◆第1468号(2000年7月25日付)◆
新たな定員削減は命の削減
   厚生労働省2001年から5年間で4559人

朝ビラや管理者への要請を徹底し

 政府は7月18日、「あらたな府省編成以降の定員管理について」とする閣議決定を行いました。その内容は、2001年1月から5年間で5・13%、43、130人(2000年1月6日の中央省庁再編時点で465人=2000年度定員で査定済み、2001年4月1日からの5年間で42、665人)の国家公務員を計画削減するというものです。独立行政法人や公社化が閣議決定されている事務・事業の対象人員370、693人を引いた469、998人をベースとする削減数は25、083人(5・34%)となっており、企画立案部門も含めて一般事務部門での削減率が高く設定されているのが特徴です。この計画は、「10年間で少なくとも10%の定員削減」とする中央省庁改革基本法にもとづくもので、後半の5年間については、その時点までの削減計画の実施状況などをふまえて、あらためて削減目標数を決めるとしています。
 1968年からの9次にわたる削減計画の強行は、長時間過密労働など職員へのいっそうの労働強化を招くとともに、国民への行政サービスの低下が避けられない職場実態を生み出しました。こうした現実に目をむけず、第9次(1996年から5年間)削減計画の4・11%をさらに1%以上上回る新たな削減計画を決定したことは断じて許されるものではありません。
 厚生労働省では、独立行政法人対象(国立病院や国立健康・栄養研究所など)の1、515人を引いた残存部門の削減数は3、044人(5・59%)にものぼり、全体よりも削減率が高くなっています。
 全厚生は、7月12日から18日までの国公労連が行った「総務庁前怒りの行動」に参加するとともに、この閣議決定に対し、森総理大臣宛に「国民サービスを切り捨て、労働強化を招く定員削減計画に抗議する」と打電。同時に、全支部に抗議打電行動を呼びかけました。
新定員削減計画一覧
基準となる定員      削減目標
再編時の削減 平成13年以降の
削減目標
削減合計 削減率
行政機関全体
 独立行政法人・公社化
 残存部分
840,691
370,693
469,998
465
66
399
42,665
17,981
24,684
43,130
18,047
25,083
5.13%
4.87%
5.34%
厚生労働省全体
 独立行政法人
 残存部分 
100,586
46,164
54,422
69

68
4,490
1,524
2,976
4,559
1,515
3,044
4.53%
3.28%
5.59%
(注)2行目の数字は、独立行政法人または公社化が予定されている部門の定数及び該当部門に係る削減目標について、現時点で想定し得る数を内数で示したもの。

怒りの声 実態無視の無謀な計画

 本省庁の実態を無視した無謀な計画だ。国会、法改、予算等の業務に明け暮れし、残業時間も3月平均が78時間で、いつ過労死が起きてもおかしくない状況だ。国民のための安全やよりよい生活を確保するためには増員こそ必要。(本省支部支部長 田口雅之)
 社会保険事務所の年金相談窓口には一日100人を超える人が訪れますが、親切に応えたくても、数をこなすのに追われているのが現状。度重なる年金改悪のなかで、苦情の声も増えています。住民サービス低下につながる定員削減は許せません。(神奈川県支部書記長 川名健)
 眼の不自由な人が利用する施設で働いています。「合理化」や「業務の縮小」といった考え方はできません。良い仕事にはたくさんの時間がかかるのです。見学者や実習生が増加しもっと人手がいるのが現状です。「定員削減」は「命の削減」に等しい!!と訴えたい。(神戸支部副支部長 淵上正寛)

リレーずいそう
 「ももか」のおかげ
 今年2月にわが家の家族が増えました。それは、生まれて2カ月にも満たないビーグル犬。
 その日から世帯主である私の生活が否応無く変化しました。「ももか」と名付けられたその犬は真冬に来たせいか、いつもコタツの中で居眠りをし、夜は電気マットの上で眠るという過保護生活。朝は6時前から起き出して朝食の催促をし、夕食時には一緒に食べさせろと吠え立てます。夜の10時には寝るからと、それまで私が自由に使っていた六畳間は、使用禁止。残業で夕食が遅れたときには、放し飼いになった犬が私のおかずを虎視眈々と狙って落ち着いて食べることも出来ません。半年経った今でも、電気マットとコタツがクーラーと扇風機に変わっただけで、この過保護生活に変化なし。
 この犬がやって来た当初は、世帯主をないがしろにした家族全員の対応に内心じゅくじたる思いがありましたが、自身のそれまでの生活を振り返るよい機会となりました。私は元来無口な性格。帰宅しても妻と会話を積極的にするでも無く、仕事だ組合だと言って毎日ワープロと顔を突き合わせ、子供たちも中高校生となり、それぞれの生活に引きこもり、妻は話し相手が欲しかったのかも知れません。知らず知らずのうちに無味乾燥な家庭へと変化をしていたのを解消してくれたのが、この犬でした。
 家族のそれぞれが犬の世話の役割を決めて「ももか」という共通の話題を持ち、同じ部屋に集まり話し合う。今では、この犬が家族の一員になったことで、バラバラになりかけていた家族が踏みとどまっているのではないかと感謝しています。男1人女4人の家庭に雌犬1匹増えて世帯主がないがしろにされるのは、しょうがないかとあきらめの境地の今日この頃です。

(愛媛県支部 鳥越俊幸支部長)


News
●国公労連青年協7.18夏季統一行動 −正義感発揮し青年が行動−
 国公労連青年協は、公務員賃金の引き下げや一時金の再引き下げ、調整手当「見直し」改悪を阻止するとともに、「10年間で10%」とする新たな定員削減糾弾、国公青年の切実な要求の実現をめざして、7・18夏季中央行動を実施しました。
 行動では、人事院交渉と総務庁交渉を行うとともに、人事院前要求行動(写真)と決起集会を自治労連青年部及び全教青年部と共催で行いました。
 当日は、新たな定員削減計画が午前中に閣議決定され、行革闘争がいっそう重要となるなか、各産別、単組、地域から150人の青年が参加し、熱気あふれる行動になりました。
 全厚生は、石原青年対策部長(愛知県支部)を先頭に、岐阜県支部の近藤さん、神奈川県支部の永井さん、国公労連青年協の重田常幹(神奈川県支部)と本部の山本書記次長が参加し、炎天下の中奮闘しました。


全国支部委員長会議を開催
  
全厚生大会議案の意見出し合う

 全厚生は、7月15日、全国支部委員長会議を東京都内で開催しました。
 会議には、28支部中24支部から代表が出席し、当面する夏季闘争最終版の意思統一を行うとともに、今年9月の全厚生第64回定期大会の議案や組織課題について、広く意見を出し合いました。
 会議の冒頭、杉下中央執行委員長が情勢に触れつつあいさつ、杉浦書記長が2000年度運動方針(案)について、山本総務財政部長が2000年度財政方針(案)とその他の議案等の考え方を報告しました。
 討論では、出席したすべての支部の代表が発言しました。討論の主な内容を紹介します。

厚生労働省統合後の組合組織のあり方は

 厚生労働省統合問題については、「本省では共闘組織が現実的と考える。基本的には、全労働と全厚生が近い将来一緒になるという大前提が必要ではないか。地方厚生局にも組合員が異動するので組織の方向性を明らかにして欲しい」「統合後の労働条件の悪化を懸念している」など。
 試験研究機関からは、「再編がどうすすめられるか、まったくわからない。支部では地位の保全委員会を発足させて、移転に応じられない場合のいやがらせが起きないようにしていきたい。本部の援助を」「衛生院は再来年1月に和光市に移転し、職員は衛生院、衛研、感染研、栄研、環境省などにバラバラに分かれていく。研究環境がどうなるのか、当局からは責任ある回答が得られず、先行きが見えない。本部がたより」など組織再編に対する不安や本部への要望が出されました。
 事前に支部執行委員会での議論をお願いしていた組合費(専従役員補償特別会計分)の値上げ問題については、「たとえ30円でも、値上げ提案はつらい」「一般会計の繰越金があるなら、それを特別会計にあててもいいのでは」などの意見が出されました。
 行革闘争や行政研究活動などについて、「定員不足・予算不足で必要な業務もできない状況。攻撃を跳ね返すために、各部門から行政研究活動で、何が必要か各職場から出し合って、国民に訴える活動が重要」「今の状況の中で、定員増は困難。仕事がこんなたいへんだから定員増を、だけでは、難しい。厚生行政、国の責任が果たせていないではないか、と政策課題を国民に示していく事が大切」など。その他、この間の行革闘争の多くの経験が紹介されました。また、業務センター支部から賃金職員の雇い止め撤回闘争の報告と支援の訴えがあり、この日までに集まった全厚生各支部からの署名約1200名分が、根津支部長に手渡されました。

専従役員補償特別会計への理解を深めて

 討論を受けて杉下委員長が本部としての見解を示しました。
 厚生労働省統合問題については、本部・本省のそれぞれのレベルで取り組みを進めて来ている。「当面、組織の併存」としているが、このことの意味するところの理解が重要。それぞれの歴史的な経緯や運動スタイル、組織形態など様々な違いがあり、当面の重視する課題として本省組織について提起している。中央での共闘についてはそのあり方などを検討している。地方のあり方については、大会議論を通じて発展させたい。いずれにしても、すべてにおいて前向きに議論を進めたい。
 組合費(特別会計分)の値上げ問題について、一般会計は、単年度予算であり繰越金を頼りにして特別会計をたてるわけには行かない。今回の「30円」の提起は、今年、来年の問題ではなく将来の問題として出した。専従役員の損失補償ができないことになれば体制そのもののあり方を検討せざるを得なくなる。しかし、団結の問題などの発言も受け止め、議案の提案に当たっては、今回の提案の取り下げを含めて検討したい。
 最後に委員長は、「発言全般をしっかり受け止め今後の運動と2000年度の運動方針に反映させたい」とまとめ、「団結がんばろう」で会議を終了しました。

出産の状況 異常ありが29%も
   女性部母性アンケートの結果(3)
 全厚生女性部が今年2月に行った妊娠・出産状況アンケート(256人分回収)の結果。出産の状況では、29%の人が「異常あり」で、お子さんの発育状況も「トラブルあり」と回答した人が5%もありました。仕事をしながらの妊娠・出産に不安や悩みがありましたか(あてはまるものすべて)の問いに半数の人が保育所と答え、次いで仕事への影響をあげています。女性が働きつづけるための環境整備がまだまだ不十分であることが伺えます。今回でアンケート結果報告は終わります。

第13回機関紙フェスティバル  
 支部・分会の教宣活動を激励している「全厚生機関紙フェスティバル」は今年で13回目を迎えました。
 今年も、応募各紙の優れた紙面を選んで自家印刷の冊子にして、各支部の機関紙活動で活用できるよう工夫します。応募紙に ついては、例年どおり、大会会場に展示し、交流するほか、すべての講評を行い、各紙の内容にふさわしい賞を設け、大会の中で表彰します。支部・分会・専門部からたくさんの応募をお願いします。
<目的 >支部・分会をはじめ青年・女性 部などの教宣・機関紙活動を励まし、  編集内容の質的向上を支援する。
<対象紙>支部・分会・専門部で99年9 月から2000年8月までの間に発行した 機関紙。参加方法参加申し込み用紙(各 支部に送付します)に記入し、この間 に発行したすべての機関紙を各5部ず つ送ってください。
<締切>8月11日(金)本部必着。
<講評>全厚生中央執行委員会で行いま す。
<表彰等>各紙の内容にふさわしい賞 を設け、全厚生第64回定期大会で表彰 します。賞状、記念品などを贈ります。

なんでも情報   
 

◆静岡市制110周年記念静岡「葵」博

 静岡「葵」博が開幕して、7カ月経ちました。
静岡市は、徳川家康の隠居城としての『駿府城』が会場となっています。会場は、2カ所あり、東静岡会場では、立体ハイビジョンシアター「戦国体験館」が人気の的。戦国時代の合戦の様子を臨場感たっぷりに楽しめます。また、駿府公園内の駿府城会場は、家康公ゆかりの品々や江戸時代の駿府の町並みを再現した模型をゆっくりと見学することができます。夏休みなどを利用して、ぜひご来場ください。問い合わせは、静岡「葵」博実行委員会事務局TEL054-265-6055<CODE NUM=00A1>会期は2001年1月7日まで。前売り入場券大人800円(当日1000円)。会場は東静岡会場(JR東静岡駅北口広場)駿府城会場(駿府城東御門)。
東静岡会場の大人前売り入場券があります。必要な方は、本省支部TEL03-3503-1711(内線3758)までお問い合わせ下さい。(情報提供*静岡県支部 飯塚豊支部長)

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