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◆第1483号(2001年2月15日付)◆

森内閣は退陣せよ

国民の怒りはもう限界

政治を変える春闘に

政治を読み解くキーワード
・KSD汚職
 KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)から自民党へ、KSD豊明会というトンネル団体を通じての政治献金や幽霊党員の肩代わり党費として、20億以上ともいわれる巨額なお金が流れた汚職事件。その元金は、中小業者が万が一のケガの時などのために掛けてきた共済掛け金であり、これまでにない悪質な汚職事件として国民の批判が高まっている。一刻も早い関係者の証人喚問の実現が求められている。

・機密費問題
 「内閣機密費」を私的に流用するという外務省の元室長の事件を発端に、歴代官房長官が「機密費は国会対策費や国会議員が海外に行くときの餞別に使われていた」と証言するなど、個人的犯罪にとどまらない問題に発展。機密費は会計法上では、支出官から官房長官にお金を渡した段階で、公金から私金になり、領収書も必要なく監査もない。機密費減額とともにこの仕掛けにメスを入れるよう国民の批判が高まっている。

・米原潜衝突事故
 2月9日、宇和島水産高校の実習船がアメリカ原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され沈没。乗組員35人のうち9人が行方不明に。事故当時ゴルフをしていた森首相は、事故報告を受けた後もゴルフを続け、首相としての資質に欠けると非難が集中。救助活動をしなかった原潜へも批判が高まる一方で、現地に行った桜田外務政務官がろくに調査もせず、「原潜の救助は適切」と発言し、さらに国民の怒りがわき上がった。事故を起こした原潜は民間人が操舵し急浮上したとの事実も。行方不明者の徹底的な捜索と事故の徹底解明が求められている。
 1月31日、KSD汚職事件と外交機密費横領問題が国民の大きな批判を呼んでいる中、第151通常国会が開会しました。この日、国民春闘共闘と国民大運実行委員会は、森内閣退陣、両事件の徹底糾明などを求めて昼休み国会請願デモを実施。すべての労働者の賃金底上げと生活改善のために「政治を変える春闘」として行動しました。

緊急集会に3千人

 2月15日夕、KSD汚職や機密費問題、米原潜による「えひめ丸」衝突・沈没事故に国民の怒りがわきあがるなか、「KSD汚職など徹底糾明せよ!2・15緊急集会」が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、約3000人が参加。全厚生からも在京支部中心に12人が参加し怒りの拳をあげました。

まるごと汚染の自民党
  大分県支部書記次長

 汚職といえば、今までは大企業だったが、今回のKSD汚職は、中小企業が汗水流して稼いだお金を自民党がまるごと吸い上げたところに最大の問題がある。中小企業を踏み台にしているのが悪い。社会保険事務所には、年金の支給開始年齢が繰り上がることなどで苦情や相談がひっきりなしで、国民は苦しい思いをしているのに、森・自公保政権は許せない。

機密費は公開の基準を
  本省支部 組合員(30代)

 今回の機密費横領問題は、書類1つで億単位のお金を動かせる一部の特権的な国家公務員の金銭感覚が、国民からは理解できないほど麻痺してしまっているということを明らかにした。これは氷山の一角だ。怒りを通り越し哀れにさえ思う。外交上、防衛上、機密費があることはしょうがない部分もあるが、使い方についてチェック機能が働くことが必要。公開する基準が必要だ。

国会の解散を
  愛媛県支部書記長

 米潜水艦を民間人が操舵していたという報道もあり、急浮上する必要があったんかと疑問に思う。アメリカの報道官も言葉では謝罪するものの行動は別。捜索打ち切りなどとんでもない。森首相はすぐにゴルフを中止すべきだった。自公保政権下での国会は、本来の国会として機能していない。森退陣で次は誰が首相か、ではなく、国会を解散すべきだ。


リレーずいそう
● この町に住む
 早いもので上京して5カ月になる。この頃、ようやく自分の住んでいる町をゆっくりと眺める余裕ができた。
 「1人暮らしに変わりはない」と気楽な気持ちで来たのはいいが、住居にしろ仕事にしろ生活環境の変化は精神的にも負担をともなうもの。仕事に対する気負いもあるが、田舎者が「東京」で暮らすというのはなぜかプレッシャーを抱くものだ。1日でも早く町に慣れようと思ったのはそんなあせりからだろうか。ただなにぶん毎日帰る時間が遅い。町を散策するわけにはいかない。深夜、寄り道するのはコンビニかラーメン屋。せめて土日にと思っても仕事があったり、休みでも生活必需品を買うだけのあわただしい日々が続いた。
 近頃は休日となれば用事がなくても出かけるようにしている。本を片手にコーヒーショップで時間をつぶしたりする。周りを見渡すゆとりがあるというのは貴重なことで、ぶらぶらとあてもないのに散歩していると今までなら通りすぎるだけの街角にちいさな鯛焼屋を見つけたりする。また暇にまかせて何度も足を運んでいるうちにお店の人と顔なじみになる。むこうから話しかけられたりするとうれしいもので、たとえば駅から家までに3軒もコンビニがある。それでもいつもおなじ店に行くのはあのおばさんがいるからで、これも「人情」というものか。
 さて「私もこの町で生きている」、そう実感できるのはそんな人とのふれあいからだ。
(中央執行委員 國枝英樹)


News
● ただ働き、不払い残業なくせ ―2・9白木屋分会支援集会―
 2月9日夜、渋谷・宮下公園に「ただ働き、不払い残業をなくせ」「白木屋は従業員をいじめるな」と600人が結集。「2・9白木屋分会支援集会」を開催し、にぎわう渋谷の街をパレードしました。「白木屋」、「魚民」などを経営するモンテローザは残業代不払いや電車の遅れによる遅刻でも賃金カットなどを行っています。集会では、ストライキでたたかっている西部一般労組白木屋分会の分会長ら3人(写真上)が、モンテローザ社を残業代未払いで刑事告発、書類送検されていることを報告。「会社のやり方はおかしい。あたりまえの不満を持ち、あたりまえの要求をしただけ」。会社の一方的な不当配転などに負けず最後までたたかうと涙で決意を述べました。
● ノー残業デーで命と家庭守ろう ― 一斉定時退庁行動で朝ビラ―
 毎週水曜日は定時退庁日ですが、とくに本省庁では第1水曜日を定時退庁強化の日として早朝宣伝行動を実施しています。2月7日も恒例となった早朝宣伝行動を全医労、全労働とともに厚生労働省の地下連絡通路で行いました。全厚生からは統計情報支部の3名をはじめ、本省・本部から7人が参加。本省庁に働く公務労働者の8人に1人以上が過労死ラインにあり、過労自殺とともに様々な精神疾患も増えていることから、今回のビラは「ノー残業で命と健康、家庭を守ろう」と題し、過労チェック(メンタルヘルス編)を掲載しました。ビラの内容に真剣に目をとおす職員の姿も見られ、ほとんどの職員がビラを受け取る状況が定着しています。


神奈川県

250人の相談者に深まる健康不安

社会保険庁は実態の改善を

 ここ神奈川では、例年のように1月に入り4月に向けて各事務所の年金相談コーナーには来庁者が増大し続けています。藤沢社会保険事務所を見てみても御用始めの4日より来庁者が殺到。5日から早くも200人を超え、最も多いときには250人を超える記録が続いています。年金相談コーナーでは職員が朝からフル回転「お茶も全然飲めませんし、トイレにも行きづらい」と悲鳴に近い声が上がっています。現場の職員の話では「昨年も200人は超えていたが、1日の相談者数は1人で30人、全体で180人前後が、時間的にも体力的にも限界。200人を超えると常時20人以上待ちで、精神的にも重圧がかかりっぱなしです。一時的な現象でもなく、他課からの応援も限界だし定員を増やしてほしい」との悲鳴に近い声が上がっています。
 また、年金相談件数の増大は、どこの事務所も相談コーナーの窓口だけではなく電話による相談も引っ切り無しにかかってきており、電話対応を強いられる年金給付課も本来の給付業務がまともにできる状況にありません。
 このように神奈川の職場は年金部門を見ただけでも、ここ数年体調の不良を訴え長期の休暇に入る職員も数人見られ、いつ病人が出てもおかしくない実態にあり早急な改善が急務となっています。しかし、これまでも改善につながるまともな定員増もされず、今年度の定員増は地方庁全体で初めてマイナスがたち神奈川への定員増は1人もありませんでした。また、新年度も定員減となることが明らかにされています。職場では「これから定員増がない中で社会保険庁は、どう神奈川の定員不足を解消するつもりなのか」との声が上がっています。
 時代とともに時間を費やす対象業務も大きく変化し、これまでの資格・管理の時代から給付・相談の時代へと大きく変わってきました。根本的に定員の配分の見直しを検討する時期にきているのではないでしょうか。それは行政の国民に対する責任でもあります。神奈川の実態と現場の声を社会保険庁は理解し改善して欲しい。
(神奈川県支部)


統 計

長時間残業ノー

職場での対話重視し奮闘

 統計情報支部では、若い職員を組合員に迎えることができました。常々、本省庁の無定量な残業実態に不安を抱いていたところ、中央合同庁舎5号館で働く全厚生本省支部、全労働本省支部と共同で取り組んでいた超過勤務縮減運動に共感できたからだそうです。
 私達は、「仕事もプライベートも大切にしたい」という要求を持っていますが、霞ヶ関における無定量な残業実態は過酷なものです。今回の新組合員もそうですが、個人の時間を大切にし、個人の時間を仕事と同等(仕事を軽視するものではなく)に位置付けている方が増えてきています。
 今回そんな職場での問題意識とともに新組合員を迎えることができたのも、職場の組合員との対話からです。組合でもトップダウンの話が多くなりがちですが、より身近な組合員同士との対話が職場を活性化させるのでしょう。
 組合としても、組合員同士の対話、新鮮な(若い)声を大切に、あまり縛らず、自由に、個を重視した取り組みをしていきたいと思います。
(支部長)


新企画★紙上討論


◎公務員制度「改革」

 公務員制度「改革」が大きな焦点となってきています。昨年12月1日に閣議決定した「行政改革大綱」では、新たな行革の中心課題に位置づけています。政府の担当大臣は橋本龍太郎氏、自民党の行革推進本部長は野中広務氏。政府・与党一体で、一気呵成の布陣です。
 橋本大臣は、1月17日の日本記者クラブでの講演で、新たな公務員制度のキーコンセプトの1つに、(民間の知恵を活用した成果・能力主義に基づく信賞必罰の人事制度への改革)をあげています。
 「民間の知恵」とはどういうものでしょうか。日経連によれば、「人件費コスト負担の適正化と従業員個々人の生産性に見合った処遇を徹底」する、としたもので、「年功的部分を極力縮小」「成果にもとづいて決められる体系」「年収が大幅に増減する仕組み」などで、これは総額人件費の枠内(抑制)で、営利のためには労働者に大いに競争してもらう、というものです。
 「信賞必罰の人事制度」、これは「人事評価」と一体のものです。
 大事なポイントとなる「評価」は、「人(一般的には管理者サイドの判断)」によって行われるということです。うがった見方かもしれませんが、評価をする人のすべてが高潔な人格者であるとはとても信じがたいところです。
 仮に管理者が恣意的「評価」をしなくとも職場には、労働者を分断する競争主義がはびこり、意に反して差別・選別を強いることになることは、たやすく理解できるところです。 ましてや、「人件費総枠の範囲内」では、一定の割合で「成績不良の者」を作り出さざるを得ない必然性を持ち合わせており、このことを避けがたいものとしています。
 労働者の利益をまもる、労働組合の原点は団結です。全厚生は、公務員制度の重大な改悪である、政府・自民党の「改革」に反対し、今春闘、職場でこれを許さない真剣な取り組みを進めます。
(S・S)


新年号クイズ当選者
 全厚生新年号「7つのまちがい」クイズへの応募ありがとうございました。答は、@ロボットの犬の足 A目かくし B女性の持っているカップ C左の女性の髪Dマウス Eひきだし F福笑いの目でした。
 応募者31人全員正解でした。抽選の結果、20人に図書券(千円分)を贈ります。
ベアテさん本当選者
 ベアテ・シロタ・ゴードンさんの本「1945年のクリスマス〜日本国憲法に『男女平等』を書いた女性の自伝」は、5人の方に贈ります。



日本国憲法を生み出す歴史的な瞬間を
青年劇場のお芝居「真珠の首飾り」で
 憲法に「男女平等」を書いたベアテ・シロタ・ゴードンさんたちの姿を描いた「真珠の首飾り」(ジェームス三木=作・演出)の公演が下記の日程で行われます。日本国憲法を語る輪を広げる機会としても、ぜひご覧下さい。
お問い合わせは、青年劇場03−3352−6922へ
「真珠の首飾り」公演予定
5/11(金) 千葉・松戸市民会館
  15(火) 大阪・吹田メイシアター
  16(水)17(木) 京都会館第二ホール
  19(土) 彩の国さいたま芸術劇場
  20(日) 神奈川・平塚市民センター
  22(火)23(水) 大阪・森の宮ピロティホール
  24(木) 神戸文化ホール
  25(金) 大阪・河内長野ラブリーホール
  28(月)29(火) 東京新宿・朝日生命ホール
  30(水) 東京・立川市民会館
6/1(金) 東京・調布グリーンホール
  3(日) 千葉・船橋市民会館
  7(木) 京都・パルク城陽(予定)
  8(金) 大阪・枚方市民会館
*その他、富山、岡山、沖縄、学校公演があります。


20世紀をふり返り、女性が輝ける21世紀に
第25回全厚生女性交流集会
日 時 2001年2月24日(土)午後2時から
     2月25日(日)正午まで
会 場 「川崎グランドホテル」
神奈川県川崎市川崎区宮本町6−2
(JR川崎駅・京浜川崎駅より徒歩7分)
記念講演 笹沼煕子さん
(婦団連副議長 前国公労連女性協議長)
楽しく語り合い、学び合い、交流しましょう。
保育室あります。お子さま連れでどうぞ。

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