員を中心に50名が参加。国公職場の青年層を労働組合に組織していく上での課題や対応策を議論しました。
 最初に全労連・西川副議長からの講演「人間らしいくらしと仕事を求め、21世紀を生きる青年への接近」。青年の生きてきた時代や「パラサイトシングル」といわれる青年の姿と社会への影響を学び、また各アンケート結果から青年の実態もつかみ、青年層へいかにアプローチするか、集会での対話と討論のための問題提起となりました。国公労連からは最近の任用状況や、アンケートにもとづく意識調査など国公青年の現状報告があり、青年とともに組織と運動の前進・発展をめざすための論点を問題提起しました。1日目の最後、パネルディスカッションでは全学連の小林委員長、航空労組客乗連絡会の島田亜美さん、福祉保育労の民谷孝則さん、国公青年協の酒井常任委員をパネラーに各組織の青年層の実態や公務員に対する印象など自由な意見交換をおこないました。翌日は「今の若者をどうとらえるか」と3つの分散会にわかれて青年の率直な意見を聞く貴重な機会となりました。
(国枝組織部長)


公務員制度改悪阻止に全力

各支部で職場集会などの取り組みスタート

 全厚生は4月21日の全国支部委員長会議で公務員制度改悪反対のたたかいを意思統一しました。政府は3月27日に公務員制度改革の「大枠」を発表、6月には「基本設計」のとりまとめをおこなうという強引な構えを見せています。これを許さないために、5月連休明けから、各支部・分会の取り組みがスタートしています。
 組合員ひとりひとりが「公務員制度改悪」課題の重要性・緊急性を認識し、「みんなで決めて、みんなで行動する」ために、全厚生は5月9日から11日をゾーンにすべての職場での統一職場集会の開催を提起しました。準備の都合などから設定期間内に開催することができた支部・分会ばかりではありません。しかしそれでもこの提起を前向きにとらえ、多くの支部・分会で公務員制度改悪の内容や情勢を確認し、たたかいの具体化を意思統一しています。
 静岡県や国衛研大阪など6つの支部・分会では全厚生が提起した期間から集会を開催しており、翌週には国立リハ支部など11支部が開催、また神奈川県支部のように拡大の合同役員会を11日に開催、21日の週には、職場集会を開催している支部もあります。
 開催にあたっては感染研支部や人口研支部など本部からのオルグを活用、職場集会を開催した支部や、大阪支部のように職場門前ビラで職場集会開催を周知したり、秋田県・愛知県・大阪支部など支部ニュースで公務員制度改悪の記事を特集している支部もあります。
 大分県支部や静岡県支部など学習会を開催している支部や、国公労連が5月19日までに全県で開催した「公務員制度改悪反対学習決起集会」に滋賀県支部などが積極的に参加しています。
 全国支部委員長会議から1カ月が経過しました。各支部の報告を受けて職場集会の取り組みを紹介しましたが、職場での意思統一は、所属長への申し入れや連判状、50万署名や300万ビラ配布の取り組みを組合員みんなで取り組むためにとても重要です。6月8日の第1次中央行動にむけ、組合員のみなさんの奮闘をお願いします。

大 阪◇独自ビラ作成し配布 ―公務員制度改悪反対で奮闘

 大阪支部では、全国支部委員長会議での提起を受けて、執行委員会を開催し闘いの方針を具体化しました。そして、5月8日に分会長会議を開催して、「大枠」の学習と取り組みの意思統一を行いました。学習会では、公務員制度の問題は公務員の賃金や労働条件だけの問題ではない。国民生活と大きく関わっており、もっと言えば日本の国の形を決める課題である。政府やマスコミの動向など厳しい情勢だが、だからこそ公務員制度改悪の本質を国民に訴え、国民とともに闘うことが大切、職場・地域を基礎に大いに奮闘することを確認しました。
 まず職場からの闘いとして、5月10日には全分会一斉に早朝宣伝行動として社会保険事務所門前で支部で作成したビラ配布を行い、昼休みには一斉職場集会を開催し全組合員の意思統一を図りました。そして、10日〜14日に全分会(19分会)で所属長交渉を実施して社会保険事務局長への上申を要請しました。こうした職場を基礎にした闘いの積み重ねの集約として、5月17日に支部執行部により事務局長交渉を行って、社会保険庁への上申を約束させました。
 地域に打って出る取り組みでは、社会保険事務所周辺の民家にビラ配布を行いました。組合員1人あたり40枚のビラを、昼休みや退庁後に多くの組合員が協力しながら配布しました。また、ビラを自宅に持ち帰り自宅周辺に配布した組合員もいます。6月2日の大阪支部独自で予定しているターミナル宣伝では、年金・医療保険制度改善のための宣伝と結合させ、支部独自でビラを作成することにしています。
 この他、民間企業の成果主義破綻の事実や国公労連闘争ニュースなどの記事を掲載した「支部情報」を随時発行し、組合員・職員への情報宣伝を強めています。
 大阪支部では、引き続き制度改悪を粉砕するまで全力で奮闘する決意です。
(書記長)


試験研究機関支部代表者会議開く

再編で労働条件の後退許さない

 全厚生は5月16日午後、試験研究機関支部代表者会議を全厚生書記局会議室で開催しました。 会議では、重要な段階を迎える組織再編や国立健康・栄養研究所の独立行政法人への移行にともなう労働条件確保など各支部の取り組みを交流。研究環境の改善、身分保障、勤務条件等の後退にならないよう万全の措置を求める上で、職場を基礎にした労働組合の役割が重要であることを確認。情報交換や交流を強め、本部・支部が一体で取り組むことを確認しました。
 医薬基盤技術研究施設(仮称)設立の問題では、2004(平成16)年度の早い時期に設立する方向で計画が進められており、国立医薬品食品衛生研究所大阪支所では、研究所の機能や業務の見直し等が迫られています。
 春闘で行った大臣官房人事課長交渉では、大阪支所職員の意向を十分尊重することを強く要求。井口人事課長は、「意向を尊重して対応したい。研究所に対しても十分指導したい」と回答しました。この点を踏まえ、国衛研支部・同大阪分会、関連する感染研支部とも連携し、身分や雇用保障などの不安を解消するために取り組みを強めることを意思統一しました。
 また、国立公衆衛生院の移転・再編について、移転当初は、現在地と移転先の埼玉県和光市の2拠点になることを踏まえ、労働・研究条件および教育研修体制上の改善を要求し、対応を強めることを確認しました。
独立行政法人化の取り組みでは、この間、労働基準法36条にもとづく労使協定の締結以降の到達点を確認。引き続き、基本的な労使協定、労働協約の締結をめざすことを確認しました。
 さらに、公務員制度改悪反対のたたかいについて討議。連判状、申し入れ、署名、宣伝など職場を基礎に、学習を強めて取り組むことを意思統一しました。なお会議には、感染研支部、国衛研支部、同大阪分会、衛生院支部、人口研支部、栄研支部、ハ病研支部の代表が出席。本部からは杉下委員長、高橋副委員長、杉浦書記長、國枝中執が出席しました。


国民平和大行進が行く

暑いなか歩きまくり ―神奈川県支部

 21世紀初の国民平和大行進が5月6日よりスタートし、神奈川県支部では、7日午後、大森駅より4人が参加し、東京から行進してきた本部と合流、川崎市役所にて「通し行進旗」を引き継ぎました。12日の天王町〜上大岡コースには6人、19日の湯河原〜千歳橋コースには5人&杉浦書記長が参加しました。千歳橋で静岡県支部に引き継ぎ、熱海駅まで行進しました。初夏を思わせる暑さの中、道ゆく人々など多くの人々に声を掛け手を振るなどして平和の願いをアピールしました。参加者からは「1日歩くのは疲れたが楽しかった」「被爆者の人が訴える姿を見て感動した」といった声がありました。神奈川では今世紀から東京・静岡の一部まで歩くという新たな試みを行いましたが、定着できればと考えています。21世紀はおれたちのもの、と言えるようにみんながんばりましょう。
(書記次長)


連載
社会保障構造改革を斬る
中央執行副委員長 加藤重徳
命おびやかす社会保障の連続改悪

 少子高齢社会をむかえつつあるわが国の国民生活にとって、医療、年金、社会福祉などの社会保障の拡充はますます重要かつ切実な政策課題・要求となっています。ところが政府・厚生労働省は「財政構造改革法」による社会保障費のさらなる抑制とともに、医療保険、介護保険、年金制度から国の責任をいっそう縮小・後退しようとしています。昨年から今年にかけて実施・計画されている年金、医療、介護などの分野では約3兆円もの給付の削減・負担増となります。年金では賃金スライド停止で1兆円、支給年齢引き延ばし(4月から)で2千億円給付削減、老人医療費は今年1月1日に1割定率負担が強行され3千億円の負担増です。介護保険では10月からの高齢者保険料の満額徴収で4千億円の負担増です。雇用保険では保険料引き上げで3千億円の負担増、失業者の「命の綱」である失業給付期間の短縮(6千億円)も計画されています。
 このように社会保障の連続的な改悪は、いのちと健康をおびやかし、国民の所得を奪い、将来不安を募らせます。とくに介護保険については、制度がスタートして1年たちましたが、お年寄りの保険料、利用料の負担の重さが深刻な矛盾を広げています。朝日新聞が3月8日付で掲載した全国市町村アンケートによると、在宅サービス利用が低調な理由(複数回答)のトップが「自己負担の重さ」(62・7%)でした。日本共産党が提案しているように、これらの給付削減・負担増計画の凍結がますます緊急かつ重要になっています。
(つづく)

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