◆第1467号(2000年7月15日付)◆
調整手当・月例賃金・一時金
   トリプル改悪反対

人事院が調整手当の改悪を強行

 7月6日人事院は、調整手当「見直し」改悪を強行しました。その内容は、(1)4月24日に指定解除及び支給区分の切り下げ対象地域として提案していた23地域の内、10地域を対象から除外し、14地域(官署のある地域は12地域)とする、(2)激変緩和のための経過措置を「7年」とする(3)つくば市など11地域を正規の支給地域に指定、もしくは支給区分の引き上げを行うというもので、2001年4月からの実施となっています。(内容は表のとおり)
 昨年4月に人事院が調整手当「見直し」作業を具体化させて以来、全厚生は国公労連とともに、反対運動を強めてきました。今年4月24日人事院が示した「見直し」対象23地域の中には、全厚生組合員に関係する地域(堺、八尾、東大阪、福岡、静岡、伊東の各市)が含まれており、該当支部や在京・近県支部を先頭に、この間、人事院前行動に結集してきましたが、人事院は6月30日の修正で、静岡市、堺市、福岡市など5地域を、7月6日にさらに東大阪など5地域を「見直し」からはずしました。結果としては改悪地域が残りましたが、12地域まで押し返したことは、全国の仲間の奮闘の成果と言えます。
 7月5日全厚生は、調整手当・月例賃金・一時金のトリプル改悪反対を掲げ、国公労連夏季闘争第一次中央行動に結集。本省・統計・業務セ・人口研・栄研・国リハ・神奈川県・愛知県・滋賀県・大阪の10支部から29人が参加しました。賃金のトリプル改悪を許さないたたかいを引き続き強めましょう。

怒りの声 地域経済まで影響を与える改悪許せない

 私たち公務員の賃金を下げる事は、地域経済まで影響を与えます。大阪の息の根を止めるつもりかと思うような改悪、許せません。
(大阪支部 豊島美香)
 私たちの賃金はけっして高くなく本当にギリギリのものしかもらっていません。切り下げなんてとても許せない。偉いさん考え違いしないで下さい。
(大阪支部 北川健二)
 6月30日の期末手当の明細を見て、ビックリしているのに、これ以上賃金が減らされるなんてとんでもない!公務員の労働基本権を守るべき人事院が改悪を考えているなんて、とんでもない!!私たちの権利は私たち自身で守らなければならないと痛感しました。
(滋賀県支部 中澤明広)
 昨年の人勧で一時金0.3カ月分カットされた中で、住民サービスのために一生懸命働いてきたのに、今年の人勧ではヘタをするとマイナス勧告になるかもしれない?じょうだんじゃない。絶対マイナス勧告は阻止すべきだ!
(神奈川県支部 永井隆雄)

人事院による調整手当の「見直し」地域等
 1.指定解除・引下げ地域(14市)
見直し内容 地   域
支給地域の指定を解除する地域 小樽市、伊勢原市、熱海市、伊東市、明石市、 川西市、下関市、久留米市、飯塚市
支給割合を引き下げる地域 6%→3% 北九州市
10%→6% 岸和田市、池田市、八尾市、寝屋川市
(注)
(1)伊勢原市及び川西市は、一般職給与法適用職員が在職していないため、支給地域の指定を解除する。
(2)明石市の支給地域の指定解除に伴い、明石市に近接する官署として官署指定を受けている加古川市の官署について、当該指定を解除する。
 2.新規指定・引上げ地域(11市)
見直し内容 地   域
新規に支給地域として指定(3%)する地域 つくば市、与野市、八千代市、あきる野市、茅ヶ崎市
支給割合を引き上げる地域 3%→6% 浦和市、大宮市、千葉市
3%→10% 町田市、多摩市、稲城市
(注)
(1)八千代市、茅ヶ崎市については、当該地域の官署は既に3%の官署指定がなされている。
(2)町田市、多摩市、稲城市については、当該地域の官署は既に10%の官署指定がなされている。
 3.当分の間支給する地域(23市1町)
札幌市(3)、拍市(3)、小田原市(3)、三浦郡葉山町(3)、静岡市(3)、岡崎市(3)、 宇治市(3)、堺市(10)、岸和田市(6)、池田市(6)、泉大津市(6)、貝塚市(6)、 八尾市(6)、泉佐野市(6)、富田林市(6)、和泉市(6)、柏原市(3)、東大阪市(10)、姫路市(3)、生駒市(3)、和歌山市(3)、岡山市(3)、北九州市(3)、長崎市(3)
(注)(10)、(6)、(3)は、それぞれ支給割合10%、6%、3%を示す。
 4.経過措置
 改定日以後7年間、次の割合の調整手当を支給する。
(1)指定解除(3%→0%)地域
7年後 0%
6年後 1%
5年後 1%
4年後 2%
3年後 2%
2年後 3%
1年後 3%
(2)引下げ(6%→3%)地域
7年後 3%
6年後 4%
5年後 4%
4年後 5%
3年後 5%
2年後 6%
1年後 6%
(3)引き下げ(10%→6%)地域
7年後 6%
6年後 7%
5年後 8%
4年後 9%
3年後 9%
2年後 10%
1年後 10%
5.実施時期
 実施時期は、平成13年4月1日とする。

リレーずいそう
● ありがとう
 ボーナス前のある朝、出勤直前になってズボンの財布が無いことに気づいた私は、焦った。
 昨夜、酔って帰る途中にでも落としたのかと、沈んだ気持ちで出勤。幸い1年程前から、財布は2つ持つ習慣となっていたので、大したことはないのだが、現金は戻らなくても、大切なキャッシュカードや鍵だけでも戻ってこないかなぁと思いつつも、半ばあきらめかけていた。その日の午後、警察署から落し物の連絡が入ったのである。
 中身を尋ねられ、「現金約6万円余りと○○銀行カード・鍵・〇〇会員証など」と答えると全部そのまま入っているとのこと。警察にはお世話になりたくないが、この連格は嬉しかった。
 翌朝、一番で落物係へ直行し、無事受け取ることができ、ホッとした。拾い主に是非お礼がしたいので、連格先を尋ねると不明とのこと。一昨日深夜、地元の交番に拾った時間と場所を記したメモ書きと一緒に置いてあったそうだ。
 私は驚いた!凶悪な少年犯罪が多発するようなこんなご時世に何と親切な人が居るもんだと。雨の夜、傘をさして自転車に乗ったままで自販機でタバコを買った時、落としたものだった。名も告げずに交番に届け出てくれた親切な人への感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。もし、逆の立場であったなら私はどうしただろうか。帰りに交番とタバコ屋にお礼のあいさつに立ち寄り、我が田舎町の人に感謝する一日でした。

(愛知県支部 磯貝勝支部長)


News

●新たな定員削減計画反対 −総務庁前行動で統計支部長訴え−
 国公労連は、7月12日から18日まで、定員削減反対をかかげ、総務庁前怒りの行動を実施しました。13日は、東京国公の集中デーで、統計支部の菅沼支部長が、宣伝カーの上から訴えました。その中で、統計職場は9次にわたる定削でまさに厚生本省の定員削減の畑とされ、ピーク時600人程度いた職員はその半分の300人にまで減らされたことを紹介。コンピュータ化により集計までの時間は効率化したが、生の数字だけでは統計として十分とはいえず、その数字に隠れた真実を解析する作業が重要。それをせず、政策に都合の良い数字のみを拾い出し公表しているから、国民の不信感がつのる。統計解析には、広い知識と長年の経験がなくては、本当の姿を洗い出すことはできない。さも単純作業のように機械化すれば人員削減が可能という考え方は非常に短絡的な発想でしかない、と政府の姿勢を批判。地味ですが統計は社会の天気予報。日本の進むべき道しるべを統計から示すためにも、もうこれ以上、10年間で10%の新たな定員削減計画は到底容認することはできない、と訴えました。

国民平和大行進が行く

大 阪
核兵器も戦争も20世紀で終わりに
 梅雨の中休みで蒸し暑い一日となった6月30日、平和行進が奈良から大阪へ引き継がれました。全厚生のリレー旗は、今年も京都の仲間から大阪へ手渡されました。
 広島・長崎に原爆が投下されて今年で55年。昨年、戦争法が成立し憲法調査会まで設置され、またアメリカの核持ち込み密約があったということも暴露されたもとでの平和行進。大阪府内の出発地点となる柏原市役所前は、労働組合の代表や民主団体の代表、日本共産党の代表など、核兵器も核戦争も20世紀で終わりにしようという思いで熱気に満ちていました。
 今年も、30分遅れで市民団体の平和行進が出発しました。反動勢力の巻き返しが強まっているときだけに、一日も早い原水禁運動の統一を求める声が数多く聞かれたのも今年の平和行進の特徴でした。

(川畑周市副支部長)

京 都
世界大会成功めざし学習会も開催
 5月7日東京夢の島を出発した国民平和大行進が、6月21日滋賀県から京都府へ引き継がれました。朝から降っていた雨も午後には上がり、汗ばむ暑さの中、支部からは27名が参加し、東京夢の島から引き継いだ「全厚生リレー旗」を掲げて、道行く人々に平和の大切さと核兵器廃絶を訴えました。また、中本書記長ほか3人が大津市役所から、滋賀県支部の仲間とともに、京都・山科中央公園まで行進し京都の仲間と合流しました。
 支部では、平和行進をはじめ、今後も様々な平和の取り組みを行っていきたいと考えています。当面、原水爆禁止世界大会に代表派遣を行うとともに、7月28日に平和学習会を開催します。この学習会は、沖縄・普天間基地移設問題で名護市が受入を表明したことに反対し、住民運動をされている上里和美さんを沖縄から講師に迎え、平和の大切さを学ぼうと企画しました。近県支部の方もぜひおこし下さい。

(中本邦彦書記長)

岐阜県
雨でも晴れでも守り通すは厳しい
 毎年梅雨の頃に恒例の国民平和大行進が岐阜にやってきます。今年も各務原市民プールで愛知県からの引き継ぎ集会を行いました。心配だった雨も何とかあがり、午後からは市民平和行進とともに、各務原市内を元気よく行進しました。
 翌日は、昨年からはじまった郡上八幡町内での行進がありました。小さな町で行進者と街の人々が知り合いのためか、行進者に対する雰囲気も良く、人々とのふれあいもさわやかで、私自身も昨年に引き続き歩きました。
 翌日は午前中に美濃市から関市、午後には岐阜市内の折り鶴行進を行いました。次の日は関市に戻り、岐阜市までの県内最長のコース、つぎは岐阜市から大垣市までアスファルトのコースと続き、最終日は大垣市から関ヶ原町までを行進し、滋賀県へ引き継ぎ六日間の日程を終了しました。
 今年は炎天下が続いた六日間でしたが、雨でも晴れでも、平和への道のりが厳しかったようにこれを守り通していくこともまた厳しいものだと再認識する平和行進でした。

(国枝英樹書記長)


総会と学習会開く
   全厚生本部退職者の会

 全厚生本部退職者会第3回総会が6月27日、厚生省第二共済・茜荘でひらかれました。これには、長田泰公会長はじめ11人と全厚生・杉下茂雄委員長ら本部書記局6人が出席しました。総会では、活動経過・会計報告を承認し、今後の活動方針を確認するとともに、役員を選出しました。
 総会は、小山敦幹事の司会ではじまり、中山泉美副会長が開会あいさつを行い、長田会長が「元気にまたお会いできてうれしい」とあいさつしました。つづいて三原実事務局長がこの間幹事会を2回ひらいて勉強会の企画、総会の準備を行ってきたこと、会費等の納入の整備を行ってきたことを報告するとともに、会計報告を行い、全員の拍手で確認。役員の選出をした後、必要に応じて勉強会を開く、近況を知らせ合うことなどの活動方針を確認しました。
 総会に引き続き、公文昭夫氏(年金実務センター代表)を講師に招き、「社会保障の過去・現在・未来」と題して、年金・医療・介護などの社会保障制度の現状と改悪の実態についての話を聞きました。そして、全厚生など労働組合が社会保障の後退を食い止めるために奮闘することの重要性を確かめ合いました。その後、参加者の近況をだしあいながら和やかに懇親しました。3役は、会長=長田泰公、副会長=中村泉美、鹿島哲、大倉修二、事務局長=三原実。

山田洋次監督「学校4」この秋上映
   大船撮影所最後の映画

 山田洋次監督の映画「学校」は、今回で4作目。撮影が行われている松竹大船撮影所に6月21日、あたごクラブ(機関紙印刷所利用者懇談会)のみなさんと取材に訪れ、撮影現場の見学と山田洋次監督、出演者の金井勇太さん、丹波哲郎さんにインタビューした。大船撮影所は6月いっぱいで閉鎖されることになっており、この「学校W」が大船最後の作品となる。
 今回の「学校」は、不登校の中学生の物語。少年が家出をして、旅をして、いろいろな人間に会ったり事件に遭遇したり、いろいろな家族に出会って成長し、何か大きな収穫を得て戻ってくるというストーリー。  今回の「学校」には学校のシーンはあまり出てこない。
 山田監督は、今の中学生が社会に当てはまるだけの人間に育てられようとしていることが、どんなにつらく苦しいことかということを描きたかったと言う。少年による凶悪犯罪が続発する中、「企画段階ではこの年代の子供達が話題になるとは考えられなかった」らしいが、何らかの問題提起になることは間違いないだろう。
 この日の撮影は、屋久島のパブでのワンシーン。出演者、撮影スタッフ、見学者含め70人ほどがあふれるスタジオ。主役の金井勇太さんは、現役の中学生。撮影風景を見る限り、ナイーブな中学生そのもので自然体。「本番」となってからも、次々と演技を付けていく山田監督。てきぱきと動くスタッフ。何度も何度も繰り返し、やっと「OK」が出たとき、映画がこれほど多くの人の手でこんなにも丁寧に創りあげられるものなのだということを改めて実感した。
 山田監督は、大船撮影所で映画を撮り続けた唯一の監督。撮影所がなくなることについて「歯をくいしばって悲しさに耐えているというのが正直な気持ち」。
 ハード面だけでなく、この撮影所に培われてきた「映画づくりの心」が次の撮影所に受け継がれて欲しいと切に思う。「学校4」は今秋全国松竹系で公開予定。

(写真と文・近藤浩美)


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