◆第1462号(2000年5月25日付)◆
情報開示と実行ある協議を
   〜 厚生科学課長と再編問題等で交渉 〜
 全厚生は5月18日、大臣官房厚生科学課と2000年春闘・試験研究機関統一要求にもとづく交渉を実施しました。
 交渉には、全厚生から杉下委員長、加藤副委員長、杉浦書記長及び試験研究機関各支部代表8人が出席。厚生科学課からは、岩尾課長、中垣企画官、佐野補佐、岡田補佐らが対応しました。
 冒頭、杉下委員長は、試験研究機関の再編問題は、「職員にとって労働条件、研究環境の変更が伴う重大な課題である」と指摘。情報開示および、実効ある協議と労働組合との合意形成に努めることを要求し、誠意ある回答を求めました。
 これに対して、岩尾課長が一括して回答。再編問題や独立行政法人化での就業規則の整備では、「必要に応じて、組合に対しても情報を提供していきたい」「できるだけ、職員・労働組合との合意も得られるように進めたい」と回答。再編目的では、「試験研究機関が行うべき研究は、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上、発展させることを基本とすること」を要求したのに対し、「もちろん、当然と思っている」と回答しました。

◆ 組織再編の構想を回答

 検査・検定業務では、「国の責任と業務の重要性を明確にし、業務体制を拡充するとともに、その業務を保証する研究体制を充実すること」を要求したのに対し、岩尾課長は、規制緩和の流れがあることを説明した上で、「検査・検定を行っている品目が多数あり、検査にあたって品質を落としてはならないのは当然だろう」と述べ、「必要な検定・検査業務の体制は確保していきたい」と回答しました。
 保健医療福祉政策研究所(仮称)、については、「地域の保健・医療・福祉に関する総合的・実践的な調査研究あるいは、情報科学関係の研究を推進していく」ことや、「単に2つ(国立公衆衛生院と国立医療・病院管理研究所)を併せるのではなくて、情報科学研究組織の設置や地域の保健福祉サービスを担う人材の育成をはかる研修センターを設置する方向で検討している」と述べました。厚生科学基盤技術開発研究所(仮称)については、「将来、国立医薬品食品衛生研究所大阪支所を発展的に改組。医薬品の開発・推進を図るための研究技術開発を産・官・学の共同で推進することにしていた(平成7年当時の案)。現在、どう成り立たせるかを検討中である」と述べました。
 また、食品関連部門など各機関の横断的な再編の必要性については、「食品部門に限らず、平成7年以来、いろいろと討論を重ねてきている」ことを説明。「人事院、総務庁に要求しているが、規模の縮小を行わないようにがんばっていきたい」と回答しました。
 「情報科学センター」構想では、公衆衛生院の図書館・情報関係の機能と病管研の同様の機能を2つ併せるにあたり、従来の図書館機能を超えて電子的な処理や各機関における研究情報のネットワーク化を図ろうとするもので、感染症の情報に特化した『感染症情報センター』とは、本質的に異なるもの」と説明。ハンセン病研究センターの課題では、「感染研との統合の際、事務部門は業務の一元化、効率化を図った。予算や経費など、厳しい状況だが、日本に一つのハンセン病関係の研究センターを充実していきたい」と回答しました。
 これらの回答を受けて、各支部代表がさらに要求。再編問題で感染研支部の中山支部長は、所の再編案の議論では、職員・労働組合の意見のくみ上げが十分ではない点を指摘。「現場の意見をしっかりと反映してほしい」と強く要求しました。これに対し、岩尾課長は、「研究機関長会議で集まる話は、部長会議、職場の会議で決まってきていると認識している」と述べた上で、各機関での再編案の議論は、「十分納得の上でやってもらいたい」と述べました。

◆ 独法化で組合との協議約束

 栄研支部の岡支部長は、独立行政法人化に対して、魅力ある組織、研究環境を確立するための努力を要求。あわせて、12月までに給与規定や職員の就業規則の案を作成するとのスケジュールを示したことに対して、労働組合との協議を重ねて要求。岩尾課長も、その点を了承しました。ハンセン研支部の儀同支部長は、感染研との統合の経緯にふれ、研修担当の定員を回復することを要求。人口研支部の三田支部長は、過去十数回も移転を繰り返した人口研が今回、民間の賃貸ビルに移転することに対し、予算の獲得をはじめ、安定した研究環境を確保するために格段の努力を要求しました。



賃金職員の雇い止めは許さない
  42人が全厚生に加入し白紙撤回求める −業務センター支部−
 社会保険業務センターでは、600人の職員と100人を超える日々雇用の貸金職員(パート労働者)が働いています。3月上旬、当局は、賃金職員に対して、一方的な解雇通告(15年以上勤続者については今年8月、10年以上の者については来年3月をもって雇い止めをする等)を行いました。雇用契約はこれまで反復して行われており、雇い止めに関する内容を示されていない労働者がほとんどで、多くの労働者がこの職場で働くことが経済的基盤となっています。
 業務センター支部は、雇い止めの白紙撤回を要求するとともに、団体交渉のための主体的組織を緊急に持つことを確認し賃金職員の全厚生職員労働組合への加入呼びかけを決定。42人の賃金職員が加入しました。
 当局は、国家公務員法上の非常勤職員であり、任用通知を出さなければ契約は自動的に消滅。雇い止めに違法性はないと不当な回答をしています。
 交渉ははじまったばかりです。支部は粘り強く問題解決に向けて奮闘していく決意です。みなさんのご支擾、ご協力を心より訴えます。
(業務センター支部 峰一史書記長)
雇い止め納得できない あきらめたら一生後悔
 〜 業務センター支部緊急集会開く 〜

 5月18日、業務センター支部は、賃金職員雇い止め問題で緊急集会を開催、42人が参加しました。集会では、根津支部長、峰書記長が経過報告と今後のたたかいの方向について提案。16日に支部が行った庶務課長交渉の回答も受けて、該当者から次々と怒りの発言が上がりました。
 「当局は、『国家公務員の試験を受けて入った職員との公平・平等性から見て問題がある』と言うが、パート職員は1年目の人も10年目の人も同じ日給月給の低賃金、正規職員とは格段の差があるのに、なぜ、『平等』を持ち出すのか理解できない」。「雇われた時、『何歳でもいいから、何人でもいいから連れて来てくれ』とまで言われた。今年3月までは65歳まで勤められて、突然各省庁横並びで3年と言われても、納得できない」。「昭和36年から決まっていたというなら、なぜ、早く対応しなかったのか。それこそ職務怠慢ではないか。今から再就職などとても無理」。「賃金があがらなくても、65歳までいられるから一生懸命働いてきた。生活設計が狂う」と口々に訴えました。
 今後の運動については、「国の機関で、こういう汚いことが行われていることを国民に知らせていきたい」「黙って泣き寝入りしてはだめ、この怒りを当局にぶつけないと一生後悔する」「生活がかかっている。あきらめたらだめ」と固い決意が出されました。
 支部では、今後、交渉を積み上げる他、調査団による実態調査はじめ、広く世論に訴え、白紙撤回を求め運動します。 



25%定員削減反対
   
5.24 中央行動 −349団体署名を集約−
 5月24日、国公労連は、「25%定員削減反対」「調整手当改悪阻止」の課題で、中央行動を展開しました。
 この日は、この間取り組んできた「25%定員削減反対団体署名」を携えて、全国から1200人が参加、全厚生は、30人が参加しました。

職場実態訴え 議員要請行動

 5・24中央行動は、人事院前行動と平行して総務庁前で、「25%定員削減阻止・新定員削減計画作業中止を求める」要求行動を行いました。その後、東京・千代田区の社会文化会館での国公労連・公務労組連絡会の中央総決起集会に参加した後、25%定員削減反対を求めて議員要請行動を行いました。
 この日までに集約された「25%定員削減反対」団体署名は、全体で1万団体を、全厚生は、349団体の署名を集め、303団体分を提出しました。
 全厚生の参加者は、衆議院厚生委員会所属の国会議員に各支部が集めた団体署名を束にし要請を行いました。要請では、職場実態を語りながら、「25%定員削減反対」団体請願署名の紹介議員になっていただくよう要請しましたが、この行動で、社民党と日本共産党の議員が紹介議員となることを約束。公明党議員は署名の受け取り・検討すら拒否しました。

● がんばりがむくわれた   岐阜県支部書記長  国枝英樹(31)
 組合員みんなで集めた「団体署名」をもって議員要請行動を行いました。私は、3人の議員を訪問しました。議員不在で応対した秘書から検討しますの返事が続きましたが、最後に訪問した議員の秘書から、快く紹介議員になることを引き受けてもらえた時は、組合員のがんばりが報われた気がしました。

● 職場実態を訴えて   京都支部 尾崎直人(20)
 全厚生が取り組んだ団体署名をもって、国会議員へ要請する行動に参加しました。地元京都出身の伊吹文明議員に要請しました。残念ながら紹介議員にその場でなってもらえなかったのですが、職場実態を強く訴えると、検討するとのことでした。引き続きがんばりましょう。

● 要因確保の努力を確保   愛知県支部副委員長 小松孝仁(56)
 全国で賛同を得た団体署名をもって、自民党と民主党議員に要請。年金の窓口などの大変な状況を話し、定員不足を訴えました。選挙を前にして問うの事情で断るところもありましたが、必要な議員は確保するなどの国会決議の努力は約束するなど、私たちの運動の反映があると感じました。


指標はデタラメ 調整手当改悪は許さへん −大阪−

 人事院は、10年前の調整手当引き下げ強行の時に指標として役に立たないことが明らかになった三指標をこりずに使い、特に近畿をねらい打ちにした引き下げ地域の提示を強行しました。
 大阪は10%地域から6%地域へ切り下げられる6地域すべてが該当し、社会保険事務所も5事務所が対象になります。その中には大阪市に接している大阪第2の都市である堺市も含まれています。隣り合わせの都市で、生活実態もほとんど変わらない都市で指数が大きく変わることそのものが指標のデタラメさを示しています。私たちはこのような「はじめに引き下げありき」の人事院の態度は絶対に認めることはできません。大阪支部は、職場地域からのたたかいを強化し、見直し案を撤回させるまで全力で奮闘します。
(大阪支部 小林政巳)



リレーずいそう
● アメリカハナミズキ

 東京では今年の春はことのほかアメリカハナミズキがきれいに咲いた。ある新聞のコラムに、それは昨年の秋に雨が少なかったためだと書いてあった。秋の雨が少ないと木は伸びる方に栄養が回らず、花芽がつくのだそうだ。桜の終わった4月の中頃、いろいろのところで白やピンクにアメリカハナミズキが咲いた。
 戦前尾崎行雄東京市長がワシントンに桜を送った際、アメリカからのお返しがアメリカハナミズキだった。もともとアメリカの東海岸には多い花の木だ。私が以前研究所から出張留学した行き先はアメリカ東海岸のノースカロライナ州だった。ノースカロライナの州花はアメリカハナミズキ。他に2、3の東海岸の州の州花になっていて、アメリカでは多くの人に愛でられている。ノースカロライナは東京よりもやや春が早く、桜がだいたい3月の中頃には満開となる。その後、3月下旬からはアメリカハナミズキの花盛りだ。ただ白い花が多く、日本で見るようなピンク色に咲いたのは滅多に見かけなかった。車を西へ5、6時間走らせて、州境のアパラチアの山の方に行くと、5月になっても木々の間にアメリカハナミズキの花が楽しめた。
 家が2世帯住宅に立て替わり、両親が上、私達が下に住むようになった時、わずかな庭のスペースにピンクに咲くアメリカハナミズキを3本植えた。そのアメリカハナミズキもこの春は沢山の花をつけた。ある時、父が2階から眺めると本当にきれいだよ、と言った。なるほど、アメリカハナミズキは花を全て上に向けている。意外な発見をした思いがした。
 栄研が独立行政法人となる来年の春の咲き具合はどうだろうか。
(国立栄研支部・岡純支部長)



News
● 調整手当改悪は許さない −5.24中央行動に1200人−

 5月24日、国公労連は、「25%定員削減反対」「調整手当改悪阻止」の課題で、中央行動を行いました。この日は全体で1200人が参加、全厚生からは本部と本省・統計・人口研の各在京支部はじめ、国リハ・神奈川県・愛知県・岐阜県・京都・大阪の各支部から全体で30人が参加しました。
 24日昼休みには、「調整手当改悪反対」の公務労組連絡会主催の人事院前要求行動、午後から人事院と国公労連の地域・単組代表との交渉が行われました。
 交渉で人事院は「数値には制約要因もあるが、出た数値を受けとめるしかない」との回答に終始。参加者から一斉に反論が続出し、「県単位ではなく、隣接地域での指標のぶれを問題にしている」「当局の意見が類似しているのは、まさに皆が反対しており、見直しをやめてほしいと考えているからだ」「指標や基準に科学的な納得性もなく、10年前のあいまいな見直し基準で強行しようとしていることこそ問題」など追及しました。国公労連側は、説明が依然納得できるものではなく、改悪強行せず再検討するよう求めて交渉を終えました。
 中央行動参加者はその後、東京・千代田区の社会文化会館での公務労組連絡会主催「調整手当改悪阻止中央決起集会」(写真下)に参加し、改悪阻止へ奮闘することを誓い合いました。


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