2月19日に開会された第145通常国会は6月17日に会期末をむかえましたが、自民・自由・公明の3党は「雇用対策」などを口実に、今国会の会期を6月18日から8月13日まで、57日間の大幅延長を衆参両院で強行可決しました。
「自自公」3党は、「会期制」にもとづく議会制民主主義のルールをふみにじる暴挙をしてまで、行革関連法案、地方分権一括法案、盗聴法案、「日の丸・君が代」法案、労働者派遣・職業安定両法案、新農業基本法案、国民総背番号制につながる住民基本台帳法「改正」案、改憲のために国会に憲法調査会を設置する国会法「改正」案など、数々の悪法を一気に成立させようとしています。
これらの法案は、どれをとっても日本の国のあり方のおおもとに深刻にかかわる重大法案です。国民にとっては、国会の会期がきたら審議未了で廃案にすべきものです。一連の悪法を成立させるための会期延長は、そもそも許されません。
行革関連法案の6月中成立狙う
中央省庁再編法案、地方分権一括法案の行革関連法案は、衆議院段階で不十分な審議のまま、6月15日から参議院行財政・税制特別委員会で審議が始まっています。衆議院では、「公務員の25%削減」や「独立行政法人の3年から5年ごとの見直しの際の改廃、非公務員型の検討」、「地方支分部局の整理統合」などの減量化や政治主導による集権化や財界・大企業の要求を反映したシステム作りが行政改革の中心課題であることが明白になっています。また、地方分権一括法案についても、自治体への国の関与強化の問題は、まったく解消されていません。
政府・自民党は、こうした衆議院での不十分な審議にもかかわらず、行革関連法案を6月中にも成立させる狙いで、法案審議を急いでいます。参議院での徹底審議をもとめる取り組みが重要となっています。
人権侵害の盗聴法許すな
市民生活が警察にのぞかれる、憲法違反の盗聴法案も重大な局面をむかえています。「自自公」3党は、6月1日の衆議院本会議で盗聴法案の採決を強行し、論戦は参議院に移りました。
盗聴法案は、憲法が保障する「通信の秘密」やプライバシーなど基本的人権を侵害する「盗聴」という捜査手段を警察に与えようという法案であり、現憲法とは絶対に相容れない違憲法案です。
盗聴法案に反対する世論は急速に広がっています。6月24日には共産党、民主党、社民党と二院クラブの党首をはじめ全労連、連合、全労協の代表が一堂に会して、日比谷野外音楽堂で、「許すな盗聴法」の大集会も開かれます。世論をさらにひろげ参議院で廃案に追い込みましょう。
職場・地域で憲法改悪阻止を
「自自公」3党が、まともな審議もしないで日本が海外での戦争に乗り出すための戦争法(ガイドライン関連法)を強行成立させましたが、行革関連法案や盗聴法案など多くの悪法の成立をはかろうとしているのは、「戦争をする国」にとって不可欠だからです。これらの法案は、戦後の民主主義や国民の基本的人権をないがしろにして、政府・財界がねらう「この国のかたち」への改革と一体のものです。
国民と国公労働者に大きな犠牲を強いる行革法案の徹底審議をもとめるたたかいを強めるとともに、「戦争をする国」へとつきすすむための盗聴法案、そして「日の丸・君が代」をそのシンボルにし、総背番号制によって徴兵制をねらい、最後には国会に憲法調査会を設置し、憲法改正をすすめようとするたくらみををなんとしてもストップさせましょう。
国会闘争をはじめ、職場・地域でのたたかいの輪を大きく広げましょう。
最近、めっきりと落ち込むことがあった。「新たな再任用の準備のための調査」の対象職員になっており、調査用紙とともに「新たな再任用制度の概要」が配られた。ちなみに、フルタイム勤務の場合で、身近な行(一)6級で、年収が約440万円、俸給月額30万2千円との目安が書かれていた。フルタイムにするか、短時間にするか考え込んだが、退職後の生活費が退職金の他に見込めないことに気づき、思わずフルタイムに○をしてしまった。
入職時は定年もなく、退職時から年金生活へとの将来設計で来たことを考えると、「この落差は何だ」との思いになる。ここ何年間かは、公務員攻撃の激化が続き、人事院からの提案も全体として抑制的なものが大半である。この先も明るい材料を見つけることは難しい状況であり、期待できない。世相をみても、国会の状況を見ても世紀末症状を呈しているやに思える。
梅雨に入ったこともあり、湿っぽい話になってしまったが、この状況を一挙に変えることは容易ではないと思う。こういう状況のなかでも、毎日を生きていかなければならない。どうせ生きるならば、この際少しでも生きがいを感じる生き方をしたいものだ。同時代を生きるものとして、職場の仲間、友人との共同を大事にし、とりわけ、組合活動にその活路を求めながら、経験を重ねて、少しでも向上することで生きがいを感じたいなと思った。(鈴木徹中央執行副委員長)
戦争法には協力しない=国民平和大行進が愛知を行進
静岡県支部から5月31日、国民平和大行進リレー旗を引き受けました。毎年、国民平和大行進が愛知県に入ると梅雨入りで雨の中の行進が多くゆううつになりますが、今年は、天候に恵まれました。新ガイドライン法という戦争法が自自公によって、強行成立させられましたが、愛知県支部では12日間、リレー行進を行い、のべ51人が参加し、「戦争法には協力しないぞ、ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ、あらゆる形態の核実験・核兵器開発反対」をシュプレヒコールし平和の願いを込め6月11日、岐阜県支部へ引き継ぎました。(愛知県支部・鈴木書記次長)
新ガイドライン法反対=平和行進四国コースが香川を行進
6月18日、国民平和大行進四国コースを歩きました。昨日までの雨がウソのようにカラっと晴れた朝でした。高松市の栗林公園前にある医療生協会館を平和行進はスタートしました。今年は、平和行進の直前に、新ガイドライン法案が可決されたということもあり、行進に参加したメンバーの方たちも特に力が入っているようでした。
伴走車を先頭に核兵器廃絶・新ガイドライン法反対を叫びながら、平和行進は進みます。すれ違いざまに「がんばってください」と声をけてくれた小学生が大人になるころ、今よりももっと平和で過ごしやすい日本でなければならない、という思いを強く感じました。(香川県支部・堀裕一)
全厚生は6月14日、地方事務官制度廃止法案の衆議院通過をめぐって、書記長談話を発表しました。全文は下のとおりです。
●地方事務官制度廃止法案の衆議院通過をめぐっての談話1. 衆議院本会議は6月11日、地方事務官制度廃止等を含む「地方分権関連一括法案」を一部修正のうえ可決した。今後参議院における審議があるとはいえ、1947年以来、変則的な制度として存在してきた「地方事務官制度」が2000年4月に廃止されることになり、名実ともに国家公務員(厚生事務官)となることがほぼ確実になった。
全厚生は従来より、社会保険行政は国の責務であり、その事務は国が直接執行するべきである。同時に、変則的な地方事務官制度は廃止し、厚生事務官とすべきと主張し、その実現に向けて組織の総力をあげて取り組んできた。その立場から、基本的に歓迎するものである。
とりわけ、衆議院審議における重要段階での全厚生各支部の奮闘は、運動前進におおきな力となったばかりか、組織強化の観点からも大きな前進を得ることができた。
2. 一方、自治労(国費評議会)は、「国の直接執行事務」とすることは、(1)地方分権に逆行する。(2)行政改革に逆行する。(3)年金制度の崩壊、無年金者の増大につながる。とし、事務処理は都道府県への法定受託事務とし、地方事務官は地方公務員とすべしと主張してきた。その立場で、国会対策を行い、公明党・民主党・社民各党はそれぞれの思惑から、社会保険制度に対する根本的問題での質疑どころか、地方事務官制度問題で自治労(国費評議会)の主張に沿った質問を繰り返し、制度運営や事務処理実態を無視した質問に終始した。
このことは、公党が自らの政策を持たないまま、一労働組合の組織問題のために地方分権一括法の本来の問題点を置き去りにし、地方事務官制度廃止後は地方公務員とすべき、あるいは国民・住民の利便性が損なわれる、国民年金制度の崩壊をまねくと主張するなど、いたずらに職員の不安をかき立て、国民の社会保険制度への信頼を損ねるもので極めて問題であると言わざるを得ない。
3. 6月9日に開催された自民・自由・民主・公明・社民各党の国会対策委員長会議で自治労の要請を受け入れる形で5党の協同修正として次の点が確認された。(1)今後の制度改正時に社会保険の事務処理体制、従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性等の視点に立って、検討し必要があると認められるときは、所要の措置を講ずる。(2)地方事務官から厚生事務官への身分の切り替えに当たって、各都道府県の職員団体へ7年に限って加入を認める。(3)地方職員共済組合からの切り替えにあたって、地方社会保険事務局および社会保険事務所に勤務する職員で「厚生省社会保険関係共済組合」を新たに設ける。となっている
4. 5党の協同修正は、いずれも今後の社会保険行政にとって極めて問題の残る内容と言わざるを得ない。特に「厚生省社会保険関係共済組合」については、これまでの社会保険庁交渉等の中でも全く触れられておらず全厚生に対しての協議も一切ないままに国会対策レベルで協議されたことは、極めて問題であると言わざるを得ない。
こうした経過は、新聞報道にもあるように、自治労(国費評議会)は組織防衛の観点からの取り組みに終始し、国民の社会保険の拡充に対して無責任であることを明かにした結果となった。
5. 社会保険各支部ではこの間、地元選出国会議員、関係団体、マスコミ等への要請行動を旺盛に展開し、中央段階での行動と連携した取り組みは、教宣・学習活動の強化など、各支部の運動前進に大きな力となった。
全厚生職員労働組合は、各支部での運動の前進に確信を持ち、引き続く参議院の審議段階で、よりよい社会保険行政の確立と職員の労働条件の確保のため、全力で奮闘するものである。
1999年6月14日
全厚生職員労働組合 書記長 岡 野 基 喜