◆第1438号(1999年7月15日付)◆
●地方事務官制度は廃止へ
地方分権一括法成立−2000年4月から厚生事務官

7月8日、地方分権一括法が国会で成立。全厚生は次の声明を発表しました。

地方事務官制度廃止にあたっての声明

 1947年の地方自治法施行以来、半世紀余の長い間にわたり、懸案となっていた「地方事務官問題」に決着がついた。
 全厚生は、この度の決着及び決着内容については基本的に歓迎するものである。
 7月8日に国会において成立した「地方分権関連一括法」では、社会保険行政にかかる国の責任を明らかにするとともに、その事務にたずさわる社会保険職員については2000年4月から厚生事務官(国家公務員)になることとなった。
 「地方事務官制度」に関わっては、長い間、労使間はもとより、国会、地方議会の場においても「政治問題」としてさまざま議論が繰り返えされてきた。
 全厚生はこの間、ねばりづよくかつ民主的に議論を積み重ね、この問題の基本的解決の方向をみいだしてきた。社会保険行政は国の責務であり、その事務は国が直接執行すべきであること。同時に、変則的な地方事務官制度は廃止し厚生事務官とすべきと主張し、その実現に努力してきた。とりわけ、今通常国会における審議の重要段階での全厚生各支部の奮闘は、この度の決着に直接的役割をはたすとともに、今後の運動と組織の前進からもきわめて重要な成果を得ることができた。
 地方分権一括法には、「今後の制度改正時に社会保険の事務処理体制、従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性等の視点に立って、検討し必要があると認められるときは、所要の措置を講ずる。」とする附則が加えられたが、社会保険制度は、将来とも国が責任を持って運営すべき制度であり、独立行政法人化、民営化など、安易に国の責任を放棄することは許されるものではない。
 現在、社会保険制度は、全国オンラインシステムによって、適正かつ効率的な事業運営がはかられている。私たちは、1980年以来、被保険者等の利便性を確保するために築き上げてきたオンラインシステムをさらに発展させ、民主的な行政運営と事務処理の効率化を通じて、より確かな国民サービスが提供できるよう奮闘するものである。
 戦争法(新ガイドライン関連法)、中央省庁再編関連法など、国民生活に関連する分野を縮小・後退させる動きが強まっているいまこそ、憲法25条に基づく社会保障制度にかかわる労働者は、きわめて重要な役割を発揮しなければならない。
 全厚生職員労働組合は、国民世論とともに、(1)国民サービスの向上、(2)民主的で効率的な行政の確立、(3)労働条件の改善を総体として前進させる立場から、真に国民生活を重視した社会保険制度の実現と、それを担いうる行政機関の実現、確かな事業運営を保障する労働条件の確保をめざし、全力をあげて奮闘するものである。

1999年7月9日
全厚生職員労働組合



●リレーずいそう=調整手当改悪許せない

 暫定地域の調整手当が廃止される。エッ!伊東みたいに物価の高い所が?
 調整手当とは、同じ国家公務員が、地域によって格差が生じないよう是正する目的だと理解している。伊東の物価の高さは、東京以上と言われている。観光地のためだろうか、生活に直結している食料品や衣料品はじめすべてが高い。例えば、1リットル当たりガソリンが100円以上、軽油が80円以上。国道沿いのスタンドに飛び込むと、ガソリンが110円以上だし、軽油が90円以上にもなる。ガソリン代が1カ月2000円、1年で2万4000円余分にかかる。
 伊東は田舎だから、交通は不便で、電車は30分に1本、バスは30分から1時間に1本。不便な所だと1日に2〜3本しか運行しない。ということは、自動車は生活に不可欠なのである。また、伊豆急線は、日本で2番目に運賃が高い私鉄である。3駅目の市内の学校まで、片道480円、通学定期で3カ月3万三3520円。自宅から駅まで別にバス代がかかるため、車で行けば15分で行ける所なのに、3カ月で5万円以上になる。
 このような現状を国は知っていて、調整手当を廃止すると言うのだろうか。それぞれの地域に、それぞれの理由があって付いている調整手当である。今、世の中不景気なのは、良くわかっている。だから、一律に、暫定地域の調整手当が廃止というのは、あまりにも「お役所的」である。もっと調査をして、心ある判断をしてもらいたいものだ。そのために、私たちは今、立ち上がらなければならない!(中央執行委員・野満裕美)



●News−各地のたより−

京都の仲間とともに=国民平和大行進 滋賀→京都
 滋賀県支部では、6月16日に岐阜県支部より引き継いだ全厚生旗を21日に京都支部へと手渡しました。大津市役所を出発し国道一号線を逢坂の関を越え、山科中央公園までの道のりはいつもと変わらぬ風景でしたが、今年は京都支部の仲間たちが北久保支部長はじめ総勢8名が大津より一緒に行進してくれました。滋賀県内では4日間雨模様でしたが当日は真夏を思わせる好天に恵まれ、翌日は「ヒリヒリ」と大変でした。(滋賀県支部・西村伊知朗)

平和に一歩ずつ近づいて 国民平和大行進 京都→大阪
 6月21日、大津市役所から、滋賀県の仲間と京都支部から8名が参加して京都・山科まで行進し、京都へと引き継がれました。京都の行進は、山科から円山公園まで25人の仲間とともに最後まで行進しました。梅雨というのに快晴で、日焼け止めをたっぷり塗って歩きました。大津市役所を9時半に出発し、円山公園に到着したのが、午後4時半すぎで、7時間かかり、さすがに疲れました。歩ききったときは、充実感でいっぱいでした。ガイドライン法が通り、日本も戦争へ近づいている気がします。私1人が平和行進を大津から歩いたからといって、何になるって訳がないのです。しかし、それが1人増え、2人増え、大人数になり、またそれを見た人が人々に伝えることによって、平和に一歩ずつ近づいていくものと信じて、これからも行動していきたいと思いました。(京都支部・森下雅子)


●調整手当改悪断固反対

●福岡視力センターのある福岡市は、調整手当6%の暫定支給地域だ。それを人事院は0にするという。断固反対だ。都市部より郡部の方が実際は物価が高く、アンバランスが生じている。組合として断固反対していく。(福岡支部・原志治)

●非常に困る。伊東は観光地特有の物価の高さがある。生鮮食料品も交通費も高い。不況でさらに地域経済が悪化し店舗が限られ、消費者は選択できない。伊東は、3%支給地域だが、それが0になると、年間20万円程度の賃下げとなる。支部あげて反対の運動を進めたい。(伊東支部・諏訪村英男)


●国民犠牲の行革関連法が強行成立

7月8日、中央省庁等改革関連法(行革関連法)が成立し、全厚生は次の声明を発表しました。

中央省庁等再編法の成立にあたっての声明

 7月8日参議院本会議で、中央省庁等改革関連法案と地方分権一括法案の採決が強行され、自民・自由・公明・社民各党などの賛成で、可決・成立した。これによって「1府12省」などの省庁再編を2001年1月から実施すること、国と地方の事務配分を2000年四4月から整理することが確定した。大規模な行政組織の再編、行政事務の再配分は、国民に対する国の責務と関与の変更を伴うものであり、国民的な議論を尽くすことが求められていにもかかわらず、国会内の「数の多数」を背景に、国民的な議論抜きに「21世紀のこの国のかたち」を強引に決定した。
 成立した中央省庁等改革法の中心的な内容は、(1)国の役割を治安、防衛、外交や基本的な政策の企画立案などにおくこと、(2)企画立案部門と実施部門を「分離」し、実施部門については民営化、独立行政法人化、民間委託などの手法で「減量化」を行うこと、(3)首相に重要な政策の決定権限を集中させること、(4)首相を補佐する内閣官房、内閣府の中心的機関(経済財政諮問会議など)に民間人を登用して、財界の求める施策を行政に反映させる仕組みを作ること、(5)「国家公務員の25%削減」「行政経費の30%削減」などを行政改革の「中心的課題」とし、公務を減量化・効率化すること、などとなっている。
 厚生省と労働省を統合し、新たに「厚生労働省」を設置することになっているが、両省の統合は、国民の基本的権利である労働権、社会福祉、社会保障の権利を保障すべき行政機関が、基本的法体系の変質をともないながら、確実に縮小・後退の方向に向かっている。このことは新省の任務でも明らかなように、経済の発展を確保するために社会福祉、社会保障及び公衆衛生等の整備をはかろうとしており、このことからも、両省の統合が社会福祉、社会保障、労働者保護行政の後退を招くことは明らかである。しかし、国民のいのちと暮らしを守る厚生行政への国民的要求は大きな広がりを持っており、私たちは広範な国民と共同した取り組みを展開し、厚生行政の後退を許さない運動を進めていく。
 中央省庁等改革の「目玉」とされる独立行政法人問題では、厚生省所管で唯一国立健康・栄養研究所がその対象とされた。国立健康・栄養研究所は生活習慣病対策や栄養所要量調査など、国民の健康問題にかかわる重要な研究機関であるにもかかわわらず、これを切り捨てようとする政策は断じて容認できない。
 国民の生活や基本的人権を軽視し、国民サービスの提供・実施にかかわる国の責任を放棄しながら、国家による国民への統制のみを強化することは、国民との矛盾をいっそう深刻化させる。国民生活切り捨て、大企業奉仕の「この国のかたち」づくりを具体化させないためにも、公務のリストラ「合理化」の強行を阻止していかなければならない。
 全厚生は、行政改革会議の設置から3年間、情勢の厳しさを跳ね返し、国民本位の行財政改革を求め、職場・地域からの運動を積み重ね、街頭宣伝や署名行動をつうじて世論に訴えてきた。
 中央省庁等改革法の成立をうけて、政省令の策定や、独立行政法人個別法案策定などが進められようとしている今、国民本位の行財政確立、厚生行政の拡充を求めて引き続き奮闘するものである。

 1999年7月9日
全厚生職員労働組合


行革攻撃許さぬ組織づくりを
 全国支部代表者会議開く

 全厚生は7月9日、98年度の第2回全国支部代表者会議を開催し、中央省庁再編・地方分権一括法案等をめぐる情勢と今後の対応や夏季闘争のとりくみ等について、議論し意思統一しました。
 はじめにあいさつした杉下中央執行委員長は、悪法が連続して成立する国会情勢にふれ、自自公が国民に支持されていないことは新聞の世論調査を見ても明らかだと、自自公体制を厳しく批判。また、戦争法、中央省庁再編法、地方分権一括法の成立はじめ、日の丸・君が代法案、盗聴法案強行の動きは、憲法の五原則に対する重大な挑戦であり、さらに、憲法改悪を狙った憲法調査会の設置は言語道断だ。5.21戦争法反対集会、6.24盗聴法反対集会に、党派を超えた多くの人々が結集したことに確信をもち、我々の運動で危険な政治の流れを変えていこうと呼びかけました。
 次に、岡野書記長が、中央省庁再編・地方分権一括法案等をめぐる情勢と今後の対応、人事院勧告をめぐる情勢と行動配置、平和に対する取り組み、来年度方針案について報告しました。この中で書記長は、人事院は、今勧告で、マイナス勧告と一時金カット、調整手当改悪のトリプル改悪を狙っており、人事院勧告に向けた運動が重要になっている。7月22日の中央行動と23日の全国統一行動を成功させようと強調しました。
 討論では、13人が発言しました。
 愛知県支部の内藤支部長は、調整手当改悪反対の闘いを若い世代も含め広く訴え行動参加を得ている。岐阜県支部の澤村支部長は、この間のFAXニュース発行の経験にふれ、若い世代に公務員としての自らにきびしい意見も出始め、職場は、正義感と若いエネルギーがみなぎっている。藤田中執は、「国民の立場にたった行政を進めたい」旨の新聞投書が、公務員攻撃の嵐の中で、一般の方から「がんばれ」と反響を呼んだ経験を紹介。
 栄研支部の斎藤支部長は、中央省庁再編法が成立し、栄研は独立行政法人となる。個別法は8月にできるというが、どう対応するか、本部と相談しつつ、進めたい。神戸支部の今井支部長は、調整手当改悪について、神戸市は、10%が6%に、隣の明石市は暫定3%がカットとの動きもある、明石国公に結集して、がんばりたい。など、それぞれの取り組みと決意を発言しました。
 まとめとして杉下委員長は、この情勢を切り開いていくために、今後組織活動に力を入れるとあいさつし、終了しました。


雨の中女性の要求かかげて
 7.13人事院前行動

 国公労連女性協は7月13日、女性の要求で、人事院交渉と人事院前昼休み要求行動を行いました。全厚生は、本部はじめ本省・統計・人口研の各支部から10人が参加しました。


Back  to HOME