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◆第1486号(2001年3月15日付)◆

共通の課題で要求の前進を

厚生労働本省労働組合共闘会議を結成

 全厚生本省支部、全厚生統計支部、全労働本省支部の3支部は、厚生労働省本省という同じ職場にある労働組合として、多くの共通する課題を一体的に取り組み、要求の前進を図るため、2月23日に「厚生労働本省労働組合共闘会議」(以下、「本省共闘」)を結成しました。結成大会では、本省共闘の結成を宣言するとともに、本省共闘の規約、活動方針、財政方針(予算)を満場一致で採択し、役員を選出しました。

厚生労働本省で働く全職員を視野に運動

 全厚生本省支部と全労働本省支部は省庁再編の政府方針が出されて直ぐに、統合後の本省の組合組織をどうするかについて検討し、可能であれば一体化が望ましいとの意見を表明してきました。しかし、一本化するには組合員の身分や権利問題などハードルの高い困難な課題の解決が必要であること、本部での組織問題を検討する会議で、まず運動面で一体化をはかり、統一した取り組みでの連携により緊密な関係を構築していくことが必要であるとの結論により、共闘会議結成の方針が出されました。昨年秋の両本部の大会以降、共闘会議結成に向けて毎週のように会議を持ち、結成に至りました。
 結成大会は、田口全厚生本省支部長が各支部の共闘会議結成手続きが終了していること等の経過報告を含めあいさつし開会。経過報告、及び今後の活動に必要な規約案、運動方針案、財政方針案についての提案を、準備会を代表し、市川全厚生本省支部書記長が行いました。
 市川書記長は、職場討議と平行して、準備会ではすでに人事院に対し人事院登録を行う予定である旨と、規約案の事前審査を依頼しており、結成後直ちに、人事院登録を行うと述べ、情勢については、特に公務員制度改革の動きについて、注目していくことを表明しました。運動の基本は、@厚生労働本省の働く全職員を視野に入れていくことA組織拡大強化の方針を堅持することB青年・女性の組織を検討していくこと。課題別の要求と運動は、超過勤務の問題、施設等の関係も含め福利厚生の課題の大きな2つを中心に、加えて、昇格の改善問題と組織課題について取り組むことを提案しました。
 全ての議案は、満場一致で採択され、役員が選出されました。全労働本省支部の原書記長から大会宣言の提案、役員紹介と続き、菅沼大会議長の「結成大会は通過点であり、すべてはこれから」という締めの言葉によりすべての議事は終了し、最後に岡野本省共闘議長の団結ガンバローで記念すべき結成大会の幕を閉じました。
 役員氏名と出身の支部は次のとおり。
 ▽議長 岡野秀樹(全労働本省)▽副議長 田口雅之(全厚生本省)・菅沼伸至(全厚生統計)▽事務局長 市川茂(全厚生本省)▽事務局次長 梅澤明子(全厚生統計)・原和義(全労働本省)▽幹事 神山正(全厚生本省)・三角美智子(全厚生統計)・松田敏夫(全労働本省)▽会計監査 井上靖治(全労働本省)・神村茂充(全厚生本省)
 同日夕、結成記念レセプションを行い、国公労連、全厚生本部、全労働本部、全医労などからの来賓も含め約70 名の仲間が参加しました。全厚生からは、14支部から熱いメッセージが届きました。
(本省支部書記長)


リレーずいそう
● やさしい暖かさ
 「お部屋の空気が汚れません」「太陽の光のような暖かさ」というフレーズにつられ、遠赤外線ヒーターを買った。箱から出し、電源を入れて、暖かさを試していると、始めは疑い深く寄ってきた2匹の猫たちが、やけどしてしまうのではと恐ろしくなるほど、ヒーターにべったりと鼻をくっつけている。せめて10センチは離さないといけないと思い、少し離れた位置に座布団を敷いた。作戦はうまくいき、その上に座っている限り、やけどの心配はなくなった。しかし、座布団の真中をめぐって、次第に2匹の間で微妙なやりとりが起こるようになった。座りそびれた方の機嫌が悪くなり、こちらに不満を訴えてくる。そこで、もう1枚座布団を敷いた。
 何週間かたった頃、友達が猫達へのプレゼントにムートンの敷物をくれたので、座布団をはずしてそれを置いてみた。ところが猫たちのお気には召さず、元通りにしてくれと言わんばかりである。しかたがなしに、ムートンの上に座布団2枚置いたら、即座にその上で気持ちよさそうに毛繕いをはじめた。座布団だけの状態に戻そうとしても、また反対される。結局、2枚の座布団も、ムートンも、そして「太陽の光のようなやさしい暖かさ」も、猫たちの所有物となった。人間たちは、「やさしい暖かさ」のおこぼれをもらうだけの冬だったが、ヒーターのいらない暖かな日々ももうすぐ、楽しみに待つこととしよう。
(人口研支部 副支部長)


News
● 母性保護の権利の充実を ―3・9国公女性協・青年協中央行動―
 3月9日、国公労連女性協・青年協は、東京国公女性協と共催で、青年・女性の「大幅賃上げ、能力・実績主義強化反対、母性保護」をはじめとした諸要求の実現にむけ、2001年春季中央行動を行い200人が参加しました。青年協は人事院・総務省前要求行動、人事院・総務省交渉、春闘学習決起集会を、女性協は人事院前要求行動、人事院交渉を実施し奮闘しました。
 昼休み人事院前要求行動(写真)に全厚生は、愛知・岐阜・滋賀の各県支部から青年が5人、統計・人口研・業務センター支部と本部あわせて18人が参加しました。阿部女性協事務局長は、「私たちの職場は、人員が削減され恒常的な残業が蔓延し、若い女性の生理異常や異常妊娠など母性破壊がすすんでいる。子供を産み育てながら男性と同等に働き続けられるようにこれからも母性保護を充実していくことが大事だ。また、男女共同参画社会を実現させるために現在ある男女格差の積極的差別是正、家族的責任を有する者の労働条件の確立など、男女平等を実質的に実現することが必要だ」と訴えました。
 青年協の総務省交渉では、愛知県支部の方が「年金や健康保険は改正につぐ改正で、職員はそれを覚えていかなければならないし、通常業務をこなしていかなければならない」と職場の実態を紹介し、増員を訴えました。女性協の人事院交渉には、業務センター支部の組合員が参加し、生理休暇の取得しやすい職場環境、産前休暇8週間への改善などを訴えました。あわせて「家族の看護と子育て休暇の新設を」の一言ハガキを421枚提出しました。

全国統一3・22早朝時間外職場集会の成功を
3月22日は、政府・人事院から春闘の回答を引き出す日です。職場集会を成功させ要求前進を。


業務の効率化を積極的に

社会保険庁中西長官と交渉

 全厚生は3月8日、社会保険庁と交渉をしました。交渉には、全厚生から杉下委員長を先頭に、各支部代表と本部役員が出席し、社会保険庁は中西長官、小島次長、角田総務課長らが対応しました。
 今回の交渉では、@業務量に比べ定員があまりにも少ない実態から、業務の効率化・省力化と体制整備など具体的な対策を早急に講ずることA5級・6級の高位号俸と7級枠外の解消と昇格における事務局間、男女間での格差の解消をすることB事務局の幹部への地元職員の積極的登用とすべての社会保険事務所長を地元登用にすることC超勤解消に向けて具体的な対策を講ずること、などを重点に社会保険庁の見解を質しました。
 交渉では、社会保険庁から、全般的に全厚生の主張を積極的に受け止める回答を引き出しました。

賃金改善は切実 定員配付適正に

 賃金要求については、人勧制度の説明に重点を置きつつも、「切実な要求として理解する」と回答しました。
 定員削減については、政府の一員としての立場は変えませんでしたが、定員事情が厳しい中で事業運営の効率化に努力することが、表明されました。また、定員と業務にかかわるやりとりの中で総務課長は、「有意義な話だ」と積極的に受け止める発言をしました。さらに、次長の答弁の中で、定員を適正に配付したいと、定員のアンバランスを認識した発言をしました。
 業務の省力化・効率化と体制の整備は、マッタ無しの課題として、具体的な提言を含め、積極的に取り組むことが重要です。
 神奈川県支部副支部長は、定員削減のもとでの切実な職場実態を具体的に臨場感を持って訴えました。滋賀県支部支部長は、業務の簡素・効率化の展望を早急に示すよう強く主張しました。

女性の幹部登用には努力する

 幹部への地元職員の登用について、「人事については本庁・地方の別なく適材適所でやりたい」との従来の回答にとどまりましたが、女性の幹部登用については「努力していきたい」と回答しました。また、8級の女性は全国で9名(地方)であることが明らかになりました。
 地方にも適材が多くいることを強く主張するとともに、男女の昇格格差の解消については、男女雇用機会均等法や男女共同参画基本計画を推進する厚生労働省の一員として積極的に取り組むよう強く要求することが重要です。
 愛知県支部副支部長は、所長の「天下り」人事を即時中止するよう強く要求しました。

事務局間の昇格格差是正は必要

 各事務局の事情が異なることから生じている、格差について、是正は必要だと回答しました。また、定数配付後の活用状況の把握と指導についても、その必要性を認める回答をしました。
 大阪支部支部長は、高位号俸者を放置する情実、差別人事をなくすため、きちっと指導するよう求めました。秋田県支部支部長は、6級双子と7級枠外を解消するよう求めました。

超勤解消は健康管理面から努力

 超勤解消に向けて、管理者の心構えを会議のたびに徹底し、「総務課長通知も出した」ことなどを示しつつ、すぐに解消は難しいが、「健康管理面から努力したい」と回答しました。
 業務センター支部支部長は、人間らしく働くルールの確立を切々と訴えました。
 新再任用について、6月に運用方針を確定し、当面、基本的な考え方を示し、3月には意向把握をする考えがあることを明らかにしました。


国立衛研大阪

研究者の使い捨てはやめよ

基盤研問題で身分保障も不透明

 全厚生国立医薬品食品衛生研究所支部大阪支所分会は今、医薬基盤技術研究施設(仮称、以下基盤研と略)問題での対応に追われています。
 基盤研は、ゲノム科学やタンパク質科学等の基礎研究の成果を医薬品等の開発に橋渡しするための基盤的な技術開発および研究資源の適切な提供を目的として設立されるもので、製薬会社との技術協力、資金運用が期待されるため、独立行政法人(100名規模)とするとされています。大阪府はこれを大阪北部の彩都(国際文化公園都市)ライフサイエンスパーク構想のコア施設とするべく、早期設立を強く要請したことにより、設立スケジュールが急に加速され、平成16年4月立ち上げを目指して設立準備が進められています。
 基盤研は国立医薬品食品衛生研究所大阪支所を発展的に改組して立ち上げられることから、大阪支所職員は当然基盤研に編入されると考えていましたが、設立が急に加速された昨年、「大阪支所職員では基盤研の研究テーマ(ゲノム創薬に特化)に対応できないため、支所の椅子(定員)は基盤研に持って行くが人は要らない」との当局の驚くべき方針が明らかとなりました。そこで大阪支所職員に与えられた選択肢は、本所(東京)に移るか、大阪で転出先を捜すかのいずれかとなります。生活基盤をどうしても東京に移すことができない職員(約7割)は後者を選択せざるを得ず、国家公務員としての身分さえ保障されない極めて厳しい状況に置かれています。
 基盤研の中身が未だ流動的であり、またゲノム創薬にこそ領域横断的な研究者構成が必要であるにもかかわらず、上記のように当局は大阪支所職員の活用を頭から考えようとせず、また転出先の斡旋等については可能な限り努力すると答えるのみで、本所に移れない支所職員は将来の保証が全く無い状況での転出を余儀なくされています。
 組合としては、このような研究者の使い捨て、切り捨てに強く抗議すると共に、支所職員の身分保障を前提として、@希望者全員が基盤研に編入されるべく万全の措置をとることA本所への配置換えに際しては、本人の意向および専門分野を十分尊重することB他機関への転出を希望する職員については、早急に斡旋作業を行うことC非常勤職員について、組織改編後も雇用を確保すること、などを厚生科学課長交渉、副所長交渉で要求してきましたが、当局は上述のような基本姿勢を変えようとはしません。
 今後、全厚生本部、国衛研支部、また基盤研への一部の編入が予定されている感染研支部との連携を強め、基盤研構想に責任を負っている厚生科学課との交渉に向けて力を注ぎたいと考えています。
(分会長)


新企画★紙上討論 3


◎公務員制度「改革」  今なぜ、その狙いは・・・

 公務に「能力・実績主義」の人事管理・賃金の導入がなぜ必要なのか。どのような意味や影響をもたらすのかを的確に明らかにする必要があります。
 橋本大臣のいう、「民間の知恵の活用」では、確かに民間大企業を中心に「目標管理制度」「成果主義賃金」が広がっていますが、その実態がどうなっているのか明らかにする必要があります。
 さまざまな調査によれば、評価する側も評価される側もこの制度に不満を持っていることが報告されています。管理者サイドからは、「目標の難易度の判定が難しい」「目標の貢献度の判定が難しい」「結果が外部環境に左右されやすい」などと答え、評価者自身が判定の困難さを訴えています。評価されるサラリーマンは、「目標はすべて達成しても評価されず」「上司が変わるたびに評価の尺度が変わる。結局、長時間労働をしている社員やゴマスリが高い評価を受けている」など、不満が出されています。
 これは、評価の基準と現実との避けがたい矛盾であり、前提としての「総人件費抑制・削減」があり、結局、少なくなった「パイの分け前」を競い合い、ほんの一握りの労働者に「成果」による処遇をしたとしても、大多数は賃金が抑制されるか切り下げられるという実態の反映といえます。
 最近、名の通った大企業などでモラルハザードが指摘され、国民のいのちや健康が脅かされていますが、「能力・実績主義」の強化、つまり「成果主義」による企業の競争意識のあおりが、その一因との指摘があります。
 全厚生は春闘において、公務員制度「改革」での学習、職場討議を重視していますが、この問題に対して組合員は高い関心を示しています。
 『紙上討論』が有効活用され、お互いに学習を深めることができればと思います。意欲的な意見投稿を改めて呼びかけます。
(S・S)


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