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◆第1479号(2000年12月15・25日付)◆

現場の意見を反映して

厚生科学課と組織再編で交渉

 全厚生は12月13日、大臣官房厚生科学課と2000年秋闘・試験研究機関の統一要求のうち、組織再編等に関する基本要求を中心に交渉しました。交渉には全厚生から杉下委員長、高橋副委員長をはじめ中執メンバー及び試験研究機関各支部代表の計12人が出席。厚生科学課からは、岩尾課長、佐野補佐、岡田補佐らが対応しました。

基盤研の設置構想示せ

 各機関とも、組織再編の議論に対して、職員・組合など現場の意見の汲み上げが十分でないことや、意見反映のために各研究所の運営をより民主的に進めるよう要求。これに対し岩尾課長は「各研究所の自治があるといわれますから、高飛車にではなく、各研究所によくご理解いただくようにしたい」と述べました。
急を告げる厚生科学基盤技術開発研究所(仮称)について、設置構想やスケジュール等を示すことを要求。これに対し、産官共同研究をすすめ、独立行政法人を想定した研究所として設立する基盤研の基本構想は現段階では明確でないこと。当面、2002(平成 14)年4月から大阪支所を基盤開発センターにするが、機能や業務の見直しなどを早急に行う必要があることなどを述べました。
 全厚生は、情報が十分でなく、職員の不安があることをを述べ「支所職員の身分保障、勤務条件等の後退にならないように、万全の措置をとること」を強く要求。これに対し、岩尾課長は「職員の意向を聞いて最大限、希望に添うように今後考えていくのは当然だろうと思っている。意向調査を行う予定」と回答しました。

栄研の独法化 組合と協議を

 また、来年4月に独立行政法人に移行する健康・栄養研究所の課題について、就業規則などの策定にあたり、引き続き労働組合の意見反映や協議を要求しました。
 交渉の中で岩尾課長は、今後の国立研や研究環境の考え方について言及。厚生省は健康・栄養研究所を除き国立の研究機関として残ったこと、独立行政法人に移行する機関に研究費上で優遇措置がとられること、日本の科学技術が競争型、競合型の研究で科学技術立国をめざすこと、こうした流れから既存の経費を単に配分するのでなく、競争的な資金として配分する方向にあることなどを述べました。
 こうした下で、「厚生省の試験研究機関が行うべき研究は、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上、発展させることを基本とすること」の基本要求をふまえた本部・支部一体となった取り組みが一層重要になっています。



省庁再編後の事業計画等を審議

最後の厚生省共済組合運営審議会を開催

 厚生省共済組合は、省庁再編後の新たな体制である厚生労働省共済組合の1月から3月までの3月分の事業計画及び新共済組合の定款・規則・各種規定にかかる審議を行うため、12月1日に運営審議会を開催。組合側から5名の委員、当局側からは会長の羽毛田事務次官以下5名の委員が出席しました。
 労働省との統合の関係から、同一の内容で、労働省側も11月29日に運営審議会が開催されており、事務局案は了承されています。
 なお、厚生省共済組合は来年1月5日をもって廃止、労働省との統合に伴い厚生労働省共済組合が設置されます。
 事務局から示された主な内容は別掲のとおり。
 これらの提案に対しての組合側委員の発言要旨は次のとおりです。
 今回の内容については、労働省との統合が前提とはいえ、組合側委員として職員の生活と利益を守る立場から、大幅な掛け金率の引き上げや事業レベルの切り下げ、などの内容になっており、この間の経過からいっても十分な協議のないまま提案されたということもあり、とうてい受け入れられない。
 そもそも、省庁再編は私どもが望んだものではない。定款の第1条(目的)には、「組合員の生活の安定と福祉の増進」がうたわれている。長年に亘って、労使間で築き上げてきた権利である保健事業を、省庁再編の名のもとに廃止することは、受け入れがたい。
 しかしながら、本日の審議会において事業計画や定款が決められ、新たな「厚生労働省共済組合」運営審議会での課題も残っている。保健事業の拡充はもちろん、本省の支部運営協議会を残すことなど最大限努力してほしい。
 最後に重ねて労働者側委員として反対の表明をする。これをきちんと議事録に残してほしい。
 組合側委員の発言の後、会長より「組合側委員の反対表明を議事録に残す」ことを再度確認し、全ての議事内容を了承。最後に会長より厚生省共済組合として最後となる審議会として、これまでの協力等に感謝する旨の発言で終了しました。

今後も全労働と連携して

 全厚生は、労働省との共済組合の統合にかかる事業内容等が明らかになって以降、組合側委員や全労働と共に、職員の利益を守るため奮闘し、掛け金率引き上げ率の縮小(41・5→41・3)や廃止予定だった保育料補助事業の復活を勝ち取ってきました。それでも、結果的に職員の利益擁護の観点からは、大幅な処遇の後退と言わざるを得ない面があるため、前述のように運営審議会で反対表明したところです。
 なお、厚生省単独での共済運営審議会は今回が最後であり、次回からは全労働と共に新たな体制での議論がされます。
 今回、時期的に決着しなかった人間ドックの限度額や国公全体で取り組んでいる一部負担金払戻金の足切り額の引き上げの課題、本省の支部運営協議会の設置の問題等が残されています。また、新しい審議会ではまるまる1年間の本格的な事業計画が議論されます。今後、全労働とも連携を取りながら組合員の利益を守る立場で保健事業の充実等を要求していきます。 

省庁再編後の事業計画等
今回の事業計画の期間は平成13年1月から3月までの3ヶ月間
短期掛金率の引上げ
 26.5/1000→42.7/1000(福祉掛金含む)
介護掛金率の引上げ
 2.87/1000→3.42/1000
保健福祉事業関係等
 ・メンタルヘルス相談(労働側が実施していた事業)→継続
 ・契約保養施設等一部補助(厚生省のみ実施していたもの)→現行どおり継続
 ・保育料一部負担(厚生省のみ実施していたもの)→現行どおり継続
 ・退職者永年勤続旅行券→廃止。
  但し、新規事業として退職者に、10000円程度の記念品を贈呈
 ・労働側で行っていた長期療養者見舞金→廃止(以下、来年の新運営審議会において審議)
 ・人間ドックは、対象を35歳以上に引き上げ、7割補助、限度額未定
 ・胃、子宮頸ガン、乳ガン検診→現行どおり継続
 ・レクリエーション費は、一人当たり2500円→据え置き
 ・労働側の「恵比寿会館」は、H12年度中に廃止
定款の改定等(主なもの)
@定款
 ・副本部長の設置(新規)
 ・入院付加金 入院日数2日以上→入院日数5日以上
A運営規則
 ・支部運営協議会を置くことができる(新規規定)


リレーずいそう
● 孫
 「ばあば、だあいちゅき」、家に帰って留守電を聞くと、もうすぐ2歳になる孫のかわいい声が聞こえます。4歳になり、幼稚園に行きだして知恵のついたお兄ちゃんの電話は、おねだりが多いのですが・・・。
 近くに住んでいる2人の娘たちは、月に2、3回我が家に遊びに来ます。遊びに来た翌日は、 近所の人から「お孫さんが来て賑やかでしたね」と言われるほど、本当に賑やかな1日です。娘にしてみれば、子育ては24時間勤務の重労働で、たまには息抜きをしたいという思いと、私や夫それに老両親にしてみれば、かわいい孫(ひ孫)たちと遊ぶことができて、お互い様というところでしょうか。幼い子でも居なければ、大きな声で笑いあうことも大きな声を張上げることも少ない日常ですが、1日中孫と格闘すると充実した1日であったことを実感できます。お兄ちゃんは、体育会系のやんちゃ坊主ですが、ママ思い弟思いのやさしい子です。弟は、兄に輪をかけたきかん坊ですが仲の良い兄弟です。先日、娘が風邪をひいてしまいSOSがきたので様子を見に行ったところ、「おばあちゃん、ママは熱があるのでおかゆを作ってあげてね」と、お兄ちゃんはちょっと泣かせる台詞も知っているのです。
 無邪気に寝入った顔を見ていると、この子たちが過ごす21世紀は、本当に安心して暮らせる社会になるのだろうか、30人学扱が実現できて友だちと一緒に楽しく豊かに学んでいけるのだろうか、今を生きている大人として明るい未来を約束できるよう力を出していかなければと思います。
(業務センター支部 根津章子支部長)


平和のためにできること

全厚生青年交流集会in横浜

 全厚生は、12月9日から11日まで「全厚生青年交流集会in横浜」を開催しました。 青年交流集会には、12支部から約100名の青年が参加し、大きく成功させることができました。今回は、社会保険支部だけではなく、試験研究機関(国衛研支部大阪分会)、社会福祉(福岡視力支部)、本省庁(業務センター支部)の四部門すべてからの参加となり、大いに交流を深めることができました。「平和」を学び、交 流 を深め、21世紀を生きる青年にとって、明るい展望を確信する3日間となりました。
 1日目は、長谷川実行委員長の開会あいさつ、杉下中央執行委員長のあいさつに続き、「基地問題・NLP問題」についてビデオを鑑賞。つぎに神奈川県支部の川名書記長(本部・中央執行委員)から「日米安保について」、横浜市「緑区米軍機墜落事故平和資料センター」の柳下さんから米軍機墜落事件のお話しを聞き、班別での意見交流会を行いました。会場には墜落事故当時の写真など資料が展示され、短い時間の中でこの集会のテーマを深めるものとなりました。
 2日目は、バス移動による基地ツアーでした。バスの中では、現地実行委員からそれぞれの基地についての説明を受け、各基地では平和委員会の講師からさらに詳しい説明を受けました。渋滞により予定変更もありましたが、横須賀基地のクルージング(横須賀を母港とする空母キテイホークが帰港中)にはじまり、上瀬谷基地、厚木海軍飛行場、最後に緑区ジェット機墜落現場に行き、その現場を前にして、あらためて詳しい説明を聞き怒りを新たにしました。
 3日目は、班ごとに学習発表を行いました。班で撮った写真を使って壁新聞(?)をつくる要領で行われました。作品と発表内容は、それぞれの班の個性が光る出来映えで、青年の底力を大いに発揮したものとなり、1人ひとりの魅力が輝きました。
 最後に平和への切なる思いをこめてアピール(全文別掲)を採択し、石原青年対策部長の団結がんばろうで3日間の交流集会は終了しました。
 意見交流会では、「安保は一体誰のための安全を守っているのか」「教科書で学んだことは国にとって都合のいいことばかり」「(安保が)おかしいと思っても今の自分には何も出来ないかも知れない」「米軍の墜落事件は知らなかったが、語り続けないといけない」「墜落事故後の両国の対応がいけない」「いつ起こっても不思議でない事件だから忘れてはならい」など、率直な意見・感想が語られました。

全厚生青年交流集会アピール
 私たち全厚生の青年は、全厚生青年交流集会IN神奈川(12月9日〜11日)を開催し、成功させることができました。
 今回の青年交流集会では「平和」をテーマに、日米安保条約と緑区の米軍機墜落事件を学びました。そして神奈川県内の米軍基地を視察したことで、今ある平和がニセモノであることに気がつきました。今の日本には米軍施設は必要ありません。米軍が日本にいることで、裕ちゃん、康ちゃん、和枝さんが命を落とすという悲劇が生まれました。その後も米軍は反省することなく、各地において数多くの事件を起こしています。
 私たちはこれらの事件を許すことができません。今回の青年交流集会で学んだことを生かし、このような事件が起こることのないよう、本当に平和な日本をつくるために奮闘します。
2000年12月11日
全厚生青年交流集会IN神奈川参加者一同


美(ちゅ)ら海に基地はいらない

2000年日本平和大会開く

 日米軍事同盟打破・基地撤去「2000年日本平和大会」・国際シンポジウム「沖縄からの発信 米軍基地被害の根絶を求める国際連帯を」が11月30日から12月3日まで基地の島「沖縄」で開催されました。大会には海外4カ国の代表5人をはじめ、全国から1500人が参加。全厚生からは、愛知県支部の國枝孝幸さん、香川県支部の坂本智世美さんと植田葉子さん、本部からは加藤副委員長、國枝中執の5人が参加しました。
 30日・1日のシンポでは、海外パネリスト(アメリカ・イタリア・韓国・プエルトリコ)から各国の米軍基地被害の深刻な状況、平和への世界的潮流に逆行するアメリカの世界戦略について発言があり、米軍基地被害の根絶のためには国際的な連帯が必要であることを確信できました。
 12月1日午後の沖縄戦「南部戦跡めぐり」では、ガマ(洞窟)など各激戦地、平和記念資料館などを見学しました(コースによって見学する場所が異なりました)。夜の開会集会ではシンポの報告を受け、名護市への最新鋭基地建設をやめさせる国際的な世論と運動を起こそうと基調報告がされました。また全国からの平和をまもる取り組みも報告されました。
 2日は、午前中に北・中部基地調査(コースによって調査対象の基地は違いました)が行われ、午後は名護市で「平和大会名護交流集会」を開催。各団体からたたかいの報告がなされ、全国からのたたかいの支援を確認しました。夜は舞踊、空手、民謡など琉球文化にふれる「文化の夕べ」、青年たちが聽画し企企画した「ピースシャウト」(9時まで生激論―基地との共存に沖縄の未来はあるか、各地の平和活動交流等)など趣向を凝らした行事が行われました。
 最終日は午前中に8つの分科会と2つの公開シンポジウム、入門講座を開催。入門講座では沖縄でのたたかいがいきいきと語られました。午後の閉会集会では「大会は大きな成功を収めたが、この大会の成功が目的ではない」と沖縄の平和のたたかいを全国各地・世界に広げていこう、連帯してたたかおうと決意し、全日程を終えました。


新書記紹介

やりくり上手の行動派
書記 西田 志緒(しお)さん

 12月1日から全厚生本部の書記として働いている西田志緒さんは、今年3月に大学を卒業したばかりの23歳。現在は総務・財政担当として、先輩の高野さんから実務の引き継ぎの真っ最中です。いろいろ覚えることが多い中、笑顔で仕事をこなしています。 
 特技は英語で趣味は海外旅行。違う文化に触れるのが楽しみで、全厚生に勤める直前にも、2週間のイタリア1人旅をしてきました。学生時代、海外旅行に行きたい一心で、バイトをしつつ、爪に火を灯すような生活で資金をためてきました。旅行中の資金も計画を立て、宿も現地で調達する徹底ぶり。この身についたやりくり上手が“吉”と出て「財政の仕事は楽しい。計算もパズルを解くようにぴたっりと合う」とうれしそう。
 海外の1人旅は、孤独にならないよう、国籍問わず誰彼と積極的にこちらから話しかけていく(もちろん英語です)ので、どんどん友達が増えていきます。この経験が、初対面でも臆することなく話ができる彼女の気さくさや積極性を育てたのかも知れません。
 「人とふれあう仕事がしたかったから」というのが労働組合へ職を求めた理由。志緒さんのお父さんは、国公労連の西田副委員長です。志緒さん自らこの職を見つけてきた時、お父さんのコメントはなかったそうですが、同じ道を歩み始めて、急に会話が増えました。全厚生での活躍が期待されています。

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