見出し

◆第1476号(2000年11月5・15日付)◆

津島厚生大臣と交渉

国立健康・栄養研究所の独法化問題などで

 厚生共闘(全厚生と全医労で組織)は10月23日、厚生大臣交渉を行いました。厚生共闘からは保木井議長(全医労委員長)、杉下副議長(全厚生委員長)をはじめ、厚生共闘役員12人が参加、厚生省からは津島厚生大臣、伍藤人事課長ら12人が出席しました。

独法化で勤務条件後退させるな

 厚生共闘は、@国立健康・栄養研究所の独立行政法人移行にあたっては、職員の身分・勤務条件等の後退にならないようにすることA国立病院・療養所の「再編成計画」および独立行政法人化を撤回し、国民の医療要求にもとづき国立病院・療養所を整備・拡充することB国家公務員の25%定員削減計画を撤回することの3点の要求を掲げ、厚生大臣の考え方をただしました。
 交渉では、保木井議長が、要求事項3点についての説明を行いました。
 @については「独立行政法人移行にあたり、職員の身分・勤務条件、研究環境などの後退を招くことがないよう十分な措置を講じてもらいたい」、 Aについては、「国民からの国立医療を充実してほしいとの声もあり、反対・撤回を求めてきた。特に、再編成計画については、今年度中に廃止を含む対処方策を決定すると聞いているが、地域医療確保の問題と職員の雇用不安に対する十分な配慮なしに見切り発車をしないよう」求めました。 Bについては、「行政のスリム化といって、一律に25%の定員削減を進めることに反対であり、撤回してもらいたい」と強く要求しました。「看護婦の配置が諸外国・他の公的医療機関と比較しても少ない」ことや「最近の医療事故についても人手不足が重要な要因になっている」こと、また「厚生本省の長時間にわたる超過勤務実態の深刻さ」など具体的な事例をあげ、「これ以上の定員削減をやめ、大幅な増員こそが必要」と訴えました。

適正に行われるよう見守る

 これらに対して、津島厚生大臣は「職員の勤務条件等に関する基準・規程等は、法律に規定されている趣旨や手順に沿って独立行政法人が定めることとなる。これらの手続きが適正に行われるよう法人の主務大臣として推移を見守りたい」「行政改革の流れの中で、国立病院・療養所が行う医療は、真に国として担うべきものに特化し、移譲、統合または廃止を推進すること等により、その再編成を一層推進することとされている。厚生省においてはこの指摘をふまえ、再編成の推進に不退転の決意で取り組んでおり、計画を撤回する考えはない」「政府方針に従い、独立行政法人移行の具体的な検討を進めており、この方針を変更することはありえない」「国立病院・療養所の整備拡充については、再編成後の機能、独立行政法人化後の運営等を勘案し、整備拡充をすることとなる」「定員削減計画は、中央省庁等改革基本法に基づき実施するものであり従わざるを得ない。事務・事業の積極的な見直しを行い、減量・効率化を図りたい」とのこれまでの厚生省当局の見解を追認するにとどまりました。

一律の減量化・効率化はやめよ

 この回答を受け、杉下副議長は「国立健康・栄養研究所の独立行政法人化にあたり、改めて万全の措置を要請する」とともに、「職員が不安や混乱をきたすことがないよう情報の公開」を求めました。国立病院・療養所については「地域医療の確保、職員の雇用不安への配慮」に改めて言及しました。
 また、「憲法25条に基づく厚生行政の任務は国民の暮らし、健康と生命を守ることにあり、一律の減量化や効率化はなじまない。増え続ける業務に対して、職員も一生懸命働いているが、がんばりももはや限界で、健康を損なうなど深刻な事態となっている。ぜひとも増員をお願いしたい」と述べ、21世紀の厚生・労働行政のさらなる充実発展をめざして、今後とも話し合いを続けていただきたいと締めくくりました。
 最後に、津島厚生大臣が「みなさん方のご意見はうかがった。私も社会保障施策の充実に向け、力の限り努力したい」と発言し、交渉を終えました。


全厚生本部書記局移転のお知らせ
 全厚生本部書記局は、10月30日から厚生省(中央合同庁舎5号館)低層棟3階に移転しました。


リレーずいそう
● おっぱいの話
 私は中途視覚障害者に、マッサージ・はりきゅうの職業教育を行う教官です。私には4歳と1歳の2人の子がいます。育児にかかわって特に実感するのは、母乳のすばらしさです。
 母乳(おっぱい)は、@免疫効果、A母子のスキンシップの点で、ミルク(人工乳)より、すぐれていることは、よく知られています。
 しかし、それだけでは、ありません。おっぱいは、ただ。そして、調合したり、さましたりしなくても、すぐに飲ませられます。「せっかくつくったのに、飲んでくれず、捨ててしまう」ということがありません。お出かけする時も、重いお湯ポットを持ち歩く必要がありません。夜、赤ちゃんが泣いて寝てくれない時も、おっぱいは切り札になります。赤ちゃんにとって、おっぱいがミルクより、おいしいことも実験的事実であり、これも大事なことでしょう。母乳で育てることは、育児を大いに楽にし、乳幼児虐待の防止にもつながるように思います。おっぱいがよく出るようにするには、1に赤ちゃんに吸わせること、2に母親のストレスを避けること、そして、3にマッサージでしょう。マッサージなら、やはり、プロのマッサージ師がいちばんです。そうなると、我がセンターの卒業生たちの出番です。
 読者や家族の方で、おっぱいが満足に出なかったり、おっぱいがはって痛くて困っている方は、お近くのマッサージ師を訪ねてみてください。
(神戸支部 松浦久泰支部長)


News
● 平和憲法を生かす香川県民の会 −発足に全厚生香川県支部も参加−
 憲法を守り、くらしの中に生かそうと「平和憲法を生かす香川県民の会」が10月30日発足しました。(写真上)結成総会には100を超える団体から300人が集いましたが、職場平和宣言をしている我が支部からも5人が参加しました。
 呼びかけ人には、宗教人、詩人、弁護士、大学教授、医師、労働組合、婦人団体、民主団体、社民・共産・民主(=個人として)の政党など、県下の各界各層の代表者が名を連ねています。活動の基本方針は、▽組織の拡大▽憲法調査会の動向監視▽参加団体の連帯強化などを決め、当面の活動として、▽12月8日に主要駅頭での宣伝行動▽来年の憲法記念日(5月3日)にシンポジウム開催などを申し合わせました。
 かつて、香川県では、前川革新県政時に「憲法をくらしの中に」というたれ幕を県庁に掲げ続けた伝統があります。いま日本国憲法が世界の理想として大きく評価されていますが、国内では、ガイドライン法の成立に基づく周辺事態法、「日の丸・君が代」や盗聴法が強行されるなど、世界の流れに逆行する形で憲法が危機に直面しています。憲法をくらしの中に息づく取り組みを進めるため、全国でも初めての組織として発足した「県民の会」が、共同のおおきなうねりとなって全国に広がることを願っています。
 総会の後、記念講演もありましたが、ふと、マルチン・ニーメラの「戒めの詩」を思い浮かべつつ、「みんな立ち上がったのだ!平和憲法を守らねば・・・」の熱い思いで帰路につきました。
(香川県支部 田村節子)

● 2年連続の年収切り下げ反対 −公務労組連絡会が中央決起集会−
 11月1日、公務労組連絡会は、2000年秋季年末闘争勝利11・1中央総決起集会を社会文化会館(東京・千代田区)で開催しました。集会後、「生活改善できる賃金を」と国会請願デモを行いました。


公正な人事指導は庁の責務

社会保険庁と昇格・定員などで交渉

 全厚生は10月19日、社会保険庁と交渉を実施しました。全厚生からは杉下委員長をはじめ各支部代表と本部役員が出席し、社会保険庁からは高尾次長、紺矢総務課長らが対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は、地方事務官制度の廃止や地方厚生局の設置などに伴う組織・機構の変更に関わって、そのことが行政機関としてより責任の所在を明らかにし、国民の信頼に結びつくように努力する必要があること、定員削減にかかわって、社会保険庁も「削減反対」の立場に立つべきであること、昇格・人事にかかわって、一人ひとりの職員を公平に扱うべきであることなどを強調しました。
 これに対して高尾次長は、社会保険が国民の理解と信頼を得られるよう努力する必要がある、定員削減の中で「仕事減らし」をすること、昇格等について「責任の度合い、ポストの評価」の他に要素はない、などの回答をしました。
 この後、紺矢総務課長から平成13年度の概算要求の説明を受け、飯塚副委員長の進行で具体的な課題について社会保険庁の見解をただしました。
 今回の交渉は、昇格、定員、超勤、人事の問題に絞り、特に昇格では異常な高位号俸の解消、人事では「公平な人事」を中心に主張しました。
 昇格問題については、4級5級での異常な高位号俸が残されている実態にふれ、社会保険庁の責任をただしました。総務課長は、全厚生の主張を理解し、実態把握に努め適正に対応する旨を回答し、「処遇改善の問題として主張していること」については否定できませんでした。
 超勤問題では、業務センター支部の主張に対して、「改善できていない」との認識を示した上で、各部門のトップの責任と地道な努力が必要であると回答しました。
 定員問題では、「力の限りを尽くしている」としつつも、行革による定員削減の要請は受け入れざるを得ないと回答し、「仕事減らし」で対応すると回答しました。
 人事問題では、「人事とは何か」の問いに対して総務課長は、「職員が、さらに力を発揮できるように位置付けられるべき」と回答しました。全厚生は、現状に照らして回答の主旨と異なる実態があることを指摘し、「人を生かすこと」の重要性を強調しました。また、地元職員の幹部登用については、「本庁、地元ではなく、それぞれがより力を発揮できるようにすすめるべき」と回答しました。


秋田県
 賃金問題を学び交流

青年部が秋の学習会

 10月21〜22日、秋田県支部青年部は秋の学習会を開催しました。
 30人の参加があった今回の学習会は、2年連続年収ベースで前年を下回ることになったこともあり、賃金問題を主として進められました。部長が開始時間に遅れてしまい参加者に平謝りするというハプニングのスタートとなりましたが、一時金の切下げや勧告が与える深刻な影響等について学習しました。
 夕食・懇親会も4班に分かれ、それぞれのカレーを食べ、お酒も進みガソリン満タン。夜もふけると、弾き語りが登場したり、本当の愛について熱く語る人も現われるなど、若者のパワーは健在だと実感できました。12月の交流集会にもこのパワーで乗り込もうと思います。皆さんどうぞよろしく。
(秋田県支部青年部長 高橋由博)


滋賀県
 一人一人の運動不可欠

定期大会を開催し確認

 滋賀県支部は、第3回支部定期大会を10月14日に開催し、2000年度運動方針案を採択し、新役員を選出しました。
 2000年度運動方針では、地方事務官制度廃止により福利厚生が大きく後退したこと、人事院の2年連続不当勧告、介護保険導入や相次ぐ法改正による大幅な業務量増加など、私たちの職場を取り巻く環境がたいへん厳しいものであることを認識し、労働条件の改善や諸要求実現のためには組合員一人一人の運動が不可欠であることを強調しました。
 役員改選では、地方事務官制度が廃止を機に、それまでの県職員組合の役員名を改めました。
 新体制の顔ぶれは、
   ▽支部長  西村伊知朗
   ▽副支部長  中澤明広
   ▽同  竹本篤史
   ▽書記長  木瀬知彦
   ▽書記次長  饗庭隆
となりました。
 これまで、支部を牽引されてきた、樋田嘉巳前会長、小川佐多夫副会長には、幹事として引き続き支部を支えていただくこととなりました。
 最後に大会宣言で、労働条件の改善、厚生行政の拡充を求める取り組みを強化し、全国の仲間とともに奮闘することを決意しました。
(木瀬知彦書記長)


新副委員長紹介

おおらかで責任感の強い“虫”の研究者
中央執行副委員長 高橋正和さん

 高橋さんは、国立感染症研究所の昆虫医科学部で34年間もハエ、蚊、シラミ、ゴキブリ等、人の生活に身近な昆虫の研究をしています。
 彼は、中学時代から昆虫が好きだったのです。夏休みの宿題では、ハエの種類を多く集め、標本箱に入れて先生を驚かせたそうです。昆虫の好きな子どもでも普通ハエを標本にはしませんよね。今の職場はその意味では、彼にふさわしい職場と言えると思います。働き者で、「仕事の虫」です。
 現在彼は、感染研支部の委員長ですが、更に本部の依頼で副委員長を引き受けてくれました。誠実で、行動力があります。たまには、執行委員を引き連れて、飲み屋などでみんなの意見を聞いてくれます。もちろん飲み代は高橋さん持ちです。おおらかな彼の性格は、気前の良さもあいまって組合員から慕われています。
 残念ながら彼は、2年後には定年になってしまうのですが、定年前の忙しい時期にもかかわらず、本部の副委員長を引き受けたのは、彼の責任感だと思います。試験研究機関のみなさん、ぜひ彼を盛り立てて、厳しい試験研究機関の再編に対して組合員の力を結集していきましょう。
(感染研支部 前委員長 中山幹男)


交流集会

日時 12月9日(土)pm1時 〜11日(月)正午
会場 ナビオス横浜 (みなと未来21ワールドポーターズ前)


Back  to HOME